JP2008073999A - 反射防止フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 干渉縞が目立たず、最低反射率が低く、透明性、耐スチールウール性、帯電防止性、カール性に優れた反射防止フィルムの提供。
【解決手段】 二軸延伸PETからなる基材フィルム上にハードコート層を有し、さらに前記ハードコート層上に低屈折率層を有する反射防止フィルムであって、前記ハードコート層の厚さが0.5〜5μmであり、前記ハードコート層が、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化型樹脂100質量部に、無機化合物微粒子200〜600質量部を配合し、これを硬化して形成されたものであり、前記基材フィルムとハードコート層との間には、易接着剤層が設けられ、かつ前記易接着剤層の厚さが5〜18nmであることを特徴とする反射防止フィルム。
【選択図】 図1

Description

本発明は、反射防止フィルムに関するものであり、詳しくは、とくに干渉縞が目立たず、最低反射率が低く、透明性、耐スチールウール性、帯電防止性、カール性に優れた反射防止フィルムに関するものである。
現在、液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル、パソコン、テレビ、タッチパネル等のディスプレイの表面には、傷つき防止性能および反射防止性能をともに有する反射防止フィルムが取り付けられることが多い。このような反射防止フィルムは、基材フィルム上にハードコート層、高屈折率層および低屈折率層を順次設けた構造を有する。
しかし、従来の反射防止フィルムは、干渉縞が目立つという課題がある。
干渉縞は、透明な薄膜に白色光があたると、薄膜の表面から反射する光といったん薄膜に入ってその後ろの面から反射する光が干渉を起こして、部分的な虹彩状色彩が見られる現象である。これは見る方向により強めあう波長が変わるためである。この現象は使用者にとって見づらいばかりか不快な印象を与える場合があり、改善を求められている。
この課題を解決するために、例えば特許文献1には、透明基材フィルム上に、屈折率が1.5〜1.7の中屈折率層、屈折率が1.6〜1.8の高屈折率層、さらに高屈折率層より低い屈折率材料からなる低屈折率層が、この順に透明基材フィルム側から積層されており、かつ屈折率1.5〜1.8の微粒子であって、高屈折率層の屈折率との差が±0.1以内の微粒子が高屈折率層中に分散含有され、高屈折率層表面が微細凹凸構造を形成している反射防止ハードコートシートが提案されている。しかし、コート層中に微粒子を分散させ、表面に凹凸構造を形成させると、画像の鮮鋭性が低下する。
また特許文献2には、高いハードコート性及び透視解像性を維持しながら、透明ハードコート膜の厚みムラに起因する干渉縞が目立たない透明ハードコートフィルムとして、透明高分子フィルムと、該透明高分子フィルムの少なくとも一方の面に設けられた透明ハードコート膜とを有し、L***表色系におけるb*値が0.5以下である透明ハードコートフィルムが提案されている。しかし、ハードコートフィルムは、それぞれの用途に応じて色調が選ばれるものであり、b*値を0.5以下に限るとその用途も限られてしまう。
さらに特許文献3には、良好な分散性を有する金属酸化物超微粒子を含有する電離放射線硬化型樹脂を用いてハードコート層を形成し、干渉縞の発生を防止したハードコート層を有する光学材料用プラスチックフィルムの製造方法として、酸化ケイ素皮膜を形成し、さらにカップリング剤で表面処理した金属酸化物超微粒子を電離放射線硬化型樹脂に分散させ、該樹脂を基材プラスチックフィルムに塗工する方法が提案されている。しかし、粒径数十nmの金属酸化物超微粒子に酸化ケイ素皮膜を形成し、カップリング剤で表面処理して、樹脂中に分散させる工程は煩雑であり、コスト高にならざるを得ない。
なお干渉縞の課題は、上記従来技術ではいずれも完全に解消されていない。
一方、経済性等の面から、層構成を簡略化した反射防止フィルムが求められている。例えば、ハードコート層に高屈折率層のもつ役割を兼ねさせ、その上に低屈折率層を設けた構成の反射防止フィルムは、層の数が少なくなり製造コストが減じられ有利であるが、現在のところ、干渉縞の課題が解消され、しかも最低反射率が低く、耐スチールウール性、帯電防止性、カール性に優れたものは知られていない。
特開2003−75605号公報 特開2003−334891号公報 特許3383039号公報
本発明の目的は、ハードコート層に高屈折率層のもつ役割を兼ねさせ、その上に低屈折率層を設けた構成の反射防止フィルムであって、とくに干渉縞が目立たず、最低反射率が低く、透明性、耐スチールウール性、帯電防止性、カール性に優れた反射防止フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートからなる基材フィルム上に、特定の厚さを有する易接着剤層と、特定の厚さおよび材料構成を有するハードコート層とを順次設けることにより、上記課題が解決され得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
(1)二軸延伸ポリエチレンテレフタレートからなる基材フィルム上にハードコート層を有し、さらに前記ハードコート層上に低屈折率層を有する反射防止フィルムであって、
前記ハードコート層の厚さが0.5〜5μmであり、
