JP5880485B2 - 成膜装置およびこれを用いた金属化樹脂フィルムの製造方法 - Google Patents

成膜装置およびこれを用いた金属化樹脂フィルムの製造方法 Download PDF

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本発明は、真空中において被成膜物表面に金属膜を成膜する装置、およびこの成膜装置を用いて被成膜物表面に金属膜を成膜する方法に関し、特に、被成膜物としての耐熱性樹脂フィルムの表面に乾式めっき法で金属膜を成膜した後、湿式めっき法で更に金属膜を積層する金属化樹脂フィルムの成膜装置および成膜方法に関する。
液晶パネル、ノートパソコン、デジタルカメラ、携帯電話等には、耐熱性樹脂フィルム上に配線パターンが形成されたフレキシブル配線基板が用いられている。このフレキシブル配線基板は、耐熱性樹脂フィルムの片面若しくは両面に金属膜を成膜した金属化樹脂フィルムにパターニング処理を施すことによって作製されるが、近年は配線パターンがますます繊細化、高密度化する傾向にあり、これに伴って金属化樹脂フィルムにはシワ等のない平滑なものが求められている。
この種の金属化樹脂フィルムの製造方法として、従来から、金属箔を接着剤により耐熱性樹脂フィルムに貼り付けて製造する方法(3層基板の製造方法)、金属箔に耐熱性樹脂溶液をコーティングした後、乾燥させて製造する方法(キャスティング法)、耐熱性樹脂フィルムに真空成膜法単独で、または真空成膜法と湿式めっき法との併用で金属膜を成膜して製造する方法(メタライジング法)等が知られている。また、メタライジング法に用いる真空成膜法としては、減圧雰囲気下で行う真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームスパッタリング法等がある。
メタライジング法について、特許文献1には、ポリイミド絶縁層上にクロム層をスパッタリングした後、銅をスパッタリングして導体層を形成する方法が記載されている。このうち、クロムは酸などに耐食性を有する金属として知られている。また、特許文献2には、スパッタリングウェブコータの一例である巻出巻取式(ロールツーロール方式)の真空スパッタリング装置が開示されている。この巻出巻取式の真空スパッタリング装置には、搬送中の長尺フィルムを外周面に巻きつけて冷却するキャンロール(クーリングロール)が具備されており、これによりメタライジング法であっても連続的に金属化樹脂フィルムを製造することが可能になる。
ところで、スパッタリング装置では、成膜を要しない領域にスパッタ粒子(成膜粒子)が飛散して付着するのを防止するため、防着板が用いられている。この防着板には、スパッタ粒子が徐々に付着して堆積物を形成するため、付着量が過剰になると堆積物が剥離して耐熱性樹脂フィルム(被成膜物)を汚染することがあった。
これを防ぐため、定期的に防着板を取り外し、装置外で清掃して堆積物のない状態に戻して再使用したり、新品の防着板に交換したりする作業が必要になる。しかしながら、この作業は防着板の枚数が多いこともあって長時間を要し、生産性を低下させる要因になっていた。そこで特許文献3では、清掃や交換の周期を延長するため、防着板の表面を粗面化して堆積物をできるだけ剥離しにくくする技術が開示されている。
特開平2−98994号公報 特開昭62−247073号公報 特開平8−333678号公報
上記したように、防着板は定期的に取り外す必要があるため、成膜装置内に設けた防着板用のフレームにネジ等の結合手段を用いて着脱自在に固定されている。このフレームと防着板との間には、実質的に隙間が存在しており、スパッタ粒子はこの隙間から飛び込んでフレームに付着することがあった。この場合の付着量は防着板の付着量に比べて少ないものの、付着した堆積物が剥離すれば耐熱性樹脂フィルムやスパッタリングカソードなどの成膜手段の上に落下して、金属膜付耐熱性樹脂フィルムの汚染や成膜品質の悪化の原因になることがあった。
