JP2006171119A - 反射防止フィルム及びその製造方法、並びに光学部材 - Google Patents

反射防止フィルム及びその製造方法、並びに光学部材 Download PDF

Info

Publication number
JP2006171119A
JP2006171119A JP2004360330A JP2004360330A JP2006171119A JP 2006171119 A JP2006171119 A JP 2006171119A JP 2004360330 A JP2004360330 A JP 2004360330A JP 2004360330 A JP2004360330 A JP 2004360330A JP 2006171119 A JP2006171119 A JP 2006171119A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
refractive index
layer
antireflection film
resin
index layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004360330A
Other languages
English (en)
Inventor
Masanori Yoshihara
眞紀 吉原
Yasumasa Yoshitomi
靖真 吉冨
Tetsuya Toyoshima
哲也 豊嶋
Kohei Arakawa
公平 荒川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Zeon Co Ltd filed Critical Nippon Zeon Co Ltd
Priority to JP2004360330A priority Critical patent/JP2006171119A/ja
Publication of JP2006171119A publication Critical patent/JP2006171119A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】視認性に優れる反射防止フィルム、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】下記条件を満たすことを特徴とする反射防止フィルム。[1]波長400〜800nmにおける分光透過率又は分光反射率スペクトルAと、このスペクトルAから1000cm−1以下の周期を持つ信号を除去することにより得られる平均化スペクトルBとの差の絶対値を、波長400〜800nmの範囲で1nm毎に算出した値の標準偏差Qが20以下である。[2]前記スペクトルA上に存在する干渉波形の極大点のうち、波長550nmを中心に隣接する2点の位置の波数表現の間隔をPとし、前記2点の位置の波数表現の平均値をXとしたとき、フィルム面内で任意に5点で測定した際のX値の標準偏差Sと、Pの平均値Pavとの間においてS/Pav<0.3の関係を満たす。
【選択図】なし

