JP2011094188A - 真空ロール搬送処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】PVD法やプラズマCVD法などによりシート状の基材表面に皮膜を形成するためのシート成膜装置において、水冷構造による構造複雑化を招来することなく、成膜処理等で生ずる熱による膨張変形での各ロールの平行度の狂いを防止できるようになる。
【解決手段】本発明に係るシート成膜装置は、表面に成膜が行われるシート状の基材が巻き付けられる成膜ロール5と、成膜ロール5が内部に配備された真空チャンバ3とを有すると共に、成膜ロール5の両端を内側壁で支持する一対のベース板22と、少なくとも両側が開口30となっているチャンバ基体20とを有し、一対のベース板22の外側壁が大気開放状態となるように、チャンバ基体20の開口30に一対のベース板22の各々を組み付けることで、真空チャンバ3を構成している。
【選択図】図1

Description

本発明は、真空チャンバ内においてシート状の基材をロール搬送しつつ、当該基材の表面に成膜処理を行う真空ロール搬送処理装置に関する。
近年、食品包装に用いられるプラスチックフィルムに対して、水蒸気や酸素を通さない特性(バリア性)が高く要求されるものとなってきている。そこで、プラスチックフィルムなどの基材に高バリア性を付与するために、透明性のあるSiOx皮膜をコーティングすることがあり、生産性の高いコーティング手法が望まれている。
SiOx皮膜のコーティング技術としては、従来より、真空蒸着法,スパッタ法などの物理蒸着法(PVD法)があり、これらの技術に比して、成膜速度、高バリア皮膜の形成の面で優位な技術であるプラズマCVD法もある。本明細書では、真空チャンバ内においてシート状の基材をロール搬送しつつ、当該基材の表面にPVD法やプラズマCVD法等により成膜処理を行う装置を総じて「真空ロール搬送処理装置」と呼ぶこととする。
このような装置としては、特許文献1や非特許文献1などに開示されたものがある。
特許文献1は、被成膜基材を搬送しながら成膜する装置であって、背面壁とこれに対向配置された正面壁とを上面壁及び下面壁によって連結した固定チャンバ部と、この固定チャンバ部の左右の開口を閉塞する左右の側面壁をそれぞれ有する左右一対の移動チャンバ部とからなる真空チャンバと、前記真空チャンバ内に収容されて回転自在に設けられた成膜ロールと、前記成膜ロールに巻き掛けられた被成膜基材に側方から成膜する側方成膜源と、前記被成膜基材を前記成膜ロールに供給する巻出しロール及び成膜後の被成膜基材を巻き取る巻取りロールとを備え、前記固定チャンバ部に対して前記左右の移動チャンバ部を開閉機構により開閉自在に設け、前記成膜ロール、巻出しロール及び巻取りロールは前記固定チャンバ部の背面壁及び正面壁の壁面に垂直に回転自在に支持され、前記側方成膜源は前記移動チャンバ部に着脱自在に設けられ、前記固定チャンバ部の背面壁及び正面壁は、前記真空チャンバを減圧したとき、背面壁と正面壁が内側に曲がることによって生じるたわみが縦方向の任意位置にて同等となるように設けられた真空ロール搬送処理装置(連続成膜装置)を開示する。なお、この真空チャンバは、周壁相互が溶接により固定されて一体成形されているのが普通であった。
非特許文献1も、真空チャンバ、成膜源、成膜ロール、巻出しロール及び巻取りロールを備えて成る真空ロール搬送処理装置を開示する。非特許文献1に開示された装置は、成膜ロール、巻出しロール及び巻取りロールが、真空チャンバを構成する一側壁と真空チャンバ内に設けられたロール支持体との対向間で、これらに垂直な状態として回転自在に支持されている。そして、この一側壁(すなわち、ロール支持壁)と真空チャンバ内部のロール支持体と両者間で支持される各ロールとは、一体に組み付けられてロールユニットを構成するものとなっている。
このロールユニットは、真空チャンバから各ロールの軸芯に沿った方向に引き出し可能となっている。すなわち、ロールユニットが引き出されたとき、ロール支持壁は真空チャンバから外方へ離れて真空チャンバに開口を形成させることになり、またロール支持体も、この開口内を通り抜けて真空チャンバ外へ出るようになる。
従って、非特許文献1に開示された真空ロール搬送処理装置では、ロールユニットを真空チャンバの外へ引き出した後、真空チャンバの外で、各ロール交換や平行度調整を含めたメンテナンスが行えるものであり、またメンテンナンス後は、ロールユニットを真空チャンバ側へ押し込んで各ロールを真空チャンバ内へ戻すことが可能になっている。
特開2008−31492号公報
Roll-to-Roll Sputter Web Coater,A Status Report,Vacuum Technology&Coating,p56-p65,March 2001.
