JP2008217858A - 相変化記録媒体およびこの媒体を用いる情報記録再生装置 - Google Patents

相変化記録媒体およびこの媒体を用いる情報記録再生装置 Download PDF

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司 中居
Noritake Omachi
範威 大間知
Sumio Ashida
純生 芦田
Naomasa Nakamura
直正 中村
Keiichiro Yusu
圭一郎 柚須
Sukehiro Sato
裕広 佐藤
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Abstract

【課題】 高速かつ高密度記録が可能な記録媒体において記録時の溶融領域の再結晶化が殆どなく、クロスイレースが低く、かつコントラストが高くCNRが十分確保できる相変化記録媒体及びこの媒体を用いる情報記録再生装置を提供する。
【解決手段】 基板および、干渉膜と、原子配列を可逆的に変化させることができる記録膜と、この記録膜に接する結晶化促進膜と、反射膜を含む積層構造を持ち、前記記録膜に対して、光を用いて可逆的に記録または消去が行われる記録媒体において、前記記録膜と接する部位からこの記録膜の厚さ方向に、前記記録膜を構成する元素が、偏析または濃度分布を有することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

この発明は、光ビームを照射することで状態を可逆的に変化させ、情報を記録する光記録媒体に関する。特に、状態変化が、記録情報を保持する薄膜の原子配列が非晶質と結晶質の間を遷移する相変化記録媒体に関する。またこの相変化記録媒体を用いた情報記録再生装置に関する。
(相変化光記録原理)
相変化光記録膜は、一般に融点以上に加熱された部分が溶融し、急激に冷却される際に非晶質(アモルファス)の原子配列をとる。近年の研究では完全なアモルファス状態ではなく、ショート・レンジ(短距離)の規則性がある可能が示唆されている。しかしながら、XRD(X線回折)の測定によると結晶が存在すれば観測されるピークは確認できていない。そのため、結晶状態の本質的な特徴であるロング・レンジ(長距離)の規則性は無い、もしくはあっても非常に弱いと考えられる。そのため、以下では、「融点以上に加熱された部分が急冷される際に非晶質の原子配列をとる状態」を従前と同様にアモルファス状態と呼ぶことにする。また、融点以下、結晶化温度の温度領域に一定時間以上保持された場合は、初期状態が結晶の場合は結晶のままであるが、初期状態が非晶質の場合は結晶化する(固相消去モード)。記録膜の材料によっては、記録膜の非結晶部近傍を融点以上に加熱・溶融してから徐冷することにより結晶化を行う方法も採られる(溶融消去モード)。
非晶質である部位からの反射光強度と結晶である部位からの反射光強度が異なることから反射光の強弱を電気信号の強弱に変換し、さらにA/D変換を行って情報を読み出すのが、相変化記録媒体の原理である。結晶−非晶質間の相変化のほか、マルテンサイト相のような準安定結晶相と安定結晶相、あるいは複数の準安定結晶相間の遷移を利用して記録と読み出しを行う方法も可能である。
(高密度化の手法)
ここで、一枚の記録媒体に記録できる情報の量、すなわち記録容量を増すためには、以下の二通りの方法がある。一つは、トラック方向の記録マークのピッチを微細化する方法であるが、微細化の程度が進むと再生する光ビームの大きさよりも小さい領域に至り、再生ビームスポット内に二つの記録マークが一時的に含まれる場合が生じる。記録マークが互いに十分離れている場合は再生信号が大きく変調され、振幅の大きい信号が得られるが、互いに近接している場合は、振幅の小さい信号となり、デジタルデータへの変換の際にエラーを生じやすい。
もう一つの記録密度向上の方法は、トラックピッチを狭小化することである。この方法は、前記のマークピッチ微細化による信号強度低減の影響を大きく受けることなく、記録密度を上げることができる。しかしながら、この方法の問題点は、トラックピッチが光ビームの大きさにくらべて同程度か小さい領域においては、あるトラックの情報が、隣接したトラックに書き込みないし消去動作を行っている際に劣化してしまう、いわゆるクロスイレースが発生することである。
クロスイレースの原因は、隣接するトラック上のレーザビームの外縁部によってマークが直接照射を受けてしまうことと、記録時の熱流が隣接トラックに流れ込み、隣接トラック上のマーク温度が上昇して形状が劣化することにあるが、これらを解決することが相変化記録媒体の高密度化に必要である。また、より微小になったマークを正確に、かつ読み出しエラーの確率を低く抑えるためには、形成される記録マークの外縁部も滑らかな形状にし、ノイズ成分を極力抑えることが望まれる。
(多層媒体による大容量化)
もうひとつの大容量化の手法は、情報を担う層を複数設け、それらを重ね合わせる方法である。この方法は、特開2000−322770号公報に開示されている。二つの層を重ね合わせ、片面から読み書きできるように設計された媒体を片面2層媒体、または単に2層媒体と呼ぶ。片面2層媒体において、光入射側に近い方に設ける情報層(以後、L0と称する)は、遠い方に設ける情報層(以後、L1と称する)にアクセスする際に、L0で必要以上に光を減衰させないため、おおよそ50%以上の透過率を確保する必要がある。このためには、L0では記録膜の厚さを10nm以下と極めて薄くする必要がある。
膜を薄くしたために、結晶化に必要な保持時間が長くなり、通常の書き換え(または書替)速度では消え残りが発生する。そのための対策には、GeSbTe記録膜の一部をSnで置換する方法が有効であることが、第12回相変化記録研究会シンポジウム予稿集(Proceedings of PCOS2000)pp.36-41に開示されている。また同様に、GeSbTe記録膜の一部をBi、In、Sn、Pbで置換することが有効であることが、特開2001−232941号公報に開示されている。しかし、前記の消去率を確保するためには、記録膜材料を工夫しただけでは不十分で、記録膜との界面に結晶化促進効果のある膜を配置する必要がある。
前記相変化光記録研究会シンポジウム予稿集(Proceedings of PCOS2000)pp.36-41)によると、「結晶化促進効果のある界面膜」として窒化ゲルマニウム(GeN)が有効とされているが、本願発明者らの検討の結果、前記記録膜材料の10nm以下の極薄膜とGeNなどの従来の界面膜材料の組み合わせにおいては、クロスイレースが発生し、トラックピッチを十分つめることができないことが判明した。また、他に結晶化促進機能が報告されている炭化珪素(SiC)では、本願発明者らの検討の結果、次世代の高密度光ディスクで使用されるレーザ光の波長405nmにおいて光の減衰係数が大きく、非常に大きな光学的損失があった。加えて、窒化ゲルマニウム(GeN)や窒化珪素(SiN)においても光学的な損失があることが分かった。一方界面膜を配置しない媒体では溶融部再結晶化は抑制できクロスイレースが低く抑えられるが、消去率は全く不十分なことが判明した。
(高速記録の手法)
高速記録は相変化光記録に対するもうひとつの要求である。例えば、映像を録画する場合、実際の視聴時間よりも短時間で記録ができるようになれば、配布媒体のダビング時や、放送録画中に時間を戻って前の映像を視聴するいわゆるタイムシフト機能の実現が容易となる。ここで相変化記録において高速記録を妨げる一つの要因は、オーバーライト時に比較的低い消去レベルのレーザによって結晶化を行う際、情報が消え残ってしまう問題、すなわち消去率不足の問題である。これは、記録マークがレーザスポット内を高速に通過するため、結晶化可能な温度領域に十分に長い時間保たれず、情報が消え残ってしまうためである。
GeNをはじめとする材料を記録膜との界面に設け、結晶化を促進して消去速度を高める工夫が特開平11−213446公報に開示されている。しかし、本願発明者らが、記録膜の状態または界面状態を制御せずに特開平11−213446号公報に開示された材料を界面膜として実験した結果、記録時に溶融した部分の一部が再結晶化すること、すなわち必要な大きさの記録マークを作るにはそれ以上の範囲を溶融しなければならないことが判明した。このような界面膜の使用は、必要以上の領域を溶融させることから、前節に述べたクロスイレースを助長する結果となり、高密度記録の観点から逆効果である。言い換えれば、クロスイレースの観点で許容できる範囲のレーザパワーで記録すると、形成される記録マークの幅が細くなり、得られる信号対ノイズ比(CNR)が低下する問題がある。一方界面膜を配置しない媒体においては、溶融部再結晶化は抑制できクロスイレースが低く抑えられるが、消去率は全く不十分なことが判明した。したがって、消去時の結晶化速度は早めつつ、記録時の溶融部再結晶化は抑制できる新しい界面膜材料が望まれていた。
(相変化記録媒体の膜設計)
相変化記録媒体では、相変化光記録原理のところで説明したように、レーザパルスの照射により記録膜の所望部分にアモルファスのマークを形成し(すなわちデータを書き込み)、または逆にアモルファスのマーク上に低パワーのレーザを照射し結晶化させてデータを消去する。前者ではレーザが照射された部分を急冷することによりアモルファスのマークが形成され、後者は逆に徐冷することによりアモルファスの部分を結晶化させる。また、記録膜部でのレーザの吸収率が大きければ小さなレーザパワーで記録や消去などの動作が行え、逆に吸収率が小さければ記録や消去に大きなレーザパワーを必要とすることになる。この記録膜での吸収率は、多層膜から形成される媒体の各膜材料の光学的特性と熱特性から決まる。例えば、吸収率が同等でも膜材料の選択により構成を変えることができ、急冷構造と徐冷構造、または膜の面内方向と断面方向で熱物性の異方性を作り出すことなどができる。
すなわち、相変化記録媒体の膜設計は、光学設計と熱設計からなる。光学設計のためには各薄膜の光学特性の把握が必要となり、熱設計を行うためには各薄膜の融点、溶融潜熱、結晶化温度等を含めた熱物性の把握が必要となる。薄膜の光学定数については、エリプソ・メーターなどの装置を用いて測定することができる。ところで、ナノメートル・オーダーの薄膜の熱物性はバルクの熱物性と異なると言う事がいくつかの研究によって暗示されていた。しかし、他の要因の効果を除去しつつ、それら(薄膜とバルクの熱物性)を系統的に測定することができていなかった。そのため、これらを補正する(薄膜の熱物性を把握するために他の要因による影響を補正する)ためには経験的なパラメータが必要な状況であった。特にナノメートル・オーダーの薄膜間の界面熱抵抗を測定する方法は、殆ど無かった。本願発明者らは、これらの問題についても鋭意検討し、熱設計により精度の高い方法にて測定された薄膜の熱物性値と薄膜間の界面熱抵抗を考慮すると言う熱設計手法を確立し、その結果この発明を完成するに至った。
(界面層材料)
GeNの他に、結晶化促進機能を有する界面層材料になり得る公知技術として、硫黄(S)フリーの保護膜用材料を目指した「Taなどのいくつかの酸化物に炭化物もしくは窒化物を混合する技術」が特開2003−6794号公報に開示されている。特開2003−6794号公報は、主に波長λ=650nmのレーザダイオードを用いた現行のDVDを改良することを目的に検討されている。特開2003−6794号公報の材料は次世代の青色レーザダイオード(λ=405nm)では不透明となり、光学的ロスが大きくなる。そのため、次世代の高密度媒体では問題点がある。前述のGeNも同様にλ=405nmでは透明ではなく、光学的ロスが大きい。
また、ZrOが含まれる界面層材料の公知技術として、特開2003−323743公報に(ZrO(Cr100−M、すなわちZr-Cr-O系に関する技術が開示されている。この材料系にはCrが混合されているが、この材料は可視光の波長領域においては非常に大きな減衰係数を有することが知られている材料である。そのため、例え少量であっても、膜中に含まれる混合材料の場合には、比較的大きな減衰係数を有する薄膜となってしまう。
(記録膜の材料系)
また、共晶系の記録膜は、前述のように消去過程に溶融消去のモードが用いられるため、キャップ層に結晶化促進機能などは求められない。そのため、膜材料や組織と言った詳細については検討されていなかった。加えて、共晶系は、前述のように溶融消去モードを用いるため、ランド(L)とグルーブ(G)の両方に情報を記録・再生する、いわゆるランド・グルーブ記録を行うことが非常に困難である。そのため、記録密度の高密度化には非常に不利である。
これらに対して、GeSbTeなどのいわゆる擬二元系の記録膜用材料は、溶融消去モードを取らずとも、固相の状態で高速にアモルファスから結晶状態への相転移をすることができるパフォーマンスを有する(固相消去モード)。ただし、記録膜が薄い場合には結晶化に必要な時間が相対的に長くなるため、記録膜の状態をコントロールして、結晶化速度を高めるか、結晶化促進機能を有する界面層材料を用いることが必須となる。これによりランド・グルーブ記録も実現することができる。
このように、相変化方式を用いる記録膜および界面層材料に関する現象論的、結晶学的、またはバルクの熱物性・化学的な知見は、非常に多く蓄積され、媒体の研究開発および設計に応用されている。ところが、ミクロな視点または材料の電子状態等に関して研究された例は、殆ど無いのが現状である。
相変化記録膜材料として現状では種々問題点があり、用いることは殆ど無いと考えられているGeTeに関しては、S.K.Bahlらにより、電子状態を検討しようと試みた例がある(J.Appl.Phys., Vol.(1970)p.2196)。S.K.Bahlらの研究は、電気抵抗率の温度依存性などの電子輸送現象からシンプル・バンド・モデルに立脚し、結晶状態とアモルファス状態のバンド構造の大まかな変化を推定しようとしている。しかしながら、シンプル・バンド・モデルに立脚したこと、および実験データが電子輸送現象のみであることなどから、極簡単なバンド・モデルの提案に止まっている。もちろん、相変化記録媒体への応用などには全く寄与してない。
また、相変化記録媒体に用いることができる材料の一つとしてGeSbTeに関する電子状態を小川らが計算により推定しようとした例がある(第9回相変化記録研究会シンポジウム予稿集(Proceedings of PCOS1997)pp.50-53。こちらも、電気抵抗率の温度依存性等をヒントに結晶構造からバンド構造を試算しようと試みたものの、実験事実と比較することができず、相変化記録媒体への応用には至らなかった。
