JP7102989B2 - 防着フィルム材及びそれを備えた成膜装置 - Google Patents

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本発明は、被成膜基材以外の部位にスパッタ粒子などの乾式めっきによる成膜用粒子が付着して堆積するのを防ぐことが可能な防着フィルム材及びこれを備えた成膜装置に関する。
液晶パネル、ノートパソコン、デジタルカメラ、携帯電話等の電子機器には、耐熱性樹脂フィルムの上に配線パターンが形成されたフレキシブル配線基板が用いられている。このフレキシブル配線基板は、耐熱性樹脂フィルムの片面若しくは両面に金属膜を成膜した金属膜付耐熱性樹脂フィルムに、フォトリソグラフィーやエッチング等の薄膜技術を適用したパターニング処理を施すことによって作製することができる。近年、フレキシブル配線基板の配線パターンは、ますます繊細化、高密度化する傾向にあり、これに伴って夾雑物を含まない高品質な金属膜付耐熱性樹脂フィルムが求められている。
この種の金属膜付耐熱性樹脂フィルムの製造方法としては、金属箔を接着剤により耐熱性樹脂フィルムに貼り付けて製造する方法(3層基板の製造方法)、金属箔に耐熱性樹脂溶液をコーティングした後、乾燥させて製造する方法(キャスティング法)、耐熱性樹脂フィルムに真空成膜法単独で、又は真空成膜法と湿式めっき法との併用で金属膜を成膜して製造する方法(メタライジング法)等が知られている。
これらの製造方法のうち、メタライジング法においては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームスパッタリング法等の乾式めっきが真空成膜法に用いられている。例えば特許文献1には、ポリイミド絶縁フィルムの表面に酸などに対して耐食性を有する金属として知られているクロムをスパッタリングしてクロム層を成膜した後、銅をスパッタリングして銅からなる導体層を形成する方法が開示されている。
また、特許文献2には、真空成膜法により長尺樹脂フィルム基板に連続的に成膜する装置として、スパッタリングウェブコータと称される巻出巻取式(ロールツーロール方式)の真空スパッタリング装置が開示されている。この巻出巻取式の真空スパッタリング装置には、ロールツーロールで搬送される長尺樹脂フィルム基板を巻き付けてスパッタリング時の熱負荷を該フィルム基板の裏側から冷却するクーリングロール(キャンロールとも称される)が具備されている。かかる構造のスパッタリングウェブコータを用いることで、金属膜付耐熱性樹脂フィルムをメタライジング法で連続的に作製することが可能になる。
特開平2-98994号公報 特開昭62-247073号公報
上記真空スパッタリング装置は、スパッタリングカソードに取り付けたターゲットにイオンをぶつけることで叩き出されたターゲットを構成する粒子(スパッタ粒子とも称する)を被成膜基材の表面に堆積させて成膜するものである。そのため、一部のスパッタ粒子は該被成膜基材に向かわずにそれ以外の部位に向かって飛散してそこに堆積することがあった。特にメンテナンスしにくい場所に取り付けられている部材にスパッタ粒子が堆積すると、堆積物を頻繁に除去するのは困難であるので、何らかのはずみで該堆積物が剥離して該被成膜基材を汚染させる問題を生じることがあった。また、その他の乾式めっきが行われる真空成膜装置においても被成膜基材以外の部位に成膜用粒子が堆積し、これが剥離して被成膜基材を汚染させる問題が生じることがあった。
本発明は上記した従来の真空成膜装置が抱える問題に鑑みてなされたものであり、被成膜基材以外の表面に堆積した堆積物を簡単な方法で短時間で取り除くことが可能な防着フィルム材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明が提供する防着フィルム材は、真空チャンバー内において巻出ロールから巻取ロールまでロールツーロールで搬送される長尺状の被成膜基材をキャンロールの外周面に巻き付けてその裏側から冷却しながら該被成膜基材の表側に成膜を行う成膜装置の装置内において該被成膜基材以外の部材に成膜用粒子が付着して堆積するのを防止する防着フィルム材であって、前記被成膜基材以外の部材は、前記キャンロールをその軸方向の両端部において回転可能に支持する1対の支持台に斜め上方から結合しており、かつ該キャンロールの回転軸に平行に設置されている2本の棒状の保持部材であって、該2本の保持部材の各々は上側に長手方向に延在する断面凹状に窪んだ溝部を有しており、前記防着フィルム材は、前記溝部に嵌め込まれる角柱状又は板状の長尺基部と、該長尺基部の片面側に一端部が貼り付けられたフィルム部とからなることを特徴としている。
