以下、図面を参照しながら、本発明の例を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
1. 概要
本発明の例に関わるプログラマブル論理回路では、入力信号を与えている状態で、スピントランジスタにスピン注入電流を流した後に、出力信号の検証を行い、論理の再構成が完了したか否かを判断する。
このように、スピン注入電流による書き込み(論理の再構成)と再構成された論理の検証とを同時に行うことにより、従来、書き込みのために必要であったスピントランジスタの入力端子に接続するスイッチ素子を省略でき、配線の単純化と再構成の短時間化(容易化)を実現できる。
本発明の例に関わるプログラマブル論理回路では、複数の基本ユニットを組み合わせ、複数の基本ユニット内のスピントランジスタに同時にスピン注入電流を流すことにより、論理の再構成を行う。
このように、複数の基本ユニットに対して論理の再構成を同時に行うことによっても、従来、書き込みのために必要であったスピントランジスタの入力端子に接続するスイッチ素子を省略でき、配線の単純化と再構成の短時間化(容易化)を実現できる。
本発明の例に関わるプログラマブル論理回路の再構成方法では、入力信号の論理値を決定し、入力信号を印加した状態で、複数の基本ユニット内のスピントランジスタにスピン注入電流を流した後に、プログラマブル論理回路の出力信号の論理値の検証を行う。
これにより、論理回路の詳細な設計をしなくても、必要な論理を得ることができるため、設計の手間と時間を大幅に削減できる。また、ハードウエアの一部に欠陥があっても、その欠陥に影響されないように論理回路を再構成できるため、不良箇所を特定する必要がなく、不良箇所の特定に要していた手間と時間をなくすことができる。
以上のようなプログラマブル論理回路及びその再構成方法によれば、従来、書き込みのためだけに必要であったスイッチ素子を省略できるため、プログラマブル論理回路全体としての回路面積が小さくなり、論理回路の高集積化にも貢献できる。
また、書き込み信号を用いて基本ユニットの選択を行うことで、基本ユニット単位で論理の再構成を行うことができる。これにより、従来のプログラマブル論理回路による論理の再構成に比べて、1つのハードウエアにより実現できる論理回路の種類が増加し、論理回路の設計の手間をさらに軽減できる。
2. 実施の形態
最良と思われるいくつかの実施の形態について説明する。
(1) 第1の実施の形態
A. 回路
図1は、第1の実施の形態に関わるプログラマブル論理回路の基本ユニットを示している。
このプログラマブル論理回路は、3つのトランジスタSP,SN,T1と、1つの抵抗素子R1とから構成される。
トランジスタSP,SNは、電源端子(電源ノード)N1,N2の間に直列接続される。電源端子N1,N2には、異なる電位V1,V2が印加される。例えば、電源端子N1に印加される電位V1は、電源電位Vdd及び接地電位Vssのうちの1つであり、電源端子N2に印加される電位V2は、電源電位Vdd及び接地電位Vssのうちの他の1つである。
トランジスタSPは、スピントランジスタであり、磁化方向が固定される磁気固着層と磁化方向が変化する磁気記録層とを備える。トランジスタSPのコンダクタンスは、磁気固着層の磁化方向と磁気記録層の磁化方向との相対関係に応じて変化する。
トランジスタSPは、オン時にP型のチャネルが形成されるPチャネルMISFETである。従って、トランジスタSPは、N型の半導体領域内に形成される。トランジスタSPのチャネルの上部には、フローティング状態の第1のゲート電極(フローティングゲート電極)が配置され、第1のゲート電極の上部には、第2のゲート電極が配置される。
トランジスタSNは、オン時にN型のチャネルが形成されるNチャネルMISFETである。従って、トランジスタSNは、P型の半導体領域内に形成される。トランジスタSNのコンダクタンスは、トランジスタSPのコンダクタンスの最大値と最小値との間の値に設定される。
例えば、トランジスタSPの磁化状態、即ち、磁気固着層の磁化方向と磁気記録層の磁化方向との相対関係が、パラレル状態のときのコンダクタンスGmを100(最大値)とし、アンチパラレル状態のときのコンダクタンスGmを1(最小値)とした場合、トランジスタSNのコンダクタンスGmは、10に設定される。
トランジスタSNのチャネルの上部には、第1のゲート電極に接続されるフローティング状態の第3のゲート電極(フローティングゲート電極)が配置され、第3のゲート電極の上部には、第4のゲート電極が配置される。
従って、トランジスタSPの第2のゲート電極に入力される入力信号(論理値“0”又は“1”)をAとし、トランジスタSNの第4のゲート電極に入力される入力信号(論理値“0”又は“1”)をBとすると、フローティング状態の第1及び第3のゲート電極の電位Vfgは、(A+B)/2で表すことができる。
トランジスタT1と抵抗素子R1は、電源端子(電源ノード)N3と出力ノードO1との間に直列接続される。電源端子N3には、電位V2が印加される。出力ノードO1は、2つのトランジスタSP,SNの接続点であり、出力信号Y(=Vout)は、出力ノードO1から出力される。
トランジスタT1は、オン時にN型のチャネルが形成されるNチャネルMISFETである。但し、これに代えて、オン時にP型のチャネルが形成されるPチャネルMISFETをトランジスタT1として使用してもよい。トランジスタT1のゲート電極には、論理の再構成を行うときの制御信号となる書き込み信号Wが入力される。
図2及び図3のプログラマブル論理回路は、図1のプログラマブル論理回路の変形例である。
図2及び図3では、共に、トランジスタSNがスピントランジスタから構成される。その他の点については、図1と同じである。
トランジスタSNは、磁化方向が固定される磁気固着層と磁化方向が変化する磁気記録層とを備える。
図2では、トランジスタSNの磁化状態、即ち、磁気固着層の磁化方向と磁気記録層の磁化方向との相対関係は、パラレル状態(コンダクタンスGm=10)に固定され、図3では、トランジスタSNの磁化状態は、アンチパラレル状態(コンダクタンスGm=10)に固定される。
図1乃至図3に示すプログラマブル論理回路は、初期状態において、入力信号(論理値)A,Bに対して出力信号(論理値)Yとなる特定の論理を構成するように設定される。
そして、このようなプログラマブル論理回路の再構成を行うときは、トランジスタSP,SNに入力信号A,Bを与え、電源端子N1,N2,N3に電位V1,V2を与え、書き込み信号Wを“H”にする。
この後、電源端子N1,N3の間にスピン注入電流を流した後に、入力信号A,Bに対する出力信号Yの検証を行う。
スピン注入電流によりトランジスタSPの磁気記録層の磁化状態が変化してないときは、入力信号A,Bに対する出力信号Yが初期状態のままであるため、論理の再構成が未完了と判断する。
また、スピン注入電流に関する条件を変えて、再度、電源端子N1,N3の間にスピン注入電流を流し、スピン注入電流を流した後に、入力信号A,Bに対する出力信号Yの検証を行う。
スピン注入電流によりトランジスタSPの磁気記録層の磁化状態が変化したときは、入力信号A,Bに対して所望の出力信号Yが得られるため、論理の再構成が完了したと判断する。
B. デバイス構造の例1
第1の実施の形態に関わるプログラマブル論理回路のデバイス構造の例について説明する。ここでは、図1乃至図3のプログラマブル論理回路のうち、図2をデバイス化した場合の構造を例にとる。
図4は、デバイス構造の平面図を示し、図5は、図4のV−V線に沿う断面図を示している。
このデバイスの特徴は、第一に、2つのトランジスタSP,SNが共にMOS型のスピントランジスタである点、第二に、強磁性体によりトランジスタSP,SNのソース・ドレインが形成されると共に、両トランジスタSP,SNのドレインが共有化される点、第三に、トランジスタSP,SNがスタックゲート構造を有し、フローティングゲート電極が互いに接続される点にある。
半導体基板10内には、例えば、STI構造の素子分離絶縁層17が形成される。また、素子分離絶縁層17により取り囲まれた素子領域内には、N型ウェル領域10a及びP型ウェル領域10bが形成される。
N型ウェル領域10aとP型ウェル領域10bとの境界に設けられた凹部内には、磁化方向が固定されたピンド層(pinned layer)としての強磁性体12aが形成される。本例では、強磁性体12aの磁化方向は、紙面に対して右向きに固定される。強磁性体12aは、トランジスタSP,SNのドレインとして共有化される。
強磁性体12a上には、ピン層(pin layer)としての反強磁性体13が形成される。N型ウェル領域10aと強磁性体12aとの間及びP型ウェル領域10bと強磁性体12aとの間には、トンネルバリア層11aが形成される。
N型ウェル領域10aに設けられた凹部内には、磁化方向が変化するフリー層(free layer)としての強磁性体12bが形成される。本例では、強磁性体12bの残留磁化の磁化方向は、紙面に対して、右向き又は左向きになる。強磁性体12bは、トランジスタSPのソースとなる。
N型ウェル領域10aと強磁性体12bとの間には、トンネルバリア層11bが形成される。
P型ウェル領域10bに設けられた凹部内には、磁化方向が固定されるピンド層としての強磁性体12b’が形成される。本例では、強磁性体12b’の磁化方向は、紙面に対して右向きに固定される。強磁性体12b’は、トランジスタSNのソースとなる。
強磁性体12b’上には、ピン層としての反強磁性体13が形成される。P型ウェル領域10bと強磁性体12b’との間には、トンネルバリア層11bが形成される。
強磁性体12a,12bの間のチャネル上には、例えば、酸化シリコンから構成されるゲート絶縁層を介してフローティングゲート電極FGが形成される。フローティングゲート電極FGは、例えば、不純物を含んだ導電性ポリシリコンから構成される。
フローティングゲート電極FG上には、例えば、ONO(oxide/nitride/oxide)から構成される絶縁層(IPD: inter-polysilicon dielectric)を介してゲート電極が形成される。ゲート電極には、入力信号Aが入力される。
強磁性体12a,12b’の間のチャネル上には、例えば、酸化シリコンから構成されるゲート絶縁層を介してフローティングゲート電極FGが形成される。フローティングゲート電極FGは、例えば、不純物を含んだ導電性ポリシリコンから構成される。
フローティングゲート電極FG上には、例えば、ONOから構成される絶縁層を介して、入力信号Bが入力されるゲート電極が形成される。
トランジスタSPのソースとしての強磁性体12bは、電源電位V1が印加される電源端子N1に接続される。トランジスタSNのソースとしての強磁性体12b’は、電源電位V2が印加される電源端子N2に接続される。
トランジスタSP,SNのドレインとしての強磁性体12aは、出力ノードO1に接続される。出力ノードO1と電源端子N3との間には、書き込み信号Wによりオン/オフが制御されるトランジスタT1及び抵抗素子R1が接続される。電源端子N3には、電源電位V2が印加される。