特開2000−322770号公報〜特開2003−323743号公報あるいは第12回相変化記録研究会シンポジウム予稿集(Proceedings of PCOS2000)pp.36-41〜第9回相変化記録研究会シンポジウム予稿集(Proceedings of PCOS1997)pp.50-53では、高速かつ高密度記録を行う相変化情報記録媒体において記録時の溶融領域に再結晶化の問題があり、そのためランド・グルーブ記録を行う上で障害となり易いクロスイレースが起き易い。また、短波長レーザ(λ=405nm以下)を用いても結晶質/非晶質間のコントラストが高くCNRが十分確保でき、高線速における消去率が十分に高く、更にオーバーライト(OW)サイクル特性及び耐環境性に優れ、高密度かつ大容量で高速オーバーライト可能な相変化記録媒体を実現することが難しい。
この発明の課題の1つは、高密度かつ大容量で高速オーバーライト可能な相変化記録媒体を実現することである。
特開2000−322770号公報 特開2001−232941号公報 特開平11−213446号公報 特開2003−006794号公報 特開2003−323743号公報 第12回相変化記録研究会シンポジウム予稿集(Proceedings of PCOS2000)pp.36-41 J.Appl.Phys.,Vol.(1970)p.2196 第9回相変化記録研究会シンポジウム予稿集(Proceedings of PCOS1997)pp.50-53
本発明は、前記した問題点に鑑みてなされたものである。すなわち、高速かつ高密度記録が可能な記録媒体において記録時の溶融領域の再結晶化が殆どなく、そのためランド・グルーブ記録を行う上で障害となり易い、クロスイレースが低く、かつコントラストが高くCNRが十分確保でき、高線速における消去率が十分に高く、更にオーバーライト(OW)サイクル特性及び耐環境性に優れ、高密度・大容量・高速オーバーライト可能な相変化記録媒体、さらにそれらの利点を備えた相変化記録媒体を実現することを目的としている。
上記した課題を解決するために、この発明は、基板および、干渉膜と、原子配列を可逆的に変化させることができる記録膜と、この記録膜に接する結晶化促進膜と、反射膜を含む積層構造を持ち、前記記録膜に対して、光を用いて可逆的に記録または消去が行われる記録媒体において、前記記録膜と接する部位からこの記録膜の厚さ方向に、前記記録膜を構成する元素が、偏析または濃度分布を有することを特徴とする。
この発明の一実施の形態に係る相変化記録媒体では、記録膜を構成する元素が該記録膜と接する部位から該記録膜の厚さ方向に、偏析または濃度分布を持たせている。
高密度かつ大容量で高速オーバーライト可能な相変化記録媒体を実現することができる。
以下、図面を参照してこの発明の種々な実施の形態を説明する。図1は、この発明の一実施の形態に係る光記録媒体(RWまたはRAMタイプの相変化記録型光ディスク)100の層構成例を示す。この光記録媒体100は、情報層を複数(ここではL0とL1の2つ)持つ多層構造の光ディスクであり、レーザ光入射側からみて、L0情報層19と、層間分離層(接着剤層)18と、L1情報層20を含んで構成されている。ここで、L0情報層19は、使用するレーザ光(波長が405nmまたはそれ以下の短波長レーザ)に対して透明な基板1a上に、第1干渉膜(保護膜または誘電体膜とも呼ぶ、以下同様)11aと、下部界面膜12aと、L0記録膜13aと、上部界面膜14aと、第2干渉膜15aと、反射膜16aと、第3干渉膜17aとを順次積層することで構成されている。L1情報層20は、逆に、透明基板1b上に、反射膜16bと、第2干渉膜15bと、上部界面膜14bと、L1記録膜13bと、下部界面膜12bと、第1干渉膜11bとを順次積層することで構成されている。そして、この実施の形態に係る光記録媒体(RWまたはRAMタイプの相変化記録型光ディスク)100は、L1情報層20の第1干渉膜11とL0情報層19の第3干渉膜17を、接着剤としての層間分離層18を用いて貼り合わせた構造を有する。
前記L0情報層の積層構造(19)は、第3干渉層が光学的エンハンスおよび/または熱拡散に寄与する誘電体膜(ZnS−SiO等:17a)の役割も担っている。
そして、L0記録膜13aの上下両面の少なくとも一方(好ましくは両方)に所定厚(平均厚で0.1nm〜1.0nm程度)の極薄酸化膜21aを形成し、L1記録膜13bの上下両面の少なくとも一方(好ましくは両方)に所定厚(平均厚で0.1nm〜1.0nm程度)の極薄酸化膜21bを形成している。この極薄酸化膜21a/21bは記録膜13a/13bと同じ構成元素(Ge,Te等)で成膜される。
なお、図1において、a、bのサフィックス以外が同じ参照符号で示される構成要素は、原則として同様な機能の構成要素を示している。例えばL0記録膜13aとL1記録膜13bは物理的には別の構成要素であるが、情報記録を行う記録膜という機能が共通している。ただ、第1干渉膜11aと11bについては、誘電体膜という点で共通していても、保護膜という機能では必ずしも共通しているとは限らない(そのため“保護膜または誘電体膜”と併記している)。つまり、基板1bにL1情報層20が形成された状態(接着剤層18で接着する前)では第1干渉膜11bは(記録膜に対する)保護層として機能し得るが、基板1aにL0情報層19が形成された状態では第1干渉膜11aは保護層として機能する必要がない(基板1aが第1干渉膜11aを覆っているため)。この場合、接着剤層18で接着する前の状態では、むしろ第3干渉膜17aが保護層として機能し得る。また、干渉膜、界面膜、干渉膜などの用語における「膜」は、説明個所によっては適宜「層」と呼ぶことがあるが、その実体に違いはない。さらに、a、bのサフィックスをつけない参照符号はa、bのサフィックスのついた同じ参照符号と同等のものを指す(例えば干渉膜11とあれば、それは11aまたは11bと同等のものを指す)。
また、この発明の実施形態に係る相変化記録媒体の構成は、図1に示したものに限定されない。例えば、第2干渉膜15a(または15b)と反射膜16a(または16b)の間に他の誘電体膜(図示せず)を設けてもよい。干渉膜(11a、11b、15a、15b、17a、17b)を全て界面膜(12a、12b、または14a、14b)の材料で置き換えて干渉膜を省略してもよい。反射膜(16aまたは16b)を複数の積層された金属膜で構成してもよい。反射膜(16aまたは16b)の上にさらに誘電体膜(図示せず)を設けてもよい。
図1に例示されるような2層媒体の場合には、上記のような構成を有する光入射面に近い第1情報層(L0情報層)19側と光入射面から遠い第2情報層(L1情報層)20側とを作製し、これらを接着剤層18によって接着して層間分離する。3層以上の多層媒体の場合も同様である(図示しないが、情報層が3層の場合は第2の層間分離層とL2情報層を図1の基板1aと1bの間でさらに重ね、情報層が4層の場合は第2および第3の層間分離層とL2およびL3情報層を図1の基板1aと1bの間でさらに重ねればよい)。
さらに、基板1aおよび/または1b上に各種の膜を成膜し、その上に0.1mm程度の薄い透明シート(図示せず)を接着し、その透明シートを介して光を入射する形式の媒体(このような媒体は0.85程度の高NAの対物レンズを用いることを想定している)であってもよい。これは、光入射側に0.1mm程度の薄い透明カバー層を用いる場合でも、図1の実施の形態(0.6mmの透明基板を用いる場合)において用いられる記録膜、界面層材料、保護膜材料および反射膜材料に要求される特性に大きな違いが無いからである。
この発明の実施において好ましい光記録媒体(相変化光ディスク)は、次のような構成および/または特徴を持つ。すなわち、
<1>基板(1a、1b)および、干渉膜(保護膜または誘電体膜:11a、11b)と、原子配列を可逆的に変化させることができる記録膜(13a、13b)と、この記録膜に接する結晶化促進膜(12a、12b/14a、14b)と、反射膜(16a、16b)を含む積層構造(19、20)を持ち、前記記録膜(13a、13b)に対して、光を用いて可逆的に記録または消去が行われる記録媒体(100)において、前記記録膜(13a、13b)と接する部位(21a、21bの場所)からこの記録膜の厚さ方向に、前記記録膜(13a、13b)を構成する元素(Ge,Te等)が、例えば図5に示すように、偏析または濃度分布を有するように構成する。
<2>前記記録膜(13a、13b)と接する部位(21a、21bの場所)には、前記記録膜(13a、13b)の構成元素(Ge,Te等)から構成される元素の、平均厚が0.1nm以上で1nm以下の極薄酸化膜(21a、21b)を設ける。
<3>前記積層構造(19)は、光学的エンハンスおよび/または熱拡散に寄与する誘電体膜(ZnS−SiO等:11a、15a、17a)を含んで構成される。
<4>前記干渉膜(保護膜または誘電体膜:例えば図1の11b)は、前記記録膜(例えば図1の13b)に対する保護膜として機能する。
<5>前記記録膜(13a、13b)の価電子帯の状態密度のトップ、例えば図20のBinding Energyが0(eV)のところ、からエネルギー準位の低い側に0.5(eV)のエネルギー準位における、結晶状態の状態密度とアモルファス状態の状態密度の比(結晶状態の状態密度/アモルファス状態の状態密度:図20のau11/au12等)が、1.0以上2.5以下となるように構成する。
<6>前記記録膜(13a、13b)の価電子帯の状態密度のトップ(Binding Energyが0(eV)のところ)からエネルギー準位の低い側に0.25ないし1.0(eV)の範囲のエネルギー準位における、結晶状態の状態密度とアモルファス状態の状態密度の比(結晶状態の状態密度/アモルファス状態の状態密度:図20のau13/au14、au15/au16等)が、1.0〜2.5の範囲に納まるように構成してもよい。価電子帯のトップのエネルギーは、XPS等で測定する場合は、Binding Energy=0(eV)と表記されるのが慣例である。これは原子と原子のBinding Energy、すなわち結合エネルギーが0であることを示すものではない。XPS等を用いた価電子帯のエネルギー準位は、標準となる既知のピークを基準に補正できる。
<7>前記結晶化促進膜(12a、12b/14a、14b)を前記記録膜(13a、13b)の一方面に接する上部界面膜(14a、14b)および前記記録膜(13a、13b)の他方面に接する下部界面膜(12a、12b)により構成し、前記上部界面膜(14a、14b)および前記下部界面膜(12a、12b)を、前記記録膜(13a、13b)の上下で結晶化速度が異なるように制御する(そのように構成する)。
<8>前記結晶化促進膜(12a、12b/14a、14b)を前記記録膜(13a、13b)の一方面に接する上部界面膜(14a、14b)または前記記録膜(13a、13b)の他方面に接する下部界面膜(12a、12b)により構成し、前記上部界面膜(14a、14b)および前記下部界面膜(12a、12b)を、前記記録膜(13a、13b)の上下で結晶化速度が異なるように制御するように構成してもよい。
<9>前記結晶化促進膜(12a、12b/14a、14b)は、窒化ゲルマニウム(GeN)、または窒化ゲルマニウム-クロム(GeCrN)、または酸化ジルコニウム(ZrO)、または安定化ジルコニア+酸化クロム(ZrO+Cr)、または安定化ジルコニア+酸化ケイ素+酸化クロム(ZrO+SiO+Cr)、またはジルコン+酸化クロム(ZrSiO+Cr)、または酸化ハフニウム(HfO)を含んで構成することができる。あるいは、この結晶化促進膜は、ハフニウム(Hf)、酸素(O)、および窒素(N)を含有する化合物(HfO2−x)で構成することができる。あるいは、この結晶化促進膜は、ジルコニウム(Zr)、酸素(O)、窒素(N)、およびイットリア(Y)を含有する膜(ZrO2-x1−y((Y)1−z(Nb))においてz=0)で構成することができる。あるいは、この結晶化促進膜は、ジルコニウム(Zr)、酸素(O)、窒素(N)、およびニオブ(Nb)を含有する膜(ZrO2−x1−y ((Y)1−z(Nb))においてz=1)で構成することができる。あるいは、この結晶化促進膜は、ジルコニウム(Zr)、酸素(O)、窒素(N)、およびイットリア(Y)とニオブ(Nb)から構成される膜(ZrO2−x1−y ((Y)1−z(Nb))において0<z<1)で構成することができる。あるいは、この結晶化促進膜は、酸化クロム(Cr)、または酸化亜鉛(ZnO)、または酸化亜鉛+酸化タンタル(ZnO+Ta)、または酸化亜鉛+酸化タンタル+酸化インジウム(ZnO+Ta+In)、または酸化錫(SnO)、または酸化錫+酸化アンチモン(SnO+Sb)、または酸化錫+酸化タンタル(SnO+Ta)、または酸化錫+酸化ニオブ(SnO+Nb)を含んで構成することができる。
なお、この発明の一実施の形態に関わる酸化ジルコニウム(ZrO)は、安定化ジルコニア、通常は、ZrO+Yと示され、Yの濃度には3〜5mol.%程度のものを用いても良い。また安定化ジルコニアは、ZrO+Yに限定されるものではなく、ZrO+Nb、ZrO+MgOなども用いられる。ZrO単体では、温度の変化による結晶構造の相転移などによる熱膨張係数の急激な変化が起こり、種々問題が生じる。そのため、これらの問題点を緩和、または実質的になくすために種々施策を施した酸化ジルコニウム(ZrO)を、ここでは安定化ジルコニアと呼んでいる。
<10>前記記録膜(13a、13b)をその両面から挟む上部界面膜(14a、14b)および下部界面膜(12a、12b)の一方は、窒化ゲルマニウム(GeN)、または窒化ゲルマニウム-クロム(GeCrN)、または酸化ジルコニウム(ZrO)、または安定化ジルコニア+酸化クロム(ZrO+Cr)、または安定化ジルコニア+酸化ケイ素+酸化クロム(ZrO+SiO+Cr)、またはジルコン+酸化クロム(ZrSiO+Cr)、または酸化ハフニウム(HfO)を含んで構成することができる。あるいは、この上部または下部結晶化促進膜は、ハフニウム(Hf)、酸素(O)、および窒素(N)を含有する化合物(HfO2−x:0.1≦x≦0.2)で構成することができる。あるいは、この上部または下部結晶化促進膜は、ジルコニウム(Zr)、酸素(O)、窒素(N)、およびイットリア(Y)を含有する膜(ZrO2−x1−y ((Y)1−z(Nb))においてz=0)で構成することができる。あるいは、この上部または下部結晶化促進膜は、ジルコニウム(Zr)、酸素(O)、窒素(N)、およびニオブ(Nb)を含有する膜(ZrO2−x1−y ((Y)1−z(Nb))においてz=1)で構成することができる。あるいは、この上部または下部結晶化促進膜は、ジルコニウム(Zr)、酸素(O)、窒素(N)、およびイットリア(Y)とニオブ(Nb)から構成される膜(ZrO2−x1−y ((Y)1−z(Nb))において0<z<1)で構成することができる。
