JP2008063293A - アディポネクチン分泌促進剤、並びに該アディポネクチン分泌促進剤を含有する中性脂肪減少剤、抗肥満剤、飲食品添加剤及び機能性食品 - Google Patents
アディポネクチン分泌促進剤、並びに該アディポネクチン分泌促進剤を含有する中性脂肪減少剤、抗肥満剤、飲食品添加剤及び機能性食品 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】生活習慣病及び肥満等の予防、改善を図ることができるアディポネクチン分泌促進剤、並びに中性脂肪減少剤、抗肥満剤、飲食品添加剤及び機能性食品を提供する。
【解決手段】本発明のアディポネクチン分泌促進剤は、エルゴステロールを含む酵母、米胚芽油及びうこんを含有する。酵母、米胚芽油及びうこんの含有量の合計を100質量%とした場合、酵母の含有量は30〜50質量%、米胚芽油の含有量は20〜40質量%、うこんの含有量は20〜40質量%であることが好ましい。また、本発明の他のアディポネクチン分泌促進剤は、有効成分としてエルゴステロール、γ-オリザノール、ピネン類及びアントシアニンを含有する。
【選択図】なし
【解決手段】本発明のアディポネクチン分泌促進剤は、エルゴステロールを含む酵母、米胚芽油及びうこんを含有する。酵母、米胚芽油及びうこんの含有量の合計を100質量%とした場合、酵母の含有量は30〜50質量%、米胚芽油の含有量は20〜40質量%、うこんの含有量は20〜40質量%であることが好ましい。また、本発明の他のアディポネクチン分泌促進剤は、有効成分としてエルゴステロール、γ-オリザノール、ピネン類及びアントシアニンを含有する。
【選択図】なし
Description
本発明は、アディポネクチン分泌促進剤、並びに該アディポネクチン分泌促進剤を含有する中性脂肪減少剤、抗肥満剤、飲食品添加剤及び機能性食品に関する。更に詳しくは、本発明は、酵母、米胚芽油及びうこんが含有され、又は有効成分としてエルゴステロール、γ-オリザノール及びアントシアニンが含有され、アディポネクチンの分泌低下等によりもたらされると考えられる肥満、あるいは各種疾患等の予防、改善を図ることができるアディポネクチン分泌促進剤、並びに該アディポネクチン分泌促進剤を含有する中性脂肪減少剤、抗肥満剤、飲食品添加剤及び機能性食品に関する。
近年、食生活をはじめとする生活環境の変化や高齢化に伴い、肥満者の増加が大きな問題となっており、また、遺伝的背景に、高脂血症、高血圧症、喫煙、感染等の動脈硬化危険因子が集積することにより惹起されるといわれている動脈硬化性疾患の急増も大きな問題となっている。更に近年、脂肪細胞、特に内臓脂肪と動脈硬化性疾患との関連が明らかになってきている。脂肪組織は重量で身体の10%以上を占める巨大な組織であり、中性脂肪としてエネルギーを貯蔵するのみならず、アディポサイトカイン(脂肪組織由来生理活性物質)を分泌することにより、生体ホメオスタシスの維持に積極的に参与している。
そして、アディポサイトカインの中には、脂肪細胞内に脂肪を蓄積すると共に、その分泌が亢進又は低下することにより、脂肪蓄積に伴う合併症発症に関与する可能性があるものも見出され、脂肪代謝、内分泌異常ひいては動脈硬化の発症に関与していることが明らかになっている。例えば、アディポサイトカインの1種であるアディポネクチンは、血管平滑筋細胞の増殖抑制作用、血管内皮細胞と単球の接着阻害作用、マクロファージの貪食能の低下作用などにより動脈硬化を抑制することが知られている(例えば、非特許文献1〜3参照)。また、冠動脈疾患患者において、血中アディポネクチン濃度が低下していることが明らかになっており、これらの知見によれば、肥満者や内臓脂肪蓄積者でアディポネクチンの分泌が低下することが、動脈硬化性疾患の発症基盤となっている可能性が示唆されている。このようなアディポネクチンの利用に関しては、例えば、アディポネクチンを含有する肝繊維化抑制剤(例えば、特許文献1参照。)等が知られている。
上記のような状況下、肥満、及び動脈硬化性疾患等の循環器系疾患などの生活習慣病においては、薬物療法も重要であるが、同時に運動療法及び食生活の改善などの生活習慣の改善が不可欠である。そこで、最近は医食同源の考えの下、健康によい食品を摂取することにより、かかる疾患の予防・改善を図ることが行われており、このような観点から、アディポネクチン分泌等に影響を与えると共に、食品等として摂取可能な成分の開発が望まれている。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、エルゴステロール、γ-オリザノール、ピネン類及びアントシアニン等が含有されるため、脂肪細胞からより多くのアディポネクチンの分泌が促進され、肥満、あるいは各種疾患、例えば、動脈硬化等の各種循環器系疾患などの生活習慣病の予防、改善を図ることができるアディポネクチン分泌促進剤、並びに該アディポネクチン分泌促進剤を含有する中性脂肪減少剤、抗肥満剤、飲食品添加剤及び機能性食品を提供することを目的とする。
本発明者らは、肥満等の解決策として、脂肪細胞からより多くのアディポネクチンの分泌を促進することができる物質が有用であると考えた。その結果、酵母、米胚芽油及びうこんを含有するアディポネクチン分泌促進剤が、各々の成分に含有される特定の物質により、抗肥満等の作用、効果を有することを見出して、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下に示す通りである。
(1)エルゴステロールを含む酵母、米胚芽油及びうこんを含有することを特徴とするアディポネクチン分泌促進剤。
(2)上記酵母、上記米胚芽油及び上記うこんの含有量の合計を100質量%とした場合、該酵母の含有量は30〜50質量%、該米胚芽油の含有量は20〜40質量%、該うこんの含有量は20〜40質量%である上記(1)記載のアディポネクチン分泌促進剤。
(3)上記エルゴステロールを含む酵母がビール酵母である上記(1)又は(2)記載のアディポネクチン分泌促進剤。
