JP2008071424A - スパッタリングターゲット、それを用いた相変化光記録媒体用界面層膜とその製造方法、および相変化光記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】相変化記録媒体の界面層膜の成膜等に用いられるスパッタリングターゲットにおいて、結晶化促進機能、光学的特性、記録膜との密着性をもった金属化合物膜の成膜を可能にする。
【解決手段】スパッタリングターゲットは、((M1−aSia)1−bCrb)(O1-xNx)z(式中、MはZrおよびHfから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、a、b、xおよびzは0.1≦a≦0.6、0.1≦b≦0.5、0<x≦0.7、0.5≦z≦2.0(原子比)を満足する数である)
で表される組成を有するこのようなスパッタリングターゲットを用いて成膜した金属酸窒化膜は、相変化記録媒体1の界面層4、6等に使用される。
【選択図】 図1
【解決手段】スパッタリングターゲットは、((M1−aSia)1−bCrb)(O1-xNx)z(式中、MはZrおよびHfから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、a、b、xおよびzは0.1≦a≦0.6、0.1≦b≦0.5、0<x≦0.7、0.5≦z≦2.0(原子比)を満足する数である)
で表される組成を有するこのようなスパッタリングターゲットを用いて成膜した金属酸窒化膜は、相変化記録媒体1の界面層4、6等に使用される。
【選択図】 図1
Description
本発明は、例えば相変化光記録媒体の界面層膜の形成に用いられるスパッタリングターゲットとそれを用いた界面層膜とその製造方法、およびそのような界面層膜を具備する相変化光記録媒体に関する。
相変化光記録膜は、一般に融点以上に加熱された部分が溶融し、急激に冷却された際に非晶質の原子配列をとる。また、融点以下で結晶化温度の温度領域に一定時間以上保持された場合、初期状態が非晶質の場合は結晶化する(固相消去モード)。記録膜材料によっては、記録膜の非結晶部近傍を融点以上に加熱、溶融した後、徐冷することで結晶化させる方法も取られる(溶融消去モード)。相変化光記録媒体は、非晶質部位からの反射光強度と結晶部位からの反射光強度が異なることから、反射光の強弱を電気信号の強弱に変換して情報を読み出すものである。
このような相変化光記録媒体において、一枚の記録媒体に記録できる情報の量、すなわち記録容量を増やすための方法としては、トラック方向の記録マークのピッチを微細化する方法やトラックピッチを狭小化する方法が知られている。その他に大容量化のための手法としては、情報を担う層を複数設け、それらを重ね合わせる方法が知られている。二つの層を重ね合わせて片面から読み書きできるように設計された媒体は片面二層媒体、または単に二層媒体と呼ばれている。
特に片面二層媒体において、光入射側に近い方に設ける情報層(以後、L0層と称する)は、遠い方に設ける情報層(以後、L1層と称する)にアクセスする際にL0層で必要以上に光を減衰させないために、おおよそ50%以上の透過率を確保する必要がある。このためには、一般的にL0層の記録膜の厚さを10nm以下と極めて薄くする方法や記録膜の前後に成膜された界面層の透過率を大きくする(消衰係数を小さくする)方法がある。例えば、記録膜の前後の膜を薄くすると結晶化に必要な保持時間が長くなり、通常の記録速度では消え残りが発生する。そのための対策としては、GeSbTe記録膜の一部をSn、Bi、In、Pb等で置換することが有効である。
記録膜の消去率を確保するためには、記録膜材料を工夫しただけでは不十分であり、記録膜との界面に結晶化促進効果のある膜を配置する必要がある。このような界面層としては窒化ゲルマニウム(GeN)が有効である。例えば、特許文献1には記録層と保護層との間にGeN層やGeNO層を設けることが記載されている。しかし、厚さ10nm以下というような極薄の記録膜とGeN層等の界面層との組合せにおいては、クロスイレースが発生し、トラックピッチを十分に狭小化することができないという問題が生じる。