前記ハードコート層が、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化型樹脂100質量部に、無機化合物微粒子200〜600質量部を配合し、これを硬化して形成されたものであり、
前記基材フィルムとハードコート層との間には、易接着剤層が設けられ、かつ
前記易接着剤層の厚さが5〜18nmであることを特徴とする反射防止フィルム。
(2)前記無機化合物微粒子が、五酸化アンチモン、アンチモン酸亜鉛、アンチモンドープ酸化錫、錫ドープ酸化インジウム、二酸化チタン、ジルコニア、酸化亜鉛および酸化錫からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記(1)に記載の反射防止フィルム。
(3)前記無機化合物微粒子が、五酸化アンチモンを主成分とすることを特徴とする前記(2)に記載の反射防止フィルム。
(4)前記電離放射線硬化型樹脂100質量部に、さらに末端に共重合可能な不飽和二重結合を有する重合体5〜20質量部を配合することを特徴とする前記(1)に記載の反射防止フィルム。
(5)前記電離放射線硬化型樹脂100質量部に、さらにポリチオフェンまたはポリアニリン5〜50質量部を配合することを特徴とする前記(1)に記載の反射防止フィルム。
(6)前記分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートが、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートであることを特徴とする前記(1)に記載の反射防止フィルム。
(7)前記五酸化アンチモンの平均粒子径が、5〜100nmであることを特徴とする前記(1)に記載の反射防止フィルム。
(8)前記低屈折率層が、シリコーン骨格を有するマトリックス成分100質量部に中空シリカ粒子を20〜100質量部を含むことを特徴とする前記(1)に記載の反射防止フィルム。
(9)前記中空シリカ粒子の平均粒子径が、5〜100nmであることを特徴とする前記(8)に記載の反射防止フィルム。
基材フィルム上に高屈折率層としての機能を有するハードコート層を設け、その上に低屈折率層を設けた簡略構成の反射防止フィルムは、仮に基材フィルムの屈折率とハードコート層の屈折率とが極めて近似していれば、干渉縞の問題は解決される(ここでいう極めて近似とは、両者の屈折率差の絶対値が0.02以下であることを意味する)。
しかし従来技術においては一般的に、基材フィルムとハードコート層とは、両者間に設けられる易接着剤層により接着されているが、通常使用される易接着剤の屈折率を、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートのような基材フィルムの屈折率と近似させることは困難であった。そこで本発明では、易接着剤層の厚さを、その屈折率が無視できる5〜18nmという非常に薄い厚さに設定することにより、かつ、無機化合物微粒子の配合量を増大させることにより、基材フィルムの屈折率とハードコート層の屈折率とを近似させることを可能にしたものである。これにより、干渉縞の問題を解決することができた。また、最低反射率を極めて低く抑えることに成功した。なお、従来技術における最低反射率は、1.2〜2.0%程度であり、下記で詳述する本発明の実施例で得られた反射防止フィルムの最低反射率に比べ、顕著に高い値である。
すなわち本発明によれば、ハードコート層に高屈折率層のもつ役割を兼ねさせ、その上に低屈折率層を設けた簡易な構成であっても、とくに干渉縞が目立たず、最低反射率が低く、透明性、耐スチールウール性、帯電防止性、カール性に優れた反射防止フィルムを提供することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
(基材フィルム)
本発明に用いる基材フィルムは、透明性を有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレートからなる。二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、機械的強度と寸法安定性が良好なので好適に用いられる。
基材フィルムの屈折率は、通常1.64〜1.66である。なお、本発明でいう屈折率とは、JIS K 7142に準じ、アッベ屈折計を用いて測定した値である。また基材フィルムの厚さは、例えば20〜250μmである。
(ハードコート層)
本発明におけるハードコート層は、以下の(1)および(2)の要件を満たす必要がある。
(1)厚さが0.5〜5μmである。
厚さが0.5μm未満では、鉛筆硬度が低下し、耐スチールウール性も低下する。厚さが5μmを超えると、干渉縞の防止効果が発揮されない。好ましい厚さは、0.8〜4.0μmであり、さらに好ましい厚さは、1.2〜3.0μmである。
(2)分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化型樹脂100質量部に、無機化合物微粒子200〜600質量部を配合し、所望により末端に共重合可能な不飽和二重結合を有する重合体5〜20質量部を配合し、これを硬化して形成される。
分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートとしては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート等を挙げることができる。好ましい具体例としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートが挙げられ、中でもジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートがとくに好ましい。これらの多官能(メタ)アクリレ−トは単独で用いても又は2種以上混合して用いてもよい。