本発明は上記した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、防着板用のフレームからの堆積物の剥離をできるだけ防止して、耐熱性樹脂フィルムの汚染や成膜手段への堆積物の落下を防止できる成膜装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明の成膜装置は、減圧容器内において保持手段の保持面で保持された被成膜物に向けて成膜手段から成膜粒子を放出させて成膜を行う成膜装置であって、前記成膜装置には、成膜を要しない領域に成膜粒子が付着するのを防ぐ防着手段が配されている。この防着手段は、前記成膜手段と前記保持手段との間にそれぞれから離間し且つ前記保持面に沿って配されたフレームと、前記フレームの両端部からそれぞれ前記成膜手段の対応する両側部に向けて延在する防着板と、前記フレームの少なくとも一方の端部に設けられた冷却配管とからなる。
そして、前記フレーム前記両端部の間には前記成膜手段から前記保持手段に向かう成膜粒子が通過する開口部が設けられており、前記防着板は前記フレームに着脱自在に且つ前記フレームから離間して支持されており、前記冷却配管において前記成膜手段と前記保持手段との間の空間を臨む部分を当該空間から遮蔽する位置であって且つ前記冷却配管および防着板から共に離間する位置に邪魔板が設けられていることを特徴としている。
本発明によれば、防着板用のフレームからの堆積物の剥離を抑えることができるので、金属化樹脂フィルムの汚染や成膜品質の悪化を防止することが可能となる。よって、前記金属化樹脂フィルムにパターニング処理を施して作製されるフレキシブル配線基板の品質や歩留まりの向上に貢献することができる。
本発明の成膜装置の一具体例であるスパッタリングウェブコータの模式的な正面図であり、ロールツーロール方式で搬送される耐熱性樹脂フィルムにスパッタリング成膜を行う様子が示されている。 図1のスパッタリングウェブコータに設けられた防着手段の断面図である。 本発明の金属化樹脂フィルムの製造方法に好適に使用される連続電気めっき装置の一具体例を示す模式的な正面図である。
先ず、図1を参照しながら本発明の成膜装置の一具体例を具体的に説明する。この図1に示す成膜装置50はスパッタリングウェブコータとも称される装置であり、減圧容器内においてロールツーロール方式で連続的に搬送される被成膜物を、保持手段としてのキャンロール56の保持面すなわち外周面に保持した状態で、該被成膜物に向けて成膜手段から放出される成膜粒子を該被成膜物の表面に堆積させて成膜を行うものである。
キャンロール56の内部には図示しない冷却手段が設けられているため、熱負荷のかかる乾式めっき法であっても被成膜物に熱的ダメージを与えることなく連続的に処理することができる。なお、被成膜物にはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムのような樹脂フィルムや、ポリイミドフィルムのような耐熱性樹脂フィルムを使用することができるが、後者の耐熱性樹脂フィルムを使用するのが好ましい。
成膜装置50を構成する各要素について具体的に説明すると、減圧容器としての真空チャンバー51には、図示しないドライポンプ、ターボ分子ポンプ、クライオコイル等の種々の装置が具備されており、これら装置により真空チャンバー51内を到達圧力10−4Pa程度まで減圧した後、スパッタリングガスを導入して0.1〜10Pa程度に圧力調整できるようになっている。スパッタリングガスにはアルゴンなど公知の不活性ガスが使用され、目的に応じて更に酸素などのガスが添加される。真空チャンバー51の形状や材質については、減圧状態に耐え得るものであれば特に限定はなく、種々のものを使用することができる。
ロールツーロール方式の搬送経路のうち、被成膜物である長尺状の耐熱性樹脂フィルムFが巻き出される巻出ロール52からキャンロール56までの搬送経路には、耐熱性樹脂フィルムFを案内するフリーロール53、耐熱性樹脂フィルムFの張力の測定を行う張力センサロール54、および張力センサロール54から送り出される耐熱性樹脂フィルムFをキャンロール56に導入するモータ駆動のフィードロール55がこの順に配置されている。