また、前記上部界面膜(14a、14b)および前記下部界面膜(12a、12b)の他方は、酸化クロム(Cr)、または酸化亜鉛(ZnO)、または酸化亜鉛+酸化タンタル(ZnO+Ta)、または酸化亜鉛+酸化タンタル+酸化インジウム(ZnO+Ta+In)、または酸化錫(SnO)、または酸化錫+酸化アンチモン(SnO+Sb)、または酸化錫+酸化タンタル(SnO+Ta)、または酸化錫+酸化ニオブ(SnO+Nb)を含んで構成することができる。
<11>前記記録膜(13a、13b)がゲルマニウム(Ge)とアンチモン(Sb)とテルル(Te)を含有し、その組成をGeSbTbかつx+y+z=100で表したときに、前記記録膜(13a、13b)は、例えば図20に示すGeSbTe三元相図上で、x=55・z=45と、x=45・z=55と、x=10・y=28・z=42と、x=10・y=36・z=54とで規定されるエリア内,図21のA1,またはそのエリア上,図21のB1,の組成を持つように構成できる。
<12>前記組成を持つGeSbTe系化合物には、窒素(N)を1ないし5at.%添加することができる。
<13>前記記録膜(13a、13b)が少なくともゲルマニウム(Ge)とビスマス(Bi)とテルル(Te)を含有し、その組成をGeBiTeかつx+y+z=100で表したときに、前記記録膜(13a、13b)は、例えば図22に示すようにGeBiTe三元相図上で、x=55・z=45と、x=45・z=55と、x=10・y=28・z=42と、x=10・y=36・z=54とで規定されるエリア内,図22のA2,またはそのエリア上,図22のB2,の組成を持つように構成できる。
<14>前記組成を持つGeBiTe系化合物には、窒素(N)を1ないし5at.%添加することができる。
<15>前記記録膜(13a、13b)の組成の一部をビスマス(Bi)および/またはインジウム(In)および/またはスズ(Sn)で置換し、置換後の組成を(Ge(1−w)Snw)x(Sb(1-v)(Bi(1−u)Inu)v))yTezかつx+y+z=100で表したときに、この組成におけるw、vおよびuを、0≦w<0.5かつ0≦v<0.7かつ0≦u≦1となるように構成できる。
<16>前記組成を持つGeSnSbTe、GeSnSbTeIn、GeSbTeIn、GeSbTeBiIn、GeSbSnTeBiIn、GeSbTeBi、GeBiTeIn、GeSnSbTeBi、GeSnSbTeBiIn系化合物には、窒素(N)を1ないし5at.%添加することができる。
以下の説明では、片面2層媒体での実施形態/実施例を示す。また、試作光ディスクの測定データは、L0、L1の各ランド(L)とグルーブ(G)の中で、各実験の一番悪い値を代表値として示した。試作した光記録媒体の透過率、反射率等は、分光光度計を用いて測定されたものである。また、薄膜中の各元素の濃度は、ICP(Induced Coupled Plasma)、RBS(ラザフォード後方散乱)、SIMS(Secondary Ion Mass Spectroscopy)、TOF−SIMS、XPS(X線光電子分光分析、もしくはX線光電子分光法)等の分析手法を用いた。膜中の各元素間の結合形態は、XPS、IR(赤外分光法)測定等により明らかとした。薄膜の熱伝導率、熱拡散率、および積層薄膜間の界面熱抵抗は、サーモリフレクタンス法により評価した。記録膜の価電子帯の状態密度は、XPS 、UPS、HX−PES(Hard X-ray PhotoElectron Spectroscopy)法を用いて測定することができる。また、電子比熱などの測定でも状態密度に関する情報が得られる。
図2は、記録膜の価電子帯の状態密度の測定で用いる試料の構成を例示する図である。 図2の基板1には、ポリカーボネート(PC)などが使用される。この基板1のグルーブが形成される面に、スパッタリング装置を用いて、次の層が成膜される。すなわち、レーザ光入射側に近い方に設けたL0情報層,例えば図1では符号19,では、干渉膜(ZnS−SiO)15、界面層14、記録膜層13、界面層12、干渉膜(ZnS−SiO)11などが順次成膜される。一方、光入射側から遠い方に設けたL1情報層,図1では20,の場合は、基板上から順に、反射膜(Ag合金)16、干渉膜(ZnS−SiO)15、界面層14、記録膜層1、界面層12b、干渉膜(ZnS−SiO)11などが順次成膜される。
この発明の一実施の形態では、記録膜の価電子帯の状態密度は、主にHX−PES(Hard X-ray PhotoElectron Spectroscopy)法、またはXPS法を用いて測定される。HX−PES法を用いた記録膜の価電子帯の状態密度の測定は、基板上1に原子配列を可逆的に変化させることができる記録膜13と、この記録膜13に接し結晶化促進機能を有する膜12および14と、保護膜11と、反射膜16とから構成された図2に示す試料を用いる。記録膜13は、as depo.すなわち蒸着したままの状態でアモルファスである。ポリカーボネート(PC)基板を用いた場合には、初期化装置を用いて結晶化(レーザ・アニール)されるが、Siまたはガラス基板を用いた場合には、電気炉等により所定の時間結晶化温度以上に加熱して、結晶化することができる。
価電子帯の状態密度のトップのエネルギーは、電気伝導体においては、Fermiエネルギーに相当する。半導体の場合には、Fermiエネルギーは価電子帯と伝導帯の間に存在するバンド・ギャップのほぼ中央に位置する。半導体の場合には、ドナーとなる不純物がドープされるのか、アクセプターとなる不純物がドープされるのかにより、局在準位を形成することがあり、Fermi準位が若干上下する。
結晶状態とアモルファス状態にある記録膜の価電子帯の状態密度のトップからエネルギー準位の低い側のエネルギー準位における結晶状態の状態密度とアモルファス状態の状態密度の比(結晶状態の状態密度/アモルファス状態の状態密度)をコントロールする方法には、(i)記録膜の厚さ方向の組成を僅かに変える(微量偏析)、(ii)記録膜の上下に配置する界面層材料を適切に選択し、界面層から記録膜へ微量ドープされる元素を変える(微量反応)、(iii)記録膜と接する部位に、記録膜を構成する元素の、平均厚が0.1nm以上で1nm以下の極薄の酸化膜を配置する、などがある。
また、(i)記録膜の厚さ方向の組成を僅かに変える、および/または(ii)記録膜の上下に配置する界面層材料を適切に選択し界面層から記録膜へ微量ドープされる元素を変えることなどにより、記録膜の上下で結晶化速度を変化させることも可能である。
例えば、微量偏析モデルでは、GeSbTe系においては膜中の元素のGeに偏析がある場合、Geが多い部分と少ない部分、またはその他の元素(SbやTe等)の少ない部分と多い部分が結晶化のための核となり、偏析の無い記録膜と比較して核が多く、高速結晶化に寄与すると推定される。ただし、偏析の度合いが相分離に近いくらい大きな場合には効果が無く、精密な分析にてようやく見つかる程度の微量なものでなければならない。いずれの元素に微量な偏析があるかは、用いる記録膜、界面層、およびそれらのプロセスにも依存するので、これらを適切に選択することによりコントロールが可能である。
一方、微量反応モデル、または微量ドープモデルの場合、例えばGeBiTe系においてはTeがGeやBiと比較して酸化され難い。すなわち、GeやBiが、Teと比較して酸化または反応し易い。例えば、GeやBiが微量酸化される場合には酸化されていないTeが結晶化のための核となり、もしくは微量酸化されたGeOxやBiOxが核となり、やはり従来の記録膜と比較して核が多く、高速結晶化に寄与すると推定される。いずれの元素が微量反応またはいずれの元素にドープさせられるかは、用いる記録膜、界面層、およびそれらのプロセスにも依存するので、これらを適切に選択することによりコントロールが可能である。このことにより、一見、制御が難しいと考えられる記録膜の上下で結晶化速度を変えることも可能になっている。
(i)記録膜の厚さ方向の組成を僅かに変える方法にはいくつかあるが、スパッタ初期から終了のでの間に、放電ガスの量および/または放電電力の強さを変化させることなどによって達成できる。放電ガスの量を変化させる場合には、放電中に別なガスを混合するなどの方法も可能である。
(iii)記録膜(13a/13b)と接する部位に、記録膜を構成する元素(Ge,Te等)の、平均厚が0.1nm以上で1nm以下の極薄酸化膜(21a/21b)を配置する方法としては、酸化力の強い材料を界面層(12a、12b/14a、14b)の材料として用いたり、記録膜(13a/13b)の表面を僅かに酸化させるなどの方法が用いることができる。
これまで述べてきたような従来は考えられなかった複雑かつミクロな視点からの反応モデルは、各種分析方法を組み合わせ、メカニズムの検討を積み上げてようやく想到するに至ったものである。
図3は、この発明の一実施の形態に係る光記録媒体(相変化光ディスク)の製造装置を説明する図である。真空容器100A内の図の上部近傍には、PC基板支持用の円盤状回転基台102Aが、回転面が図中で水平(紙面に垂直)になるように配設されている。回転基台102Aの下面にPC基板が支持され、モータ110Aにより回転されるようになっている(回転させない実施形態もあり得る)。
真空容器100A内の図の下部近傍には、上方の回転基台102Aと対向するように、スパッタリング源(ターゲット材)が配置されたアノード板104Aが配設される。アノード板104Aの下部には回転可能に構成されたマグネット111Aが配設されている。回転基台(カソード板)102Aは接地される。アノード板104Aには、RFスパッタの場合、高周波電源装置112Aが接続される。(DCスパッタの場合なら直流電源装置112Aが接続される。)スパッタリングが行われる際は、電源装置112Aの出力電圧が、接地されたカソード板102Aとアノード板104Aとの間に印加される。
真空容器100Aは、ガス排気ポート113Aを介して排気装置114Aに接続される。排気装置114Aにより十分に排気された真空容器100Aへは、スパッタリング実行時に、ガス導入ポート115Aおよび制御バルブ118Aを介して、ガスボンベ116から、スパッタリングガス(アルゴン等の不活性ガスその他)が微量注入される。スパッタリングガスの注入量は、真空容器100Aに取り付けられた内圧センサ(真空計)108Aによりチェックされる。基板回転モータ110A、マグネット111A、スパッタリング用電源装置112A、排気装置114Aおよび制御バルブ118Aは、スパッタリング制御装置120Aにより、コンピュータコントロールされる。
アノード板104Aに配置されたスパッタリング源の上方には、膜厚計測機能を持つモニタ装置106Aが設けられている。制御装置120AのCPUは、モニタ装置106Aによって、スパッタリング源から基板へのスパッタ量をモニタする。すなわち、制御装置120AのCPUは、基板にスパッタされた薄膜をモニタしながら、薄膜層が所定の組成となるように(あるいは所定の膜厚になるように)、電源装置112Aからアノード板104Aへの高周波電力を調節するようにプログラムされる。なお、図3の真空容器100Aは、図示しないがロード・ロック室とプロセス・チャンバーを装備しており、スパッタリング中はそれぞれ別に機能するようになっている。
図4は、この発明の一実施の形態に係る光記録媒体(相変化光ディスク)の製造工程を説明するフローチャート図である。まず、基板1a/1bを(人手またはロボットアームにより)スパッタリング装置の所定部分に装着し(ST100)、真空容器100A内のロード・ロック室を真空引きする(ST102)。内圧センサ108Aによりロード・ロック室内の真空度が例えば1×10−3(Pa)以下になったら(ST104イエス)、基板を真空容器100A内のプロセス・チャンバーに移動させる(ST106)。基板が所定のターゲット材と対向する位置に移動したら、カソード板102A側の基板を回転させるとともに、アノード板104A側のマグネット111Aを回転させる(ST108)。
その後、ガスボンベ116Aからプロセス・チャンバー内にスパッタリングガスを導入し(ST110)、電源装置112Aを起動してプラズマ着火を開始する(ST112)。これにより、基板上に均一にターゲット材の組成に対応した薄膜が形成される(ST114)。膜厚計106Aのモニタにより所望厚の薄膜が形成されたことが分かったら、プロセス・チャンバーへのガス導入を停止し(ST116)、1つの薄膜の形成が終了する。
同基板上にさらに薄膜を形成するときは(ST118イエス)、ST106〜ST116の処理が再度実行される。その際、成膜する薄膜の組成が変わるときは該当するターゲット材に変更するとともに、必要に応じてチャンバー内に導入するガスの成分も変更する。例えば、成膜の種類によって、ガスをアルゴンのみとしたり、アルゴンと窒素の混合ガスにしたりすることができる。
同基板上に全ての成膜が済んだら(ST118ノー)、カソード板102A側の基板回転と、アノード板104A側のマグネット回転を停止する(ST120)。その後成膜が完了した基板をロード・ロック室へ搬送し(ST122)、ロード・ロック室に外気をリークして真空状態を解除し、成膜完了後の基板1a/1bを(人手またはロボットアームにより)取り出す(ST124)。その後、成膜終了後の基板1aと1bを図1等に例示されるように貼り合わせて、片面多層の光ディスク(高密度記録用DVD-RW/RAM等)が完成する。
図5は、この発明の一実施の形態に係る光記録媒体(相変化光ディスク)の記録膜を構成する元素(Ge,Te等)が偏析または濃度分布を有する状態を例示する図である。記録膜を構成する元素にはGe、Te以外にも種々存在する,例えば図8等参照。しかし、ここでは構成元素の偏析または濃度分布を分かり易く図示するため、代表例として図示する元素はGeとTeのみとしてある。
図5(a)では、記録膜(13aまたは13b)と下部界面膜(12aまたは12b)との界面から下部界面膜側へ数nm程度までの範囲と、記録膜(13aまたは13b)と上部界面膜(14aまたは14b)との界面から上部界面膜側へ数nm程度までの範囲と、これらの範囲の間にある記録膜(13aまたは13b)のうち界面から10nm程度の範囲における元素の濃度(at.%)が模式的に示されている。すなわち、記録膜の構成元素のうちの一部(例えばGe)が記録膜の範囲で高濃度側へあるパターンで偏析し、記録膜の構成元素のうちの他部(例えばTe)が記録膜の範囲で別パターンで高濃度側へ偏析している。
