JP2008075763A - アクチュエータ付バルブ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ポートが径方向に設けられる場合、従来ではフィルタ装着部に環状溝を形成し、その内部に帯状のフィルタを巻き付けて固定していたため、種々の不具合があった。
【解決手段】 バルブハウジング13の外周には、一方から他方へ向けて、油圧コントローラの挿入穴に合致する大径部55、これより小径のフィルタ装着部54、さらにこれより小径の小径部51が形成されている。フィルタ53は環状に閉じた筒形を呈し、オイルを濾過する多数の穴が形成されている。フィルタ53は、小径部51側より組付けられて、フィルタ装着部54に装着される。そして、電磁アクチュエータ12の磁気プレート52を小径部51に圧入することで、筒形のフィルタ53が、段差部54aと磁気プレート52との軸方向間で挟んで保持される。筒形のフィルタ53をバルブハウジング13の軸方向から装着し固定できるため、従来の不具合を回避できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、バルブ部(例えば、ボール弁、スプール弁等)と、アクチュエータ部(例えば、電磁アクチュエータ等)とを結合して構成されるアクチュエータ付バルブ装置に関し、特にバルブハウジングにおいて径方向に開口するポートのフィルタの取付構造に関する。
(従来技術)
ボール弁やスプール弁等よりなるバルブ部と、このバルブ部を駆動する電磁アクチュエータ(アクチュエータの一例)とを一体化した電磁弁(アクチュエータ付バルブ装置の一例)が知られている。
バルブ部は、バルブハウジング内において弁体(ボールやスプール等)を変位させることで、オイル(流体の一例)の切替や、流量調整、圧力調整などを行うものであり、バルブハウジングの径方向に流体(例えば、オイル等)が通過可能なポートを設けたものが多数存在する。
ここで、オイルに混入する異物がポートを介してバルブハウジング内に侵入するのを防ぐために、バルブハウジングにフィルタを装着する技術が知られている。
ポートがバルブハウジングの径方向に設けられる場合、筒形のフィルタをバルブハウジングに被せるだけではフィルタが軸方向へ移動してしまう。
そこで、バルブハウジングにフィルタの軸方向の移動を規制する環状溝(またはフィルタを挟むリブ)を形成し、その環状溝内に帯状のフィルタを巻き付けて装着する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
なお、特許文献1には、環状溝内に帯状のフィルタを巻き付けて装着する技術として、(1)環状溝内にスタット(突起状係合部)を予め設けておき、フィルタの一方の帯端に形成した係合孔を環状溝内のスタットに嵌め入れ、次にフィルタを環状溝内に巻き入れ、続いてフィルタの他方の帯端に形成した係合孔をスタットに嵌め入れる技術、(2)バルブハウジングにフィルタを巻き付け、その巻き付けたままの状態でフィルタの帯端の重なり部分をスポット溶接等で接合する技術、(3)フィルタに保持用のフレームを予め設けておき、フィルタを環状溝内に装着し、フレームによって環状溝内にフィルタを保持させる技術が開示されている。
(従来技術の問題点)
上記(1)で示したように、環状溝内にスタット等のフィルタ固定手段を設ける技術は、バルブハウジングにスタット等のフィルタ固定手段を設けることでバルブハウジングの製造コストの上昇を招いてしまう。
上記(2)で示したように、バルブハウジングにフィルタを巻き付けた状態を保ったままでフィルタの帯端の重なり部分をスポット溶接する技術は、溶接作業を実行し難いため、作業性が劣ってしまう。
上記(3)で示したように、フィルタに保持用のフレームを設ける技術は、樹脂等よりなるフレームの径方向の厚み分が生じるため、バルブハウジングに径方向のフレーム装着スペースが必要になる。即ち、フィルタにフレームを設けることで、バルブハウジングの小径化が妨げられてしまう。
このように、バルブハウジングの径方向に形成されたポートにフィルタを装着する場合、従来の技術では、バルブハウジングの周囲にフィルタを巻き付けて装着する必要があり、上記の如く種々の問題が生じていた。