尚、トランジスタSP,SNに関し、トンネルバリア層11a,11bのうちの1つ又は両方を省略してもよい。
また、電源端子N3の電位については、電源端子N2の電位V2と同じにしているが、その他の電位に設定してもよい。
C. 再構成の例1
図4及び図5の構造を有するプログラマブル論理回路に対する論理の再構成の例について説明する。
初期状態においては、トランジスタSPの磁化状態は、アンチパラレル状態に設定される。即ち、強磁性体12bの残留磁化の磁化方向は、紙面に対して左向きに設定される。この場合、図2に示すように、トランジスタSP,SNのコンダクタンスGmの比は、1:10になる。
従って、入力信号(論理値)A,Bと出力信号Y(=Vout)との関係は、表1に示すようになる。
つまり、初期状態におけるプログラマブル論理回路の論理は、NORとなっており、図4及び図5のデバイスの等価回路は、図6に示すように、NORゲートのシンボルとなる。
もし、図4及び図5のデバイスをNORゲートとして使用する場合には、論理の再構成を行う必要はないため、書き込み信号Wは、“L”のままとする。
もし、図4及び図5のデバイスをNANDゲートとして使用する場合には、書き込み信号Wを“H”にして、以下のように、論理の再構成を行う。
書き込み信号Wを“H”にした状態で、電源端子N1,N2,N3にそれぞれ電源電位V1(=Vdd),V2(=Vss),V2(=Vss)を与えると、スピン注入電流(電流パルス)は、図5に示すように、フリー層としての強磁性体12bからピンド層としての強磁性体12aに向かって流れる。
この時、強磁性体12aは、紙面に対して右向きにスピン偏極された電子のみを通過させるスピンフィルタとして作用し、このスピン偏極された電子は、フリー層としての強磁性体12b内の電子にスピントルクを与える。このため、強磁性体12bの磁化方向は、紙面に対して左向き(アンチパラレル状態)から紙面に対して右向き(パラレル状態)に変化する。
すると、図2に示すように、トランジスタSP,SNのコンダクタンスGmの比は、100:10になる。
従って、入力信号(論理値)A,Bと出力信号Y(=Vout)との関係は、表2に示すようになる。
つまり、プログラマブル論理回路の論理は、NANDとなり、図4及び図5のデバイスの等価回路は、図6に示すように、NANDゲートのシンボルとなる。
このように、書き込み信号Wにより、プログラマブル論理回路の論理を、NORゲートからNANDゲートに再構成することができる。
ここで、論理の再構成が完了したか否かを検証する必要がある。
本例では、書き込み(論理の再構成)と論理の検証とを同時に行う。
電源端子N1,N2,N3に電源電位V1,V2,V2を与え、書き込み信号Wを“H”にし、入力信号(論理値)A,Bを与えた状態で、スピン注入電流(電流パルス)を流すと、再構成した論理に応じた出力信号Y(=Vout)を得ることができる。
従って、出力信号Yの論理値を確認することにより、論理の検証を行うことができる。
例えば、入力信号A,Bと出力信号Yとの関係が表1に示す関係にあるとき、及び、入力信号A,Bの4つの組み合わせの全てについて、出力信号Yが表2に示す関係を有していないときには、再構成が完了していないと判断できる。
また、入力信号A,Bの4つの組み合わせの全てについて、出力信号Yが表2に示す関係を有しているときには、再構成が完了したと判断できる。
尚、再構成を完了した後に、再び、初期状態の論理に戻したい(リセット動作)という要望があったときは、トランジスタSPに流れるスピン注入電流の向きを変えるための回路を別途設ければよい。
但し、このようなリセット機能は、回路の複雑化を招くため、ユーザの要望に応じて採用の可否を決定するのが好ましい。
D. デバイス構造の例2
引き続き、第1の実施の形態に関わるプログラマブル論理回路のデバイス構造の例について説明する。ここでは、図1乃至図3のプログラマブル論理回路のうち、図1をデバイス化した場合の構造を例にとる。
図7は、デバイス構造の平面図を示し、図8は、図7のVIII−VIII線に沿う断面図を示している。
半導体基板10内には、例えば、STI構造の素子分離絶縁層17が形成される。また、素子分離絶縁層17により取り囲まれた素子領域内には、N型ウェル領域10a及びP型ウェル領域10bが形成される。
N型ウェル領域10aに設けられた2つの凹部のうちの1つ内には、磁化方向が固定されたピンド層としての強磁性体12aが形成され、他の1つ内には、磁化方向が変化するフリー層としての強磁性体12bが形成される。
本例では、強磁性体12aの磁化方向は、紙面に対して右向きに固定され、強磁性体12bの残留磁化の磁化方向は、紙面に対して、右向き又は左向きになる。
強磁性体12a上には、ピン層としての反強磁性体13が形成される。N型ウェル領域10aと強磁性体12a,12bとの間には、トンネルバリア層11a,11bが形成される。
強磁性体12aは、トランジスタSPのソースとなり、強磁性体12bは、トランジスタSPのドレインとなる。
P型ウェル領域10b内には、N型ソース領域12c及びN型ドレイン領域12dが形成される。
強磁性体12a,12bの間のチャネル上には、例えば、酸化シリコンから構成されるゲート絶縁層を介してフローティングゲート電極FGが形成される。フローティングゲート電極FGは、例えば、不純物を含んだ導電性ポリシリコンから構成される。
フローティングゲート電極FG上には、例えば、ONOから構成される絶縁層を介してゲート電極が形成される。ゲート電極には、入力信号Aが入力される。
ソース/ドレイン領域12c,12dの間のチャネル上には、例えば、酸化シリコンから構成されるゲート絶縁層を介してフローティングゲート電極FGが形成される。フローティングゲート電極FGは、例えば、不純物を含んだ導電性ポリシリコンから構成される。
フローティングゲート電極FG上には、例えば、ONOから構成される絶縁層を介して、入力信号Bが入力されるゲート電極が形成される。
トランジスタSPのソースとしての強磁性体12aは、電源電位V1が印加される電源端子N1に接続される。トランジスタSNのソース領域12cは、電源電位V2が印加される電源端子N2に接続される。
トランジスタSPのドレインとしての強磁性体12b及びトランジスタSNのドレイン領域12dは、それぞれ出力ノードO1に接続される。出力ノードO1と電源端子N3との間には、書き込み信号Wによりオン/オフが制御されるトランジスタT1及び抵抗素子R1が接続される。電源端子N3には、電源電位V2が印加される。
尚、トランジスタSPに関し、トンネルバリア層11a,11bのうちの1つ又は両方を省略してもよい。
また、電源端子N3の電位については、電源端子N2の電位V2と同じにしているが、その他の電位に設定してもよい。
E. 再構成の例2
図7及び図8の構造を有するプログラマブル論理回路に対する論理の再構成の例について説明する。
初期状態においては、トランジスタSPの磁化状態は、パラレル状態に設定される。即ち、強磁性体12bの残留磁化の磁化方向は、紙面に対して右向きに設定される。この場合、図1に示すように、トランジスタSP,SNのコンダクタンスGmの比は、100:10になる。
従って、入力信号(論理値)A,Bと出力信号Y(=Vout)との関係は、表2に示すようになる。
つまり、初期状態におけるプログラマブル論理回路の論理は、NANDとなっており、図7及び図8のデバイスの等価回路は、図9に示すように、NANDゲートのシンボルとなる。
もし、図7及び図8のデバイスをNANDゲートとして使用する場合には、論理の再構成を行う必要はないため、書き込み信号Wは、“L”のままとする。
もし、図7及び図8のデバイスをNORゲートとして使用する場合には、書き込み信号Wを“H”にして、以下のように、論理の再構成を行う。
書き込み信号Wを“H”にした状態で、電源端子N1,N2,N3にそれぞれ電源電位V1(=Vdd),V2(=Vss),V2(=Vss)を与えると、スピン注入電流(電流パルス)は、図8に示すように、ピンド層としての強磁性体12aからフリー層としての強磁性体12bに向かって流れる。
この時、強磁性体12aは、紙面に対して左向きに偏極された電子を反射するスピン反射層として作用し、このスピン偏極された電子は、フリー層としての強磁性体12b内の電子にスピントルクを与える。このため、強磁性体12bの磁化方向は、紙面に対して右向き(パラレル状態)から紙面に対して左向き(アンチパラレル状態)に変化する。
すると、図1に示すように、トランジスタSP,SNのコンダクタンスGmの比は、1:10になる。
従って、入力信号(論理値)A,Bと出力信号Y(=Vout)との関係は、表1に示すようになる。
つまり、プログラマブル論理回路の論理は、NORとなり、図7及び図8のデバイスの等価回路は、図9に示すように、NORゲートのシンボルとなる。
このように、書き込み信号Wにより、プログラマブル論理回路の論理を、NANDゲートからNORゲートに再構成することができる。
ここで、再構成の例1と同様に、論理の検証は、書き込み(論理の再構成)と同時に行うことができる。
F. 再構成の原理
図1乃至図3のプログラマブル論理回路の再構成の原理を説明する。
図10は、フローティングゲート電位Vfgと出力信号Y(=Vout)との関係を示している。
トランジスタSP,SNのフローティングゲート電極は共通である。このため、フローティングゲート電位Vfgは、入力信号A,Bの平均値となる。
例えば、入力信号A,Bが共に“1(=Vdd)”のときは、フローティングゲート電位Vfgも、“1”になる。また、入力信号A,Bが共に“0(=Vss)”のときは、フローティングゲート電位Vfgも、“0”になる。
入力信号A,Bの一方が“1(=Vdd)”、他方が“0(=Vss)”のときは、フローティングゲート電位Vfgは、“1/2(=(Vdd+Vss)/2)”になる。
ここで、トランジスタSNのコンダクタンスGmの値を、トランジスタSPのコンダクタンスGmの最大値と最小値との間の値に設定すると、トランジスタSPのコンダクタンスGmの値に応じて、フローティングゲート電位Vfgが“1/2”のときの出力信号Y(=Vout)が変化する。
これがプログラマブル論理回路の再構成の原理である。
G. まとめ
以上、説明したように、第1の実施の形態によれば、論理回路の再構成のための配線が単純で、かつ、論理回路の再構成を短時間で容易に行えるプログラマブル論理回路を実現できる。
(2) 第2の実施の形態
A. 回路
図11は、第2の実施の形態に関わるプログラマブル論理回路の基本ユニットを示している。
このプログラマブル論理回路は、3つのトランジスタSP,SN,T1と、1つの抵抗素子R1とから構成される。
トランジスタSP,SNは、電源端子(電源ノード)N1,N2の間に直列接続される。電源端子N1,N2には、異なる電位V1,V2が印加される。例えば、電源端子N1に印加される電位V1は、電源電位Vdd及び接地電位Vssのうちの1つであり、電源端子N2に印加される電位V2は、電源電位Vdd及び接地電位Vssのうちの他の1つである。
