JP2008063396A - ポリイミド光導波路 - Google Patents

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【課題】 耐熱性、透明性、量産性に優れたポリイミド光導波路を提供することにある。
【解決手段】 特定の構造からなる脂環式テトラカルボン酸二無水物類と芳香族ジアミン類を反応させて得られるポリイミドを光導波路のコア材料に用いる。特に波長830nmにおける(a)伝送損失が1dB/cm以下、(b)屈折率がTEモード、TMモードともに1.55以上、(c)複屈折率が0.02以下であるポリイミドをコア材料に用いた光導波路。
【選択図】 なし

Description

本発明は、光通信分野や光情報処理分野で用いられる光導波路を作製するためのポリイミド、光導波路に関する。
近年、急速な発展を見せる情報化社会において情報伝達の高速化の要求が高まっており、そのためには光による伝送システムが求められる。その中で光導波路は各種ネットワークにおいて最も基本となる構成要素の一つである。中でも、電気配線と混載させる用途に用いる光導波路は高耐熱性および低伝送損失特性が要求され、これらの特性に優れたポリイミドを光導波路に用いた検討が盛んに行なわれている。その中の一つに脂環式ポリイミドが挙げられる。例えば特許文献1には原料に単環式の脂環式テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンからなるポリイミドを用いた光部品が提案されている。
特開平10−10302 特開昭53−77299 Polymer Volume35 Number19(1994) 4203−4208
本発明の課題は下記式(1)の構造を含むテトラカルボン酸二無水物類と芳香族ジアミン類を反応させて得られるポリイミドをコア材料に用いて、耐熱性、透明性、量産性に優れた光導波路を提供することにある。
Figure 2008063396
この課題を解決するために本発明者は、式(1)の構造を有するテトラカルボン酸二無水物を反応に用いたポリイミドを光導波路材料に用いることを見出し、その中でもディールスアルダー反応によって合成することが可能な式(1)のテトラカルボン酸二無水物を用いたポリイミドを光学部品用途に用いることを見出した。
式(1)を用いたポリイミドは特許文献2、非特許文献1で提案されているが、ほとんど耐熱性や機械的特性に着目した用途で検討されており、光学的パラメータの測定は非特許文献1で可視透過スペクトルを測定しているに過ぎない。
本発明の第1は、式(1)の構造を有するテトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン類を反応させて得られるポリイミドユニットを含むポリイミドをコア材料に用いた光導波路、である。
本発明の第2は、波長830nmにおける(a)伝送損失が1dB/cm以下、(b)屈折率がTEモード、TMモードともに1.55以上、(c)複屈折率が0.02以下であるポリイミドをコア材料に用いた本発明の第1に記載の光導波路、である。
本発明の第3は、コア材料とクラッド材料との屈折率差がコア材料の屈折率の2%を超えるポリマーをクラッド材料に用いた本発明の第2に記載の光導波路、である。
本発明のポリイミドは、式(1)の構造を有しているため、耐熱性、透明性、等方性に優れている。したがって光学部品および光導波路形成用材料として好適に用いることができる。
本発明は式(1)の構造を含むテトラカルボン酸二無水物を用いて合成されるポリイミドを用いて、高耐熱性、低伝送損失を有する光導波路を見出したものである。本発明について以下に詳細を記す。
<テトラカルボン酸二無水物>
本発明者は合成原料として、式(1)の構造を有するテトラカルボン酸二無水物に着目した。このテトラカルボン酸二無水物を用いて合成されるポリイミドは高分子鎖間で立体反発を起こしやすい構造をしている。したがって高分子鎖間相互作用に由来する電荷移動吸収が単環式テトラカルボン酸二無水物に比べて少なくなると考えられ、可視域での吸収損失低下が期待できる。また、本ポリイミドは同じ炭素数の単環式ポリイミドと比べると炭素‐水素結合の数が少なくなるため、近赤外域においても単環式ポリイミドより吸収が小さくなると考えられる。
特許文献1で示されているような3,3',4,4'‐ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物といった単環式の脂環式テトラカルボン酸二無水物を反応させて得られるポリイミドは、高分子鎖間距離が短いため高分子鎖間のπ‐π相互作用による電荷移動吸収が多く残っていることが考えられ、可視域の吸収増大に影響する。また、単環式の脂環式テトラカルボン酸二無水物は1分子内に比較的多くの炭素‐水素結合を含んでいる。炭素‐水素結合はその結合振動の二次高調波および三次高調波による吸収が1200nm付近、1400nm付近に存在しており、その吸収は炭素‐水素結合の数が多いほど強くなるので、単環式の脂環式ポリイミドは近赤外域において吸収が大きくなる。また式(1)の構造はディールスアルダー反応によって合成することが可能で、合成が簡単なため産業的に見てコスト性、量産性に優れていることもメリットの一つである。