キャンロール56から耐熱性樹脂フィルムFを巻き取る巻取ロール64までの搬送経路にも、上記と同様に、モータ駆動のフィードロール61、耐熱性樹脂フィルムFの張力測定を行う張力センサロール62、および耐熱性樹脂フィルムFを案内するフリーロール63がこの順に配置されている。
キャンロール56の近傍に設けられたフィードロール55、61では、モータで回転駆動されるキャンロール56の周速度に対する調整が行われている。また、巻出ロール52では、パウダークラッチ等によるトルク制御によって、耐熱性樹脂フィルムFの張力バランスが保たれている。これにより、張力調整されながら巻き出された耐熱性樹脂フィルムFは、キャンロール56に連動して回転するフィードロール55、61によってキャンロール56の外周面に密着した状態で冷却されながら、後述する熱負荷のかかる乾式めっき処理が施された後、モータ駆動の巻取ロール64で巻き取られるようになっている。
キャンロール56の外周面に対向する位置には、耐熱性樹脂フィルムFの搬送経路に沿って、成膜手段である板状のマグネトロンスパッタリングカソード57、58、59、60がこの順に設けられている。これにより、耐熱性樹脂フィルムFの表面に熱負荷のかかる乾式めっき処理であるスパッタリング成膜処理が施される。なお、成膜装置50で施される乾式めっき処理は上記スパッタリング成膜処理に限定されるものではなく、これ以外の例えばCVD(化学蒸着)、イオンプレーティング、真空蒸着などの真空成膜処理であってもよい。これらの場合は、マグネトロンスパッタリングカソード57、58、59、60に代えて所定の真空成膜手段が設けられることになる。
上記した成膜装置50により、耐熱性樹脂フィルムFの少なくとも一方の面に、Cu、Ni、Cr、Fe、Al、Ag等の金属膜やこれらの金属元素を主成分とする合金膜、およびその酸化物、窒化物等の金属化合物膜などを成膜することができる。特に金属化合物膜を成膜する場合には、スパッタリングガスとしてアルゴンなどの不活性ガスに酸素、窒素等を含有させて、得られる膜質の調整が図られる。また、被成膜物である耐熱性樹脂フィルムFは、成膜時にかかる熱負荷に耐えられるものであれば公知の材料を用いることができる。
図2は、図1のマグネトロンスパッタリングカソード57と、これに対向するキャンロール56の一部分を拡大したものであり、マグネトロンスパッタリングカソード57の対向部分に、成膜を要しない領域に成膜粒子が付着するのを防ぐ防着手段70が配されている。なお、図1の成膜装置では1つのマグネトロンスパッタリングカソードに対して1つの防着手段70が設けられており、合計4つの防着手段70が設けられているが、全て同様の構造を有しているので、以下ではマグネトロンスパッタリングカソード57に対向する防着手段70のみについて説明する。
防着手段70は、キャンロール56の外周面に沿うように湾曲したフレーム71を有している。このフレーム71は、キャンロール56の外周面およびマグネトロンスパッタリングカソード57からそれぞれ離間するように取り付けられている。また、フレーム71は、耐熱性樹脂フィルムFの搬送方向における前後両端部の間に、略矩形の開口部71aが設けられており、マグネトロンスパッタリングカソード57においてキャンロール56の対向側に設けたターゲット(図示せず)からたたき出されるスパッタ粒子がこの開口部71aを通り抜けて耐熱性樹脂フィルムFの表面に堆積するようになっている。
この開口部71aの周縁部に沿って、フレーム71にはマグネトロンスパッタリングカソード57側の面に冷却水などの冷媒が流れる冷却配管72が設けられている。これは、耐熱性樹脂フィルムに金属膜を成膜する際に防着手段70にも金属膜が成膜し、その結果、防着手段70も加熱されるため冷却が必要になるからである。冷却配管72は開口部71aの全周に亘って設けてもよいし、図2に示すように、冷却を特に必要とするフレーム71の上記両端部にのみ設けてもよい。