トランジスタSNは、スピントランジスタであり、磁化方向が固定される磁気固着層と磁化方向が変化する磁気記録層とを備える。トランジスタSNのコンダクタンスは、磁気固着層の磁化方向と磁気記録層の磁化方向との相対関係に応じて変化する。
トランジスタSNは、オン時にN型のチャネルが形成されるNチャネルMISFETである。従って、トランジスタSNは、P型の半導体領域内に形成される。トランジスタSNのチャネルの上部には、フローティング状態の第3のゲート電極(フローティングゲート電極)が配置され、第3のゲート電極の上部には、第4のゲート電極が配置される。
トランジスタSPは、オン時にP型のチャネルが形成されるPチャネルMISFETである。従って、トランジスタSPは、N型の半導体領域内に形成される。トランジスタSPのコンダクタンスは、トランジスタSNのコンダクタンスの最大値と最小値との間の値に設定される。
例えば、トランジスタSNの磁化状態、即ち、磁気固着層の磁化方向と磁気記録層の磁化方向との相対関係が、パラレル状態のときのコンダクタンスGmを100(最大値)とし、アンチパラレル状態のときのコンダクタンスGmを1(最小値)とした場合、トランジスタSPのコンダクタンスGmは、10に設定される。
トランジスタSPのチャネルの上部には、第3のゲート電極に接続されるフローティング状態の第1のゲート電極(フローティングゲート電極)が配置され、第1のゲート電極の上部には、第2のゲート電極が配置される。
従って、トランジスタSPの第2のゲート電極に入力される入力信号(論理値“0”又は“1”)をAとし、トランジスタSNの第4のゲート電極に入力される入力信号(論理値“0”又は“1”)をBとすると、フローティング状態の第1及び第3のゲート電極の電位Vfgは、(A+B)/2で表すことができる。
トランジスタT1と抵抗素子R1は、電源端子(電源ノード)N3と出力ノードO1との間に直列接続される。電源端子N3には、電位V1が印加される。出力ノードO1は、2つのトランジスタSP,SNの接続点であり、出力信号Y(=Vout)は、出力ノードO1から出力される。
トランジスタT1は、オン時にN型のチャネルが形成されるNチャネルMISFETである。但し、これに代えて、オン時にP型のチャネルが形成されるPチャネルMISFETをトランジスタT1として使用してもよい。トランジスタT1のゲート電極には、論理の再構成を行うときの制御信号となる書き込み信号Wが入力される。
図12及び図13のプログラマブル論理回路は、図11のプログラマブル論理回路の変形例である。
図12及び図13では、共に、トランジスタSPがスピントランジスタから構成される。その他の点については、図11と同じである。
トランジスタSPは、磁化方向が固定される磁気固着層と磁化方向が変化する磁気記録層とを備える。
図12では、トランジスタSPの磁化状態、即ち、磁気固着層の磁化方向と磁気記録層の磁化方向との相対関係は、パラレル状態(コンダクタンスGm=10)に固定され、図13では、トランジスタSPの磁化状態は、アンチパラレル状態(コンダクタンスGm=10)に固定される。
図11乃至図13に示すプログラマブル論理回路は、初期状態において、入力信号(論理値)A,Bに対して出力信号(論理値)Yとなる特定の論理を構成するように設定される。
そして、このようなプログラマブル論理回路の再構成を行うときは、トランジスタSP,SNに入力信号A,Bを与え、電源端子N1,N2,N3に電位V1,V2,V2を与え、書き込み信号Wを“H”にする。
この後、電源端子N2,N3の間にスピン注入電流を流し、その後、入力信号A,Bに対する出力信号Yの検証を行う。
スピン注入電流によりトランジスタSPの磁気記録層の磁化状態が変化してないときは、入力信号A,Bに対する出力信号Yが初期状態のままであるため、論理の再構成が未完了と判断する。
また、スピン注入電流に関する条件を変えて、再度、電源端子N2,N3の間にスピン注入電流を流し、その後、入力信号A,Bに対する出力信号Yの検証を行う。
スピン注入電流によりトランジスタSPの磁気記録層の磁化状態が変化したときは、入力信号A,Bに対して所望の出力信号Yが得られるため、論理の再構成が完了したと判断する。
B. デバイス構造の例1
第2の実施の形態に関わるプログラマブル論理回路のデバイス構造の例について説明する。ここでは、図11乃至図13のプログラマブル論理回路のうち、図12をデバイス化した場合の構造を例にとる。
図14は、デバイス構造の平面図を示し、図15は、図14のXV−XV線に沿う断面図を示している。
半導体基板10内には、例えば、STI構造の素子分離絶縁層17が形成される。また、素子分離絶縁層17により取り囲まれた素子領域内には、N型ウェル領域10a及びP型ウェル領域10bが形成される。
N型ウェル領域10aとP型ウェル領域10bとの境界に設けられた凹部内には、磁化方向が固定されたピンド層としての強磁性体12aが形成される。本例では、強磁性体12aの磁化方向は、紙面に対して右向きに固定される。強磁性体12aは、トランジスタSP,SNのドレインとして共有化される。
強磁性体12a上には、ピン層としての反強磁性体13が形成される。N型ウェル領域10aと強磁性体12aとの間及びP型ウェル領域10bと強磁性体12aとの間には、トンネルバリア層11aが形成される。
P型ウェル領域10bに設けられた凹部内には、磁化方向が変化するフリー層としての強磁性体12bが形成される。本例では、強磁性体12bの残留磁化の磁化方向は、紙面に対して、右向き又は左向きになる。強磁性体12bは、トランジスタSNのソースとなる。
P型ウェル領域10bと強磁性体12bとの間には、トンネルバリア層11bが形成される。
N型ウェル領域10aに設けられた凹部内には、磁化方向が固定されるピンド層としての強磁性体12b’が形成される。本例では、強磁性体12b’の磁化方向は、紙面に対して右向きに固定される。強磁性体12b’は、トランジスタSPのソースとなる。
強磁性体12b’上には、ピン層としての反強磁性体13が形成される。N型ウェル領域10aと強磁性体12b’との間には、トンネルバリア層11bが形成される。
強磁性体12a,12bの間のチャネル上には、例えば、酸化シリコンから構成されるゲート絶縁層を介してフローティングゲート電極FGが形成される。フローティングゲート電極FGは、例えば、不純物を含んだ導電性ポリシリコンから構成される。
フローティングゲート電極FG上には、例えば、ONOから構成される絶縁層を介してゲート電極が形成される。ゲート電極には、入力信号Bが入力される。
強磁性体12a,12b’の間のチャネル上には、例えば、酸化シリコンから構成されるゲート絶縁層を介してフローティングゲート電極FGが形成される。フローティングゲート電極FGは、例えば、不純物を含んだ導電性ポリシリコンから構成される。
フローティングゲート電極FG上には、例えば、ONOから構成される絶縁層を介して、入力信号Aが入力されるゲート電極が形成される。
トランジスタSPのソースとしての強磁性体12b’は、電源電位V1が印加される電源端子N1に接続される。トランジスタSNのソースとしての強磁性体12bは、電源電位V2が印加される電源端子N2に接続される。
トランジスタSP,SNのドレインとしての強磁性体12aは、出力ノードO1に接続される。出力ノードO1と電源端子N3との間には、書き込み信号Wによりオン/オフが制御されるトランジスタT1及び抵抗素子R1が接続される。電源端子N3には、電源電位V1が印加される。
尚、トランジスタSP,SNに関し、トンネルバリア層11a,11bのうちの1つ又は両方を省略してもよい。
また、電源端子N3の電位については、電源端子N1の電位V1と同じにしているが、その他の電位に設定してもよい。
C. 再構成の例1
図14及び図15の構造を有するプログラマブル論理回路に対する論理の再構成の例について説明する。
初期状態においては、トランジスタSNの磁化状態は、パラレル状態に設定される。即ち、強磁性体12bの残留磁化の磁化方向は、紙面に対して右向きに設定される。この場合、図12に示すように、トランジスタSN,SPのコンダクタンスGmの比は、100:10になる。
従って、入力信号(論理値)A,Bと出力信号Y(=Vout)との関係は、表3に示すようになる。
つまり、初期状態におけるプログラマブル論理回路の論理は、NORとなっており、図14及び図15のデバイスの等価回路は、図16に示すように、NORゲートのシンボルとなる。
もし、図14及び図15のデバイスをNORゲートとして使用する場合には、論理の再構成を行う必要はないため、書き込み信号Wは、“L”のままとする。
もし、図14及び図15のデバイスをNANDゲートとして使用する場合には、書き込み信号Wを“H”にして、以下のように、論理の再構成を行う。
書き込み信号Wを“H”にした状態で、電源端子N1,N2,N3にそれぞれ電源電位V1(=Vdd),V2(=Vss),V1(=Vdd)を与えると、スピン注入電流(電流パルス)は、図15に示すように、ピンド層としての強磁性体12aからフリー層としての強磁性体12bに向かって流れる。
この時、強磁性体12aは、紙面に対して左向きに偏極された電子を反射するスピン反射層として作用し、このスピン偏極された電子は、フリー層としての強磁性体12b内の電子にスピントルクを与える。このため、強磁性体12bの磁化方向は、紙面に対して右向き(パラレル状態)から紙面に対して左向き(アンチパラレル状態)に変化する。
すると、図12に示すように、トランジスタSN,SPのコンダクタンスGmの比は、1:10になる。
従って、入力信号(論理値)A,Bと出力信号Y(=Vout)との関係は、表4に示すようになる。
つまり、プログラマブル論理回路の論理は、NANDとなり、図14及び図15のデバイスの等価回路は、図16に示すように、NANDゲートのシンボルとなる。
このように、書き込み信号Wにより、プログラマブル論理回路の論理を、NORゲートからNANDゲートに再構成することができる。
尚、第1の実施の形態と同様に、論理の検証は、書き込み(論理の再構成)と同時に行うことができる。
D. デバイス構造の例2
引き続き、第2の実施の形態に関わるプログラマブル論理回路のデバイス構造の例について説明する。ここでは、図11乃至図13のプログラマブル論理回路のうち、図11をデバイス化した場合の構造を例にとる。
図17は、デバイス構造の平面図を示し、図18は、図17のXVIII−XVIII線に沿う断面図を示している。
半導体基板10内には、例えば、STI構造の素子分離絶縁層17が形成される。また、素子分離絶縁層17により取り囲まれた素子領域内には、N型ウェル領域10a及びP型ウェル領域10bが形成される。
P型ウェル領域10bに設けられた2つの凹部のうちの1つ内には、磁化方向が固定されたピンド層としての強磁性体12aが形成され、他の1つ内には、磁化方向が変化するフリー層としての強磁性体12bが形成される。
本例では、強磁性体12aの磁化方向は、紙面に対して右向きに固定され、強磁性体12bの残留磁化の磁化方向は、紙面に対して、右向き又は左向きになる。