一方、結晶化促進機能が報告されている炭化珪素(SiC)は、次世代の高密度光ディスクで使用されるレーザ光の波長(405nm)における光の消衰係数が大きく、非常に大きな光学的損失がある。窒化ゲルマニウム(GeN)や窒化珪素(SiNx)でも光学的な損失がある。GeN以外の結晶化促進機能を有する界面層材料としては、硫黄(S)フリーの保護膜用材料を目指したTa2O5等の酸化物に炭化物もしくは窒化物を混合した複合材料が知られている(例えば特許文献2参照)が、これも次世代の高密度光ディスクで使用されるレーザ光の波長(405nm)では不透明となり、光学的ロスが大きくなる。
特開2005-322409号公報
特開2003-67974号公報
上述したように、相変化光記録媒体においては記録膜の消去率等を確保する上で、記録膜との界面に結晶化促進効果を有する膜を配置することが行われている。しかしながら、従来の界面層材料は次世代の高密度光ディスクで使用されるレーザ光の波長(405nm)における光の消衰係数が大きく、特に片面二層媒体の特性や品質を劣化させる要因となる。このようなことから、特に記録容量の大きな相変化記録媒体の界面層膜を構成する金属化合物膜には、記録容量等に影響を及ぼす結晶化促進機能と記録媒体の信頼性等に影響を及ぼす光学的特性とを両立させることが求められている。
本発明はこのような課題に対処するためになされたもので、例えば相変化記録媒体の界面層膜として使用するにあたって、結晶化促進機能と光学的特性とを両立させた金属化合物膜を得ることを可能にしたスパッタリングターゲットとそれを用いた相変化光記録媒体用界面層膜およびその製造方法、さらにそのような界面層膜を適用した相変化光記録媒体を提供することを目的としている。
本発明の一態様に係るスパッタリングターゲットは、
一般式:((M1−aSia)1−bCrb)(O1-xNx)z
(式中、MはZrおよびHfから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、a、b、xおよびzは0.1≦a≦0.6、0.1≦b≦0.5、0<x≦0.7、0.5≦z≦2.0(原子比)を満足する数である)
で表される組成を有することを特徴としている。
一般式:((M1−aSia)1−bCrb)(O1-xNx)z
(式中、MはZrおよびHfから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、a、b、xおよびzは0.1≦a≦0.6、0.1≦b≦0.5、0<x≦0.7、0.5≦z≦2.0(原子比)を満足する数である)
で表される組成を有することを特徴としている。
本発明の態様に係る相変化光記録媒体用界面層膜は、上記した本発明の態様に係るスパッタリングターゲットを用いてスパッタ成膜してなることを特徴としている。
本発明の他の態様に係る相変化光記録媒体用界面層膜の製造方法は、上記した本発明の他の態様に係るスパッタリングターゲットを用いて、不活性ガス雰囲気、または酸素および窒素の少なくとも一方を含む不活性ガス雰囲気中で、前記M元素とSi、Crの複合酸窒化膜をスパッタ成膜する工程を具備することを特徴としている。
本発明の態様に係る相変化光記録媒体は、光照射により可逆的に記録・消去がなされる相変化光記録層と、前記相変化光記録層の少なくとも一方の面に沿って配置された界面層であって、上記した本発明の態様に係るスパッタリングターゲットを用いてスパッタ成膜してなる金属酸窒化膜からなる界面層とを具備することを特徴としている。
本発明のスパッタリングターゲットによれば、例えば相変化記録媒体の界面層膜として使用した際に、結晶化促進機能と光学的特性とを両立させた金属酸窒化膜を得ることができる。このような金属酸窒化膜からなる界面層膜を適用することによって、相変化記録媒体の特性や品質の向上を図ることが可能となる。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。本発明の第1の実施形態によるスパッタリングターゲットは、
一般式:((M1−aSia)1−bCrb)(O1-xNx)z
(式中、MはZrおよびHfから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、a、b、xおよびzは0.1≦a≦0.6、0.1≦b≦0.5、0<x≦0.7、0.5≦z≦2.0(原子比)を満足する数である)