(4)有効成分としてエルゴステロール、γ−オリザノール、ピネン類及びアントシアニンを含有することを特徴とするアディポネクチン分泌促進剤。
(5)腸溶性製剤である上記(1)乃至(4)のいずれかに記載のアディポネクチン分泌促進剤。
(6)上記(1)乃至(5)のいずれかに記載のアディポネクチン分泌促進剤を含有することを特徴とする中性脂肪減少剤。
(7)上記(1)乃至(5)のいずれかに記載のアディポネクチン分泌促進剤を含有することを特徴とする抗肥満剤。
(8)上記(1)乃至(5)のいずれかに記載のアディポネクチン分泌促進剤を含有することを特徴とする飲食品添加剤。
(9)上記(1)乃至(5)のいずれかに記載のアディポネクチン分泌促進剤を含有することを特徴とする機能性食品。
(1)エルゴステロールを含む酵母、米胚芽油及びうこんを含有することを特徴とするアディポネクチン分泌促進剤。
(2)上記酵母、上記米胚芽油及び上記うこんの含有量の合計を100質量%とした場合、該酵母の含有量は30〜50質量%、該米胚芽油の含有量は20〜40質量%、該うこんの含有量は20〜40質量%である上記(1)記載のアディポネクチン分泌促進剤。
(3)上記エルゴステロールを含む酵母がビール酵母である上記(1)又は(2)記載のアディポネクチン分泌促進剤。
(4)有効成分としてエルゴステロール、γ−オリザノール、ピネン類及びアントシアニンを含有することを特徴とするアディポネクチン分泌促進剤。
(5)腸溶性製剤である上記(1)乃至(4)のいずれかに記載のアディポネクチン分泌促進剤。
(6)上記(1)乃至(5)のいずれかに記載のアディポネクチン分泌促進剤を含有することを特徴とする中性脂肪減少剤。
(7)上記(1)乃至(5)のいずれかに記載のアディポネクチン分泌促進剤を含有することを特徴とする抗肥満剤。
(8)上記(1)乃至(5)のいずれかに記載のアディポネクチン分泌促進剤を含有することを特徴とする飲食品添加剤。
(9)上記(1)乃至(5)のいずれかに記載のアディポネクチン分泌促進剤を含有することを特徴とする機能性食品。
酵母、米胚芽油及びうこんを含有する本発明のアディポネクチン分泌促進剤、及びエルゴステロール、γ−オリザノール、ピネン類及びアントシアニンを含有する本発明の他のアディポネクチン分泌促進剤は、脂肪細胞からより多くのアディポネクチンの分泌を促進することができる。よって、アディポネクチンの分泌低下がもたらすと考えられる肥満、あるいは各種疾患、例えば、動脈硬化等の各種循環器系疾患や糖尿病等の生活習慣病の予防、改善を図ることができる。
また、酵母、米胚芽油及びうこんの含有量の合計を100質量%とした場合、酵母の含有量が30〜50質量%、米胚芽油の含有量が20〜40質量%、うこんの含有量が20〜40質量%である場合は、アディポネクチン分泌促進の作用、効果が安定して得られるアディポネクチン分泌促進剤とすることができる。
更に、エルゴステロールを含む酵母がビール酵母である場合は、より優れたアディポネクチン分泌促進の作用、効果を有するアディポネクチン分泌促進剤とすることができる。
また、アディポネクチン分泌促進剤が腸溶性製剤として用いられる場合は、有効成分が腸内において効率よく作用し、より優れたアディポネクチン分泌促進の作用、効果を有するアディポネクチン分泌促進剤とすることができる。
本発明の中性脂肪減少剤、抗肥満剤によれば、脂肪細胞からのアディポネクチンの分泌を促進することにより、肥満、あるいは上記の疾患等の予防、改善を図ることができる。
本発明の飲食品添加剤及び本発明の機能性食品によれば、食品の摂取を通じて日常的に本発明のアディポネクチン分泌促進剤を摂取できることから、日常の食生活を通じてアディポネクチンの分泌低下がもたらすと考えられる肥満、あるいは動脈硬化等の各種循環器系疾患や糖尿病等の生活習慣病の予防、改善を図ることができる。
また、酵母、米胚芽油及びうこんの含有量の合計を100質量%とした場合、酵母の含有量が30〜50質量%、米胚芽油の含有量が20〜40質量%、うこんの含有量が20〜40質量%である場合は、アディポネクチン分泌促進の作用、効果が安定して得られるアディポネクチン分泌促進剤とすることができる。
更に、エルゴステロールを含む酵母がビール酵母である場合は、より優れたアディポネクチン分泌促進の作用、効果を有するアディポネクチン分泌促進剤とすることができる。
また、アディポネクチン分泌促進剤が腸溶性製剤として用いられる場合は、有効成分が腸内において効率よく作用し、より優れたアディポネクチン分泌促進の作用、効果を有するアディポネクチン分泌促進剤とすることができる。
本発明の中性脂肪減少剤、抗肥満剤によれば、脂肪細胞からのアディポネクチンの分泌を促進することにより、肥満、あるいは上記の疾患等の予防、改善を図ることができる。
本発明の飲食品添加剤及び本発明の機能性食品によれば、食品の摂取を通じて日常的に本発明のアディポネクチン分泌促進剤を摂取できることから、日常の食生活を通じてアディポネクチンの分泌低下がもたらすと考えられる肥満、あるいは動脈硬化等の各種循環器系疾患や糖尿病等の生活習慣病の予防、改善を図ることができる。
本発明について、以下に詳細に説明する。
本発明のアディポネクチン分泌促進剤は、エルゴステロールを含む酵母、米胚芽油及びうこんを含有する。
また、本発明の他のアディポネクチン分泌促進剤は、有効成分としてエルゴステロール、γ-オリザノール、ピネン類及びアントシアニンを含有する。
本発明のアディポネクチン分泌促進剤は、エルゴステロールを含む酵母、米胚芽油及びうこんを含有する。
また、本発明の他のアディポネクチン分泌促進剤は、有効成分としてエルゴステロール、γ-オリザノール、ピネン類及びアントシアニンを含有する。
エルゴステロールを含有する上記「酵母」は多くの種類があり、例えば、ビール酵母、清酒酵母、ブドウ酒酵母、ウイスキー酵母、ワイン酵母、アルコール酵母及びパン酵母等が挙げられる。これらの酵母は特に限定されず、いずれの酵母も用いることができる。また、酵母は1種のみ用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
