JP2008072851A - モータ制御装置 - Google Patents

モータ制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2008072851A
JP2008072851A JP2006249788A JP2006249788A JP2008072851A JP 2008072851 A JP2008072851 A JP 2008072851A JP 2006249788 A JP2006249788 A JP 2006249788A JP 2006249788 A JP2006249788 A JP 2006249788A JP 2008072851 A JP2008072851 A JP 2008072851A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
control amount
drive control
limit threshold
motor
amount
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006249788A
Other languages
English (en)
Inventor
Kensuke Hayashi
健祐 林
Yukihiro Saito
幸弘 齋藤
Yuichi Ito
雄一 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Omron Corp
Original Assignee
Omron Corp
Omron Tateisi Electronics Co
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Omron Corp, Omron Tateisi Electronics Co filed Critical Omron Corp
Priority to JP2006249788A priority Critical patent/JP2008072851A/ja
Publication of JP2008072851A publication Critical patent/JP2008072851A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Control Of Multiple Motors (AREA)

Abstract

【課題】モータに与える制御量が大きくなった場合でも、飽和による制御不能に陥ることなく、各モータの回転速度および回転量を適正に制御できるようにする。
【解決手段】モータ4,8の回転速度を制御するための並進制御量Sを出力する並進コントローラ30と、モータ4,8の回転量を制御するための差動制御量Za,Zbを出力する差動コントローラ31,32と、並進コントローラ30から出力される並進制御量Sと差動コントローラ31,32から出力される差動制御量Za,Zbに基づいて、各モータへ与える駆動制御量Ta,Tbを算出する演算器16,18と、算出された駆動制御量Ta,Tbを補正する制御量補正部3とを備える。制御量補正部3は、駆動制御量Ta,Tbが上限閾値および下限閾値を超えないように、並進制御量Sおよび差動制御量Za,Zbを補正し、補正された駆動制御量Ua,Ubを出力する。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数のモータの回転速度および回転量が等しくなるように同期制御を行うモータ制御装置に関する。
例えば、車室上部に開閉自在なルーフを備え、このルーフが折り畳まれて後部トランク内に収納されるようになっているコンバーチブル車では、ルーフやトランクなどの被移動体の移動は、左右に配備された2つのモータを回転させることにより行われる。しかしながら、モータの特性のばらつきや、モータにより駆動されるリンク機構の摩擦力のばらつき、あるいは車体の傾きによるモータの負荷の差などに基因して、2つのモータの回転速度や回転量(回転角度)が異なると、被移動体にアンバランスな力が作用して被移動体が変形し、極端な場合は破損することがある。
そこで、2つのモータの回転速度や回転量が同じになるように制御するモータ制御装置が下記の特許文献1〜3で提案されている。また、特許文献4には、2つのモータで負荷を駆動するツイン・ドライブ方式において、剛性が極めて低い負荷を駆動しても、負荷の捻れ振動を抑制することができる技術が開示されている。特許文献5には、電磁弁などのアクチュエータをPWM(Pulse Width Modulation)制御する場合において、駆動信号のデューティ比が100%以上の場合に出力をOFFにしてアクチュエータの寿命を延ばすようにした技術が開示されている。
特許第3467440号公報 特許第3550114号公報 特開2001−51722号公報 特開2003−116292号公報 特開平5−324004号公報
2つのモータで1つの被移動体を駆動する場合の同期制御においては、各モータの回転速度および回転量を検出し、それらの検出結果に基づくフィードバック制御が行われる。すなわち、各モータに対して、回転速度が目標速度となるように速度指令値が与えられるとともに、モータ間の回転量(角度)のずれがゼロとなるように回転量指令値が与えられる。これらの速度指令値と回転量指令値との和が、モータに対する駆動制御量となる。そして、この駆動制御量に基づき、モータに印加されるPWM信号のデユーティが決まり、各モータは回転速度および回転量が同じになるように制御される。
しかしながら、被移動体の駆動機構における摩擦力等に基因して、左右のモータ間で回転量(角度)の差が大きくなると、そのずれを是正するために回転量指令値が大きくなって駆動制御量も増大し、PWM信号のデユーティが限界値を超えて飽和する場合がある。例えば、被移動体の右側に設けられたモータの回転量が大きく、左側に設けられたモータの回転量が小さければ、右側のモータの回転量を小さくし、左側のモータの回転量を大きくするように制御が行われるが、左側のモータに対する駆動制御量がきわめて大きい場合、PWM信号のデユーティが計算上、上限値(例えば100%)を超え、デユーティは上限値で飽和してしまうことになる。このようにデユーティが飽和すると、正常なフィードバック制御が行えなくなって回転量のずれを是正することが不可能となる。また、2つのモータで1つの被移動体を駆動する場合の同期制御においては、制御系に比例要素および積分要素を有する場合がある。そして、制御中に、積分演算量が過大に出力され、PWM信号のデューティが限界値を超えてしまうことがある。このような場合、従来は、新たに積分の演算を行わないという対策が講じられていた。しかし、このような対策では、次のような問題が生じる。すなわち、PWM信号のデューティが限界値を超えてしまう場合には、積分要素は、限界値を超えてしまったときの積分演算量を出力し続けることになる。この場合、積分演算量が大きいため、比例要素の比例演算量を減らすだけでは、制御が目標値に迅速に追従しないという問題が生じる。