無機化合物微粒子は、好ましいものとして、五酸化アンチモン、アンチモン酸亜鉛、アンチモンドープ酸化錫、錫ドープ酸化インジウム、二酸化チタン、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化錫等が挙げられる。これらの無機化合物微粒子は、併用することもできる。無機化合物微粒子の平均粒子径は、例えば5〜200nm、好ましくは5〜100nmである。中でも、干渉縞の防止効果、最低反射率の低減効果を考慮すると、五酸化アンチモンを主成分とすることがとくに好ましい。ここで本発明でいう主成分とは、無機化合物微粒子成分の全体に対し、50〜100質量%の範囲内で使用されていることを意味する。なお五酸化アンチモンを採用する場合、その平均粒子径は、5〜100nmであることが好ましい。この平均粒子径を有することにより、干渉縞の防止効果および透明性が高まる。
さらに好ましい平均粒子径は、10〜70nmであり、とくに好ましい平均粒子径は、15〜50nmである。
五酸化アンチモンはパイロクロア構造を有しているものが好ましい。このようなパイロクロア構造を有するものは、プロトン伝導による導電性が高いという特性を有している。なお、パイロクロア構造とは、日本化学会誌、No.4, P.488,1983年に記載されているように、アンチモン原子を中心にして6個の酸素原子およびOH基により8面体が形成され、これら8面体の頂点共有によって形成された骨格構造をいう。
末端に共重合可能な不飽和二重結合を有する重合体としては、末端メタクリレートポリメチルメタクリレート、末端スチリルポリメタクリレート、末端メタクリレートポリスチレン、末端メタクリレートポリエチレングリコール、末端メタクリレートアクリロニトリル−スチレン共重合体、末端メタクリレートスチレン−メチルメタクリレート共重合体等を挙げることができ、その質量平均分子量は5000〜10000が好ましい。末端に共重合可能な不飽和二重結合を有する重合体の市販品としては、マクロモノマーAA−6、AS−6S、AN−6S、AW−6S(東亞合成(株)製)等を挙げることができる。
本発明におけるハードコート層は、上記の2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化型樹脂100質量部に、無機化合物微粒子200〜600質量部、所望により末端に共重合可能な不飽和二重結合を有する重合体5〜20質量部を配合した組成物を用いて形成される。無機化合物微粒子の配合割合が200質量部未満では、干渉縞の防止効果および最低反射率の低減効果が発揮されない。また帯電防止効果も発現しない。無機化合物微粒子の配合割合が600質量部を超えると、干渉縞の防止効果が発揮されない。末端に共重合可能な不飽和二重結合を有する重合体が5質量未満では、カール性にやや劣る結果となり、20質量部を超えるとヘーズが上昇し透明性が低下することとなり好ましくない。
さらに好ましい配合割合は、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化型樹脂100質量部に対し、無機化合物微粒子250〜500質量部および末端に共重合可能な不飽和二重結合を有する重合体5〜15質量部である。
また、本発明におけるハードコート層において、無機化合物微粒子が二酸化チタン、ジルコニア等の非導電性物質である場合、ハードコート層に導電性を付与し表面への埃等の付着を防止するために、ポリチオフェンまたはポリアニリンを添加することもできる。ポリチオフェンまたはポリアニリンの添加量は、電離放射線硬化型樹脂100質量部に対し、5〜50質量部、好ましくは10〜40質量部である。
ハードコート層は、基材フィルム上に上記組成物を塗料として塗布、乾燥し、電離放射線照射により硬化させることにより形成することができる。電離放射線に特に制限はなく、例えば、電子線、放射線、紫外線などを挙げることができる。電離放射線の中で、紫外線は装置が簡単であり、取り扱いか容易であることから、特に好適に用いることができる。電離放射線を照射して架橋させることにより、JIS K 5400において定義される鉛筆硬度H以上の塗膜を形成することができる。
電離放射線が紫外線の場合、光重合開始剤が通常添加される。光重合開始剤としては特に制限はなく、例えばイルガキュアー184,907,651,1700,1800,819,369(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、ダロキュアー1173(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、エザキュアーKIP150、TZT(日本シイベルヘグナー社製)、ルシリンTPO(BASF社製)、カヤキュアBMS(日本化薬製)等が挙げられる。
また上記組成物は、必要に応じて各種添加剤を併用できることは勿論である。
得られたハードコート層は、屈折率が、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートからなる基材フィルムの屈折率と同一か、あるいは極めて近似していることが好ましい。このように両者の屈折率を設定することにより、前記したように、干渉縞の防止効果が一層向上する。
(易接着剤層)