酵母としては、ビール酵母が好ましい。このビール酵母は、アルコール発酵の過程で利用される微生物の1種であり、約50質量%のタンパク質及びアミノ酸、並びに約30質量%の食物繊維が含有される。また、エルゴステロール、ビタミンB群、各種のミネラル類及びグルタチオナ等が含有される。エルゴステロールはビール酵母の細胞膜に含有される脂質成分であり、このエルゴステロールによりアディポネクチンの分泌が促進され、肥満の抑制、あるいはコレステロールの低下等の作用、効果が得られる。更に、エルゴステロールはカルシウムの吸収促進作用等も併せて有している。
上記「米胚芽油」は、米胚芽から搾りだされた油であり、γ−オリザノール等が含有される。このγ−オリザノールは、トリテルペンアルコール及び各種の植物ステロールのフェルラ酸エステルの総称であり、血中脂質を低下させることにより、動脈硬化等を抑える作用を有する。また、γ-オリザノールに含有されるシクロアルテノールフェルラ酸エステルは、抗酸化作用、脳機能改善作用及び自律神経調整作用等を併せて有している。
上記「うこん」は、生姜科の多年生草であり、ピネン類及びアントシアニン等が含有される。このピネン類は二環式モノテルペン炭化水素であり、α−ピネン及びβ−ピネンがある。このピネン類は中性脂肪を燃焼させる作用を有し、アディポネクチン分泌促進剤にうこんを含有させることにより、中性脂肪が低減され、高脂血症等が抑制され、動脈硬化等が抑えられる。
アントシアニンは、ポリフェノールの1種であり、アントシアニジンをアグリコンとする配糖体である。このアントシアニジンは不安定であり、通常、グルコース、ガラクトース等の糖が結合した配糖体、即ち、アントシアニンとしてうこんに含有されるが、アグリコンであるアントシアニジンのまま含有されていてもよい。また、配糖体の糖部に有機酸がエステル結合したアシル化アントシアニンの形態で含有されていてもよい。エステル結合する有機酸としては、ヒドロキシケイ皮酸類及びヒドロキシ安息香酸類等の芳香族有機酸、並びにマロン酸、酢酸及びシュウ酸等の脂肪族有機酸が挙げられる。このアシル化アントシアニンはより安定である。
アントシアニンは、抗酸化作用等を有する。例えば、アグリコンであるアントシアニジンのβ−環に結合したヒドロキシル基から水素原子を過酸化物に移動させることで過酸化物を除去することができる。このうこんに含有されるアントシアニンの抗酸化作用により、本発明のアディポネクチン分泌促進剤は抗酸化作用を併せて有する。この抗酸化作用により、例えば、低比重リポタンパク(Low Density Lipoprotein、以下、「LDL」という。)の酸化を抑えることができる。
LDLはリポ蛋白の1種でコレステロールの含有量が多い。このLDLはApoB等を認識するLDL受容体を介して主に肝臓に取り込まれ異化される。このLDLが酸化されるとLDL受容体への親和性が失われ、これにより血液中のコレステロール濃度等が高くなる。このような状態は高脂血症といわれ、動脈硬化を引き起こす原因になる。また、酸化LDLにより血栓が生成し易い体質になる。本発明のアディポネクチン分泌促進剤によれば、LDLの酸化が抑えられ、動脈硬化等が抑制される。
うこんはクルクマ属の植物であり、黒うこん、紫うこん、春うこん、秋うこん及びジャワうこん等があり、本発明ではいずれのうこんも用いることができる。また、前記のようにアントシアニンには多数の種類があり、このアントシアニンの種類及び各々のアントシアニンの含有量によって、うこんの外観(色調)等が異なることもある。これらのうこんのうちでは、ピネン類及びアントシアニンを含有することによる中性脂肪の低減、及びLDLの酸化抑制の十分な作用、効果が得られる黒うこんが好ましい。
うこんの使用部位に特に限定はなく、根、茎、葉、花、果実、樹皮等の種々の部位を用いることができる。また、うこんはその全体若しくは一部又はその乾燥物を適度に粉砕した粉末として用いることが好ましい。更に、うこんはこの粉末をそのまま用いてもよく、あるいは、粉末に抽出操作を施し、得られる抽出液を用いてもよい。
上記抽出の方法、条件については特に限定はなく、必要に応じて種々の抽出方法、抽出条件とすることができる。例えば、溶媒抽出の場合、抽出溶媒としては、水、並びに1価アルコール(エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール等)、多価アルコール(グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール等)、酢酸エチル等の酢酸エステル、及びアセトン等の親水性有機溶媒が挙げられる。また、抽出溶媒として水を用いる場合、この水は、特に加熱しない環境温度のままの水でもよく、適宜温度に加熱された水でもよい。加熱水の温度は特に限定されないが、通常、30〜100℃、好ましくは40〜100℃、更に好ましくは50〜90℃、特に好ましくは40〜70℃である。
抽出溶媒としては、上記親水性有機溶媒と水との混合溶媒を用いてもよい。かかる混合溶媒としては、例えば、水/1価アルコール(エタノール及びメタノール等)、又は水/多価アルコール(グリセリン、1,3−ブチレングリコール及びプロピレングリコール等)の混合溶媒などが挙げられる。もっとも、本発明のアディポネクチン分泌促進剤は、生体に対して用いる素材であることから、生体に刺激を及ぼさないような溶媒を用いることが好ましい。かかる溶媒としては、水、エタノール、及び水/エタノールの混合溶媒が挙げられ、特に水が好ましい。また、上記抽出溶媒の量についても特に限定はないが、通常は、うこんの1〜1000倍量(重量比)、好ましくは1〜100倍量(重量比)、更に好ましくは5〜50倍量(重量比)、より好ましくは5〜20倍量(重量比)である。