そこで、本発明の課題は、モータに与える制御量が大きくなった場合でも、飽和による制御不能に陥ることなく、各モータの回転速度および回転量を適正に制御することができるモータ制御装置を提供することにある。
本発明に係るモータ制御装置は、複数のモータの回転速度および回転量が等しくなるように同期制御を行うモータ制御装置であって、各モータの回転速度をそれぞれ検出する速度検出手段と、この速度検出手段の検出結果に基づいて、各モータの回転速度を制御するための並進制御量を生成する並進制御量生成手段と、各モータの回転量をそれぞれ検出する回転量検出手段と、この回転量検出手段の検出結果に基づいて、各モータの回転量を制御するための差動制御量を生成する差動制御量生成手段と、並進制御量生成手段で生成された並進制御量および差動制御量生成手段で生成された差動制御量に基づいて、各モータへ与える駆動制御量を算出する制御量算出手段と、この制御量算出手段で算出された駆動制御量を補正する制御量補正手段とを備える。駆動制御量に対しては、上限閾値および下限閾値が設定されており、制御量補正手段は、各駆動制御量の大小を比較判別して、大きい駆動制御量が上限閾値を上回り、かつ、小さい駆動制御量が下限閾値を下回る場合に、大きい駆動制御量が上限閾値以下となり、かつ、小さい駆動制御量が下限閾値以上となるように、並進制御量および差動制御量を補正する。
本発明では、上記のような制御量補正手段を設けて、駆動制御量が上限閾値および下限閾値を超えないように並進制御量と差動制御量を補正するようにしたので、モータ間で回転量の差が大きくなった場合でも、モータに与えられる駆動制御量が閾値を超えて飽和することがない。このため、飽和による制御不能を回避して各モータに対する制御を正常に行うことができ、モータ間で回転速度および回転量を同じにすることができる。この結果、例えば2つのモータによって1つの被移動体を移動させる場合に、被移動体にアンバランスな力が働かないようにして、被移動体の変形や破損を防止することができる。
本発明においては、大きい駆動制御量が上限閾値を上回り、かつ、小さい駆動制御量が下限閾値以上である場合に、大きい駆動制御量が上限閾値以下となるように、並進制御量を減少方向に補正する機能を制御量補正手段にもたせることができる。これによると、大きい方の駆動制御量が上限閾値を上回る場合には、並進制御量が減少するように補正が行われる結果、これに追随して当該駆動制御量が上限閾値以下となり、上限での飽和が是正される。
また、本発明においては、大きい駆動制御量が上限閾値を上回り、かつ、小さい駆動制御量が下限閾値以上である場合に、大きい駆動制御量が上限閾値以下となるように、並進制御量を減少させる第1の補正を行い、この第1の補正の結果、小さい駆動制御量が下限閾値を下回る場合は、当該駆動制御量が下限閾値以上となるように、差動制御量を変更する第2の補正を行う機能を制御量補正手段にもたせることができる。これによると、大きい方の駆動制御量が上限閾値を上回る場合には、並進制御量が減少するように第1の補正が行われる結果、これに追随して当該駆動制御量が上限閾値以下となり、上限での飽和が是正される。また、第1の補正により小さい方の駆動制御量が下限閾値を下回る場合には、差動制御量の変更によって当該駆動制御量が下限閾値以上となり、下限での飽和が是正される。
また、本発明においては、大きい駆動制御量が上限閾値以下であり、かつ、小さい駆動制御量が下限閾値を下回る場合に、小さい駆動制御量が下限閾値以上となるように、並進制御量を増加方向に補正する機能を制御量補正手段にもたせることができる。これによると、小さい方の駆動制御量が下限閾値を下回る場合には、並進制御量が増加するように補正が行われる結果、これに追随して当該駆動制御量が下限閾値以上となり、下限での飽和が是正される。
また、本発明においては、大きい駆動制御量が上限閾値以下であり、かつ、小さい駆動制御量が下限閾値を下回る場合に、小さい駆動制御量が下限閾値以上となるように、並進制御量を増加させる第3の補正を行い、この第3の補正の結果、大きい駆動制御量が上限閾値を上回る場合は、当該駆動制御量が上限閾値以下となるように、差動制御量を変更する第4の補正を行う機能を制御量補正手段にもたせることができる。これによると、小さい方の駆動制御量が下限閾値を下回る場合には、並進制御量が増加するように第3の補正補正が行われる結果、これに追随して当該駆動制御量が下限閾値以上となり、下限での飽和が是正される。また、第3の補正により大きい駆動制御量が上限閾値を上回る場合には、差動制御量の変更によって当該駆動制御量が上限閾値以下となり、上限での飽和が是正される。
こうして本発明によれば、モータに与える制御量が大きくなった場合でも、飽和による制御不能に陥ることなく、各モータの回転速度および回転量を適正に制御することができるモータ制御装置を提供することができる。
図1は、本発明の実施形態に係るモータ制御装置の制御ブロック図である。30は2つのモータ4,8の回転速度を制御する並進コントローラであって、以下に述べる並進FB(フィードバック)出力発生器1、並進FF(フィードフォワード)出力発生器2、演算器14および演算器15から構成される。並進FB出力発生器1は、モータ4,8の回転速度が同じになるように制御するもので、例えば、入力される偏差に比例した信号を出力する比例要素と、偏差の時間積分値に比例した信号を出力する積分要素とから構成されている。並進FF出力発生器2は、目標速度と等しい値の速度値を出力するフィードフォワード要素からなる。このように比例動作と積分動作にフィードフォワード動作を組み合わせることにより、目標値に対する良好な応答特性を得ることができる。なお、並進FB出力発生器1においては、比例要素と積分要素に微分要素を加え、PID制御を行う構成としてもよい。また、並進FF出力発生器2は、本発明にとって必須ではなく、省略することもできる。
3は本発明の特徴をなす制御量補正部であって、モータ4,8に与えられる駆動制御量に対して所定の補正を行うものである。これの詳細については後述する。4は被移動体を移動させる一方のモータ(モータA)、5はモータ4の回転量(回転角度)を検出する回転量検出器、6はモータ4の回転速度を検出する速度検出器である。検出器5,6は、例えば、モータ4の回転に同期したパルスを発生する1個のロータリエンコーダを用いて構成することができる。7は差動FB(フィードバック)出力発生器であって、モータ4に対する回転量制御用のフィードバック信号を生成して出力する。8は被移動体を移動させる他方のモータ(モータB)、9はモータ8の回転量(回転角度)を検出する回転量検出器、10はモータ8の回転速度を検出する速度検出器である。検出器9,10も、モータ8の回転に同期したパルスを発生する1個のロータリエンコーダを用いて構成することができる。11は差動FB(フィードバック)出力発生器であって、モータ8に対する回転量制御用のフィードバック信号を生成して出力する。差動FB出力発生器7,11は、前述の比例要素や積分要素などから構成される。モータ4とモータ8は、車両のルーフやトランクなどの被移動体の左右に配備されており、2つのモータ4,8の回転によって、各モータと連動するリンク機構(図示省略)を介して1つの被移動体を移動させるようになっている。