フレーム71の上記両端部において、冷却配管72よりも更に端部側には、それぞれマグネトロンスパッタリングカソード57側に突出する突起部71bが設けられている。そして、これら突起部71bの各々に、成膜を要しない領域にスパッタ粒子が付着するのを防止する防着板73が取り付けられている。各防着板73は、図示しないネジ等の結合手段により着脱自在に突起部71bに取り付けられている。また、各防着板73は、キャンロール56の外周面の幅と略同程度の幅を有し、且つフレーム71の前方または後方端部からマグネトロンスパッタリングカソード57の対応する側部にまで至る長さを有している。
なお、図2に示す具体例では、突起部71bおよび防着板73はフレーム71において耐熱性樹脂フィルムFの搬送方向における両端部にのみ設けられているが、これに限定されるものではなく、マグネトロンスパッタリングカソード57とキャンロール56の外周面との間の空間を四方から取り囲むように、図2の紙面手前側および奥側にも突起部および防着板を設けてもよい。
防着板73は、マグネトロンスパッタリングカソード57とキャンロール56の外周面との間の空間を臨むように設けられている。また、防着板73は、上記の接合手段を除いて突起部71bに接触しないように離間しており、防着板73のフレーム71側の縁部とフレーム71との間にも隙間が設けられている。更に、防着板73のうち、キャンロール56側の端部は、フレーム71の中央部に向かって突出する段差を有しており、この段差部の内側に冷却配管72が収まっている。
これにより、防着板73は、マグネトロンスパッタリングカソード57とキャンロール56側の外周面との間の空間から突起部71bおよび冷却配管72を遮蔽する構成になっている。しかしながら、前述したように、防着板73の縁部とフレーム71との間には僅かながら隙間が存在しており、ここからスパッタ粒子が入り込み、冷却配管72の表面に金属膜を形成したり、突起部71bと防着板73との間の離間部に回り込んで突起部71bに金属膜を形成したりするおそれがある。
上記した防着板73の周りに設けた離間部や隙間は、成膜粒子であるスパッタ粒子が堆積する際の加熱による熱膨張で、防着板73が他の部材と接触し、その摩耗により異物が発生するのを防止する目的で設けられている。しかし、冷却配管72に形成された金属膜は成膜後急冷されるのでクラックが入りやすく、フレーム71の他の箇所に形成された金属膜よりも早期に剥離・脱落を開始することになる。剥離・脱落した金属膜が耐熱性樹脂フィルムやマグネトロンスパッタリングカソードに付着すると成膜品質や歩留りが悪化する問題があり、それを防止するために防着板やフレームの清掃頻度を高めれば生産性を悪化させる問題があった。
そこで、冷却配管72への金属膜の形成を抑えるため、図2に示すように、冷却配管72のうち、マグネトロンスパッタリングカソード57とキャンロール56の外周面との間の空間を臨む部分を当該空間から遮蔽する位置であって、且つ冷却配管72および防着板73から共に離間する位置に邪魔板74を設けている。これにより、冷却配管72の表面に形成する金属膜の量を著しく減少することができる。
なお、この場合は邪魔板74に金属膜が形成されることになるが、冷却配管72とは異なり、邪魔板74に形成された金属膜は急冷されることはないので、この金属膜が剥離・脱落し始めるタイミングは防着手段70の他の箇所の金属膜が剥離・脱落し始めるタイミングとほぼ同じである。従って防着手段70から堆積物が早期に剥離・脱落する問題を抑えることができ、成膜品質や歩留りを向上させることができる。また、防着手段70の清掃頻度を低減することが可能になるので生産性が向上する。
邪魔板74は、隣接する冷却配管72から容易に清掃ができる程度に間隔をあけて設置する。また、邪魔板74は、成膜粒子堆積時の熱膨張を考慮して、防着板73からも間隔をあけて設置する。冷却配管72から剥離・脱落する金属膜は、成膜装置の上側にあるものほど成膜品質や歩留まりに影響しやすいため、保持手段の保持面が非水平方向に設けられている場合は、フレーム71の両端部のうち、少なくとも保持面の上側に対応する端部に設けられた冷却配管72に邪魔板74が配されているようにする。すなわち、図2の場合では、紙面下側の冷却配管72の近傍の邪魔板74は省いてもよい。