抽出方法及び抽出条件については、ピネン類及びアントシアニン等を十分に抽出でき、抽出物の品質を維持できる範囲で種々の条件とすることができる。例えば、抽出は、非振盪下で行ってもよく、振盪下で行ってもよい。また、抽出温度としては、常温抽出の場合、通常、0℃以上、好ましくは10℃〜30℃、更に好ましくは20〜30℃とすることができる。また、加熱抽出の場合は30℃を超え150℃以下、好ましくは60〜130℃、更に好ましくは80〜100℃とすることができる。更に、抽出時間は、通常、10分以上、好ましくは、非振盪下又は常温抽出の場合、1時間〜10日間、振盪下又は加熱抽出の場合、30分〜24時間、更に好ましくは、非振盪下又は常温抽出の場合、5時間〜7日間、振盪下又は加熱抽出の場合、1〜12時間、より好ましくは、非振盪下又は常温抽出の場合、10時間〜3日間、振盪下又は加熱抽出の場合、3〜10時間である。尚、抽出は、同一原料について1回のみ行ってもよいが、2回以上繰り返して行ってもよい。
抽出は、上記のように常温で行ってもよく、加熱下に行ってもよいが、より具体的には、常温ホモジナイズ抽出、還流抽出、超臨界流体抽出等により抽出することができる。更に、一度抽出を行って得られた抽出物について、必要に応じて、再度、水、エタノール、酢酸エチル、又は水/エタノール等の溶媒で抽出を行ってもよい。この場合の再度の抽出もまた、前の抽出と同様に行ってもよく、あるいは、異なる抽出方法、抽出条件で行ってもよい。また、上記抽出により得られた抽出液について、必要に応じてろ過を行って夾雑物を除いたり、濃縮することにより、有効成分濃度を高めることができる。この濃縮の方法については特に限定はなく、加温によって濃縮する他、低温又は加温下、減圧により濃縮することができる。尚、この濃縮は、抽出物が乾固するまで行ってもよい。また、濃縮する場合、抽出物自体ではなく、抽出物をろ過して得られたろ液を濃縮してもよい。
アディポネクチン分泌促進剤における各々の成分の含有量は特に限定されないが、酵母、米胚芽油及びうこんの合計を100質量%とした場合に、酵母は30〜50質量%、米胚芽油は20〜40質量%、うこんは20〜40質量%であることが好ましい。この範囲の質量割合であれば、アディポネクチン分泌促進、中性脂肪減少及びLDLの酸化抑制等の作用、効果を十分に得ることができる。また、酵母は35〜45質量%、米胚芽油は25〜35質量%、うこんは25〜35質量%であることがより好ましい。この範囲の質量割合であれば、より優れた作用、効果を得ることができる。
以上、詳述したように、本発明のアディポネクチン分泌促進剤は、酵母と、米胚芽油と、うこんとを含有するが、このアディポネクチン分泌促進剤が有する、アディポネクチンの分泌促進、中性脂肪の減少及び抗肥満の作用、効果は、主に、酵母に含有されるエルゴステロール、米胚芽油に含有されるγ−オリザノール、並びにうこんに含有されるピネン類及びアントシアニンによりもたらされるものである。すなわち、本発明の他のアントシアニン分泌促進剤のように、有効成分としてエルゴステロール、γ−オリザノール、ピネン類及びアントシアニンを含有することにより、アディポネクチンの分泌促進、中性脂肪の減少及び抗肥満の作用、効果がもたらされる。
脂肪細胞のライフサイクルは、(1)脂肪前駆細胞、(2)成熟脂肪細胞、(3)肥大脂肪細胞の大きく3つに分類できる。そして、(1)脂肪前駆細胞から(2)成熟脂肪細胞への分化、(2)成熟脂肪細胞から(3)肥大脂肪細胞への肥大、及び(3)肥大脂肪細胞から(2)成熟脂肪細胞への分裂による小型化には、いくつかの転写因子が関与している。最も重要な転写因子として、PPARγ(ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体γ)が挙げられる。このPPARγの発現が、肥大してアディポネクチンの分泌が低下した脂肪細胞の分裂による正常化に関与すると考えられる。また、(1)前駆脂肪細胞は、(2)成熟脂肪細胞へ分化すると細胞内に脂肪滴を蓄積することが可能になり、正常な(2)成熟脂肪細胞はアディポネクチンを分泌すると考えられる。即ち、脂肪細胞の脂肪蓄積とアディポネクチン分泌には、PPARγの活性化が予測できる。
本発明のアディポネクチン分泌促進剤は、脂肪細胞の脂肪蓄積量から予測されるよりも多量のアディポネクチンの分泌を促進することができる。このことから、本発明のアディポネクチン分泌促進剤は、PPARγの活性化を促進することにより、アディポネクチンの分泌を促進するものと考えられる。勿論、これは推測であり、本願発明を限定する趣旨ではない。そして、アディポネクチンは、単球の血管内皮細胞への接着の抑制、マクロファージの脂質蓄積、泡沫化の抑制、平滑筋細胞の増殖、遊走の抑制等の作用を示すことから、本発明のアディポネクチン分泌促進剤によりアディポネクチン分泌量を増加させることにより、中性脂肪の減少、抗肥満等の作用、効果が奏されるものと考えられる。よって、本発明のアディポネクチン分泌促進剤は、中性脂肪減少剤及び抗肥満剤等として好適に利用することができる。
本発明の中性脂肪減少剤及び抗肥満剤は、本発明のアディポネクチン分泌促進剤、又は本発明の他のアディポネクチン分泌促進剤を含有する。本発明の中性脂肪減少剤及び抗肥満剤の投与形態については特に限定はない。通常は経口投与により投与されるが、その他にも、注射等の非経口投与又は外部投与等が挙げられる。
本発明の飲食品添加剤及び機能性食品は、本発明のアディポネクチン分泌促進剤、又は本発明の他のアディポネクチン分泌促進剤を含有する。本発明の機能性食品としては、固形食品、クリーム状及びジャム状の半流動食品、ゲル状食品、飲料等の他、これらに添加する食品添加物、食品素材等が挙げられる。
本発明のアディポネクチン分泌促進剤及び本発明の他のアディポネクチン分泌促進剤、並びに本発明の中性脂肪減少剤、抗肥満剤、飲食品添加剤及び機能性食品は、口や胃で溶解せず、小腸に到達してから溶解することが好ましい。すなわち、腸溶性製剤であることが好ましい。これにより、アディポネクチン分泌促進剤等が腸内で効率よく吸収され、アディポネクチンの分泌促進、中性脂肪の減少及び抗肥満等の作用、効果が十分に得られる。また、このように口や胃で溶解せず、小腸に到達してから溶解させるためには、油分として含有される米胚芽油が有効に機能する。