で表される組成を有する酸窒化物ターゲットであり、相変化光記録媒体の界面層膜の形成に好適に使用されるものである。
一般式:((M1−aSia)1−bCrb)(O1-xNx)z
(式中、MはZrおよびHfから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、a、b、xおよびzは0.1≦a≦0.6、0.1≦b≦0.5、0<x≦0.7、0.5≦z≦2.0(原子比)を満足する数である)
で表される組成を有する酸窒化物ターゲットであり、相変化光記録媒体の界面層膜の形成に好適に使用されるものである。
上述した各実施形態のスパッタリングターゲットにおいて、M元素はZrおよびHfから選ばれる少なくとも1種の元素である。M元素はZr、Hfの各単体、ZrとHfの2元素のいずれであってもよい。これらM元素およびSi、CrはZrO2、HfO2、SiO2、Cr2O3、ZrN、HfN、Si3N4、Cr2N等の形態で酸化物や窒化物を形成する。これら酸化物や窒化物からなるターゲットを用いて形成した金属酸化膜や金属窒化膜で界面層を構成すると、それぞれ光の消衰係数は小さいものの、相変化光記録膜の結晶化を促進することができないことが本発明者等の実験で判明した。
そこで、M元素とSi、Crとの組合せに酸素と窒素を含有させたターゲットを用いて成膜した金属酸窒化膜の性質を検討した結果、光の低消衰係数と結晶化促進機能とを併せ持ち、密着性の良好な膜を見出した。本実施形態によるスパッタリングターゲットは、このような金属酸窒化膜を作製するためのものであり、M元素とSi、Crの単金属、酸化物、窒化物または複合酸化物等を組み合わせることによって上述の特性を兼ね備えた金属酸窒化膜を得ることを可能にしたものである。
本実施形態におけるスパッタリングターゲットにおいてM元素は主要必須元素であり、例えば相変化光記録媒体の界面層膜として用いた場合において、消衰係数と結晶化促進機能とを併せ持つ酸窒化膜を主として構成する金属元素である。SiはM元素の一部を置換することによって、更に、消衰係数を下げることが可能となる。また、Crは(MSi)の一部を置換することによって、界面層膜として用いる金属酸窒化膜の記録膜に対する密着性を向上させることが可能となる。
Siによる金属酸窒化膜の消衰係数を下げる上で、M元素のSiによる置換量(aの値)は0.1〜0.6の範囲とすることが好ましい。aの値が0.1未満であるとSiの効果を得ることができない。一方、aの値が0.6を超えると金属酸窒化膜の結晶化促進機能が低下し、金属窒化膜を相変化光記録媒体の界面層膜に適用した際に相変化記録媒体としての低下を招くことになる。なお、金属酸窒化膜の消衰係数の低減の為には、aの値は0.3以上0.6以下とすることがより好ましい。
Crによる密着性の向上効果を得る上で、M元素のCrによる置換量(bの値)は0.1〜0.5の範囲とすることが好ましい。bの値が0.1未満であると金属酸窒化膜の記録膜に対する密着性の効果を十分に得ることができない。一方、bの値が0.5を超えると金属酸窒化膜の消衰係数が増加し、金属酸窒化膜を相変化光記録媒体の界面層膜に適用した際に性能の低下を招くことになる。なお、より満足な密着性を得るには、bの値は0.2以上0.4以下とすることがより好ましい。
上述した金属酸窒化膜の特性(消衰係数と結晶化促進機能)を発揮させるためには、スパッタリングターゲット中の金属元素に対する酸素と窒素の組成比を制御することが重要である。第1および第2の実施形態によるスパッタリングターゲットにおいて、xの値は0を超えて0.7以下の範囲とする。xの値が0.7を超えると得られるスパッタ膜(金属酸窒化膜)の結晶化促進機能が減少する。つまり、記録膜の結晶化を促進することができず、相変化光記録媒体用界面層膜の用途に適用した際に性能の低下を招くことになる。得られる記録膜の結晶化を促進する上で、xの値は0.1以上0.5以下の範囲とすることがより好ましい。
さらに、本実施形態によるスパッタリングターゲットにおいて、金属元素に対するガス成分(酸素および窒素)の組成比(zの値)は0.5〜2の範囲とする。ガス成分の組成比(原子比)が0.5未満の場合、得られるスパッタ膜の消衰係数が増加し、相変化光記録媒体用界面層膜に適用した際に性能の低下を招くことになる。一方、スパッタリングターゲットのガス成分の組成比(原子比)が2を超えるとスパッタリングを行った際に異常放電が発生しやすくなり、スパッタ成膜した膜中に混入するダスト量が増加する。これはスパッタ膜の品質や特性等の低下要因となる。ガス成分の組成比は適用するM元素にもよるが1〜2の範囲とすることがより好ましい。