本発明によれば、成膜用粒子を被成膜基材以外の部位に堆積させる代わりに該防着フィルム材に堆積させることができるので、堆積物を容易に除去することができる。よって生産性をほとんど低下させることなく堆積物の除去作業の頻度を増やすことができるので、剥離した堆積物が被成膜基板に付着して汚染させる問題が生じにくくなり、メタライジング方により作製する製品の品質をコストをほとんどかけることなく高めることができる。
本発明の実施形態に係る防着フィルム材を装着したロールツーロール方式の真空成膜装置の模式的な正面図である。 図1の真空成膜装置を切断面II-IIの矢印の方向から見たときの矢視図である。 本発明の防着フィルム材の一具体例の正面図である。 図3の防着フィルム材を真空成膜装置内の保持部材に装着する方法を示す斜視図である。 図3の防着フィルム材を図1の真空成膜装置の右側保持部材に装着した時の正面図であり、簡単のためキャンロールの右上側のみが描かれている。
先ず、本発明の実施形態に係る防着フィルム材が装着される成膜装置として、図1に示すようなロールツーロール方式で搬送される長尺状の基材に成膜を行う真空成膜装置(スパッタリングウェブコータ)50を採り上げて説明する。この真空成膜装置50は、真空チャンバー51内において巻出ロール52から巻取ロール64までロールツーロールで搬送される被成膜基材としての長尺樹脂フィルム基板Fをキャンロール56の外周面に巻き付けてその裏側から冷却しながら表側にスパッタリング成膜処理を施すものであり、金属膜付耐熱性樹脂フィルムを連続的に作製することができる。
具体的に説明すると、真空チャンバー51には、図示しないドライポンプ、ターボ分子ポンプ、クライオコイル等の種々の装置が具備されており、真空チャンバー51内を到達圧力10-4Pa程度まで減圧した後、アルゴンガスや目的に応じて添加される酸素ガスなどのスパッタリングガスを導入して0.1~10Pa程度に圧力調整できるようになっている。真空チャンバー51の形状や材質については、上記減圧状態に耐え得るものであれば特に限定はなく、種々のものを使用することができる。
この真空チャンバー51内に、長尺樹脂フィルム基板Fの搬送経路を画定する各種のロール群が設けられている。すなわち、巻出ロール52からキャンロール56までの搬送経路には、巻出ロール52から巻き出された長尺樹脂フィルム基板Fを案内するフリーロール53、長尺樹脂フィルム基板Fの張力の測定を行う張力センサロール54、及びキャンロール56の周速度に応じて回転数の調整が可能なモータ駆動のフィードロール55がこの順に配置されている。キャンロール56から巻取ロール64までの搬送経路にも、上記と同様に、キャンロール56の周速度に応じて回転数の調整が可能なモータ駆動のフィードロール61、長尺樹脂フィルム基板Fの張力測定を行う張力センサロール62、及び長尺樹脂フィルム基板Fを案内するフリーロール63がこの順に配置されている。
上記巻出ロール52及び巻取ロール64では、パウダークラッチ等によりトルク制御が行われており、これにより長尺樹脂フィルム基板Fの張力バランスが保たれている。また、モータ駆動のキャンロール56は、熱負荷のかかるスパッタリング処理により熱せられる長尺樹脂フィルム基板Fを冷却するため、内部に冷媒が循環する流路が設けられている。前述したようにこのキャンロール56の周速度に対してフィードロール55、61の回転数を適宜調整することでキャンロール56の外周面に長尺樹脂フィルム基板Fを密着させて搬送することが可能になる。