Description

本発明は、反射防止フィルム及びその製造方法、並びにそれを用いた光学部材に関し、特に、偏光板の表面に貼着して使用される反射防止フィルム及びその製造方法、並びにそれを用いた光学部材に関する。
透明性プラスチックフィルムは、各種画像表示装置、例えば、LCD、タッチパネル、CRT、PDP、ELなどにおいて、表面保護を始め、防眩性や反射防止性などの目的で使用されている。表面保護、防眩性や反射防止性を付与するために、透明基材フィルム上に、ハードコート層や反射防止層を形成させているが、画像表示装置の高繊細化に伴い、光学性能の向上が求められている。
ハードコート層は、透明基材フィルム上に、熱硬化や電離放射線硬化などにより形成させるものであるが、フィルム表面で干渉縞が発生し、視認性が損なわれるという問題が起こる。
反射防止層は、真空蒸着法やスパッタリング法、CVD法などのドライ法により、屈折率の異なる材料からなる複数の薄膜を多層積層する;溶液塗工等によるウエットコーティング法により反射防止膜を多層形成させる;ことにより形成されている。前記ドライ法は、真空処理設備の整備や量産性等の問題で処理費用が非常に高価となる問題がある。一方、ウエットコーティング法は、均一な厚みでの多層形成が困難であり、これが干渉縞の問題ともなっている。
一般に、透明基材フィルムは非常に傷つきやすいため、反射防止層はハードコート層を介して設けられているが、これらの組み合わせのフィルムで干渉縞を防止するための検討が種々行われている。
例えば、特許文献1には、ハードコート層の厚みのばらつきを低減することにより干渉縞を防止することが開示されている。しかしながら、屈折率差による界面反射が抑えらず、液晶表示装置などの表示装置に用いたときの視認性が悪くなるという問題がある。
特許文献2には、高屈折率層と低屈折率層との間に中屈折率層を設けて屈折率差を低減することが開示されている。しかしながら、この方法では、屈折率差による反射は抑えられるが、中屈折率層が加わることにより、厚みムラの制御が難しくなったり、工程が増えるので生産コストがかかってしまったりする問題がある。
特許文献3には、基材上にハードコート層を有し、かつ波長730〜780nmにおけるハードコート層の反射スペクトルの山と山あるいは谷と谷の間隔が10nm以下であり、隣り合った山と谷とで反射率の差が0.2%以下であることを特徴とする干渉縞防止ハードコート処理物品が開示されている。しかしながら、この特性を満たすためには、ハードコート層の厚さを厚くしなければならず、ハードコート層の上に反射防止層を積層するときに選択する反射防止層が限られてしまうという問題がある。
特開2000−241527号公報 特開2003−75603号公報 特開2004−45988号公報
従って、本発明の目的は、上記の問題、すなわち、屈折率差による界面反射を抑えることができ、干渉縞が少なく、液晶表示装置などの画像表示装置に用いたときに視認性に優れる反射防止フィルム、及びその製造方法を提供することにある。
かくして前記課題を解決する手段として、
(1)透明樹脂からなる基材フィルムの上に、直接又は他の層を介して、高屈折率層及び反射防止層をこの順に少なくとも設けてなる反射防止フィルムであって、下記条件を満たすことを特徴とする反射防止フィルム、
[1]波長400〜800nmにおける分光透過率又は分光反射率スペクトルAと、このスペクトルAから1000cm−1以下の周期を持つ信号を除去することにより得られる平均化スペクトルBとの差の絶対値を、波長400〜800nmの範囲で1nm毎に算出した値の標準偏差Qが20以下である;
[2]前記スペクトルA上に存在する干渉波形の極大点のうち、波長550nmを中心に隣接する2点の位置の波数表現の間隔をPとし、前記2点の位置の波数表現の平均値をXとしたとき、フィルム面内で任意に5点で測定した際のX値の標準偏差Sと、Pの平均値との間においてS/Pav<0.3の関係を満たす;
(2)前記高屈折率層の厚みが2〜20μmで、かつ屈折率が1.55以上である前記(1)に記載の反射防止フィルム、
(3)前記反射防止層が、厚みが10〜1000nmで、かつ屈折率が1.25〜1.37である低屈折率層である前記(1)又は(2)に記載の反射防止フィルム、
(4)透明樹脂からなる基材フィルムの上に、高屈折率層を形成する塗工液を塗工し、次いで40〜120℃の雰囲気下で、風量5〜40m/分の風を送ることにより乾燥することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の反射防止フィルムの製造方法、
(5)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の反射防止フィルムを備える光学部材、
及び、
(6)偏光板である前記(5)記載の光学部材、
がそれぞれ提供される。
本発明の反射防止フィルムを、光学部材、例えば、液晶表示装置の偏光板に適用すると、干渉縞の発生が少なく、視認性に優れた表示装置を提供することができる。
また、本発明の製造方法によれば、液晶表示装置の偏光板に適用すると、干渉縞の発生が少なく、視認性に優れた表示装置を提供することのできる反射防止フィルムを容易に得ることができる。
本発明の反射防止フィルムは、透明樹脂からなる基材フィルムの上に、直接又は他の層を介して、高屈折率層及び反射防止層をこの順に少なくとも設けてなる。
前記透明樹脂としては、1mm厚で全光線透過率が80%以上のものであれば特に制限されず、例えば、脂環式構造を有する重合体樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂等が挙げられる。これらの透明樹脂は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、透明性に優れ、複屈折が小さい点で、ジアセチルセルロース、プロピオニルセルロース、トリアセチルセルロース、ブチリルセルロース等のセルロース樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂;又は脂環式構造を有する重合体樹脂が好ましく、透明性、軽量性の観点から、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、脂環式構造を有する重合体樹脂が好ましく、寸法安定性、厚み制御性の観点からポリエチレンテレフタレート、脂環式構造を有する重合体樹脂がさらに好ましい。
脂環式構造を有する重合体樹脂は、主鎖及び/又は側鎖に脂環式構造を有するものであり、機械強度、耐熱性などの観点から、主鎖に脂環式構造を含有するものが好ましい。
重合体の脂環式構造としては、飽和脂環炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和脂環炭化水素(シクロアルケン)構造などが挙げられるが、機械強度、耐熱性などの観点から、シクロアルカン構造が好ましい。脂環式構造を構成する炭素原子数には、格別な制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲であるときに、機械強度、耐熱性、及びフィルムの成形性の特性が高度にバランスされ、好適である。本発明に使用される脂環式構造含有重合体中の脂環式構造を含有してなる繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択すればよいが、好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%以上、もっとも好ましくは90重量%以上である。脂環式構造を有する重合体樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合がこの範囲にあると基材フィルムの透明性および耐熱性の観点から好ましい。
脂環式構造を有する重合体樹脂は、具体的には、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィン系重合体、(3)環状共役ジエン系重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素添加物などが挙げられる。これらの中でも、透明性や成形性の観点から、ノルボルネン系重合体がより好ましい。
ノルボルネン系重合体としては、具体的にはノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマーと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体、及びそれらの水素添加物、ノルボルネン系モノマーの付加重合体、ノルボルネン系モノマーと共重合可能なその他のモノマーとの付加型共重合体などが挙げられる。これらの中でも、透明性の観点から、ノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体の水素添加物が最も好ましい。
上記の脂環式構造を有する重合体樹脂は、例えば特開2002−321302号公報などに開示されている公知の重合体から選ばれる。
本発明に用いる透明樹脂のガラス転移温度は、好ましくは80℃以上、より好ましくは100〜250℃である。ガラス転移温度がこのような範囲にある透明樹脂を含有してなる基材フィルムは、高温下での使用における変形や応力が生じることがなく耐久性に優れる。
本発明に用いる基材フィルムは、透明樹脂からなるものであるが、透明樹脂の他に、配合剤を含んでいてもよい。配合剤としては、格別限定はないが、無機微粒子;酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、近赤外線吸収剤等の安定剤;滑剤、可塑剤等の樹脂改質剤;染料や顔料等の着色剤;帯電防止剤等が挙げられる。これらの配合剤は、単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択すればよく、透明樹脂100重量部に対して、通常0〜5重量部、好ましくは0〜3重量部である。
基材フィルムの平均厚みは、機械的強度などの観点から、好ましくは30〜300μm、より好ましくは40〜200μmである。
また、基材フィルムの厚みのばらつきが、全幅にわたって前記平均厚みの3%以内で、かつ標準偏差が平均厚みの0.7%以内であることが好ましく、厚みのばらつきが全幅にわたって前記平均厚みの2.4%以内で、かつ標準偏差が平均厚みの0.5%以内であることがさらに好ましい。基材フィルムの厚みのばらつき及び標準偏差が、前記範囲にあることにより、高屈折率層の密着性及びその上に積層する他の層の表面平滑性を向上させることができる。
本発明に用いる基材フィルムを成形する方法としては、溶液流延法又は溶融押出成形法が挙げられる。中でも、基材フィルム中の揮発性成分の含有量や厚みムラを少なくできる点から、溶融押出成形法が好ましい。さらに溶融押出成形法としては、ダイスを用いる方法やインフレーション法などが挙げられるが、生産性や厚み精度に優れる点でTダイを用いる方法が好ましい。
基材フィルムを成形する方法として、Tダイを用いる方法を採用する場合、Tダイを有する押出機における透明樹脂の溶融温度は、透明樹脂のガラス転移温度よりも80〜180℃高い温度にすることが好ましく、ガラス転移温度よりも100〜150℃高い温度にすることがより好ましい。押出機における溶融温度が過度に低いと透明樹脂の流動性が不足するおそれがあり、逆に溶融温度が過度に高いと樹脂が劣化する可能性がある。
