JP2008055924A - 作業車輌 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】作業車輌1において、制御部200は、変速操作部材53の操作量に応じた基準出力に対してエンジン出力検出装置310の検出結果に基づく減速率Yを乗算させた出力をHST102の目標回転出力として出力調整部材108の作動制御を行う負荷制御モードを備え、前記負荷制御モードは、エンジン31の出力回転数が第1閾値Xfを超えている場合には減速率Yを1とし、エンジンの出力回転数が前記第1閾値Xf以下となると該出力回転数に応じた減速率Yを選択するように構成されている。
【選択図】図8
Description
斯かる従来構成においては、前記エンジンに余裕がある場合であっても、前記作業機系HSTの作動油圧が所定の閾値を超えると、一律に前記走行系HSTの可動斜板が減速方向へ傾転され、これにより、車輌の走行速度が変速操作部材の操作位置に応じた目標速度よりも低下されることになり、結果、作業に時間が要することになる。
斯かる構成においては、例えば、上り坂を走行する場合等のように、前記走行部に負荷が掛かった場合には、前記作業部への負荷の大小に拘わらず、実際の車速が前記変速操作部材の操作位置に応じた目標車速より低速となる。
つまり、前記従来構成においては、前記作業部への負荷が所定の閾値以下の場合であっても、前記走行部へ負荷が掛かると、前記エンジンに余裕があるか否かに拘わらず一律に車速が目標車速よりも低速とされる。従って、作業効率が悪化する。
前記制御部は、例えば、前記エンジンの出力回転数が前記第1閾値以下となると、該出力回転数が減少するに従って小さくなる減速率を選択するように構成されていてもよい。
前記HSTは、出力範囲の一方端を中立位置として出力軸が一方向にのみ回転するように構成されていてもよいし、出力範囲の一方端と他方端との間の任意の位置(例えば中間位置)を中立位置として出力軸が該中立位置を境に一方向又は他方向に回転するように構成されていてもよい。
一方、前記エンジンの出力回転数が前記第1閾値以下となると、前記変速操作部材の操作量に応じた基準出力に対して、該出力回転数に応じた前記減速率を乗算させた出力を前記HSTの目標回転出力として前記出力調整部材を作動制御することができる。これにより、前記エンジンへの過負荷を防止することができる。
このように本発明に係る作業車輌によれば、前記エンジンへの過負荷を防止しつつ、作業効率の低下を可及的に防止することができる。
図1は、本発明に係る作業車輌の一例である歩行型除雪機1の概略側面図であり、図2は、図1に示す歩行型除雪機1の概略平面図である。
具体的には、前記作業部20は、機体フレーム10の機体前後方向(図1の矢印x参照)前方x1において該機体フレーム10に支持されており、雪の掻き込みを行う掻込オーガ21と、前記掻込オーガ21を覆うオーガハウジング22と、前記オーガハウジング22の機体前後方向x後方x2に配設されたブロアハウジング23と、前記ブロアハウジング23に内装されたブロア24と、前記ブロア24の上方に配設されたシュータ25とを備えている。
前記掻込オーガ21は、ここでは、外周面に螺旋状の突起が設けられた略円柱形状の部材を備えており、軸心方向が機体左右方向yに沿うように且つ地面に近接するように配設されている。
そして、前記掻込オーガ21は、両端部が前記オーガハウジング22に軸心回り回転可能に軸支されており、前記エンジン31からの駆動力により回転駆動されるようになっている。
前記ブロアハウジング23は、前記ブロア24を内設する筐体とされており、前記オーガハウジング22を支持する構造体としての機構を兼ね備えたものされている。
前記シュータ25は、ここでは、筒状の部材とされており、前記ブロアハウジング23の水平面に対して上下方向に沿った旋回軸回り旋回可能とされていると共に、先端部が水平方向に沿った回動軸回り上下回動可能とされている。
前記HST102は、前記駆動部30の下方に配設されたトランスミッション100に備えられている。