特許文献1に開示された真空ロール搬送処理装置は、真空チャンバの開口が左右にあるものの、それ以外は外部と連通する開口を大きくとることができず、各ロールを真空チャンバへ組み付ける際も、また外へ取り出す際にも、作業者が真空チャンバ内に入り込み、ロールの支持部分を真空チャンバ内で組み立て・分解すると共に、ロールを左右の開口から搬入・搬出するといった作業性の悪い作業を必要とする。従ってロール表面及びロール周辺を浄化するなどのメンテンナンスは困難且つ面倒なものとなっていた。
これに対し、非特許文献1に開示された真空ロール搬送処理装置では、ロールユニットを真空チャンバの外へ引き出した後、真空チャンバの外で各ロールの平行度調整やロールの交換を含めたメンテナンスが行えるため、特許文献1に開示されたシート成膜装置で生じていた各種の作業の困難性は解決されている。
ところが、非特許文献1に開示された真空ロール搬送処理装置では、ロールユニットを両側から支持するロール支持壁及びロール支持体に関し、ロール支持体は真空チャンバ内に格納されているのに対し、ロール支持壁は、真空チャンバの一側壁を形成するものとなっている。つまり、ロール支持体が真空チャンバの内部に収容され、ロール支持壁は、その一壁面が真空チャンバ内を向き、他壁面が大気に開放(暴露)されている。
そのため、成膜処理中に真空チャンバ内が高温になったとき、一方面だけが加熱され他方面は大気による冷却を受けて昇温化が抑制されるロール支持壁と、加熱されて冷却効果を有しないロール支持体とでは、両者が略同じ形状、厚みであるとしても、熱膨張やひずみ、反り等に差が生じてしまうことになる。
それ故、これをそのまま放置すれば、熱膨張などにより寸法差が発生し、各ロールの平行度などに狂いが生じることになり、ひいては、シートの異常搬送、不均一な成膜、頻繁なメンテナンス等が生じる難点があった。なお、一方のロール支持壁に水冷構造を装備する対策も取られているが、構造複雑化や冷却水の漏れのリスクも増えるなど、別の問題をも招来する可能性がある。
そこで、本発明は、上記問題点を鑑み、水冷構造による構造複雑化を招来することなく、各ロールの平行度などに狂いが生じることを防止できるようにした真空ロール搬送処理装置を提供することを目的とする。また本発明は、各ロールや各ロール周辺部の浄化などに関してメンテナンスが必要となった場合には簡単且つ迅速なメンテナンスが行えるようにした真空ロール搬送処理装置を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、従来は狭いチャンバ内で1軸ずつ行っていたため、効率が悪く時間を要した「ロールの平行度調整」に関し、係る調整をより効率的に行うことができる真空ロール搬送処理装置を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明に係る真空ロール搬送処理装置は、表面に成膜が行われるシート状の基材がロール搬送されつつ処理される真空チャンバを有するものであって、前記真空チャンバは、基材を搬送するロールの両端を真空側となる内側壁で支持すると共に外側壁が大気開放状態となる一対のベース板と、少なくとも両側が開口となっているチャンバ基体と、を有し、前記チャンバ基体の開口に前記一対のベース板の各々を組み付けることで、前記真空チャンバが構成されていることを特徴とする。
この真空ロール搬送処理装置によれば、ロールの両端を支持する一対のベース板が、それらの外側壁を大気に開放させた構成であるので、いずれのベース板も、成膜処理中に真空チャンバ内側が高温になったときでも大気側は大気による冷却を受けて昇温化が略同等に抑制されることになる。そのため、これら一対のベース板は、熱膨張が生じ難いものであり、また真空変形等に対しても両ベース板相互間では同程度の発生状況となって対象変形で平行度に差が生じ難くなっている。従って、各ロール間の平行度などに狂いが生じることを原因とした基材搬送(フィルム搬送)のトラブルを防止できる。
言うまでもなく、いずれのベース板に対しても、わざわざ水冷構造を装備させる必要はなく、構造複雑化を招来することもない。
加えて、対向するベース板に関して、ロールを支持する位置は、機械加工で形成されるため加工精度は十分にあり(精度よく位置決めされており)、対向するベース板全体で平行度(レベルと回転との合わせ込み)を調整して組み付けることで、ロール1本1本を調整する必要なく、ロール間平行度は容易に維持できるようになる。そのため、組み付け作業の効率は大幅に向上する。
さらに、前記ベース板とこのベース板で支持されるロールとが一体に組み付けられてなるロールユニットを有し、前記ロールユニットが、前記チャンバ基体からロールの軸芯に沿った方向に引き出し及び押し戻し可能となっている構成の装置においては、以下のような作用効果を奏する。
この構成によれば、ロールユニットをチャンバ基体からロール軸心に沿って外方へ引き出した後、真空チャンバの外で各ロールの浄化やロール周辺部の交換・清掃といったメンテナンスが行える。またメンテナンス後は、ロールユニットを真空チャンバ側へ押し込んでロールを真空チャンバ内へ戻すことができるようになる。このように簡単且つ迅速にメンテナンスが行える。
また、前記チャンバ基体に対するベース板の上下方向及び/又は左右方向の位置調整を可能とする位置調整機構が設けられている。
この構成によれば、ロールの平行度調整が更に容易且つ高精度に行える。
また、チャンバ基体とベース板とが接する面であって前記位置調整機構により互いが摺動する面には、真空チャンバ内の真空度を維持するためのシール機構が非配備とされている。