目的に応じて、式(1)のテトラカルボン酸二無水物と任意の芳香族酸二無水物を用いて共重合ポリイミドを合成することも可能である。このとき芳香族酸二無水物成分は2種類以上用いてもよい。ただし、酸二無水物成分のうち芳香族酸二無水物成分は50%以下であることが好ましい。使用する芳香族酸二無水物としては特に制限は無いが、例えばピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,4'−オキシジフタル酸無水物、3,3',4,4'−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4'−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、4,4'−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物、p−フェニレンジフタル酸二無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、9,9'−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン二無水物、3,3′,4,4′−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、4,4′−スルホニルジフタル酸二無水物、パラ−ターフェニル−3,4,3',4'−テトラカルボン酸二無水物、メタ−ターフェニル−3,3',4,4'−テトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン二無水物、1−(2,3−ジカルボキシフェニル)−3−(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン二無水物、2,2−ビス―((3,4−ジカルボキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン二無水物)、(トリフルオロメチル)ピロメリット酸二無水物、ジ(トリフルオロメチル)ピロメリット酸二無水物、ジ(ヘプタフルオロプロピル)ピロメリット酸二無水物、ペンタフルオロエチルピロメリット酸二無水物、ビス{3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェノキシ}ピロメリット酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、5,5'−ビス(トリフルオロメチル)−3,3',4,4'−テトラカルボキシビフェニル二無水物、2,2',5,5'−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3',4,4'−テトラカルボキシビフェニル二無水物、5,5'−ビス(トリフルオロメチル)−3,3',4,4'−テトラカルボキシジフェニルエーテル二無水物、5,5'−ビス(トリフルオロメチル)−3,3',4,4'−テトラカルボキシベンゾフェノン二無水物、ビス{(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ}ベンゼン二無水物、ビス{(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ}(トリフルオロメチル)ベンゼン二無水物、ビス(ジカルボキシフェノキシ)(トリフルオロメチル)ベンゼン二無水物、ビス(ジカルボキシフェノキシ)ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン二無水物、ビス(ジカルボキシフェノキシ)テトラキス(トリフルオロメチル)ベンゼン二無水物、2,2−ビス{(4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、ビス{(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ}ビフェニル二無水物、ビス{(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ}ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル二無水物、ビス{(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ}ジフェニルエーテル二無水物、ビス(ジカルボキシフェノキシ)ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル二無水物などが挙げられる。
<芳香族ジアミン>