強磁性体12a上には、ピン層としての反強磁性体13が形成される。P型ウェル領域10bと強磁性体12a,12bとの間には、トンネルバリア層11a,11bが形成される。
強磁性体12aは、トランジスタSNのソースとなり、強磁性体12bは、トランジスタSNのドレインとなる。
N型ウェル領域10a内には、P型ソース領域12c及びP型ドレイン領域12dが形成される。
強磁性体12a,12bの間のチャネル上には、例えば、酸化シリコンから構成されるゲート絶縁層を介してフローティングゲート電極FGが形成される。フローティングゲート電極FGは、例えば、不純物を含んだ導電性ポリシリコンから構成される。
フローティングゲート電極FG上には、例えば、ONOから構成される絶縁層を介してゲート電極が形成される。ゲート電極には、入力信号Bが入力される。
ソース/ドレイン領域12c,12dの間のチャネル上には、例えば、酸化シリコンから構成されるゲート絶縁層を介してフローティングゲート電極FGが形成される。フローティングゲート電極FGは、例えば、不純物を含んだ導電性ポリシリコンから構成される。
フローティングゲート電極FG上には、例えば、ONOから構成される絶縁層を介して、入力信号Aが入力されるゲート電極が形成される。
トランジスタSPのソース領域12cは、電源電位V1が印加される電源端子N1に接続される。トランジスタSNのソースとしての強磁性体12aは、電源電位V2が印加される電源端子N2に接続される。
トランジスタSPのドレイン領域12d及びトランジスタSNのドレインとしての強磁性体12bは、それぞれ出力ノードO1に接続される。出力ノードO1と電源端子N3との間には、書き込み信号Wによりオン/オフが制御されるトランジスタT1及び抵抗素子R1が接続される。電源端子N3には、電源電位V1が印加される。
尚、トランジスタSNに関し、トンネルバリア層11a,11bのうちの1つ又は両方を省略してもよい。
また、電源端子N3の電位については、電源端子N1の電位V1と同じにしているが、その他の電位に設定してもよい。
E. 再構成の例2
図17及び図18の構造を有するプログラマブル論理回路に対する論理の再構成の例について説明する。
初期状態においては、トランジスタSNの磁化状態は、アンチパラレル状態に設定される。即ち、強磁性体12bの残留磁化の磁化方向は、紙面に対して左向きに設定される。この場合、図11に示すように、トランジスタSN,SPのコンダクタンスGmの比は、1:10になる。
従って、入力信号(論理値)A,Bと出力信号Y(=Vout)との関係は、表4に示すようになる。
つまり、初期状態におけるプログラマブル論理回路の論理は、NANDとなっており、図17及び図18のデバイスの等価回路は、図19に示すように、NANDゲートのシンボルとなる。
もし、図17及び図18のデバイスをNANDゲートとして使用する場合には、論理の再構成を行う必要はないため、書き込み信号Wは、“L”のままとする。
もし、図17及び図18のデバイスをNORゲートとして使用する場合には、書き込み信号Wを“H”にして、以下のように、論理の再構成を行う。
書き込み信号Wを“H”にした状態で、電源端子N1,N2,N3にそれぞれ電源電位V1(=Vdd),V2(=Vss),V1(=Vdd)を与えると、スピン注入電流(電流パルス)は、図18に示すように、フリー層としての強磁性体12bからピンド層としての強磁性体12aに向かって流れる。
この時、強磁性体12aは、紙面に対して右向きにスピン偏極された電子のみを通過させるスピンフィルタとして作用し、このスピン偏極された電子は、フリー層としての強磁性体12b内の電子にスピントルクを与える。このため、強磁性体12bの磁化方向は、紙面に対して左向き(アンチパラレル状態)から紙面に対して右向き(パラレル状態)に変化する。
すると、図11に示すように、トランジスタSN,SPのコンダクタンスGmの比は、100:10になる。
従って、入力信号(論理値)A,Bと出力信号Y(=Vout)との関係は、表3に示すようになる。
つまり、プログラマブル論理回路の論理は、NORとなり、図17及び図18のデバイスの等価回路は、図19に示すように、NORゲートのシンボルとなる。
このように、書き込み信号Wにより、プログラマブル論理回路の論理を、NANDゲートからNORゲートに再構成することができる。
尚、第1の実施の形態と同様に、論理の検証は、書き込み(論理の再構成)と同時に行うことができる。
F. 再構成の原理
図11乃至図13のプログラマブル論理回路の再構成の原理を説明する。
図20は、フローティングゲート電位Vfgと出力信号Y(=Vout)との関係を示している。
トランジスタSPのコンダクタンスGmの値を、トランジスタSNのコンダクタンスGmの最大値と最小値との間の値に設定すると、第1の実施の形態と同様の原理で、トランジスタSNのコンダクタンスGmの値に応じて、フローティングゲート電位Vfgが“1/2”のときの出力信号Y(=Vout)が変化する。
G. まとめ
以上、説明したように、第2の実施の形態によれば、論理回路の再構成のための配線が単純で、かつ、論理回路の再構成を短時間で容易に行えるプログラマブル論理回路を実現できる。
(3) 第3の実施の形態
A. 回路
図21は、第3の実施の形態に関わるプログラマブル論理回路の基本ユニットを示している。
トランジスタSN,SPは、電源端子(電源ノード)N1,N2の間に直列接続される。電源端子N1,N2には、異なる電位V1,V2が印加される。例えば、電源端子N1に印加される電位V1は、電源電位Vdd及び接地電位Vssのうちの1つであり、電源端子N2に印加される電位V2は、電源電位Vdd及び接地電位Vssのうちの他の1つである。
トランジスタSNは、スピントランジスタであり、磁化方向が固定される磁気固着層と磁化方向が変化する磁気記録層とを備える。トランジスタSNのコンダクタンスは、磁気固着層の磁化方向と磁気記録層の磁化方向との相対関係に応じて変化する。
トランジスタSNは、オン時にN型のチャネルが形成されるNチャネルMISFETである。従って、トランジスタSNは、P型の半導体領域内に形成される。トランジスタSNのチャネルの上部には、フローティング状態の第1のゲート電極(フローティングゲート電極)が配置され、第1のゲート電極の上部には、第2のゲート電極が配置される。
トランジスタSPは、オン時にP型のチャネルが形成されるPチャネルMISFETである。従って、トランジスタSPは、N型の半導体領域内に形成される。トランジスタSPのコンダクタンスは、トランジスタSNのコンダクタンスの最大値と最小値との間の値に設定される。
例えば、トランジスタSNの磁化状態、即ち、磁気固着層の磁化方向と磁気記録層の磁化方向との相対関係が、パラレル状態のときのコンダクタンスGmを100(最大値)とし、アンチパラレル状態のときのコンダクタンスGmを1(最小値)とした場合、トランジスタSPのコンダクタンスGmは、10に設定される。
トランジスタSPのチャネルの上部には、第1のゲート電極に接続されるフローティング状態の第3のゲート電極(フローティングゲート電極)が配置され、第3のゲート電極の上部には、第4のゲート電極が配置される。
従って、トランジスタSNの第2のゲート電極に入力される入力信号(論理値“0”又は“1”)をAとし、トランジスタSPの第4のゲート電極に入力される入力信号(論理値“0”又は“1”)をBとすると、フローティング状態の第1及び第3のゲート電極の電位Vfgは、(A+B)/2で表すことができる。
トランジスタT1と抵抗素子R1は、電源端子(電源ノード)N3と出力ノードO1との間に直列接続される。電源端子N3には、電位V2が印加される。出力ノードO1は、2つのトランジスタSN,SPの接続点であり、出力信号Y(=Vout)は、出力ノードO1から出力される。
トランジスタT1は、オン時にN型のチャネルが形成されるNチャネルMISFETである。但し、これに代えて、オン時にP型のチャネルが形成されるPチャネルMISFETをトランジスタT1として使用してもよい。トランジスタT1のゲート電極には、論理の再構成を行うときの制御信号となる書き込み信号Wが入力される。
図22及び図23のプログラマブル論理回路は、図21のプログラマブル論理回路の変形例である。
図22及び図23では、共に、トランジスタSPがスピントランジスタから構成される。その他の点については、図21と同じである。
トランジスタSPは、磁化方向が固定される磁気固着層と磁化方向が変化する磁気記録層とを備える。
図22では、トランジスタSPの磁化状態、即ち、磁気固着層の磁化方向と磁気記録層の磁化方向との相対関係は、パラレル状態(コンダクタンスGm=10)に固定され、図23では、トランジスタSPの磁化状態は、アンチパラレル状態(コンダクタンスGm=10)に固定される。
図21乃至図23に示すプログラマブル論理回路は、初期状態において、入力信号(論理値)A,Bに対して出力信号(論理値)Yとなる特定の論理を構成するように設定される。
そして、このようなプログラマブル論理回路の再構成を行うときは、トランジスタSN,SPに入力信号A,Bを与え、電源端子N1,N2,N3に電位V1,V2,V2を与え、書き込み信号Wを“H”にする。
この後、電源端子N1,N3の間にスピン注入電流を流し、その後、入力信号A,Bに対する出力信号Yの検証を行う。
スピン注入電流によりトランジスタSNの磁気記録層の磁化状態が変化してないときは、入力信号A,Bに対する出力信号Yが初期状態のままであるため、論理の再構成が未完了と判断する。
また、スピン注入電流に関する条件を変えて、再度、電源端子N1,N3の間にスピン注入電流を流し、その後、入力信号A,Bに対する出力信号Yの検証を行う。
スピン注入電流によりトランジスタSNの磁気記録層の磁化状態が変化したときは、入力信号A,Bに対して所望の出力信号Yが得られるため、論理の再構成が完了したと判断する。
B. デバイス構造の例1
第3の実施の形態に関わるプログラマブル論理回路のデバイス構造の例について説明する。ここでは、図21乃至図23のプログラマブル論理回路のうち、図22をデバイス化した場合の構造を例にとる。
図24は、デバイス構造の平面図を示し、図25は、図24のXXV−XXV線に沿う断面図を示している。
半導体基板10内には、例えば、STI構造の素子分離絶縁層17が形成される。また、素子分離絶縁層17により取り囲まれた素子領域内には、N型ウェル領域10a及びP型ウェル領域10bが形成される。
N型ウェル領域10aとP型ウェル領域10bとの境界に設けられた凹部内には、磁化方向が固定されたピンド層としての強磁性体12aが形成される。本例では、強磁性体12aの磁化方向は、紙面に対して右向きに固定される。強磁性体12aは、トランジスタSN,SPのドレインとして共有化される。
強磁性体12a上には、ピン層としての反強磁性体13が形成される。N型ウェル領域10aと強磁性体12aとの間及びP型ウェル領域10bと強磁性体12aとの間には、トンネルバリア層11aが形成される。
P型ウェル領域10bに設けられた凹部内には、磁化方向が変化するフリー層としての強磁性体12bが形成される。本例では、強磁性体12bの残留磁化の磁化方向は、紙面に対して、右向き又は左向きになる。強磁性体12bは、トランジスタSNのソースとなる。