本発明に用いる基材フィルムとして、片面又は両面に表面改質処理を施したものを使用してもよい。表面改質処理を行うことにより、高屈折率層との密着性を向上させることができる。表面改質処理としては、エネルギー線照射処理や薬品処理などが挙げられる。
エネルギー線照射処理としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、電子線照射処理、紫外線照射処理などが挙げられ、処理効率の点等から、コロナ放電処理、プラズマ処理が好ましく、コロナ放電処理が特に好ましい。
薬品処理としては、重クロム酸カリウム溶液、濃硫酸などの酸化剤水溶液中に、浸漬し、その後充分に水で洗浄する方法が挙げられる。浸漬した状態で振盪すると効果的であるが、長期間処理すると表面が溶解したり、透明性が低下したりするといった問題があり、用いる薬品の反応性、濃度などに応じて、処理時間などを調整する必要がある。
本発明においては、基材フィルムと後述する高屈折率層との間に、他の層を介してもよい。他の層としては、プライマー層が挙げられる。
プライマー層は、透明樹脂からなる基材フィルムと高屈折率層との密着性の付与及び向上を目的として形成される。プライマー層を構成する材料としては、例えば、ポリエステルウレタン系樹脂、ポリエーテルウレタン系樹脂、ポリイソシアネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、主鎖に炭化水素骨格を有する樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、塩化ゴム、環化ゴム、これらの重合体に極性基を導入した変性物等が挙げられる。これらの中で、主鎖に炭化水素骨格を有する樹脂に極性基を導入した変性物及び環化ゴムに極性基を導入した変性物を好適に用いることができる。
主鎖に炭化水素骨格を有する樹脂としては、ポリブタジエン骨格又は少なくともその一部に水素添加したポリブタジエン骨格を有する樹脂が挙げられ、具体的には、ポリブタジエン樹脂、水添ポリブタジエン樹脂、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS共重合体)、その水素添加物(SEBS共重合体)等が挙げられる。なかでも、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の水素添加物に極性基を導入した変性物を好適に用いることができる。
重合体の変性物を得るために用いる極性基を導入するための化合物としては、カルボン酸又はその誘導体が好ましい。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸等の不飽和カルボン酸;塩化マレイル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸等の不飽和カルボン酸のハロゲン化物、アミド、イミド、無水物、エステル等の誘導体;等が挙げられる。これらの中でも、不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸無水物による変性物は、密着性に優れるので、好適に用いることができる。不飽和カルボン酸又はその無水物の中では、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸がより好ましく、マレイン酸、無水マレイン酸が特に好ましい。これらの不飽和カルボン酸等は、2種以上を混合して用い、変性することもできる。
プライマー層の厚みは特に制限されないが、通常0.01〜5μm、好ましくは0.1〜2μmである。
本発明に用いる高屈折率層は、有機樹脂材料を必須成分として含む。本発明において、高屈折率層とは、屈折率が1.5以上の層のことをいう。
高屈折率層を構成する有機樹脂材料としては、高屈折率層におけるバインダーとしての性質を有し、高屈折率層形成後の皮膜として十分な強度を持ち、さらに透明性のあるものを特に制限なく使用できる。前記樹脂としては熱硬化型樹脂、熱可塑性樹脂、活性エネルギー線硬化型樹脂が挙げられるが、皮膜の強度、加工性の点で、熱硬化型樹脂又は活性エネルギー線硬化型樹脂が好ましい。
熱硬化型樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン-尿素共縮合樹脂、シリコーン樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられ、なかでも、表面硬度、耐繰り返し疲労性及び耐擦傷性に優れる観点から、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリシロキサン樹脂が好ましい。
また、これらの樹脂に必要に応じて、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤、溶剤、粘度調整剤等を加えて使用することができる。
活性エネルギー線硬化型樹脂は、分子中に重合性不飽和結合またはエポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー及び/又はモノマーが、エネルギー線の照射により硬化してなる樹脂である。活性エネルギー線は、電磁波又は荷電粒子線のうち分子を重合又は架橋し得るエネルギー量子を有するものを指し、通常は紫外線又は電子線を用いる。
紫外線および電子線硬化型樹脂としては特に制限はなく、従来から使用されているものの中から、適宜選択して用いることができる。この紫外線硬化型樹脂は、光重合性プレポリマー、又は光重合性モノマーと光重合開始剤や光増感剤を含有するものである。また、電子線硬化型樹脂は、光重合性プレポリマー又は光重合性モノマーを含有するものである。
前記光重合性プレポリマーとしては、例えばポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリオールアクリレート系等が挙げられる。これらの光重合性プレポリマーは1種用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。また,光重合性モノマーとしては、例えばポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明においては、プレポリマーとしてウレタンアクリレート系、モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を用いることが好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチュウラムモノサルファイド、チオキサントン類等が挙げられる。また、光増感剤としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホスフィン等を混合して用いることができる。
本発明においては、高屈折率層は、前記熱硬化型樹脂又は活性エネルギー線硬化型樹脂と、微粒子とからなるものが好ましい。高屈折率層が、前記構成をとることにより、耐擦傷性に優れ、より高屈折率である層を容易に得ることができる。
前記微粒子としては、平均粒子径が5〜100nm、好ましくは10〜50nmのものを用いる。平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)等により得られる二次電子放出のイメージ写真からの目視やイメージ写真を画像処理することにより、又は動的光散乱法、静的光散乱法等を利用する粒度分布計等により計測することができる
前記微粒子は、上記平均粒子径を有する微粒子であればよいが、導電性微粒子が好ましい。導電性微粒子を用いることにより、帯電防止性、機械的強度に優れる高屈折率層を得ることができる。加えて、高屈折率層の屈折率を容易に制御することができる。
導電性微粒子は、導電性を有する微粒子であれば特に制約はないが、透明性に優れることから、金属酸化物の微粒子が好ましい。
導電性の金属酸化物としては、例えば、五酸化アンチモン、酸化スズ、リンがドープされた酸化スズ(PTO)、アンチモンがドープされた酸化スズ(ATO)、スズがドープされた酸化インジウム(ITO)、亜鉛がドープされた酸化インジウム(IZO)、アルミニウムがドープされた酸化亜鉛(AZO)、フッ素がドープされた酸化スズ(FTO)、酸化亜鉛/酸化アルミニウム、アンチモン酸亜鉛等が挙げられる。これらの金属酸化物微粒子は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、透明性に優れること等から、五酸化アンチモン及び/又はリンがドープされた酸化スズが好ましい。
また本発明においては、導電性の金属酸化物微粒子として、導電性を持たない金属酸化物微粒子に、導電性金属酸化物を被覆することによって、導電性を付与したものを使用することもできる。例えば、屈折率は高いが導電性を有しない酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム等の微粒子の表面に、前記導電性金属酸化物を被覆して導電性を付与して用いることができる。
本発明においては、高屈折率層における微粒子の含有量は、高屈折率層中に少なくとも30体積%であることが好ましく、40〜60体積%であることがさらに好ましい。
本発明においては、高屈折率層は、厚みが0.5〜20μmで、屈折率が1.55以上であることが好ましく、厚みが1〜15μmで、屈折率が1.60以上であることがさらに好ましい。高屈折率層の屈折率がこの範囲にあると、高屈折率層上に反射防止層を積層した場合に、外光の反射を抑制し、映り込みを防止することができる。屈折率は、例えば、公知の分光エリプソメータを用いて測定して求めることができる。
本発明においては、高屈折率層は、JIS K5600−5−4で示す鉛筆硬度試験(試験板はガラス板)で「HB」以上の硬度を示すことが好ましい。高屈折率層の鉛筆硬度が前記範囲であることにより、高屈折率層がハードコート層を兼ねることができ、部材を薄くすることができる。
本発明に用いる反射防止層の構成例としては、中屈折率層(基材フィルムよりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)/低屈折率層や、低屈折率層のみのものが挙げられる。中でも、耐久性、光学特性、コストや生産性の観点から、低屈折率層のみのものが好ましい。具体的には、前記低屈折率層の厚みが10〜1000nmで、かつ屈折率が1.25〜1.37であることが好ましく、厚み30〜500nmで、かつ屈折率が1.30〜1.36であることがさらに好ましい。
本発明において、前記低屈折率層を構成する材料としては、屈折率が上記範囲である層を構成する材料であれば特に制限されないが、屈折率の制御が容易である点及び耐水性に優れる点で、エアロゲルが好ましい。
エアロゲルは、マトリックス中に微小な気泡が分散した透明性多孔質体である。気泡の大きさは大部分が200nm以下であり、気泡の含有量は通常10体積%以上60体積%以下、好ましくは20体積%以上40体積%以下である。
微小な気泡が分散したエアロゲルの具体例としては、シリカエアロゲル、中空微粒子がマトリックス中に分散された多孔質体が挙げられる。