また、本発明のアディポネクチン分泌促進剤及び本発明の他のアディポネクチン分泌促進剤、並びに本発明の中性脂肪減少剤、抗肥満剤、飲食品添加剤及び機能性食品の形態については特に限定はない。本発明のアディポネクチン分泌促進剤等の形態としては、例えば、液状(必要に応じて脱色等の後処理をした液も含む。)でもよいし、液状物を濃縮した濃縮液でもよい。また、その他にも、噴霧式乾燥や凍結乾燥等の公知の方法により溶媒を除去した固形物や粉末化した粉末物でもよい。その他、液状、粉末品、造粒等により得られる造粒品、打錠成形等により得られる錠剤、及びカプセル剤等が挙げられる。
上記のように、本発明のアディポネクチン分泌促進剤等の形態は特に限定されないが、この形態はカプセル剤であることが好ましい。また、カプセル剤にはハードカプセル剤とソフトカプセル剤とがあるが、アディポネクチン分泌促進剤等が小腸内で効率よく吸収されるためにはソフトカプセル剤が好ましい。また、ハードカプセル剤である場合は、口や胃で溶解せず、小腸に到達してから溶解するようなコーティングが施されたハードカプセル剤であることが好ましい。このように形態がカプセル剤である場合、容易に腸溶性製剤とすることができる。
ハードカプセルは、打錠成形等により形成され、一端が閉じた2個の円筒体の各々の開口側の端縁部が重ね合わせられた構造になっている。そして、両端側を軽く引っ張ると2個の円筒体が分割され、通常、寸法が短い円筒体をキャップ、長い円筒体をボディという。また、多くのハードカプセルではキャップとボディとの結合性を高めるために、それぞれの開口側の端縁部の一方の内面に凹状の溝部、他方の外面に凸状の帯部が形成されており、ボディにキャップを被せて両端を軽く押すと、帯部が溝部に嵌ってロックされ、キャップとボディとが外れなくなる構造になっている。本発明では、このような一般的なハードカプセル剤を、形状及び寸法等、特に限定されることなく用いることができる。
更に、アディポネクチン分泌促進剤等がソフトカプセル剤の形態である場合、このソフトカプセル剤は、例えば、以下のようにして製造することができる。
ロータリー式製法の場合、一組の円筒型成形ダイロールの両側からゼラチンフィルム等が供給され、この2枚のゼラチンフィルム等の間に、ダイロールの上方に配置され、各々の成分が収容された容器から、定量ポンプ等によりそれぞれ所定量の成分が供給されて充填され、その後、ダイロール間で圧着されることにより、2枚のゼラチンフィルム等が接着され、連続的にソフトカプセル剤を製造することができる。
この方法では、ダイロールに設けられた凹部の形状及び寸法により、所定の形状及び寸法を有するカプセルと、このカプセルに充填された所定量の内容物とからなるソフトカプセル剤とすることができる。
ロータリー式製法の場合、一組の円筒型成形ダイロールの両側からゼラチンフィルム等が供給され、この2枚のゼラチンフィルム等の間に、ダイロールの上方に配置され、各々の成分が収容された容器から、定量ポンプ等によりそれぞれ所定量の成分が供給されて充填され、その後、ダイロール間で圧着されることにより、2枚のゼラチンフィルム等が接着され、連続的にソフトカプセル剤を製造することができる。
この方法では、ダイロールに設けられた凹部の形状及び寸法により、所定の形状及び寸法を有するカプセルと、このカプセルに充填された所定量の内容物とからなるソフトカプセル剤とすることができる。
ソフトカプセル剤はシームレス式製法により製造することもできる。
このシームレス式製法では、二重環状ダイの外側の流路からカプセルとなるゼラチン溶液等が供給され、内側の流路からゼラチン溶液等により形成された環状体内に定量ポンプ等によりそれぞれ所定量の成分が供給され、このようにして形成された柱状体が冷却用オイル等の冷却液中に吐出される。その後、この吐出された柱状体の径方向に間欠的に振動を与えて柱状体を切断させることにより、連続的にソフトカプセル剤を製造することができる。
この方法では、柱状体の径、振動を与える間隔等により、形成されるソフトカプセル剤の寸法を調整することができるが、形状は、通常、略球形である。また、このシームレス式製法では、カプセルに継ぎ目がないため、優れた外観を有するソフトカプセル剤とすることができる。
尚、ロータリー式製法及びシームレス式製法のいずれの場合も、形成されたソフトカプセル剤は、温湿度管理された乾燥機又は乾燥室により、カプセルに含有される水分値が規定の値となるまで乾燥される。
このシームレス式製法では、二重環状ダイの外側の流路からカプセルとなるゼラチン溶液等が供給され、内側の流路からゼラチン溶液等により形成された環状体内に定量ポンプ等によりそれぞれ所定量の成分が供給され、このようにして形成された柱状体が冷却用オイル等の冷却液中に吐出される。その後、この吐出された柱状体の径方向に間欠的に振動を与えて柱状体を切断させることにより、連続的にソフトカプセル剤を製造することができる。
この方法では、柱状体の径、振動を与える間隔等により、形成されるソフトカプセル剤の寸法を調整することができるが、形状は、通常、略球形である。また、このシームレス式製法では、カプセルに継ぎ目がないため、優れた外観を有するソフトカプセル剤とすることができる。
尚、ロータリー式製法及びシームレス式製法のいずれの場合も、形成されたソフトカプセル剤は、温湿度管理された乾燥機又は乾燥室により、カプセルに含有される水分値が規定の値となるまで乾燥される。
カプセルの形成に用いられることが多いゼラチンフィルム又はゼラチン溶液は、食品及び食品添加物の基準に適合したゼラチンを主成分とし、通常、同じく基準に適合したグリセリン及びD−ソルビトール等が配合される。また、必要に応じて天然色素等を配合することもできる。これらの各々の成分を、例えば、温水に溶解させることによりゼラチン溶液を調製することができ、この溶液を用いてゼラチンフィルムを形成することができる。
