JP2008052146A - 共焦点型レーザー走査蛍光顕微鏡 - Google Patents

共焦点型レーザー走査蛍光顕微鏡 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明では、共焦点レーザー走査顕微鏡の励起光学系の軸上色収差をより低減させる。その結果、共焦点レーザー走査顕微鏡における光軸方向の位置情報を正確に取得する。
【解決手段】本発明の上記課題は、共焦点型のレーザー走査蛍光顕微鏡において、蛍光物質を励起するための複数波長のレーザー光を発生させるレーザー光発生手段と、前記複数波長のレーザー光を観察試料内の前記蛍光物質に照射すると共に、発光された蛍光を検出するための対物レンズと、励起光学系の光路中にある前記対物レンズの瞳位置で前記複数波長のレーザー光の瞳強度分布を変えることのできる瞳変調手段とを備えることによって解決される。
【選択図】 図1

Description

本発明は多波長励起による共焦点型のレーザー走査蛍光顕微鏡に関わり、とくに励起光の軸上色収差補正に関する。
従来から、対物レンズの収差を減らすための技法はレンズ設計において重要な課題であり続けている。たとえば代表的な収差として球面収差や軸上色収差などがある。球面収差は光線が光軸に近いか遠いかで集光位置が異なることにより発生する。また、軸上色収差はガラスの屈折率が波長によって異なることから生じる。
対物レンズの軸上色収差の補正に対しての従来からの技術として、2色(C線、F線)の収差補正をしたアクロマートレンズ、3色(C線、F線、g線)の収差補正をしたアポクロマートレンズが良く知られる。しかしながらこれらのレンズも実際には完全に色収差補正がされているわけではない。例えば、球面収差と軸上色収差の関係をグラフに表してみると、両者は同時に補正されている訳ではないことが解る(図7を参照)。つまり、光軸との距離に関して軸上色収差を観察すると、それは必ずしも補正されてはいない。
また、すべての色(波長)に関して色収差を補正しているわけではなく、特にg線よりも短波長の紫外線やC線よりも長波長の赤外線の波長域では収差補正はされてはいない。
一方、共焦点レーザー走査顕微鏡は、通常の顕微鏡に比べて、分解能・コントラストが良く、試料の高さ方向にも分解能を持つことから、例えば半導体試料や生体試料の観察・測定等に広く使用されている。これを蛍光顕微鏡と組み合わせた共焦点レーザー走査蛍光顕微鏡は、レーザー光によって試料内の蛍光物質の蛍光を観察する顕微鏡である。近年では共焦点レーザー走査蛍光顕微鏡において複数色(複数波長)のレーザー光を試料に照射して、試料内の複数の蛍光物質を多色に染め分けて観測する手法が多く利用される。
このとき、単色で励起していた時には無関係であった色収差の影響が、共焦点レーザー走査顕微鏡の持つ高性能な解像能力の中で大きな障害となってしまう。
たとえば、細胞内の核と微小管を異なる蛍光物質で染色し、2波長励起で観察したときを考える。このとき、軸上色収差が存在する場合は波長ごとに焦点面が異なるので、図6の(b)のように細胞の核の光軸方向での位置情報を誤認識してしまうという事が起きてしまう。
この問題に対するアプローチとして、特許文献1および特許文献2がある。
特開2001−154101号公報 特開2004−4743号公報
本発明では、上記問題を鑑み、共焦点レーザー走査顕微鏡の励起光学系の軸上色収差をより低減させる。そしてその結果、共焦点レーザー走査顕微鏡における光軸方向の位置情報を正確に取得する。
上記課題は、共焦点型のレーザー走査蛍光顕微鏡において、蛍光物質を励起するための複数波長のレーザー光を発生させるレーザー光発生手段と、前記複数波長のレーザー光を観察試料内の前記蛍光物質に照射すると共に、発光された蛍光を検出するための対物レンズと、励起光学系の光路中にある前記対物レンズの瞳位置で前記複数波長のレーザー光の瞳強度分布を変えることのできる瞳変調手段とを備えることによって解決される。励起光側の瞳強度分布を変更することによって対物レンズが持っている軸上色収差の少ないところだけを利用することができる。