前記作業駆動力伝達手段12は、ここでは、ベルトプーリ式のものであり、前記エンジン31の前記出力軸31aから動力が伝達されるプーリ131aと、前記作業部20の入力軸20aに設けられたプーリ133aと、前記プーリ131a及び前記プーリ133aに巻掛けられたベルト134aとを備えている。
前記トランスミッション100は、前記HST102に加えて、ミッションケース101を備えており、該ミッションケース101から入力軸104が前向きに突出されている。前記入力軸104は、前端部が前記ブラケット11に軸支されている。
前記走行駆動力伝達手段13は、ここでは、ベルトプーリ式のものであり、前記エンジン31の前記出力軸31aに設けられたプーリ131bと、前記トランスミッション100の前記入力軸104に設けられたプーリ133bと、前記プーリ131b及び前記プーリ133bに巻掛けられたベルト134bとを備えている。
前記駆動部30は、前記エンジン31によって前記発電機310を回転駆動して該発電機310で電力を発生させ、該発電機310で発生した電力がバッテリ32に充電されるようになっている。
そして、前記駆動部30は、充電されたバッテリ32(及び前記発電機310)によって、左電動モータ33L及び右電動モータ33Rの駆動回路にそれぞれ電力を供給し、該駆動回路によって、該電動モータ33L,33Rの回転数を制御しつつ該電動モータ33L,33Rを駆動し得るように構成されている。
斯かる構成を備えることにより、前記作業車輌1は、右旋回又は左旋回し得るようになっている。
前記HST102は、ここでは、ポンプ軸(前記入力軸)104と、ポンプ本体105と、モータ本体106と、モータ軸(出力軸)107と、出力調整部材108とを備えている。
前記モータ本体106は、一対の作動油ライン109を介して前記ポンプ本体105に流体的に接続されており、前記モータ軸107は、前記モータ本体106によって軸線回りに回転されるように構成されている。
そして、前記出力調整部材108は、前記ポンプ本体105又は前記モータ本体106の少なくとも一方(ここでは、前記ポンプ本体105)の給排油量を変更させ得るように構成されている。
前記ポンプ本体105は、ここでは、容量可変型ピストンポンプとされており、前記出力調整部材108は、可動斜板を含んでいる。
前記可動斜板は、前記ポンプ軸104の軸線方向に対する傾倒角度が調節されることにより、前記ポンプ軸104が一回転する間に前記ポンプ本体105から前記一対の作動油ライン109を介して前記モータ本体106に搬送される圧油の量、即ち、前記モータ軸107の回転速度を調整できるようになっている。
前記トランスミッション100は、さらに、第1及び第2伝動軸136,115並びに左右一対の差動機構103L,103Rを備えている。
前記第1伝動軸136には、ベベルギヤ137及びスプロケット139が外嵌固定されており、前記第2伝動軸115には、スプロケット140が外嵌固定されている。なお、前記エンジン31から前記走行部40L,40Rへ至る走行系伝動経路に制動機構が介挿されていてもよい。例えば、前記第1伝動軸136に、該第1伝動軸136の回転を制動し得るブレーキ138が設けられていてもよい。
斯かる構成を備えることにより、前記トランスミッション100は、前記HST102から前記ベベルギヤ135及び前記ベベルギヤ137を介して前記第1伝動軸136に伝達される駆動力を前記スプロケット139,前記チェーン141及び前記スプロケット140を介して前記第2伝動軸115に伝達し得るようになっている。
前記走行駆動軸113L(113R)の反対側に位置する前記キャリア112L(112R)の盤面には、複数の回転軸114L(114R)が突設され、該複数の回転軸114L(114R)にそれぞれ前記複数のプラネタリギヤ111L(111R)が回転可能に軸支されている。
リングギア116L(116R)は、内周面と外周面に歯車部が形成され略リング状のギヤとされており、内周面側の歯車部と前記複数のプラネタリギヤ111L(111R)とが互いに噛合するようになっている。
そして、前記左電動モータ33Lの前記出力軸117Lには、ウォームアップギヤ118Lが外嵌固定されており、該ウォームアップギヤ118Lと、前記左差動機構103Lの前記リングギア116Lの外周面側の歯車部とが互いに噛合している。