上述した各実施形態のスパッタリングターゲットは、相変化光記録媒体用界面層膜としての使用用途を考慮して、例えば純度が95%以上であることが好ましい。ここで言う純度とは、Fe、Ni、Co、Mn、Al、Cu、Na、K等の不純物元素の各含有量(質量%)の合計量を100%から引いた値を示すものである。スパッタリングターゲットの純度は97%以上であることがより好ましい。上記した不純物元素のうち、特にFe、Ni、Coはスパッタリング時の異常放電の原因となることから、これら元素の合金含有量は質量比で1000ppm以下とすることが好ましい。すなわち、スパッタリングターゲットのFe、Ni、Coの合計含有量を1000ppm以下とすることによって、異常放電に起因するダスト発生量を低減することができる。
なお、上述した構成材料の純度や不純物元素量は、高周波誘導結合プラズマ発光−質量分析法(ICP分析)、ガス成分である窒素は不活性ガス融解−熱伝導法、酸素は不活性ガス融解−赤外線吸収法を用いて測定することが可能である。具体的には、スパッタリングターゲットの5箇所以上から試料を切り出す。試料の採取は偏りがないように選択して5箇所以上から切り出して評価を行う。これら各試料の定量分析をICP分析により実施し、それら各測定値の平均値を求めるものとする。使用前のスパッタリングターゲットの評価を行う場合には、目的とする寸法より大きいターゲットを作製し、外周部から偏りがないように試料を切り出して評価を行うようにしてもよい。
上述した各実施形態によるスパッタリングターゲットは、例えば以下のようにして作製することができる。酸窒化物系スパッタリングターゲットを作製するにあたっては、まずM元素やSiの酸化物粉末、窒化物粉末と複合酸化物粉末、さらにCrの酸化物粉末と窒化物粉末を、所定の組成比となるように調合した後、ボールミル等を用いて均一に混合する。混合方式は乾式および湿式のどちらを適用してもよい。これらのうち、工程が簡便な乾式混合を適用することが好ましい。使用する混合装置の容器材質やボール等のメディア材質は、作製するスパッタリングターゲットが所望の純度になれば特に限定されるものではない。
また、スパッタリングターゲット(焼結体)の作製に使用する原料粉末も特に限定されるものではなく、市販の金属酸化物粉末や金属窒化物粉末を使用することができるが、より均一で高密度の焼結体を得るためには、原料粉末の平均粒子径は75μm以下であることが好ましく、より好ましくは50μm以下である。さらに、スパッタリングターゲットの酸素と窒素の含有量等を調整するために、金属粉末(M元素、Si、Crの単体粉末や合金粉末)を原料粉末として併用してもよい。
次に、M元素、Si、Crの複合酸化物、酸化物粉末と窒化物粉末の混合粉末を含む混合粉末を、プレス成形機等で仮成形した後、例えば常圧焼結炉にて焼結を行う。常圧焼結時の雰囲気は特に限定されるものではなく、通常大気雰囲気でよい。大型のスパッタリングターゲットを作製する場合には、CIPで仮成形することが好ましい。さらに、焼結密度を高めるためには混合粉末をカーボン型等に充填し、ホットプレス機を用いて加圧焼結してもよい。また、HIPにより焼結体を作製してもよい。
混合粉末の焼結温度は800℃以上とすることが好ましい。焼結温度が800℃未満であると相対密度が例えば60%以下となり、高密度のスパッタリングターゲットが得られない。焼結温度は900℃以上とすることがより好ましく、さらに好ましくは1000℃以上である。混合粉末の焼結は各原料(M元素やCrの酸化物や窒化物)の融点以下の温度で行う必要があるため、焼結温度は2000℃以下とすることが好ましい。焼結温度による保持時間は1時間以上とすることが好ましく、さらに好ましくは2時間以上である。焼結後の冷却速度が速すぎると焼結体に割れやひび等の欠陥が生じやすくなるため、冷却速度は600℃/時間未満とすることが好ましく、さらに好ましくは300℃/時間未満である。