12は、回転量検出器5,9によって検出された各モータ4,8の回転量を平均して、平均回転量を算出する平均回転量演算部である。13は、速度検出器6,10によって検出された各モータ4,8の回転速度を平均して、平均速度を算出する平均速度演算部である。14は、並進コントローラ30に入力される目標速度と、平均速度演算部13から出力される平均速度との偏差を演算する演算器である。15は、並進FB出力発生器1の出力と、並進FF出力発生器2の出力とを加算する演算器である。16は、演算器15の出力すなわち並進コントローラ30の出力と、差動FB出力発生器7の出力とを加算する演算器である。17は、平均回転量演算部12の出力と、回転量検出器5の出力との差を演算する演算器である。差動FB出力発生器7および演算器17により差動コントローラ31が構成される。18は、演算器15の出力すなわち並進コントローラ30の出力と、差動FB出力発生器11の出力とを加算する演算器である。19は、平均回転量演算部12の出力と、回転量検出器9の出力との差を演算する演算器である。差動FB出力発生器11および演算器19により差動コントローラ32が構成される。
以上の構成において、回転量検出器5,9は本発明における回転量検出手段の一実施形態を構成し、速度検出器6,10は本発明における速度検出手段の一実施形態を構成し、並進コントローラ30は本発明における並進制御量生成手段の一実施形態を構成し、差動コントローラ31,32は本発明における差動制御量生成手段の一実施形態を構成し、演算器16,18は本発明における制御量算出手段の一実施形態を構成し、制御量補正部3は本発明における制御量補正手段の一実施形態を構成している。
次に、モータ4,8の制御動作について説明する。図示しない操作スイッチを操作して、ルーフ等の被移動体の開閉動作を開始すると、並進コントローラ30に被移動体の位置に応じた目標速度Yoが入力される。この目標速度Yoは演算器14に入力され、目標速度Yoと、平均速度演算部13の出力である平均速度Ymとの偏差Yo−Ymが演算される。演算された偏差は並進FB出力発生器1に入力され、並進FB出力発生器1は比例、積分等の処理を行なって、偏差に応じた信号を出力する。また、目標速度Yoは並進FF出力発生器2にも入力され、フィードフォワードの処理が行なわれる。並進FB出力発生器1の出力Pおよび並進FF出力発生器2の出力Qは、演算器15で加算される。並進コントローラ30は、演算器15での加算結果を回転速度の指令値、すなわち並進制御量Sとして出力する。
並進コントローラ30から出力された並進制御量Sは、共通の指令値として、演算器16および演算器18へ与えられる。演算器16では、この並進制御量Sと、差動コントローラ31から与えられる後述の差動制御量Zaとが加算され、この加算結果S+Zaが駆動制御量Taとして制御量補正部3へ与えられる。通常の状態、すなわち後述する制御量の飽和が発生していない状態では、制御量補正部3は駆動制御量Taに対して補正を行わず、駆動制御量Taと等しい駆動制御量Uaをモータ4へ出力する。制御量の飽和が発生している状態では、制御量補正部3は駆動制御量Taに対して補正を行い、補正された駆動制御量Uaをモータ4へ出力する。この補正については後で詳しく説明する。
また、演算器18では、並進コントローラ30から与えられる並進制御量Sと、差動コントローラ32から与えられる後述の差動制御量Zbとが加算され、この加算結果S+Zbが駆動制御量Tbとして制御量補正部3へ与えられる。通常の状態、すなわち後述する制御量の飽和が発生していない状態では、制御量補正部3は駆動制御量Tbに対して補正を行わず、駆動制御量Tbと等しい駆動制御量Ubをモータ8へ出力する。制御量の飽和が発生している状態では、制御量補正部3は駆動制御量Tbに対して補正を行い、補正された駆動制御量Ubをモータ8へ出力する。この補正については後で詳しく説明する。
モータ4は、駆動制御量Uaに従って所定の回転速度および回転量(回転角度)で回転する。モータ4の回転量は回転量検出器5で検出され、回転速度は速度検出器6で検出される。回転量検出器5で検出された回転量Xaは平均回転量演算部12に与えられるとともに、演算器17に与えられる。速度検出器6で検出された回転速度Yaは、平均速度演算部13に与えられる。
一方、モータ8は、駆動制御量Ubに従って所定の回転速度および回転量(回転角度)で回転する。モータ8の回転量は回転量検出器9で検出され、回転速度は速度検出器10で検出される。回転量検出器9で検出された回転量Xbは平均回転量演算部12に与えられるとともに、演算器19に与えられる。速度検出器10で検出された回転速度Ybは、平均速度演算部13に与えられる。
平均速度演算部13は、速度検出器6,10から出力された各モータ4,8の回転速度Ya,Ybに基づいて、平均速度Ymを算出する。平均速度Ymは、
Ym=(Ya+Yb)/2
から求められる。なお、ここでは平均速度YmをYa,Ybの算術平均(相加平均)として算出したが、これ以外の方法で算出してもよい。例えば、幾何平均(相乗平均)として算出する場合は、平均速度Ymは、
Ym=(Ya・Yb)1/2
から求められる。
算出された平均速度Ymは、フィードバック用の速度制御量として平均速度演算部13から並進コントローラ30の演算器14へ与えられる。演算器14は、前述のように目標速度Yoと平均速度Ymとの偏差Yo−Ymを演算する。この偏差は並進FB出力発生器1に与えられ、並進FB出力発生器1は偏差に対して比例・積分等の処理を行う。並進FB出力発生器1の出力Pは、演算器15において並進FF出力発生器2の出力Qと加算され、並進コントローラ30からは上記偏差に応じた並進制御量Sが出力される。
一方、平均回転量演算部12は、回転量検出器5,9から出力された各モータ4,8の回転量Xa,Xbに基づいて、平均回転量Xmを算出する。平均回転量Xmは、
Xm=(Xa+Xb)/2
から求められる。なお、ここでは平均回転量XmをXa,Xbの算術平均(相加平均)として算出したが、これ以外の方法で算出してもよい。例えば、幾何平均(相乗平均)として算出する場合は、平均回転量Xmは、
Xm=(Xa・Xb)1/2
から求められる。