同様に、前記右電動モータ33Rの前記出力軸117Rには、ウォームアップギヤ118Rが外嵌固定されており、該ウォームアップギヤ118Rと、前記右差動機構103Rの前記リングギア116Rの外周面側の歯車部とが互いに噛合している。
具体的には、前記走行部40L,40Rは、本例では、それぞれ、クローラ式のものとされており、前記機体フレーム10の機体左右方向y両側に配設され(図2参照)、且つ、左右略対称に構成されたものとされている。
なお、前記走行部40L,40Rは、ホイル式のものとされていてもよい。
そして、前記トラックフレーム41L,41Rの外側の前記走行駆動軸113L,113Rの外端部には、駆動スプロケット42L,42Rが固設されている。
そして、前記トラックフレーム41L,41Rの外側の前記従動軸45の両端部には、従動スプロケット43L,43Rが固設されており、前記駆動スプロケット42L,42R及び前記従動スプロケット43L,43Rには、それぞれ、クローラベルト44L,44Rが巻掛けられている。
具体的には、前記変速操作部材53は、ここでは、前記HST102を変速操作する為の人為操作可能な走行変速レバーとされている。
前記作業部20では、前記エンジン31からの駆動力によって、前記掻込オーガ21及び前記ブロア24が駆動される。
又、前記差動機構103Rに伝達された駆動力は、前記サンギヤ110R、前記プラネタリギヤ111R、前記回転軸114R、前記キャリア112R及び前記出力軸113Rを経て前記走行部40Rの前記駆動スプロケット42Rに伝達される。
このようにして、前記エンジン31からの駆動力は前記左右一対の走行部40L,40Rに伝達され、該走行部40L,40Rが回転駆動される。
前記作業クラッチ装置132aは、クラッチが係合されるクラッチ係合位置と、クラッチの係合が遮断されるクラッチ遮断位置とを切替可能とされている。
前記作業クラッチ装置132aは、前記クラッチ係合位置と、前記クラッチ遮断位置とが切り替えられることにより、前記エンジン31から前記作業部20へ動力が伝達される動力伝達状態(クラッチ係合状態)と、前記エンジン31から前記作業部20への動力が遮断される動力遮断状態(クラッチ遮断状態)とをとり得るように構成されている。
そして、前記作業クラッチ装置132aは、前記クラッチ係合位置と、前記クラッチ遮断位置とを切り替えることにより、前記動力伝達状態(ここでは、前記プーリ131aが前記出力軸31aに相対回転不能に支持された状態、即ち、前記エンジン31からの動力を伝達可能な状態)と、前記動力遮断状態(ここでは、前記プーリ131aが前記出力軸31aに軸線回り相対回転自在に支持された状態、即ち、前記エンジン31からの動力を遮断した状態)とをとり得るように構成されている。
前記操向ハンドル51は、ここでは、平面視で実質上U字型に形成されており(図2参照)、両端部に一対の支持杆51a,51aが設けられている。前記一対の支持杆51a,51aは、それぞれ、前方下向きに延びており(図1参照)、前記左右一対のブラケット14L,14Rに連結されている。
前記変速操作部材53及び前記作業クラッチ操作部材54は、前記操向ハンドル51に設けられている。なお、前記一対の支持杆51a,51aの間には、バッテリ台57が架設されている。
図4は、第1実施形態に係る作業車輌1の制御系の概略構成を示すシステムブロック図である。
前記出力調整部材108は、電動駆動可能とされており、前記制御部200からの作動信号に基づき、位置調整できるようになっている。
前記HST変速モータ108aは、前記制御部200からの作動信号に基づき、前記出力調整部材108の前記板面の傾倒角度を変更し、これにより、前記ポンプ本体105又は前記モータ本体106の少なくとも一方(ここでは、前記ポンプ本体105)の給排油量を変更して前記HST102の回転出力を変更し得るように、該制御部200の出力系に、該HST変速モータ108aを駆動するHST変速モータ駆動部108a’を介して電気的に接続されている。
前記HST出力調整位置検出装置108bは、ここでは、前記HST102における前記可動斜板108’の板面の傾倒角度を検出するHST変速角度センサとされており、該検出信号が前記制御部200に送信されるように、該制御部200の入力系に電気的に接続されている。
