JP2008071825A - 半導体装置及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】強誘電体膜の配向を好ましい方向に制御することができる半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】下部電極膜を構成するPt膜23上に、La、Ca、Sr、Si及び/又はNb等が添加されたアモルファス状の不純物添加PZT膜24を形成する。次いで、不純物添加PZT膜24に対する結晶化アニールを行う。次に、不純物添加PZT膜24上にPZT膜25をMOCVD法により形成する。その後、PZT膜25上に、IrOX膜26、IrOY膜27及びIr膜28を形成する。
【選択図】図1N

Description

本発明は、強誘電体メモリに好適な半導体装置及びその製造方法に関する。
近年、デジタル技術の進展に伴い、大容量のデータを高速に処理又は保存する傾向が高まっている。このため、電子機器に使用される半導体装置の高集積化及び高性能化が要求されている。
そこで、半導体記憶装置に関しては、例えばDRAMの高集積化を実現するため、DRAMを構成する容量素子の容量絶縁膜として、従来の珪素酸化物又は珪素窒化物に代えて、強誘電体材料又は高誘電率材料を用いる技術が広く研究開発され始めている。
また、より低電圧で且つ高速での書き込み動作及び読み出し動作が可能な不揮発性RAMを実現するため、容量絶縁膜として、自発分極特性を有する強誘電体膜を用いる技術も盛んに研究開発されている。このような半導体記憶装置は、強誘電体メモリ(FeRAM)とよばれる。
強誘電体メモリは、強誘電体のヒステリシス特性を利用して情報を記憶する。強誘電体メモリには強誘電体キャパシタが備えられており、強誘電体キャパシタは、強誘電体膜が1対の電極間に容量誘電体膜として挟み込まれて構成されている。強誘電体膜は電極間の印加電圧に応じて分極を生じ、印加電圧が取り去されても自発分極を有する。また、印加電圧の極性を反転すれば、自発分極の極性も反転する。従って、この自発分極を検出すれば、情報を読み出すことができる。強誘電体メモリは、フラッシュメモリに比べて低電圧で動作し、省電力で高速の書き込みが可能である。そして、強誘電体メモリを備えたロジック混載チップ(SoC:System on Chip)のICカード等への使用が検討されている。
なお、強誘電体膜としては、PZT系材料の膜及びBi層状構造化合物の膜等が用いられる。PZT系の材料としては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)そのもの、並びにPZT膜にLa、Ca、Sr及び/又はSiがドープされたもの等が挙げられる。Bi層状構造化合物としては、SrBi2Ta29(SBT、Y1)、及びSrBi2(Ta、Nb)29(SBTN、YZ)等が挙げられる。強誘電体膜は、下部電極膜上に、ゾルゲル法又はスパッタ法等によってアモルファス状態又は微結晶の状態で形成された後、熱処理によって結晶化されている。また、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法により下部電極上に、結晶化した状態で形成されることもある。
また、強誘電体キャパシタの書き込み動作及び読み出し動作を低電圧で且つ高速なものとするための研究が行われている。例えば、耐疲労特性及びリテンションを向上させるために、PZTに微量のLa又はNbを添加することについての研究が行われている(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3)。これらの文献には、La又はNbの添加により、抗電圧が低下して低電圧動作が可能となること、並びに、耐疲労特性及びインプリント特性が向上することが記載されている。また、特許文献1及び特許文献2には、強誘電体膜PZTにCa、Sr又はLaを添加することが記載されている。
一般的に、強誘電体材料にLa又はNbを添加することにより、強誘電体キャパシタのリーク電流を低減でき、耐疲労特性を向上することができる。また、Caを添加することにより、印加電圧が低くても十分な分極量が得られるようになる。また、Srを添加することにより、リテンション特性を向上することができる。しかしながら、これらの元素を添加し過ぎると、スイッチング電荷量が低下してしまう。
電気的特性がよく、製品歩留まりの高い強誘電体メモリを作製するためには、強誘電体膜を構成する結晶の配向性を高めることが重要である。特許文献3には、結晶の配向性が高い強誘電体膜を得るために、Irからなる下部電極の上にスパッタ法によりPZT膜を形成した後、更に、MOCVD法によりPZT膜を更に形成することが記載されている。MOCVD法によりPZT膜を形成した場合、高いスイッチング電荷量を得ることができる。
しかしながら、この技術によれば所期の目的は達成されるものの、MOCVD法により形成したPZT膜の表面は(100)面及び(101)面に非常に強く配向しており、(111)面への配向が弱い。このことは、特許文献3の図11からも把握できる。このため、電気的特性が十分とはいえない。
他に、特許文献4〜10にも、強誘電体膜の形成方法に関する技術が記載されているが、これまでのところ、十分な配向が得られる技術は確立されていない。
米国特許第6287637号明細書 米国特許第6617626号明細書 特開2003−218325号公報 米国特許第6627930号明細書 特開2001−28426号公報 特開平8−273436号公報 特開2000−31407号公報 特開2002−151656号公報 特開2002−368200号公報 特開2003−46064号公報 Appl. Phys. Lett., Vol. 77, No. 19, P.3036 (2000)) Jpn. J. Appl. Phys. Lett., Vol. 32, No. 9B, P.4168 (1993) Jpn. J. Appl. Phys. Lett., Vol. 33, No. 9B, P.5211 (1994)
本発明は、強誘電体膜の配向を好ましい方向に制御することができる半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
従来、MOCVD法によりPZT膜等の強誘電体膜を形成する場合、下部電極膜を形成した後に、アルゴン雰囲気のMOCVDチャンバ内で昇温している。この方法に対し、単にPZT膜の配向を制御するだけであれば、アルゴン雰囲気中での昇温を酸素雰囲気中での昇温に変えればよい。しかしながら、酸素雰囲気中で昇温すると、PZT膜の表面の(111)面への配向が大きくばらつくと共に、表面が荒れやすくなる。特に、半導体基板の周辺部に非常に大きな凸部が発生したり、表面荒れが発生しやすくなる。この理由は、昇温の際に、下部電極膜の最表面、例えばIr膜の表面が異常酸化しているからであると考えられる。Irが異常酸化するとIrOXが生成され、MOCVDの溶媒であるTHF(Tetra Hydro Furan:C48O)又は酢酸ブチルがIrOXを還元することとなる。そして、この還元の際に異相が生成されて、その直後に形成されるPZT膜の結晶性が低下するのである。また、表面荒れが生じると、リーク電流が増加するという問題も生じる。更に、PZT膜を下部電極上に形成した場合、十分な配向を得られないことが多い。