本発明の反射防止フィルムは、基材フィルムとハードコート層との間に、両者の密着性を向上させる目的で易接着剤層が設けられる。
本発明における易接着剤層は、5〜18nmの厚さを有することが必要である。厚さが5nm未満であると、易接着剤としての機能が発現しない。逆に18nmを超えると、易接着剤層自体の屈折率が、反射防止フィルム全体に影響を及ぼすようになり、干渉縞が生じるようになる。さらに好ましい易接着剤層の厚さは、7〜15nmである。
易接着剤層の材質は、透明であって、基材フィルムとハードコート層の密着性を向上させるものであれば、とくに制限されないが、例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂およびそれらの共重合体等が挙げられる。易接着剤層は、基材フィルム上に公知のコーティング技術により設けることができる。
(低屈折率層)
本発明における低屈折率層は、とくに制限されず、公知の低屈折率層を適宜採用することができる。例えば、低屈折率層を形成しうるマトリックス成分に、低屈折率材料であるポリシロキサン、中空シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素樹脂などの微粒子を分散させ、塗料とし、これを塗布等により形成した層であることができる。
本発明では、マトリックス成分としてシリコーン骨格を有する材料を使用するのが好ましく、さらに好ましくは、当該マトリックス成分100質量部に中空シリカ粒子を20〜100質量部を含む低屈折率層が好ましい。このような低屈折率層によれば、耐アルカリ性を落とさずに最低反射率に優れた、反射防止フィルムを提供できる。
シリコーン骨格を有するマトリックス成分として、加水分解性有機珪素化合物を用いることができる。具体的には、たとえば、アルコキシシランとアルコールの混合物に、水および触媒として酸またはアルカリを加えることにより、アルコキシシランの部分加水分解物が好適に使用される。
加水分解性有機珪素化合物としては、一般式RnSi(OR')4-n〔R、R':アルキル基、アリール基、ビニル基、アクリル基、等の炭化水素基、n=0、1、2または3〕で表されるアルコキシシランを用いることができる。特にテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシランなどのテトラアルコキシシランが好ましく用いられる。アルコキシシランの加水分解・部分縮合物が加熱により縮合硬化していく過程を経て、主骨格がシロキサン結合で構成される硬化被膜を形成する。
さらに、シリコーン骨格を有するマトリックス成分としては、下記の式(1)の構造を有するジシラン化合物またはその(部分)加水分解物が好ましい。
m1 3-mSi−Y−SiR1 3-mm (1)
(式中、R1は炭素数1〜6の1価炭化水素基、Yはフッ素原子を1個以上含有する2価有機基、Xは加水分解性基、mは1、2又は3である。)
Yとしては、下記構造が例示される。
−C24−(CF2n−C24
−C24−CF(CF3)−(CF2n−CF(CF3)−C24
−C24−CF(C25)−(CF2n−CF(C25)−C24
−C24−CF(CF3)CF2−O(CF2nO−CF2CF(CF3)−C24
(但し、nは2〜20である。)
−C24−C610−C24
−C24−C64−C24
加水分解性基Xの具体例としては、Clなどのハロゲン原子、OR2(R2は炭素数1〜6の1価炭化水素基)で示されるオルガノオキシ基が挙げられ、特にメトキシ基、エトキシ基のシラン化合物が取り扱い易く、加水分解時の反応の制御もし易いため、好ましい。
好ましいジシラン化合物としては、
(CH3O)3Si−C24−(CF24−C24−Si(OCH33
(CH3O)3Si−C24−(CF26−C24−Si(OCH33
(CH3O)3Si−C24−(CF28−C24−Si(OCH33
(C25O)3Si−C24−(CF24−C24−Si(OC253
(C25O)3Si−C24−(CF26−C24−Si(OC253
等が挙げられる。
また、下記式(2)で示されるフッ素原子置換有機基を含有する有機珪素化合物又はその(部分)加水分解物を式(1)のジシラン化合物と併用してもよい。
Rf−SiX3 (2)
(式中、Rfはフッ素原子を1個以上含有する1価有機基、Xは加水分解性基である。)
Rfはフッ素原子を1個以上、好ましくは3〜25個、特に好ましくは3〜17個含有するのが好ましい。さらに好ましいRfは下記のものを例示することができる。
CF324
CF3(CF2324
CF3(CF2724
Xは、前述の通りである。
式(1)の構造を有するジシラン化合物と、式(2)で示される有機珪素化合物とを混合して使用する場合、ジシラン化合物の含有率は、60質量%以上100質量%未満とすることが望ましい。また、本発明においては、ジシラン化合物と有機珪素化合物との混合物を共加水分解したものを使用してもよい。
前記のシリコーン骨格を有するマトリックス成分は、市販されているものを利用することができ、例えば信越化学工業(株)製X−12−2510が挙げられる。
中空シリカ粒子は、シリカを主成分とする外殻層を有し、内部が多孔質または空洞となっている粒子である。中空シリカ粒子の平均粒子径は5〜100nmが好ましく、10〜80nmがさらに好ましい。