算出された平均回転量Xmは、演算器17,19に共通に与えられる。演算器17は、平均回転量Xmと、回転量検出器5で検出されたモータ4の回転量Xaとの偏差Xm−Xaを演算する。この演算結果は、差動FB出力発生器7へ与えられる。差動FB出力発生器7は、上記偏差に応じた回転量の指令値、すなわち差動制御量Zaを出力する。この差動制御量Zaは、モータ4に対する回転量制御用のフィードバック信号として演算器16に与えられる。演算器16では、並進制御量Sと差動制御量Zaとが加算されて駆動制御量Ta(=S+Za)が算出され、この駆動制御量Taが制御量補正部3に入力される。制御量補正部3は、必要な場合は、後述する補正演算により駆動制御量Taを補正した上で、最終的な駆動制御量Uaをモータ4に出力する。モータ4は、この駆動制御量Uaに従う回転速度および回転量で回転する。
一方、演算器19は、平均回転量Xmと、回転量検出器9で検出されたモータ8の回転量Xbとの偏差Xm−Xbを演算する。この演算結果は、差動FB出力発生器11へ与えられる。差動FB出力発生器11は、上記偏差に応じた回転量の指令値、すなわち差動制御量Zbを出力する。この差動制御量Zbは、モータ8に対する回転量制御用のフィードバック信号として演算器18に与えられる。演算器18では、並進制御量Sと差動制御量Zbとが加算されて駆動制御量Tb(=S+Zb)が算出され、この駆動制御量Tbが制御量補正部3に入力される。制御量補正部3は、必要な場合は、後述する補正演算により駆動制御量Tbを補正した上で、最終的な駆動制御量Ubをモータ8に出力する。モータ8は、この駆動制御量Ubに従う回転速度および回転量で回転する。
図1の装置においては、並進コントローラ30からモータ4,8に対して共通に出力される並進制御量Sに基づいて、各モータの回転速度が目標速度となるように制御が行われ、モータ4,8は同じ速度で回転する。また、差動コントローラ31,32からモータ4,8に個別に与えられる差動制御量Za,Zbに基づいて、各モータの回転量を独立して制御することができる。したがって、モータ4,8の回転量が共に平均回転量Xmとなるように制御することにより、回転速度に影響を与えずに、2つのモータの回転量を同じにして、モータ間の回転量のずれをなくすことができる。
次に、制御量補正部3における処理の詳細につき、種々のケースに場合分けをして説明する。
[ケース1]制御量の飽和がない場合
図2は、飽和が発生していない場合の並進制御量と差動制御量の大きさを模式的に示した図である。Sは並進制御量、Z1,Z2は差動制御量を表している。差動制御量のうち、Z1はモータの回転量を増加させるように働く差動制御量、Z2はモータの回転量を減少させるように働く差動制御量である。例えば、図1において、モータ4の回転量を増加させ、モータ8の回転量を減少させる場合は、差動コントローラ31から出力される差動制御量ZaがZ1に相当し、差動コントローラ32から出力される差動制御量ZbがZ2に相当する。並進制御量と差動制御量との和が駆動制御量となる。すなわち、一方のモータの駆動制御量はS+Z1であり、他方のモータの駆動制御量はS+Z2である。ここで、Z1は正の値をとり、Z2は負の値をとる。したがって、双方の駆動制御量を比較した場合、S+Z1は大きい駆動制御量であり、S+Z2は小さい駆動制御量となる。MAXは、大きい駆動制御量S+Z1の上限閾値であり、MINは、小さい駆動制御量S+Z2の下限閾値である。これらの上限閾値MAXおよび下限閾値MINは、制御量補正部3に備わるメモリ(図示省略)に記憶されている。制御量補正部3は、駆動制御量の大小を比較判別して、大きい駆動制御量が上限閾値を上回っているか否か、小さい駆動制御量が下限閾値を下回っているか否かを判定し、その判定結果に応じた処理を行う。以上に関しては、後述する図3〜図7においても同様である。
図2の(a)では、Z1とZ2との関係は|Z1|>|Z2|であり、図2の(b)では、|Z1|<|Z2|となっているが、いずれにおいても、一方のモータの駆動制御量S+Z1は上限閾値を上回らず、他方のモータの駆動制御量S+Z2は下限閾値を下回らない。このような場合は、各モータの駆動制御量が適正な範囲にあって飽和していないので、駆動制御量を補正する必要はない。したがって、制御量補正部3は、並進制御量や差動制御量に対する補正を行わず、入力された駆動制御量をそのままモータ4,8に出力する(図1において、Ua=Ta,Ub=Tbとなる)。モータ4,8は、駆動制御量Ua,Ubに対応した所定のデユーティをもったPWM信号により、回転速度および回転量が等しくなるように駆動される。各モータに与えられるPWM信号のデユーティDa,Dbは、次式で算出される。
Da=Ua/(V×G)=(S+Za)/(V×G)
Db=Ub/(V×G)=(S+Zb)/(V×G)
ここで、Vはモータに印加される外部供給電圧、Gはモータの回転位置ごとの被移動体の先端移動量である。
[ケース2]上限で飽和がある場合−その1−
図3(a)は、上限で飽和が発生した場合の並進制御量と差動制御量の大きさを模式的に示した図である。ここでは、大きい駆動制御量S+Z1が上限閾値MAXを上回っており、MAXを超えた部分で飽和状態となる。制御量が飽和状態になると、正常なフィードバック制御を行うことが不可能となり、モータの同期制御ができなくなる。そこで、この場合は、制御量補正部3において、図3(b)に示すように、並進制御量Sをαだけ減少させる補正を行う。ここでは、αの値を次のように選定する。
α=MAX−Z1−S …(1)
図3(b)のS’は補正後の並進制御量を表しており、
S’=S+α (α<0) …(2)
である。なお、差動制御量Z1,Z2はそのままとする。
αを式1のように選定して、並進制御量Sを式2のように補正することにより、大きい駆動制御量S’+Z1は、上限閾値MAXの値に等しくなり、上限の飽和が解消される。このとき、並進制御量Sが減少することで、小さい駆動制御量もS’+Z2に減少するので、制御量補正部3は、小さい駆動制御量S’+Z2が下限閾値MINを下回るか否かを判定する。図3(b)の場合は、小さい駆動制御量S’+Z2は下限閾値MINを下回らないので、下限での飽和は発生しない。したがって、制御量補正部3はそれ以上の補正を行わない。小さい駆動制御量S’+Z2が下限閾値MINを下回る場合については、後の図4A,図4Bで説明する。
上述した補正によって、補正後の大きい駆動制御量S’+Z1と小さい駆動制御量S’+Z2は、それぞれS’+Z1=MAX、S’+Z2≧MINとなって、いずれも閾値の範囲内の適正な値となる。なお、S’+Z1の値は必ずしもMAXの値と一致する必要はなく、S’+Z1≦MAXの関係を満たせばよい。このケース2の補正においては、差動制御量Z1,Z2はそのままとし、並進制御量Sのみを加法的に操作(S’=S+α)するだけで補正が行えるので、演算処理が簡単となる。