そして、本願発明者は、これらの課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す発明の諸態様に想到した。
本願発明に係る半導体装置には、基板の上方に形成された下部電極と、前記下部電極上に形成され、構造がABO3型の結晶からなり、不純物が添加された不純物添加強誘電体膜と、が設けられている。更に、前記不純物添加強誘電体膜上に形成された強誘電体膜と、前記強誘電体膜上に形成された上部電極と、が設けられている。
本願発明に係る半導体装置の製造方法では、基板の上方に下部電極を形成した後、前記下部電極上に、構造がABO3型の結晶からなり、不純物が添加された不純物添加強誘電体膜を形成する。次に、前記不純物添加強誘電体膜に対してアニールを行う。次いで、前記不純物添加強誘電体膜上に強誘電体膜を形成する。その後、前記強誘電体膜上に上部電極を形成する。
本発明によれば、強誘電体膜の配向を良好なものとして、高いスイッチング電荷量を得ることができる。また、不純物添加強誘電体膜中の不純物の種類に応じた効果も得られる。例えば、耐疲労特性が向上したり、耐インプリント特性が向上したり、リーク電流が低減する。
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。但し、ここでは、便宜上、強誘電体メモリの各メモリセルの断面構造については、その製造方法と共に説明する。
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1A乃至図1Qは、本発明の第1の実施形態に係る強誘電体メモリ(半導体装置)の製造方法を工程順に示す断面図である。
第1の実施形態では、先ず、図1Aに示すように、n型又はp型のシリコン基板1の表面に、トランジスタの活性領域を画定するSTI(Shallow Trench Isolation)用の溝を形成し、その中に酸化シリコン等の絶縁膜を埋め込むことにより、素子分離絶縁膜2を形成する。なお、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)法により素子分離絶縁膜を形成してもよい。
次いで、活性領域にp型不純物を導入することにより、pウェル3を形成する。次に、活性領域の表面を熱酸化することにより、ゲート絶縁膜4を形成する。続いて、シリコン基板1の上側全面に、非晶質又は多結晶のシリコン膜を形成し、これをフォトリソグラフィ技術によりパターニングすることにより、ゲート電極5を形成する。このとき、pウェル3上に、2つのゲート電極5を互いに平行に配置する。これらのゲート電極5は、メモリのワード線の一部として機能する。
次いで、ゲート電極5をマスクとして用いて、n型不純物の導入(イオン注入)を行うことにより、エクステンション層6をゲート電極5の両脇に形成する。その後、シリコン基板1の上側全面に絶縁膜を形成し、これをエッチバックすることにより、ゲート電極5の横に絶縁性のサイドウォール8を形成する。絶縁膜としては、例えばシリコン酸化膜をCVD法により形成する。
続いて、サイドウォール8及びゲート電極5をマスクとして用いて、n型不純物の導入(イオン注入)を行うことにより、不純物拡散層7をゲート電極5の両脇に形成する。2組のエクステンション層6及び不純物拡散層7から、MOSトランジスタのソース及びドレインが構成される。
次に、シリコン基板1の上側全面に、スパッタ法によりコバルト層等の高融点金属層を形成し、この高融点金属層を加熱してシリコンと反応させる。この結果、ゲート電極5上に高融点金属のシリサイド層9が形成され、不純物拡散層7上に高融点金属のシリサイド層10が形成される。そして、素子分離絶縁膜2上等にある未反応のる高融点金属層をウェットエッチングにより除去する。
次に、例えば、プラズマCVD法により厚さが約200nmのシリコン酸窒化膜11をシリコン基板1の上側全面に形成する。次いで、シリコン酸窒化膜11上に、例えば、原料ガスとしてTEOSガスを用いたプラズマCVD法により、厚さが約1000nmのシリコン酸化膜12を形成する。その後、シリコン酸化膜12の上面をCMP(Chemical Mechanical Polishing)法により研磨して平坦化する。この平坦化では、シリコン酸化膜12の厚さを、シリコン基板1の上面上から約700nmとする。
次に、フォトリソグラフィ技術によりシリコン酸化膜12及びシリコン酸窒化膜11をパターニングすることにより、シリサイド層10を露出するコンタクトホールを形成する。コンタクトホールの直径は、例えば0.25μmとする。次いで、コンタクトホールの底部及び側部に、厚さが約30nmのTi膜及び厚さが約20nmのTiN膜を順次形成することにより、グルー膜(密着膜)13を形成する。その後、コンタクトホール内及びシリコン酸化膜12上にタングステン膜(W膜)14を形成する。W膜14の厚さは、シリコン酸化膜12の上面から約300nmとする。続いて、CMPを行うことにより、コンタクトホール内のみにグルー膜13及びW膜14を残す。これらからコンタクトプラグが構成される。このCMPでは、オーバー研磨を行うことにより、シリコン酸化膜12上のグルー膜13及びW膜14を完全に除去する。
次に、例えば、プラズマCVD法により厚さが約130nmのシリコン酸窒化膜15を酸化防止膜としてシリコン酸化膜12及びコンタクトプラグ上に形成する。更に、シリコン酸窒化膜15上に、例えば、原料ガスとしてTEOSガスを用いたたプラズマCVD法により、厚さが約300nmのシリコン酸化膜16を形成する。なお、酸化防止膜として、シリコン酸窒化膜15の代わりに、シリコン窒化膜又はアルミニウム酸化膜を形成してもよい。
次いで、図1Bに示すように、フォトリソグラフィ技術によりシリコン酸化膜16及びシリコン酸窒化膜15をパターニングすることにより、シリサイド層10を露出するコンタクトホールを形成する。コンタクトホールの直径は、例えば0.25μmとする。次いで、コンタクトホールの底部及び側部に、厚さが約30nmのTi膜及び厚さが約20nmのTiN膜を順次形成することにより、グルー膜(密着膜)17を形成する。その後、コンタクトホール内及びシリコン酸化膜16上にタングステン膜(W膜)18を形成する。W膜18の厚さは、シリコン酸化膜16の上面から約300nmとする。続いて、CMPを行うことにより、コンタクトホール内のみにグルー膜17及びW膜18を残す。これらからコンタクトプラグが構成される。なお、このCMPでは、オーバー研磨を行うことにより、シリコン酸化膜16上のグルー膜17及びW膜18を完全に除去する。
次に、シリコン酸化膜16の表面に対してNH3プラズマ処理を行うことにより、シリコン酸化膜16の表面の酸素原子にNH基を結合させる。このプラズマ処理では、例えば、シリコン基板1から約9mm(350mils)離間した位置に対向電極が設けられた平行平板型のプラズマ処理装置を使用する。そして、シリコン基板1の設定温度を400℃とし、チャンバ内圧力を266Pa(2Torr)とした状態で、チャンバ内にアンモニアガスを350sccmの流量で供給する。また、シリコン基板1側に13.56MHzの高周波を100Wのパワで供給すると共に、対向電極に350kHzの高周波を55Wのパワで供給し、これらを60秒間継続する。