すなわち、チャンバ基体とベース板とが接する面にシール機構(例えばOリングなど)が配備されていると、このシール機構がベース板の位置調節(チャンバ基体に対する摺動)時に摩擦抵抗となるため、このようなシール機構は設けないようにする。このようにすることで、ベース板の滑らかな移動が可能となり、位置調節が一層容易となる。
上記構成の場合、前記位置調整機構によるベース板の位置調整後に、真空チャンバ内の真空度を維持するためのシール機構が取り付け可能とされていると好ましく、それにより、真空チャンバの真空度を確実に確保することが容易となる。
本発明に係る真空ロール搬送処理装置では、水冷構造による構造複雑化を招来することなく、各ロールの平行度などに狂いが生じることを防止できる。また、各ロールや各ロール周辺部の浄化などに関してメンテナンスが必要となった場合には簡単且つ迅速なメンテナンスが行えるようになる。さらに、機械加工精度が確保されたベース板を全体として平行度調整することで、各ロールを1本1本平行度調整する必要がなく、調整作業の大幅な効率向上が図れる。
真空ロール搬送処理装置の第1実施形態を模式的に示した図であって、(a)は平面図であり、(b)は(a)のA−A線断面図であり、(c)は(a)のB−B線断面図である。 真空ロール搬送処理装置の第2実施形態を模式的に示した図である。 真空ロール搬送処理装置の第3実施形態を模式的に示した図であって、(a)は側面図であり、(b)は(a)のC−C線断面図である。 真空ロール搬送処理装置の第4実施形態を模式的に示した図であって、(a)は側面図であり、(b)は(a)のD−D線矢視図である。 第4実施形態の真空ロール搬送処理装置をタンデム連結させた例を模式的に示した平面図である。 真空ロール搬送処理装置の第5実施形態を模式的に示した断面側面図である。
以下、本発明の実施形態を、図を基に説明する。
なお、以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
[第1実施形態]
図1(a)〜図1(c)は、本発明の第1実施形態に係る真空ロール搬送処理装置1の真空チャンバ構造を示している。
なお、第1実施形態に関する以下の説明では、便宜上、図1(c)の左右方向を真空ロール搬送処理装置1の前後方向(図の右側が前、図の左側が後)と呼び、図1(b)の左右方向を真空ロール搬送処理装置1の左右方向と呼び、また図1(b)及び(c)の上下方向を真空ロール搬送処理装置1の上下方向と呼ぶ。なお、この前後、左右、上下の表記は説明のために便宜的に付したものであって、絶対的なものではない。
真空ロール搬送処理装置1は、架台2の上部に箱形の真空チャンバ3が載設されて、この真空チャンバ3の内部でPVD法(スパッタ成膜)を実施できるように構成してあり、真空チャンバ3内へシート状の基材Wを収容したうえで巻き出しと巻き取りとを同時に行わせるようにすることで、この基材Wの表面に成膜を施すものとしてある。
真空チャンバ3内には、その左右方向の中心位置に、軸心を前後方向へ向けた成膜ロール5が配置され、またこの成膜ロール5の左側上方域及び右側上方域に、ロードセルロール6,7(張力測定用ロール)、フリーロール8A,8B、巻出しロール10(巻出しボビン)、巻取りロール11(巻取りボビン)が、それぞれ左右対称配置となるように配置されている。
基材Wは、初期は巻出しロール10として巻回状態で装填され、巻き出しながら入側フリーロール8A,8Bへと架け渡し、更に入側ロードセルロール6を経て成膜ロール5に巻き付けた後、出側ロードセルロール7、出側フリーロール8B,8Aを経て巻取りロール11で巻き取るように架け渡される。基材Wには、この架け渡し状態の途中であって、成膜ロール5に巻き付けられた状態で成膜が行われる。
架台2には真空チャンバ3内に連通するアダプタチャンバ15が設けられており、このアダプタチャンバ15には前後両側から対向状にゲート弁16を介して真空ポンプ17(ターボ分子ポンプ)が取り付けられている。真空チャンバ3内でスパッタなどを実施する際には、ゲート弁16を開弁させたうえでこの真空ポンプ17を作動させ、真空チャンバ3内の真空排気を行うようにする。
真空チャンバ3は、チャンバ基体20と、前後一対のベース板22と、左右一対のサイドドア23とを有して箱形に形成されている。
チャンバ基体20は、前後方向及び左右方向にそれぞれ所定間隔をおいて立設された隅柱24と、これら隅柱24の上端部相互間を連結するように設けられた天蓋板25と、これら隅柱24の下端部相互間を連結するように設けられた床基板26とから構成される。そして隅柱24の下端部及び床基板26を介して、架台2と連結固定されるようになっている。このようなことから、このチャンバ基体20にはその前後両側に開口30が形成され、また左右両側にも開口31が形成される構造となっている。
前後両側の開口30は、互いに同じ開口大きさ(真空チャンバ3内の真空環境に曝される開口面積が略同じ)で且つ同じ開口形状を有して形成されている。左右両側の開口31についても、互いに同じ開口大きさで且つ同じ開口形状に形成しておくのが好ましい。
ベース板22は、チャンバ基体20における前後両側の開口30に対して、それらを閉鎖する状態に、各隅柱24の外側面、天蓋板25の外側面及び床基板26の外側面に対してOリング等のシール機構を介して組み付けられている。これによって両ベース板22,22は、いずれもその外側壁が大気に対して開放状態に保持される(曝される)ようになっている。これらベース板22は、互いに同一材質とされ、また板厚及び板の大きさが同じとされている。