前記瞳変調手段は遮光面内に輪帯状の開口領域を有する輪帯スリットを利用することが考えられる。また、遮光面内におけるそれぞれ異なる開口領域を持つ複数の輪帯スリットを挿脱可能に備え、前記対物レンズに応じて前記複数の輪帯スリットを選択することによって開口領域を変更する構成も考えられる。さらに、二枚の回転対称な形状のスリットを互いに相対的に回転することによって開口領域を変更する構成も考えられる。
前記瞳変調手段として液晶パネルの液晶配向の制御する構成では瞳強度分布を自由に変更することができる。
別の構成例では、前記瞳変調手段として一対のアキシコンプリズムから構成され、その入射光を輪帯光束に変換する方法も考えられる。さらに、一対のアキシコンプリズムの間隔を調節することによって瞳強度分布を変更する構成も可能である。
前記瞳変調手段は各波長のレーザー光ごとに設けられ、それぞれ独立に瞳強度分布を制御するように設計すれば、本発明の効果をより向上することができる。
本発明によれば、共焦点レーザー走査型顕微鏡の励起光学系の軸上色収差をより低減できる。そしてその結果、共焦点レーザー走査顕微鏡における光軸方向の位置情報を正確に取得する。
以下では図面を参照しながら、本発明について説明する。
図1は本発明の適用される、共焦点レーザー走査型顕微鏡の構成図である。この図1においてレーザー光源部1からレーザー光が発せられると、このレーザー光は波長選択素子2によって反射され、ガルバノミラー等のXY偏向器3で偏向される。この図1中ではガルバノミラーは1枚のミラーのように見えるが、実際は2枚のミラーを制御することによって、レーザー光で試料面のXY方向に走査することを可能にする。その後、レーザー光は瞳投影光学系4、対物光学系5を介して試料面の一点に照射される。この照射により励起された試料内の蛍光物質が発した所定波長の蛍光は、対物光学系5や瞳投影光学系4を逆行し波長選択素子2までの経路を戻る。このとき波長選択素子2はレーザー光源部1から発せられる波長は反射し、また試料内の蛍光物資が発する蛍光は通過するように設定しておき、ここで試料からの蛍光とレーザー光は分光される。なお、波長選択素子2は観測に使うレーザー光と試料の蛍光に応じて適宜変更すべきものであり、不図示の変更手段を備えていることは言うまでもない。
波長選択素子2を通過した蛍光は、集光光学系6によって共焦点ピンホール7に集光される。このとき、焦点面以外からの蛍光は共焦点ピンホール7に集光されずに、共焦点ピンホール7を通過することが出来ない。共焦点ピンホールを通過することが出来た蛍光は、コリメート光学系8を経由して、蛍光検出部9に導かれる。
図2は図1におけるレーザー光源部1の詳細を説明する。本発明は色収差を低減するための技術であるため、レーザー光源部1の内部には複数波長のレーザー光を発生させるように構成されている。図2ではその一例として3つのレーザー光発生装置を備えた構成を示すが、もちろんレーザー光発生装置の個数はこれ以上でも構わない。同図における例では、3つのレーザー光発生装置10はそれぞれ異なる波長のレーザー光を発生させ、2つの波長選択素子2と全反射ミラー11を組み合わせてひとつのレーザー光として出力される。典型的なレーザー光源部1は比較的大きな装置であるので、顕微鏡本体に直接は備え付けられずに、光ファイバ等を通じて顕微鏡本体に接続される。
図3は図1における蛍光検出部9の内部構成を説明する図である。本実施例ではレーザー光源部1に3つのレーザー光発生装置10を設置しているので、それに対応して光電子増倍管(フォトマルチプライア)12を3つ備える。もちろん、このレーザー光発生装置10と光電子増倍管12の個数は必ずしも対応している必要はないが、多くの用途において同数設置する方が好ましい。
図1の説明でも述べたように、波長選択素子2によって分光された蛍光は集光光学系6によって共焦点ピンホール7に集光され、その後にコリメート光学系8を経由して、蛍光検出部9に導かれる。そこで、各蛍光物質ごとに異なる蛍光の波長によって分光される。本実施例では2つの波長選択素子2と全反射ミラー11を組み合わせることによって分光し、その後、それぞれ異なる光電子増倍管12によって電気信号へ変換される。このとき、波長選択素子2は観察に利用される蛍光物質ごとに適宜変更すべき要素であり、また、典型的な波長選択素子2では余計な波長の光を通過させてしまうのでバンドパスフィルタや分光素子(プリズム、回折格子)等を利用する。しかし本発明では直接的には関係がないので図示しない。