次いで、シリコン酸化膜16及びコンタクトプラグ上に厚さが約20nmのTi膜を形成する。このTi膜の形成では、例えば、シリコン基板1から約60mm離間した位置にターゲットが設けられたスパッタリング装置を使用する。そして、シリコン基板1の設定温度を20℃とし、チャンバ内圧力を0.15Paとし、チャンバ内の雰囲気をAr雰囲気とした状態で、2.6kWのスパッタDCパワを5秒間供給する。本実施形態では、Ti膜の形成前に、シリコン酸化膜16の表面にNH3プラズマ処理を行っているので、その上に堆積したTi原子は酸素原子に捕獲されることなく、シリコン酸化膜16の表面を自在に移動することができる。この結果、Ti膜は自己組織化され、その表面が(002)面に強く配向したものとなる。その後、窒素雰囲気中で650℃、60秒間のRTA(Rapid Thermal Annealing)を行うことにより、図1Cに示すように、Ti膜を、その表面が(111)面に強く配向したTiN膜21とする。
続いて、TiN膜21上に、例えば反応性スパッタ法により厚さが約100nmのTiAlN膜22を酸素拡散バリア膜として形成する。このとき、例えば、Ti及びAlを合金化したターゲットを使用する。また、シリコン基板1の設定温度を400℃とし、チャンバ内圧力を253.3Paとし、チャンバ内に、Arを40sccmの流量で供給すると共に、N2を10sccmの流量で供給する。また、スパッタパワは、例えば1.0kWとする。
次に、TiAlN22上に、例えばスパッタ法により厚さが約100nmのPt膜23を貴金属膜として形成する。このとき、シリコン基板1の設定温度を400℃とし、チャンバ内圧力を0.2Paとし、チャンバ内雰囲気をAr雰囲気とする。また、スパッタパワは、例えば0.5kWとする。なお、貴金属膜として、Pt膜23の代わりに、Pd膜、Pt合金膜又はPd合金膜を形成してもよい。また、Pt膜23の代わりに、構造がペロブスカイト型の結晶からなる酸化物導電膜として、SRO膜(SrRuO3膜)又はLSCO膜(LaSrCoO3膜)等を形成してもよい。つまり、格子定数がPZTと近い膜を用いることができる。
次いで、Ar雰囲気中で650℃以上、60秒間のRTAを行う。この結果、Pt膜23、TiAlN膜22及びTiN膜21間の密着性が向上すると共に、Pt膜23の結晶性が向上する。
次に、図1Dに示すように、Pt膜23上に、例えば室温でのスパッタ法によりアモルファス状の不純物添加PZT膜24を不純物添加強誘電体膜として形成する。不純物添加PZT膜24としては、La、Ca、Sr、Si及び/又はNb等が添加されたPZT膜を形成する。例えば、Caが5mol%、Laが2mol%、Srが2mol%を添加されたPZT膜を形成する。
なお、結晶構造がABO3型のペロブスカイト構造となり、不純物が添加された強誘電体膜であれば、不純物添加PZT膜24の代わりに、不純物添加強誘電体膜として用いることができる。ABO3型のペロブスカイト構造では、Aサイトに、Bi、Pb、La、Ba、Sr、Ca、Na、K及び希土類元素等の原子が配置され得る。一方、Bサイトには、Ti、Zr、Nb、Si、Ir、Ru、Ta、W、Mn、Fe、Co及びCr等の原子が配置され得る。なお、1単位のペロブスカイト構造には複数のAサイトが存在するが、各Aサイトに配置される原子が各単位で全て同一である必要はない。これは、Bサイトに配置される原子についても同様である。
また、ABO3型のBi層状構造の強誘電体膜も、ABO3型のペロブスカイト構造に含まれる。これは、1単位としてみれば、ABO3型のペロブスカイト構造と等価であるからである。ABO3型のBi層状構造の強誘電体としては、(Bi1-xx)Ti312(Rは希土類元素:0<x<1)、SrBi2Ta29及びSrBi4Ti415等が挙げられる。
不純物添加PZT膜24の形成後には、不純物添加PZT膜24に対して、不活性ガスの雰囲気、又は酸化性ガス及び不活性ガスを含有する雰囲気中でのRTAを行う。例えば、熱処理温度を500℃以上(例えば580℃)とし、熱処理時間を30秒間〜120秒間(90秒間)とし、O2の流量を25sccm以下とし、Arの流量を2000sccmとする。この結果、不純物添加PZT膜24が結晶化する。なお、熱処理温度は、不純物添加PZT膜24の材料に応じて相違し、例えば、PZT系材料の場合は600℃以下が好ましく、BLT系材料の場合は700℃以下が好ましく、SBT系材料の場合は800℃以下が好ましい。
不活性ガスとしては、例えばArガス、N2ガス及び/又はHeガスを用いることができる。酸化性ガスとしては、O2ガス、O3ガス及び/又はN2Oガスを用いることができる。但し、後述のように、酸化性ガスの流量は25sccm以下、特に10sccm以下とすることが好ましい。
次に、図1Eに示すように、不純物添加PZT膜24上に、例えばMOCVD法により厚さが約80nmのPZT膜25を形成する。このとき、Pbの原料としてPb(C111922を用いる。Pb(C111922はPb(DPM)2と表記されることがある。また、Zrの原料としてZr(C91524を用いる。Zr(C91524はZr(DMHD)4と表記されることがある。また、Tiの原料としてTi(C37O)2(C111922を用いる。Ti(C37O)2(C111922はTi(O−iOr)2(DPM)2と表記されることがある。そして、これらをTHF溶媒中にいずれも0.3mol/リットルの濃度で溶解し、3種類の液体原料とする。そして、これらの液体原料を、MOCVD装置の気化器に、流量が0.474ml/分のTHF溶媒と共に、それぞれ0.326ml/分、0.200ml/分、0.200ml/分の流量で供給し、気化させる。このようにして、Pb、Zr及びTiの原料ガスが得られる。
なお、PZT膜25の代わりに、SrBi2Ta29膜、Bi4Ti39膜、(Bi,La)4Ti312膜、BiFeO3膜又はBaBi2Ta29膜等を形成してもよい。例えば、結晶構造がBi層状構造又はペロブスカイト構造の膜を形成することができる。このような膜としては、PZT膜の他、La、Ca、Sr及び/又はSi等を微量ドープしたPZT、SBT、BLT並びにBi系層状化合物などの一般式ABO3で表される膜が挙げられる。但し、これらの膜には、不純物が添加されていないことが好ましい。これは、高いスイッチング電荷量を確保するためである。
更に、MOCVDチャンバ内の圧力を665Pa(5Torr)とし、シリコン基板1の設定温度を620℃とし、Pb、Zr及びTiの原料ガスを、MOCVDチャンバ内に、例えば620秒間供給する。
次いで、図1Fに示すように、PZT膜25上に、例えばスパッタ法により厚さが50nmのIrOX膜26を形成する。IrOX膜26として、結晶化したものを形成する。このとき、シリコン基板1の設定温度を300℃とし、チャンバ内に、Ar及びO2をいずれも100sccmの流量で供給する。また、スパッタパワは、例えば1kW〜2kW程度とする。次に、チャンバ内に、O2を20sccmの流量で供給すると共に、Arを2000scmの流量で供給しながら、725℃、60秒間のRTAを行うことにより、PZT膜25を完全に結晶化させる。また、このRTAにより、IrOX膜26のプラズマダメージが回復され、不純物添加PZT膜24及びPZT膜25中の酸素欠損が補償される。