特開2006−22816号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的はバルブハウジングの周囲にフィルタを巻き付けて装着するのではなく、筒形に形成したフィルタをバルブハウジングの軸方向から装着できるアクチュエータ付バルブ装置の提供にある。
[請求項1の手段]
請求項1の手段を採用するアクチュエータ付バルブ装置は、筒形に形成したフィルタをバルブハウジングの軸方向から装着し、バルブハウジングに設けられた段差部と、バルブハウジングに結合されるアクチュエータ部との軸方向間でフィルタを挟んで保持するものである。
このように、筒形に形成したフィルタをバルブハウジングの軸方向から装着しても、段差部とアクチュエータとの軸方向間でフィルタが保持されるため、軸方向から装着したフィルタがポートの位置から軸方向へズレない。
フィルタをバルブハウジングに巻き付けて固定しなくて済むため、従来技術の不具合を回避することができる。
[請求項2の手段]
請求項2の手段を採用するアクチュエータ付バルブ装置のフィルタは、円環状に閉じて設けられている。
フィルタが円環状に閉じていないと、何らかの要因でフィルタが開き、フィルタが段差部を乗り越えて軸方向へズレる可能性がある。しかし、フィルタが円環状に閉じられていることで、フィルタが開くことがなく、フィルタがバルブハウジングの軸方向へズレることがない。
[請求項3の手段]
請求項3の手段を採用するアクチュエータ付バルブ装置のフィルタは、流体の通過を許容して異物の侵入を阻止する多数の穴を備えるものである。
これによって、フィルタに形成された穴径より大きい異物がバルブハウジング内に侵入するのを阻止することができる。
[請求項4の手段]
請求項4の手段を採用するアクチュエータ付バルブ装置のフィルタは、ポートとは異なる位置に開口する開口部を備える。そして、フィルタの内周面と、バルブハウジングの外周面との間に、ポートと開口部とを連通し、流体の通過を許容して異物の侵入を阻止する狭い通路を形成するものである。
これによって、開口部の入口における狭い通路より大きい異物がバルブハウジング内に侵入するのを阻止することができる。
最良の形態1のアクチュエータ付バルブ装置は、流体(オイル等)が通過可能なポートが径方向に形成された略筒形状を呈するバルブハウジングを備えるバルブ部と、バルブハウジング内に異物の侵入を阻止するフィルタと、バルブハウジングに結合されて、バルブ部を駆動するアクチュエータ部とを具備する。
フィルタは、筒形に形成されたものであり、バルブハウジングの軸方向から装着されて、バルブハウジングに設けられた段差部と、バルブハウジングに結合されるアクチュエータ部との軸方向間で挟まれて保持される。
本発明のアクチュエータ付バルブ装置を、油圧制御を行う第2電磁油圧制御弁に適用した実施例1を説明する。この実施例1では、先ず「油圧制御装置の要部基本構造」を説明し、その後で「実施例1の特徴」を説明する。
〔油圧制御装置の要部基本構造〕
油圧制御装置の要部基本構造を図3を参照して説明する。
この実施例の油圧制御装置は、自動車の自動変速機において油圧制御を行う油圧コントローラを備える。
この実施例に示す油圧コントローラは、図3に示すように、油路の切替制御を行うスプール弁1を備える。このスプール弁1は、油圧コントローラのケースに形成された軸穴(摺動穴)2の内部に油路の切替を行うスプール3を配置した周知なものである。スプール3は、リターンスプリング4の作用で一方向(図3の下方)へ付勢されており、リターンスプリング4とは異なった側(図3の下方)のスプール3の端部と油圧コントローラのケースの間に形成されるパイロット室5の油圧が上昇することで、リターンスプリング4の付勢力に抗してスプール3が駆動される。
パイロット室5の油圧は、第1電磁油圧制御弁6によって制御される。第1電磁油圧制御弁6は、油圧コントローラのケースに組付けられ、通電されるとパイロット室5に駆動油圧を発生し、通電が停止されるとパイロット室5の駆動油圧を排圧するN/L(ノーマリ・ロー)タイプのものである。なお、第1電磁油圧制御弁6は、後述する第2電磁油圧制御弁7と基本的に同一構造のものであり、第2電磁油圧制御弁7にて詳細な構造を説明する。
この実施例の油圧コントローラは、第1電磁油圧制御弁6が通電されて、パイロット室5に駆動油圧が供給された状態であっても、スプール3を図3の下方に位置させる第2電磁油圧制御弁7が搭載されている。