P型ウェル領域10bと強磁性体12bとの間には、トンネルバリア層11bが形成される。
N型ウェル領域10aに設けられた凹部内には、磁化方向が固定されるピンド層としての強磁性体12b’が形成される。本例では、強磁性体12b’の磁化方向は、紙面に対して右向きに固定される。強磁性体12b’は、トランジスタSPのソースとなる。
強磁性体12b’上には、ピン層としての反強磁性体13が形成される。N型ウェル領域10aと強磁性体12b’との間には、トンネルバリア層11bが形成される。
強磁性体12a,12bの間のチャネル上には、例えば、酸化シリコンから構成されるゲート絶縁層を介してフローティングゲート電極FGが形成される。フローティングゲート電極FGは、例えば、不純物を含んだ導電性ポリシリコンから構成される。
フローティングゲート電極FG上には、例えば、ONOから構成される絶縁層を介してゲート電極が形成される。ゲート電極には、入力信号Aが入力される。
強磁性体12a,12b’の間のチャネル上には、例えば、酸化シリコンから構成されるゲート絶縁層を介してフローティングゲート電極FGが形成される。フローティングゲート電極FGは、例えば、不純物を含んだ導電性ポリシリコンから構成される。
フローティングゲート電極FG上には、例えば、ONOから構成される絶縁層を介して、入力信号Bが入力されるゲート電極が形成される。
トランジスタSNのソースとしての強磁性体12bは、電源電位V1が印加される電源端子N1に接続される。トランジスタSPのソースとしての強磁性体12b’は、電源電位V2が印加される電源端子N2に接続される。
トランジスタSN,SPのドレインとしての強磁性体12aは、出力ノードO1に接続される。出力ノードO1と電源端子N3との間には、書き込み信号Wによりオン/オフが制御されるトランジスタT1及び抵抗素子R1が接続される。電源端子N3には、電源電位V2が印加される。
尚、トランジスタSN,SPに関し、トンネルバリア層11a,11bのうちの1つ又は両方を省略してもよい。
また、電源端子N3の電位については、電源端子N2の電位V2と同じにしているが、その他の電位に設定してもよい。
C. 再構成の例1
図24及び図25の構造を有するプログラマブル論理回路に対する論理の再構成の例について説明する。
初期状態においては、トランジスタSNの磁化状態は、アンチパラレル状態に設定される。即ち、強磁性体12bの残留磁化の磁化方向は、紙面に対して左向きに設定される。この場合、図22に示すように、トランジスタSN,SPのコンダクタンスGmの比は、1:10になる。
従って、入力信号(論理値)A,Bと出力信号Y(=Vout)との関係は、表5に示すようになる。
つまり、初期状態におけるプログラマブル論理回路の論理は、ANDとなっており、図24及び図25のデバイスの等価回路は、図26に示すように、ANDゲートのシンボルとなる。
もし、図24及び図25のデバイスをANDゲートとして使用する場合には、論理の再構成を行う必要はないため、書き込み信号Wは、“L”のままとする。
もし、図24及び図25のデバイスをORゲートとして使用する場合には、書き込み信号Wを“H”にして、以下のように、論理の再構成を行う。
書き込み信号Wを“H”にした状態で、電源端子N1,N2,N3にそれぞれ電源電位V1(=Vdd),V2(=Vss),V2(=Vss)を与えると、スピン注入電流(電流パルス)は、図25に示すように、フリー層としての強磁性体12bからピンド層としての強磁性体12aに向かって流れる。
この時、強磁性体12aは、紙面に対して右向きにスピン偏極された電子のみを通過させるスピンフィルタとして作用し、このスピン偏極された電子は、フリー層としての強磁性体12b内の電子にスピントルクを与える。このため、強磁性体12bの磁化方向は、紙面に対して左向き(アンチパラレル状態)から紙面に対して右向き(パラレル状態)に変化する。
すると、図22に示すように、トランジスタSN,SPのコンダクタンスGmの比は、100:10になる。
従って、入力信号(論理値)A,Bと出力信号Y(=Vout)との関係は、表6に示すようになる。
つまり、プログラマブル論理回路の論理は、ORとなり、図24及び図25のデバイスの等価回路は、図26に示すように、ORゲートのシンボルとなる。
このように、書き込み信号Wにより、プログラマブル論理回路の論理を、ANDゲートからORゲートに再構成することができる。
尚、第1の実施の形態と同様に、論理の検証は、書き込み(論理の再構成)と同時に行うことができる。
D. デバイス構造の例2
引き続き、第3の実施の形態に関わるプログラマブル論理回路のデバイス構造の例について説明する。ここでは、図21乃至図23のプログラマブル論理回路のうち、図21をデバイス化した場合の構造を例にとる。
図27は、デバイス構造の平面図を示し、図28は、図27のXXVIII−XXVIII線に沿う断面図を示している。
半導体基板10内には、例えば、STI構造の素子分離絶縁層17が形成される。また、素子分離絶縁層17により取り囲まれた素子領域内には、N型ウェル領域10a及びP型ウェル領域10bが形成される。
P型ウェル領域10bに設けられた2つの凹部のうちの1つ内には、磁化方向が固定されたピンド層としての強磁性体12aが形成され、他の1つ内には、磁化方向が変化するフリー層としての強磁性体12bが形成される。
本例では、強磁性体12aの磁化方向は、紙面に対して右向きに固定され、強磁性体12bの残留磁化の磁化方向は、紙面に対して、右向き又は左向きになる。
強磁性体12a上には、ピン層としての反強磁性体13が形成される。P型ウェル領域10bと強磁性体12a,12bとの間には、トンネルバリア層11a,11bが形成される。
強磁性体12aは、トランジスタSNのソースとなり、強磁性体12bは、トランジスタSNのドレインとなる。
N型ウェル領域10a内には、P型ソース領域12c及びP型ドレイン領域12dが形成される。
強磁性体12a,12bの間のチャネル上には、例えば、酸化シリコンから構成されるゲート絶縁層を介してフローティングゲート電極FGが形成される。フローティングゲート電極FGは、例えば、不純物を含んだ導電性ポリシリコンから構成される。
フローティングゲート電極FG上には、例えば、ONOから構成される絶縁層を介してゲート電極が形成される。ゲート電極には、入力信号Aが入力される。
ソース/ドレイン領域12c,12dの間のチャネル上には、例えば、酸化シリコンから構成されるゲート絶縁層を介してフローティングゲート電極FGが形成される。フローティングゲート電極FGは、例えば、不純物を含んだ導電性ポリシリコンから構成される。
フローティングゲート電極FG上には、例えば、ONOから構成される絶縁層を介して、入力信号Bが入力されるゲート電極が形成される。
トランジスタSNのソースとしての強磁性体12aは、電源電位V1が印加される電源端子N1に接続される。トランジスタSPのソース領域12cは、電源電位V2が印加される電源端子N2に接続される。
トランジスタSNのドレインとしての強磁性体12b及びトランジスタSPのドレイン領域12dは、それぞれ出力ノードO1に接続される。出力ノードO1と電源端子N3との間には、書き込み信号Wによりオン/オフが制御されるトランジスタT1及び抵抗素子R1が接続される。電源端子N3には、電源電位V2が印加される。
尚、トランジスタSNに関し、トンネルバリア層11a,11bのうちの1つ又は両方を省略してもよい。
また、電源端子N3の電位については、電源端子N2の電位V2と同じにしているが、その他の電位に設定してもよい。
E. 再構成の例2
図27及び図28の構造を有するプログラマブル論理回路に対する論理の再構成の例について説明する。
初期状態においては、トランジスタSNの磁化状態は、パラレル状態に設定される。即ち、強磁性体12bの残留磁化の磁化方向は、紙面に対して右向きに設定される。この場合、図21に示すように、トランジスタSN,SPのコンダクタンスGmの比は、100:10になる。
従って、入力信号(論理値)A,Bと出力信号Y(=Vout)との関係は、表6に示すようになる。
つまり、初期状態におけるプログラマブル論理回路の論理は、ORとなっており、図27及び図28のデバイスの等価回路は、図29に示すように、ORゲートのシンボルとなる。
もし、図27及び図28のデバイスをORゲートとして使用する場合には、論理の再構成を行う必要はないため、書き込み信号Wは、“L”のままとする。
もし、図27及び図28のデバイスをANDゲートとして使用する場合には、書き込み信号Wを“H”にして、以下のように、論理の再構成を行う。
書き込み信号Wを“H”にした状態で、電源端子N1,N2,N3にそれぞれ電源電位V1(=Vdd),V2(=Vss),V2(=Vss)を与えると、スピン注入電流(電流パルス)は、図28に示すように、ピンド層としての強磁性体12aからフリー層としての強磁性体12bに向かって流れる。
この時、強磁性体12aは、紙面に対して左向きに偏極された電子を反射するスピン反射層として作用し、このスピン偏極された電子は、フリー層としての強磁性体12b内の電子にスピントルクを与える。このため、強磁性体12bの磁化方向は、紙面に対して右向き(パラレル状態)から紙面に対して左向き(アンチパラレル状態)に変化する。
すると、図21に示すように、トランジスタSN,SPのコンダクタンスGmの比は、1:10になる。
従って、入力信号(論理値)A,Bと出力信号Y(=Vout)との関係は、表5に示すようになる。
つまり、プログラマブル論理回路の論理は、ANDとなり、図27及び図28のデバイスの等価回路は、図29に示すように、ANDゲートのシンボルとなる。
このように、書き込み信号Wにより、プログラマブル論理回路の論理を、ORゲートからANDゲートに再構成することができる。
尚、第1の実施の形態と同様に、論理の検証は、書き込み(論理の再構成)と同時に行うことができる。
F. 再構成の原理
図21乃至図23のプログラマブル論理回路の再構成の原理を説明する。
図30は、フローティングゲート電位Vfgと出力信号Y(=Vout)との関係を示している。
トランジスタSPのコンダクタンスGmの値を、トランジスタSNのコンダクタンスGmの最大値と最小値との間の値に設定すると、第1の実施の形態と同様の原理で、トランジスタSNのコンダクタンスGmの値に応じて、フローティングゲート電位Vfgが“1/2”のときの出力信号Y(=Vout)が変化する。
G. まとめ
以上、説明したように、第3の実施の形態によれば、論理回路の再構成のための配線が単純で、かつ、論理回路の再構成を短時間で容易に行えるプログラマブル論理回路を実現できる。
(4) 第4の実施の形態
A. 回路
図31は、第4の実施の形態に関わるプログラマブル論理回路の基本ユニットを示している。
トランジスタSN,SPは、電源端子(電源ノード)N1,N2の間に直列接続される。電源端子N1,N2には、異なる電位V1,V2が印加される。例えば、電源端子N1に印加される電位V1は、電源電位Vdd及び接地電位Vssのうちの1つであり、電源端子N2に印加される電位V2は、電源電位Vdd及び接地電位Vssのうちの他の1つである。