その後、IrOX膜26上に、例えばスパッタ法により厚さが100nm〜300nmのIrOY膜27を形成する。チャンバ内雰囲気をAr雰囲気とし、チャンバ内圧力を0.8Paとし、スパッタパワを1.0kWとした場合、79秒間程度で、IrOY膜27の厚さは200nm程度となる。なお、IrOYの組成はIrOXの組成よりもIrO2の化学量論組成に近い組成(X<Y<2)とすることが好ましい。これは、このような組成とすることにより、水素に対する触媒作用が抑えられ、PZT膜25が水素ラジカルにより還元されるという問題が抑制され、強誘電体キャパシタの水素耐性が向上するからである。なお、IrOX膜26及び/又はIrOY膜27の代わりに、Ir、Ru、Rh、Re、Os若しくはPdからなる膜、又はこれらの酸化物膜を形成してもよい。また、SrRuO3等の導電性酸化物を形成してもよい。更に、これらの膜を積層したものを用いてもよい。
次に、IrOY膜27上に、例えばスパッタ法により厚さが50nm〜100nmのIr膜28を水素バリア膜及び導電性向上膜として形成する。このとき、チャンバ内雰囲気をAr雰囲気とし、チャンバ内圧力を1Paとし、スパッタパワを1.0kWとする。なお、Ir膜27の代わりに、Ru膜、Rh膜又はPd膜を形成してもよい。
その後、背面洗浄を行う。続いて、図1Gに示すように、Ir膜28上に窒化チタン膜(TiN膜)31及びシリコン酸化膜32を順次形成する。TiN膜31は、例えばスパッタ法により形成する。シリコン酸化膜32は、例えばTEOSガスを用いたCVD法により形成する。
次いで、図1Hに示すように、シリコン酸化膜32を島状にパターニングする。
次に、図1Iに示すように、シリコン酸化膜32をマスクとして用いて、TiN膜31をエッチングする。この結果、島状のTiN膜31及びシリコン酸化膜32からなるハードマスクが形成される。
次に、TiN膜31及びシリコン酸化膜32をマスクとして用いて、HBr、O2、Ar、及びC48の混合ガスをエッチングガスとするプラズマエッチングを、Ir膜28、IrOY膜27、IrOX膜26、PZT膜25、不純物添加PZT膜24及びPt膜23に対して行う。この結果、上部電極33及び容量絶縁膜34が形成される。
続いて、図1Jに示すように、ドライエッチング又はウェットエッチによりシリコン酸化膜32を除去する。
次に、図1Kに示すように、Ir膜28等をマスクとして用いて、ドライエッチングを行うことにより、TiAlN膜22及びTiN膜21をパターニングする。本実施形態では、Pt膜23、TiAlN膜22及びTiN膜21から下部電極30が構成される。但し、Pt膜23のみを下部電極とみなすことも可能である。また、下部電極30には、Pt、Ir、Ru、Rh、Re、Os及びPdを含有する導電膜(酸化物導電膜を含む)が含まれていてもよい。
次いで、図1Lに示すように、強誘電体キャパシタを覆う保護膜35をシリコン酸化膜16上に形成する。保護膜35としては、例えばスパッタ法により厚さが約20nmのアルミニウム酸化膜を形成する。
その後、図1Mに示すように、誘電体膜キャパシタのダメージを回復させるために、酸素含有雰囲気中で回復アニールを行う。この回復アニールの条件は特に限定されないが、例えばシリコン基板1の設定温度を550℃〜700℃とする。特に、本実施形態のように、強誘電体膜としてPZT膜25が形成されている場合には、酸素雰囲気中で650℃、60分間の回復アニールを行う。
その後、図1Nに示すように、保護膜35上に新たな保護膜36を形成する。保護膜36としては、例えばCVD法により厚さが約20nmのアルミニウム酸化膜を形成する。
次に、図1Oに示すように、保護膜36上に、例えばプラズマTEOSCVD法により厚さが約1500nmのシリコン酸化物37を層間絶縁膜として形成する。このとき、原料ガスとして、例えば、TEOSガス、酸素ガス及びヘリウムガスからなる混合ガスを用いる。その後、シリコン酸化物37の表面を、例えばCMP法により平坦化する。なお、層間絶縁膜として、例えば、絶縁性を有する無機膜等を形成してもよい。
続いて、N2Oガス又はN2ガス等を用いて発生させたプラズマ雰囲気中で、熱処理を行う。この結果、シリコン酸化物37中の水分が除去されると共に、シリコン酸化物37の膜質が変化し、シリコン酸化物37中に水分が入りにくくなる。
その後、シリコン酸化物37上に、例えばスパッタ法又はCVD法により、保護膜(バリア膜)38を形成する。保護膜38としては、例えば厚さが20nm〜100nmのアルミニウム酸化膜を形成する。平坦化されたシリコン酸化物37上に保護膜38が形成されるため、保護膜38も平坦となる。
次に、保護膜38上に、例えばプラズマTEOSCVD法により厚さが300nm〜500nmのシリコン酸化物39を層間絶縁膜として形成する。その後、シリコン酸化物39の表面を、例えばCMP法により平坦化する。なお、層間絶縁膜として、シリコン酸窒化膜又はシリコン窒化膜等を形成してもよい。
次いで、図1Pに示すように、フォトリソグラフィ技術により、シリコン酸化膜39、保護膜38及びシリコン酸化膜37をパターニングすることにより、上部電極33を露出するコンタクトホールを形成する。また、フォトリソグラフィ技術により、シリコン酸化膜39、保護膜38、シリコン酸化膜37、保護膜36、保護膜35、シリコン酸化膜16及びシリコン酸窒化膜15をパターニングすることにより、グルー膜13及びW膜14からなるコンタクトプラグを露出するコンタクトホールを形成する。コンタクトホールの直径は、例えば0.25μmとする。その後、550℃の酸素雰囲気中で熱処理を行うことにより、コンタクトホールの形成の際に不純物添加PZT膜24及びPZT膜25に生じた酸素欠損を回復させる。
次いで、コンタクトホールの底部及び側部に、厚さが約30nmのTi膜及び厚さが約20nmのTiN膜を順次形成することにより、グルー膜(密着膜)40を形成する。このとき、例えば、Ti膜をスパッタ法により形成し、その上にTiN膜をMOCVD法により形成する。但し、TiN膜をMOCVD法により形成する場合には、TiN膜から炭素を除去するために、窒素及び水素の混合ガスのプラズマ中での処理が必要とされる。本実施形態では、上部電極33の最表面がIr膜28となっているため、このプラズマ処理が行われても、上部電極33は還元されない。また、グルー膜40として、TiN膜のみを形成してもよい。
その後、コンタクトホール内及びシリコン酸化膜39上にタングステン膜(W膜)41を形成する。W膜41の厚さは、シリコン酸化膜39の上面から約300nmとする。続いて、CMPを行うことにより、コンタクトホール内のみにグルー膜40及びW膜41を残す。これらからコンタクトプラグが構成される。なお、このCMPでは、オーバー研磨を行うことにより、シリコン酸化膜39上のグルー膜40及びW膜41を完全に除去する。