上記した防着手段70を備えた成膜装置(スパッタリングウェブコータ)50を用いてロールツーロール方式で搬送される長尺状の被成膜物に金属膜をスパッタリング成膜することによって、シワのない高品質の金属膜付耐熱性樹脂フィルムを作製することができる。例えば、耐熱性樹脂フィルムの表面にNi系合金等からなるシード膜とCu膜とが積層された高品質な金属膜付耐熱性樹脂フィルムを作製することができる。
上記シード層には、NiまたはNi−Cr合金、インコネル、コンスタンタンやモネル等の各種公知の合金を用いることができ、その組成はフレキシブル配線基板の電気絶縁性や耐マイグレーション性等の所望の特性に応じて適宜選択される。スパッタリング成膜で得られるシード層の膜厚は、3〜50nmとするのが好ましい。
このシード層の膜厚が3nm未満では、パターニング処理のエッチングで浸食されてしまい、シード層と耐熱性樹脂フィルム間にエッチング液が染み込んで配線が浮いてしまう場合がある。一方、シード層の膜厚が50nmを超えると、パターニングのエッチングでシード層を完全に除去できず、残渣として配線間に残り絶縁不良を発生させる恐れがある。
シード層の表面に成膜する銅層は、シード層の成膜を行った真空室内で連続して成膜することが好ましく、例えば図1のスパッタリングウェブコータでは、マグネトロンスパッタリングカソード57のターゲットをNi系合金等にし、マグネトロンスパッタリングカソード58〜60のターゲットを銅にすることでNi系合金等からなるシード層とその上の銅層とを連続的に作製することができる。この場合の銅層の膜厚は、10〜300nmであることが好ましい。銅層の膜厚が10nm未満では導電性が低く、電気めっき処理時に十分な給電量を確保できないので好ましくない。一方銅層の膜厚が300nmを超えると、成膜時の生産性が低下するので好ましくない。
スパッタリング成膜で得られる金属膜を更に厚くすることが必要な場合は、湿式めっき法を用いることができる。このように、金属膜を更に積層することで、金属膜付耐熱性樹脂フィルムを金属化樹脂フィルムにすることができる。金属化樹脂フィルムに用いる被成膜物には、ポリイミド系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリテトラフルオロエチレン系フィルム、ポリフェニレンサルファイド系フィルム、ポリエチレンナフタレート系フィルム、液晶ポリマー系フィルム等の耐熱性樹脂フィルムを使用するのが好ましい。これら耐熱性樹脂フィルムは、フレキシブル配線基板としての柔軟性、実用上必要な強度および耐熱性、配線材料として好適な電気絶縁性を有するからである。耐熱性樹脂フィルムの厚さは、8〜75μmが好適である。
なお、湿式めっき法を用いるときは、電気めっき処理のみで金属膜を形成する場合と、一次めっきとしての無電解めっき処理および二次めっきとしての電解めっき処理等のように湿式めっき法を組み合わせて行う場合とがある。湿式めっき処理には、一般的な湿式めっき法を採用することができ、例えば電気めっき処理は、図3に示すような連続電気めっき装置10を用いることができる。
この連続電気めっき装置10は、成膜装置50で作製された金属膜付耐熱性樹脂フィルムF1を巻出す巻出ロール12と、めっき液が満たされためっき液槽11と、めっき液槽11の内部に互いに平行に配置されたアノード(陽極)群14a〜14hと、めっき液槽11の内部にあって金属膜付耐熱性樹脂フィルムF1の搬送方向を上下反転させる浸漬ロール群13a〜13dと、めっき液槽11の外部にあって金属膜付耐熱性樹脂フィルムF1に電力を給電する給電ロール群16a〜16eと、金属膜付耐熱性樹脂フィルムF1に電気めっきを施して得られる金属化樹脂フィルムF2を巻取る巻取ロール15とを備えている。