一方、芳香族ジアミン類に関しては特に制限は無いが、例えば4,4'‐ジアミノジフェニルエーテル、3,4'‐ジアミノジフェニルエーテル、2,2'‐ビス(トリフルオロメチル)‐4,4'‐ジアミノビフェニル、4,4'‐ジアミノジフェニルスルホン、3,3'‐ジアミノジフェニルスルホン、1,5‐(4‐アミノフェノキシ)ペンタン、1,3‐ビス(4‐アミノフェノキシ)‐2,2‐ジメチルプロパン、2,2‐ビス(4‐アミノフェノキシフェニル)プロパン、2,2‐ビス[4‐(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、ビス[4‐(4‐アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4‐(3‐アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、3,4'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノベンゾフェノン、3,4'−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、2,2‐ビス(3−アミノフェニル)‐1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2‐ビス(4−アミノフェニル)‐1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、3,3'−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス〔4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−(4−アミノ−6−フルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ジアミノビフェニル、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ジアミノビフェニル、2,2'−ジクロロ−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジアミノビフェニル、2,2'−ジブロモ−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジブロモ−4,4'−ジアミノビフェニル、9−ビス(3−フルオロ−4−アミノフェニル)フルオレン、9、9−ビス(3,3'−ジフルオロ−4−アミノフェニル)フルオレン、9、9−ビス(2,3−ジフルオロ−4−アミノフェニル)フルオレン、9、9−ビス(2,2',3−トリフルオロ−4−アミノフェニル)フルオレン等が挙げられる。これらの芳香族ジアミンを2種類以上用いて共重合ポリイミドとして用いてもよい。
<ポリイミドの製造方法>
本発明に用いられるポリイミドは公知の製造方法により製造可能である。すなわち、原料であるテトラカルボン酸二無水物成分、及び1種または2種のジアミン成分を実質的に等モル量使用し、有機溶媒中で重合してポリアミド酸重合体溶液を得る。ポリアミド酸重合体を合成するための好ましい溶媒は、アミド系溶媒であるN,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなど、またはフェノール系溶媒であるフェノール、m−クレゾール、p−メトキシフェノールまたはこれらの混合溶媒である。反応装置には、温度制御装置を備えていることが好ましい。ポリアミド酸溶液中のポリアミド酸の濃度は、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%、更に好ましくは、15〜30重量%溶解されていることが取り扱い面から好ましい。
このポリアミド酸を必要によりイミド化する。イミド化に関しては、公知の方法である熱キュア法およびケミカルキュア法を用いればよいが、本発明におけるポリイミドは前記した溶媒への溶解性が高いため、より容易なケミカルキュア法で行える。ケミカルキュア法は、ポリアミド酸有機溶媒溶液に、無水酢酸等の酸無水物に代表される化学的転化剤(脱水剤)とイソキノリン、β−ピコリン、ピリジン等の第三級アミン類等に代表される触媒(イミド化促進剤)とを作用させる方法である。イミド化に際して、脱水剤を併用することはイミド化時間を短縮できる観点で好ましい。このような脱水剤としては脂肪族酸無水物や芳香族酸無水物などが挙げられるが、特に無水酢酸を用いることがポリイミド樹脂の洗浄に適しているという点から好ましい。ポリアミド酸に対する脱水剤及びイミド化促進剤の添加量は、ポリアミド酸の化学構造に依存するが、脱水剤の量は、(脱水剤のモル比/ポリアミド酸中のアミド基のモル比)で3〜1.2となるよう用いることができる。脱水剤の量が少ないとイミド化が進行するのに時間を要する場合があり、逆に多すぎると分子量の低下を引き起こす場合がある。