上記のケース2を図1に当てはめると、制御量補正部3に与えられる駆動制御量のうち、例えばTaをS+Z1(Z1=Za)とし、TbをS+Z2(Z2=Zb)としたとき、制御量補正部3は、S’+Z1を駆動制御量Uaとしてモータ4へ出力し、S’+Z2を駆動制御量Ubとしてモータ8へ出力する。モータ4,8は、これらの駆動制御量Ua,Ubに対応した所定のデユーティをもったPWM信号により、回転速度および回転量が等しくなるように駆動される。各モータに与えられるPWM信号のデユーティDa,Dbは、次式で算出される。
Da=Ua/(V×G)={(S+α)+Za}/(V×G)
Db=Ub/(V×G)={(S+α)+Zb}/(V×G)
ここで、Vはモータに印加される外部供給電圧、Gはモータの回転位置ごとの被移動体の先端移動量である。
[ケース3]上限で飽和がある場合−その2−
図4A(a)のように、大きい駆動制御量S+Z1が上限閾値MAXを上回っている場合に、前述の図3の場合と同様にして並進制御量Sを減少させる補正を行った結果、図4A(b)のように、補正後の大きい駆動制御量S’+Z1は上限閾値MAXに収まったが、小さい駆動制御量S’+Z2が下限閾値MINを下回り、下限で飽和が発生する場合がある。この場合も、制御量の飽和によって正常なフィードバック制御を行うことが不可能となり、モータの同期制御ができなくなる。そこで、このケースにおいては、制御量補正部3は、上記の補正に続いて、さらに図4Bに示すような補正を行う。
すなわち、並進制御量の補正値をαからα’に変更して、並進制御量SをS’’に再補正する。S’’は
S’’=S+α’ (α’<0) …(3)
となる。また、差動制御量Z1,Z2に対して同じ補正値β(β<1)を乗じて、Z1をZ1×βに補正するとともに、Z2をZ2×βに補正し、補正後の大きい制御量S’’+(Z1×β)が上限閾値MAXに等しくなり、補正後の小さい制御量S’’+(Z2×β)が下限閾値MINに等しくなるようにする。この場合のα’とβの値は、次の連立方程式の解として求めることができる。
S+α’+(Z1×β)=MAX …(4)
S+α’+(Z2×β)=MIN …(5)
これより、
α’={(Z1×MIN)−(Z2×MAX)}/(Z1−Z2)−S …(6)
β=(MAX−MIN)/(Z1−Z2) …(7)
となる。
このようにして算出した補正値α’、βを用いて、図4Bで示したような補正を行うことにより、補正後の大きい駆動制御量S’’+(Z1×β)は、上限閾値MAXの値に等しくなり、上限の飽和が解消される。また、補正後の小さい駆動制御量S’’+(Z2×β)は、下限閾値MINの値に等しくなり、下限の飽和が解消される。したがって、補正後の大きい駆動制御量S’’+(Z1×β)と小さい駆動制御量S’’+(Z2×β)は、いずれも閾値の範囲内の適正な値となる。なお、S’’+(Z1×β)の値は必ずしもMAXの値と一致する必要はなく、S’’+(Z1×β)≦MAXの関係を満たせばよい。同様に、S’’+(Z2×β)の値は必ずしもMINの値と一致する必要はなく、MIN≦S’’+(Z2×β)の関係を満たせばよい。
なお、図4Bでは、並進制御量Sについては補正値α’により加法的に補正を行うのに対し、差動制御量Z1,Z2については補正値βにより乗法的に補正を行っているが、これは次のような理由による。すなわち、並進制御量Sは各モータへ共通に与えられる制御量であって、補正により各モータの回転速度の相関関係に影響を与えるものではないことから、並進制御量Sの補正には、演算の複雑な乗法的補正よりも演算の容易な加法的補正を採用したほうが有利である。これに対し、差動制御量Z1,Z2は各モータへ個別に与えられる制御量であり、これを加法的に補正すると、各モータの回転量の比例関係が崩れてしまうので、同じ補正値βを用いて乗法的に補正を行うことで比例関係を維持するようにしている。後述するケース5、ケース6においても同様である。
上記のケース3を図1に当てはめると、制御量補正部3に与えられる駆動制御量のうち、例えばTaをS+Z1(Z1=Za)とし、TbをS+Z2(Z2=Zb)としたとき、制御量補正部3は、S’’+(Z1×β)を駆動制御量Uaとしてモータ4へ出力し、S’’+(Z2×β)を駆動制御量Ubとしてモータ8へ出力する。モータ4,8は、これらの駆動制御量Ua,Ubに対応した所定のデユーティをもったPWM信号により、回転速度および回転量が等しくなるように駆動される。各モータに与えられるPWM信号のデユーティDa,Dbは、次式で算出される。
Da=Ua/(V×G)={(S+α’)+(Za×β)}/(V×G)
Db=Ub/(V×G)={(S+α’)+(Zb×β)}/(V×G)
ここで、Vはモータに印加される外部供給電圧、Gはモータの回転位置ごとの被移動体の先端移動量である。
[ケース4]下限で飽和がある場合−その1−
図5(a)は、下限で飽和が発生した場合の並進制御量と差動制御量の大きさを模式的に示した図である。ここでは、小さい駆動制御量S+Z2が下限閾値MINを下回っており、MINを超えた部分で飽和状態となる。この場合も、制御量の飽和により、正常なフィードバック制御を行うことが不可能となり、モータの同期制御ができなくなる。そこで、この場合は、制御量補正部3において、図5(b)に示すように、並進制御量Sをαだけ増加させる補正を行う。ここでは、αの値を次のように選定する。
α=MIN−Z2−S …(8)
図5(b)のS’は補正後の並進制御量を表しており、
S’=S+α (α>0) …(9)
である。なお、差動制御量Z1,Z2はそのままとする。
αを式8のように選定して、並進制御量Sを式9のように補正することにより、小さい駆動制御量S’+Z2は、下限閾値MINの値に等しくなり、下限の飽和が解消される。このとき、並進制御量Sが増加することで、大きい駆動制御量もS’+Z1に増加するので、制御量補正部3は、大きい駆動制御量S’+Z1が上限閾値MAXを上回るか否かを判定する。図5(b)の場合は、大きい駆動制御量S’+Z1は上限閾値MAXを上回らないので、上限での飽和は発生しない。したがって、制御量補正部3はそれ以上の補正を行わない。大きい駆動制御量S’+Z1が上限閾値MAXを上回る場合については、後の図6A,図6Bで説明する。
上述した補正によって、補正後の大きい駆動制御量S’+Z1と小さい駆動制御量S’+Z2は、それぞれS’+Z1≦MAX、S’+Z2=MINとなって、いずれも閾値の範囲内の適正な値となる。なお、S’+Z2の値は必ずしもMINの値と一致する必要はなく、MIN≦S’+Z2の関係を満たせばよい。このケース4の補正においても、ケース2の場合と同様に、差動制御量Z1,Z2はそのままで、並進制御量Sのみを加法的に補正(S’=S+α)しているので、演算処理が簡単となる。
上記のケース4を図1に当てはめると、制御量補正部3に与えられる駆動制御量のうち、例えばTaをS+Z1(Z1=Za)とし、TbをS+Z2(Z2=Zb)としたとき、制御量補正部3は、S’+Z1を駆動制御量Uaとしてモータ4へ出力し、S’+Z2を駆動制御量Ubとしてモータ8へ出力する。モータ4,8は、これらの駆動制御量Ua,Ubに対応した所定のデユーティをもったPWM信号により、回転速度および回転量が等しくなるように駆動される。各モータに与えられるPWM信号のデユーティDa,Dbは、次式で算出される。