この第2電磁油圧制御弁7は、リターンスプリング4が配置されるバネ室8の油圧をコントロールする。第2電磁油圧制御弁7は、油圧コントローラのケースに組付けられ、通電されるとバネ室8に駆動油圧を発生し、通電が停止されるとバネ室8の駆動油圧を排圧するN/Lタイプのものである。そして、第2電磁油圧制御弁7が通電されて、バネ室8の油圧を上昇させることで、バネ室8に供給された油圧と、リターンスプリング4の付勢力によって、第1電磁油圧制御弁6の作動に関わらずスプール3を図3の下方に位置させる。
(第2電磁油圧制御弁7の説明)
次に、第2電磁油圧制御弁7(アクチュエータ付バルブ装置の一例)を、図1を参照して説明する。
第2電磁油圧制御弁7は、上述したように油圧コントローラのケースに組付けられるものであり、三方弁(バルブ部の一例)11と、この三方弁11を駆動する電磁アクチュエータ(アクチュエータ部の一例)12とを結合して構成される。
(三方弁11の説明)
三方弁11の一例を図1を参照して説明する。
三方弁11は、バルブハウジング13、ボール弁(入力側弁体)14、ブリード弁(排出側弁体)15およびシャフト16等で構成される。
バルブハウジング13は、略筒形状を呈するものであり、電磁アクチュエータ12の固定子の一部を構成するように磁性体金属(鉄等)によって設けられている。このバルブハウジング13の内部には、図1左側より右側に向かって入力室21、出力室22、排出室23が形成されている。
入力室21は、ボール弁14が配置される空間によって構成されている。出力室22は、バルブハウジング13内に固定された入力側隔壁(ボール弁シート部材)24と排出側隔壁(ブリード弁シート部材)25で挟まれた空間によって構成されている。排出室23は、排出側隔壁25より図1右側のバルブハウジング13内の空間によって構成されている。
入力側隔壁24と排出側隔壁25のそれぞれは、軸方向(シャフト16の移動方向)に対する垂直面を備え、その垂直面が対向配置する。入力側隔壁24の中心部には、入力室21と出力室22を連通する入力弁口26が設けられている。また、排出側隔壁25の中心部にも、出力室22と排出室23を連通する排出弁口27が設けられている。なお、入力弁口26と排出弁口27は、ともにシャフト16の軸線上に設けられている。
バルブハウジング13には、オイルポンプ28(図3参照)から油路等を介して圧送されたオイル(流体の一例)が入力される入力ポート31と、スプール弁1のパイロット室5に油路を介して連通する出力ポート32と、オイルパン内などの低圧側と連通する排出ポート(ドレインポート)33とが設けられている。
入力ポート31は、入力室21と連通するものであり、バルブハウジング13の先端(図1左端)に開口して設けられている。出力ポート32は、出力室22と連通するものであり、バルブハウジング13の径方向に開口して設けられている。排出ポート33は、排出室23と連通するものであり、バルブハウジング13の径方向に開口して設けられている。
ボール弁14は、円球形状を呈した金属ボールであり、入力室21内に配置され、入力ポート31から供給される油圧、および入力室21の内側に固定されたバネ座34により圧縮した状態で配置されたボール弁バネ35の付勢力によって入力弁口26の周囲の入力弁シートに着座する力が与えられている。このボール弁14が入力弁シートに着座することで、入力弁口26が閉塞されて、入力室21と出力室22の連通が遮断される。
ブリード弁15は、排出室23内のシャフト16に形成されたものであり、電磁アクチュエータ12の駆動力によって、排出弁口27の周囲の排出弁シートに着座する力が与えられる。このブリード弁15が排出弁シートに着座することで、排出弁口27が閉塞されて、出力室22と排出室23の連通が遮断される。
シャフト16は、略棒形状を呈する非磁性体金属製であり、バルブハウジング13の図1右側の軸中心に形成された軸穴36内において軸方向へ摺動自在に支持される。なお、シャフト16は、図1右側に電磁アクチュエータ12の可動子42(後述する)が固定されるものであり、可動子42と一体に移動する。
このため、電磁アクチュエータ12が通電されて可動子42が図1左側に位置する時は、シャフト16の先端がボール弁14を入力弁シートから離座させ、入力ポート31と出力ポート32を入力弁口26を介して連通させるとともに、ブリード弁15が排出弁シートに着座して出力ポート32と排出ポート33の連通を遮断する。