図1に示すように、一対のベース板22,22は、上下方向に所定間隔をおいて3本、左右方向に所定間隔をおいて2列に配列された合計4本の連結ロッド35で連結されている。また各ベース板22は、その下端部を連結金具(図示略)により架台2と連結してあるが、この連結部分ではシムの介設やボルト締結度などを調整することにより水平度・垂直度が得られるようにしてあり、その上で、その状態を保持するようにして床基板26との本締め(連結固定)をしてある。それらの結果として、両ベース板22は相対的な平行が得られている。
このようなベース板22の内側壁に対し、成膜ロール5をはじめとする各ロール(ロードセルロール6,7、フリーロール8A,8B、巻出しロール10及び巻取りロール11)は、回転自在に両持ち支持されている。ベース板22の内側壁に対する各ロールの位置や水平度・垂直度は、所定の精度を満たすように機械加工されている。そのため、一対のベース板22,22を全体として水平度・垂直度を正確に調整することで、各ロール相互の平行度は確実に保持される。これにより、平行度調整作業は大幅に効率向上する。
一方のベース板22に対して、成膜ロール5の回転軸や巻出しロール10及び巻取りロール11の回転軸が真空チャンバ3外へ貫通して設けられ、外側に設けられた回転駆動用のモータ27,28に連結されている。これらモータ27,28は、作動時間にしたがって徐々にボビン径(巻径)が径小化する巻出しロール10による基材Wの巻出速度と、成膜ロール5に巻掛けられた基材Wの周速と、徐々にボビン径(巻径)が径大化する巻取りロール11による基材Wの巻取速度とを、それぞれ同調させつつ一定となるように制御される。
サイドドア23は、チャンバ基体20における左右両側の開口31に対して、それらを閉鎖する状態に、各隅柱24の外側面、天蓋板25の外側面及び床基板26の外側面に対してOリング等のシール機構を介して組み付けられている。これらサイドドア23には、成膜ロール5を左右両側から挟んで対峙するような配置で一対のスパッタ源37が設けられ、また入側フリーロール8に架け渡される基材Wに対向する配置で前処理源38が設けられている。また、巻取りロール11に対向する配置で覗き窓39が設けられている。
これら両サイドドア23は、前側又は後側の隅柱24との間に設けたヒンジ40により、このヒンジ40とは前後方向で反対側となる端辺側を人手操作によって揺動開閉させることができるようになっている。これにより、スパッタ源37のメンテナンス、真空チャンバ3内への基材Wの装填や取り出し、或いは基材Wの架け渡しなどを容易に行えるようになっている。
以上詳説したところから明らかなように、このような構成の真空チャンバ3であると、成膜ロール5の両端を支持する一対のベース板22が、それらの外側壁を大気に開放させているので、いずれのベース板22も、成膜処理中に真空チャンバ3内が高温になったときでも大気による冷却を受けて昇温化が略同等に抑制されることになる。
そのため、これら一対のベース板22は、熱膨張が生じ難いものであり、また仮に熱膨張が生じたとしても両ベース板22相互間では同程度の発生状況となって差が生じ難くなっている。従って、成膜ロール5と他のロール(ロードセルロール6,7、フリーロール8A,8B、巻出しロール10及び巻取りロール11)との平行度が維持できるようになる。
言うまでもなく、両ベース板22には、従来において必要とされていた水冷構造を装備させる必要はなく、構造複雑化を招来することもない。さらに、対向するベース板に関して、ロールを支持する位置は、機械加工で形成されるため加工精度は十分にあり(精度よく位置決めされており)、対向するベース板全体で平行度(レベルと回転との合わせ込み)を調整して組み付けることで、ロール1本1本を調整する必要なく、ロール間平行度は容易に維持できるようになる。そのため、組み付け作業の効率は大幅に向上する。
[第2実施形態]
図2は、本発明の第2実施形態に係る真空ロール搬送処理装置1の真空チャンバ構造を示している。
なお、第2実施形態に関する以下の説明では、便宜上、図2の左右方向を真空ロール搬送処理装置1の前後方向(図の右側が前、図の左側が後)と呼び、図2の紙面貫通方向を真空ロール搬送処理装置1の左右方向と呼び、図2の上下方向を真空ロール搬送処理装置1の上下方向と呼ぶ。
第2実施形態の真空チャンバ構造が第1実施形態と最も異なるところは、一対のベース板22が、それらの相互間で成膜ロール5などを両端支持した状態としてロールユニット50を形成したものとされており、このロールユニット50が、真空チャンバ3(チャンバ基体20)に対して成膜ロール5の軸芯に沿いつつ前方に引き出し可能になっている点にある。
ロールユニット50の一対のベース板22の相互間に対し、成膜ロール5の他にもロードセルロール6,7、フリーロール8A,8B、巻出しロール10及び巻取りロール11などが両端支持されている点や、両ベース板22が合計4本の連結ロッド35により連結されている点、成膜ロール5や巻出しロール10及び巻取りロール11を回転駆動するモータ27,28が前部側のベース板22の外側に設けられている点などは、第1実施形態で説明したものと略同様である。
ただ、第1実施形態では架台2の内部にゲート弁16や真空ポンプ17が設けられたものとしていたが、第2実施形態では、成膜ロール5の軸心に対応させた配置で前後のベース板22に対してゲート弁16や真空ポンプ17が設けられている。
そのうえで、前部側のベース板22は後部側のベース板22に近い面積ながら小型化されて、チャンバ基体20の天蓋板25と床基板26との上下間、及び隅柱24の左右間に収容される大きさに形成されている。また両ベース板22を連結している連結ロッド35のうち、最も下方側に配置された連結ロッド35には、床基板26上を転動可能な移動コロ51が設けられている。