続いて、シリコン酸化膜39及びコンタクトプラグ上に、Ti膜42、TiN膜43、AlCu膜44、TiN膜45及びTi膜46からなる配線を形成する。配線の形成に当たっては、例えばスパッタ法により、厚さが60nmのTi膜、厚さが30nmのTiN膜、厚さが360nmのAlCu膜、厚さが5nmのTi膜、及び厚さが70nmのTiN膜を順次形成し、フォトリソグラフィ技術を用いて、これらをパターニングする。
その後、更に、層間絶縁膜の形成、コンタクトプラグの形成及び下から第2層目以降の配線の形成等を行う。そして、例えばTEOS酸化膜及びSiN膜からなるカバー膜を形成して強誘電体キャパシタを有する強誘電体メモリを完成させる。
このような第1の実施形態では、容量絶縁膜34の最下部に不純物添加PZT膜24を形成しているので、強誘電体キャパシタの耐疲労特性及びインプリント特性が良好なものなると共に、低電圧動作が可能となる。また、リーク電流も低減される。更に、不純物添加PZT膜24よりも厚いPZT膜25を不純物添加PZT膜24上に形成しているため、十分なスイッチング電荷量が確保される。また、スイッチング電荷量を確保するためにPZT膜25をMOCVD法により形成しているが、不純物添加PZT膜24は室温でスパッタ法により形成しているため、不純物添加PZT膜24と下部電極膜との反応が抑制される。なお、特許文献3に記載の方法では、Ir膜上に強誘電体膜をスパッタ法により形成しているのに対し、本実施形態では、下部電極膜の最上部をPt膜23としている。このため、より一層反応が生じにくくなっている。
なお、不純物添加強誘電体膜の厚さは、1nm〜50nmであることが好ましく、特に20nm〜30nmであることが好ましい。下限未満であると、その上に形成される強誘電体膜の配向を十分に制御できないことがあったり、リーク電流の抑制等が不足したりする。一方、上限を超えると、スイッチング電荷量が不足したり、低電圧動作が困難になったりする。
また、添加物の量は、元素毎に0.1mol%〜5%molであることが好ましい。下限未満であると、添加に伴う十分な効果が得られないことがある。一方、上限を超えると、スイッチング電荷量が不足することがある。
なお、強誘電体キャパシタではなく、高誘電率のキャパシタが必要な場合には、不純物添加強誘電体膜及び強誘電体膜の代わりに、不純物添加高誘電体膜及び高誘電体膜を用いればよい。この場合、例えば、酸化Zr系又はPb系の高誘電体材料を用いればよい。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図2A乃至図2Cは、本発明の第2の実施形態に係る強誘電体メモリ(半導体装置)の製造方法を工程順に示す断面図である。
第2の実施形態では、先ず、第1の実施形態と同様に、シリコン酸化膜16の表面に対するNH3プラズマ処理までの処理を行う。但し、グルー膜17及びW膜18からなるコンタクトプラグの形成に当たっては、図2Aに示すように、コンタクトプラグの表面にリセス50が形成されることがある。リセス50の深さは、例えば20nm〜50nm程度である。
このようなリセス50が存在したままで第1の実施形態と同様の処理を行うと、TiN膜21等の表面に、リセス50を反映した凹部が形成され、不純物添加PZT膜24及びPZT膜25の配向が低下してしまう。そこで、第2の実施形態では、図2Bに示すように、シリコン酸化膜16及びコンタクトプラグ上に厚さが約100nmのTi膜51を形成する。このTi膜51の形成では、例えば、シリコン基板1から約60mm離間した位置にターゲットが設けられたスパッタリング装置を使用する。そして、シリコン基板1の設定温度を20℃とし、チャンバ内圧力を0.15Paとし、チャンバ内の雰囲気をAr雰囲気とした状態で、2.6kWのスパッタDCパワを35秒間供給する。本実施形態でも、Ti膜51の形成前に、シリコン酸化膜16の表面にNH3プラズマ処理を行っているので、その上に堆積したTi原子は酸素原子に捕獲されることなく、シリコン酸化膜16の表面を自在に移動することができる。この結果、Ti膜51は自己組織化され、その表面が(002)面に強く配向したものとなる。
その後、例えばCMP法によりTi膜51の表面を平坦化する。平坦化後のTi膜51の厚さは、例えばシリコン酸化膜16の表面から50nm〜100nmとする。この厚さの制御は、例えば時間制御により行う。
続いて、Ti膜51の表面をNH3プラズマにさらす。Ti膜51の表面の結晶には、平坦化処理によって歪が生じているが、このプラズマ処理により、歪が緩和される。このため、その上に形成される膜の結晶性の低下を未然に回避することができる。
次に、Ti膜51上に、厚さが約20nmのTi膜を形成する。次いで、第1の実施形態と同様に、窒素雰囲気中で650℃、60秒間のRTAを行うことにより、図2Cに示すように、Ti膜を、その表面が(111)面に強く配向したTiN膜21とする。
その後、第1の実施形態と同様に、TiAlN膜22の形成以降の処理を行う。
このような第2の実施形態によれば、リセス50が形成された場合であっても、良好な特性の強誘電体キャパシタを得ることができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図3A及び図3Bは、本発明の第3の実施形態に係る強誘電体メモリ(半導体装置)の製造方法を工程順に示す断面図である。
第3の実施形態では、先ず、第2の実施形態と同様に、Ti膜51の形成までの処理を行う。その後、図3Aに示すように、例えばCMP法により、シリコン酸化膜16の表面が露出するまでTi膜51の表面を平坦化する。つまり、第2の実施形態とは異なり、シリコン酸化膜16上のTi膜51を完全に除去する。
続いて、第2の実施形態と同様に、Ti膜51の表面をNH3プラズマにさらす。Ti膜51の表面の結晶には、平坦化処理によって歪が生じているが、このプラズマ処理により、歪が緩和される。このため、その上に形成される膜の結晶性の低下を未然に回避することができる。
次に、Ti膜51上に、厚さが約20nmのTi膜を形成する。次いで、第1及び第2の実施形態と同様に、窒素雰囲気中で650℃、60秒間のRTAを行うことにより、図3Bに示すように、Ti膜を、その表面が(111)面に強く配向したTiN膜21とする。
その後、第1及び第2の実施形態と同様に、TiAlN膜22の形成以降の処理を行う。
このような第3の実施形態によっても、第2の実施形態と同様の効果が得られる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。図4A乃至図4Cは、本発明の第4の実施形態に係る強誘電体メモリ(半導体装置)の製造方法を工程順に示す断面図である。
第4の実施形態では、先ず、図4Aに示すように、第1の実施形態と同様に、グルー膜13及びW膜14からなるコンタクトプラグの形成までの処理を行う。