このキャンロール56の外周面に対向する位置には、長尺樹脂フィルム基板Fの搬送経路に沿って4個のマグネトロンスパッタリングカソード57、58、59、60がこの順に設けられている。これらマグネトロンスパッタリングカソード57~60の各々には、キャンロール56の外周面に対向する面にターゲット(図示せず)が取り付けられており、これらターゲットから叩き出されたスパッタ粒子が長尺樹脂フィルム基板Fの表面上に堆積することで金属膜の成膜が行われる。
例えば、スパッタリングカソード57にNi系合金のターゲットを取り付け、スパッタリングカソード58~60にCuのターゲットを取り付けることにより耐熱性樹脂フィルムの表面にNi系合金等からなる膜とCu膜とが積層された高品質な金属膜付長尺耐熱性樹脂フィルムを作製することができる。上記の積層膜のうち、Ni合金等からなる膜はシード層と呼ばれ、クロム、インコネル、Ni-Cr合金、コンスタンタン、又はモネル等の各種公知の金属や合金を用いることができ、その組成は金属膜付耐熱性樹脂フィルムの電気絶縁性や耐マイグレーション性等の所望の特性に応じて選択される。
なお、上記のスパッタリング成膜の後に湿式めっき処理を施して金属膜を更に積層することによって、金属膜を厚膜化することができる。この場合は電気めっき処理のみで金属膜を厚膜化してもよいし、無電解めっき処理による一次めっき及び電解めっき処理による二次めっきのように複数の湿式めっき法を組み合わせてもよい。これら湿式めっき処理を行う場合のめっき条件には特に限定はなく、一般的な湿式めっき法により行うことができる。
上記方法で作製した金属膜付長尺耐熱性樹脂フィルムに対して、サブトラクティブ法等を用いてパターンニング加工することによって、液晶テレビ、携帯電話等に使用されるフレキシブル配線基板を作製することができる。なお、サブトラクティブ法とは、長尺耐熱性樹脂フィルム上の金属膜(例えば、上記Cu膜)の表面にレジストを塗布した後、該レジストをパターニング処理して配線回路として残す部分以外の金属膜をレジストから露出させ、この露出部分をエッチングにより除去することでフレキシブル配線基板を作製する方法である。
長尺樹脂フィルム基板Fには、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムのような樹脂フィルムや、ポリイミドフィルムのような耐熱性樹脂フィルムを使用することができる。特に、金属膜付耐熱性樹脂フィルムに用いる耐熱性樹脂フィルムとしては、ポリイミド系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリテトラフルオロエチレン系フィルム、ポリフェニレンサルファイド系フィルム、ポリエチレンナフタレート系フィルム、液晶ポリマー系フィルム等が好ましい。これらの耐熱性樹脂フィルムは、金属膜付フレキシブル基板としての柔軟性、実用上必要な強度、配線材料として好適な電気絶縁性を有しているからである。
上記の真空成膜装置には、スパッタ粒子が長尺樹脂フィルム基板Fに向かわずにそれ以外の部位に向かい、例えば真空成膜装置内に設けられている各種機材や壁面等に付着することがあった。これ防ぐため、上記スパッタリングカソード57~60とキャンロール56の外周面との間に、長尺樹脂フィルム基板Fの搬送経路に沿って5枚の板状の防着部材65、66、67、68、69がこの順に設置されている。各板状防着部材は図示しない支持部に着脱自在に取り付けられており、且つ隣接する板状防着部材同士は、互いに対向する端部において当接している。
上記の隣接する板状防着部材同士は、ターゲット面の略中央部からキャンロール56側に離間した位置で当接するようになっており、これにより板状防着部材を容易に取り外すことが可能になる。なお、板状防着部材の枚数は上記した5枚に限定されるものではなく、キャンロール56の大きさや板状防着部材の着脱時の作業性等を考慮して適宜定められる。また、板状防着部材65~69は、図1では平板状に描かれているが、これに限定されるものではなく、キャンロール56の外周面に沿った湾曲板であってもよい。