また、電磁アクチュエータ12の通電が停止されて可動子42が図1右側に位置する時は、油圧およびボール弁バネ35の付勢力によりシャフト16の先端が入力弁口26内に埋没し、ボール弁14が入力弁シートに着座して入力ポート31と出力ポート32の連通を遮断するとともに、ブリード弁15が排出弁シートから離座して出力ポート32と排出ポート33が排出弁口27を介して連通する。
(電磁アクチュエータ12の説明)
電磁アクチュエータ12の一例を図1を参照して説明する。
電磁アクチュエータ12は、コイル41、可動子42、シャフト付勢バネ43、ヨーク44、ステータ45、コネクタ46等で構成される。
コイル41は、通電されると磁力を発生して、可動子42と磁気固定子(ヨーク44とステータ45)を通る磁束ループを形成させるものであり、樹脂性のボビンの周囲に、絶縁被覆が施された導線(エナメル線等)を多数巻回したものである。
可動子42は、略円柱形状を呈した磁性体金属(例えば、鉄などの強磁性材料)であり、上述したようにシャフト16の図1右側に固定される。
シャフト付勢バネ43は、可動子42を開弁方向(図1左方向)へ付勢して、非通電状態であってもシャフト16の先端をボール弁14に当接させる圧縮コイルスプリングであり、可動子42の図1右側端面と、ヨーク44の内側に固定されたバネ押え47との間で圧縮された状態で配置される。このバネ押え47の内部には、軸方向に貫通する呼吸孔が形成されている。
ヨーク44は、略二重円筒を呈した磁性体金属(例えば、鉄などの強磁性材料)であり、開口端部に形成された爪部をカシメることで、後述する磁気プレート52と強固に結合される。
具体的にヨーク44は、コイル41の外周を覆う外周ヨーク44aと、コイル41の内周で、且つ可動子42の外周を覆う内周ヨーク44bと、コイル41の図1右側において外周ヨーク44aと内周ヨーク44bを磁気的に結合する環状ヨーク44cとを一体に設けたものである。なお、内周ヨーク44bは、可動子42を非接触で覆って径方向の磁気の受け渡しを行うものである。
ステータ45は、磁性体金属(例えば、鉄などの強磁性材料)よりなるバルブハウジング13の図1右側の小径部(電磁アクチュエータ12内に挿入される部分)51と、この小径部51の図1左端の段差51aに当接した状態で圧入固定される磁気プレート52よりなる。
この磁気プレート52は、磁性体金属(例えば、鉄などの強磁性材料)よりなる略リング円盤であり、上述したようにヨーク44(具体的には外周ヨーク44a)とカシメにより固定されて磁気的に結合されている。
ステータ45の一部を成すバルブハウジング13の小径部51は、外周に圧入された磁気プレート52と磁気的に結合されている。この小径部51の図1右側の端面は、可動子42と軸方向に対向して、可動子42を磁気吸引する。
コネクタ46は、AT−ECU(自動変速機用電子制御装置:図示しない)と接続線を介して電気的な接続を行う接続手段であり、その内部にはコイル41の両端にそれぞれ接続される端子46aが配置されている。
〔実施例1の特徴〕
この実施例1の特徴では、先ず「実施例1の背景」を説明し、その後で「問題点を解決する技術」を説明する。
(実施例1の背景)
第2電磁油圧制御弁7は、上述したように、スプール弁1のバネ室8の油圧制御を行うものである。このため、第2電磁油圧制御弁7の通電が停止されている状態で第1電磁油圧制御弁6が通電されると、バネ室8の容積が減少して、第2電磁油圧制御弁7の出力ポート32から排出ポート33に向けてオイルが流れる。逆に、第2電磁油圧制御弁7の通電が停止されている状態で第1電磁油圧制御弁6の通電が停止されると、バネ室8の容積が増加して、第2電磁油圧制御弁7の排出ポート33から出力ポート32に向けてオイルが流れる逆流現象が生じる。
排出ポート33から出力ポート32に向けて逆流するオイルは、オイルストレーナ等で濾過されていない未濾過オイルである。このため、排出ポート33から出力ポート32に向けて流れるオイルに含まれる異物が三方弁11の内部に侵入し、第2電磁油圧制御弁7が作動不良を起こす可能性がある。
そこで、排出ポート33の外周にフィルタ53を取り付け、オイルに混入する異物が三方弁11の内部に侵入するのを阻止することが考えられる。