前述のように、本発明におけるシリコーン骨格を有するマトリックス成分100質量部に対し、中空シリカ粒子を20〜100質量部を含むことが好ましく、さらに好ましくは、シリコーン骨格を有するマトリックス成分100質量部に対し、中空シリカ粒子が30〜80質量部である。当該組成物は、市販されているものを利用することができ、例えば、触媒化成工業(株)製、ELCOM P−5012が利用できる。
更に、本発明における低屈折率層には、被膜の硬度、耐擦傷性、導電性等の物性を調整することを目的として各種添加剤を配合することもできる。
低屈折率層を形成するための塗料に用いるに好適な有機溶剤としては、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ブタノール、エチレングリコールモノプロピルエーテルなどのアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル等のβ−ジケトン、β−ケトエステルを挙げることができる。
低屈折率層の屈折率は、1.28〜1.50が好ましく、1.30〜1.45がさらに好ましい。また低屈折率層の厚さは、40〜300nmであることが好ましく、60〜150nmであることがより好ましい。
本発明の反射防止フィルムは、全光線透過率が90%以上であることが好ましく、92%以上であることがより好ましい。全光線透過率は、JIS K 7361−1にしたがって測定することができる。全光線透過率が90%未満であると、透明性がやや劣り、ディスプレイの反射防止フィルムなどとして使用したとき、画像の鮮映性が低下するおそれがある。
また、本発明の反射防止フィルムは表面抵抗率が1.0×1012Ω/sq.以下であることが好ましく、1.0×1010Ω/sq.以下であることがさらに好ましい。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
実施例1
厚さ100μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(屈折率1.65)上に、易接着剤層として水分散性ポリエステル系樹脂を厚さ10nmで塗布し(屈折率1.58)、その上に下記組成のハードコート層形成用塗料を乾燥膜厚2.5μmとなるように塗布し、乾燥した。続いて、高圧水銀灯により紫外線を照射して塗料を硬化させ、ハードコート層を形成した(屈折率1.64)。
次に、ハードコート層上に、下記組成の低屈折率層形成用塗料Aを乾燥膜厚70nmとなるように塗布し(低屈折率層の屈折率1.39)、乾燥し、本発明の反射防止フィルムを作製した。
(ハードコート層形成用塗料)
・電離放射線硬化型樹脂 100質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)
(日本化薬社製6官能アクリル系紫外線硬化型樹脂、固形分100%、屈折率1.48)
・五酸化アンチモンゾル 1333質量部
(固形分400質量部)
(触媒化成工業社製、ELCOM RK−1022SBV、固形分30%、溶剤は変性アルコール、屈折率1.70)
・末端に共重合可能な不飽和二重結合を有する重合体 20質量部
(固形分9質量部)
(東亜合成社製マクロモノマーAA−6、末端メタクリレートポリメチルメタクリレート、分子量6000、固形分45%、トルエン希釈)
・光重合開始剤 7質量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガキュア(IR)184)
・光重合開始剤 1質量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガキュア(IR)907)
・溶剤 120質量部
(メチルエチルケトン(MEK)/プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM))
(低屈折率層形成用塗料A)
・マトリックス成分 100質量部
(信越化学工業社製、X−12−2510、シリコーン骨格を有するマトリックス成分固形分3%)
・中空シリカ粒子 7質量部
(触媒化成工業社製、ELCOM RK−1018SIV、中空シリカ分散ゾル、固形分20%、溶剤はメチルイソブチルケトン(MIBK))
・溶剤 42質量部
(メチルイソブチルケトン(MIBK))
得られた反射防止フィルムについて、下記の評価を行った。ただし、(10)反射率のうねり振幅(545nm)の評価については,、基材フィルム上にハードコート層のみを塗工したフィルムサンプルで、試験を行なった。
(1)最低反射率
分光光度計[日本分光(株)、U−best V−570]を用いて、波長380〜780nmの反射率を測定し、その最低値を記録する。波形が波打つ場合には、スムージング処理を行い最低値を求める。
(2)全光線透過率
JIS K 7361−1にしたがい、ヘーズコンピューター[スガ試験機(株)、HZ−1]を用いて測定する。
(3)ヘーズ
JIS K 7136にしたがい、ヘーズコンピューター[スガ試験機(株)、HZ−1]を用いて測定する。
(4)鉛筆硬度
JIS K 5400 8.4.2にしたがい、鉛筆[三菱鉛筆(株)、ユニ]を用いて塗膜のすり傷で評価する。
(5)耐スチールウール性
スチールウール[日本スチールウール(株)、#0000]を丸めて200gの荷重をかけて10往復させて擦り、傷の状態を観察し、下記の基準により耐擦傷性を判定する。
○:傷がまったくつかない。
△:傷が1〜9本認められる。
×:傷が10本以上認められる。
(6)表面抵抗率
抵抗率計〔三菱化学(株)、ハイレスターMCP−HT450〕を用いて測定した。
(7)カール性
10cm×10cmのサイズにサンプルを作成し、サンプルを水平面に置いた際の4隅のカール高さを測定し、下記の基準により判定する。