図5(b)(c)は偏析パターンの別例を模式的に示したもので、図5(a)と比べて、図5(b)ではGeとTeの元素濃度の違いが少なくなっている。また、図5(b)では、GeとTeの元素濃度の変化位置,例えば図の左右方向,が図5(a)の例と反対側に出ている。なお、記録膜が相対的に厚い場合は、図示しないが、記録膜の厚み方向の中央位置付近で構成元素の濃度が肩部分よりも低くなることがあってもよい。
図6は、この発明の一実施の形態に係る光記録媒体(相変化光ディスク)の界面層(上部界面膜および/または下部界面膜)の材料例を示す図である。図7は、界面層の材料にGeNを用いた場合における、GeとNの組成比を例示する図である。図8は、この発明の一実施の形態に係る光記録媒体(相変化光ディスク)の記録膜(L0および/またはL1)の材料例を示す図である。図9は、界面層がない場合と界面層にSiOおよびYを用いた場合の比較例1〜3を説明する図である。
図6および図8の材料を図2の構成の試料に適用して実験を行った。図6で示した界面層材料のいずれかを光入射側(12側)に配置し、反射膜側(16側)にこれ以外の界面層材料を選択して配置した。なお、GeNやGeCrNなどの組成を変えられる化合物については、その組成が異なる組み合わせに関しても好適なものがある。図7にはGeNの組成を変えた場合の例を示してある。比較例としては、図9に示す界面層材料について実験を行った。
図10は、記録膜の価電子帯の状態密度のトップからエネルギー準位の低い側へ0.5(eV)のエネルギー準位における、結晶状態の状態密度とアモルファス状態の状態密度の比(結晶状態の状態密度/アモルファス状態の状態密度:例えば図20のau11/au12)を、種々な界面層材料の組み合わせに対して測定した結果を例示する図である。図11は、結晶状態の状態密度とアモルファス状態の状態密度の比(結晶状態の状態密度/アモルファス状態の状態密度:例えば図19のau01/au02)を、図10とは別の界面層材料の組み合わせ(界面層なしの場合も含む)に対して測定した結果を例示する図である。
図10および図11それぞれに、記録膜の価電子帯の状態密度のトップからエネルギー準位の低い側へ0.5(eV)のエネルギー準位における、結晶状態の状態密度とアモルファス状態の状態密度の比(結晶状態の状態密度/アモルファス状態の状態密度)を測定した結果を示す。図10の実施例の組み合わせでは、記録膜の価電子帯の状態密度のトップからエネルギー準位の低い側へ0.5(eV)のエネルギー準位における結晶状態の状態密度とアモルファス状態の状態密度の比(結晶状態の状態密度/アモルファス状態の状態密度)は、1.0以上2.5以下であった。一方、図11の比較例ではいずれもこの比が4以上であった。このため、高速の相転移には記録膜の価電子帯の状態密度のトップからエネルギー準位の低い側へ0.5(eV)のエネルギー準位における結晶状態の状態密度とアモルファス状態の状態密度の比(結晶状態の状態密度/アモルファス状態の状態密度)は、1.0以上2.5以下に制御することが重要となる。
図19は、記録膜の価電子帯の状態密度のトップからエネルギー準位の低い側へ0.5(eV)のエネルギー準位における、結晶状態の状態密度とアモルファス状態の状態密度の比(結晶状態の状態密度/アモルファス状態の状態密度)を、界面層がない場合について説明する図である。また、図20は、記録膜の価電子帯の状態密度のトップからエネルギー準位の低い側へ0.5(eV)のエネルギー準位における、結晶状態の状態密度とアモルファス状態の状態密度の比(結晶状態の状態密度/アモルファス状態の状態密度)を、界面層がある場合について説明する図である。
光を用いて可逆的に記録や消去を行う記録媒体であって、基板と、原子配列を可逆的に変化させることができる記録膜と、該記録膜に接する結晶化促進機能を有する膜と、保護膜と、反射膜と、光学的エンハンスおよび/または熱拡散に寄与する誘電体膜から構成され、記録膜の価電子帯の状態密度のトップからエネルギー準位の低い側へ0.5(eV)のエネルギー準位における結晶状態の状態密度とアモルファス状態の状態密度の比(結晶状態の状態密度/アモルファス状態の状態密度)が1.0以上2.5以下である光記録媒体は、好ましい特性をもっている。例えば図10、図13〜図16参照。このことは、界面層がある図20においてau11/au12(またはau13/au14もしくはau15/au16)が、状態密度比で1.0〜2.5の範囲に納まっていることに対応する。一方、界面層がない図19の場合では、この状態密度比(au01/au02またはau03/au04もしくはau05/au06)が2.5を超えてしまい、好ましくない結果となっている(図9、図11、図17、図18参照)。
以下の説明では、便宜的に価電子帯の状態密度のトップのエネルギーをFermiエネルギー(Fermi準位)として説明する。室温におけるFermiエネルギーは、約25(meV)程度の揺らぎがある。なお、本願発明者らは基準として価電子帯の状態密度のトップからエネルギー準位の低い側へ0.5(eV)のエネルギー準位としたが、同様な傾向は、価電子帯の状態密度のトップからエネルギー準位の低い側へ1.0(eV)のエネルギー準位程度まで(さらには価電子帯の状態密度のトップからエネルギー準位の低い側へ0.25(eV)のエネルギー準位程度を含めて)認められる。しかしながら、本願発明者らは、SN比の高い条件を探求し、最も好ましいものの1つとして、上記のような基準(価電子帯の状態密度のトップからエネルギー準位の低い側へ0.5(eV)のエネルギー準位)を定めた。
記録膜の価電子帯の状態密度のトップからエネルギー準位の低い側へ0.5(eV)のエネルギー準位における結晶状態の状態密度とアモルファス状態の状態密度の比(結晶状態の状態密度/アモルファス状態の状態密度)が2.5以下になると、結晶状態とアモルファス状態が電子状態的に近い状態であることが示唆され、アモルファス状態としてもショート・レンジの規則性は高まる。そのため、結晶状態とアモルファス状態との間の相転移が容易になり、高速に結晶とアモルファスの間の相転移が可能になる。
記録膜の価電子帯の状態密度のトップからエネルギー準位の低い側へ0.5(eV)のエネルギー準位における結晶状態の状態密度とアモルファス状態の状態密度の比(結晶状態の状態密度/アモルファス状態の状態密度)が1.0の場合は、結晶状態とアモルファス状態が電子状態的には完全に同じとなり、アモルファス状態のショート・レンジの規則性は更に高まる。そのため、より高速に結晶とアモルファスの間の相転移が可能になる。
一方、記録膜の価電子帯の状態密度のトップからエネルギー準位の低い側へ0.5(eV)のエネルギー準位における結晶状態の状態密度とアモルファス状態の状態密度の比(結晶状態の状態密度/アモルファス状態の状態密度)が2.5より大きい場合には、結晶状態とアモルファス状態が結晶状態的にも電子状態的にも異なることが示され、アモルファス状態でのショート・レンジの規則性が大幅に下がる。アモルファス状態ではロング・レンジの規則性はほとんど無いので、結晶状態とアモルファス状態との間の相転移を行うためには大きなエネルギーが必要になり、高速で相転移することができない。
そのため、記録膜の価電子帯の状態密度のトップからエネルギー準位の低い側へ0.5(eV)のエネルギー準位における結晶状態の状態密度とアモルファス状態の状態密度の比(結晶状態の状態密度/アモルファス状態の状態密度)が1.0以上2.5以下である光記録媒体が好適となる。記録膜に接して結晶化促進機能を有する膜,例えば図1の界面膜12a、12b/14a、14b,を設けたときは、さらに高速に、結晶とアモルファスの間の相転移が可能になる。
(界面膜)
記録膜に接して結晶化促進機能を有する界面膜の材料としては、i)窒化ゲルマニウム(GeN)、ii)窒化ゲルマニウム-クロム(GeCrN)、iii)酸化ジルコニウム(ZrO)、iv)安定化ジルコニア+酸化クロム(ZrO+Cr)、v)安定化ジルコニア+酸化ケイ素+酸化クロム(ZrO+SiO+Cr)、vi)ジルコン+酸化クロム(ZrSiO+Cr)、vii)酸化ハフニウム(HfO)、viii)ハフニウム(Hf)、酸素(O)、および窒素(N)を含有する化合物(HfO2−x)、ix)ジルコニウム(Zr)、酸素(O)、窒素(N)、およびイットリア(Y)を含有する化合物(ZrO2-x1−y((Y)1−z(Nb))においてz=0)、x)ジルコニウム(Zr)、酸素(O)、窒素(N)、およびニオブ(Nb)を含有する化合物((ZrO2-x1−y((Y)1−z(Nb))においてz=1)、xi)ジルコニウム(Zr)、酸素(O)、窒素(N)、およびイットリア(Y)とニオブ(Nb)から構成される化合物(ZrO2−x1−y ((Y)1−z(Nb))において0<z<1)、xii)酸化クロム(Cr)、xiii)酸化亜鉛(ZnO)、xiv)酸化亜鉛+酸化タンタル(ZnO+Ta)、xv)酸化亜鉛+酸化タンタル+酸化インジウム(ZnO+Ta+In)、xvi)酸化錫(SnO)、xvii)酸化錫+酸化アンチモン(SnO+Sb)、xviii)酸化錫+酸化タンタル(SnO+Ta)、xix)酸化錫+酸化ニオブ(SnO+Nb)等の元素、化合物、あるいは元素及び/または化合物の組み合わせがあげられる。このような構成を採用した場合に、この発明の実施の形態の特徴がより顕著となる。
また、記録層の両側に位置する界面層のうち一方が、
i)窒化ゲルマニウム、ii)窒化ゲルマニウム-クロム、iii)酸化ジルコニウム、iv)安定化ジルコニアと酸化クロム、v)安定化ジルコニアと酸化ケイ素と酸化クロム、vi)ジルコンと酸化クロム、vii)酸化ハフニウム、viii)ハフニウム、酸素、および窒素、ix)ジルコニウム、酸素、窒素、およびイットリア、x)ジルコニウム、酸素、窒素、およびニオブ、xi)ジルコニウム、酸素、窒素、イットリア、及びニオブからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含み、
その他方が、
xii)酸化クロム、xiii)酸化亜鉛、xiv)酸化亜鉛と酸化タンタル、xv)酸化亜鉛と酸化タンタルと酸化インジウム、xvi)酸化錫、xvii)酸化錫と酸化アンチモン、xviii)酸化錫と酸化タンタル、及びxix)酸化錫と酸化ニオブからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含むと、さらに、アモルファス・マーク形成時の再結晶化によるマークのシュリンク、結晶化促進機能の向上、すなわち結晶化速度の向上により、従来より高密度記録、高速記録および書き換え、消去が可能になるという効果が得られる。
なお、Zrを精製する過程において同属のHfやTiなどは、また同様にHfを精製する過程において同属のZrやTiなどは、相互に分離が難しく混在不可避な元素の一つとして知られている。このような不可避な元素が微量混入していても、この発明の実施の形態による効果を著しく損なうものでない。
(記録膜)
記録膜をGeSbTeとし、(GeTe)-(SbTe)と表記できる、いわゆる擬二元系線上組成とその近傍とした場合に、この発明の界面膜の効果が顕著であり、さらに好ましくは、前記(GeTe)-(SbTe)組成とその近傍の合金記録膜材料であって、Geの組成比が30at.%以上の組成に対して、特にこの発明の効果が顕著である。従来の考えでは、記録膜の組成のみが重要であると考えられてきたが、前述のようにこの発明ではその電子状態がどのようなものであるのかも組成と同様に重要である。以下では組成に関する記述をする。
さらに、前記したGeSbTeの組成を元にして、Geの一部をSnで置換した組成とし、あるいはSbの一部をBiおよび/またはInで置換した組成とし、前記の界面膜を使用すると、この発明による効果はさらに顕著である。その場合、GeとSnの置換の割合は、Sn/Ge<0.5が好ましく、SbとBiの置換の割合は、Bi/(Bi+Sb)<0.7が好ましい。Inの割合は、Sb、またはBiの量に対して0.7以下、より好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.25以下が好適である。これら置換元素の量は、結晶化促進機能と共に結晶化温度、融点などとも密接に関連がある。そのため媒体の設計により最適な条件は異なるが、上記の範囲から選択することが好適であった。
また記録膜をGeBiTeとし、(GeTe)-(BiTe)と表記できる、いわゆる擬二元系線上組成とその近傍とした場合に、この発明の界面膜の効果が顕著であり、さらに好ましくは、前記(GeTe)-(BiTe)組成とその近傍の合金記録膜材料であって、Geの組成比が30at.%以上の組成に対してこの発明の界面膜を用いると、特にその効果が顕著である。
(各記録膜の窒化)
記録膜に窒素(N)が含まれる場合としは、(GeTe)-(SbTe)- N
、すなわち(GeTe)-(SbTe)に窒素(N)を添加した構成と表記できる。すなわち、(GeTe)-(SbTe)の擬二元系に窒素(N)を添加した構成である。より簡単には、GeSbTe-Nと表記できる。このように窒化された記録膜を用いた場合、この発明の界面膜の効果が顕著であり、さらに好ましくは、前記(GeTe)-(SbTe)組成とその近傍の合金記録膜材料であって、Geの組成比が30at.%以上の組成に対してこの発明の界面膜を用いると、特にその効果が顕著である。
さらに、前記したGeSbTe-Nの組成を元にして、Geの一部をSnで置換した組成とし、あるいはSbの一部をBi、および/またはInで置換した組成とし、前記の界面膜を使用すると、この発明による効果はさらに顕著である。その場合、GeとSnの置換の割合は、Sn/Ge<0.5が好ましく、SbとBiの置換の割合は、Bi/(Bi+Sb)<0.7が好ましい。Inの割合は、Biの量に対して0.7以下、より好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.25以下が好適である。これら置換元素、窒素の量は、結晶化促進機能と共に結晶化温度、融点となどとも密接に関連がある。そのため媒体の設計により最適な条件は異なるが、上記の範囲から選択することが好適であった。
また記録膜を(GeTe)-(BiTe)に窒素(N)を添加した構成、(GeTe)-(BiTe)-Nと表記される、いわゆる擬二元系線上組成とその近傍とした場合(より簡単に表記するとGeBiTe-N)に、この発明の界面膜の効果が顕著であり、さらに好ましくは、前記(GeTe)-(BiTe)組成とその近傍の合金記録膜材料であって、Geの組成比が30at.%以上の組成に対してこの発明の界面膜を用いると、特にその効果が顕著である。