図4は本発明が適用される共焦点型顕微鏡の特徴について、簡略化して説明する図である。(a)では検出器15によって光が検出される状況を説明する。点光源13から射出された光線はレンズ光学系14によって厚みをもった試料の一点に集光される。光源13によって照明された試料内の一点は反射あるいは蛍光し、その光はレンズを逆行し、共焦点ピンホール7に集光する。このときは光線が共焦点ピンホール7を通過することができ、検出器15によって光が検出される。
(b)では検出器15によって光が検出されない状況を説明する。焦点面16とは異なる平面上の点からの光は共焦点ピンホール7の面で集光しない。すなわち、共焦点ピンホール7を通過することはできずに、検出器15によって検出することがない。
つまり、共焦点型の顕微鏡では焦点の合う一点のみが照明され、さらにその一点の反射あるいは蛍光のみが検出される。この検出を光学系の移動あるいはステージの移動等を使って光軸方向に走査することによって試料の3次元情報を取得できる。
図5では共焦点型の顕微鏡の光学系で軸上色収差が存在した場合におこる問題点を説明する。色収差が問題となるのは、観測に使う光の波長が複数である(多色である)場合であるので、点光源13は複数波長のレーザー光源等を想定している。このとき、破線と一点鎖線で表される異なる波長の光は軸上色収差のために異なる点に集光してしまう。そして異なる波長で照らされた異なる2点からの反射あるいは蛍光が同時に共焦点ピンホール7を通り検出器15で検出されてしまう。その結果、光軸方向の位置に関して誤認識が起きてしまう。
例えば、図6は細胞の核17と細胞質18を異なる波長で励起する蛍光物質で染色した場合の例を示す。軸上色収差が完全に補正されている場合は、(a)のように正しい位置で観測されるはずのものが、軸上色収差がある場合は(b)のように誤認識されて観測される。このような誤認識が起こる理由は細胞の核17と細胞質18を励起させるためのレーザー光の波長が異なる焦点面で集光するからであり、この焦点面の差の分だけ細胞の核と細胞質の光軸方向での位置がずれてしまう。
本発明では上記のような光軸方向に対する位置の誤認識をできる限り容易な方法で低減させる。そのために対物レンズ等の軸上色収差を補正するのは困難である。その理由は紫外から赤外域のすべての波長域で色収差を補正することは困難であり、とくに紫外域の光についても色収差を補正することは非常に困難であるからである。そこで本発明では対物レンズには工夫をせずに軸上色収差の影響を低減させる方法を採用する。
本発明では対物レンズの軸上色収差を補正するわけではなく、対物レンズの軸上色収差の特徴を利用して軸上色収差の影響を低減させる。図7は2種類の典型的な対物レンズ(対物レンズ1、対物レンズ2)の球面収差の収差図である。この図において、縦軸は開口比であり横軸は収差量である。また、図示される4種類の線はそれぞれ、440.00nm, 488.00nm, 633.00nm, 587.56nmの波長における球面収差を表す。つまり、これらの波長毎の球面収差が中心軸とどれくらい乖離しているかが軸上色収差を表している。
同図から読み取れれるように、対物レンズの軸上色収差は開口比に関して一様に補正されるのではない。典型的な対物レンズは開口比80%の部分で収差が最小になるような形で補正されている。そこで、軸上色収差がもっとも良く補正されている開口比の部分だけを利用することが考えられる。もちろんそのようなことをした場合には光量が少なくなってしまうが、本発明ではレーザー照射側を制限するのみに利用するので問題はない。たとえ光量を10%に制限したとしても現在のレーザー光源は明るい蛍光像を撮像するためには十分な能力を持っている。