上記の板状防着部材は、各ターゲットから叩き出されたスパッタ粒子が、該ターゲットに対向する位置に来た長尺樹脂フィルム基板Fにのみ向かうことができるように、ターゲット面に対向する部分が開口している。すなわち、図1の真空成膜装置50を切断線II-IIで切断したときの矢視図である図2に示すように、各板状防着部材は、図2の紙面上下方向の両端部がそれぞれ真空チャンバー51の内壁にまで至っており、また、これら両端部の間の中央部はターゲット面に対向する部分において部分的に開口している。かかる構造により、ターゲットから叩き出されたスパッタ粒子のうち、当該開口部を通り抜けたもののみがキャンロール56の外周面上の長尺樹脂フィルム基板Fの表面で堆積することが可能になる。
このように、各板状防着部材はターゲット面に対向する部分を開口させる必要があるので、長尺樹脂フィルム基板Fの搬送経路に沿って並べられている5枚の板状防着部材65~69のうち、両端に位置する板状防着部材65、69は、隣接する板状防着部材に対向する側の片端部のみが開口する略コの字状の平面形状を有している。一方、それ以外の板状防着部材66、67、68は、両側で板状防着部材に隣接するので両端部が開口する略H字状の平面形状を有している。なお、キャンロール56の真下に設けられている板状防着部材67は、その中央部がキャンロール56の外周面に近づき過ぎないように、V字状に屈曲している。かかる構造の板状防着部材65~69をスパッタリングカソード57~60とキャンロール56の外周面との間に設けることにより、長尺樹脂フィルム基板F上の金属膜の成膜に寄与せずにキャンロール56の外周面の縁部や真空チャンバー51の内壁などにスパッタ粒子が飛散して付着するのを防ぐことができる。
上記した長尺樹脂フィルム基板Fの搬送経路に沿った位置に設けられている板状防着部材65~69に加えて、各スパッタリングカソードのターゲット取り付け面を囲む位置に筒状防着部材を着脱自在に設けてもよい。具体的には、図1に示すように、各スパッタリングカソードのターゲット取り付け面の外縁部から当該ターゲット取り付け面に垂直な方向に延在して前述した防着部材65~69の開口部近傍にまで至る略四角筒状の防着部材70、71、72、73を設けてもよい。これにより、長尺樹脂フィルム基板F上の金属膜の成膜に寄与せずに前述した板状防着部材65~69とスパッタリングカソード57~60との間の隙間から逃げるスパッタ粒子をより確実に捕捉することができる。なお、筒状防着部材70~73のキャンロール56側端部を内側に屈曲させた断面略L字形状にしてもよい。
上記した板状防着部材65~69や筒状防着部材70~73の表面にはスパッタ粒子による堆積物が覆うことになるので、これら防着部材の表面は堆積物が剥離し難いように粗面化処理を施すのが好ましい。このように防着部材の表面を粗くすることにより、そこに堆積する堆積物が剥離しにくくなり、よって堆積物が長尺樹脂フィルム基板Fに付着して汚染させたり、各スパッタリングカソードの周囲に付着したりするのを防止できる。かかる構成のスパッタリングウェブコータを用いることにより、剥離した堆積物による汚染がほとんど生じない高品質の金属膜付長尺耐熱性樹脂フィルムを作製することができる。
しかしながら、上記のように板状防着部材65~69や筒状防着部材70~73を設けても、真空成膜装置50内の各種機材や壁面等へのスパッタ粒子の堆積を完全に防ぐことはできなかった。特に、真空成膜装置50のキャンロール56の上部側の近傍には、図1に示すように該キャンロール56を間接的に支持する棒状の保持部材80、81が存在しており、これら保持部材80、81の表面に堆積した堆積物が剥離して長尺樹脂フィルム基板Fの表面に付着することがあった。しかも、これら保持部材80、81は、長尺樹脂フィルム基板Fの搬送を担うロール群などの間のわずかな隙間に設けられているため、堆積物を手作業で除去したり保持部材80、81自体を取り替えたりすることが極めて困難であった。
そこで、本発明の実施形態の真空成膜装置50は、上記保持部材80、81の少なくとも一方の表面を覆う防着フィルム材90が設けられている。具体的に説明すると、図3に示すように、本発明の一具体例の防着フィルム材90は、好適にはアルミニウムからなる金属製の四角柱状又は板状の長尺基部91と、その長手方向の両端部を除いた部分の片面側に一端部が貼り付けられた好適にはポリイミドフィルムからなる矩形のフィルム部92とから構成される。