シリカエアロゲルは、米国特許第4402927号公報、米国特許第4432956号公報、米国特許第4610863号公報等に開示されているように、アルコキシシランの加水分解重合反応によって得られたシリカ骨格からなる湿潤状態のゲル状化合物を、アルコールあるいは二酸化炭素等の溶媒(分散媒)の存在下で、この溶媒の臨界点以上の超臨界状態で乾燥することによって製造することができる。超臨界乾燥は、例えばゲル状化合物を液化二酸化炭素中に浸漬し、ゲル状化合物が含む溶媒の全部又は一部をこの溶媒よりも臨界点が低い液化二酸化炭素に置換し、この後、二酸化炭素の単独系、あるいは二酸化炭素と溶媒との混合系の超臨界条件下で乾燥することによって、行うことができる。また、シリカエアロゲルは、米国特許第5137279号公報、米国特許5124364号公報等に開示されているように、ケイ酸ナトリウムを原料として、上記と同様にして製造しても良い。シリカエアロゲルの屈折率は、シリカエアロゲルの原料配合比によって自由に変化させることができる。
また、シリカエアロゲルを用いる場合において、上記のようにしてアルコキシシランの加水分解、重合反応によって得られたゲル状化合物を疎水化処理することによって、シリカエアロゲルに疎水性を付与することが好ましい。このように疎水性を付与した疎水性シリカエアロゲルは、湿気や水等が浸入し難くなり、シリカエアロゲルの屈折率や光透過性等の性能が劣化することを防ぐことができるものである。
この疎水化処理は、ゲル状化合物を超臨界乾燥する前、あるいは超臨界乾燥中に行うことができる。疎水化処理は、ゲル状化合物の表面に存在するシラノール基の水酸基を疎水化処理剤の官能基と反応させ、疎水化処理剤の疎水基と置換させることによって疎水化するために行うものである。疎水化処理を行う手法としては、疎水化処理剤を溶媒に溶解させた疎水化処理液中にゲルを浸漬し、混合するなどしてゲル内に疎水化処理剤を浸透させた後、必要に応じて加熱して、疎水化反応を行わせる方法があげられる。
疎水化処理に用いる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、キシレン、トルエン、ベンゼン、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルジシロキサン等を挙げることができるが、疎水化処理剤が容易に溶解し、かつ、疎水化処理前のゲルが含有する溶媒と置換可能なものであればよく、これらに限定されるものではない。また後の工程で超臨界乾燥が行われる場合、超臨界乾燥の容易な媒体、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、液化二酸化炭素などと同一種類もしくはそれと置換可能なものが好ましい。また疎水化処理剤としては例えば、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシロキサン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
疎水化処理については、特開平5−279011号公報、特開平7−138375号公報に開示されている方法を用いることもできる。
中空微粒子がマトリックス中に分散された多孔質体としては、特開2001−233611号公報、特開2003−149642号公報に開示されているような、微粒子の内部に空隙を持つ中空微粒子をバインダー樹脂に分散させた多孔質体が挙げられる。
バインダー樹脂としては中空微粒子の分散性、多孔質体の透明性、多孔質体の強度等の条件に適合する樹脂等から選択して用いることができ、例えば従来から用いられているポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂、ブチラール樹脂、フェノール樹脂、酢酸ビニル樹脂、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂、エマルジョン樹脂、水溶性樹脂、親水性樹脂、これら樹脂の混合物、さらにはこれら樹脂の共重合体や変性体などの塗料用樹脂、またはアルコキシシラン等の加水分解性有機珪素化合物およびその加水分解物等が挙げられる。
これらの中でも微粒子の分散性、多孔質体の強度からアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アルコキシシラン等の加水分解性有機珪素化合物・およびその加水分解物が好ましい。
低屈折率層として中空微粒子がマトリックス中に分散された多孔質体を用いる場合には、低屈折率層の反射特性や防汚性を向上させることから、上記樹脂にフッ素樹脂を混合してもよい。
中空微粒子は、無機化合物の中空微粒子であれば、特に制限されないが、外殻の内部に空洞が形成された無機中空微粒子が好ましく、シリカ系中空微粒子が特に好ましい。
無機化合物としては、無機酸化物が一般的である。無機酸化物としては、SiO、Al、B、TiO、ZrO、SnO、Ce、P、Sb、MoO、ZnO、WO等の1種又は2種以上を挙げることができる。2種以上の無機酸化物として、TiO-Al、TiO-ZrO、In-SnO、Sb-SnOを例示することができる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
無機中空微粒子としては、(A)無機酸化物単一層、(B)種類の異なる無機酸化物からなる複合酸化物の単一層、及び(C)上記(A)と(B)との二重層を包含するものを用いることができる。
外殻は細孔を有する多孔質なものであってもよく、あるいは細孔が閉塞されて空洞が外殻の外側に対して密封されているものであってもよい。外殻は、内側の第1無機酸化物被覆層及び外側の第2無機酸化物被覆層からなる複数の無機酸化物被覆層であることが好ましい。外側に第2無機酸化物被覆層を設けることにより、外殻の細孔を閉塞させて外殻を緻密化したり、さらには、内部の空洞を密封した無機中空微粒子を得ることができる。特に第2無機酸化物被覆層の形成に含フッ素有機珪素化合物を用いる場合は、フッ素原子を含む被覆層が形成されるために、得られる粒子はより低屈折率となるとともに、有機溶媒への分散性もよく、さらに低屈折率層の防汚性付与にも効果があり好ましい。このような含フッ素有機珪素化合物としては、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン等をあげることが出来る。
無機中空微粒子の平均粒子径は特に制限されないが、5〜2000nmが好ましく、20〜100nmがより好ましい。5nmよりも小さいと、中空によって低屈折率になる効果が小さく、逆に2000nmよりも大きいと、透明性が極端に悪くなり、拡散反射による寄与が大きくなってしまう。ここで、平均粒子径は、透過型電子顕微鏡観察による数平均粒子径である。
上述のような無機中空微粒子の製造方法は、例えば、特開2001-233611号公報に詳細に記載されており、本発明に使用できる無機中空微粒子は、そこに記載された方法に基づいて製造することができ、また一般に市販されている無機中空微粒子を用いることもできる。
無機中空微粒子の配合量は、特に制限されないが、低屈折率層全体に対して、10〜30重量%であるのが好ましい。無機中空微粒子の配合量がこの範囲であるときに、低屈折率性と耐擦傷性を兼ね備えた反射防止フィルムを得ることができる。
本発明においては、反射防止層の上に防汚層を有していても良い。防汚層は、低屈折率層を保護し、かつ、防汚性能を高めるために設けるものである。
防汚層の形成材料としては、低屈折率層の機能が阻害されず、防汚層としての要求性能が満たされる限り特に制限はない。通常、疎水基を有する化合物を好ましく使用できる。
具体的な例としてはパーフルオロアルキルシラン化合物、パーフルオロポリエーテルシラン化合物、フッ素含有シリコーン化合物を使用することができる。防汚層の形成方法は、形成する材料に応じて、例えば、蒸着、スパッタリング等の物理的気相成長法;化学的気相成長(CVD)法;湿式コーティング法;等を用いることができる。防汚層の厚みは特に制限はないが、通常20nm以下が好ましく、1〜10nmであるのがより好ましい。
本発明の反射防止フィルムは、以下の要件を満たす。
[1]波長400〜800nmにおける分光透過率又は分光反射率スペクトルAと、このスペクトルAから1000cm−1以下の周期を持つ信号を除去することにより得られる平均化スペクトルBとの差の絶対値を、波長400〜800nmの範囲で1nm毎に算出した値の標準偏差Qが20以下である。
[2]前記スペクトルA上に存在する干渉波形の極大点のうち、波長550nmを中心に隣接する2点の位置の波数表現の間隔をPとし、前記2点の位置の波数表現の平均値をXとしたとき、フィルム面内で任意に5点で測定した際のX値の標準偏差Sと、Pの平均値Pavとの間においてS/Pav<0.3の関係を満たす。
上記[1]で表される標準偏差Qは、波長400〜800nmにおける分光透過率又は分光反射率スペクトルの振幅のばらつきを表している。この標準偏差Qが20を超えると、干渉縞が目立って視認性が悪化する傾向にある。上記[1]において、前記標準偏差Qは、20以下、好ましくは15以下、さらに好ましくは12以下である。前記標準偏差Qが小さくなればなるほど、干渉縞が目立たなくなり、かつ視認性が向上(例えば、縞模様を見続けることに伴う不快感がなくなる)する。
前記標準偏差Qは、以下の(a)〜(e)に示す手順で求めることができる。
(a)反射防止フィルムの分光透過率又は分光反射率を波長400〜800nmにおいて測定し、分光透過率又は分光反射率スペクトルAを得る。
(b)得られた前記スペクトルAについて、このスペクトルAから1000cm−1以下の周期を持つ信号を除去して、平均化スペクトルBを求める。
(c)波長400〜800nmにおいて1nm毎に、スペクトルAとスペクトルBとの差の絶対値を求める。
(d)400〜800nmにおける差の総和をとる。
(e)上記(a)〜(d)の操作を反射防止フィルムの任意の5点について行い、その総和について標準偏差Qを求める。
分光透過率又は分光反射率は、市販の分光光度計を用いて測定する。前記スペクトルA、スペクトルB、スペクトルAとスペクトルBとの差の絶対値は、分光光度計により得られた分光透過率又は分光反射率からデータを処理することにより、求めることができる。
上記[2]で表されるS/Pavは、スペクトルのずれに起因するものであり、この値が前記0.3以上となると、色むらによる干渉縞が目立って視認性が悪くなる傾向にある。上記式[2]において、S/Pavは0.3未満、好ましくは0.25以下、より好ましくは0.2以下である。S/Pavの値が小さくなればなるほど、干渉縞が目立たなくなり、かつ視認性が向上する。
前記S、P、S/Pavは、以下の(f)〜(i)で示す手順により求めることができる。
(f)反射防止フィルムの分光透過率又は分光反射率を波長400〜800nmにおいて測定し、分光透過率又は分光反射率スペクトルAを得る。
(g)得られたスペクトルAからこのスペクトルのピーク位置(極大点、極小点)を検出し、そのピーク位置に基づいて極大点を検出する。ピーク位置の検出方法としては、スペクトルの一次微分値が0(f`(x)=0)となるような点を検出する方法が挙げられる。ここでf(x)は、スペクトルの波形関数、xは波長である)。極大点の検出方法としては、一次微分値が0となる点において、二次微分値が負となる点を検出することにより求める方法が挙げられる。
(h)検出した極大点で、波長550nmを中心に隣接する2点の位置を波長550nmより短波長側の極大値の位置をA[nm]、長波長側の極大値の位置をB[nm]としたとき、A、B2点の位置を波数表現したときの間隔Pと平均値Xを求める。なお、前記P及びXは、下記式より求める。
P=(1/A)−(1/B)
X={(1/A)+(1/B)}/2
ここで、波数表現とは、波長の逆数で表すことを意味する。
(i)上記(f)〜(h)の操作を反射防止フィルムの任意の5点について行い、Pの平均値と、Xの標準偏差Sを求める。そして、求められたPの平均値Pavと標準偏差SからS/Pavを求める。