レーザー光の瞳強度分布を変更するもっとも単純な実施形態例は励起光光路中に図8(a)のようなリングスリットを設置することである。同図のリングスリットは遮光面内に実質的な輪帯状の開口領域を持つ。このスリット励起光光路中に設置することによって、励起光を輪帯光束に変調できる。このとき、多くの対物レンズに対応させるには,リングスリットは開口比80%付近を透過させるように設定することが好ましい。この形態の単純な発展形としては、透過させる開口比の範囲が異なる幾つかのリングスリットを選択して利用する形態である。対物レンズの収差には差があり、それに合わせてリングスリットを選択する。さらに、図8(b)のようなスリットでは、設置した状態で透過させる領域の開口比での位置を変更できる。図8(b)に図示されるスリットは半円形のスリットが開いた2枚の素子を重ね合わせたものである。この2枚の相対的な回転位置を変更することによって透過領域を変更することができる。
さらに、もうひとつの発展形としてはスリットを液晶パネルを使って実現する方法である。あるいは、液晶パネルの代わりにデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を使った方法も可能である。この方法によれば、電気的な信号によって自在に透過させる瞳強度分布を作ることができる。例えば、図9は液晶パネルを使った瞳強度分布変更例を示す。同図において、(a)は液晶パネルの拡大図の一例を示す。液晶パネルは画素毎に電圧を制御することによって光透過性を制御することができる。このパネルを瞳面に設置することによって瞳変調を行う。同図(b)は開口比の比較的小さい領域を透過させる場合の例を示し、同図(c)は開口比の比較的大きい領域を透過させる場合の例を示している。また、液晶パネルやデジタルマイクロミラーデバイスの場合、開口領域を輪帯に限らずに自由に設定することができる。このことによって、斑状に開口領域を作れば、瞳強度を多段階的に調節することも可能になる。
レーザー光の瞳強度分布を変更する別の実施形態例としては光学素子によってレーザー光を制御する方法がある。その一形態例はアキシコンプリズム19を使う構成である。図10はアキシコンプリズム19を使う構成例について説明する。アキシコンプリズム19とはひとつの光学面が円錐面をし、その円錐面に対向した面が円錐の中心軸に対して垂直な平面であるプリズムである。この円錐面と対向した平面を底面と呼ぶ。底面に垂直に入射した光線の束は円錐面で屈折をして互いに中心方向に集まる方向に進路を変える。アキシコンプリズム19から射出した光線はある程度の距離を進んだ所で互いに中心軸に対して対向した光線と交差し,その後は互いの距離が離れるように進む。その結果,アキシコンプリズム19の底面に垂直に入射された光線は、中心部に光が届かない輪帯状の光線とに変換される。図10の構成例では円錐面の角度が同じもうひとつのアキシコンプリズム19を向かい合わせて配置している。そうすることによって,広がる方向に進む輪帯状の光線を再び平行光に変換することができる。しかし、このときには中心部には光の届かない領域ができるので,輪帯状の平行光になっている。
このアキシコンプリズム19を使った構成例での開口領域を調節する方法を説明する。この構成例では二つのアキシコンプリズム19の距離によって中心部分の光線の届かない領域が決定される。そしてアキシコンプリズム19の底面に入射する光線の太さが出力される際の輪帯の幅をきめるので、アキシコンプリズム19に入射する前段に絞り20を挿入し,入射光を制限することによって、輪帯の幅を調節することができる。このアキシコンプリズムを使った構成例の長所はレーザー光の無駄が少なくて済むので,出力の小さいレーザー発生装置を使った場合にも有効に使える。
上述のレーザー光の瞳強度分布を制御する装置は、最も単純には、図1におけるレーザー光源部1と波長選択素子2の間のAで示される位置の付近に設置される。また、図2におけるBで示される位置に設置することによって、各レーザー光の波長ごとに開口比領域を制御できる構成が得られる。しかし、先述したように、典型的なレーザー光源部1は比較的大きな装置であるので、顕微鏡本体に直接は備え付けられずに、光ファイバ等を通じて顕微鏡本体に接続される。そして、光ファイバを利用した場合は、光ファイバ内の多数回反射によって、開口比領域を制限した効果は失われてしまう。つまりこの場合、図2におけるBで示される領域に設置することは好ましくない。