上述した焼結体は乾式または湿式の機械加工により所望の形状に加工され、さらに必要に応じてスパッタリング中の熱を冷却するためのバッキングプレートに接合される。このようにして、本実施形態によるスパッタリングターゲットが得られる。バッキングプレートの材質はAlやCuが一般的である。また、バッキングプレートとの接合には、一般的な拡散接合やソルダ接合等を適用することができる。ソルダ接合を適用する場合には、公知のIn系やSn系の接合材を介してバッキングプレートと接合する。スパッタリングターゲットの形状は、使用するスパッタリング装置により適宜選択することができる。
次に、本発明の相変化光記録媒体用界面層膜とその製造方法の実施形態について説明する。本発明の実施形態による界面層膜は、スパッタリングターゲットを用いて、不活性ガス雰囲気中や酸素および窒素の少なくとも一方を含む不活性ガス雰囲気中でスパッタ成膜することにより得られる。
一般的に、酸化物系や窒化物系のスパッタリングターゲットを使用した場合には、高周波スパッタリング装置を用いて成膜を行う。酸窒化物系スパッタリングターゲットを使用する場合も、高周波スパッタリング装置を用いて成膜を行うことが好適である。成膜雰囲気はAr等の不活性ガスのみでもよいが、酸素欠損や窒素欠損を起こす場合には酸素や窒素をアシストし、Ar等の不活性ガスと酸素や窒素との混合雰囲気中で成膜することが好ましい。基板温度は特に限定されないが、通常は室温から300℃程度に設定される。
このようにして得られる相変化光記録媒体用界面層膜、すなわちM元素の酸窒化膜またはM元素とCrの複合酸窒化膜は、スパッタリングターゲットの組成を反映して、
一般式:((M1−aSia)1−bCrb)(O1-xNx)z
(式中、MはZrおよびHfから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、a、b、xおよびzは0.1≦a≦0.6、0.1≦b≦0.5、0<x≦0.7、0.5≦z≦2.0(原子比)を満足する数である)で表される組成を有する。
一般式:((M1−aSia)1−bCrb)(O1-xNx)z
(式中、MはZrおよびHfから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、a、b、xおよびzは0.1≦a≦0.6、0.1≦b≦0.5、0<x≦0.7、0.5≦z≦2.0(原子比)を満足する数である)で表される組成を有する。
所望の組成を有する界面層膜は、前述したようにZr、HfとSiの酸化膜や窒化膜、またGeの窒化膜等に比べて、記録膜の結晶化促進機能に優れると共に、光の消衰係数、特に次世代の高密度光ディスクに使用されるレーザ光の波長(405nm)における消衰係数が小さい。従って、このような界面層膜(金属酸窒化膜)は相変化光記録媒体、特に片面二層媒体のような記録容量が大きい相変化光記録媒体に有効に利用されるものである。
次に、本発明の相変化光記録媒体の実施形態について説明する。ここでは、上述した実施形態のスパッタリングターゲットおよびそれを用いた界面層膜を、相変化光記録媒体に応用した実施形態について述べる。相変化光記録媒体は単層媒体でもよいし、片面二層媒体でもよい。いずれの場合においても、相変化光記録媒体は基本構成として、光照射により可逆的に記録・消去がなされる相変化光記録層と、その少なくとも一方の面に沿って配置された界面層とを具備するものである。
図1は本発明の実施形態による相変化光記録媒体の構成を示す断面図である。図1に示す相変化光記録媒体1は、光入射側に配置されるポリカーボネート基板等の透明基板2を有している。この透明基板2上には第1の誘電体層3、第1の界面層4、光照射により可逆的に記録・消去がなされる相変化光記録層5、第2の界面層6、第2の誘電体層7、金属反射膜8が順に積層されている。
相変化光記録層5としては、GeSbTeBi、GeSbTe、GeBiTe、GeSbTeSn、AgInSbTe、InSbTe、AgInGeSbTe、GeInSbTe等が用いられる。相変化光記録層5と第1の誘電体層3および第2の誘電体層7との間には、上述した実施形態の界面層膜(金属酸窒化膜)からなる界面層4、6がそれぞれ配置されている。なお、界面層は相変化光記録層5の一方の面側のみに配置してもよい。この実施形態によれば、上述した界面層膜(金属酸窒化膜)の特性に基づいて相変化光記録媒体1の特性、信頼性、品質等の向上を図ることが可能となる。