また、酵母、米胚芽油及びうこん、並びに必要に応じて配合される他の成分は、それぞれ所定量を、攪拌混合装置等を用いて混合し、得られる混合物をカプセル剤の製造に用いることができる。
上記の酵母、米胚芽油及びうこん等を含有する混合物は、通常、十分な流動性を有してはいない。そして、この流動性に乏しい混合物をカプセルに充填したのでは、容器内に十分に密に充填することができず好ましくない。また、充填された内容物が一体の固形物ではないため、ソフトカプセル剤の場合、その形状及び寸法が安定しない。従って、内容物を一体の固形物とし、形状及び寸法を安定にするための賦形剤を用いることが好ましい。
この賦形剤は特に限定されないが、例えば、食品及び食品添加物の基準に適合した植物油(米胚芽油を除く。)等を用いることができる。この植物油としては、ひまわり油、大豆油、ゴマ油、オリーブ油、やし油、パーム油、綿実油、コーン油、べに花油及びなたね油等が挙げられる。これらの植物油のうちではひまわり油が好ましい。このひまわり油にはリノール酸を多く含有するものと、オレイン酸を多く含有するものとがあり、いずれも用いることができる。このひまわり油等は、ソフトカプセル剤の製造時には液状で流動性を有するが、製造後は固化し、酵母、米胚芽油及びうこん等を含有する固形物が形成される。従って、ソフトカプセル剤の形状及び寸法を安定させることができる。
賦形剤の配合量は特に限定されないが、賦形することができる範囲で可能な限り少量用いることが好ましい。多量に用いてもソフトカプセル剤の作用、効果を特に損なうことはないが、ソフトカプセル剤1錠当たりの有効成分の含有量が少なくなるため好ましくない。賦形剤の含有量は、植物油、特にひまわり油の場合、酵母、米胚芽油、うこん及びひまわり油の合計を100質量%とした場合に、10〜25質量%、特に15〜20質量%であることが好ましい。
更に、上記の混合物は、通常、十分な流動性を有していないため、混合物の所定量を連続的に供給するのは容易ではない。また、酵母と米胚芽油とうこんとを均一に分散させ、混合させるのは容易ではない。従って、酵母、米胚芽油及びうこん等を液状体に配合し、この十分な流動性を有する液状物を2枚のゼラチンフィルム等の間、又はゼラチン溶液等により形成された環状体内に供給することが好ましい。混合物に十分な流動性を付与するための液状体は特に限定されないが、例えば、上記の植物油等を用いることができ、特にひまわり油が好ましい。このように、ひまわり油等を用いることにより、賦形剤として機能させることができるとともに、混合物に流動性を付与することができ、安定な形状及び寸法を有するソフトカプセル剤を容易に製造することができる。
カプセル剤の形状は特に限定されないが、球状及び楕円体等、及びこれらに近似の形状であることが多く、特にシームレス式製法により製造されたソフトカプセル剤は前記のように一般に球形である。カプセル剤の寸法も特に限定されないが、摂取のし易さ及び継続的な摂取等を考慮すると、その重量が150〜600mg、特に200〜500mgとなる寸法のカプセル剤であることが好ましい。
更に、安定な作用、効果を得るためには、カプセル剤1錠当たり、50〜200mg、特に70〜150mgの酵母が含有されていることがより好ましい。酵母に含有されるエルゴステロールの含有量は、酵母の種類等によりばらつきがあるが、通常、酵母1g当たり2〜4mgであり、カプセル剤1錠当たり50〜200mgの酵母が含有されておれば、カプセル剤1錠当たり100〜800μgのエルゴステロールを含有させることができ、十分なアディポネクチン分泌促進等の作用、効果が得られる。
また、安定な作用、効果を得るためには、カプセル剤1錠当たり、30〜150mg、特に50〜120mgの米胚芽油が含有されていることがより好ましい。米胚芽油に含有されるγ−オリザノールの含有量にはばらつきがあるが、通常、米胚芽油1g当たり2〜4mgであり、カプセル剤1錠当たり30〜150mgの米胚芽油が含有されておれば、カプセル剤1錠当たり60μg〜600μgのγ−オリザノールを含有させることができ、十分なアディポネクチン分泌促進等の作用、効果が得られる。
更に、安定な作用、効果を得るためには、カプセル剤1錠当たり、35〜150mg、特に60〜120mgのうこんが含有されていることがより好ましい。うこんに含有されるアントシアニンの含有量は、うこんの種類等によりばらつきがあるが、通常、うこん1g当たり3〜5mgであり、カプセル剤1錠当たり35〜150mgのうこんが含有されておれば、カプセル剤1錠当たり105〜750μgのアントシアニンを含有させることができ、十分なアディポネクチン分泌促進等の作用、効果が得られる。また、うこんの含有量が上記の範囲であれば、同時に所要量のα−ピネン類を含有するカプセル剤とすることができる。
尚、うこんの抽出液をそのまま用いる場合は、液状のアディポネクチン分泌促進剤等とすることができ、この場合、うこんの種類及び抽出条件等にもよるが、1回に飲用するアディポネクチン分泌促進剤等に150〜400mg、特に180〜350mgの抽出液が含有されることが好ましい。
尚、うこんの抽出液をそのまま用いる場合は、液状のアディポネクチン分泌促進剤等とすることができ、この場合、うこんの種類及び抽出条件等にもよるが、1回に飲用するアディポネクチン分泌促進剤等に150〜400mg、特に180〜350mgの抽出液が含有されることが好ましい。