本発明の反射防止フィルムの製造方法は、透明樹脂からなる基材フィルムの上に、高屈折率層を形成する塗工液を塗工し、次いで40〜120℃の雰囲気下で、風量5〜40m/分の風を送ることにより乾燥することを特徴とする。
本発明の製造方法に用いる基材フィルムは、本発明の反射防止フィルムのところで説明したとおりである。
基材フィルムと高屈折率層との間に他の層を介する場合において、他の層としてはプライマー層が挙げられる。プライマー層を形成する材料は、本発明の防眩性フィルムのところで説明したとおりである。プライマー層の形成方法は特に制限されず、プライマー層形成用塗工液を公知の塗工方法により、基材フィルム上に塗工して形成する方法等が挙げられる。
本発明の製造方法において、高屈折率層を形成する塗工液には、通常、有機樹脂材料と有機溶剤が必須成分として含まれる。
有機樹脂材料としては、本発明の反射防止フィルムのところで説明したとおりである。
本発明の製造方法において、高屈折率層を形成する塗工液に含まれる有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等のアルコール類;エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコール類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;及びこれらの2種以上からなる組み合わせ;等が挙げられる。
これらの中でも、ASTM.D3539.76に従い測定した酢酸n−ブチルの蒸発速度を1とした場合の相対蒸発速度で0.7以上であることが好ましく、0.9以上であることがより好ましい。このような溶剤としては、メタノール、エタノール、トルエン、n−ヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが挙げられる。
塗工液における有機溶剤の含有量は、20体積%以上であり、40体積%以上であることが好ましい。
本発明の製造方法において、前記塗工液に含まれる他の成分としては、微粒子が挙げられる。
前記微粒子としては、本発明の反射防止フィルムのところで説明したとおりである。
微粒子を含む場合、微粒子の含有量は、前記塗工液中に5体積%以上、好ましくは7〜30体積%である。
本発明の製造方法において、高屈折率層を形成する塗工液を塗工する方法としては、特に制限されず、公知の塗工方法が採用できる。塗工方法としては、ワイヤバーコート法、ディップ法、スプレー法、スピンコート法、ロールコート法等が挙げられる。
塗工する雰囲気の温度は、特に制限されないが、好ましくは10〜40℃、より好ましくは20〜30℃である。塗工する雰囲気の相対湿度は, 通常10〜80%、好ましくは40〜70%である。
本発明の製造方法では、基材フィルムの上に高屈折率層を形成する塗工液を塗工し、次いで乾燥する。
本発明の製造方法において、基材フィルム上に塗工した高屈折率層を形成する塗工液を乾燥するときの条件は、乾燥する雰囲気の温度が40〜120℃、風量が5〜40m/分、好ましくは乾燥する雰囲気の温度が60〜120℃、風量が5〜20m/分である。乾燥する雰囲気の温度が40℃未満であると塗工液の乾燥が十分に行えず、乾燥に時間がかかる。逆に乾燥する雰囲気の温度が120℃を超えると塗工液に用いている有機溶剤が急激に揮発しやすくなり乾燥ムラが発生しやすく得られるフィルムに干渉縞が生じ易くなる。乾燥するときの風量が5m/分未満であると塗工面に均一に風を送ることができずに高屈折率層の厚みムラが発生しやすくなる傾向にあり、逆に風量が40m/分を超えると、乾燥の際に塗工液が流動しやすくなり塗工ムラが発生して干渉縞の原因となりやすい。
乾燥する際の風の送り方は、特に制限されないが、通常は、基材フィルムの上方から高屈折率層が設けられている側の面へ送る。また、風を送る装置の配置方法も特に制限されず、吹き出し口及び吸気口を基材フィルムの上方に設ける方法、吹き出し口を基材フィルムの上方へ吸気口を基材フィルムの下方へ設ける方法などが挙げられる。吹き出し口及び吸気口を設ける数も特に制限されない。
本発明の製造方法においては、前記乾燥の後、硬化させる工程を有することが好ましい。
高屈折率層の塗膜を得てこれを乾燥した後は、熱硬化型樹脂を含有する場合には加熱することにより、活性エネルギー線硬化型樹脂を含有する場合には活性エネルギー線を照射することにより、それぞれ硬化させて高屈折率層を形成することができる。硬化させる条件は、高屈折率層を構成する有機樹脂材料の種類によって異なる。
有機樹脂材料が、熱硬化型樹脂である場合は、使用する熱硬化型樹脂に適した硬化条件で加熱して、硬化させればよい。
有機樹脂材料が、活性エネルギー線硬化型樹脂である場合は、電子線又は紫外線の照射によって硬化することができる。電子線硬化の場合は、コックロフワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1,000KeVのエネルギーを有する電子線が使用される。紫外線硬化の場合は、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が挙げられる。電子線又は紫外線は、高屈折率層を設けられている面、高屈折率層が設けられていない面のどちらに照射してもよいし、両方に照射してもよい。
本発明の製造方法において、高屈折率層の上に低屈折率層を形成する場合は、低屈折率層を構成する塗工液を高屈折率層の上に塗工し、次いで乾燥することにより得られる。
塗工方法としては、ワイヤバーコート法、ディップ法、スプレー法、スピンコート法、ロールコート法等の公知の塗工方法が挙げられる。
低屈折率層を構成する塗工液としては、本発明の反射防止フィルムのところで説明した低屈折率層を構成する材料に必要に応じて加えた溶剤からなるものが挙げられる。
低屈折率層を構成する材料が、中空微粒子がマトリックス中に分散された多孔質体である場合の形成方法は特に制限されず、例えば、防眩層の上に少なくとも微粒子の内部に空隙を持つ中空微粒子とバインダー樹脂とを含有してなる塗工液を公知の塗工方法により塗工し、必要に応じ乾燥・加熱処理を施す方法が挙げられる。必要に応じて行われる加熱の温度は、通常50〜200℃、好ましくは80〜150℃である。
本発明の製造方法において、低屈折率層の上に防汚層を形成する場合、防汚層の形成方法としては、形成する材料に応じて、蒸着、スパッタリング等の物理的気相成長法;化学的気相成長(CVD)法;湿式コーティング法;が挙げられる。
本発明の光学部材は本発明の反射防止フィルムを備えることを特徴とする。
光学部材としては、プラズマディスプレイパネルにおけるプラズマディスプレイパネル前面板、液晶表示装置における偏光板などが挙げられる。なかでも、液晶表示装置における偏光板が好ましい。
本発明の反射防止フィルムをプラズマディスプレイパネルにおけるプラズマディスプレイパネル前面板として用いる場合には、透明基板の片面、若しくは両面に、本発明の反射防止フィルムを、基材フィルムの高屈折率層及び低屈折率層が設けられている方の面が視認側になるように積層して用いる。
透明基板は、透明であれば特に制限されず、ガラス、透明樹脂基板が挙げられる。本発明の反射防止フィルムと透明基板との積層は、接着剤や粘着剤等の適宜の接着手段を用いて貼り合せることができる。接着剤、又は粘着剤としては、アクリル系、シリコーン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、ゴム系等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性や透明性に優れる点で、アクリル系の接着剤、又は粘着剤が好ましい。
液晶表示装置における偏光板は、液晶セルの出射側に及び入射側に設けられている。この偏光板は、偏光子の両側に保護フィルムが配置されている。本発明の反射防止フィルムは、出射側の偏光板の前記保護フィルムの少なくとも片方に替えることができる。
偏光子としては、例えばポリビニルアルコールや部分ホルマール化ポリビニルアルコール等の従来に準じた適宜なビニルアルコール系ポリマーよりなるフィルムに、ヨウ素や二色性染料等よりなる二色性物質による染色処理、延伸処理、架橋処理等の適宜な処理を適宜な順序や方式で施したもので、自然光を入射させると直線偏光を透過する適宜なものを用いることができる。特に、光透過率や偏光度に優れるものが好ましい。偏光子の厚みは、5〜80μmが一般的であるが、これに限定されない。
本発明の反射防止フィルムを偏光子の少なくとも片方の面に備えればよく、通常は片方のみに備える。本発明の反射防止フィルムを偏光子の片方の面のみに備える場合には、本発明の反射防止フィルムが表示装置における視認側になるように備える、すなわち、出射側偏光子の視認側に備えることが好ましい。
本発明の反射防止フィルムを偏光子の片方のみに備える場合には、偏光子のもう一方の面には保護フィルムを備えることが好ましい。この場合において、保護フィルムとしては、例えばトリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂や脂環式構造を有する重合体樹脂からなるフィルムが挙げられるが、透明性、低複屈折性、寸法安定性などに優れる点から脂環式構造を有する重合体樹脂からなるフィルムが好ましい。脂環式構造を有する重合体樹脂としては、本発明の反射防止フィルムに用いる基材フィルムの部分で記載したものと同様のものが挙げられる。
前記保護フィルムは、等方性でもよく、複屈折性を有していてもよい。前記保護フィルムが、複屈折性を有している場合は、液晶表示装置の形成に際して積層する位相差板をこの保護フィルムが兼ねることができ、部材の薄型化が可能になる。前記複屈折性を有する保護フィルムを得る方法としては、基材フィルムを延伸する方法、基材フィルム上に液晶性化合物からなる光学異方層を積層する方法が挙げられる。
本発明の反射防止フィルムと偏光子との間、偏光子と保護フィルムとの間に、接着剤層又は粘着剤層を介してもよい。接着剤層に用いる接着剤又は粘着剤としては、例えば、アクリル系、シリコーン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、ゴム系等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性や透明性等の観点から、アクリル系のものが好ましい。
偏光板の厚みは、特に制限されないが、通常60μm〜2mmの範囲である。
本発明の防眩性フィルム又は偏光板を、液晶表示装置に用いる際には、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、HAN(Hybrid Alignment Nematic)型、VA(Vertical Alignment)、MVA(Multiple Vertical Alignment)型、IPS(In Plane Switching)型、OCB(Optical Compensated Bend)型等の透過型、半透過型、反射型等、あらゆる液晶モードの液晶セルに好ましく用いることができる。
本発明を、実施例を示しながら、さらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお部及び%は特に断りのない限り重量基準である。
本実施例における評価は、以下の方法によって行った。
(1)基材フィルムの平均厚み、厚みのばらつき、平均厚みの標準偏差