トランジスタSPは、スピントランジスタであり、磁化方向が固定される磁気固着層と磁化方向が変化する磁気記録層とを備える。トランジスタSPのコンダクタンスは、磁気固着層の磁化方向と磁気記録層の磁化方向との相対関係に応じて変化する。
トランジスタSPは、オン時にP型のチャネルが形成されるPチャネルMISFETである。従って、トランジスタSPは、N型の半導体領域内に形成される。トランジスタSPのチャネルの上部には、フローティング状態の第3のゲート電極(フローティングゲート電極)が配置され、第3のゲート電極の上部には、第4のゲート電極が配置される。
トランジスタSNは、オン時にN型のチャネルが形成されるNチャネルMISFETである。従って、トランジスタSNは、P型の半導体領域内に形成される。トランジスタSNのコンダクタンスは、トランジスタSPのコンダクタンスの最大値と最小値との間の値に設定される。
例えば、トランジスタSPの磁化状態、即ち、磁気固着層の磁化方向と磁気記録層の磁化方向との相対関係が、パラレル状態のときのコンダクタンスGmを100(最大値)とし、アンチパラレル状態のときのコンダクタンスGmを1(最小値)とした場合、トランジスタSNのコンダクタンスGmは、10に設定される。
トランジスタSNのチャネルの上部には、第3のゲート電極に接続されるフローティング状態の第1のゲート電極(フローティングゲート電極)が配置され、第1のゲート電極の上部には、第2のゲート電極が配置される。
従って、トランジスタSNの第2のゲート電極に入力される入力信号(論理値“0”又は“1”)をAとし、トランジスタSPの第4のゲート電極に入力される入力信号(論理値“0”又は“1”)をBとすると、フローティング状態の第1及び第3のゲート電極の電位Vfgは、(A+B)/2で表すことができる。
トランジスタT1と抵抗素子R1は、電源端子(電源ノード)N3と出力ノードO1との間に直列接続される。電源端子N3には、電位V1が印加される。出力ノードO1は、2つのトランジスタSN,SPの接続点であり、出力信号Y(=Vout)は、出力ノードO1から出力される。
トランジスタT1は、オン時にN型のチャネルが形成されるNチャネルMISFETである。但し、これに代えて、オン時にP型のチャネルが形成されるPチャネルMISFETをトランジスタT1として使用してもよい。トランジスタT1のゲート電極には、論理の再構成を行うときの制御信号となる書き込み信号Wが入力される。
図32及び図33のプログラマブル論理回路は、図31のプログラマブル論理回路の変形例である。
図32及び図33では、共に、トランジスタSNがスピントランジスタから構成される。その他の点については、図31と同じである。
トランジスタSNは、磁化方向が固定される磁気固着層と磁化方向が変化する磁気記録層とを備える。
図32では、トランジスタSNの磁化状態、即ち、磁気固着層の磁化方向と磁気記録層の磁化方向との相対関係は、パラレル状態(コンダクタンスGm=10)に固定され、図33では、トランジスタSNの磁化状態は、アンチパラレル状態(コンダクタンスGm=10)に固定される。
図31乃至図33に示すプログラマブル論理回路は、初期状態において、入力信号(論理値)A,Bに対して出力信号(論理値)Yとなる特定の論理を構成するように設定される。
そして、このようなプログラマブル論理回路の再構成を行うときは、トランジスタSN,SPに入力信号A,Bを与え、電源端子N1,N2,N3に電位V1,V2を与え、書き込み信号Wを“H”にする。
この後、電源端子N2,N3の間にスピン注入電流を流し、その後、入力信号A,Bに対する出力信号Yの検証を行う。
スピン注入電流によりトランジスタSNの磁気記録層の磁化状態が変化してないときは、入力信号A,Bに対する出力信号Yが初期状態のままであるため、論理の再構成が未完了と判断する。
また、スピン注入電流に関する条件を変えて、再度、電源端子N2,N3の間にスピン注入電流を流し、その後、入力信号A,Bに対する出力信号Yの検証を行う。
スピン注入電流によりトランジスタSNの磁気記録層の磁化状態が変化したときは、入力信号A,Bに対して所望の出力信号Yが得られるため、論理の再構成が完了したと判断する。
B. デバイス構造の例1
第4の実施の形態に関わるプログラマブル論理回路のデバイス構造の例について説明する。ここでは、図31乃至図33のプログラマブル論理回路のうち、図32をデバイス化した場合の構造を例にとる。
図34は、デバイス構造の平面図を示し、図35は、図34のXXXV−XXXV線に沿う断面図を示している。
半導体基板10内には、例えば、STI構造の素子分離絶縁層17が形成される。また、素子分離絶縁層17により取り囲まれた素子領域内には、N型ウェル領域10a及びP型ウェル領域10bが形成される。
N型ウェル領域10aとP型ウェル領域10bとの境界に設けられた凹部内には、磁化方向が固定されたピンド層としての強磁性体12aが形成される。本例では、強磁性体12aの磁化方向は、紙面に対して右向きに固定される。強磁性体12aは、トランジスタSN,SPのドレインとして共有化される。
強磁性体12a上には、ピン層としての反強磁性体13が形成される。N型ウェル領域10aと強磁性体12aとの間及びP型ウェル領域10bと強磁性体12aとの間には、トンネルバリア層11aが形成される。
N型ウェル領域10aに設けられた凹部内には、磁化方向が変化するフリー層としての強磁性体12bが形成される。本例では、強磁性体12bの残留磁化の磁化方向は、紙面に対して、右向き又は左向きになる。強磁性体12bは、トランジスタSPのソースとなる。
N型ウェル領域10aと強磁性体12bとの間には、トンネルバリア層11bが形成される。
P型ウェル領域10bに設けられた凹部内には、磁化方向が固定されるピンド層としての強磁性体12b’が形成される。本例では、強磁性体12b’の磁化方向は、紙面に対して右向きに固定される。強磁性体12b’は、トランジスタSNのソースとなる。
強磁性体12b’上には、ピン層としての反強磁性体13が形成される。P型ウェル領域10bと強磁性体12b’との間には、トンネルバリア層11bが形成される。
強磁性体12a,12bの間のチャネル上には、例えば、酸化シリコンから構成されるゲート絶縁層を介してフローティングゲート電極FGが形成される。フローティングゲート電極FGは、例えば、不純物を含んだ導電性ポリシリコンから構成される。
フローティングゲート電極FG上には、例えば、ONOから構成される絶縁層を介してゲート電極が形成される。ゲート電極には、入力信号Bが入力される。
強磁性体12a,12b’の間のチャネル上には、例えば、酸化シリコンから構成されるゲート絶縁層を介してフローティングゲート電極FGが形成される。フローティングゲート電極FGは、例えば、不純物を含んだ導電性ポリシリコンから構成される。
フローティングゲート電極FG上には、例えば、ONOから構成される絶縁層を介して、入力信号Aが入力されるゲート電極が形成される。
トランジスタSNのソースとしての強磁性体12b’は、電源電位V1が印加される電源端子N1に接続される。トランジスタSPのソースとしての強磁性体12bは、電源電位V2が印加される電源端子N2に接続される。
トランジスタSN,SPのドレインとしての強磁性体12aは、出力ノードO1に接続される。出力ノードO1と電源端子N3との間には、書き込み信号Wによりオン/オフが制御されるトランジスタT1及び抵抗素子R1が接続される。電源端子N3には、電源電位V1が印加される。
尚、トランジスタSN,SPに関し、トンネルバリア層11a,11bのうちの1つ又は両方を省略してもよい。
また、電源端子N3の電位については、電源端子N1の電位V1と同じにしているが、その他の電位に設定してもよい。
C. 再構成の例1
図34及び図35の構造を有するプログラマブル論理回路に対する論理の再構成の例について説明する。
初期状態においては、トランジスタSPの磁化状態は、パラレル状態に設定される。即ち、強磁性体12bの残留磁化の磁化方向は、紙面に対して右向きに設定される。この場合、図32に示すように、トランジスタSP,SNのコンダクタンスGmの比は、100:10になる。
従って、入力信号(論理値)A,Bと出力信号Y(=Vout)との関係は、表7に示すようになる。
つまり、初期状態におけるプログラマブル論理回路の論理は、ANDとなっており、図34及び図35のデバイスの等価回路は、図36に示すように、ANDゲートのシンボルとなる。
もし、図34及び図35のデバイスをANDゲートとして使用する場合には、論理の再構成を行う必要はないため、書き込み信号Wは、“L”のままとする。
もし、図34及び図35のデバイスをORゲートとして使用する場合には、書き込み信号Wを“H”にして、以下のように、論理の再構成を行う。
書き込み信号Wを“H”にした状態で、電源端子N1,N2,N3にそれぞれ電源電位V1(=Vdd),V2(=Vss),V1(=Vdd)を与えると、スピン注入電流(電流パルス)は、図35に示すように、ピンド層としての強磁性体12aからフリー層としての強磁性体12bに向かって流れる。
この時、強磁性体12aは、紙面に対して左向きに偏極された電子を反射するスピン反射層として作用し、このスピン偏極された電子は、フリー層としての強磁性体12b内の電子にスピントルクを与える。このため、強磁性体12bの磁化方向は、紙面に対して右向き(パラレル状態)から紙面に対して左向き(アンチパラレル状態)に変化する。
すると、図32に示すように、トランジスタSP,SNのコンダクタンスGmの比は、1:10になる。
従って、入力信号(論理値)A,Bと出力信号Y(=Vout)との関係は、表8に示すようになる。
つまり、プログラマブル論理回路の論理は、ORとなり、図34及び図35のデバイスの等価回路は、図36に示すように、ORゲートのシンボルとなる。
このように、書き込み信号Wにより、プログラマブル論理回路の論理を、ANDゲートからORゲートに再構成することができる。
D. デバイス構造の例2
引き続き、第4の実施の形態に関わるプログラマブル論理回路のデバイス構造の例について説明する。ここでは、図31乃至図33のプログラマブル論理回路のうち、図31をデバイス化した場合の構造を例にとる。
図37は、デバイス構造の平面図を示し、図38は、図37のXXXVIII−XXXVIII線に沿う断面図を示している。
半導体基板10内には、例えば、STI構造の素子分離絶縁層17が形成される。また、素子分離絶縁層17により取り囲まれた素子領域内には、N型ウェル領域10a及びP型ウェル領域10bが形成される。
N型ウェル領域10aに設けられた2つの凹部のうちの1つ内には、磁化方向が固定されたピンド層としての強磁性体12aが形成され、他の1つ内には、磁化方向が変化するフリー層としての強磁性体12bが形成される。
本例では、強磁性体12aの磁化方向は、紙面に対して左向きに固定され、強磁性体12bの残留磁化の磁化方向は、紙面に対して、右向き又は左向きになる。