本発明のアディポネクチン分泌促進剤及び本発明の他のアディポネクチン分泌促進剤、並びに本発明の中性脂肪減少剤、抗肥満剤、飲食品添加剤及び機能性食品は、アディポネクチン分泌促進等が阻害されない限り、その他の物質を含んでいてもよい。例えば、従来より薬剤、飲食品等に添加されている公知の物質を配合することができる。具体的には、例えば、界面活性剤、油剤、アルコール、pH調整剤、防腐剤、酸化防止剤、増粘剤、色素、香料等の1種又は2種以上を必要に応じて適宜配合してもよい。例えば、本発明のアディポネクチン分泌促進剤等が粉末品、造粒品の場合、製造における計量を容易にするために、ラクトース、デキストロース、サッカロース、セルロース、トウモロコシ澱粉及びジャガイモ澱粉等の増量剤等を添加することができる。また、シリカ、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム及びポリエチレングリコール等の滑沢剤、デンプン、アラビアゴム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びポリビニルピロリジン等の結合剤、デンプン、アルギン酸、アルギン酸塩、及びグリコール酸デンプンナトリウム等の崩壊剤、発泡剤、色素、甘味料、例えばレシチン、ポリソルベート、ラウリル硫酸塩等の湿潤剤、及び一般に非毒性で医薬的処方に用いられる薬学的に非活性な物質を含んでいてもよい。その他の薬効成分を含んでいてもよい。
以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。
ロータリー式のソフトカプセル製造装置を用いてソフトカプセル剤を製造した。
食品及び食品添加物の基準に適合した牛ゼラチン、グリセリン及びD−ソルビトールを含有する混合物を用いて成形された2枚のゼラチンフィルムを、一組の円筒型成形ダイロールの両側から供給し、この2枚のゼラチンフィルムの間に、ダイロールの上方に配置された容器から、定量ポンプにより、質量比で、ビール酵母:米胚芽油:黒うこん:ひまわり油=1:0.75:0.75:0.50となる混合物を供給し、連続的にソフトカプセル剤を製造した。
ロータリー式のソフトカプセル製造装置を用いてソフトカプセル剤を製造した。
食品及び食品添加物の基準に適合した牛ゼラチン、グリセリン及びD−ソルビトールを含有する混合物を用いて成形された2枚のゼラチンフィルムを、一組の円筒型成形ダイロールの両側から供給し、この2枚のゼラチンフィルムの間に、ダイロールの上方に配置された容器から、定量ポンプにより、質量比で、ビール酵母:米胚芽油:黒うこん:ひまわり油=1:0.75:0.75:0.50となる混合物を供給し、連続的にソフトカプセル剤を製造した。
得られたソフトカプセル剤の形状は楕円体であり、内容物の重量が300mgとなるように充填した。即ち、個々のソフトカプセル剤には、ビール酵母100mg、米胚芽油75mg、黒うこん75mg及びひまわり油50mgが含有されており、固形化したひまわり油に各々の成分が分散された形態で一体に賦形化されており、内容物はゼラチンフィルムからなるカプセル内に隙間なく密に充填されていた。
実施例1
上記のようにして製造したソフトカプセル剤を、身長168cm、体重98kg、白色脂肪率29.5%の被験者に、1日に2回(朝食前及び夕食前)、1回につき3錠(1日当たり合計6錠)、10日間毎日飲用させた。その結果、10日後の体重は96kgに減少し、白色脂肪率は27.4%に減少していた。また、飲用前に1.67μg/mlであった血中アディポネクチン濃度は10日後には2.10μg/mlに上昇していた。更に、飲用前に271mg/dlであった血中中性脂肪濃度は10日後には157mg/dlに減少していた。また、マクロファージ細胞の活性化等により産生される炎症性サイトカインであるTNF−αは、飲用前1.13pg/mlであった血中濃度が、10日後には1.01pg/mlにまで低下していた。
上記のようにして製造したソフトカプセル剤を、身長168cm、体重98kg、白色脂肪率29.5%の被験者に、1日に2回(朝食前及び夕食前)、1回につき3錠(1日当たり合計6錠)、10日間毎日飲用させた。その結果、10日後の体重は96kgに減少し、白色脂肪率は27.4%に減少していた。また、飲用前に1.67μg/mlであった血中アディポネクチン濃度は10日後には2.10μg/mlに上昇していた。更に、飲用前に271mg/dlであった血中中性脂肪濃度は10日後には157mg/dlに減少していた。また、マクロファージ細胞の活性化等により産生される炎症性サイトカインであるTNF−αは、飲用前1.13pg/mlであった血中濃度が、10日後には1.01pg/mlにまで低下していた。
実施例2
上記のようにして製造したソフトカプセル剤を、身長167cm、体重66kg、白色脂肪率24.7%の被験者に、1日に2回(朝食前及び夕食前)、1回につき3錠(1日当たり合計6錠)、10日間毎日飲用させた。その結果、体重及び白色脂肪率に変化はなかったが、飲用前に1.53μg/mlであった血中アディポネクチン濃度は10日後には1.89μg/mlに上昇していた。また、飲用前に242mg/dlであった血中中性脂肪濃度は10日後には175mg/dlに減少していた。更に、飲用前に13.6u/mlであった酸化LDLは10日後には9.2u/mlに減少していた。また、TNF−αは、飲用前及び10日後ともに0.55pg/mlであり、変化はなかった。
上記のようにして製造したソフトカプセル剤を、身長167cm、体重66kg、白色脂肪率24.7%の被験者に、1日に2回(朝食前及び夕食前)、1回につき3錠(1日当たり合計6錠)、10日間毎日飲用させた。その結果、体重及び白色脂肪率に変化はなかったが、飲用前に1.53μg/mlであった血中アディポネクチン濃度は10日後には1.89μg/mlに上昇していた。また、飲用前に242mg/dlであった血中中性脂肪濃度は10日後には175mg/dlに減少していた。更に、飲用前に13.6u/mlであった酸化LDLは10日後には9.2u/mlに減少していた。また、TNF−αは、飲用前及び10日後ともに0.55pg/mlであり、変化はなかった。
実施例3
実施例1、2の被験者に加えて更に6名の被験者(合計8名)に、実施例1、2と同様にしてソフトカプセル剤を飲用させた。その結果、
(1)血中アディポネクチン濃度