さらに、この発明の効果は記録膜の膜厚によらず現れるが、記録膜の膜厚を20nm以下、さらには10nm以下にした場合に、より効果が顕著である。
また、片面から光を入射し、異なる2層の情報層にアクセスできるタイプの記録媒体(片面2層タイプ)において、光入射側に近い層の記録膜に対してこの発明を適用すると、この発明の効果が顕著である。その場合の特徴は、記録膜の膜厚を10nm以下にできるところにある。この発明の実施の形態に係る界面層を用いることにより、短波長レーザ光に対する透過率をより高くでき、かつコントラストが高くすることができると言う特徴が顕著となる。
本願発明者らは、記録膜の結晶化促進に効果がある界面膜材料として既に知られている窒化ゲルマニウム(GeN)、炭化珪素(Si-C)、窒化珪素(Si-N)、Ta+SiCなどの材料を使用し、実験を行った。その結果、記録膜の状態をコントロールせずに結晶化促進効果が高い材料を使うとCNRが低下し、CNRが高いものは結晶化促進効果が乏しいというトレードオフがあることを見出した。また、これらの材料は、Si-Nを除いて、次世代DVDで使用される青紫レーザダイオードの波長λ=405nmにおいては、吸収が比較的大きく(つまり光学的減衰係数が大きく)、光学的ロスの要因となる。この光学的ロスがあるとその分照射するレーザのパワーを大きくしなければならないことになり、またL0記録膜の透過率を上げることを妨げ、かつL1記録膜の感度およびコントラストを共に落とす結果となり、2層媒体にとって数々の問題点が発生する。
しかし、従来の均一な記録膜層とGeN等の結晶化促進機能を有する界面層材料を用いた場合には、特に低線速において再結晶化が激しく、良好なアモルファスマークを形成できないことが判明した。また、そのためにビットピッチを詰めることができず、高密度化への障害となっていた。
[実施形態1]
まず、図2と同様の構成を有する光記録媒体を、記録膜が結晶状態の場合とアモルファス状態の場合と、両方作成し、記録膜の価電子帯の状態密度をHX−PES法を用いてそれぞれ測定した。
干渉膜(ZnS−SiO)、界面層、記録膜、界面層、干渉膜(ZnS−SiO)は、図3に示すスパッタリング装置を用い、図4に示す製造工程を用いて形成した。スパッタリングは、2×10−3Pa以下の真空度を有する真空チャンバー内にポリカーボネート(PC)基板を設置し、基板温度を常温の状態で、ガス圧0.1〜2Paの範囲においてAr雰囲気中、またはArとO2の混合ガス、もしくはまたはArとN2の混合ガス中で行った。
記録膜および界面層としては、以下の系を使用した。
実験した記録膜系:
GeSbTe、GeSnSbTe、GeSnSbTeIn、GeSbTeIn、GeSbTeBiIn、GeSbSnTeBiIn、GeSbTeBi、GeSnSbTeBi、GeSnSbTeBiIn、GeBiTeIn、GeBiTe、GeSbTe-N、GeSbTeBi-N、GeBiTe-N、GeSbInTe-N、GeSbTeBiIn-N、GeBiInTe-N。
実験した界面層系:
窒化ゲルマニウム(GeN)、窒化ゲルマニウム-クロム(GeCrN)、酸化ジルコニウム(ZrO)、安定化ジルコニア+酸化クロム(ZrO+Cr)、安定化ジルコニア+酸化ケイ素+酸化クロム(ZrO+SiO+Cr)、ジルコン+酸化クロム(ZrSiO+Cr)、酸化ハフニウム(HfO)、ハフニウム(Hf)酸素(O)および窒素(N)を含有する化合物(HfO2−xにおいて0.1≦x≦0.2)、ジルコニウム(Zr)酸素(O)窒素(N)およびイットリア(Y)とニオブ(Nb)を含有する膜(ZrO2−x1−y ((Y)1−z(Nb))において0<x≦0.2、0<y≦0.1、0≦z≦1)、酸化クロム(Cr)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化亜鉛+酸化タンタル(ZnO+Ta)、酸化亜鉛+酸化タンタル+酸化インジウム(ZnO+Ta+In)、酸化錫(SnO)、酸化錫+酸化アンチモン(SnO+Sb)、酸化錫+酸化タンタル(SnO+Ta)、酸化錫+酸化ニオブ(SnO+Nb)。
上記実験の一例として、図6に示す界面層材料、及び図8に示す組成を有する記録膜材料の中から、図10に示すような組み合わせの材料を選択して適用し、図2と同様の構成に作成した光記録媒体について、記録膜の価電子帯の状態密度のトップからエネルギー順位の低い側に0.5(eV)のエネルギー準位における結晶状態の状態密度とアモルファス状態の状態密度の比を測定した結果を同図10に示す。Ge1−xは、図7に示す種々の組成比を適用し、図10にはGe100at%のターゲットを用いた場合を記載した。成膜は、ArとN2の混合ガス中にて実施した。GeNターゲットやGe+GeNターゲットを用いてArのみ、もしくはArとN2の混合ガス中にてスパッタ成膜することもできる。また、一方の界面層材料として1つの界面層材料を適用した場合は、他方の界面層にはその他の界面層材料を適用した。
[比較例1〜3]
比較例として、図11に示す組み合わせの界面層材料を適用し、同様にして、図2に示すような構成を有する光記録媒体を作成し、同様に記録膜の価電子帯の状態密度のトップからエネルギー順位の低い側に0.5(eV)のエネルギー準位における結晶状態の状態密度とアモルファス状態の状態密度の比を測定した。
その結果、図10に示す組み合わせの界面層を用いた場合、記録膜の価電子帯の状態密度のトップからエネルギー順位の低い側に0.5(eV)のエネルギー準位における結晶状態の状態密度とアモルファス状態の状態密度の比は、1.0以上2.5以下であった。しかしながら、比較例に示すように、2つの界面層を同じ材料にした場合、及び界面層を設けなかった場合には、この比が4以上であり、結晶化促進機能が十分でない、もしくは結晶化速度が小さい、または逆にアモルファス・マーク形成時に再結晶化によるマークのシュリンク等の問題点が発生し、高密度記録を行うためには不利点な点が多々あった。
[実施形態2]
基板として、ランド・グルーブ記録方式(a)およびグルーブ記録方式(b)の両者に対応するものを用いた。ランド・グルーブ記録方式(a)では射出成形で形成された厚さ0.59mmのポリカーボネート(PC)基板を使用した。グルーブピッチ0.68μmでグルーブを形成したものを用いたので、ランド(L)とグルーブ(G)の両方に記録する場合は、トラックピッチ0.34μmに相当する。グルーブ記録方式(b)ではやはり射出成形で形成された厚さ0.59mmのPC基板を使用し、グルーブピッチを0.4μmとした。
これらのPC基板のグルーブが形成された面に、スパッタリング装置を用いて、例えば次の層を成膜し、図1に示すように光記録媒体を作成した。まず、光入射側に近い方に設けたL0情報層19では、干渉膜(ZnS−SiO)15a、界面層14a、記録膜層13a、界面層12a、干渉膜(ZnS−SiO)11a、反射膜16a、干渉膜17aを順次成膜した。一方、光入射側から遠い方に設けたL1情報層20では、PC基板上から順に、反射膜(Ag合金)16b、干渉膜(ZnS−SiO)15b、界面層14b、記録膜層13b、界面層12b、干渉膜(ZnS−SiO)11bを順次成膜した。また、この実施形態では記録膜としてGeSbTeBi系記録膜を用いた。 界面層には、光入射側にZrO、反射膜側にCrを用いた。ZnS−SiO膜(干渉膜)はZnSにSiOを混合したターゲットを用いて成膜した。
各媒体の作成後、分光光度計により反射率、透過率が測定される。
用いたスパッタ装置は、各層をそれぞれ異なる成膜室でスパッタ成膜する、いわゆる枚葉式スパッタ成膜装置である。枚葉式スパッタ成膜装置は、基板を装着するロードロック室、搬送室、そして各膜を成膜するプロセス・チャンバー等で構成されている。図3に一つのプロセス・チャンバーの構成例が示されている。プロセス・チャンバーは、該チャンバーを排気する装置、真空計、圧力センサ、膜厚計、成膜する材料であるスパッタリング・ターゲット、装着した基板などから構成される。スパッタガスには、主にAr等の希ガスが用いられ、必要に応じて酸素や窒素ガスなども用いられる。スパッタ時の放電の形式は、成膜する材料や求める膜質などに応じてRF電源、DC電源などが用いられる。成膜時のプロセス・フローは図4のようになる。
ここでは、基板温度は常温、ガス圧0.1〜2Paの間でAr雰囲気中、またはArとO2の混合ガス、もしくはまたはArとNの混合ガス中でスパッタリングを行った。ターゲットに応じて、DC、またはRD電源から100〜3000wでターゲットに放電し、各々、L0情報層19では、干渉膜(ZnS−SiO)15a、界面層14a、記録膜層13a、界面層12a、干渉膜(ZnS−SiO)11aを成膜、L1情報層20では、PC基板上から順に、反射膜(Ag合金)16b、干渉膜(ZnS−SiO)15b、界面層14b、記録膜層13b、界面層12b、干渉膜(ZnS−SiO)11bを各々形成した。なお、スパッタ条件に関しては、用いる装置によっても異なる場合があるので、上記の条件に限定されるものではない。
図21は、この発明の実施の形態に係る光記録媒体の記録膜の好ましい組成範囲を説明するGeSbTe三元相図である。記録膜層(13a、13b)はGe、Sb、Teからなり、その組成をGeSbTbと表すときx+y+z=100で、GeSbTe三元相図上で、x=55・z=45と、x=45・z=55と、x=10・y=28・z=42と、x=10・y=36・z=54とで囲まれた組成から選択されたものを用いた。
図22は、この発明の実施の形態に係る光記録媒体の記録膜の好ましい組成範囲を説明するGeBiTe三元相図である。記録膜層(13a、13b)がGe、Bi、Teからなり、その組成をGeBiTeと表すときx+y+z=100で、GeBiTe三元相図上で、x=55・z=45と、x=45・z=55と、x=10・y=28・z=42と、x=10・y=36・z=54とで囲まれた組成から選択されたものを用いた。多くの組成について検討したが、その一例を図示した。
図23は、この発明の一実施形態に係る光記録媒体記録層の組成範囲の例を説明するためのGe/Sn-Sb/Bi-Te三元相図である,例えば図21のGeおよび/またはSbがSnおよび/またはBiで置換される。なお、記録膜の膜厚は、10nm以下とした。
界面層には、光入射側にZrO、反射膜側にCrを用いた。ZnS−SiO膜(干渉膜)はZnSにSiOを混合したターゲットを用いて成膜した。用いたスパッタ装置は、各層をそれぞれ異なる成膜室でスパッタ成膜する、いわゆる枚葉式スパッタ成膜装置である。各媒体の作成後、分光光度計により反射率、透過率が測定される。
図24は、上述したような工程で完成したディスクに記録される情報のデータ構造を説明する図である。図24に示すように、ディスク内のデータは、ファイルシステムが入っているボリューム/ファイル構造情報領域111とデータファイルを実際に記録するデータ領域112を含んで構成されている。ボリューム/ファイル構造情報領域111に記録されるファイルシステムは、どのファイルがどこに記録されているかを示す情報で構成されている。データ領域112は、一般のコンピュータ記録に利用される領域120、122と、AVデータが記録される領域121に分けられる。AVデータ記録領域121は、AVデータの管理をするためのVMGファイルがあるAVデータ管理情報領域130と、ビデオレコーディング規格のオブジェクトデータファイルが記録されるVRオブジェクト群記録領域(MPEGプログラムストリーム等を用いる)132と、デジタル放送に対応したオブジェクトが記録されるストリームオブジェクト記録領域(MPEGトランスポートストリーム等を用いる)133を含んで構成されている。
図25は、図24のデータ構造を利用して、情報記録媒体(光ディスク、ハードディスク等)にAV情報(デジタルTV放送プログラム等)を記録し再生する装置の一例を説明するブロック図である。この装置は、MPU部、表示部、デコーダ部、エンコーダ部、TVチューナ部、STC部(System Time Counter)、D−PRO部、一時記憶部、ディスクドライブ部、キー入力部、Vミキシング部、フレームメモリ部、TV用D/A部と、地上波デジタルチューナ部と、IEEE1394I/F部、イーサネット(登録商標)I/F部、リモコン受信部と、さらに、STB部(BSデジタルチューナ等)、緊急放送検出部、HDD部等により構成されている。この構成は、録再DVDレコーダ(DVD-VRレコーダ)にストリーマの機能を追加する形で構成している。
エンコーダ部内には、A/D部、ビデオエンコード部、オーディオエンコード部、SPエンコード部、フォーマット部、バッファメモリ部より構成され、デコード部は、分離部、ビデオデコード部、SPデコード部、オーディオデコード部、TSパケット転送部、V−PRO部、オーディオ用D/A部より構成されている。さらに、STB部には、デジタル放送を受信するためのアンテナが付いている。なお、STC部は27MHzベースでカウントするように構成されている。
記録時の信号の流れは、STB部(または地上波デジタルチューナ)で受け取ったTSパケットデータは、フォーマッタ部で、パケットグループ化されワークRAMへ保存し、一定量たまった時点でディスクに記録される。また、このフォーマッタ部90には、PATS用の内部カウンタ90aが接続されている。TSパケットの到着時間はPATS用のカウンタ90aでカウントし、そのカウント値を各TSパケットの先頭に付けて、バッファリングされる。このカウンタ90aはSCRによりカウント間隔の微調整は行うがSTC102のようにSCRの値をロードする事は無い。この時の動作は、TSパケットを受信すると170パケットずつグルーピング化し、パケットグループヘッダを作成する。
その場合、Packet Groupの先頭のPacketのPATSの上位2バイトのみヘッダに入れ、それ以外のPATSは下位4バイトのみがTSパケットとともに(TSパケットの前に)保存される。また、地上波チューナやライン入力から入力されたアナログ信号は、A/D部でデジタル変換される。そのデジタル信号は、各エンコーダ部へ入力される。ビデオ信号はビデオエンコード部へ、オーディオ信号はオーディオエンコード部へ、文字放送などの文字データはSPエンコード部へ入力され、ビデオ信号はMPEG圧縮され、オーディオ信号はAC3圧縮またはMPEGオーディオ圧縮がなされ、文字データはランレングス圧縮される。
各エンコーダ部(VR用)から、圧縮データがパック化された場合に2048バイトになるようにパケット化されて、フォーマッタ部へ入力される。フォーマッタ部では、各パケットがパック化され、さらに、プログラムストリームとして、多重化され、D−PRO部へ送られる。D−PRO部では、16Logical Bock毎にECCブロックを形成し、エラー訂正データを付け、ドライブ部によりディスクに記録される。