強磁性体12a上には、ピン層としての反強磁性体13が形成される。N型ウェル領域10aと強磁性体12a,12bとの間には、トンネルバリア層11a,11bが形成される。
強磁性体12aは、トランジスタSPのソースとなり、強磁性体12bは、トランジスタSPのドレインとなる。
P型ウェル領域10b内には、N型ソース領域12c及びN型ドレイン領域12dが形成される。
強磁性体12a,12bの間のチャネル上には、例えば、酸化シリコンから構成されるゲート絶縁層を介してフローティングゲート電極FGが形成される。フローティングゲート電極FGは、例えば、不純物を含んだ導電性ポリシリコンから構成される。
フローティングゲート電極FG上には、例えば、ONOから構成される絶縁層を介してゲート電極が形成される。ゲート電極には、入力信号Bが入力される。
ソース/ドレイン領域12c,12dの間のチャネル上には、例えば、酸化シリコンから構成されるゲート絶縁層を介してフローティングゲート電極FGが形成される。フローティングゲート電極FGは、例えば、不純物を含んだ導電性ポリシリコンから構成される。
フローティングゲート電極FG上には、例えば、ONOから構成される絶縁層を介して、入力信号Aが入力されるゲート電極が形成される。
トランジスタSNのソース領域12cは、電源電位V1が印加される電源端子N1に接続される。トランジスタSPのソースとしての強磁性体12aは、電源電位V2が印加される電源端子N2に接続される。
トランジスタSNのドレイン領域12d及びトランジスタSPのドレインとしての強磁性体12bは、それぞれ出力ノードO1に接続される。出力ノードO1と電源端子N3との間には、書き込み信号Wによりオン/オフが制御されるトランジスタT1及び抵抗素子R1が接続される。電源端子N3には、電源電位V1が印加される。
尚、トランジスタSPに関し、トンネルバリア層11a,11bのうちの1つ又は両方を省略してもよい。
また、電源端子N3の電位については、電源端子N1の電位V1と同じにしているが、その他の電位に設定してもよい。
E. 再構成の例2
図37及び図38の構造を有するプログラマブル論理回路に対する論理の再構成の例について説明する。
初期状態においては、トランジスタSPの磁化状態は、アンチパラレル状態に設定される。即ち、強磁性体12bの残留磁化の磁化方向は、紙面に対して右向きに設定される。この場合、図31に示すように、トランジスタSP,SNのコンダクタンスGmの比は、1:10になる。
従って、入力信号(論理値)A,Bと出力信号Y(=Vout)との関係は、表8に示すようになる。
つまり、初期状態におけるプログラマブル論理回路の論理は、ORとなっており、図37及び図38のデバイスの等価回路は、図39に示すように、ORゲートのシンボルとなる。
もし、図37及び図38のデバイスをORゲートとして使用する場合には、論理の再構成を行う必要はないため、書き込み信号Wは、“L”のままとする。
もし、図37及び図38のデバイスをANDゲートとして使用する場合には、書き込み信号Wを“H”にして、以下のように、論理の再構成を行う。
書き込み信号Wを“H”にした状態で、電源端子N1,N2,N3にそれぞれ電源電位V1(=Vdd),V2(=Vss),V1(=Vdd)を与えると、スピン注入電流(電流パルス)は、図38に示すように、フリー層としての強磁性体12bからピンド層としての強磁性体12aに向かって流れる。
この時、強磁性体12aは、紙面に対して左向きにスピン偏極された電子のみを通過させるスピンフィルタとして作用し、このスピン偏極された電子は、フリー層としての強磁性体12b内の電子にスピントルクを与える。このため、強磁性体12bの磁化方向は、紙面に対して右向き(アンチパラレル状態)から紙面に対して左向き(パラレル状態)に変化する。
すると、図31に示すように、トランジスタSP,SNのコンダクタンスGmの比は、100:10になる。
従って、入力信号(論理値)A,Bと出力信号Y(=Vout)との関係は、表7に示すようになる。
つまり、プログラマブル論理回路の論理は、ANDとなり、図37及び図38のデバイスの等価回路は、図39に示すように、ANDゲートのシンボルとなる。
このように、書き込み信号Wにより、プログラマブル論理回路の論理を、ORゲートからANDゲートに再構成することができる。
尚、第1の実施の形態と同様に、論理の検証は、書き込み(論理の再構成)と同時に行うことができる。
F. 再構成の原理
図31乃至図33のプログラマブル論理回路の再構成の原理を説明する。
図40は、フローティングゲート電位Vfgと出力信号Y(=Vout)との関係を示している。
トランジスタSNのコンダクタンスGmの値を、トランジスタSPのコンダクタンスGmの最大値と最小値との間の値に設定すると、第1の実施の形態と同様の原理で、トランジスタSPのコンダクタンスGmの値に応じて、フローティングゲート電位Vfgが“1/2”のときの出力信号Y(=Vout)が変化する。
G. まとめ
以上、説明したように、第4の実施の形態によれば、論理回路の再構成のための配線が単純で、かつ、論理回路の再構成を短時間で容易に行えるプログラマブル論理回路を実現できる。
3. プログラマブル論理回路の再構成方法
本発明の例の特長の一つは、論理の再構成とその検証とを同時に行うことにより、ハードウエアの複雑化なしに、論理の再構成を短時間で容易に行うことができるようになる、という点にある。
そこで、再構成方法について詳細に説明する。
図41は、プログラマブル論理回路の再構成方法のフローを示している。
まず、例えば、乱数により、入力信号の論理値を決定し、入力信号をプログラマブル論理回路に印加する(ステップST1〜ST2)。
書き込み信号(W=“H”)を印加し、電源電位V1,V2を印加する(ステップST3〜ST4)。
この後、プログラマブル論理回路の出力信号の論理値を検証する(ステップST5)。
出力信号の論理値が期待値(再構成後の論理)になっているか否かを確かめ、期待値でない場合には、スピン注入電流(パルス電流)を発生させる(ステップST6〜ST9)。
ここで、スピン注入電流を流した直後においても、入力信号及び電源電位V1,V2は印加されているため、出力信号の検証を行うことができる。つまり、スピン注入電流による磁化状態の変化が直ちに出力信号として現れる。
そして、出力信号の論理値が期待値でない場合には、その都度、スピン注入電流に関する条件を変える。例えば、ステップST8では、出力信号の論理値が期待値になるまで、スピン注入電流のパルスの大きさ(振幅)、長さ(幅)又はその両方を次第に増加させる。
但し、ステップST7に示すように、スピン注入電流に関する条件が上限、例えば、パルスの振幅又は幅の最大値に達したときは、出力信号の論理値が期待値となっていなくても、再構成動作を終了する。
この後は、再び、初期状態から再構成動作を開始してもよいし、不良品として処理してもよい。
一方、出力信号の論理値が期待値である場合には、入力信号の論理値の全ての組み合わせについて出力信号の論理値の検証を行ったか否かを確かめる(ステップST10)。
入力信号の論理値の全ての組み合わせについて出力信号の論理値の検証を行っていない場合には、入力信号の論理値を変更し、再び、出力信号の論理値の検証を行う(ステップST11)。
入力信号の論理値の全ての組み合わせについて出力信号の論理値の検証を行った場合には、論理の再構成を完了する。
尚、本例では、入力信号を乱数により決定したが、それ以外の方法により決定しても構わない。また、スピン注入電流に関する条件については、変更せずに、単に、スピン注入電流を流す回数を増やすだけでもよい。
以上のフローによりプログラマブル論理回路の再構成を行うと、特に、第1乃至第4の実施の形態で示した基本ユニットを複数個組み合わせて論理回路を構成する場合に、その論理回路の入力信号と出力信号との対応関係のみを設計しておけば、個々の基本ユニットの論理の検証については不要となる。
従って、基本ユニットに対しては、レイアウトとスピントランジスタのチャネルの種類(N型又はP型)のみを考慮すればよく、設計にかかる手間と時間を大幅に短縮することができる。
また、ハードウエアの失敗により論理回路が設計通りになっていない場合においても、図41のフローに従ってプログラマブル論理回路の再構成を行えば、不具合個所の特定や、設計の修正などをすることなく、不具合個所の影響を受けない論理回路を構成することも可能になる。
さらに、スピン注入電流を流して書き込み(再構成)を行っている状態で出力信号の検証を行えるため、再構成を短時間で簡単に行うことができる。
4. 実施例
以下、論理回路の再構成の実施例を説明する。
ここでは、図42に示すように、第1乃至第4の実施の形態で説明した基本ユニットを複数個組み合わせて論理回路を構成する場合の例を説明する。
(1) 第1の実施例
図43は、第1の実施例のプログラマブル論理回路を示している。
本例では、2つの基本ユニットが直列接続される。
ここでは、基本ユニットBU1は、図22の論理回路とし、基本ユニットBU2は、図2の論理回路とする。
このプログラマブル論理回路の特長は、2つの基本ユニットBU1,BU2が電源端子N1と電源端子N3との間に並列に接続されている点にある。この場合、基本ユニットBU1,BU2に対して同時にスピン注入電流を流して論理の再構成を行うことができるため、ハードウエアの簡略化と再構成の短時間化を図ることができる。
電源端子N1には、電源電位V1としてVddが印加され、電源端子N2,N3には、電源電位V2としてVss(<Vdd)が印加される。書き込み信号Wは、基本ユニットBU1,BU2に共通に入力される。入力信号は、A,B,Dの3つであり、出力信号は、Y(=Vout)である。
尚、書き込み信号Wについては、基本ユニットBU1,BU2に対してそれぞれ独立に与えてもよい。
初期状態においては、基本ユニットBU1,BU2内のスピントランジスタSN1,SP2は、共に、パラレル状態とする。この場合、論理回路は、図44に示すように、ORゲートとNANDゲートが直列接続された構造となる。
論理の再構成を行うときは、書き込み信号Wを“H”にしてトランジスタT11,T12をオンにする。スピン注入電流は、図43に示す電流経路(current path)に沿って、基本ユニットBU1,BU2内を同時に流れる。
基本ユニットBU1内のスピントランジスタSN1は、例えば、図28に示すメカニズムにより、パラレル状態からアンチパラレル状態に変化する。同様に、基本ユニットBU2内のスピントランジスタSP2は、例えば、図8に示すメカニズムにより、パラレル状態からアンチパラレル状態に変化する。
従って、再構成が完了した後の論理回路は、図44に示すように、ANDゲートとNORゲートが直列接続された構造となる。
第1の実施例の再構成では、スピントランジスタをパラレル状態からアンチパラレル状態にしたが、その逆であってもよい。また、電源端子N3の電位を、電源電位V2に代えて、電源電位V1よりも高い電位として、スピン注入電流の向きを逆にしてもよい。
(2) 第2の実施例
図45は、第2の実施例のプログラマブル論理回路を示している。