フィルムを幅50mmの短冊状(長さ5m以上)に切り出し、これをROTARY CALIPER・接触式厚さ計(明産社製、RC−1−200/1000)を用いて0.48mm毎に測定し、その測定値の算術平均値を平均厚みT(μm)とする。厚みのばらつきは、前記測定した厚みの内最大値をTMAX(μm)、最小値をTMIN(μm)とすると以下の式から算出する。
厚みのばらつき(%)=(TMAX−TMIN)/T×100
平均厚みの標準偏差(%)は、0.48mm毎に測定した全厚み測定値より算出する。
(2)屈折率(基材フィルム、高屈折率層、反射防止層)
高速分光エリプソメトリ(J.A.Woollam社製、M−2000U)を用い、測定波長400〜1000nm,入射角度55、60、65度それぞれにおいて測定し、これらの測定値から算出した。
(3)反射防止フィルムの反射率、標準偏差Q、標準偏差S、S/Pavの値
反射率は、分光光度計(日本分光社製、紫外可視近赤外分光光度計V−570)を用い、入射角5度で、波長400〜800nmにおける反射率を1nm間隔で測定した。
標準偏差Qは、以下の(a)〜(e)に示す手順で求めた。
(a)反射防止フィルムの分光透過率又は分光反射率を波長400〜800nmにおいて測定し、分光透過率又は分光反射率スペクトルAを得る。
(b)得られた前記スペクトルAについて、このスペクトルAから1000cm−1以下の周期を持つ信号を除去して、平均化スペクトルBを求める。
(c)波長400〜800nmにおいて1nm毎に、スペクトルAとスペクトルBとの差の絶対値を求める。
(d)400〜800nmにおける差の総和を求める。
(e)上記(a)〜(d)の操作を反射防止フィルムの任意の5点について行い、その総和について標準偏差Qを求める。
標準偏差S、S/Pavの値は、以下の(f)〜(i)に示す手順で求めた。
(f)反射防止フィルムの分光透過率又は分光反射率を波長400〜800nmにおいて測定し、分光透過率又は分光反射率スペクトルAを得る。
(g)得られたスペクトルAからこのスペクトルのピーク位置(極大点、極小点)を検出し、そのピーク位置に基づいて極大点を検出する。ピーク位置は、スペクトルの一次微分値が0(f`(x)=0)となるような点を検出することにより求める。ここでf(x)は、スペクトルの波形関数、xは波長である)。極大点は、一次微分値が0となる点において、二次微分値が負となる点を検出することにより求める。
(h)検出した極大点で、波長550nmを中心に隣接する2点の位置を波長550nmより短波長側の極大値の位置をA[nm]、長波長側の極大値の位置をB[nm]としたとき、A、B2点の位置を波数表現したときの間隔Pと平均値Xを求める。なお、前記P及びXは、下記式より求める。
P=(1/A)−(1/B)
X={(1/A)+(1/B)}/2
ここで、波数表現とは、波長の逆数で表すことを意味する。
(i)上記(f)〜(h)の操作を反射防止フィルムの任意の5点について行い、Pの平均値Pavと、Xの標準偏差Sを求める。そして、求められたPの平均値Pavと標準偏差SからS/Pavを求める。
(4)反射防止フィルムの干渉縞観察
三波長蛍光灯下で暗幕を下に敷いた状態で反射防止フィルムを配置して、目視観察により、以下の基準で判断した。
◎:干渉縞が見えない。
○:干渉縞がうっすらと見える。
△:干渉縞が目立つ。
×:干渉縞が目立ち、かつギラツキが生じる。
(5)視認性
市販の液晶テレビ(シャープ社製、LC−13C5−S)の液晶セルを挟んでいる偏光板の内、出射側の偏光板をはがし、かわりに本実施例又は比較例で得られた偏光板を反射防止フィルムが視認側になるように貼り合わせて評価用モニターとし、以下の基準で表示品位を評価した。
○:長時間(例えば1〜2時間くらい)使用しても作業者が不快に感じない。
×:長時間の使用で作業者が不快に感じる。
(製造例1)高屈折率層用塗工液1の調製
五酸化アンチモンの変性アルコールゾル(固形分濃度30%、触媒化成社製)100部に、紫外線硬化型ウレタンアクリレート(日本合成化学社製、紫光UV7000B)10部、光重合開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、イルガキュア−184)0.4部を混合し、紫外線硬化型の高屈折率層用塗工液1を得た。
(製造例2)高屈折率層用塗工液2の調製
アクリル系紫外線硬化型組成物(日本化薬社製、商品名「KAYANOVAFOP-5000」)30部をホモジナイザーで混合して紫外線硬化性樹脂組成物からなる高屈折率層用塗工液2を得た。
(製造例3)反射防止層用塗工液1の調製
テトラメトキシシランのオリゴマー(コルコート社製、「メチルシリケート51」)と、メタノール、水、0.01Nの塩酸水溶液とを重量比で21:36:2:2となるように混合し、これを25℃の高温槽中で2時間撹拌して、重量平均分子量を850になるように調製し、シリコーンレジンを得た。
次に中空シリカ微粒子として中空シリカイソプロパノール分散ゾル(触媒化成工業製、固形分20重量%、平均一次粒子径約35nm、外殻厚み約8nm)を前記シリコーンレジンに加え,中空シリカ微粒子とシリコーンレジン(縮合化合物換算)とが固形分基準で重量比が8:2となるように混合し、その後、全固形分が1%になるようにメタノールで希釈して、反射防止層用塗工液1を調製した。
(製造例4)偏光子の調製
厚さ75μmのPVAフィルム(クラレビニロン#7500)をチャックに装着しヨウ素0.2g/L、ヨウ化カリウム60g/Lよりなる水溶液中に30℃で4分間浸漬し、次いでホウ酸70g/L、ヨウ化カリウム30g/Lの組成の水溶液に浸漬しながら、6.0倍に一軸延伸しつつ5分間ホウ酸処理を行った。これを室温で24時間乾燥することにより偏光子を得た。
(実施例1)
基材フィルムとしてノルボルネン系樹脂フィルム(平均厚み:40μm、厚みのばらつき:平均厚みの1.8%、厚みの標準偏差:0.4μm、屈折率1.53、以下、「基材フィルムa」と記すことがある。)を用い、この両面に、高周波発信機(コロナジェネレータHV05−2,Tamtec社製)を用いて、出力電圧100%、出力250Wで、直径1.2mmのワイヤー電極で、電極長240mm、ワーク電極間1.5mmの条件で3秒間コロナ放電処理を行い、表面張力が0.072N/mになった基材フィルムaを得た。
表面改質した基材フィルムaに、製造例1で得た高屈折率層用塗工液1を硬化後の高屈折率層の厚みが5μmになるように、マイクログラビアを用いて温度25℃、相対湿度60%の雰囲気下で塗工して塗膜を得た。次いで、この塗膜に80℃の雰囲気下で風量9m/分の風を5分間送ることにより乾燥した後、紫外線照射(積算光量300mJ/cm)を行って硬化させることにより高屈折率層を形成させた。
高屈折率層の上に、製造例3で得られた反射防止層用塗工液1を調製後1時間放置したものを、塗工後の平均厚みが100nmになるようにワイヤーバーコーターを用いて塗工し、次いでこれを室温で1時間乾燥した後、120℃で10分間熱処理を行うことにより、反射防止フィルム1を得た。この反射防止フィルム1について、上述の屈折率及び反射率の測定、並びに干渉縞観察を行った。その結果を表1に示す。
この反射防止フィルム1の基材フィルムaの高屈折率層及び反射防止層が積層されていない方の面にアクリル系接着剤(住友スリーエム社製、「DP−8005クリア」)を介して、製造例4で得られた偏光子を貼り合わせ、偏光子のもう一方の面にアクリル系接着剤(住友スリーエム社製、「DP−8005クリア」)を介して、表面張力が0.072N/mになった基材フィルムaを貼り合わせることにより偏光板1を得た。この偏光板1について、上述の視認性の評価を行った。その結果を表1に示す。
(実施例2)
基材フィルムaのかわりに、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製、コスモシャイン4300、厚み100μm、屈折率1.65、以下「基材フィルムb」と記す)を用いた他は実施例1と同様の操作を行うことにより、反射防止フィルム2を得た。次いでこの反射防止フィルム2を用いて実施例1と同様の操作を行うことにより偏光板2を得た。
反射防止フィルム2及び偏光板2について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
(実施例3)
高屈折率層用塗工液1を塗工した後の乾燥の際に送る風量を30m/分とした他は、実施例1と同様の操作を行うことにより、反射防止フィルム3を得た。次いでこの反射防止フィルム3を用いて実施例1と同様の操作を行うことにより偏光板4を得た。
反射防止フィルム3及び偏光板3について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
(比較例1)
基材フィルムとして、平均厚みが40μm、厚みのばらつきが平均厚みの6%、厚みの標準偏差が0.4μmであるノルボルネン系樹脂フィルム(以下、「基材フィルムc」と記すことがある。)を用いた他は、実施例1と同様に操作を行うことにより、反射防止フィルム4を得た。次いでこの反射防止フィルム4を用いて実施例1と同様の操作を行うことにより偏光板4を得た。
反射防止フィルム4及び偏光板4について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
(比較例2)
基材フィルムaのかわりに基材フィルムbを用い、高屈折率層用塗工液1のかわりに、製造例2で得られた高屈折率層用塗工液2を用いた他は、実施例1と同様の操作を行うことにより、反射防止フィルム5を得た。次いでこの反射防止フィルム5を用いて実施例1と同様の操作を行うことにより偏光板5を得た。
反射防止フィルム5及び偏光板5について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
(比較例3)
基材フィルムaのかわりに基材フィルムbを用い、反射防止層用塗工液1を塗工するかわりにMgFを厚みが100nmとなるようにスパッタリング法により形成した他は、実施例1と同様の操作を行うことにより、反射防止フィルム6を得た。次いでこの反射防止フィルム6を用いて実施例1と同様の操作を行うことにより偏光板6を得た。
反射防止フィルム6及び偏光板6について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
(比較例4)
高屈折率層用塗工液1を塗工した後の乾燥の際に送る風量を50m/分とした他は、実施例1と同様の操作を行うことにより、反射防止フィルム7を得た。次いでこの反射防止フィルム7を用いて実施例1と同様の操作を行うことにより偏光板7を得た。
反射防止フィルム7及び偏光板7について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
Figure 2006171119
表1の結果から以下のことがわかる。
実施例のフィルムは、標準偏差Qが20以下であり、S/Pav値が0.3よりも小さい。その結果、干渉縞観察において干渉縞がうっすら見える又は全く見えない。加えて、視認性評価においても作業者が不快に感じない。実施例の反射防止フィルムの中でも、標準偏差Qが10で、S/Pav値が0.2である実施例1の反射防止フィルム1は、干渉縞観察においても干渉縞がまったく見られず、かつ視認性も良好である。
一方、比較例のフィルムは、標準偏差Qが20を超える又はS/Pav値が0.3以上である。その結果、干渉縞観察において干渉縞が目立ってギラツキが生じ、視認性評価において作業者が不快に感じてしまう。