一方、チャンバ基体20を支持している架台2は、チャンバ基体20の床基板26から前方へ所定距離だけ離れた配置で、床基板26よりも一段低いテーブル台52を有したものとされている。これら床基板26とテーブル台52との間には昇降台53が設けられ、この昇降台53が、床基板26の上面レベルに一致する上昇位置と、前部側のベース板22に接触干渉しないようになる下降位置との上下間を昇降駆動装置54によって昇降可能になっている。
そして、後部側のベース板22には、その後面下部に後方突出状の台車枠55が設けられ、この台車枠55を介してテーブル台52上を転動可能にする移動コロ56が設けられている。
真空チャンバ3において、チャンバ基体20の前部側には、天蓋板25の前辺部、床基板26の前辺部及びこれら両前辺部を上下連結する隅柱24の後面に対してOリング等のシール機構を介する状態で枠板57が組み付けられており、この枠板57の枠内で前部側の開口30が形成されるようになっている。
このような枠板57に対し、ユニット化されたうちの前部側のベース板22が、その内側面から前部側の開口30を閉鎖するようにして当接されるようになっている。すなわち、この前部側のベース板22は、枠板57の枠内で形成される開口30を通じて大気に開放される状態となる。なお、この前部側のベース板22には、枠板57に当接したときのシール性を確保するために、外側壁に溝加工がされて、Oリング等のシール機構が嵌合装着されている。
以上詳説したところから明らかなように、このような構成を具備して成る第2実施形態の真空チャンバ3であっても、両ベース板22がそれらの外側壁を大気に開放させて冷却作用を受けるものであり、真空チャンバ3内が高温になったときでも、成膜ロール5と他のロールとの平行度に狂いが生じることを防止できるようになる。
これに加え、第2実施形態では、ベース板22の内側壁に対する各ロールの位置や水平度・垂直度は、所定の精度を満たすように機械加工されている。そのため、ロールユニット50自体において、一対のベース板22,22を全体として水平度・垂直度ならびに各ロールの平行度は非常に正確、確実に維持されるものとなっている。これにより、平行度調整作業は大幅に効率向上する。
このロールユニット50は、必要に応じ、チャンバ基体20からロール軸心に沿って外方へ引き出すことができる。この引き出しは、作業者が手作業で行ってもよいものであるし、又は適宜駆動装置によって機械的に行ってもよいものである。
なお、ロールユニット50を引き出すに際しては、当初、昇降台53を下降させて後部側のベース板22と衝突干渉しないようにしておく。そして、ロールユニット50の引き出し開始後、後部側のベース板22が昇降台53上を通り過ぎた後に、昇降駆動装置54を上昇方向に作動させ、昇降台53の上面を床基板26の上面レベルに一致させるようにする。これにより、連結ロッド35に設けられた前部側の移動コロ51が、床基板26から昇降台53上へ乗り移りできるようにする。
このようにして、ロールユニット50の引き出し後、真空チャンバ3の外で成膜ロール5と他のロールとの平行度調整や、各ロールの浄化、ロール周辺部の清掃などに関するメンテナンスが行えるものとなる。またメンテナンス後は、ロールユニット50を真空チャンバ3側へ押し込み、またその途中で昇降台53を下降させるようにして、成膜ロール5を真空チャンバ3内へ戻すことができる。つまり、ロールユニット50の引き出し・押し戻し機構により、簡単且つ迅速に各ロールに対するメンテナンスが行える。
なお、その他の構成及び作用効果については、第1実施形態と略同様であり、ここでの詳説は省略する。
[第3実施形態]
図3(a)及び図3(b)は、本発明の第3実施形態に係る真空ロール搬送処理装置1の真空チャンバ構造を示している。
なお、第3実施形態に関する以下の説明では、便宜上、図3(a)の左右方向を真空ロール搬送処理装置1の前後方向(図の右側が前、図の左側が後)と呼び、図3(a)の紙面貫通方向を真空ロール搬送処理装置1の左右方向と呼び、また図3(a)の上下方向を真空ロール搬送処理装置1の上下方向と呼ぶ。
第3実施形態の真空ロール搬送処理装置1は、架台2の上部に箱形の真空チャンバ3が載設されて、この真空チャンバ3の内部でプラズマCVD法を実施できるように構成してある。
プラズマCVD法を実施する第3実施形態では、軸心を前後方向へ向けた成膜ロール5が左右対称配置で2本、平行配置されており、これら成膜ロール5に対して交流又は極性反転を伴うパルス電圧が印加され、成膜ロール5が電極ロールとされている。そして、これら成膜ロール5,5の対向空間でグロー放電を発生させて、各成膜ロール5巻き掛けた基材WにプラズマCVD法による成膜を行わせる。
真空チャンバ3は、前後両側に開口30が設けられたチャンバ基体20と、この前後の開口30を閉鎖する状態でチャンバ基体20に組み付けられた前後一対のベース板22とを有して箱形に形成されている。そのため両ベース板22は、いずれもその外側壁が大気に対して開放状態に保持される(曝される)ようになっている。
また、このようなベース板22の内側壁に対し、成膜ロール5が回転自在に両持ち支持され、互いの平行度が確実に保持されるようになっている。
これらの点は、PVD法とプラズマCVD法との違いがあったとしても、前述した第2実施形態と共通する構成を具備したものに他ならない。それ故、第3実施形態も、成膜ロール5の両端を支持する一対のベース板22がそれらの外側壁を大気に開放させていることを理由として、大気による冷却を受けて昇温化が略同等に抑制され、熱膨張の防止乃至は抑制が図られ、その結果、両成膜ロール5の平行度の狂いが防止される。