ここで、ドライブ部がシーク中やトラックジャンプなどの場合のため、ビジィー状態の場合には、HDDバッファ部へ入れられ、DVD-RAMドライブ部の準備ができるまで待つこととなる。さらに、フォーマッタ部では、録画中、各切り分け情報を作成し、定期的にMPU部へ送る(GOP先頭割り込みなど)。切り分け情報としては、EVOBU(ESOBU)のパック数、EVOBU(ESOBU)先頭からのIピクチャのエンドアドレス、EVOBU(ESOBU)の再生時間などである。
また、再生時の記録の流れは、ディスクからドライブ部よりデータを読み出し、D−PRO部でエラー訂正を行い、デコード部へ入力される。MPU部は入力されるデータがVRデータか、SRデータかの種別を判定し、デコーダ部に再生前にその種別を設定する。SRデータの場合、MPU部は再生するセルの情報より、再生するPIDを決め、PMTより、再生する各アイテム(ビデオ、オーディオ等)のPIDを決め、デコーダ部へ設定する。デコーダ部は、そのPIDを元に、分離部で各TSパケットを各デコード部へ送るとともに、TSパケット転送部へ送り、パケットの到着時間にしたがって、STB部(1394I/F部)へTSパケットの形で送信する。各デコード部は、デコードを行い、D/A部でアナログ信号に変換し、TVで表示する。VRデータの場合、分離部は、固定のIDに従い、各デコード部へ送る。各デコード部は、デコードを行い、D/A部でアナログ信号に変換し、TVで表示する。
図26は、図25の装置の全体の動作の一例を説明するフローチャート(全体動作処理フロー)である。ここでのデータ処理は、録画処理、再生処理、データ転送処理(STBへのデジタル出力処理など)、番組設定処理、編集処理の5通りとなる。例えば図25の装置の電源がオンされると、MPU部80は、(工場出荷時またはユーザが設定した後の)初期設定を行い(ステップST10)、表示設定を行って(ステップST12)、ユーザ操作を待つ。ユーザがキー入力部103またはリモコン103aからキー入力を行うと(ステップST14)、MPU部80はそのキー入力の内容を解釈する(ステップST16)。この入力キー解釈の結果に応じて、以下の4つのデータ処理が、適宜実行される。
すなわち、キー入力が例えばタイマ予約録画設定のキー操作であれば、番組設定処理に入る(ステップST20)。キー入力が録画開始のキー操作であれば、録画処理に入る(ステップST22)。キー入力が再生開始のキー操作であれば、再生処理に入る(ステップST24)。キー入力がSTBへデジタル出力させるキー操作であれば、デジタル出力処理に入る(ステップST26)。編集処理のキー操作であれば、編集処理に入る(ステップST28)。
ステップST20〜ST28の処理は、そのタスク毎に適宜並列処理される。例えば、再生処理中(ST24)にSTBへデジタル出力する処理(ST26)が並列に実行される。あるいは、タイマ予約録画でない録画処理中(ST22)に新たな番組設定処理(ST20)を並列に処理するように構成することができる。あるいは、高速アクセス可能なディスク記録の特徴を生かし、録画処理(ST22)中に再生処理(ST24)とデジタル出力処理(ST26)を並列処理するように構成することもできる。HDDへの録画中にディスクの編集処理(ステップST28)を行うように構成することも可能である。
図12は、ランド・グルーブ記録形式で記録膜を評価する場合の評価条件を例示する図である。図示しない初期化装置で各層の媒体全面の記録膜を結晶化した。初期化後、成膜した面を内側にしてUV樹脂によって接着し、層間分離層を形成した。層間分離層の厚さは、25μmである。評価には、パルステック(株)製のディスク評価装置ODU−1000を用いた。同装置には、波長405nmの青紫色半導体レーザと、NA=0.65の対物レンズを備えてある。ランド・グルーブ記録の形式によって記録実験をおこなった。標準として実施した条件を図12に示す。
ディスクの特性を評価する実験は、大きく分けて以下の3通り行った。
(1)ビット・エラー・レート(SbER:Simulated bit Error Rate)の測定
一つはデータの誤り率を測定するビット・エラー・レート(SbER : Simulated bit Error Rate)の測定である。もう一つは、読み出し信号品質を判断するためのアナログ測定である。SbER測定は、まず2Tから13Tまでのパターンがランダムに含まれたマーク列を10回オーバーライトした。次に、前記トラックの両側の隣接トラックに同じランダムパターンを10回オーバーライトした。その後、真中のトラックに戻り、SbERを測定した。
(2)アナログ測定
アナログ測定は、次のように行った。やはりまず2Tから13Tまでのパターンがランダムに含まれたマーク列を10回オーバーライトした。次に、そのマーク列に9Tのシングルパターンを1回オーバーライトし、9Tマークの信号周波数の信号対ノイズ比(以下、CNR)をスペクトラムアナライザーによって測定した。次に、消去パワーレベルのレーザビームをディスク一回転分照射し、記録マークを消去した。その際の、9Tマークの信号強度の減少分を測定し、これを消去率(ER)と定義する。次に、十分離れたトラックにヘッドを移動し、クロスイレース(E−X)の測定を行った。
(3)オーバーライト(OW)試験
また、3つ目の測定としてオーバーライト(OW)特性の実験を行った。本実験では同一トラックにランダム信号をオーバーライト(OW)しつつ、CNRを測定した。CNRが、初期の値より2dB以上減少してしまう回数が2000回以上であるかどうかで判定した。OW回数が何処まで可能かどうかと言う視点で実験を行っていない。映像記録用途であれば、1000回程度、PCのデータ用途を目指すなら10000回以上可能であることが求められる。ただし、マーケットとしては、圧倒的に映像記録用途が大きいので、映像記録用途を重視した評価を行うこととした。
なお、これら図12の測定に加えて、線速を落とし(v=4.4m/s、1割以上更に容量が高まる)、ビットピッチを更に詰め、更に高密度化した条件においても評価を行い、更に高密度化が可能であることも示す実験も加えており、この実験においては更に従来より格段に特性が上がっていることが分かる。これらの結果も合わせて示した。また、環境試験も実施しているがいずれも問題が発生しなかった。
なお、前記のSbERの測定の最適パワーを媒体の感度とした。ここで、L0の感度とL0の透過率を測定するために、この実施例の構成のL0と何も成膜していないブランク・ディスクとを貼り合わせた物、L1と何も成膜していないブランク・ディスクとを貼り合わせた物もそれぞれ別途用意した。各評価は、特に明記しない場合にはランド・グルーブ記録方式(a)では、線速5.4m/s(等速)、グルーブ記録方式(b)では線速6.61m/s(等速)にて評価した。
以下の実施形態の例も全て、上記の条件を共通に用いた。代表例として示す以下の例では、上記の作成の評価結果から最も悪いデータを示している。例えば、ランド・グルーブ記録方式(a)はグルーブ記録方式(b)より記録密度を高められるため、全体的に(a)方式より(b)方式の方が、特性が良い傾向にある。その傾向はCNRやERよりSbERで特に顕著である。ある実施例では、同様な構成でも(a)方式より(b)方式の方が、SbERが1/10〜1/100程度、もしくはほとんどノー・エラーとなることなどが確認できた。
図13は、複数サンプルに対する記録膜の評価結果(CNR、SbER、ER)を例示する図である。図13にOW回数の結果以外の評価結果を示す。SbERはランド・グルーブともに1.8×10−6以下であり、OW回数も2000回以上と実用的な特性が得られた。また、この実施例のみ参考までにOW特性の評価を10000回以上実施すると10000回程度のOWは可能であることも確認できた。次に、アナログデータの比較を行った。本媒体においては、CNRがランド・グルーブともに52.9dB以上、消去率が−33.8dB以下、クロスイレースも−0.1dB以下と優れた結果となった。
この実施例の膜構成を射出成形で形成された厚さ1.1mmのポリカーボネート(PC)基板上に形成し、75μmの透明カバー層を設けたディスクを作成、波長405nmの青紫色半導体レーザと、NA=0.85の対物レンズを備えた評価装置にて媒体の記録消去特性を評価した。基板のグルーブピッチは0.32μmで、グルーブ記録で評価した。すなわち、前述の(b)方式のグルーブ記録方式である。CNRは、52dB以上、消去率が−30dB以下、OW特性も2000回以上と非常に良好な結果を得た。従って、この発明例の界面層材料は、基板の厚さや、光入射側のカバー層の厚さに影響されること無く、良好であると考えられる。
図14は、複数サンプルに対する記録膜の別の評価結果(線速を変えた場合のER)を例示する図である。実施形態2〜9に関しては、線速を変化させて消去率の測定も実施した。図14に結果を示した。いずれも良好な消去特性を示している。
上記の評価媒体と同様に作製したものをXPS法を用いて分析した結果、記録膜は、図5に例示するような偏析または濃度分布があることが分かった。なお、分析オージェ分光法やSIMS、HX-PES等によっても行うことができる。すなわち、Ge、Sb、Biが一方,例えば図5(a)では図示左側,の界面近傍においてリッチで、逆にTeがプアーである。図5では分かり易くするためにGeとTeのみの元素を表示している。
[比較例4〜6]
次に比較例を示す。図11に示す比較例1ないし3k組み合わせの界面層材料を適用すること以外は、実施形態2の構成と同様にして、界面層にSiO、Y、を用いたディスク、および界面層を用いなかったディスクを作成した。得られたディスクについて、それぞれ実施形態2と同様な実験をした。その結果を図17、図18に示す。
図17は界面層がない場合と界面層にSiOおよびYを用いた場合の比較例1〜3に対する評価結果(CNR、SbER、ER)を例示する図である。また、図18は界面層にSiOおよびYを用いた場合の比較例2、3に対する別の評価結果(線速を変えた場合のER)を例示する図である。これらの図に示されるように、CNR、SbER、消去率のいずれかが十分な特性が得られなかった。そのため、OW特性の評価は未実施である。
[実施形態3]
実施形態2の構成と同様な構成で、界面層には、光入射側にGeCrN、反射膜側にCrを用いてディスクを作成した。やはり実施形態2と同様な実験をした。その結果、やはり図13に示すように、いずれのサンプルについてもSbERはランド・グルーブともに10−6台であり、良好なエラーレートが得られた。アナログデータに関しても、いずれもCNRがランド・グルーブともに52dB以上と優れた結果となった。OW回数も同様にいずれの媒体も2000回以上と実用的な特性が得られた。
上記の評価媒体と同様に作製したものをXPS法を用いて分析した結果、記録膜の界面近傍においてGe、Sb、Biがリッチで、逆にTeがプアーであった。
[実施形態4]
実施形態2の構成と同様な構成で界面層には、光入射側にZrO+Y+Cr、反射膜側にSnO+Sbを用いてディスクを作成した。やはり実施形態2と同様な実験をした。その結果、やはり図13に示すように、いずれのサンプルについてもSbERはランド・グルーブともに10−6台であり、良好なエラーレートが得られた。アナログデータに関しても、いずれもCNRがランド・グルーブともに52dB以上と優れた結果となった。OW回数も同様にいずれの媒体も2000回以上と実用的な特性が得られた。
上記の評価媒体と同様に作製したものをXPS法を用いて分析した結果、記録膜の界面近傍においてGe、Sb、Biがリッチで、逆にTeがプアーであった。
[実施形態5]
実施形態2の構成と同様な構成で界面層には、光入射側にZrSiO+Cr、反射膜側にCrを用いてディスクを作成した。やはり実施形態2と同様な実験をした。その結果、やはり図13に示すように、いずれのサンプルについてもSbERはランド・グルーブともに10−6台であり、良好なエラーレートが得られた。アナログデータに関しても、いずれもCNRがランド・グルーブともに53dB以上と優れた結果となった。OW回数も同様にいずれの媒体も2000回以上と実用的な特性が得られた。
上記の評価媒体と同様に作製したものをXPS法を用いて分析した結果、記録膜の界面近傍においてGe、Sb、Biがリッチで、逆にTeがプアーであった。
[実施形態6]
実施形態2の構成と同様な構成で界面層には、光入射側にZrO+Y+SiO+Cr、反射膜側にZnO+Ta+Inを用いてディスクを作成した。やはり実施形態2と同様な実験をした。その結果、やはり図13に示すように、いずれのサンプルについてもSbERはランド・グルーブともに10−6台であり、良好なエラーレートが得られた。アナログデータに関しても、いずれもCNRがランド・グルーブともに53dB以上と優れた結果となった。OW回数も同様にいずれの媒体も2000回以上と実用的な特性が得られた。
上記の評価媒体と同様に作製したものをXPS法を用いて分析した結果、記録膜の界面近傍においてGe、Sb、Biがリッチで、逆にTeがプアーであった。
[実施形態7]
実施形態2の構成と同様な構成で界面層には、光入射側に(ZrO2−x1−y((Y1−z(Nb ((x、y、z)=(0.05、0.05、0)) 、反射膜側にSnO+Nbを用いてディスクを作成した。やはり実施形態2と同様な実験をした。その結果、やはり図13に示すように、いずれのサンプルについてもSbERはランド・グルーブともに10−6台であり、良好なエラーレートが得られた。アナログデータに関しても、いずれもCNRがランド・グルーブともに53dB以上と優れた結果となった。OW回数も同様にいずれの媒体も2000回以上と実用的な特性が得られた。
上記の評価媒体と同様に作製したものをXPS法を用いて分析した結果、記録膜の界面近傍においてGe、Sb、Biがリッチで、逆にTeがプアーであった。
[実施形態8]
実施形態2の構成と同様な構成で界面層には、光入射側にHfO2−x (x=0.1)、反射膜側にGeNを用いてディスクを作成した。やはり実施形態2と同様な実験をした。その結果、やはり図13に示すように、いずれのサンプルについてもSbERはランド・グルーブともに10−6台であり、良好なエラーレートが得られた。アナログデータに関しても、いずれもCNRがランド・グルーブともに52dB以上と優れた結果となった。OW回数も同様にいずれの媒体も2000回以上と実用的な特性が得られた。
上記の評価媒体と同様に作製したものをXPS法を用いて分析した結果、記録膜の界面近傍においてGe、Sb、Biがリッチで、逆にTeがプアーであった。