第1および第2の誘電体層3、7には、例えばZnS−SiO2、SiO2、SiO、Si−O−N、Si−N、Al2O3、Al−O−N、TiO2、Ta−N、Ta2O5、Ta−O−N、Zn−O、ZnS、ZrO2、Zr−O−N、Zr−N、Cr−O、Mo−O、W−O、V−O、Nb−O、Ta−O、In−O、Cu−O、Sn−O、In−Sn−O等、実質的に透明で適度な熱伝導率を持つ誘電体材料やそれらの混合物、さらに異種の誘電体材料の積層膜等を適用することができる。また、金属反射膜8の構成材料には、例えばAg、Al、Au、Cuおよびこれらを主成分とする合金が用いられる。
次に、本発明の具体的な実施例およびその評価結果について述べる。
実施例1〜9
まず、純度95%以上、平均粒子径2μmのZrO2粉末、HfO2粉末、SiO2粉末、ZrSiO4、Cr2O3粉末、ZrN粉末、HfN粉末を用意した。さらに、純度99%以上、平均粒子径10μmのZr、Hf、Si、Crの各金属粉末を用意した。これら各粉末を表1に示す各組成比を満足するように調合した後、樹脂製のボールミル容器にアルミナボールと共に投入して24時間混合した。
まず、純度95%以上、平均粒子径2μmのZrO2粉末、HfO2粉末、SiO2粉末、ZrSiO4、Cr2O3粉末、ZrN粉末、HfN粉末を用意した。さらに、純度99%以上、平均粒子径10μmのZr、Hf、Si、Crの各金属粉末を用意した。これら各粉末を表1に示す各組成比を満足するように調合した後、樹脂製のボールミル容器にアルミナボールと共に投入して24時間混合した。
次に、各混合粉末をホットプレスを用いて窒素雰囲気中にて焼結温度1300℃、保持時間5時間、圧力20トンの条件下で加圧焼結した。なお、昇温速度は600℃/時間、冷却速度は300℃/時間とした。さらに、これら各成形体を得られた各焼結体を機械加工により円盤状(直径127mm×厚さ5mm)に加工した後、ソルダ接合法を適用して無酸素銅製バッキングプレートと接合した。このようにして目的組成のスパッタリングターゲットをそれぞれ作製した。これら各スパッタリングターゲットを後述する特性評価に供した。
比較例1〜7
上記した実施例1において、各原料粉末の調合組成や純度等を変更する以外は、実施例1と同様にしてスパッタリングターゲットを作製した。なお、比較例7ではGeNを用いた。これら各スパッタリングターゲットについても後述する特性評価に供した。
上記した実施例1において、各原料粉末の調合組成や純度等を変更する以外は、実施例1と同様にしてスパッタリングターゲットを作製した。なお、比較例7ではGeNを用いた。これら各スパッタリングターゲットについても後述する特性評価に供した。
次に、上述した実施例1〜9および比較例1〜7による各スパッタリングターゲットを用いて、それぞれ以下のようにしてスパッタ成膜を実施した。高周波スパッタリング装置を使用して、基板温度25℃、アルゴン雰囲気(0.5MPa)の条件下で、ガラス基板上に厚さ100±10nmの界面層膜を成膜した。膜厚は触式膜厚測定器(αステップ)を用いて測定した。このようにしてスパッタ成膜した界面層膜の特性とダストの発生率を測定、評価した。それらの結果を表2に示す。
膜特性は、ガラス基板上に成膜した単層膜の消衰係数を、エリプソメターを用いて測定して評価した。ダストの発生率は上記と同様の基板を用いてそれぞれ5回の成膜を実施し、膜中に混入した大きさ0.5μm以上のダストの平均個数を測定して評価した。なお、膜組成はそれぞれターゲット組成とほぼ同等であることを確認した。
さらに、界面層膜の結晶化促進機能を測定、評価するにあたっては、基板として射出成形で形成された厚さ0.59mmのポリカーボネート(PC)を使用した。この基板上に界面層膜を成膜し、次に記録膜としてGe10Sb30Te60の組成を有する膜を成膜した。さらに、記録膜上に同様の界面層膜を成膜して評価用試料とした。膜厚はいずれも100±10nmとした。アモルファス状態の記録膜が温度により結晶化すると急激に透過率が減少する。この透過率の減少の傾きを結晶化速度(結晶化促進機能)として評価した。温度差が小さいほど結晶化促進効果があるとみなすことができる。昇温速度10℃/minで室温から300℃までの試料の透過率を測定した。さらに、スパッタ成膜した界面層膜と記録膜との密着性を測定、評価した。これらの測定結果を表2に示す。