これら巻出ロール12、浸漬ロール群13a〜13d、給電ロール群16a〜16e、および巻取ロール15により金属膜付長尺樹脂フィルムFの搬送手段が構成されており、これにより金属膜付長尺樹脂フィルムF1をその幅方向を水平に保ったままその長手方向にロールツーロール方式で搬送して、めっき液に複数回浸漬させる。
給電ロールとその近傍に位置するアノードとは電気的な対をなしている。具体的には、給電ロール16aとアノード14a、給電ロール16bとアノード14bおよび14c、給電ロール16cとアノード14dおよび14e、給電ロール16dとアノード14fおよび14g、ならびに給電ロール16eとアノード14hがそれぞれ対をなしている。各対は独立した電源(図示せず)から電力を受けており、且つ別々の電流制御により電位差の最大値が制御されている。
アノード(陽極)群14a〜14hには、電気めっきの銅源として溶解する銅アノードや、銅源を別に用意する不溶性アノードを用いることができる。めっき液槽11に張り込むめっき液には公知の銅めっき液、例えば公知の硫酸銅めっき浴(光沢浴)を用いることができる。この硫酸銅めっき浴は、硫酸銅、硫酸、微量の塩素イオンおよび公知の添加剤等からなり、その組成は目的に応じて適宜選択される。これにより、めっき液中の銅イオンを還元させて金属膜付耐熱性樹脂フィルムF1のシード層の上に所望の厚みの銅膜を積層することができる。
積層する銅層の厚さは、後述するパターニング法に応じて決定する。例えばサブトラクティブ法でパターニングする場合はその厚さを数μm〜12μmとし、セミアディティブ法でパターニングする場合はその厚さを0.5μm〜4μmとするのが一般的である。銅層の厚さが35μmを超えると、ヘヤークラックや反りなどを生じて密着強度が低下する場合があり好ましくない。
このようにして作製した金属化樹脂フィルムに対してサブトラクティブ法あるいはセミアディティブ法でパターニングすることでフレキシブル配線基板を製造することができる。なお、作製したフレキシブル配線基板を複数積層することで、多層フレキシブル配線基板として用いることもできる。
なお、サブトラクティブ法は、一般的に銅層が数μm〜12μmと比較的厚い金属化樹脂フィルムに対して行うパターニング法であり、(1)金属化樹脂フィルムの銅層表面のうち配線を形成したい箇所にレジスト層を設け、(2)露出している不要な銅層とシード層とをエッチングなどで除去し、(3)レジスト層を除去することで配線基板を完成させるものである。
一方、セミアディティブ法は、一般的に銅層が0.5μm〜4μmと比較的薄い金属化樹脂フィルムに対して行うパターニング法であり、(1)金属化樹脂フィルムの銅層表面にレジスト層を形成し、銅層上のうち配線を形成したい箇所にレジスト層の開口部を設け、(2)開口部で露出している銅層を陰極として電気銅めっきして所望の膜厚の配線部を形成し、(3)レジスト層を除去し、(4)フラッシュエッチングなどで配線部以外の前記金属化樹脂フィルム表面の金属膜を除去して配線基板を完成させるものである。
[実施例]
耐熱性樹脂フィルムとして東レ・デュポン社製のポリイミドフィルム150EN−F(厚さ38μm、幅50cm)を使用し、その一方の面に図1に示すような成膜装置50を用いてスパッタリング法でNi−20質量%Cr合金のシード層を膜厚25nmに成膜し、更にシード層の表面に銅層を成膜して金属膜(合計膜厚110nm)を積層した。このようにして、全長160,000mの金属膜付耐熱性樹脂(ポリイミド)フィルムを作製した。
なお、上記成膜処理に際して、あらかじめ成膜装置50には図2に示すような防着手段70を取り付け、冷却配管72に冷却水を流しながらスパッタリング成膜処理を行った。また、成膜開始前にのみ、フレーム71、冷却配管72、防着板73、および邪魔板74に堆積していた金属膜を剥離する清掃を行い、成膜処理中はこれら部材を一度も清掃しなかった。
作製した全長160,000mの金属膜付耐熱性樹脂フィルムの全てに対して、図3に示すような連続電気めっき装置10で銅めっき層の厚みが8μmとなるように銅電気めっきを行い、金属化樹脂フィルムを得た。得られた金属化樹脂フィルムを検査装置で観察し、異物を確認したところ、異物の発生頻度は0.7%であった。ここで異物の発生頻度とは、異物ありと判定して不良とした領域の長さを検査した全長で除した値である。