前記エンジン出力検出装置310は、ここでは、前記エンジン31の回転動力によって電力を発生させる前記発電機とされており、該発電機の発電信号が前記制御部200に送信されるように、該制御部200の入力系に電気的に接続されている。
具体的には、前記走行出力検出装置320は、前記HST102における前記モータ軸(出力軸)107の回転状態を検出するHST出力回転状態検出センサとされており、ここでは、前記モータ軸107の回転速度を検出するHST回転速度センサ321と、前記モータ軸107の回転方向を検出するHST回転方向センサ322とを含んでいる。
前記HST回転速度センサ321は、前記モータ軸107の回転速度に関する検出信号が前記制御部200に送信されるように、該制御部200の入力系に電気的に接続されている。
又、前記HST回転方向センサ322は、前記モータ軸107の回転方向に関する検出信号が前記制御部200に送信されるように該制御部200の入力系に電気的に接続されている。
前記操作量検出装置330は、ここでは、前記変速操作部材53の操作角度を検出する変速レバー角度センサとされており、該変速操作部材53の操作角度に関する検出信号が前記制御部200に送信されるように、該制御部200の入力系に電気的に接続されている。
具体的には、前記制御装置210は、中央処理装置(CPU)からなり、各種演算処理を実行する制御演算手段を含んでいる。
前記記憶部220には、第1実施形態に係る作業車輌1の制御例を含む制御プログラムや必要な関数が記憶されており、例えば、ROM221及びRAM222を含んでいる。
そして、前記記憶部220には、後述する減速率換算用演算式及び基準出力換算用演算式が予め記憶されている。
即ち、前記負荷制御モードは、前記HST102の目標回転出力が前記変速操作部材53の操作量に応じた基準出力に対して前記エンジン出力検出装置310の検出結果に基づく減速率を乗算させた出力となるように前記出力調整部材108の作動制御を行うように構成されている。
そして、前記負荷制御モードは、前記エンジン出力検出装置310からの信号に基づき、前記エンジン31の出力回転数が第1閾値を超えている場合には減速率を1とし、前記エンジン31の出力回転数が前記第1閾値以下となると該出力回転数に応じた減速率を選択するように構成されている。
なお、ここでは、前記負荷制御モードは、前記エンジン31の出力回転数が前記第1閾値以下となると、該出力回転数が減少するに従って小さくなる減速率を選択するように構成されている。
なお、図5及び図7において、「Xf」は前記第1閾値を示している。又、図6において、横軸は前記変速操作部材53の中立位置(0°)からの操作角度θを示しており、プラス側は前進方向を角度を、マイナス側は後進方向の角度を表している。
又、図6及び図7において、作業速は、作業する際の目安となる前記変速操作部材53の操作角度及び車速を示しており、移動速は、移動する際の目安となる前記変速操作部材53の操作角度及び車速を示している。
即ち、前記制御部200は、前記HST出力調整位置検出装置108bにて検出された前記出力調整部材108の位置(ここでは前記可動斜板108’の板面の傾倒角度)が中立位置に応じた位置(ここでは傾倒角度)に位置するように前記出力調整部材108を作動制御(HST変速角度制御)できるようになっている。
一方、図5に示すように、前記エンジン31の出力回転数が前記第1閾値Xf以下となると(即ち前記エンジン31への負荷が前記所定の負荷以上になると)、前記変速操作部材53の操作量に応じた基準出力(図6参照)に対して、該出力回転数に応じた減速率Y(ここでは、該出力回転数が減少するに従って小さくなる減速率Y:図5のA〜F参照)を乗算させた出力を、前記HST102の目標回転出力(前記作業車輌1の目標車速Vb:図7のa〜f参照)として前記出力調整部材108を作動制御することができる。これにより、前記エンジン31への過負荷を防止することができる。
このように第1実施形態に係る作業車輌1によれば、前記エンジン31への過負荷を防止しつつ、作業効率の低下を可及的に防止することができる。
又、記エンジン31への過負荷を防止できるので、エンジンストールを可及的に防止することができる。