○:カール高さが20mm未満
△:カール高さが20mm以上50mm未満
×:カール高さが50mm以上
(8)耐アルカリ性
1%NaOH水溶液をフィルム表面に滴下し、30分放置後に拭取り、汚染状況を目視にて、下記の基準により判定する。
○:汚染が見られない。
△:僅かに汚染される。
×:著しく汚染される。
(9)塗膜密着性
JIS K 5400に準拠し、ロータリーカッターにて1mm角の碁盤目100マスを付け、セロテープ〔ニチバン製、登録商標〕を圧着させたのち、90度の剥離試験を実施した。100マスのうちの残存膜数を数えることにより塗膜密着性を評価した。
○:100/100
△:99〜80/100
×:80未満/100
(10)反射率のうねり振幅(545nm)
紫外可視赤外分光光度計〔日本分光(株)、V−570〕を用いて、可視光線領域の試料(基材フィルム上にハードコート層のみを塗工したフィルムサンプル)の反射スペクトルを得た。その反射スペクトルは、虹彩の程度に伴ってスペクトル曲線のうねりが増幅する。波長545nmの反射スペクトルのうねりにおいて、該波長にかかる前後のうねり振幅(極大値−極小値)を求め、下記の基準により判定する。三波長蛍光灯(F10光源)では、反射スペクトルにおいて特定の波長が強く、435nm、545nm、610nm付近に3つの強いピークが見られる。干渉縞に関しては、特に545nmピーク周辺の影響が大きいため、波長545nmにおける反射スペクトルのうねり振幅を測定する。さらに詳しい反射率のうねり振幅(545nm)の測定方法としては、図1に示すように、まず、545nmにおける反射率R%を基準点として、その短波長側の直近の極大値と長波長側の直近の極小値を定め、その極大値−極小値の反射率R%の差を反射率のうねり振幅(545nm)とする。
◎:反射率のうねり振幅が、0.40%未満
○:反射率のうねり振幅が、0.40%以上、0.6%未満
△:反射率のうねり振幅が、0.60%以上、0.80%未満
×:反射率のうねり振幅が、0.80%以上
(11)干渉縞
反射防止フィルムを黒い紙の上に置き、三波長形蛍光ランプ[松下電器産業(株)、パルック、20W、昼白色]で照らして蛍光ランプの像の周りの干渉縞を観察し、下記の基準により干渉縞を判定する。
◎:干渉縞がまったく認められない。
○:干渉縞がほとんど認められない。
△:干渉縞がかすかに認められる。
×:干渉縞が明瞭に認められる。
結果を下記表1に示す。
実施例2
実施例1において、五酸化アンチモンゾルの配合量を833質量部(固形分250質量部)に、末端に共重合可能な不飽和二重結合を有する重合体(マクロモノマーAA−6)の配合割合を30質量部(固形分13.5質量部)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表1に示す。
実施例3
実施例1において、五酸化アンチモンゾルの使用量を1833質量部(固形分550質量部)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表1に示す。
実施例4
実施例1において、五酸化アンチモンゾルの使用量を833質量部(固形分250質量部)に変更し、さらに、酸化錫(日産化学社製、HZ−307M6、固形分30%、屈折率1.90)を500質量部(固形分150質量部)添加したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表1に示す。
実施例5
実施例1において、DPHAの使用量を50質量部に変更し、さらに、ペタリスリトールトリアクリレートPETA(東亞合成社製、3官能アクリル系紫外線硬化型樹脂、固形分100%、屈折率1.49)を50質量部添加し、かつ、五酸化アンチモンゾルの使用量を833質量部(固形分250質量部)に変更し、さらに、酸化チタンスラリー(テイカ製、高透明性微粒子酸化チタンスラリー710T、結晶粒子径15〜25nm、酸化チタン結晶形はルチル形、顔料濃度40質量%、主溶剤イソプロピルアルコール、平均分散粒子径50nm>、屈折率2.2)375質量部(固形分150質量部)を添加したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表1に示す。
Figure 2008073999
実施例6
実施例1において、DPHAを使用せず、その替わりにPETA100質量部を使用し、かつ、五酸化アンチモンゾルを使用せず、その替わりにアンチモン酸亜鉛(日産化学製、セルナックス CX−Z603M−F2、固形分60%、屈折率1.7)500質量部(固形分300質量部)およびジルコニア(日産化学製、HZ−307M6、固形分30%、屈折率1.95)333質量部(固形分100質量部)を使用したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表2に示す。
実施例7
実施例1において、五酸化アンチモンゾルを使用せず、その替わりにジルコニア1167質量部(固形分350質量部)およびポリチオフェン(信越ポリマー製、CPC−SAS−B、固形分3.5%)288質量部(固形分10質量部)を使用したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表2に示す。
実施例8
実施例1において、易接着剤層の厚さを5nmに変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表2に示す。
実施例9