なお、第3実施形態でも、両ベース板22は、それらの相互間で成膜ロール5を両端支持した状態としてロールユニット50を形成したものとされている。そして、このロールユニット50には、チャンバ内配置の移動コロ51やチャンバ後方配置の移動コロ56が設けられており、真空チャンバ3(チャンバ基体20)に対して成膜ロール5の軸芯に沿いつつ後方に引き出し可能になっている。故に、第2実施形態と同様に、ロールユニット50の引き出し後に、真空チャンバ3の外で両成膜ロール5に対する各種メンテナンスが簡単且つ迅速に行えるという利点をも奏する。
また、第3実施形態では、架台2に対し、真空チャンバ3内に連通するアダプタチャンバ15が設けられ、このアダプタチャンバ15に対して真空ポンプ17が取り付けられているものとしてある。この点は、第1実施形態と同じ構成としてある。
その他、第3実施形態において、チャンバ基体20は、天蓋板25に天窓59が設けられ、この天窓59を閉鎖する蓋60が、天蓋板25に対して着脱自在又は開閉自在に設けられた構造となっている。従って、必要に応じて天窓59を開放状態にできるものであり、この上部開放状態にて、基材Wの架け渡しや真空チャンバ3内のメンテナンスを行えるようにもなっている。これに加え、本実施形態でも、ベース板22の内側壁に対する各ロールの位置や水平度・垂直度は、所定の精度を満たすように機械加工されている。そのため、ロールユニット50自体において、一対のベース板22,22を全体として水平度・垂直度ならびに各ロールの平行度は非常に正確、確実に維持されるものとなっている。これにより、平行度調整作業は大幅に効率向上する。
[第4実施形態]
図4(a)及び図4(b)は、本発明の第4実施形態に係る真空ロール搬送処理装置1の真空チャンバ構造を示している。
なお、第4実施形態に関する以下の説明では、便宜上、図4(a)の左右方向を真空ロール搬送処理装置1の前後方向(図の右側が前、図の左側が後)と呼び、図4(a)の紙面貫通方向を真空ロール搬送処理装置1の左右方向と呼び、また図4(a)の上下方向を真空ロール搬送処理装置1の上下方向と呼ぶ。また図4(b)では枠板57を二点鎖線で付記してある。
第4実施形態の真空チャンバ構造が第1実施形態と異なるところは、一対のベース板22を連結ロッド35で連結せずに、剛性を有するチャンバ基体20の外側から組み付けることで、真空チャンバ3を構成している点にある。この方式によれば、連結ロッド35が不要となり真空チャンバ3内のスペースを広く有効に活用することができる。
詳しくは、真空ロール搬送処理装置1は、架台2の上部に箱形の真空チャンバ3が載設されて、第3実施形態と同様に、真空チャンバ3の内部でプラズマCVD法を実施できるように構成してある。そのため、真空チャンバ3内には、電極ロールとしての成膜ロール5及び他のロールがそれぞれ軸心を前後方向へ向けて平行配置されている。
前後一対のベース板22に関しては、チャンバ基体20を構成する天蓋板25や床基板26に対し、それらの前後両外方側から組み付けられる構成となっており、真空チャンバ3に対してユニットごと出し入れできるような構造は採用していない。そして、これら両ベース板22に覆い被さるようにして(挟みつけるようにして)、天蓋板25及び床基板26に対して前後一対の枠板57が取り付けられている。
枠板57の外周縁部は、ベース板22を額縁状に取り囲んだ状態で天蓋板25及び床基板26に当接するようになっている。すなわち、枠板57は、板面内方にベース板22の板厚を吸収可能な凹部スペースが形成されたものとなっており、その外周縁部の断面形状はL型断面を呈している。
枠板57の内壁側に形成された凹部スペースは、ベース板22の板面大きさに対して一回り大きなもの(広いもの)とされている。さらに、この枠板57の凹部スペース内にあって、ベース板22の上下及び左右方向の位置移動を可能にしている。
ベース板22は、天蓋板25と床基板26との上下間に形成される空間(成膜空間)を閉鎖する状態で組み付けられてはいるが、ベース板22と天蓋板25との当接間、及びベース板22と床基板26との当接間にシール機構は介設されていない。すなわち、天蓋板25と床基板26との上下間に形成される成膜空間に対し、このベース板22による閉鎖自体では、真空環境を保持する高シール性は確保されていない。
これに対し、枠板57の外周縁部と天蓋板25との当接間、及び枠板57と床基板26との当接間にはOリングなどのシール機構が介設されている。また、ベース板22の外側壁に対して枠板57の凹部スペース内面が当接する部分には、枠板57の枠開口57aを全周的に取り囲む状態でOリングなどのシール機構が介設されている。このシール機構により、成膜空間の高真空を保つことができるようになる。
ここにおいて、この枠板57の枠開口57aは、前後の両ベース板22に対してそれらの外側壁を大気に開放させるための開口30となっている。それ故、プラズマCVD成膜時においてベース板22に熱が加わったとしても、大気による冷却を受けて昇温化が略同等に抑制され、熱膨張の防止が図られる。その結果、成膜ロール5や他のロールの平行度などに狂いが生じることを防止できる。
ところで、ベース板22の上辺部及び下辺部には、上下方向に長い切欠(上下方向を向く長孔)によって形成されたボルト通孔が設けられており、これらボルト通孔を貫通させた組み付けボルト65により天蓋板25や床基板26への組み付けが行われている。また、ベース板22の上辺部及び下辺部には、これらボルト通孔とは別の位置に、上方又は下方に開放された方形状切欠66が設けられている。方形状切欠66はボルト通孔より幅広に形成されている。