又、前記エンジン31の出力回転数が前記第1閾値以下となると該出力回転数に応じて車速を自動制御できるので、走行速度の調整の煩わしさをなくすことができ、これにより効率的な作業を行うことができる。
さらに、本例では、投雪距離を一定に確保ながら、除雪能力を最適に保つことができる。
斯かる構成を備えることにより、前記作業車輌1は、前記エンジン31の出力回転数が前記第2閾値Xa以下になるような該エンジン31への負荷がかかってもエンジンストールの発生を確実に防止することが可能となる。
又、前記制御部200は、前記エンジン出力検出装置310によって、前記エンジン31の出力回転数Xを検出し、該エンジン出力検出装置310の検出結果に基づき減速率Yを求めるように構成されている。
又、前記制御部200は、前記基準出力に対して減速率Yを乗算させた出力を前記HST102の目標回転出力として前記出力調整部材108を作動制御するように構成されている。
図4に示すように、前記作業クラッチ装置132aは、電動駆動可能とされており、前記制御部200からの作動信号に基づき、前記動力伝達状態(クラッチ係合状態)と前記動力遮断状態(クラッチ遮断状態)とをとり得るように、前記制御部200の出力系に電気的に接続されている。
前記作業クラッチ操作部材54は、前記作業クラッチ装置132aのクラッチ係合位置に関する検出信号又はクラッチ遮断位置に関する検出信号が前記制御部200に送信されるように、該制御部200の入力系に電気的に接続されている。
前記走行スイッチ52aは、図4に示すように、車輌を走行させる車輌走行状態と車輌を停止させる車輌停止状態とを切り替える切替信号が前記制御部200に送信されるように、該制御部200の入力系に電気的に接続されている。
前記走行操作部材52は、ここでは、前記走行スイッチ52aが車輌停止状態に切り替えられるように付勢されたものとされており、デッドマンクラッチレバーの形態をなす走行レバーとされている。前記走行操作部材52は、前記運転操作部50に設けられている(図1及び図2参照)。
又、前記作業車輌1は、前記走行操作部材52が車輌走行状態に人為操作された後で、前記作業クラッチ操作部材54がクラッチ係合位置に人為操作された場合は、前記作業クラッチ操作部材54は、前記走行操作部材52が車輌停止状態に人為操作されるまでは、クラッチ係合位置の状態を保持するように構成されている。
又、前記作業車輌1は、前記走行操作部材52が車輌停止状態に人為操作された状態でも、前記作業クラッチ操作部材54は、クラッチ係合位置に人為操作され続けている間は、該クラッチ係合位置の状態を保持するように構成されている。
図8は、第1実施形態に係る作業車輌1の制御例の流れを示すフローチャートである。
前記ステップS1で前記作業クラッチ操作部材54がクラッチ係合位置に操作されていると判断した場合には、ステップS2に移行し、クラッチ遮断状態にあると判断した場合には、ステップS4に移行する。
次に、前記変速操作部材53の操作量によって操作位置が前進側に位置しているか否か(ここでは、前記変速操作部材53の操作角度θがプラス側にあるか否か)を判断する(ステップS3)。
前記ステップS3で前記変速操作部材53の操作位置が前進側に位置していると判断した場合には、ステップS6に移行し、中立位置又は後進側に位置していると判断した場合には、ステップS4に移行する。
具体的には、前記ステップS7においては、前記記憶部220に記憶された前記減速率換算用演算式を用いて、前記ステップS6で検出した前記エンジン31の出力回転数Xを該出力回転数Xに対応する減速率Yに換算する。
さらに説明すると、前記減速率換算用演算式は、傾きが互いに異なる複数の一次式(ここでは、次の式(A)〜式(G))から構成されている。
式(B)は、前記エンジン31の出力回転数XがXa<X≦Xbの場合の式であり、減速率Y=(Ya−Yb)/(Xa−Xb)×(X−Xa)+Yaとされている。
式(C)は、前記エンジン31の出力回転数XがXb<X≦Xcの場合の式であり、減速率Y=(Yb−Yc)/(Xb−Xc)×(X−Xb)+Ybとされている。
式(D)は、前記エンジン31の出力回転数XがXc<X≦Xdの場合の式であり、減速率Y=(Yc−Yd)/(Xc−Xd)×(X−Xc)+Ycとされている。