しかし、排出ポート33は、バルブハウジング13の径方向に向いて開口するものであり、筒形に設けたフィルタ53をバルブハウジング13に被せるだけではフィルタ53が軸方向へ移動して排出ポート33の位置からズレてしまう。
そこで、バルブハウジング13に環状溝を形成し、その環状溝内に帯状のフィルタ53を巻き付けて装着する技術が提案されている(特許文献1参照)。しかし、環状溝内に帯状のフィルタ53を巻き付けて装着する技術は、前述したように種々の問題点がある。
(問題点を解決する技術)
そこで、この実施例1の第2電磁油圧制御弁7は、次の技術を採用している。
バルブハウジング13にフィルタ53を装着する以前に、フィルタ53を筒形に形成しておく。
筒形に形成したフィルタ53を、バルブハウジング13に設けた段差部54aと、バルブハウジング13に結合される電磁アクチュエータ12(具体的にこの実施例では磁気プレート52)との軸方向間で挟んで保持する。
上記を具体的に説明する。
バルブハウジング13において油圧コントローラのケース内に挿入される範囲を筒部(電磁アクチュエータ12内に挿入されない部分)として説明する。この筒部における磁気プレート52側(排出ポート33が開口する側)には、段差部54aを介して小径となるフィルタ装着部54が形成されている。即ち、バルブハウジング13の外周には、図1左から右に向けて、油圧コントローラのケースに形成された挿入穴に合致する大径部55、これより小径のフィルタ装着部54、さらにこれより小径で電磁アクチュエータ12内に挿入される小径部51が形成されている。
なお、フィルタ装着部54は円筒面を備えるものであり、その内側には環状の浅溝56が形成されている。そして、その浅溝56内において排出ポート33が開口する。
フィルタ53は、樹脂製あるいは金属製の薄肉の円筒体であり、バルブハウジング13に組付けられる前の状態において、円環状に閉じて設けられている。
具体的にフィルタ53は、図2(a)に示すように、継ぎ目のない円筒体として設けられている。または、図2(b)に示すように、帯状に設けたフィルタ53を円環状に丸め、両端を突き合わせてレーザ溶接等の接合技術で接合したものである。あるいは、図2(c)に示すように、帯状に設けたフィルタ53を円環状に丸め、両端の重ね合わせ部分をレーザ溶接等の接合技術で接合したものである。
円環状に閉じて設けられたフィルタ53の各部寸法を説明する。
フィルタ53の軸方向寸法(幅寸法)は、フィルタ装着部54の軸方向寸法に略一致するものである。
フィルタ53の外径寸法は、バルブハウジング13の大径部55と同じか、それより小さく設けられている。
フィルタ53の内径寸法は、フィルタ装着部54の外周面に装着可能な径に設けられている。
フィルタ53には、オイルの通過を許容するものの、オイルに混入する異物の通過を阻止する穴53aが全周に亘って多数形成されている。このフィルタ53の穴53aは、レーザ照射、またはエッチング加工等の周知な技術により形成されるものである。
フィルタ53の穴径は、異物の通過を防ぎ、且つ目詰まりし難い径寸法であり、具体的に、0.1〜0.8mmの範囲内が好ましく、0.2〜0.5mmの範囲が特に好ましいものである。
また、フィルタ53の厚み寸法は、オイルの流れ抵抗が小さく、且つオイルの流れや圧力によって破損しない厚み寸法に設けられる。具体的に、フィルタ53をステンレス等の硬質金属で設ける場合は、0.1〜1.0mmの範囲内が好ましく、図2(b)または図2(c)のように帯状から環状に丸める場合は、丸め加工がし易いように0.1〜0.6mmの範囲が特に好ましいものである。
フィルタ53の組付け手順を説明する。
バルブハウジング13に磁気プレート52を圧入する前に、小径部51側から環状に閉じたフィルタ53を組み入れ、フィルタ53をフィルタ装着部54の外周に装着する。次に、バルブハウジング13の小径部51に磁気プレート52を圧入し、段差部54aと磁気プレート52との軸方向間においてフィルタ53を挟み付ける。その後、各部品を装着した後、ヨーク44の端部を磁気プレート52にカシメて、三方弁11と電磁アクチュエータ12とを結合させる。
(実施例1の効果)