記録膜との密着性を評価するにあたって、界面層膜の特性と同様のPC基板を使用した。この基板上に界面層膜を成膜し、次に記録膜としてGe10Sb30Te60組成の膜を成膜した。膜厚はいずれも100±10nmとした。評価方法は、基板上にそれぞれ5回の成膜を実施し、真空中雰囲気にて温度350℃、時間5分の条件で熱処理を施した後、5試料中2試料以上で大きさ0.5μm以上のふくれ、剥がれ、割れが発生した場合を×、1試料で発生した場合を△、発生しなかった場合を○として評価した。
表2から明らかなように、実施例1〜9の各スパッタリングターゲットを用いて成膜した金属酸窒化膜は、比較例1〜6のスパッタリングターゲットを用いて成膜した膜に比べて結晶化速度が速く(結晶化促進機能に優れ)、また消衰係数や記録膜との密着性も良好であることが分かる。さらに、比較例5によるターゲット組成のz値が大きいスパッタリングターゲットや比較例6によるFe、Ni、Coの合計含有量が1000ppmを超えるスパッタリングターゲットを用いた場合には、スパッタ膜の結晶化速度が速く、消衰係数も良好な反面、異常放電によるダストが増加することが分かる。従って、スパッタリングターゲットの実用性を高めるためには、Fe、Ni、Coの合計含有量を1000ppm以下とすることが好ましい。なお、各膜の組成はそれぞれターゲット組成とほぼ同等であることが確認された。
1…相変化光記録媒体、2…透明基板、3…第1の誘電体層、4…第1の界面層、5…相変化光記録層、6…第2の界面層、7…第2の誘電体層、8…金属反射膜。
Claims (8)
- 一般式:((M1−aSia)1−bCrb)(O1-xNx)z
(式中、MはZrおよびHfから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、a、b、xおよびzは0.1≦a≦0.6、0.1≦b≦0.5、0<x≦0.7、0.5≦z≦2.0(原子比)を満足する数である)
で表される組成を有することを特徴とするスパッタリングターゲット。 - 請求項1記載のスパッタリングターゲットにおいて、
純度が95%以上であることを特徴とするスパッタリングターゲット。 - 請求項1ないし請求項2のいずれか1項記載のスパッタリングターゲットにおいて、
不純物としてのFe、NiおよびCoの合計含有量が1000ppm以下であることを特徴とするスパッタリングターゲット。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載のスパッタリングターゲットにおいて、
相変化光記録媒体における界面層膜の形成用ターゲットであることを特徴とするスパッタリングターゲット。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載のスパッタリングターゲットを用いてスパッタ成膜してなることを特徴とする相変化光記録媒体用界面層膜。
- 請求項5記載の相変化光記録媒体用界面層膜において、
前記界面層膜は、
一般式:((M1−aSia)1−bCrb)(O1-xNx)z
(式中、MはZrおよびHfから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、a、b、xおよびzは0.1≦a≦0.6、0.1≦b≦0.5、0<x≦0.7、0.5≦z≦2.0(原子比)を満足する数である)
で表される組成を有することを特徴とする相変化光記録媒体用界面層膜。 - 請求項1記載のスパッタリングターゲットを用いて、不活性ガス雰囲気、または酸素および窒素の少なくとも一方を含む不活性ガス雰囲気中で、前記M元素とSi、Crの複合酸窒化膜をスパッタ成膜する工程を具備することを特徴とする相変化光記録媒体用界面層膜の製造方法。
- 光照射により可逆的に記録・消去がなされる相変化光記録層と、
前記相変化光記録層の少なくとも一方の面に沿って配置された界面層であって、請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載のスパッタリングターゲットを用いてスパッタ成膜してなる金属酸窒化膜からなる界面層とを具備することを特徴とする光記録媒体。
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