飲用10日後で8名の被験者のうちの7名(78.5%)に血中アディポネクチン濃度の上昇がみられ、上昇値の平均値は0.39μg/mlであった。また、30日間飲用を継続した場合、飲用10日後の時点に比べて、8名の被験者のうちの4名(50%)に血中アディポネクチン濃度の上昇がみられ、飲用前に比べると、8名の被験者のうちの6名(75%)に血中アディポネクチン濃度の上昇がみられた。このときの上昇値の平均値は0.70μg/mlであり、飲用前の8名の被験者の血中アディポネクチン濃度の平均値と比較した場合、飲用30日後には濃度が平均で13%上昇していることになる。
(2)血中中性脂肪濃度
飲用前の8名の被験者の血中中性脂肪濃度は平均値で201mg/dlであり、飲用10日後で8名の被験者のうちの7名(78.5%)に減少がみられ、その平均値は135.6mg/dlで約33%の減少であった。また、30日間継続飲用の後では8名の被験者のうちの6名(75%)に減少がみられ、その平均値は139.6mg/dlで約31%の減少であった。このように、継続飲用による中性脂肪の著しい減少はみられず、このソフトカプセル剤は恒常的に飲用しても何ら問題ないことが裏付けられている。
(3)白色脂肪率
飲用前の8名の被験者の白色脂肪率は平均値で28.4%であり、飲用10後で8名の被験者のうちの6名(75%)に減少がみられ、その平均値は27.8%であった。
実施例1、2の被験者に加えて更に6名の被験者(合計8名)に、実施例1、2と同様にしてソフトカプセル剤を飲用させた。その結果、
(1)血中アディポネクチン濃度
飲用10日後で8名の被験者のうちの7名(78.5%)に血中アディポネクチン濃度の上昇がみられ、上昇値の平均値は0.39μg/mlであった。また、30日間飲用を継続した場合、飲用10日後の時点に比べて、8名の被験者のうちの4名(50%)に血中アディポネクチン濃度の上昇がみられ、飲用前に比べると、8名の被験者のうちの6名(75%)に血中アディポネクチン濃度の上昇がみられた。このときの上昇値の平均値は0.70μg/mlであり、飲用前の8名の被験者の血中アディポネクチン濃度の平均値と比較した場合、飲用30日後には濃度が平均で13%上昇していることになる。
(2)血中中性脂肪濃度
飲用前の8名の被験者の血中中性脂肪濃度は平均値で201mg/dlであり、飲用10日後で8名の被験者のうちの7名(78.5%)に減少がみられ、その平均値は135.6mg/dlで約33%の減少であった。また、30日間継続飲用の後では8名の被験者のうちの6名(75%)に減少がみられ、その平均値は139.6mg/dlで約31%の減少であった。このように、継続飲用による中性脂肪の著しい減少はみられず、このソフトカプセル剤は恒常的に飲用しても何ら問題ないことが裏付けられている。
(3)白色脂肪率
飲用前の8名の被験者の白色脂肪率は平均値で28.4%であり、飲用10後で8名の被験者のうちの6名(75%)に減少がみられ、その平均値は27.8%であった。
尚、本発明においては、前記具体的実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。例えば、本発明のアディポネクチン分泌促進剤を含有するソフトカプセル剤によれば、上記のように中性脂肪の減少、LDLの酸化の抑制及び白色脂肪の減少の作用、効果が得られるため、特に白色脂肪の増加を主たる要因とする疾病概念である、所謂、メタボリックシンドロームの予防、改善の作用、効果が期待される。
本発明のアディポネクチン分泌促進剤及び本発明の他のアディポネクチン分泌促進剤は、脂肪細胞からより多くのアディポネクチンの分泌を促進することができる。そのため、アディポネクチンの分泌低下がもたらすと考えられる肥満、あるいは各種疾患、例えば、動脈硬化等の各種循環器系疾患などの生活習慣病の予防、改善に利用することができる。また、本発明の中性脂肪減少剤及び抗肥満剤もまた、アディポネクチンの分泌低下がもたらすと考えられる肥満、あるいは各種疾患、例えば、動脈硬化等の各種循環器系疾患などの生活習慣病の予防、改善に利用することができる。更に、本発明の飲食品添加剤及び機能性食品は、日常の食生活を通じてアディポネクチンの分泌低下がもたらすと考えられる肥満、あるいは動脈硬化等の各種循環器系疾患などの生活習慣病の予防、改善を図ることができることから、広く飲食品分野において利用することができる。
Claims (9)
- エルゴステロールを含む酵母、米胚芽油及びうこんを含有することを特徴とするアディポネクチン分泌促進剤。
- 上記エルゴステロールを含む酵母がビール酵母である請求項1記載のアディポネクチン分泌促進剤。
- 上記酵母、上記米胚芽油及び上記うこんの含有量の合計を100質量%とした場合、該酵母の含有量は30〜50質量%、該米胚芽油の含有量は20〜40質量%、該うこんの含有量は20〜40質量%である請求項1又は2記載のアディポネクチン分泌促進剤。
- 有効成分としてエルゴステロール、γ−オリザノール、ピネン類及びアントシアニンを含有することを特徴とするアディポネクチン分泌促進剤。
- 腸溶性製剤である請求項1乃至4のいずれかに記載のアディポネクチン分泌促進剤。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載のアディポネクチン分泌促進剤を含有することを特徴とする中性脂肪減少剤。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載のアディポネクチン分泌促進剤を含有することを特徴とする抗肥満剤。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載のアディポネクチン分泌促進剤を含有することを特徴とする飲食品添加剤。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載のアディポネクチン分泌促進剤を含有することを特徴とする機能性食品。
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