次に、シリコン酸化膜12の表面に対してNH3プラズマ処理を行うことにより、シリコン酸化膜12の表面の酸素原子にNH基を結合させる。このプラズマ処理では、例えば、シリコン基板1から約9mm(350mils)離間した位置に対向電極が設けられた平行平板型のプラズマ処理装置を使用する。そして、シリコン基板1の設定温度を400℃とし、チャンバ内圧力を266Pa(2Torr)とした状態で、チャンバ内にアンモニアガスを350sccmの流量で供給する。また、シリコン基板1側に13.56MHzの高周波を100Wのパワで供給すると共に、対向電極に350kHzの高周波を55Wのパワで供給し、これらを60秒間継続する。
次いで、図4Bに示すように、TiN膜21をシリコン酸化膜12及びコンタクトプラグ上に形成する。TiN膜21の形成方法は、第1の実施形態と同様である。その後、TiAlN膜22の形成から保護膜36の形成までの処理を行う。
その後、図4Cに示すように、第1の実施形態と同様にして、シリコン酸化膜37の形成及び平坦化を行う。次に、2つのMOSトランジスタに共有されているシリサイド層10まで到達するコンタクトホールを、シリコン酸化膜37、保護膜36、保護膜35、シリコン酸化膜12及びシリコン酸窒化膜11に形成する。そして、このコンタクトホール内に、グルー膜40及びW膜41からなるコンタクトプラグを形成する。更に、コンタクトプラグを酸化防止膜(図示せず)等により覆った状態で、上部電極33を露出する孔を形成する。
続いて、シリコン酸化膜37上、コンタクトプラグ上及び孔内に、Ti膜42、TiN膜43、AlCu膜44、TiN膜45及びTi膜46からなる配線及びパッドを形成する。配線及びパッドの形成に当たっては、例えばスパッタ法により、厚さが60nmのTi膜、厚さが30nmのTiN膜、厚さが360nmのAlCu膜、厚さが5nmのTi膜、及び厚さが70nmのTiN膜を順次形成し、フォトリソグラフィ技術を用いて、これらをパターニングする。
その後、更に、層間絶縁膜の形成、コンタクトプラグの形成及び下から第2層目以降の配線の形成等を行う。そして、例えばTEOS酸化膜及びSiN膜からなるカバー膜を形成して強誘電体キャパシタを有する強誘電体メモリを完成させる。
このような第4の実施形態によれば、第1の実施形態よりも少ない工程で強誘電体キャパシタを完成させることができる。
なお、強誘電体キャパシタの構造をスタック構造ではなく、プレーナ構造としてもよい。
また、不純物添加強誘電体膜の形成は、500℃以下、特に100℃以下で行うことが好ましく、このような方法としては、スパッタ法の他に、ゾル−ゲル法が挙げられる。また、強誘電体膜の形成方法としては、MOCVD法の他に、スパッタ法、ゾル−ゲル法、有機金属分解(MOD)法、CSD(Chemical Solution Deposition)法、化学気相蒸着(CVD)法及びエピタキシャル成長法等が挙げられる。
また、密着膜として、TiN膜21に代えて、Ti膜、Al酸化膜、Al窒化膜、TiAlN膜、Ta酸化膜、Ti酸化膜又はZr酸化膜等を用いてもよい。但し、絶縁膜を用いる場合には、強誘電体キャパシタの構造は、プレーナ構造とする。また、酸素バリア膜として、TiAlN膜22に代えて、Ir膜又はRu膜等を用いてもよい。また、Pt膜23に代えて、Rh膜、Pd膜又はRu膜等を用いてもよい。また、IrOX膜24に代えて、Rh酸化膜、Pd酸化膜又はRu酸化膜等を用いてもよい。また、結晶性向上膜として、Ti膜51に代えて、Pt膜、Ir膜、Re膜、Ru膜、Pd膜又はOs膜等を用いてもよく、これらの酸化膜を用いてもよい。
次に、本願発明者が行った実験の結果について説明する。
(第1の実験)
第1の実験では、PZT膜の表面を観察した。図5A及び図5Bは、第1の実施形態に倣ってMOCVD法により形成したPZT膜の表面の走査型電子顕微鏡写真である。ここで、図5Aは、低倍率での顕微鏡写真であり、図5Bは、高倍率での顕微鏡写真である。また、図6は、不純物添加PZT膜を形成せずにIr膜を最表面とする下部電極上にMOCVD法により形成したPZT膜の表面の走査型電子顕微鏡写真である。ここで、図6に示すSEM写真の倍率は、図5Aに示すSEM写真の倍率と同等である。
図6に示す試料の作製に際しては、Ir膜を形成した後、その上に、酸素雰囲気のMOCVDチャンバ内で昇温し、PZT膜を形成した。このため、昇温中に、制御不能なIr膜に異常酸化が発生し、その後に還元されているものの、結晶性が低下すると共に、図6に示すように、凹凸が生じた。これに対し、第1の実施形態に倣った場合には、図5A及び図5Bに示すように、凹凸が発生しなかった。このことから、結晶性の低下もほとんどないと考えられる。
(第2の実験)
第2の実験では、図6にSEM写真を示す試料と同様の方法で形成したPZT膜の配向の再現性について調査した。ここでは、PZT膜の形成を24枚のウェハに対して行った。この結果を図7A乃至図7Dに示す。ここで、図7Aの縦軸は、ウェハの中心部におけるPZT膜の(111)面への配向の積分強度を表している。図7Bの縦軸は、ウェハの周辺部におけるPZT膜の(111)面への配向の積分強度を表している。図7Cは、ウェハの中心部におけるPZT膜の(222)面への配向率を表している。図7Dは、ウェハの周辺部におけるPZT膜の(222)面への配向率を表している。なお、(222)面への配向率は、(222)面への配向の積分強度をI222、(100)面への配向の積分強度をI100、(101)面への配向の積分強度をI101としたとき、「I222/(I100+I101+I222)」で表される。
図7A乃至図7Dに示すように、(111)面への配向の積分強度及び(222)面への配向率のいずれもが不安定であった。特に、図7B及び図7Dに示すように、ウェハの周辺部におけるばらつきが大きかった。
(第3の実験)
第3の実験では、不純物添加PZT膜に対するRTAの条件(雰囲気)とその上にMOCVD法により形成されるPZT膜の結晶性との関係について調査した。ここでは、不純物添加PZT膜として、第1の実施形態と同様の不純物が添加された厚さが20nmの膜(CSPLZT膜)をスパッタ法により形成した後に、表1に示す雰囲気でRTAを行った。そして、その上にMOCVD法により厚さが80nmのPZT膜を形成し、その配向を測定した。なお、条件Dでは、スパッタ法によるCSPLZT膜の形成を行わず、MOCVD法により厚さが100nmのPZT膜を形成した。
Figure 2008071825
この結果を図8A乃至図8Cに示す。図8Aは、PZT膜の表面の(100)面への配向の積分強度を示し、図8Bは、(101)面への配向の積分強度を示し、図8Cは、(111)面への配向の積分強度を示している。
図8A乃至図8Cに示すように、条件Dで作製した試料では、(110)面への配向が高くなってしまった。これに対し、条件A〜Cで作製した試料では、(110)面への配向がほとんどなかった。なお、図8Aに示すように、Arの他にO2を供給した場合には、ウェハの中心部において、(100)面への配向が強くなった。また、図8Cに示すように、Arのみを供給した場合には、全体的に、(111)面への配向が強くなった。従って、O2を全く供給しないことが好ましいと考えられる。
(第4の実験)
第4の実験では、第3の実験と同じ4種の条件で試料を作製し、それらにおけるPZT膜の表面の配向について調査した。この結果を図9A及び図9Bに示す。図9Aは、(222)面への配向率を示し、図9Bは、(111)面への配向のロッキング半値幅を示す。