本例では、第1の実施例と同様に、2つの基本ユニットが直列接続される。
ここでは、基本ユニットBU1は、図11の論理回路とし、基本ユニットBU2は、図31の論理回路とする。
このプログラマブル論理回路の特長は、第1の実施例と同様に、2つの基本ユニットBU1,BU2が電源端子N1と電源端子N3との間に並列に接続されている点にある。
電源端子N1,N3には、電源電位V1としてVddが印加され、電源端子N2には、電源電位V2としてVss(<Vdd)が印加される。書き込み信号Wは、基本ユニットBU1,BU2に共通に入力される。入力信号は、A,B,Dの3つであり、出力信号は、Y(=Vout)である。
尚、書き込み信号Wについては、基本ユニットBU1,BU2に対してそれぞれ独立に与えてもよい。
初期状態においては、基本ユニットBU1,BU2内のスピントランジスタSN1,SP2は、共に、パラレル状態とする。この場合、論理回路は、図46に示すように、NORゲートとANDゲートが直列接続された構造となる。
論理の再構成を行うときは、書き込み信号Wを“H”にしてトランジスタT11,T12をオンにする。スピン注入電流は、図45に示す電流経路(current path)に沿って、基本ユニットBU1,BU2内を同時に流れる。
基本ユニットBU1内のスピントランジスタSN1は、例えば、図15に示すメカニズムにより、パラレル状態からアンチパラレル状態に変化する。同様に、基本ユニットBU2内のスピントランジスタSP2は、例えば、図35に示すメカニズムにより、パラレル状態からアンチパラレル状態に変化する。
従って、再構成が完了した後の論理回路は、図46に示すように、NANDゲートとORゲートが直列接続された構造となる。
第2の実施例の再構成では、スピントランジスタをパラレル状態からアンチパラレル状態にしたが、その逆であってもよい。また、電源端子N3の電位を、電源電位V1に代えて、電源電位V2よりも低い電位として、スピン注入電流の向きを逆にしてもよい。
(3) 第3の実施例
図47は、第3の実施例のプログラマブル論理回路を示している。
本例では、第1の実施例と同様に、2つの基本ユニットが直列接続される。
ここでは、基本ユニットBU1は、図22の論理回路とし、基本ユニットBU2は、図12の論理回路とする。
このプログラマブル論理回路の特長は、第1の実施例と同様に、2つの基本ユニットBU1,BU2が電源端子N1と電源端子N3との間に並列に接続されている点にある。
電源端子N1には、電源電位V1としてVddが印加され、電源端子N2には、電源電位V2としてVss(<Vdd)が印加される。また、電源端子N3には、電源電位V3(V2<V3<V1)が印加される。書き込み信号Wは、基本ユニットBU1,BU2に共通に入力される。入力信号は、A,B,Dの3つであり、出力信号は、Y(=Vout)である。
尚、書き込み信号Wについては、基本ユニットBU1,BU2に対してそれぞれ独立に与えてもよい。
初期状態においては、基本ユニットBU1内のスピントランジスタSN1は、パラレル状態、基本ユニットBU2内のスピントランジスタSN2は、アンチパラレル状態とする。この場合、論理回路は、図48に示すように、ORゲートとNANDゲートが直列接続された構造となる。
論理の再構成を行うときは、書き込み信号Wを“H”にしてトランジスタT11,T12をオンにする。スピン注入電流は、図47に示す電流経路(current path)に沿って、基本ユニットBU1,BU2内を同時に流れる。
基本ユニットBU1内のスピントランジスタSN1は、例えば、図28に示すメカニズムにより、パラレル状態からアンチパラレル状態に変化する。同様に、基本ユニットBU2内のスピントランジスタSN2は、例えば、図18に示すメカニズムにより、アンチパラレル状態からパラレル状態に変化する。
従って、再構成が完了した後の論理回路は、図48に示すように、ANDゲートとNORゲートが直列接続された構造となる。
第3の実施例の再構成では、電源端子N3に与える電源電位をV3(V2<V3<V1)としたが、これに代えて、V1,V2を切り替えて再構成を行うこともできる。
この場合、まず、電源端子N3の電位をV2とし、基本ユニットBU1内のスピントランジスタSN1にスピン注入電流を流す。この後、電源端子N3の電位をV1とし、基本ユニットBU2内のスピントランジスタSN2にスピン注入電流を流す。基本ユニットBU1,BU2にスピン注入電流を流す順序は、逆であってもよい。
再構成方法としては、再構成が完了するまで、基本ユニットBU1,BU2に対して交互にスピン注入電流を流す方法と、まず、所望の出力信号が得られるまで、基本ユニットBU1,BU2の一方に対してスピン注入電流を流し、この後、再構成が完了するまで、基本ユニットBU1,BU2の他方に対してスピン注入電流を流す方法との2種類がある。
(4) 第4の実施例
図49は、第4の実施例のプログラマブル論理回路を示している。
本例では、第1の実施例と同様に、2つの基本ユニットが直列接続される。
ここでは、基本ユニットBU1は、図32の論理回路とし、基本ユニットBU2は、図2の論理回路とする。
このプログラマブル論理回路の特長は、第1の実施例と同様に、2つの基本ユニットBU1,BU2が電源端子N1と電源端子N3との間に並列に接続されている点にある。
電源端子N1には、電源電位V1としてVddが印加され、電源端子N2には、電源電位V2としてVss(<Vdd)が印加される。また、電源端子N3には、電源電位V3(V2<V3<V1)が印加される。書き込み信号Wは、基本ユニットBU1,BU2に共通に入力される。入力信号は、A,B,Dの3つであり、出力信号は、Y(=Vout)である。
尚、書き込み信号Wについては、基本ユニットBU1,BU2に対してそれぞれ独立に与えてもよい。
初期状態においては、基本ユニットBU1内のスピントランジスタSP1は、アンチパラレル状態、基本ユニットBU2内のスピントランジスタSP2は、パラレル状態とする。この場合、論理回路は、図50に示すように、ORゲートとNANDゲートが直列接続された構造となる。
論理の再構成を行うときは、書き込み信号Wを“H”にしてトランジスタT11,T12をオンにする。スピン注入電流は、図49に示す電流経路(current path)に沿って、基本ユニットBU1,BU2内を同時に流れる。
基本ユニットBU1内のスピントランジスタSP1は、例えば、図38に示すメカニズムにより、アンチパラレル状態からパラレル状態に変化する。同様に、基本ユニットBU2内のスピントランジスタSP2は、例えば、図8に示すメカニズムにより、パラレル状態からアンチパラレル状態に変化する。
従って、再構成が完了した後の論理回路は、図50に示すように、ANDゲートとNORゲートが直列接続された構造となる。
第4の実施例の再構成においても、電源端子N3に与える電源電位をV3(V2<V3<V1)としたが、これに代えて、V1,V2を切り替えて再構成を行うこともできる。
この場合、まず、電源端子N3の電位をV1とし、基本ユニットBU1内のスピントランジスタSP1にスピン注入電流を流す。この後、電源端子N3の電位をV2とし、基本ユニットBU2内のスピントランジスタSP2にスピン注入電流を流す。基本ユニットBU1,BU2にスピン注入電流を流す順序は、逆であってもよい。
再構成方法としては、第3の実施例で説明したように、再構成が完了するまで、基本ユニットBU1,BU2に対して交互にスピン注入電流を流す方法と、まず、所望の出力信号が得られるまで、基本ユニットBU1,BU2の一方に対してスピン注入電流を流し、この後、再構成が完了するまで、基本ユニットBU1,BU2の他方に対してスピン注入電流を流す方法との2種類がある。
(5) その他
第1乃至第4実施例においては、基本ユニットBU1,BU2のみを示しているが、さらに、基本ユニットBU1,BU2のペアを複数設けて論理回路を実現することもできる。
5. 適用例
本発明の例に関わるプログラマブル論理回路は、複数の基本ユニットをアレイ状に組み合わせて、いわゆるユニバーサル論理回路とすることができる。
図51は、ユニバーサル論理回路の例を示している。
本例では、入力信号をA,Bの2つとし、出力信号を、Y1,Y2の2つとしているが、これに限られることはない。セルは、第1乃至第4の実施の形態で説明した基本ユニットに相当する。書き込み信号Wは、全てのセルに共通であり、スピン注入電流は、電源端子N1から電源端子N2に向かって流す。
スピン注入電流を流して再構成を行っている状態において、入力信号A,Bを与え、マルチプレクサMP1,MP2を経由し出力信号Y1,Y2を取り出すことにより、再構成を短時間で簡単に済ますことができる。
このようなユニバーサル論理回路では、複数のセルの状態を個別に制御することはできないため、再構成時に出力信号Y1,Y2が所望の値になるまで再構成を繰り返す。従って、所望の出力信号が得られたときに再構成を終了する。
このような手法によれば、複雑な回路設計に要する時間と手間を大幅に減らすことができる。また、ハードウエアに欠陥があっても、不具合のセルを特定する必要がないため、この点からも、余分な手間と時間をかけずに、論理回路の再構成を行うことができる。
図52は、DSPチップを示している。
DSPチップの主な構成要素は、デジタル信号の処理部としてのDSP(digital signal processor)、ADC(analog-digital converter)、及び、DAC(digital-analog converter)である。
外部からの信号および外部への信号の送信は、チップの置かれた環境によって最適な信号が異なる場合が多い。個々のチップの置かれた環境に応じて論理回路を再構成できる本発明の例に関わるプログラマブル論理回路は、特に、ADCとDSPとの間およびDSPとDACの間のインターフェイス回路に使用するのが好都合である。
尚、ここでは、DSPについてのみ示すが、本発明の例は、論理回路を必要とする全ての半導体集積回路に適用可能である。
6. むすび
本発明の例によれば、論理回路の再構成のための配線が単純で、かつ、論理回路の再構成を短時間で容易に行えるプログラマブル論理回路を実現できる。
本発明の例は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、各構成要素を変形して具体化できる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を構成できる。例えば、上述の実施の形態に開示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよいし、異なる実施の形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
10: 半導体基板、 10a: N型ウェル領域、 10b: P型ウェル領域、 11a,11b: トンネルバリア層、 12a,12b,12b’: 強磁性体、 13: 反強磁性体、 17: 素子分離絶縁層、 FG: フローティングゲート電極、 SP,SN,T1: トランジスタ、 N1,N2,N3: 電源端子。