ベース板22の上辺部に形成された方形状切欠66の切欠内辺部、及びベース板22の下辺部に形成された方形状切欠66の切欠内辺部は、それぞれ、左右方向で略水平に形成されている。
これに対し、天蓋板25及び床基板26には、ベース板22の上下の方形状切欠66にそれぞれ対応する配置(切欠66内に収容される配置)で、六角ボルト又は六角孔付きボルトを上下方向に螺進可能な状態に保持させたネジ送り機構67が設けられている。
ベース板22の上辺部に形成された方形状切欠66に対して収容配置されたネジ送り機構67は、ネジ頭部を上方へ向け、ネジ先端を切欠66の内辺部へ当接させている。また、ベース板22の下辺部に形成された方形状切欠66に対して収容配置されたネジ送り機構67は、ネジ頭部を下方へ向け、ネジ先端を切欠66の内辺部へ当接させている。
従って、チャンバ基体20に対し枠板57を取り付ける前に、天蓋板25及び床基板26にベース板22を固定している全ての組み付けボルト65を弛緩させ、そのうえで上辺側のネジ送り機構67を緩め、その緩めた量に相当させて下辺側のネジ送り機構67を締め込むようにすれば、ベース板22を上方へ調整移動させることができる。
当然に、下辺側のネジ送り機構67を緩め、その緩めた量に相当させて上辺側のネジ送り機構67を締め込むようにすれば、ベース板22を下方へ調整移動させることもできる。以上の構成により、チャンバ基体20に対するベース板22の上下方向の位置調整を可能とする上下の位置調整機構70が形成されている。
同様に、ベース板22の左辺部及び右辺部には、左右方向に長い切欠(左右方向を向く長孔)によって形成されたボルト通孔が設けられており、これらボルト通孔を貫通させた組み付けボルト72により天蓋板25や床基板26への組み付けが行われている。また、ベース板22の左辺部及び右辺部には、これらボルト通孔とは別の位置に、左方又は右方に開放された方形状切欠73が設けられている。方形状切欠73はボルト通孔より幅広に形成されている。
ベース板22の左辺部に形成された方形状切欠73の切欠内辺部、及びベース板22の右辺部に形成された方形状切欠73の切欠内辺部は、それぞれ、上下方向で略垂直に形成されている。
これに対し、天蓋板25及び床基板26には、ベース板22の左右の方形状切欠73にそれぞれ対応する配置(切欠内に収容される配置)で、六角ボルト又は六角孔付きボルトを左右方向に螺進可能な状態に保持させたネジ送り機構74が設けられている。
ベース板22の左辺部に形成された方形状切欠73に対して収容配置されたネジ送り機構74は、ネジ頭部を左方へ向け、ネジ先端を切欠73の内辺部へ当接させている。また、ベース板22の右辺部に形成された方形状切欠73に対して収容配置されたネジ送り機構74は、ネジ頭部を右方へ向け、ネジ先端を切欠73の内辺部へ当接させている。
従って、左辺側のネジ送り機構74を緩め、その緩めた量に相当させて右辺側のネジ送り機構74を締め込むようにすれば、ベース板22を左方へ調整移動させることができる。
当然に、右辺側のネジ送り機構74を緩め、その緩めた量に相当させて左辺側のネジ送り機構74を締め込むようにすれば、ベース板22を右方へ調整移動させることもできる。以上の構成により、チャンバ基体20に対するベース板22の左右方向の位置調整を可能とする左右の位置調整機構75が形成される。
上記した上下の位置調整機構70や左右の位置調整機構75を設けることで、両成膜ロール5の平行度調整が更に一層、容易且つ高精度に行えるものとなる。
なお、前記したようにベース板22と天蓋板25との当接間、及びベース板22と床基板26との当接間にシール機構は介設されていない。すなわち、チャンバ基体20とベース板22とが接する面にはシール機構が非配備となっている。Oリングなどから構成されるシール機構は、シールが潰れた状態では潰し力による抑えが効き、移動に対して大きな摩擦力を発生させる。したがって、シール機構が配備されていない場合、枠板57が取り付けられる前の状況下において、上下の位置調整機構70や左右の位置調整機構75を操作するに際し、ベース板22の位置調節(チャンバ基体20に対する摺動)に無用な摩擦抵抗が生じることはなく、ベース板22の滑らかな移動が可能となって位置調節が容易となる利点がある。
なお、枠板57の内側面であって天蓋板25と当接する面には、真空チャンバ3内の真空度を維持するためのシール機構が介設されていている。ゆえに、摩擦抵抗がなく操作性のよい状態での精度の高い位置調整を位置調整機構70,75により行い、ベース板22へ取り付けた後に枠板57を取り付けることで、真空チャンバ3内の真空度を維持するためのシール機構は、調整移動によるOリングの捻れなどの問題もなく配備され、真空チャンバ3の真空度が確実に確保できるものとなる。加えて、ベース板22の高精度な位置調整による高いロール間平行度も形成・維持できる。
さらに、図5に示すように、本実施形態の真空チャンバ3を、チャンバ基体20の左右両側(図5の上下両側)を開放させた状態にし、その開放された口を互いに連結することで、連続して配備することもできる。互いに隣り合う真空チャンバ3は、対面する隅柱24同士をボルト締結することで連結される。連結された真空チャンバ3の上下流側(左右両側)には、巻出側の付属チャンバ79と巻取側の付属チャンバ80とが連結されている。