[実施形態9]
実施形態2の構成と同様な構成で界面層には、光入射側にGeN、反射膜側にCrを用いてディスクを作成した。やはり実施形態2と同様な実験をした。その結果、やはり図13に示すように、いずれのサンプルについてもSbERはランド・グルーブともに10−6台であり、良好なエラーレートが得られた。アナログデータに関しても、いずれもCNRがランド・グルーブともに53dB以上と優れた結果となった。OW回数も同様にいずれの媒体も2000回以上と実用的な特性が得られた。
上記の評価媒体と同様に作製したものをXPS法を用いて分析した結果、記録膜の界面近傍においてGe、Sb、Biがリッチで、逆にTeがプアーであった。
[実施形態10]
実施形態2の構成と同様な構成で界面層には、光入射側にHfO2−x (x=0.1)、反射膜側にZrSiO+Crを用いてディスクを作成した。やはり実施形態2と同様な実験をした。その結果、やはり図13に示すように、いずれのサンプルについてもSbERはランド・グルーブともに10−6台であり、良好なエラーレートが得られた。アナログデータに関しても、いずれもCNRがランド・グルーブともに53dB以上と優れた結果となった。OW回数も同様にいずれの媒体も2000回以上と実用的な特性が得られた。
上記の評価媒体と同様に作製したものをXPS法を用いて分析した結果、記録膜の界面近傍においてGe、Sb、Biがリッチで、逆にTeがプアーであった。
[実施形態11]
実施形態2の構成と同様な構成で界面層には、光入射側にCr、反射膜側にZnO+Taを用いてディスクを作成した。やはり実施形態2と同様な実験をした。その結果、やはり図13に示すように、いずれのサンプルについてもSbERはランド・グルーブともに10−6台であり、良好なエラーレートが得られた。アナログデータに関しても、いずれもCNRがランド・グルーブともに51dB以上と良好な結果となった。OW回数も同様にいずれの媒体も2000回以上と実用的な特性が得られた。
上記の評価媒体と同様に作製したものをXPS法を用いて分析した結果、記録膜の界面近傍においてGe、Sb、Biがリッチで、逆にTeがプアーであった。
[実施形態12]
実施形態2の構成と同様な構成で界面層には、光入射側にGeN、反射膜側にSnO+Taを用いてディスクを作成した。やはり実施形態2と同様な実験をした。その結果、やはり図13に示すように、いずれのサンプルについてもSbERはランド・グルーブともに10−6台であり、良好なエラーレートが得られた。アナログデータに関しても、いずれもCNRがランド・グルーブともに53dB以上と優れた結果となった。OW回数も同様にいずれの媒体も2000回以上と実用的な特性が得られた。
上記の評価媒体と同様に作製したものをXPS法を用いて分析した結果、記録膜の界面近傍においてGe、Sb、Biがリッチで、逆にTeがプアーであった。
[実施形態13]
実施形態2の構成と同様な構成で界面層には、光入射側にZrO+Y+Cr2Cr、反射膜側にZnO+Ta+Inを用いてディスクを作成した。やはり実施形態2と同様な実験をした。その結果、やはり図13に示すように、いずれのサンプルについてもSbERはランド・グルーブともに10−6台であり、良好なエラーレートが得られた。アナログデータに関しても、いずれもCNRがランド・グルーブともに53dB以上と優れた結果となった。OW回数も同様にいずれの媒体も2000回以上と実用的な特性が得られた。
上記の評価媒体と同様に作製したものをXPS法を用いて分析した結果、記録膜の界面近傍においてGe、Sb、Biがリッチで、逆にTeがプアーであった。
[実施形態14]
基板には、前述の(a)、(b)の両方式、すなわちランド・グルーブ記録方式(a)およびグルーブ記録方式(b)の両者に対応するものを用いた。ランド・グルーブ記録方式(a)では射出成形で形成された厚さ0.6mmのポリカーボネート(PC)基板を使用した。グルーブピッチ0.68μmでグルーブを形成したものを用いたので、ランド(L)とグルーブ(G)の両方に記録する場合は、トラックピッチ0.34μmに相当する。グルーブ記録方式(b)ではやはり射出成形で形成された厚さ0.59mmのPC基板を使用し、グルーブピッチを0.4μmとした。
これらのPC基板のグルーブが形成された面に、スパッタリング装置を用いて、光入射側からZnS−SiO、SiO、ZnS−SiO、界面層、記録膜層、界面層、ZnS−SiO、Ag合金を順次成膜した。そして、UV硬化樹脂を用いて、成膜を行っていないいわゆるブランク・ディスクを貼り合わせた。実施形態2と同様に用いたスパッタ装置は、各層をそれぞれ異なる成膜室でスパッタ成膜する、いわゆる枚葉式スパッタ成膜装置である。
記録膜層はGe、Sb、Teからなり、その組成をGeSbTbと表すときx+y+z=100で、GeSbTe三元相図上で、x=55・z=45と、x=45・z=55と、x=10・y=28・z=42と、x=10・y=36・z=54とで囲まれた組成から選択されたものを用いた。また、記録膜層がGe、Sb、TeおよびBiまたはSnからなり、前記GeSbTeの組成の一部をBiおよび/またはInおよび/またはSnで置換し、その組成を(Ge(1−w)Snw)x(Sb(1-v)(Bi(1−u)Inu)v))yTezと表すとき、x+y+z=100で、w、vおよびuが、0≦w<0.5かつ0≦v<0.7かつ0≦u≦1.0を満たすGeSnSbTe、GeSnSbTeIn、GeSbTeIn、GeSbTeBiIn、GeSbSnTeBiIn、GeSbTeBi、GeBiTeIn、GeSnSbTeBi、GeSnSbTeBiInを用いた。更には、記録膜層がGe、Bi、Teからなり、その組成をGeBiTeと表すときx+y+z=100で、GeBiTe三元相図上で、x=55・z=45と、x=45・z=55と、x=10・y=28・z=42と、x=10・y=36・z=54とで囲まれた組成から選択されたものを用いた。
多くの組成について検討したが、この実施例ではGeSbTeBi系記録膜を用いた場合を示す。なお、記録膜の膜厚は、10nm以下とした。
界面層には、光入射側にGeN、反射膜側にCrを用いた。ZnS−SiO膜はZnSにSiOを混合したターゲットを用いて成膜した。用いたスパッタ装置は、各層をそれぞれ異なる成膜室でスパッタ成膜する、いわゆる枚葉式スパッタ成膜装置である。各媒体の作成後、分光光度計により反射率、透過率が測定される。
図示しない初期化装置で各層の媒体全面の記録膜を結晶化した。初期化後、成膜した面を内側にしてUV樹脂によって接着し、層間分離層を形成した。層間分離層の厚さは、20μmである。評価には、前述したディスク評価装置ODU−1000を用いた。同装置には、波長405nmの青紫色半導体レーザと、NA=0.65の対物レンズを備えてある。ランド・グルーブ記録の形式によって記録実験をおこなった。やはり実施形態2と同様な実験をした。その結果、やはり図13に示すように、いずれのサンプルについてもSbERはランド・グルーブともに10−6台であり、良好なエラーレートが得られた。アナログデータに関しても、いずれもCNRがランド・グルーブともに53dB以上と優れた結果となった。OW回数も同様にいずれの媒体も2000回以上と実用的な特性が得られた。
上記の評価媒体と同様に作製したものをXPS法を用いて分析した結果、記録膜の界面近傍においてGe、Sb、Biがリッチで、逆にTeがプアーであった。また、記録膜と接する層の界面に0.6nmから0.1nmの極薄のゲルマニューム酸化物、アンチモン酸化物が存在することが確認された。
[実施形態15]
基板には、前述の(a)、(b)の両方式、すなわちランド・グルーブ記録方式およびグルーブ記録方式の両者に対応するものを用いた。すなわち、ランド・グルーブ記録方式(a)では射出成形で形成された厚さ0.6mmのポリカーボネート(PC)基板を使用した。グルーブピッチ0.68μmでグルーブを形成したものを用いたので、ランド(L)とグルーブ(G)の両方に記録する場合は、トラックピッチ0.34μmに相当する。グルーブ記録方式(b)ではやはり射出成形で形成された厚さ0.59mmのPC基板を使用し、グルーブピッチを0.4μmとした。これらのPC基板のグルーブが形成された面に、スパッタリング装置を用いて、光入射側からZnS−SiO、SiOC、ZnS−SiO、界面層、記録膜層、界面層、ZnS−SiO、Ag合金を順次成膜し、UV硬化樹脂を用いて、成膜を行っていないいわゆるブランク・ディスクを貼り合わせた。SiOC膜は、SiC系ターゲットをAr/Oの混合ガスを用いて反応性スパッタリング法により得られる膜で、SiOとほぼ同様な低屈折率を示す。やはり実施形態2などと同様な実験をした。その結果、やはり図13に示すように、いずれのサンプルについてもSbERはランド・グルーブともに10−6台であり、良好なエラーレートが得られた。アナログデータに関しても、いずれもCNRがランド・グルーブともに51dB以上と良好な結果となった。OW回数も同様にいずれの媒体も2000回以上と実用的な特性が得られた。
上記の評価媒体と同様に作製したものをXPS法を用いて分析した結果、記録膜の界面近傍においてGe、Sb、Biがリッチで、逆にTeがプアーであった。
[実施形態16](記録膜の組成の最も良い範囲の選択)
実施形態2の構成と同様な構成で界面層には、光入射側にGeN、反射膜側にCr、または両側にGeNを用いてディスクを作成した。記録膜層は、Ge、Sb、Teからなり、その組成をGeSbTbと表すときx+y+z=100で、GeSbTe三元相図上で、x=55・z=45と、x=45・z=55と、x=10・y=28・z=42と、x=10・y=36・z=54とで囲まれた組成から選択されたものを用いた。また、記録膜層がGe、Sb、TeおよびBiまたはSnからなり、前記GeSbTeの組成の一部をBiおよび/またはInおよび/またはSnで置換し、その組成を(Ge(1−w)Snw)x(Sb(1-v)(Bi(1−u)Inu)v))yTezと表すとき、x+y+z=100で、0≦w<0.5かつ0≦v<0.7かつ0≦u≦1を満たすGeSbTeBi、GeSbTeSn、GeSbTeBiSn、GeSnSbTeIn、GeSbTeIn、GeSbTeBiIn、GeSbSnTeBiIn、GeBiTeIn、GeSnSbTeBiInを用いた。更には記録膜層が、Ge、Bi、Teからなり、その組成をGeBiTeと表すときx+y+z=100で、GeBiTe三元相図上で、x=55・z=45と、x=45・z=55と、x=10・y=28・z=42と、x=10・y=36・z=54とで囲まれた組成の条件を満たすものを用いた。多くの組成について検討したが、この実施例では図8に示すものを代表例としたGeSbTe系、GeSbTeSn系、およびGeBiTe系の記録膜層を用いたディスクの例を示した。やはりそれぞれ実施形態2と同様な実験をした。これらの結果を図15に示す。
図15は、種々な組成の記録膜の評価結果(CNR、SbER)を例示する図である。この図に示されるように、CNR、各SbERとも良好な特性を示した。OW回数も2000回以上と実用的な特性が得られた。
上記の評価媒体と同様に作製したものをXPS法を用いて分析した結果、記録膜の界面近傍においてGe、Sb、Biがリッチで、逆にTeがプアーであった。また、記録膜と接する層の界面に0.4nmないし0.1nmの極薄のゲルマニューム酸化物、アンチモン酸化物、ビスマス酸化物が存在することが確認された。
[実施形態17](記録膜の組成の最も良い範囲の選択)N2添加
実施形態2の構成と同様な構成で、界面層には、光入射側にGeCrN、反射膜側にCrを用いてディスクを作成した。記録膜層は、Ge、Sb、Te、およびN(窒素)からなり、Ge、Sb、Teからなる化合物のの組成をGeSbTbと表すときx+y+z=100で、GeSbTe三元相図上で、x=55・z=45と、x=45・z=55と、x=10・y=28・z=42と、x=10・y=36・z=54とで囲まれた組成領域のGeSbTe系化合物にN(窒素)を1〜5at.%添加したものから選択されたものを用いた。また、記録膜層がGe、Sb、Te、Biおよび/またはInおよび/またはSn、およびN(窒素)からなり、前記GeSbTeの組成の一部をBiおよび/またはSnで置換し、その組成を(Ge(1−w)Snw)x(Sb(1-v)(Bi(1−u)Inu)v))yTezと表すとき、x+y+z=100で、0≦w<0.5かつ0≦v<0.7かつ0≦u≦1を満たすGeSbTeBi、GeSbTeSn、GeSbTeBiSn、GeSnSbTeIn、GeSbTeIn、GeSbTeBiIn、GeSbSnTeBiIn、GeBiTeIn、GeSnSbTeBiInにN(窒素)を0.1〜10at.%添加したものを用いた。更には記録膜層が、Ge、Bi、Teからなり、その組成をGeBiTeと表すときx+y+z=100で、GeBiTe三元相図上で、x=55・z=45と、x=45・z=55と、x=10・y=28・z=42と、x=10・y=36・z=54とで囲まれたGe、Sb、Te、およびN(窒素)からなり、Ge、Sb、Teからなる化合物のの組成をGeSbTbと表すときx+y+z=100で、GeSbTe三元相図上で、x=55・z=45と、x=45・z=55と、x=10・y=28・z=42と、x=10・y=36・z=54とで囲まれた組成領域のGeSbTe系化合物にN(窒素)を0.1〜10at.%添加したものの中から選択したものを用いた。
多くの組成について検討したが、この実施例では図9に示すものを代表例としてそれぞれにN(窒素)を1〜5at.%添加したものとした。この実施例ではGeSbTe系、GeSbTeSn系、およびGeBiTe系のそれぞれにN(窒素)を添加した記録膜膜を用いたディスクの例を示した。また、評価については、それぞれ実施形態2と同様な実験を2倍の線速、すなわち線速10.8[m/sec]にて評価した。その結果を図16に示す。
図16は、種々な組成の記録膜に少量のNを添加した場合の評価結果(CNR、SbER)を例示する図である。この図に示されるように、CNR、各SbERとも良好な特性を示した。OW回数も2000回以上と実用的な特性が得られ、かつ環境試験後に膜中に剥離は認められなかった。N(窒素)は、1〜5at.%が好適であるが、この中で3at.%近傍がより好適であった。
上記の評価媒体と同様に作製したものをXPS法を用いて分析した結果、記録膜と接する層の界面に0.9nmから0.1nmの極薄のゲルマニューム酸化物、ビスマス酸化物が存在することが確認された。