Da=Ua/(V×G)={(S+α)+Za}/(V×G)
Db=Ub/(V×G)={(S+α)+Zb}/(V×G)
ここで、Vはモータに印加される外部供給電圧、Gはモータの回転位置ごとの被移動体の先端移動量である。
[ケース5]下限で飽和がある場合−その2−
図6A(a)のように、小さい駆動制御量S+Z2が下限閾値MINを下回っている場合に、前述の図5の場合と同様にして並進制御量Sを増加させる補正を行った結果、図6A(b)のように、補正後の小さい駆動制御量S’+Z2は下限閾値MINに収まったが、大きい駆動制御量S’+Z1が上限閾値MAXを上回り、上限で飽和が発生する場合がある。この場合も、制御量の飽和によって正常なフィードバック制御を行うことが不可能となり、モータの同期制御ができなくなる。そこで、このケースにおいては、制御量補正部3は、上記の補正に続いて、さらに図6Bに示すような補正を行う。
図6Bの補正は、図4Bで説明した補正と基本的に同じである。但し、補正値α’の符号が図4Bの場合と逆になり、再補正された並進制御量は、
S’’=S+α’ (α>0) …(10)
となる。差動制御量Z1,Z2の補正に関しては、図4Bの場合と同じであり、補正値β(β<1)を用いて、Z1をZ1×βに、Z2をZ2×βにそれぞれ補正し、補正後の大きい制御量S’’+(Z1×β)が上限閾値MAXに等しくなり、補正後の小さい制御量S’’+(Z2×β)が下限閾値MINに等しくなるようにする。この場合のα’とβの値は、前述の式4、式5で示した連立方程式の解として算出され、各値は前述の式6、式7のようになる。
このようにして算出した補正値α’、βを用いて、図6Bで示したような補正を行うことにより、補正後の大きい駆動制御量S’’+(Z1×β)は、上限閾値MAXの値に等しくなり、上限の飽和が解消される。また、補正後の小さい駆動制御量S’’+(Z2×β)は、下限閾値MINの値に等しくなり、下限の飽和が解消される。したがって、補正後の大きい駆動制御量S’’+(Z1×β)と小さい駆動制御量S’’+(Z2×β)は、いずれも閾値の範囲内の適正な値となる。この場合も、S’’+(Z1×β)の値は必ずしもMAXの値と一致する必要はなく、S’’+(Z1×β)≦MAXの関係を満たせばよい。同様に、S’’+(Z2×β)の値は必ずしもMINの値と一致する必要はなく、MIN≦S’’+(Z2×β)の関係を満たせばよい。
上記のケース5を図1に当てはめると、制御量補正部3に与えられる駆動制御量のうち、例えばTaをS+Z1(Z1=Za)とし、TbをS+Z2(Z2=Zb)としたとき、制御量補正部3は、S’’+(Z1×β)を駆動制御量Uaとしてモータ4へ出力し、S’’+(Z2×β)を駆動制御量Ubとしてモータ8へ出力する。モータ4,8は、これらの駆動制御量Ua,Ubに対応した所定のデユーティをもったPWM信号により、回転速度および回転量が等しくなるように駆動される。各モータに与えられるPWM信号のデユーティDa,Dbは、次式で算出される。
Da=Ua/(V×G)={(S+α’)+(Za×β)}/(V×G)
Db=Ub/(V×G)={(S+α’)+(Zb×β)}/(V×G)
ここで、Vはモータに印加される外部供給電圧、Gはモータの回転位置ごとの被移動体の先端移動量である。
[ケース6]上限と下限で飽和がある場合
上述したケース2〜5では、上限・下限の一方で飽和があった場合に、まず並進制御量をαで補正して一方の飽和を解消し、この補正の結果、他方で飽和が発生しなければそれ以上の補正は行わず、他方で飽和が発生すれば、並進制御量と差動制御量をα’とβで再度補正して他方の飽和を解消するようにした。これに対し、図7は、最初から上限・下限の両方で飽和が同時に発生している例である。この場合の補正は、図4B、図6Bと同様の考え方に基づいて行うことができる。すなわち、並進制御量Sの補正値αと、差動制御量Z1,Z2の補正値βとを、次の連立方程式の解として求める。
S+α+(Z1×β)=MAX …(11)
S+α+(Z2×β)=MIN …(12)
これより、
α={(Z1×MIN)−(Z2×MAX)}/(Z1−Z2)−S …(13)
β=(MAX−MIN)/(Z1−Z2) …(14)
となる。
このようにして算出した補正値α、βを用いて、図7で示したような補正を行うことにより、補正後の大きい駆動制御量S’+(Z1×β)は、上限閾値MAXの値に等しくなり、上限の飽和が解消される。また、補正後の小さい駆動制御量S’+(Z2×β)は、下限閾値MINの値に等しくなり、下限の飽和が解消される。したがって、補正後の大きい駆動制御量S’+(Z1×β)と小さい駆動制御量S’+(Z2×β)は、いずれも閾値の範囲内の適正な値となる。ここでも、S’+(Z1×β)の値は必ずしもMAXの値と一致する必要はなく、S’+(Z1×β)≦MAXの関係を満たせばよい。同様に、S’+(Z2×β)の値は必ずしもMINの値と一致する必要はなく、MIN≦S’+(Z2×β)の関係を満たせばよい。
上記のケース6を図1に当てはめると、制御量補正部3に与えられる駆動制御量のうち、例えばTaをS+Z1(Z1=Za)とし、TbをS+Z2(Z2=Zb)としたとき、制御量補正部3は、S’+(Z1×β)を駆動制御量Uaとしてモータ4へ出力し、S’+(Z2×β)を駆動制御量Ubとしてモータ8へ出力する。モータ4,8は、これらの駆動制御量Ua,Ubに対応した所定のデユーティをもったPWM信号により、回転速度および回転量が等しくなるように駆動される。各モータに与えられるPWM信号のデユーティDa,Dbは、次式で算出される。
Da=Ua/(V×G)={(S+α)+(Za×β)}/(V×G)
Db=Ub/(V×G)={(S+α)+(Zb×β)}/(V×G)
ここで、Vはモータに印加される外部供給電圧、Gはモータの回転位置ごとの被移動体の先端移動量である。
図8は、以上述べたケース1〜6のそれぞれにおける制御量補正部3の処理内容を一覧表にしたものである。上限飽和と下限飽和が共に発生していない場合はケース1(図2)に該当し、並進制御量・差動制御量とも補正はしない。上限飽和のみが発生していて、並進制御量をαで補正した結果、下限に飽和が発生しない場合はケース2(図3)に該当し、それ以上の補正は行わない。下限に飽和が発生する場合はケース3(図4B)に該当し、並進制御量をα’で再補正するとともに、差動制御量をβで補正して、下限飽和を是正する。下限飽和のみが発生していて、並進制御量をαで補正した結果、上限に飽和が発生しない場合はケース4(図5)に該当し、それ以上の補正は行わない。上限に飽和が発生する場合はケース5(図6B)に該当し、並進制御量をα’で再補正するとともに、差動制御量をβで補正して、上限飽和を是正する。上限飽和と下限飽和が共に発生している場合はケース6(図7)に該当し、並進制御量をαで補正するとともに、差動制御量をβで補正して、上限飽和および下限飽和を是正する。