上記フィルム部92の一端部を長尺基部91に貼り付ける方法は特に限定はないが、後述するように、該防着フィルム材90を上記保持部材80、81に設置する際にフィルム部92にたるみが生じないように該フィルム部92を手で引っ張って該保持部材80、81の表面を覆うので、その際フィルム部92が長尺基部91から離れることのない強度を有する程度に貼り付けるのが好ましく、これは例えばポリイミド製の接着テープを用いたり、接着剤を用いて接着したりすることで良好に貼り付けることができる。あるいは、長尺基部91をその長手方向に平行な面で分離する2個の好適には同形状の板材で構成し、それらの間でフィルム部92の一端部を挟み込んで該2個の板材同士をネジ留め等で結合するようにしてもよい。
図4に示すように、上記の防着フィルム材90をキャンロール56の例えば保持部材80側に取り付ける時は、先ず長尺基部91を保持部材80の溝部80aに嵌め込み、フィルム部92のうち長尺基部91に貼り付けられている側とは反対側の端部を引っ張りながら該保持部材80の下側の表面を覆うようにして該保持部材80に巻き付けて該端部を例えばPI接着テープTで保持部材80に貼り付ける。上記の長尺基部91を嵌め込む保持部材80の溝部は作業できるスペースに余裕がないため、フィルム部92をテープで貼り付ける作業は極めて困難を伴うが、あらかじめ長尺基部91にフィルム部92を貼り付けておくことで、作業スペースに余裕がなくても長尺基部91を嵌め込んでテープで留めるだけで簡易に固定できる。
すなわち、図1に示すように、キャンロール56は、一般的に軸方向の両端部に位置する図示しない1対の支持台によって回転可能に支持されており、これら支持台はキャンロール56の回転軸に平行な2本の棒状の保持部材80、81で結合されている。これら保持部材80、81は上方が凹状に窪んでいるため、この部分に長尺基部91を嵌め込むだけの作業であれば、スペースに余裕がない場合であっても比較的容易に行うことができる。
なお、上記長尺基部91を保持部材80、81から容易に取り外すことができるようにするため、長尺基部91を保持部材80、81の溝部に嵌め込んだ時に、該長尺基部91においてその長手方向に延在する側部が保持部材80、81の上面から10~20mm程度はみ出しているのが好ましい。同様の理由により、長尺基部91の長手方向の両端部は、保持部材80、81の長手方向の両端部から10~50mm程度突出しているのが好ましい。但し、保持部材80、81の少なくとも下面部はフィルム部92で端から端まで覆われるのが好ましいので、略矩形のフィルム部92の縦横の長さは、上記の点を考慮して定められる。
上記長尺基部91を保持部材80、81の溝部に嵌め込んだ時にガタつく場合は、図5に示すようにガタツキ防止部材93と共に嵌め込むことが好ましい。これによりフィルム部92を張った時のガタツキと脱離を防止することができる。すなわち長尺基部91は角柱状又は板状なので、ガタツキ防止部材93と共に嵌め込むことで、上記長尺基部91が保持部材80、81の溝内で回転したり、防着フィルム材90の被覆が緩んだりしにくくなり、より確実に保持部材80、81を防着フィルム材90で覆うことができる。防着フィルム材90を保持部材80、81に取り付ける前に、長尺基部91にフィルム部92を1周以上巻き付けてもよい。これによりフィルム部92が長尺基部91から離れるのをより確実に防ぐことができる。
以上、本発明に係る防着フィルム材の実施形態について、スパッタリング成膜を行う真空成膜装置内に防着フィルム材を装着する場合を例に挙げて説明したが、本発明に係る防着フィルム材は上記の用途に限定されるものではなく、他の乾式めっき装置にも好適に適用することができる。例えば、耐食金属のクロムの蒸着を行う真空蒸着装置やCVD(化学蒸着)装置にも本発明の防着フィルム材を好適に用いることができる。また、防着フィルム材で覆う部材はキャンロール56の保持部材に限定されるものではなく、真空成膜装置内の他の部材でもよいし、真空成膜装置の壁部を保護してもよい。
[実施例]