上述のようにして得られたポリイミド樹脂溶液から、ポリイミド樹脂粉体を抽出する方法として、ポリイミド樹脂、イミド化促進剤を含有するポリイミド樹脂の溶液をポリイミド樹脂の貧溶媒中に投入することで、ポリイミド樹脂を固形粉体状態で抽出する方法がある。この抽出に用いられるポリイミド樹脂の貧溶媒としては、ポリイミド樹脂の貧溶媒であって、ポリアミド酸及びポリイミド樹脂を溶解している溶媒として使用した有機溶剤と混和するものを用いることができる。例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、2−ブタノール、2−ペンタノール、2−ヘキサノール、シクロペンチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、フェノール、t−ブチルアルコールなどが挙げられる。上記アルコールの中でもイソプロピルアルコール、2−ブタノール、2−ペンタノール、フェノール、シクロペンチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコールが、抽出後のポリイミド樹脂の安定性が高く、高イミド化率となるという観点から好ましく、その中でもイソプロピルアルコールが好ましい。抽出したポリイミド樹脂粉体はアルコール等の貧溶媒中で洗浄する。
洗浄した樹脂の乾燥は、真空乾燥や熱風乾燥で行うとよい。しかし、酸素存在下で乾燥温度を120℃以上にすると酸化による着色が起こる場合がある。したがって乾燥は120℃以下で行うことが望ましい。真空中や不活性ガス雰囲気でも、120℃以下で行うことが望ましい。
上記のようにして得られたポリイミドは、通常溶媒に溶解させ、ワニス状にして使用する。溶媒としては、アミド系溶媒すなわちN,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどが好ましい。ポリイミド溶液の濃度は、10重量%以上60重量%以下の濃度であることが好ましい。10重量%未満の場合、例えば、シリコン基板上にポリイミド薄膜を形成するためにスピンコート等をする場合に、平滑で厚み均一な薄膜を形成することができない場合がある。一方ポリイミド溶液の濃度が60重量%より大きくなると、ポリイミド溶液の粘度が高すぎて製膜性が悪くなるなど取り扱いが困難になってしまう。
<光導波路の作製方法>
光導波路の作製方法としては、電子線(EB)照射による光導波路形成方法、感光性ポリイミドを用いてコアまたはクラッドを露光によりパターニングする方法、コア層の上にレジストを塗布した後、露光、エッチングを行い、パターニングする方法などがある。さらには、コア材料を有機溶剤に溶解させ、該溶液をインクジェットにより塗布し、コア部を形成した後、上部クラッド層を形成して光導波路を形成する方法、紫外線硬化してポリマーとなるモノマー溶液へ光ファイバーから紫外線を誘導・照射し、照射部が徐々に伸びてコア部を形成する自己形成法、などがある。
<ポリイミドの伝送損失>
本発明における光学部品用ポリイミドの、波長830nmにおける伝送損失はTEモード、TMモードともに1dB/cm以下であり、好ましくは0.5dB/cm以下であり、より好ましくは0.1dB/cm以下である。伝送損失が1dB/cmより大きくなると、光学部品に入力する光源の消費電力が増大してしまうので好ましくない。
本発明における光学部品用ポリイミドの伝送損失は、波長830nmのみならず、波長600nm以上1000nm未満および/または1000nm以上の領域での伝送損失が1dB/cm以下であることが好ましい。波長830nm、以外の波長域においても伝送損失が1dB/cm以下であると、何種類もの波長を用いた双方向通信が可能となるためである。
本発明におけるポリイミドの伝送損失は、プリズムカプラ法を実現できる装置であるプリズムカプラモデル2010(メトリコン社製)を用いて測定した。測定モードに関しては、伝送させる光の偏波は、TEモード、TMモードと分けて行うのが通例であるため、本発明の実施例においてもこの両者での伝送損失を測定した。
プリズムカプラ法により測定される伝送損失は、酸化膜付シリコン基板上にスピンコート法により作製された厚み1μmから15μm程度の薄膜中を導波した波長830nmおよび633nmの光の漏洩光強度の変化と伝送長をプロットしたときに得られる直線の傾きから算出される。この方法は厚み1μm以上、15μm以下の薄膜中で適用できる方法である。この厚み範囲において、伝送損失は、厚みには依存しないが、厚みが厚くなると伝送モードが数多く存在することになり測定が困難となるので、10μm前後が好適である。また、15μmより厚くなると、薄膜の平滑性が損なわれるので、好ましくない。1μm未満になると、伝送モードが存在しなくなるので、測定できなくなる。
なお、本発明のTEモード、TMモード、TEモードとTMモードの屈折率差などは、当業者にとって公知の概念であるものと同じ意味で用いる(例えば、(特許文献1)特開2003−41003号公報などに記載されている)。
<屈折率>
本発明における屈折率は、プリズムカプラ法により測定され、得られた値である。測定には、プリズムカプラモデル2010(メトリコン社製)を使用した。