Claims (6)

  1. 透明樹脂からなる基材フィルムの上に、直接又は他の層を介して、高屈折率層及び反射防止層をこの順に少なくとも設けてなる反射防止フィルムであって、下記条件を満たすことを特徴とする反射防止フィルム。
    [1]波長400〜800nmにおける分光透過率又は分光反射率スペクトルAと、このスペクトルAから1000cm−1以下の周期を持つ信号を除去することにより得られる平均化スペクトルBとの差の絶対値を、波長400〜800nmの範囲で1nm毎に算出した値の標準偏差Qが20以下である。
    [2]前記スペクトルA上に存在する干渉波形の極大点のうち、波長550nmを中心に隣接する2点の位置の波数表現の間隔をPとし、前記2点の位置の波数表現の平均値をXとしたとき、フィルム面内で任意に5点で測定した際のX値の標準偏差Sと、Pの平均値Pavとの間においてS/Pav<0.3の関係を満たす。
  2. 前記高屈折率層の厚みが0.5〜20μmで、かつ屈折率が1.55以上である請求項1記載の反射防止フィルム。
  3. 前記反射防止層が、厚み10〜1000nmで、かつ屈折率が1.25〜1.37の低屈折率層である請求項1又は2記載の反射防止フィルム。
  4. 透明樹脂からなる基材フィルムの上に、高屈折率層を形成する塗工液を塗工し、次いで40〜120℃の雰囲気下で、風量5〜40m/分の風を送ることにより乾燥することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の反射防止フィルムの製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の反射防止フィルムを備える光学部材。
  6. 偏光板である請求項5記載の光学部材。
JP2004360330A 2004-12-13 2004-12-13 反射防止フィルム及びその製造方法、並びに光学部材 Pending JP2006171119A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004360330A JP2006171119A (ja) 2004-12-13 2004-12-13 反射防止フィルム及びその製造方法、並びに光学部材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004360330A JP2006171119A (ja) 2004-12-13 2004-12-13 反射防止フィルム及びその製造方法、並びに光学部材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006171119A true JP2006171119A (ja) 2006-06-29