図1に示すような真空成膜装置50において、スパッタリングカソード57にNi-Cr合金ターゲットを取り付けた。更に、スパッタリングカソード57とキャンロール56の外周面との間に、板厚1.5mmのステンレス板(SUS316L)で製作した防着部材65、66を取り付けた。また、スパッタリングカソード57にはその外縁部を囲む四角筒状の防着部材70を設けた。防着部材65、66は、それぞれ長尺樹脂フィルム基板Fの搬送方向に関してスパッタリングカソード57の前後に位置しており、互いに対向する端部にスパッタ粒子が通過する開口部を有している。
次に、図3に示すような幅20mm×長さ900mm×厚さ5mmのアルミニウム板からなる長尺の金属棒からなる長尺基部91の両端からそれぞれ50mmを除いた部分の片面に、横800mm×縦500mmのポリイミドからなる矩形のフィルム部92をポリイミド接着テープで貼り付けた防着フィルム材90を用意し、上記のキャンロール56を回転可能に支持する1対の支持台を保持する保持部材80、81のうち右側の保持部材80を図4のようにして上記の防着フィルム材90で覆った。
具体的には、キャンロールの保持部材80の上方の溝部80aに動かないようにガタツキ防止部材93と共に長尺基部91を嵌め込み、フィルム部92において長尺基部91に貼り付けられている側とは反対側の端部を引っ張りながらフィルム部92が保持部材80の下面側を覆うように巻き付けてPI接着テープで貼り付けた。この防着フィルム材90の設置に要した時間は20分程度であった。
この状態で真空チャンバー51内を減圧雰囲気にした後、1000mの長尺樹脂フィルム基板Fをロールツーロールで搬送してキャンロール56の外周面に巻き付けて冷却しながらスパッタリング成膜を行った。その結果成膜された長尺樹脂フィルム基板のピンホール数は0.15個/mであった。また、長尺樹脂フィルム基板成膜後、防着フィルムを取り除いた当該箇所にはNi-Crは付着していなかった。
[比較例]
図3の防着フィルム材を用いなかった以外は上記実施例と同様にして長尺樹脂フィルム基板に成膜を行った。その結果ピンホール数は0.5個/mであった。また、防着フィルム材90を用いないため、保持部材80にNi-Crの堆積物が付着していた。保持部材80は狭いスペースに設置されているため、この付着した堆積物を除去するために7時間程度を要した。
50 真空成膜装置
51 真空チャンバー
52 巻出ロール
53、63 フリーロール
54、62 張力センサロール
55、61 フィードロール
56 キャンロール
57、58、59、60 マグネトロンスパッタリングカソード
64 巻取ロール
65、66、67、68、69 板状防着部材
70、71、72、73 筒状防着部材
80、81 保持部材
90 防着フィルム材
91 長尺基部
92 フィルム部
93 ガタツキ防止部材
F 長尺樹脂フィルム基板

Claims (2)

  1. 真空チャンバー内において巻出ロールから巻取ロールまでロールツーロールで搬送される長尺状の被成膜基材をキャンロールの外周面に巻き付けてその裏側から冷却しながら該被成膜基材の表側に成膜を行う成膜装置の装置内において該被成膜基材以外の部材に成膜用粒子が付着して堆積するのを防止する防着フィルム材であって、
    前記被成膜基材以外の部材は、前記キャンロールをその軸方向の両端部において回転可能に支持する1対の支持台に斜め上方から結合しており、かつ該キャンロールの回転軸に平行に設置されている2本の棒状の保持部材であって、該2本の保持部材の各々は上側に長手方向に延在する断面凹状に窪んだ溝部を有しており、
    前記防着フィルム材は、前記溝部に嵌め込まれる角柱状又は板状の長尺基部と、該長尺基部の片面側に一端部が貼り付けられたフィルム部とからなることを特徴とする防着フィルム材。
  2. 前記2本の棒状の保持部材は、前記キャンロールの斜め上方に位置し、かつ前記被成膜基材において前記成膜が行なわれる側の面に対向していることを特徴とする、請求項1に記載の防着フィルム材。
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