以上のように、上記実施形態においては、制御量補正部3を設けて、駆動制御量が上限閾値および下限閾値を超えないように並進制御量と差動制御量を補正するようにしたので、モータ間で回転量の差が大きくなった場合でも、モータ4,8に与えられる駆動制御量Ua,Ubが閾値を超えて飽和することがない。このため、飽和による制御不能を回避して各モータに対する制御を正常に行うことができ、モータ間で回転速度および回転量を同じにすることができる。この結果、モータ4,8によって1つの被移動体を移動させる場合に、被移動体にアンバランスな力が働かないようにして、被移動体の変形や破損を防止することができる。
本発明では、以上述べた実施形態以外にも、種々の実施形態を採用することができる。例えば、上述した実施形態においては、並進制御量を加法的に補正したが、演算の手間を厭わなければ、並進制御量を乗法的に補正することも可能である。また、図4Bや図6Bの再補正においては、並進制御量と差動制御量の双方に対して補正を行ったが、差動制御量のみを補正してもよい。例えば、図4A(b)の処理の後、並進制御量S’はそのままにして、差動制御量Z1,Z2に同じ倍率γ(γ<1)を乗じて、小さい駆動制御量S’+(Z2×γ)が下限閾値MINに等しくなるように補正してもよい。この場合は、大きい駆動制御量S’+(Z1×γ)が上限閾値MAXよりも小さくなる。
また、上述した実施形態では、図1に示すような構成のモータ制御装置を例に挙げたが、これは一例であって、モータの回転速度と回転量とを独立して制御できるものであれば、他の構成のモータ制御装置であってもよい。
また、上述した実施形態では、2台のモータ4,8に対して同期制御を行う場合を例に挙げたが、本発明は、3台以上のモータに対して同期制御を行う場合にも適用することができる。
さらに、上述した実施形態では、車両のルーフやトランク等の開閉に用いられるモータ制御装置を例に挙げたが、本発明はこれに限らず、例えばダンプカーの荷台のような被移動体を駆動する場合などにも適用することができる。
本発明の実施形態に係るモータ制御装置の制御ブロック図である。 飽和がない場合の並進制御量と差動制御量の大きさを模式的に示した図である。 上限で飽和が発生した場合の補正を説明する図である。 補正によって発生する下限の飽和を説明する図である。 下限の飽和を是正するための再補正を説明する図である。 下限で飽和が発生した場合の補正を説明する図である 補正によって発生する上限の飽和を説明する図である 上限の飽和を是正するための再補正を説明する図である 上限と下限で飽和が発生した場合の補正を説明する図である。 制御量補正部の処理内容を示した一覧表である。
符号の説明
1 並進FB出力発生器
2 並進FF出力発生器
3 制御量補正部
4 モータ
5 回転量検出器
6 速度検出器
7 差動FB出力発生器
8 モータ
9 回転量検出器
10 速度検出器
11 差動FB出力発生器
12 平均回転量演算部
13 平均速度演算部
14〜19 演算器
30 並進コントローラ
31,32 差動コントローラ
S 並進制御量
Za,Zb 差動制御量
Ta,Tb,Ua,Ub 駆動制御量

Claims (5)

  1. 複数のモータの回転速度および回転量が等しくなるように同期制御を行うモータ制御装置であって、
    各モータの回転速度をそれぞれ検出する速度検出手段と、
    前記速度検出手段の検出結果に基づいて、各モータの回転速度を制御するための並進制御量を生成する並進制御量生成手段と、
    各モータの回転量をそれぞれ検出する回転量検出手段と、
    前記回転量検出手段の検出結果に基づいて、各モータの回転量を制御するための差動制御量を生成する差動制御量生成手段と、
    前記並進制御量生成手段で生成された並進制御量および前記差動制御量生成手段で生成された差動制御量に基づいて、各モータへ与える駆動制御量を算出する制御量算出手段と、
    前記制御量算出手段で算出された駆動制御量を補正する制御量補正手段とを備え、
    前記駆動制御量に対して上限閾値および下限閾値が設定され、
    前記制御量補正手段は、各駆動制御量の大小を比較判別して、大きい駆動制御量が上限閾値を上回り、かつ、小さい駆動制御量が下限閾値を下回る場合に、大きい駆動制御量が上限閾値以下となり、かつ、小さい駆動制御量が下限閾値以上となるように、並進制御量および差動制御量を補正することを特徴とするモータ制御装置。
  2. 請求項1に記載のモータ制御装置において、
    前記制御量補正手段は、さらに、
    大きい駆動制御量が上限閾値を上回り、かつ、小さい駆動制御量が下限閾値以上である場合に、大きい駆動制御量が上限閾値以下となるように、並進制御量を減少方向に補正することを特徴とするモータ制御装置。
  3. 請求項1に記載のモータ制御装置において、
    前記制御量補正手段は、さらに、
    大きい駆動制御量が上限閾値を上回り、かつ、小さい駆動制御量が下限閾値以上である場合に、大きい駆動制御量が上限閾値以下となるように、並進制御量を減少させる第1の補正を行い、
    前記第1の補正の結果、小さい駆動制御量が下限閾値を下回る場合は、当該駆動制御量が下限閾値以上となるように、差動制御量を変更する第2の補正を行うことを特徴とするモータ制御装置。
  4. 請求項1に記載のモータ制御装置において、
    前記制御量補正手段は、さらに、
    大きい駆動制御量が上限閾値以下であり、かつ、小さい駆動制御量が下限閾値を下回る場合に、小さい駆動制御量が下限閾値以上となるように、並進制御量を増加方向に補正することを特徴とするモータ制御装置。
  5. 請求項1に記載のモータ制御装置において、
    前記制御量補正手段は、さらに、
    大きい駆動制御量が上限閾値以下であり、かつ、小さい駆動制御量が下限閾値を下回る場合に、小さい駆動制御量が下限閾値以上となるように、並進制御量を増加させる第3の補正を行い、
    前記第3の補正の結果、大きい駆動制御量が上限閾値を上回る場合は、当該駆動制御量が上限閾値以下となるように、差動制御量を変更する第4の補正を行うことを特徴とするモータ制御装置。
JP2006249788A 2006-09-14 2006-09-14 モータ制御装置 Pending JP2008072851A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006249788A JP2008072851A (ja) 2006-09-14 2006-09-14 モータ制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006249788A JP2008072851A (ja) 2006-09-14 2006-09-14 モータ制御装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008072851A true JP2008072851A (ja) 2008-03-27