実施例1において、易接着剤層の厚さを7nmに変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表2に示す。
実施例10
実施例1において、易接着剤層の厚さを15nmに変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表2に示す。
Figure 2008073999
実施例11
実施例1において、易接着剤層の厚さを18nmに変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表3に示す。
実施例12
実施例1において、易接着剤層の屈折率を1.55に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表3に示す。
実施例13
実施例1において、ハードコート層の厚さを4.0μmに変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表3に示す。
実施例14
実施例1において、ハードコート層の厚さを1.5μmに変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表3に示す。
実施例15
実施例1において、末端に共重合可能な不飽和二重結合を有する重合体(マクロモノマーAA−6)を使用しなかったこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表3に示す。
Figure 2008073999
実施例16〜17
実施例1において、低屈折率層形成用塗料を下記のように変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表4に示す。
(実施例16の低屈折率層形成用塗料B)
・触媒化成工業社製、ELCOM P−5012、シリカマトリックス、フッ素シリコーン系マトリックスに中空シリカ粒子(粒子径40〜60nm)を添加、固形分2質量%、主溶剤イソプロピルアルコール。該塗料により形成された低屈折率層の屈折率は1.40。
(実施例17の低屈折率層形成用塗料C)
・信越化学工業社製、X−12−2510、固形分3%、該塗料により形成された低屈折率層の屈折率は1.41。
Figure 2008073999
比較例1
実施例1において、易接着剤層の厚さを50nmに変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表5に示す。
比較例2
実施例1において、易接着剤層の厚さを20nmに変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表5に示す。また、比較例2における反射率のうねり振幅(545nm)を図2に示す。
比較例3
実施例1において、易接着剤層の厚さを3nmに変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表5に示す。
比較例4
実施例1において、五酸化アンチモンゾルの使用量を500質量部(固形分150質量部)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表5に示す。
比較例5
実施例1において、五酸化アンチモンゾルの使用量を2333質量部(固形分700質量部)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表5に示す。
Figure 2008073999
比較例6
実施例1において、ハードコート層の厚さを0.2μmに変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表6に示す。
比較例7
実施例1において、ハードコート層の厚さを6.0μmに変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を下記表6に示す。
Figure 2008073999
本発明の反射防止フィルムの形態である実施例1〜17は、干渉縞の防止効果が発現し、最低反射率が低く、全光線透過率が高く、ヘーズが低く、鉛筆硬度が高く、耐スチールウール性が良好であり、表面抵抗率が低く、カール性、耐アルカリ性がともに優れ、反射防止フィルムとして良好な特性を有している。なお、実施例2は、五酸化アンチモンの使用量が、DPHA100質量部に対し固形分換算で250質量部と低配合割合であるため、屈折率が1.62に低下し、干渉縞が○評価であった。また最低反射率もやや上昇した。実施例8は、易接着剤層の厚さがやや薄いために、塗膜密着性が△評価であった。実施例10〜11は、易接着剤層の厚さがやや厚めであるので、干渉縞の評価が実施例1と比較すると低下している。実施例12は、易接着剤層の屈折率を変更した例であるが、易接着剤層の厚さが10nmであるので、干渉縞の評価結果に何ら影響を及ぼしていないことが分かる。実施例13は、ハードコート層の厚さが4μmとやや厚めであるため、干渉縞は○評価であった。実施例14は、ハードコート層の厚さを1.5μmに設定した例であるが、本発明者の検討によれば、ハードコート層が厚さが2.0μm以下になると、干渉縞の低減効果がさらに高まることを見出している。実施例15は、末端に共重合可能な不飽和二重結合を有する重合体(マクロモノマーAA−6)を使用しなかったために、カール性が△評価であった。実施例16は、シリカマトリックスを使用しているために、耐アルカリ性が△評価であった。実施例17は、低屈折率層に中空シリカ粒子を使用していないため、最低反射率が、1.27%とやや高い値となった。実施例1〜17の基材フィルム上にハードコート層のみを塗布したフィルムの反射率のうねり振幅(545nm)の値は、0.35〜0.72 %で、◎〜△評価である。実施例1〜17の反射防止フィルムの干渉縞の評価も◎〜△評価で、表の結果からもわかるように、上記の反射率のうねり振幅(545nm)の値と対応した結果となっている。