[比較例]
比較のため、邪魔板74を設けなかったこと以外は上記実施例と同様にしてスパッタリング成膜処理を行い、全長160,000mの金属膜付耐熱性樹脂(ポリイミド)フィルムを作製した後、上記実施例と同様に銅電気めっきを行って金属化樹脂フィルムを得た。なお、上記実施例と同じ条件にするため、成膜開始前にのみフレーム71、冷却配管72および防着板73に堆積していた金属膜を剥離する清掃を行い、成膜処理中はこれらを一度も清掃しなかった。得られた金属化樹脂フィルムを上記実施例と同様に検査装置で観察し、異物を確認したところ、異物の発生頻度は1.7%であった。
10 めっき装置
11 めっき液槽
12 巻出ロール
13a、13b、13c、13d 浸漬ロール
14a、14b、14c、14d、14e、14f、14g、14h アノード(陽極)
15 巻取ロール
16a、16b、16c、16d、16e 給電ロール
50 成膜装置
51 真空チャンバー
52 巻出ロール
53、63 フリーロール
54、62 張力センサロール
55、61 フィードロール
56 キャンロール
57、58、59、60 マグネトロンスパッタリングカソード
64 巻取ロール
70 防着手段
71 フレーム
71a 開口部
71b 突起部
72 冷却配管
73 防着板
74 邪魔板
F 耐熱性樹脂フィルム
F1 金属膜付耐熱性樹脂フィルム
F2 金属化樹脂フィルム

Claims (7)

  1. 減圧容器内において保持手段の保持面で保持された被成膜物に向けて成膜手段から成膜粒子を放出させて成膜を行う成膜装置であって、
    前記成膜装置には、成膜を要しない領域に成膜粒子が付着するのを防ぐ防着手段が配されており、前記防着手段は、前記成膜手段と前記保持手段との間にそれぞれから離間し且つ前記保持面に沿って配されたフレームと、前記フレームの両端部からそれぞれ前記成膜手段の対応する両側部に向けて延在する防着板と、前記フレームの少なくとも一方の端部に設けられた冷却配管とからなり、
    前記フレームの前記両端部の間には前記成膜手段から前記保持手段に向かう成膜粒子が通過する開口部が設けられており、前記防着板は前記フレームに着脱自在に且つ前記フレームから離間して支持されており、前記冷却配管において前記成膜手段と前記保持手段との間の空間を臨む部分を当該空間から遮蔽する位置であって且つ前記冷却配管および防着板から共に離間する位置に邪魔板が設けられていることを特徴とする成膜装置。
  2. 前記保持手段の保持面が非水平方向に設けられており、前記フレームの両端部のうち、少なくとも前記保持面の上側に対応する端部に設けられた冷却配管に前記邪魔板が配されていることを特徴とする、請求項1に記載の成膜装置。
  3. 前記成膜手段が乾式めっき手段であることを特徴とする、請求項1または2に記載の成膜装置。
  4. 前記成膜手段が、スパッタリングカソードであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の成膜装置。
  5. 前記被成膜物は長尺状の耐熱性樹脂フィルムであり、前記保持手段はキャンロールであり、前記耐熱性樹脂フィルムをロールツーロール方式で搬送しながら連続的に成膜することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の成膜装置。
  6. 請求項5に記載の成膜装置を用いて前記耐熱性樹脂フィルムの少なくとも片面に金属膜またはその合金膜もしくは金属化合物膜を形成することを特徴とする成膜方法。
  7. 請求項6に記載の成膜方法を用いて前記耐熱性樹脂フィルムの少なくとも片面にNi系合金膜およびその上のCu膜を成膜し、前記Cu膜の成膜後に湿式めっき法を用いて前記Cu膜の上に更にCu膜を積層することを特徴とする金属化樹脂フィルムの製造方法。
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