図1のAで示される位置に瞳強度分布を制御する装置を設置する場合においても、波長選択素子2と全反射ミラー11を組み合わせて設置することによって、波長ごとに瞳強度分布を制御できる構成が得られる。図11はこのような構成の一例を示している。同図において、入射された多波長レーザー光は波長選択素子2によって分光され、分光されたレーザー光はそれぞれの光路におけるCの位置で、上述の瞳強度分布を変更する。その後、分光とは逆の構成によってレーザー光を結合させる。このような構成によって波長ごとに瞳強度分布を制御することができる。
図12、図13はそれぞれ図7でも例示した2つの対物レンズにおける本発明の効果を示す図である。両図において、横軸はレーザー光の波長(μm)であり、縦軸は軸上色収差(μm)であり、実線はスリットでレーザー光を制限した場合を示し,破線は制限しない場合を示す。制限する開口比については図12の対物レンズ(Objective A)では開口比0.3-0.5を開口させ、図13の対物レンズ(Objective B)では開口比0.6-0.75を開口させた。両図から読み取れるように、軸上色収差には大幅な改善が見られる。
例えば対物レンズ1(図12)では、特に波長500μmの付近以上の範囲では、グラフが一様に波長軸に近い範囲にある。このことは、この範囲で軸上色収差が良く抑えられていることを示している。また、対物レンズ2(図13)においても全体を通して変動が抑えられている。特に、波長450μmから650μm付近の範囲では軸上色収差が押さえられています。
つまり、上述のような本発明の手段によって軸上色収差は改善され、その結果、従来より問題となっていた多波長励起観察を行ったときの光軸方向の位置の誤認識問題を改善することができる。
なお本発明は軸上色収差が影響する以下のようなアプリケーションとの組合せにおいて非常に有効となる。
1 細胞内のFRET(fluorescence resonance energy transfer)による分子結合状態の判別。
2 FRAP(fluorescence recovery after photobleaching)、FLIP(fluorescence loss in photobleaching)におけるブリーチ領域の正確な指定。
3 caged試薬解除における解除光の正確な領域指定。
4 pa-gfp,kaedeなどのフォトコンバージョン蛍光物質のコンバージョンさせる領域の正確な指定。
5 複数の蛍光色素で染色された細胞内小器官の正確な局在の把握。
6 FCS(fluorescence correlation spectroscopy)による細胞内または溶液中の分子間相互作用の測定。
最後に、特許文献3において開示される技術と本発明の技術との違いについて説明する。
特許2915919号公報
特許文献3においても、共焦点型のレーザー走査蛍光顕微鏡において励起光学系の光束を輪帯光束に制限する技術について述べている。しかし、特許文献3の技術は、基本的に単波長の励起を想定していると共に,光軸垂直平面内の分解能の向上を目的としている。一方,本発明では多波長の励起を想定し,光軸方向での位置情報の正確な取得を目的としている。つまり、両者は異なる技術目的を有する。
また、特許文献3では、共焦点型のレーザー走査蛍光顕微鏡において励起光学系の光束を輪帯光束に制限することによって、焦点深度が深くなることについて指摘している。特許文献3の技術課題は光軸垂直平面内の分解能の向上であるので、この性質は問題とならないが,本発明の技術課題においては影響を持ち得る。そこで、特許文献3で指摘される性質と本発明の関係について説明する。
一般に、焦点深度が深くなると光軸方向の分解能が低下してしまう。一方、本発明では光軸方向の位置情報を正確に取得することを目的としている。つまり、分解能の低下が悪影響を与えて本発明の効果を相殺してしまうように思える。しかし、本発明は軸上色収差の補正によって異なる波長の蛍光によって位置情報が誤認識される問題(色ずれ)を解決している。一方、分解能とは同波長の光を発する(あるいは反射する)2つの点を分解できる性能を意味している。その結果、分解能より高い精度でも色ずれは検出されてしまう。例えば、試料内の同じ点(あるいは同じ領域)が異なる蛍光物質で同時に染色されている場合は、分解能に係わらず色ずれが観測される。