図9Aに示すように、Arのみを供給した場合、(222)面への配向が強くると共に、ばらつきが極めて抑制された。また、図9Bに示すように、Arのみを供給した場合には、ロッキング半値幅が低く抑えられた。つまり、極めて良好な結晶性が得られた。この点からも、O2を全く供給しないことが好ましいと考えられる。
なお、スパッタ法により形成した不純物添加強誘電体膜のアニールの好ましい条件は、その厚さにも依存する。そこで、第3及び第4の実験の結果から、酸化性ガスを供給する場合、その流量は25sccm以下、特に10sccmとすることが好ましいと考えられる。
(第5の実験)
第5の実験では、第1の実施形態に倣って形成したPZT膜の配向の再現性について調査した。ここでは、スパッタ法により厚さが20nm又は30nmの不純物添加PZT膜(CSPLZT膜)を形成した後、Ar雰囲気中で結晶化させた。そして、その上に、MOCVD法によりPZT膜を形成した。そして、その表面の配向を調査した。この結果を図10A乃至図10Cに示す。図10Aの縦軸は、PZT膜の表面の(111)面への配向の積分強度を示している。図10Bの縦軸は、(222)面への配向率を示している。図10Cの縦軸は、(111)への配向のロッキング半値幅を示している。
図10A乃至図10Cに示すように、特に不純物添加PZT膜の厚さを30nmとした場合に、ばらつきが低く、再現性が非常に高くなった。なお、他の実験の結果から、O2を供給する場合には、不純物添加強誘電体膜が厚くなるほど、その上に形成する強誘電体膜が(111)面に配向しにくいことがわかっている。
以下、本発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
基板の上方に形成された下部電極と、
前記下部電極上に形成され、構造がABO3型の結晶からなり、不純物が添加された不純物添加強誘電体膜と、
前記不純物添加強誘電体膜上に形成された強誘電体膜と、
前記強誘電体膜上に形成された上部電極と、
を有することを特徴とする半導体装置。
(付記2)
前記下部電極の最表面に、Pt又はPdを含む導電膜が形成されていることを特徴とする付記1に記載の半導体装置。
(付記3)
前記下部電極の最表面に、構造がペロブスカイト型の結晶からなる酸化物導電膜が形成されていることを特徴とする付記1に記載の半導体装置。
(付記4)
前記不純物は、La、Si、Sr、Ca、Ba、Na、K、Nb、Ta、W、Mn、Fe、Co、Ir、Ru、Cr及び希土類元素からなる群から選択された少なくとも1種であることを特徴とする付記1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置。
(付記5)
前記強誘電体膜は、前記不純物添加強誘電体膜よりも厚いことを特徴とする付記1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置。
(付記6)
前記不純物添加強誘電体膜の厚さは、1nm乃至50nmであることを特徴とする付記1乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置。
(付記7)
前記不純物添加強誘電体膜は、Sr、Ca、Nb、Ir及びLaからなる群から選択された少なくとも1種が添加されたPb(Zr,Ti)O3から構成されていることを特徴とする付記1乃至6のいずれか1項に記載の半導体装置。
(付記8)
前記不純物の添加量は、元素毎に5mol%以下であることを特徴とする付記7に記載の半導体装置。
(付記9)
基板の上方に下部電極を形成する工程と、
前記下部電極上に、構造がABO3型の結晶からなり、不純物が添加された不純物添加強誘電体膜を形成する工程と、
前記不純物添加強誘電体膜に対してアニールを行う工程と、
前記不純物添加強誘電体膜上に強誘電体膜を形成する工程と、
前記強誘電体膜上に上部電極を形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記10)
前記不純物添加強誘電体膜を500℃以下で形成することを特徴とする付記9に記載の半導体装置の製造方法。
(付記11)
前記不純物添加強誘電体膜をスパッタ法により形成することを特徴とする付記9又は10に記載の半導体装置の製造方法。
(付記12)
前記下部電極を形成する工程は、その最表面に、Pt又はPdを含む導電膜を形成する工程を有することを特徴とする付記9乃至11のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記13)
前記下部電極を形成する工程は、その最表面に、構造がペロブスカイト型の結晶からなる酸化物導電膜を形成する工程を有することを特徴とする付記9乃至11のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記14)
前記不純物として、La、Si、Sr、Ca、Ba、Na、K、Nb、Ta、W、Mn、Fe、Co、Ir、Ru、Cr及び希土類元素からなる群から選択された少なくとも1種を用いることを特徴とする付記9乃至13のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記15)
前記強誘電体膜を、前記不純物添加強誘電体膜よりも厚くすることを特徴とする付記9乃至14のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記16)
前記不純物添加強誘電体膜の厚さを、1nm乃至50nmとすることを特徴とする付記9乃至15のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記17)
前記不純物添加強誘電体膜として、Sr、Ca、Nb、Ir及びLaからなる群から選択された少なくとも1種が添加されたPb(Zr,Ti)O3から構成された膜を形成することを特徴とする付記9乃至16のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記18)
前記不純物の添加量を、元素毎に5mol%以下とすることを特徴とする付記17に記載の半導体装置の製造方法。
(付記19)
前記アニールを、酸化性ガスの流量が25sccm以下の条件下で行うことを特徴とする付記9乃至18のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記20)
前記強誘電体膜を、MOCVD法、ゾル−ゲル法又はCSD法により形成することを特徴とする付記9乃至19のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