実施例1の第2電磁油圧制御弁7は、上述したように、円筒形状に形成したフィルタ53をバルブハウジング13の軸方向から装着する。そして、バルブハウジング13に設けられた段差部54aと、バルブハウジング13に結合される電磁アクチュエータ12の部品である磁気プレート52との軸方向間でフィルタ53を挟んで保持する。
円筒形状に形成したフィルタ53をバルブハウジング13の軸方向から装着しても、段差部54aと電磁アクチュエータ12との間でフィルタ53が保持されるため、フィルタ53が排出ポート33の外周に常に合致し、軸方向へズレることがない。
従来技術のようにフィルタ53をバルブハウジング13に巻き付けて固定しなくて済むため、従来技術の不具合を回避することができる。
具体的には、従来技術のように、環状溝内にスタット等のフィルタ固定手段を設ける必要がないため、バルブハウジング13の製造コストの上昇を招くことがない。
また、従来技術のように、バルブハウジング13にフィルタ53を巻き付けた状態を保ったままでフィルタ53の帯端をスポット溶接する必要がなく、フィルタ53の組付け作業性に優れる。
さらに、従来技術のように、フィルタ53に保持用のフレームを設ける必要がなく、バルブハウジング13が大径化する不具合がない。
この実施例1では、フィルタ53を円環状に閉じて設けている。ここで、フィルタ53が円環状に閉じていない場合は、振動等の外力でフィルタ53が開き、フィルタ53が段差部54aを乗り越えて軸方向へズレる可能性がある。しかし、フィルタ53が円環状に閉じられているため、フィルタ53が外力によって開くことがなく、フィルタ53が開いて軸方向へズレる不具合が生じない。
この実施例1のフィルタ53は、全周に亘って多数の穴53aが形成される。また、フィルタ53が装着されるフィルタ装着部54にも環状の浅溝56が形成されている。これにより、フィルタ面積を大きくでき、フィルタ53を通過するオイルの流れ抵抗を小さくできる。なお、この実施例1ではフィルタ53に多数の穴53aを設けてオイルを濾過する例を示したが、フィルタ53をメッシュ(網)で設けてオイルを濾過しても良い。
図4および図5を参照して実施例2を説明する。なお、上記実施例1と同一符号は同一機能物を示すものである。
上記実施例1では、フィルタ53に多数の穴53aを設け、その多数の穴53aでオイルを濾過する例を示した。
これに対し、この実施例2のフィルタ53は、排出ポート33の開口位置とは異なる位置において開口する開口部57を備える。そして、フィルタ53の内周面と、バルブハウジング13の外周面との間に、排出ポート33と開口部57とを連通し、オイルの通過を許容して異物の侵入を阻止する狭い通路58を形成するものである。
上記を具体的に説明する。
フィルタ53に設けられる開口部57は、オイルの通過が容易な開口面積が大きいものであり、例えば、図5(a)に示すように、フィルタ53の軸方向寸法(幅寸法)より少し直径が小さいものである。
フィルタ53は、開口部57の位置が、図5(b)に示すように、排出ポート33の開口位置から最も離れた位置となるようにフィルタ装着部54において回り止めされる。具体的に、この実施例のフィルタ53は、フィルタ装着部54に圧入されるものであり、フィルタ装着部54にフィルタ53が圧入されることで開口部57の位置が排出ポート33の開口位置から最も離れた位置に固定される。
なお、この実施例では、開口部57の開口位置を排出ポート33の開口位置から最も離れた位置にする例を示すが、開口部57と排出ポート33が径方向に重ならなければ良く、オイルの流れ抵抗を減らすために開口部57と排出ポート33の距離を近づけても良い。また、段差部54aと磁気プレート52との間でフィルタ53を強固に挟み付けるなど、圧入以外の手段によってフィルタ53の回り止めを行っても良い。
狭い通路58は、実施例1で示した浅溝56によってフィルタ53と浅溝56との間に形成される。狭い通路58を形成する浅溝56の深さは、異物の通過を防ぎ、且つ目詰まりし難い深さ寸法に設けられている。具体的に、浅溝56の深さは、0.1〜0.8mmの範囲内が好ましく、0.2〜0.5mmの範囲が特に好ましいものである。
この実施例2に示すように、フィルタ53にオイルの通過が容易な開口部57を設け、その開口部57を排出ポート33の開口位置とは異なる位置に固定し、狭い通路58によって開口部57と排出ポート33を連通させることで、浅溝56の深さ寸法より大きい異物が狭い通路58内に侵入できなくなり、異物がバルブハウジング13内に侵入するのを阻止することができる。