また、現在の共焦点型レーザー走査顕微鏡の光軸方向走査の最小駆動間隔は0.01-0.05μm程度であり、この駆動間隔が光軸方向の位置の精度にとって本質的である。一方、軸上色収差は対物レンズにも拠るが、多くの場合は0.1μmから2μmである。つまり、軸上色収差の方が光軸方向走査の駆動間隔よりも大きいので、軸上色収差の補正は光軸方向の位置情報の取得にとって効果がある。つまり、特許文献3によって指摘される影響を差し置いても本発明を実施する効果は十分にあるといえる。
共焦点型レーザー走査顕微鏡の構成図である。 レーザー光源部の内部構成図である。 検出部の内部構成図である。 共焦点型顕微鏡の仕組みを説明する図である。 共焦点型顕微鏡における軸上色収差の影響を説明する図である。 軸上色収差がある場合の細胞の観察のされ方を説明する図である。 対物レンズの軸上色収差を例示する収差図である。 開口比領域を制限するためのスリットの構成例の図である。 液晶パネルを使って開口比領域を制限する構成例の図である アキシコンプリズムを使って開口比領域を制限する構成例の図である。 波長ごとに開口比領域を制限するための構成例の図である。 本発明の実施例の効果を示す図その1である。 本発明の実施例の効果を示す図その2である。
符号の説明
1・・・レーザー光源部
2・・・波長選択素子
3・・・XY偏向器
4・・・瞳投影光学系
5・・・対物光学系
6・・・集光光学系
7・・・共焦点ピンホール
8・・・コリメート光学系
9・・・検出部
10・・・レーザー光発生装置
11・・・全反射ミラー
12・・・光電子増倍管
13・・・点光源
14・・・レンズ光学系
15・・・検出器
16・・・焦点面
17・・・細胞の核
18・・・細胞質
19・・・アキシコンプリズム
20・・・絞り

Claims (8)

  1. 共焦点型のレーザー走査蛍光顕微鏡において、
    蛍光物質を励起するための複数波長のレーザー光を発生させるレーザー光発生手段と、
    前記複数波長のレーザー光を観察試料内の前記蛍光物質に照射すると共に、発光された蛍光を検出するための対物レンズと、
    励起光学系の光路中にある前記対物レンズの瞳位置で前記複数波長のレーザー光の瞳強度分布を変えることのできる瞳変調手段と
    を備えることを特徴とした共焦点型のレーザー走査蛍光顕微鏡。
  2. 前記瞳変調手段は遮光面内に輪帯状の開口領域を有する輪帯スリットであることを特徴とする請求項1に記載の共焦点型のレーザー走査蛍光顕微鏡。
  3. 前記瞳変調手段は、遮光面内におけるそれぞれ異なる開口領域を持つ複数の輪帯スリットを挿脱可能に備え、前記対物レンズに応じて前記複数の輪帯スリットを選択することによって開口領域を変更することを特徴とする請求項1に記載の共焦点型のレーザー走査蛍光顕微鏡。
  4. 前記瞳変調手段は二枚の回転対称な形状のスリットを互いに相対的に回転することによって開口領域を変更することを特徴とする請求項1に記載の共焦点型のレーザー走査蛍光顕微鏡。
  5. 前記瞳変調手段は液晶パネルの液晶配向の制御によって開口領域を変更することを特徴とする請求項1に記載の共焦点型のレーザー走査蛍光顕微鏡。
  6. 前記瞳変調手段は一対のアキシコンプリズムから構成され、その入射光を輪帯光束に変換することを特徴とする請求項1に記載の共焦点型のレーザー走査蛍光顕微鏡。
  7. 前記瞳変調手段は前記一対のアキシコンプリズムの間隔を調節することによって開口比領域を変更することを特徴とする請求項6に記載の共焦点型のレーザー走査蛍光顕微鏡。
  8. 前記瞳変調手段は各波長のレーザー光ごとに設けられ、それぞれ独立に瞳強度分布を制御することを特徴とする請求項1から請求項7の何れかに記載の共焦点型のレーザー走査蛍光顕微鏡。
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