このように複数の真空チャンバ3を連続的に設けることで、基材Wに対し、多層の成膜を行うことができる。また、本実施形態の位置調整機構70を用いることで、タンデム状に配備された真空チャンバ3間における各ロールの平行度を高精度に保つことができるようになる。これに加え、本実施形態でも、ベース板22の内側壁に対する各ロールの位置や水平度・垂直度は、所定の精度を満たすように機械加工されている。そのため、ロールユニット50自体において、一対のベース板22,22を全体として水平度・垂直度ならびに各ロールの平行度は非常に正確、確実に維持されるものとなっている。これにより、平行度調整作業は大幅に効率向上する。
[第5実施形態]
図6(a)及び図6(b)は、第4実施形態(図4参照)に対応する変形例を第5実施形態として示している。
第5実施形態においても、ベース板22は、位置調整機構70,75により平行度などを調整可能となっており、さらには、架台2を上下に貫通するように設けられたボルト機構で形成された位置調整機構76によっても位置調整が可能となっている。また、ベース板22と天蓋板25側との当接間、及びベース板22と床基板26側との当接間にシール機構は介設されていない。そのため、位置調整機構70,75,76を操作するに際し摺動による無用な摩擦抵抗が生じることはなく、ベース板22の滑らかな移動が可能となって位置調節が一層容易となる。
しかしながら、このままでは真空チャンバ3の気密性を確保できないため、以下の構成が採用されている。
図6(a)に示した形態では、チャンバ基体20の天蓋板25及び床基板26に対してチャンバ基体20側に内周方向へ張り出す内フランジ枠89が取り付けてある。天蓋板25及び床基板26と内フランジ枠89との当接面間にはシール機構が設けられている。
この内フランジ枠89とベース板22とも当接するが、前述のごとく、当接面には、シール機構は配備されていない。そこでシール機構を確保すべく、内フランジ枠89のチャンバ内側から、断面視L字型の枠板57を組み付けるようにしている。枠板57と内フランジ枠89との当接面、及び枠板57とベース板22との当接面にはシール機構が設けられているために、真空チャンバ3の気密性は確実に確保できるようになっている。
なお、枠板57は、ベース板22の位置調整が実施された後に組み付けることが好ましい。
図6(b)に示した形態は、チャンバ基体20の天蓋板25及び床基板26に対してチャンバ基体20側に外周方向へ張り出す外フランジ枠90が取り付けてある。この外フランジ枠90とベース板22とが当接するが、前述のごとく、当接面には、シール機構は配備されていない。そこでシール機構を確保すべく、外フランジ枠90の外側を囲うような断面視L字型の枠板57を組み付けるようにしている。枠板57と内フランジ枠89との当接面、及び枠板57とベース板22との当接面にはシール機構が設けられているために、真空チャンバ3の気密性は確実に確保できるようになっている。
図6(b)の枠板57は、外フランジ枠90の外側を囲う、すなわち真空チャンバ3の外側から取り付け可能なものであるため、その組み付け作業が非常に簡便に行えるという利点がある。
ところで、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 シート成膜装置
3 真空チャンバ
5 成膜ロール
20 チャンバ基体
22 ベース板
30 開口
50 ロールユニット
70 上下方向の位置調整機構
75 左右方向の位置調整機構
W 基材

Claims (5)

  1. 表面に成膜が行われるシート状の基材がロール搬送されつつ処理される真空チャンバを有する真空ロール搬送処理装置において、
    前記真空チャンバは、基材を搬送するロールの両端を真空側となる内側壁で支持すると共に外側壁が大気開放状態となる一対のベース板と、少なくとも両側が開口となっているチャンバ基体と、を有し、
    前記チャンバ基体の開口に前記一対のベース板の各々を組み付けることで、前記真空チャンバが構成されていることを特徴とする真空ロール搬送処理装置。
  2. 前記ベース板とこのベース板で支持されるロールとが一体に組み付けられてなるロールユニットを有し、
    前記ロールユニットが、前記チャンバ基体からロールの軸芯に沿った方向に引き出し及び押し戻し可能となっていることを特徴とする請求項1に記載の真空ロール搬送処理装置。
  3. 前記チャンバ基体に対するベース板の上下方向及び/又は左右方向の位置調整を可能とする位置調整機構が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の真空ロール搬送処理装置。
  4. チャンバ基体とベース板とが接する面であって前記位置調整機構により互いが摺動する面には、真空チャンバ内の真空度を維持するためのシール機構が非配備とされていることを特徴とする請求項3に記載の真空ロール搬送処理装置。
  5. 前記位置調整機構によるベース板の位置調整後に、真空チャンバ内の真空度を維持するためのシール機構が取り付け可能とされていることを特徴とする請求項4に記載の真空ロール搬送処理装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104032262A (zh) * 2013-11-01 2014-09-10 魏海波 一种卧式生产太阳能集热板的镀膜装置
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JP7305565B2 (ja) 2020-01-17 2023-07-10 株式会社アルバック 真空処理装置

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