本発明において、波長830nmでの屈折率はTEモード、TMモードともに1.55以上であることが好ましい。屈折率がそれより小さいと、光導波路のコアに本発明のポリイミドを用いる場合、クラッド材料には、コアよりも屈折率の小さい材料を選択する必要がある。屈折率が小さいと、クラッド材料の選択の余地が制限されてしまう。
本発明における複屈折率とは、面方向の屈折率から厚さ方向の屈折率を引いた値である。面方向の屈折率とは、TEモードの光を用いて測定したときに得られる屈折率を表し、厚さ方向の屈折率とは、TMモードの光を用いて測定したときに得られる屈折率を表す。光導波路材料として用いる場合、屈折率差は小さければ小さいほど好ましい。屈折率差が大きいと、導波路内に入射された光の偏波方向によって屈折率が異なるので伝搬モードや伝搬速度に差異が現れ、信号伝達の精度が悪くなる可能性があるためである。
本発明における屈折率差の測定は、プリズムカプラ法により測定された。具体的には、プリズムカプラモデル2010(メトリコン社製)を使用した。
<コア材料とクラッド材料との屈折率差>
本発明において、コア材料とクラッド材料の屈折率差は2%以上あることが好ましい。これより小さいとコア層を伝播する導波光がクラッド層に漏れ、伝送損失が低下するためである。また、クラッド材料は目的の屈折率を達成できるポリマーであれば特に制限は無いが、耐熱性および靭性に優れるポリイミドが好ましい。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。ただし、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではなく、種々の実施形態の変更が可能である。
(実施例1)
攪拌翼がついた容器に、モレキュラーシーブにて十分に脱水したm‐クレゾールを61.2gおよびトルエンを6g入れ、ビス[4‐(3‐アミノフェノキシ)フェニル]スルホン13.0g(30mmol)を加え、完全に溶解するまで攪拌した。溶解後、ビシクロ[2,2,2]オクト‐7‐エン‐2,3,5,6‐テトラカルボン酸二無水物7.45g(30mmol)を徐々に加えた。30分間常温で撹拌し、その後120℃の油浴中で4時間、さらに180℃の油浴中で1時間反応させ、ポリイミド溶液(1)を得た。
こうして得られたポリイミド溶液を大量のイソプロピルアルコール(IPA)中に滴下し、ポリイミドを沈殿析出させた。濾過抽出によって得られたポリイミドはIPA中で撹拌洗浄させ濾過した後、ポリイミドを80℃、4Torrにて5時間乾燥させ、ポリイミド(1)を得た。
得られたポリイミド(1)10gをジオキソラン200gに溶解させ、0.2μmの目を持つメンブレンフィルターを用いて濾過した。濾過溶液の溶媒をクリーンベンチ内で蒸発乾燥させた後、得られたポリイミドをDMF40gに溶解させてポリイミドワニス(1)を得た。
ポリイミドワニス(1)4mLを酸化膜付シリコン基板(4インチ径)上に滴下し、2000rpmで2秒スピンコートした後に、80℃で10分乾燥させることにより厚み5μmの薄膜を得た。スピンコートして作製した薄膜の厚みは、酸化膜付シリコン基板を割断して薄膜を剥がしてから、別途機械的に厚み測定を実施した。 波長830nmにおける屈折率はプリズムカプラモデル2010(メトリコン社製)を使用して測定した。波長830nmにおける測定結果はTEモードで1.60であった。損失評価としてフィルムの透過スペクトルを分光光度計(日立分光光度計U−4000)により測定した。その結果を図1に示す。
(比較例1)
攪拌翼がついた容器に、モレキュラーシーブにて十分に脱水したDMFを132g入れ、ビス[4‐(3‐アミノフェノキシ)フェニル]スルホン21.6g(50mmol)を加え、完全に溶解するまで攪拌した。溶解後、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物22.2g(50mmol)を徐々に加えた。その後は実施例1と同様の操作を行い、ポリイミド(2)を得た。波長830nmにおけるTEモードでの屈折率は1.62であった。透過スペクトルを図1に示す。
実施例比較例における透過スペクトル

Claims (3)

  1. 下記式(1)の構造を含むテトラカルボン酸二無水物類と芳香族ジアミン類を反応させて得られるポリイミドをコア材料に用いた光導波路。
    Figure 2008063396
  2. 波長830nmにおける(a)伝送損失が1dB/cm以下、(b)屈折率がTEモード、TMモードともに1.55以上、(c)複屈折率が0.02以下であるポリイミドをコア材料に用いた請求項1記載の光導波路。
  3. コア材料とクラッド材料との屈折率差がコア材料の屈折率の2%を超えるポリマーをクラッド材料に用いた請求項2記載の光導波路。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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