式(E)は、前記エンジン31の出力回転数XがXd<X≦Xeの場合の式であり、減速率Y=(Yd−Ye)/(Xd−Xe)×(X−Xd)+Ydとされている。
式(F)は、前記エンジン31の出力回転数XがXe<X≦Xfの場合の式であり、減速率Y=(Ye−Yf)/(Xe−Xf)×(X−Xe)+Yeとされている。
式(G)は、前記エンジン31の出力回転数XがXf<Xの場合(出力回転数Xが前記第1閾値Xfを超えている場合)の式であり、減速率Y=Yfとされている。
なお、図5の例では、Xa(第2閾値)は1500(回/分)、Ya’は0(0%)、Yaは0<Ya<0.06(6%)とされている。Xbは2000(回/分)、Ybは0.06(6%)とされている。Xcは2500(回/分)、Ycは0.12(12%)とされている。Xdは3000(回/分)、Ydは0.24(24%)とされている。Xeは3500(回/分)、Yeは0.6(60%)とされている。又、Xf(第1閾値)は3800(回/分)、Yfは1(100%)とされている。
前記ステップS8で前記走行スイッチ52aが車輌走行状態に切り替えられていると判断した場合には、ステップS9に移行し、車輌停止状態に切り替えられていると判断した場合には、ステップS14に移行する。
具体的には、前記ステップS10においては、前記記憶部220に記憶された前記基準出力換算用演算式を用いて、前記変速操作部材53の操作量θを該操作量θに応じた前記HST102の基準出力に換算する。
なお、前記HST102の基準出力は、ここでは、前記基準出力換算用演算式を用いて換算されるが、該基準出力換算用演算式に対応するLUT(ルックアップテーブル)を前記記憶部220に予め記憶しておき、該LUTを用いて換算されてもよい。
HST102の目標回転出力=HST102の基準出力×減速率Y…(1)
斯かる式では、前記エンジン31の出力回転数Xが第1閾値Xfを超えている場合には(前記エンジン31への負荷が所定の負荷より軽い場合には)、前記HST102の目標回転出力がそのままの基準出力となり、前記エンジン31の出力回転数Xが第1閾値Xf以下の場合には(前記エンジン31への負荷が所定の負荷以上の場合には)、前記HST102の目標回転出力が基準出力に対して低減される。
そして、ステップS12では、前記基準出力に対して前記減速率Yを乗算させた出力を前記HST102の目標回転出力として前記出力調整部材108を作動制御し、ステップS16に移行する。
なお、減速率Yは、図9に示すように、前記エンジン31の出力回転数が一の閾値(Xe’〜Xb’)までは一定の一の減速率(Yf’〜Yc’)となり、且つ、前記一の閾値(Xe’〜Xb’)以下となると前記一の減速率より小さい一定の値(Ye’〜Yb’)となるように構成されていてもよい。こうすることで、前記エンジン31の出力回転数が一の閾値(Xe’〜Xa’)までは、減速率が低下することなく、一定の減速率(Yf’〜Yb’)とされ、前記HST102の目標回転出力が一定とされるので、それだけ作業効率を向上させることができる。
又、前記ステップS8で前記走行スイッチ52aが車輌停止状態に切り替えられていると判断した場合には、ステップS14において、前記出力調整部材108の位置が中立位置に位置するように前記出力調整部材108を作動制御(中立制御(HST変速角度制御))し、ステップS15に移行する。
斯かる構成を備えることにより、前記作業車輌1は、前記減速率の乗算後の目標回転出力が所定の最低出力を下回った場合でも該目標回転出力を前記最低出力に維持でき、それだけ作業効率を向上させることができる。
図10に示す処理では、前記ステップS11で前記減速率Yを乗算した目標回転出力が所定の最低出力(図7の鎖線α参照)を下回ったか否かを判断し(ステップS111)、前記目標回転出力が前記最低出力α以上の場合には、ステップS13に移行する一方、前記最低出力αを下回った場合には、前記HST102の回転出力が前記最低出力αとなるように前記出力調整部材108を作動制御し(ステップS112)、ステップS15に移行する。
図11は、第2実施形態に係る作業車輌1の制御系の概略構成を示すシステムブロック図である。