Family

ID=36671982

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004360330A Pending JP2006171119A (ja) 2004-12-13 2004-12-13 反射防止フィルム及びその製造方法、並びに光学部材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006171119A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008018543A (ja) * 2006-07-10 2008-01-31 Nof Corp ハードコートフィルム、それを用いた反射防止性フィルム及び反射防止性近赤外線遮蔽フィルム
JP2008073999A (ja) * 2006-09-22 2008-04-03 Riken Technos Corp 反射防止フィルム
JP2016122190A (ja) * 2014-12-24 2016-07-07 住友化学株式会社 偏光フィルム、偏光板および偏光フィルムの製造方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003322704A (ja) * 2002-05-07 2003-11-14 Nitto Denko Corp 反射防止シートの製造方法、反射防止シート、光学素子および画像表示装置
JP2004016926A (ja) * 2002-06-17 2004-01-22 Nitto Denko Corp 被膜シートの製造方法、反射防止シートの製造方法、光学素子画像表示装置および塗工装置
WO2004088369A1 (ja) * 2003-03-31 2004-10-14 Zeon Corporation 偏光板保護フィルム
JP2004325890A (ja) * 2003-04-25 2004-11-18 Nitto Denko Corp 光学機能層、その評価方法、光学素子および画像表示装置

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003322704A (ja) * 2002-05-07 2003-11-14 Nitto Denko Corp 反射防止シートの製造方法、反射防止シート、光学素子および画像表示装置
JP2004016926A (ja) * 2002-06-17 2004-01-22 Nitto Denko Corp 被膜シートの製造方法、反射防止シートの製造方法、光学素子画像表示装置および塗工装置
WO2004088369A1 (ja) * 2003-03-31 2004-10-14 Zeon Corporation 偏光板保護フィルム
JP2004325890A (ja) * 2003-04-25 2004-11-18 Nitto Denko Corp 光学機能層、その評価方法、光学素子および画像表示装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008018543A (ja) * 2006-07-10 2008-01-31 Nof Corp ハードコートフィルム、それを用いた反射防止性フィルム及び反射防止性近赤外線遮蔽フィルム
JP2008073999A (ja) * 2006-09-22 2008-04-03 Riken Technos Corp 反射防止フィルム
JP2016122190A (ja) * 2014-12-24 2016-07-07 住友化学株式会社 偏光フィルム、偏光板および偏光フィルムの製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5045823B2 (ja) 光学積層フィルム、偏光板および光学製品
US7824043B2 (en) Reflection preventing layered product and optical member
TWI498212B (zh) 光學積層體及硬質塗膜
TW200525175A (en) Antireflection film, polarizing plate, method for producing them, liquid crystal display element, liquid crystal display device, and image display device
EP1701184A1 (en) Polarizing plate protective film, polarizing plate with reflection preventing function and optical product
JPWO2006068200A1 (ja) 液晶表示装置用光学積層フィルム
JP4556613B2 (ja) 防眩性フィルム及びその製造方法
JPWO2006054695A1 (ja) 液晶表示装置
JP5116166B2 (ja) ハードコートフィルム、光学素子および画像表示装置
JP2009069428A (ja) 光学積層体の製造方法、光学積層体、偏光板及び画像表示装置
KR20180061191A (ko) 대전 방지 하드 코트 필름, 편광판, 터치 패널, 액정 표시 장치 및 제조 방법
JP2007038447A (ja) 反射防止積層体、光学部材および液晶表示素子
JP2006126802A (ja) 光学積層体
US20080204882A1 (en) Optical Laminated Body
JP2007062101A (ja) 反射防止積層体
JP4556664B2 (ja) 反射防止積層体
JP2006018089A (ja) 偏光板及び液晶表示装置
WO2005050300A1 (ja) 液晶表示装置
JP2012108394A (ja) ハードコート層を有する反射防止積層体
JP2006030870A (ja) 偏光板及び液晶表示装置
JP2006171119A (ja) 反射防止フィルム及びその製造方法、並びに光学部材
JP2005037927A (ja) 光学積層フィルム
WO2006019086A1 (ja) 偏光板及び液晶表示装置
JP2006058322A (ja) 偏光板及び液晶表示装置
JP2008040277A (ja) 偏光板

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070919

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20080722

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100701

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100720

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20101116