本発明の第1の実施形態に係る強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 図1Aに引き続き、強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 図1Bに引き続き、強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 図1Cに引き続き、強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 図1Dに引き続き、強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 図1Eに引き続き、強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 図1Fに引き続き、強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 図1Gに引き続き、強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 図1Hに引き続き、強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 図1Iに引き続き、強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 図1Jに引き続き、強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 図1Kに引き続き、強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 図1Lに引き続き、強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 図1Mに引き続き、強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 図1Nに引き続き、強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 図1Oに引き続き、強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 図1Pに引き続き、強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 図2Aに引き続き、強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 図2Bに引き続き、強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 図3Aに引き続き、強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 本発明の第4の実施形態に係る強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 図4Aに引き続き、強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 図4Bに引き続き、強誘電体メモリの製造方法を示す断面図である。 PZT膜の表面を示す低倍率のSEM写真である(不純物添加PZT膜あり)。 PZT膜の表面を示す高倍率のSEM写真である(不純物添加PZT膜あり)。 PZT膜の表面を示す低倍率の顕微鏡写真である(不純物添加PZT膜なし)。 ウェハの中心部におけるPZT膜の(111)面への配向の積分強度の再現性を示すグラフである。 ウェハの周辺部におけるPZT膜の(111)面への配向の積分強度の再現性を示すグラフである。 ウェハの中心部におけるPZT膜の(222)面への配向率の再現性を示すグラフである。 ウェハの周辺部におけるPZT膜の(222)面への配向率の再現性を示すグラフである。 PZT膜の(100)面への配向の積分強度を示すグラフである。 PZT膜の(101)面への配向の積分強度を示すグラフである。 PZT膜の(111)面への配向の積分強度を示すグラフである。 不純物添加PZT膜の形成条件と(222)面への配向率との関係を示すグラフである。 不純物添加PZT膜の形成条件と(111)面への配向のロッキング半値幅との関係を示すグラフである。 不純物添加PZT膜の厚さと(111)面への配向の積分強度との関係を示すグラフである。 不純物添加PZT膜の厚さと(222)面への配向率との関係を示すグラフである。 不純物添加PZT膜の厚さと(111)への配向のロッキング半値幅との関係を示すグラフである。
符号の説明
24:不純物添加PZT膜
25:PZT膜
30:下部電極
33:上部電極
34:容量絶縁膜

Claims (10)

  1. 基板の上方に形成された下部電極と、
    前記下部電極上に形成され、構造がABO3型の結晶からなり、不純物が添加された不純物添加強誘電体膜と、
    前記不純物添加強誘電体膜上に形成された強誘電体膜と、
    前記強誘電体膜上に形成された上部電極と、
    を有することを特徴とする半導体装置。
  2. 前記下部電極の最表面に、Pt又はPdを含む導電膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記下部電極の最表面に、構造がペロブスカイト型の結晶からなる酸化物導電膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  4. 前記強誘電体膜は、前記不純物添加強誘電体膜よりも厚いことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置。
  5. 前記不純物添加強誘電体膜は、Sr、Ca、Nb、Ir及びLaからなる群から選択された少なくとも1種が添加されたPb(Zr,Ti)O3から構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置。
  6. 基板の上方に下部電極を形成する工程と、
    前記下部電極上に、構造がABO3型の結晶からなり、不純物が添加された不純物添加強誘電体膜を形成する工程と、
    前記不純物添加強誘電体膜に対してアニールを行う工程と、
    前記不純物添加強誘電体膜上に強誘電体膜を形成する工程と、
    前記強誘電体膜上に上部電極を形成する工程と、
    を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  7. 前記不純物添加強誘電体膜をスパッタ法により形成することを特徴とする請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
  8. 前記下部電極を形成する工程は、その最表面に、Pt又はPdを含む導電膜を形成する工程を有することを特徴とする請求項6又は7に記載の半導体装置の製造方法。
  9. 前記下部電極を形成する工程は、その最表面に、構造がペロブスカイト型の結晶からなる酸化物導電膜を形成する工程を有することを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  10. 前記不純物添加強誘電体膜として、Sr、Ca、Nb、Ir及びLaからなる群から選択された少なくとも1種が添加されたPb(Zr,Ti)O3から構成された膜を形成することを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
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