前記制御部200における前記記憶部220には、第2実施形態に係る作業車輌1の制御例を含む制御プログラムや必要な関数が記憶されている。
即ち、前記車速制御モードは、前記HST102の目標回転出力が前記変速操作部材53の操作量に応じた基準出力となるように前記出力調整部材108の作動制御を行うように構成されている。
斯かる構成を備えることにより、前記作業車輌1は、上り坂を走行する場合や前記エンジンの回転などの外乱に影響されることなく、常に、前記変速操作部材53の操作量に応じた基準出力を維持することができる。従って、どのような路面や斜面でも前記変速操作部材53の操作量に応じて、車速を一定にすることが可能となる。
そして、制御部100は、前記切替スイッチ56によって前記車速制御モード又は前記負荷制御モードが切り替えられるように構成されている。
なお、前記車速制御モードは、図8に示すフローチャートにおいて、減速率を1としたステップS4以降の処理とすることができる。従って、図12に示すフローチャートは、図8に示すフローチャートにおいて、ステップS1の前にステップS0を設けたものとしている。
以下、図12に示すフローチャートと共通する箇所の説明は省略し、ステップS0の処理を中心に詳述する。
又、ステップS15では、動作終了か否かを判断し、動作が終了していないと判断した場合には、前記ステップS0に移行し、前記ステップS0〜ステップS14の処理を繰り返す一方、動作が終了したと判断した場合には、処理を終了する。
20 作業部
31 エンジン
40L,40R 走行部
53 変速操作部材
56 切替スイッチ
108 出力調整部材
102 HST
200 制御部
310 エンジン出力検出装置
320 走行出力検出装置
330 操作量検出装置
Xa 第2閾値
Xf 第1閾値
Y 減速率
Claims (4)
- エンジンからの出力を利用して駆動される走行部及び作業部と、前記エンジンから前記走行部へ至る走行系伝動経路に介挿されたHSTと、前記HSTを変速操作する為の変速操作部材と、前記エンジンの出力回転数を検出するエンジン出力検出装置と、前記HSTの回転出力を検出する走行出力検出装置と、前記変速操作部材の操作量を検出する操作量検出装置と、前記エンジン出力検出装置,前記走行出力検出装置及び前記操作量検出装置からの検出信号を入力し、前記HSTにおける出力調整部材の制御信号を出力する制御部とを備え、
前記制御部は、前記変速操作部材の操作量に応じた基準出力に対して前記エンジン出力検出装置の検出結果に基づく減速率を乗算させた出力を前記HSTの目標回転出力として前記出力調整部材の作動制御を行う負荷制御モードを備えており、
前記負荷制御モードは、前記エンジン出力検出装置からの信号に基づき、前記エンジンの出力回転数が第1閾値を超えている場合には減速率を1とし、前記エンジンの出力回転数が前記第1閾値以下となると該出力回転数に応じた減速率を選択するように構成されていることを特徴とする作業車輌。 - 前記制御部は、前記変速操作部材の操作量に応じた基準出力を前記HSTの目標回転出力として前記出力調整部材の作動制御を行う車速制御モードを備えており、
人為操作可能な切替スイッチによって前記車速制御モード又は前記負荷制御モードが切り替えられるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の作業車輌。 - 前記負荷制御モードは、前記エンジン出力検出装置からの信号に基づき、前記エンジンの出力回転数が前記第1閾値よりも小さい第2閾値以下になると、前記HSTの回転出力がゼロとなるように前記出力調整部材の作動制御を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の作業車輌。
- 前記負荷制御モードは、前記エンジンの出力回転数が前記第1閾値以下で且つ前記第2閾値よりも大きい場合において、前記減速率の乗算後の目標回転出力が所定の最低出力を下回った場合には、前記HSTの回転出力が前記最低出力となるように前記出力調整部材の作動制御を行うことを特徴とする請求項3に記載の作業車輌。
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