この実施例2に示すフィルタ53も、実施例1と同様に組付けられるものであり、実施例1と同様、従来技術の不具合を回避することができる。
〔変形例〕
上記の実施例では、第2電磁油圧制御弁7に本発明を適用する例を示したが、第1電磁油圧制御弁6にも本発明を適用しても良い。
上記の実施例では、N/Lタイプの電磁油圧制御弁に本発明を適用する例を示したが、電磁アクチュエータ12の通電が停止された状態で出力が最大になるN/H(ノーマリ・ハイ)タイプの電磁油圧制御弁に本発明を適用しても良い。
上記の実施例では、自動変速機の油圧制御に用いられる電磁油圧制御弁に本発明を適用する例を示したが、自動変速機以外において油圧やオイル流量を制御する電磁油圧制御弁に本発明を適用しても良い。
上記の実施例では、流体の一例として、オイルを示したが、オイルとは異なる液体や気体であっても良い。即ち、オイル以外の流体の調圧や調量を行うアクチュエータ付バルブ装置に本発明を適用しても良い。
上記の実施例で示した三方弁11の構造は、実施例説明のための一例であって、他の三方弁構造を採用しても良い。
また、上記の実施例では、バルブ部の一例として三方弁11を例に示したが、二方弁(開閉弁)や四方弁など他のバルブ構造であっても良い。
さらに、上記の実施例では、バルブ部の一例としてボール弁14を用いる例を示したが、スプール弁など他のバルブ構造であっても良い。
上記の実施例で示した電磁アクチュエータ12の構造は、実施例説明のための一例であって、他の電磁アクチュエータ構造を採用しても良い。
また、上記の実施例では、アクチュエータ部の一例として電磁アクチュエータ12を用いる例を示したが、ピエゾスタックを用いたピエゾアクチュエータ、電動モータの回転を軸方向に変換してバルブ部を駆動する電動アクチュエータを用いても良いし、油圧や負圧などによりバルブ部を駆動する流体アクチュエータを用いても良い。
第2電磁油圧制御弁の断面図である(実施例1)。 フィルタの斜視図である(実施例1)。 油圧制御装置の要部概略図である。 第2電磁油圧制御弁の断面図である(実施例2)。 フィルタの斜視図および三方弁の要部断面図である(実施例2)。
符号の説明
7 第2電磁油圧制御弁(アクチュエータ付バルブ装置)
11 三方弁(バルブ部)
12 電磁アクチュエータ(アクチュエータ部)
13 バルブハウジング
33 排出ポート(流体が通過可能なポート)
52 磁気プレート(段差部との間でフィルタを挟むアクチュエータ部の一部)
53 フィルタ
53a 穴(異物の侵入を阻止する多数の穴)
54 フィルタ装着部
54a 段差部
57 開口部
58 狭い通路

Claims (4)

  1. 流体が通過可能なポートが径方向に形成された略筒形状を呈するバルブハウジングを備えるバルブ部と、
    前記バルブハウジング内に異物の侵入を阻止するフィルタと、
    前記バルブハウジングに結合されて、前記バルブ部を駆動するアクチュエータ部と、
    を具備するアクチュエータ付バルブ装置において、
    前記フィルタは、筒形に形成され、
    前記バルブハウジングに設けられた段差部と、前記バルブハウジングに結合される前記アクチュエータ部との軸方向間で挟まれて保持されることを特徴とするアクチュエータ付バルブ装置。
  2. 請求項1に記載のアクチュエータ付バルブ装置において、
    前記フィルタは、円環状に閉じて設けられていることを特徴とするアクチュエータ付バルブ装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載のアクチュエータ付バルブ装置において、
    前記フィルタは、流体の通過を許容して異物の侵入を阻止する多数の穴を備えることを特徴とするアクチュエータ付バルブ装置。
  4. 請求項1または請求項2に記載のアクチュエータ付バルブ装置において、
    前記フィルタは、前記ポートとは異なる位置に開口する開口部を備え、
    前記フィルタの内周面と、前記バルブハウジングの外周面との間に、前記ポートと前記開口部とを連通し、流体の通過を許容して異物の侵入を阻止する狭い通路を形成することを特徴とするアクチュエータ付バルブ装置。
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