これに対し、比較例1は、易接着剤層の厚さが50nmであり、本発明の範囲外であるので、干渉縞が×評価となっている。比較例2も、易接着剤層の厚さが20nmであり、本発明の範囲外であるので、干渉縞が×評価となっている。比較例3は、易接着剤層の厚さが3nmであり、本発明の範囲外であるので、塗膜密着性が×評価となっている。比較例4は、五酸化アンチモンの添加量が低すぎ、本発明の範囲外であるので、干渉縞が×評価となり、また最低反射率も高めの結果となった。比較例5は、五酸化アンチモンの添加量が高すぎ、本発明の範囲外であるので、干渉縞が×評価である。また耐スチールウール性も△評価である。比較例6は、ハードコート層の厚さが0.2μmであり、本発明の範囲外であるので、鉛筆硬度がHBと低下し、耐スチールウール性も劣る結果となっている。また、干渉縞も×評価である。比較例7は、ハードコート層の厚さが6μmであり、本発明の範囲外であるので、干渉縞が×評価となった。比較例1〜7の基材フィルム上にハードコート層のみを塗布したフィルムの反射率のうねり振幅(545nm)の値は、0.88〜1.20%で、いずれも×評価である(比較例3を除く)。比較例1〜7の反射防止フィルムの干渉縞の評価もいずれも×評価で(比較例3を除く)、上記の反射率のうねり振幅(545nm)の値と対応した結果となっている。
本発明の反射防止フィルムは、干渉縞が目立たず、最低反射率が低く、透明性、耐スチールウール性、帯電防止性、カール性に優れているので、液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル、パソコン、テレビ、タッチパネル等のディスプレイ表面の反射防止に有用である。
実施例1の基材フィルム上にハードコート層のみを塗布したフィルムサンプルの反射スペクトル曲線である。波長545nmの反射スペクトルのうねりにおいて、該波長にかかる前後のうねり振幅(極大値−極小値)の求め方を示す。 比較例2の基材フィルム上にハードコート層のみを塗布したフィルムサンプルの反射スペクトル曲線である。波長545nmの反射スペクトルのうねりにおいて、該波長にかかる前後のうねり振幅(極大値−極小値)の求め方を示す。

Claims (9)

  1. 二軸延伸ポリエチレンテレフタレートからなる基材フィルム上にハードコート層を有し、さらに前記ハードコート層上に低屈折率層を有する反射防止フィルムであって、
    前記ハードコート層の厚さが0.5〜5μmであり、
    前記ハードコート層が、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化型樹脂100質量部に、無機化合物微粒子200〜600質量部を配合し、これを硬化して形成されたものであり、
    前記基材フィルムとハードコート層との間には、易接着剤層が設けられ、かつ
    前記易接着剤層の厚さが5〜18nmであることを特徴とする反射防止フィルム。
  2. 前記無機化合物微粒子が、五酸化アンチモン、アンチモン酸亜鉛、アンチモンドープ酸化錫、錫ドープ酸化インジウム、二酸化チタン、ジルコニア、酸化亜鉛および酸化錫からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。
  3. 前記無機化合物微粒子が、五酸化アンチモンを主成分とすることを特徴とする請求項2に記載の反射防止フィルム。
  4. 前記電離放射線硬化型樹脂100質量部に、さらに末端に共重合可能な不飽和二重結合を有する重合体5〜20質量部を配合することを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。
  5. 前記電離放射線硬化型樹脂100質量部に、さらにポリチオフェンまたはポリアニリン5〜50質量部を配合することを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。
  6. 前記分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートが、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートであることを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。
  7. 前記五酸化アンチモンの平均粒子径が、5〜100nmであることを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。
  8. 前記低屈折率層が、シリコーン骨格を有するマトリックス成分100質量部に中空シリカ粒子を20〜100質量部を含むことを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。
  9. 前記中空シリカ粒子の平均粒子径が、5〜100nmであることを特徴とする請求項8に記載の反射防止フィルム。
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