この発明の一実施の形態における必須構成要件は、原子配列を可逆的に変化する記録膜を用いて記録を行う相変化型光記録媒体において、記録膜の価電子帯の状態密度のトップからエネルギー準位の低い側へ0.5(eV)のエネルギー準位における結晶状態の状態密度とアモルファス状態の状態密度の比(結晶状態の状態密度/アモルファス状態の状態密度)を1.0以上2.5以下にすることにあって、その他の膜等については、前記実施例に説明した材料に限定されるものではない。また、記録膜材料も、この発明の実施による効果を損なわない範囲で、GeSbTeに例えばCo、V、Agなどを微量添加しても、またはGeBiTeに例えばCo、V、Agなどを微量添加しても、かまわない。
また、この実施例は何ら基板の厚さや成膜の順番に制限をもたらすものではなく、成膜する基板を介して光を入射する形式の媒体にも、成膜した基板に別な透明シートを接着し、そのシートを介して光を入射する形式の媒体にも同様に適用できる。例えば、0.85程度の高NAの対物レンズを用い、光入射側の透明シート厚を0.1mm程度に薄く設計したタイプの記録媒体に関しても、この発明の効果が有効であることは以上の説明から明らかである。また、使用するレーザの波長も405nm近傍に限定されるものではなく、界面層材料の光学特性からは、更に短波長の350nmから250nm近傍まで実質的に透明であり、この発明の実施による効果が有効であると言える。
以上説明したように、原子配列を可逆的に変化する記録膜を用いて記録を行う相変化型光記録媒体において、基板と、原子配列を可逆的に変化させることができる記録膜と、該記録膜に接する結晶化促進機能を有する膜と、保護膜または誘電体膜と、反射膜とから構成され、該記録膜を構成する元素が該記録膜と接する部位から該記録膜の厚さ方向に、偏析または濃度分布を持たせる。そうすることによって、高密度かつ高速記録媒体において記録時に再結晶化することなく、所望のマーク幅が得られる。そのため、高いCNR、低いビット・エラー・レートが確保でき、優れた消去比が得られる上、優れたクロスイレース特性を得ることができ、その結果として従来よりも高速かつ、高密度に記録・書替えができる相変化記録媒体を実現できる。
これらの記録膜の材料系および組成は、必要とされる結晶化速度や媒体の感度、それから媒体の反射率、コントラスト、透過率と言った光学特性などにより選択され得る。
この発明の実施の形態のいずれかを実施することにより、クロスイレースが起き難く、あるいは晶質/非晶質間のコントラストが高く、あるいは高線速における消去率が高く、あるいはオーバーライト(OW)サイクル特性及び耐環境性に優れ、あるいは高密度かつ大容量で高速オーバーライト可能な、相変化記録媒体を実現することができる。
なお、この発明は前述した実施の形態に限定されるものではなく、現在または将来の実施段階では、その時点で利用可能な技術に基づき、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。たとえば、この発明の実施において利用される情報記憶媒体は、0.6ミリ基板を貼り合わせた光ディスクに限らず、1.2ミリ基板の表面側に0.1ミリの保護層(または透明シート)を設けた光ディスク(つまり記録層等が形成された1.1ミリ基板に0.1ミリ透明シートを貼り合わせた光ディスク)でもよい。あるいは、0.6ミリ基板の貼り合わせ光ディスクのうちの一方あるいは両方の基板表面側0.1ミリに透明保護層(または透明シート)を設けた光ディスクでもよい。また、この発明の実施の形態では、平均厚が0.1nm以上で1nm以下の極薄酸化膜を例示したが、この下限数値は量産時に必要な数値管理ができるなら、0.1nm以下であってもよい。また、極薄酸化膜の平均厚を示す上限数値および上限数値は有効数1桁で規定されある程度の幅を許容している。具体的には、量産時には、0.1nm〜1nmの平均厚には±20%〜30%の幅が許容される。また、極薄の薄膜は、いわゆる島状組織を示すこともあり、均一な膜ではないと言われることが学術的にはある。ただし、本発明では膜の平均的な膜厚として示し、これら島状組織であっても本発明の効果を損なうものではない。
また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。さらに、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
この発明の一実施の形態に係る光記録媒体の断面構造例を説明する図。 記録膜の価電子帯の状態密度の測定で用いる試料の構成を例示する図。 この発明の一実施の形態に係る光記録媒体(相変化光ディスク)の製造装置を説明する図。 この発明の一実施の形態に係る光記録媒体(相変化光ディスク)の製造工程を説明するフローチャート図。 この発明の一実施の形態に係る光記録媒体(相変化光ディスク)の記録膜を構成する元素(Ge,Te等)が偏析または濃度分布を有する状態を例示する図。 この発明の一実施の形態に係る光記録媒体(相変化光ディスク)の界面層(上部界面膜および/または下部界面膜)の材料例を示す図。 界面層の材料にGeNを用いた場合における、GeとNの組成比を例示する図。 この発明の一実施の形態に係る光記録媒体(相変化光ディスク)の記録膜(L0および/またはL1)の材料例を示す図。 界面層がない場合と界面層にSiOおよびYを用いた場合の比較例1〜3を説明する図。 記録膜の価電子帯の状態密度のトップからエネルギー準位の低い側へ0.5(eV)のエネルギー準位における、結晶状態の状態密度とアモルファス状態の状態密度の比(結晶状態の状態密度/アモルファス状態の状態密度:例えば図20のau11/au12)を、種々な界面層材料の組み合わせに対して測定した結果を例示する図。 結晶状態の状態密度とアモルファス状態の状態密度の比(結晶状態の状態密度/アモルファス状態の状態密度:例えば図19のau01/au02)を、図10とは別の界面層材料の組み合わせ(界面層なしの場合も含む)に対して測定した結果を例示する図。 ランド・グルーブ記録形式で記録膜を評価する場合の評価条件を例示する図。 複数サンプルに対する記録膜の評価結果(CNR、SbER、ER)を例示する図。 複数サンプルに対する記録膜の別の評価結果(線速を変えた場合の消去率ER)を例示する図。 種々な組成の記録膜の評価結果(CNR、SbER)を例示する図。 種々な組成の記録膜に少量のNを添加した場合の評価結果(CNR、SbER)を例示する図。 界面層がない場合と界面層にSiOおよびYを用いた場合の比較例1〜3に対する評価結果(CNR、SbER、ER)を例示する図。 界面層にSiOおよびYを用いた場合の比較例2、3に対する別の評価結果(線速を変えた場合のER)を例示する図。 記録膜の価電子帯の状態密度のトップからエネルギー準位の低い側へ0.5(eV)のエネルギー準位における、結晶状態の状態密度とアモルファス状態の状態密度の比(結晶状態の状態密度/アモルファス状態の状態密度)を、界面層がない場合について説明する図。 記録膜の価電子帯の状態密度のトップからエネルギー準位の低い側へ0.5(eV)のエネルギー準位における、結晶状態の状態密度とアモルファス状態の状態密度の比(結晶状態の状態密度/アモルファス状態の状態密度)を、界面層がある場合について説明する図。 この発明の実施の形態に係る光記録媒体の記録膜の好ましい組成範囲を説明するGeSbTe三元相図。 この発明の実施の形態に係る光記録媒体の記録膜の好ましい組成範囲を説明するGeBiTe三元相図。 この発明の実施の形態に係る光記録媒体の記録膜の好ましい組成範囲を説明するGe/Sn−Sb/Bi-Te三元相図(図21のGeおよび/またはSbがSnおよび/またはBiで置換される場合)。 ディスクに記録される情報のデータ構造を説明する図。 この発明の一実施の形態に係る記録再生装置の一例を説明する図。 図25の装置の全体の動作例を説明するフローチャート図。
符号の説明
51・・・ディスクドライブ部(波長が例えば650nm〜405nmのレーザを用いた光ディスクドライブ等)、59・・・デコーダ部、79・・・エンコーダ部、80・・・メインMPU部(制御部)、83・・・セットトップボックス部(衛星デジタルチューナ)、89・・・地上波デジタルチューナ、121・・・AVデータ記録領域、132・・・VRオブジェクト群(MPEGプログラムストリーム)記録領域、133・・・ストリームオブジェクト群(MPEGトランスポートストリーム)記録領域

Claims (17)

  1. 基板および、干渉膜と、原子配列を可逆的に変化させることができる記録膜と、この記録膜に接する結晶化促進膜と、反射膜を含む積層構造を持ち、前記記録膜に対して、光を用いて可逆的に記録または消去が行われる記録媒体において、
    前記記録膜と接する部位からこの記録膜の厚さ方向に、前記記録膜を構成する元素が、偏析または濃度分布を有する相変化記録媒体。
  2. 前記記録膜と接する部位に、前記記録膜の構成元素から構成される元素の、平均厚が0.1nm以上で1nm以下の極薄酸化膜を設ける請求項1に記載の相変化記録媒体。
  3. 前記積層構造が、光学的エンハンスおよび/または熱拡散に寄与する誘電体膜を含んで構成される請求項1に記載の相変化記録媒体。
  4. 前記干渉膜が、前記記録膜に対する保護膜として機能する請求項1に記載の相変化記録媒体。
  5. 前記記録膜の価電子帯の状態密度のトップからエネルギー準位の低い側に0.5(eV)のエネルギー準位における、結晶状態の状態密度とアモルファス状態の状態密度の比が1.0以上、2.5以下である請求項1に記載の相変化記録媒体。
  6. 前記記録膜の価電子帯の状態密度のトップからエネルギー準位の低い側に0.25ないし1.0(eV)の範囲のエネルギー準位における、結晶状態の状態密度とアモルファス状態の状態密度の比が1.0以上、2.5以下である請求項1に記載の相変化記録媒体。
  7. 前記結晶化促進膜は前記記録膜の一方面に接する上部界面膜および前記記録膜の他方面に接する下部界面膜により構成され、前記上部界面膜および前記下部界面膜を、前記記録膜の厚さ方向で結晶化速度が異なるように制御する請求項1に記載の相変化記録媒体。
  8. 前記結晶化促進膜は前記記録膜の一方面に接する上部界面膜および前記記録膜の他方面に接する下部界面膜により構成され、
    i)窒化ゲルマニウム、ii)窒化ゲルマニウム-クロム、iii)酸化ジルコニウム、iv)安定化ジルコニアと酸化クロム、v)安定化ジルコニアと酸化ケイ素と酸化クロム、vi)ジルコンと酸化クロム、vii)酸化ハフニウム、viii)ハフニウム、酸素、および窒素、ix)ジルコニウム、酸素、窒素、およびイットリア、x)ジルコニウム、酸素、窒素、およびニオブ、xi)ジルコニウム、酸素、窒素、イットリア、及びニオブ、xii)酸化クロム、xiii)酸化亜鉛、xiv)酸化亜鉛と酸化タンタル、xv)酸化亜鉛と酸化タンタルと酸化インジウム、xvi)酸化錫、xvii)酸化と酸化アンチモン、xviii)酸化錫と酸化タンタル、及びxix)酸化錫と酸化ニオブからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む請求項1に記載の相変化記録媒体。
  9. 前記上部界面膜および下部界面膜結晶化促進膜のうち一方が、
    i)窒化ゲルマニウム、ii)窒化ゲルマニウム-クロム、iii)酸化ジルコニウム、iv)安定化ジルコニアと酸化クロム、v)安定化ジルコニアと酸化ケイ素と酸化クロム、vi)ジルコンと酸化クロム、vii)酸化ハフニウム、viii)ハフニウム、酸素、および窒素、ix)ジルコニウム、酸素、窒素、およびイットリア、x)ジルコニウム、酸素、窒素、およびニオブ、xi)ジルコニウム、酸素、窒素、イットリア、及びニオブからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含み、
    その他方が、
    xii)酸化クロム、xiii)酸化亜鉛、xiv)酸化亜鉛と酸化タンタル、xv)酸化亜鉛と酸化タンタルと酸化インジウム、xvi)酸化錫、xvii)酸化錫と酸化アンチモン、xviii)酸化錫と酸化タンタル、及びxix)酸化錫と酸化ニオブからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む請求項8に記載の相変化記録媒体。
  10. 前記記録膜がゲルマニウムとアンチモンとテルルを含有し、その組成をGeSbTbかつx+y+z=100で表したときに、
    前記記録膜が、GeSbTe三元相図上で、x=55・z=45と、x=45・z=55と、x=10・y=28・z=42と、x=10・y=36・z=54とで規定される範囲内の組成を持つ請求項1に記載の相変化記録媒体。
  11. 前記GeSbTe系化合物に窒素が1ないし5at.%添加されたことを特徴とする請求項10に記載の相変化記録媒体。
  12. 前記記録膜が少なくともゲルマニウムとビスマスとテルルを含有し、その組成をGeBiTeかつx+y+z=100で表したときに、
    前記記録膜が、GeBiTe三元相図上で、x=55・z=45と、x=45・z=55と、x=10・y=28・z=42と、x=10・y=36・z=54とで規定される範囲内の組成を持つ請求項1ないしに記載の相変化記録媒体。
  13. 前記GeBiTe系化合物に窒素が1ないし5at.%添加されたことを特徴とする請求項12に記載の相変化記録媒体。
  14. 前記記録膜の組成の一部をビスマスおよび/またはインジウムおよび/またはスズで置換し、置換後の組成を(Ge(1−w)Snw)x(Sb(1-v)(Bi(1−u)Inu)v))yTezかつx+y+z=100で表したときに、この組成におけるw、vおよびuが、0≦w<0.5かつ0≦v<0.7かつ0≦u≦1となるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の相変化記録媒体。
  15. 前記記録膜は、GeSnSbTe、GeSnSbTeIn、GeSbTeIn、GeSbTeBiIn、GeSbSnTeBiIn、GeSbTeBi、GeBiTeIn、GeSnSbTeBi、GeSnSbTeBiIn系化合物と、該化合物に添加された1ないし5at.%の窒素を含有する請求項14に記載の相変化記録媒体。
  16. 請求項1に記載の相変化記録媒体を用い、この光記録媒体の前記記録膜に対して情報記録を行なう手段と、情報記録された前記記録膜から情報再生を行なう手段を備えた情報記録再生装置。
  17. 請求項1に記載の相変化記録媒体を用い、この光記録媒体の前記記録膜に対して情報記録を行ない、情報記録された前記記録膜から情報再生を行なうように構成された情報記録再生方法。
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