Family

ID=39293946

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006249788A Pending JP2008072851A (ja) 2006-09-14 2006-09-14 モータ制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008072851A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010178510A (ja) * 2009-01-29 2010-08-12 Mitsubishi Electric Corp モータ同期制御装置
WO2024114611A1 (zh) * 2022-11-28 2024-06-06 延锋国际汽车技术有限公司 多元件同步升降控制系统以及控制多元件同步升降的方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03107388A (ja) * 1989-09-20 1991-05-07 Meidensha Corp ダイナモメータの同期制御回路
JPH03155387A (ja) * 1989-11-10 1991-07-03 Toyota Autom Loom Works Ltd 誘導電動機の制御装置
JPH07222482A (ja) * 1994-01-31 1995-08-18 Rohm Co Ltd 出力トランジスタの飽和防止回路
JP2005253229A (ja) * 2004-03-05 2005-09-15 Mitsubishi Electric Corp 相電圧指令値補正方法およびこの相電圧指令値補正方法を使用したモータ制御装置

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03107388A (ja) * 1989-09-20 1991-05-07 Meidensha Corp ダイナモメータの同期制御回路
JPH03155387A (ja) * 1989-11-10 1991-07-03 Toyota Autom Loom Works Ltd 誘導電動機の制御装置
JPH07222482A (ja) * 1994-01-31 1995-08-18 Rohm Co Ltd 出力トランジスタの飽和防止回路
JP2005253229A (ja) * 2004-03-05 2005-09-15 Mitsubishi Electric Corp 相電圧指令値補正方法およびこの相電圧指令値補正方法を使用したモータ制御装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010178510A (ja) * 2009-01-29 2010-08-12 Mitsubishi Electric Corp モータ同期制御装置
WO2024114611A1 (zh) * 2022-11-28 2024-06-06 延锋国际汽车技术有限公司 多元件同步升降控制系统以及控制多元件同步升降的方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2008054402A (ja) モータ制御装置
US8473165B2 (en) Turning drive control apparatus and construction machine including the same
US6448728B2 (en) Electric power steering apparatus
JP2011045204A (ja) モータ制御装置及び車両用シート制御装置
US9212469B2 (en) Work machine
JP2008072851A (ja) モータ制御装置
JP5022149B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2009141987A (ja) モータ制御装置およびそのトルク制御方法
JP5233197B2 (ja) 車両用操舵制御装置
JP2007288925A (ja) モータ制御装置
JP2005082119A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2009149170A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP4884844B2 (ja) パワーステアリング装置
JP4432832B2 (ja) 産業車両の速度制御装置、産業車両、及び産業車両の速度制御方法
US8082080B2 (en) Electric power steering apparatus
JP5137456B2 (ja) 電動式パワーステアリング制御装置
JP4960291B2 (ja) 原動機付き車両のローリング抑制装置及びその方法
JP2009143490A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP4410214B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2009262622A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP7322767B2 (ja) パワーステアリング制御装置、パワーステアリングの制御方法、プログラム、および自動操舵システム
JP2005254982A (ja) 車両用可変舵角装置
JP2005278363A (ja) 電動機の制御装置
KR20190002010A (ko) 선회 안정화 제어 방법 및 차량
JP2009113550A (ja) 電動パワーステアリング装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090220

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20100726

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111027

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111101

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20120228