JP2001116696A - 走査型光学装置 - Google Patents

走査型光学装置

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JP2001116696A
JP2001116696A JP29937399A JP29937399A JP2001116696A JP 2001116696 A JP2001116696 A JP 2001116696A JP 29937399 A JP29937399 A JP 29937399A JP 29937399 A JP29937399 A JP 29937399A JP 2001116696 A JP2001116696 A JP 2001116696A
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light
wavelength
deflecting
fluorescence
laser
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JP29937399A
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Eiji Yokoi
英司 横井
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Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光学フィルタを用いず、高い位置再現精度を
要する機械駆動部を必要とせず、装置構成を変更するこ
となしに多重染色された標本の多重蛍光像を高いS/N
で検出できる、簡易な構成の走査型光学装置を提供す
る。 【解決手段】 光源1,2と、光源からの光を標本21
上に集光させる対物レンズ20と、集光光を標本上で移
動させる走査手段18と、結像光学系17と、共焦点絞
り16と、標本からの光を検出する光検出装置22a,
22b,22c,22dと、共焦点絞り16を通過した
光をスペクトル分解するプリズム14と、プリズム14
からの光を受けて光検出装置に向けて光を偏向させる微
小光偏向素子アレイ12とを備えている。微小光偏向素
子アレイを構成する複数の微小光偏向素子11の各々
は、共焦点絞り16を通過した光を光検出装置に向けて
偏向させる偏向角度と、光源からの光を共焦点絞り16
に向けて偏向させる偏向角度を選択できるように構成さ
れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は複数の蛍光を同時に
検出することの出来る走査型光学装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、蛍光検出装置は、生物組織や細
胞上で蛍光標識を施したタンパク質や遺伝子等を検出す
る目的で、医学及び生物学を初め多くの分野で使用され
ている。特に近年では、複数の蛍光色素で染色した標本
を一度に観察する多重蛍光検出が、遺伝子の解析や細胞
内構造の解明に威力を発揮している。
【0003】これら蛍光検出の有効な手段として、レー
ザ走査型顕微鏡(LSM)が公知である。図6は蛍光用
LSMの代表的な光学系を説明するための図であるが、
この蛍光用LSMにおいては、夫々異なる発振波長を有
する三つのレーザ発振器101a,101b,101c
から射出されたレーザビームは、レーザ結合用ダイクロ
イックミラー102a,102bにより共通の光軸上に
結合され、その後、ビームエキスパンダー103を通っ
て適当なビーム径に拡大され、ダイクロイックミラー1
04で反射され、ガルバノメータミラー等のX−Y走査
光学系105で偏向され、瞳リレーレンズ106,対物
レンズ107を介して集光されて、標本108上に照射
される。かくして、標本108はレーザスポットにより
走査されるが、レーザビームの照射により励起された標
本108からの蛍光は、対物レンズ107からダイクロ
イックミラー104に至る経路を戻り、ダイクロイック
ミラー104を透過し、分光用ダイクロイックミラー1
09aで分光される。分光用ダイクロイックミラー10
9で反射した一方の蛍光は、結像レンズ110aで集光
され、共焦点絞り111aを通って吸収フィルタ112
aにて目的とする第1の蛍光以外の波長を有する光は吸
収または反射され、光検出器113aでは第1の蛍光の
強度が検出される。共焦点絞り111aは対物レンズ1
07の焦点位置と光学的に共役な位置に置かれて、レー
ザスポットで励起された第1の蛍光以外の光を遮断す
る。このため、得られる画像は非常にコントラストが高
く、更に、標本108と対物レンズ107の間の距離を
相対的に光軸方向に変えることによって、3次元像を得
ることが可能となる。
【0004】他方、ダイクロイックミラー109aを透
過した蛍光は、ダイクロイックミラー109bで更に分
光され、ダイクロイックミラー109bで反射した蛍光
は結像レンズ110bで集光され共焦点絞り111bを
通り、目的とする第2の蛍光のみを透過させ、吸収フィ
ルタ112bを経て光検出器113bにより第2の蛍光
の強度が検出される。また、ダイクロイックミラー10
9bを透過した蛍光は、結像レンズ110cで集光さ
れ、共焦点絞り111cを通り、目的とする第3の蛍光
のみを透過させる吸収フィルタ112cを経て、光検出
器113cで第3の蛍光の強度が検出される。以上述べ
た光学系では、各レーザ発振器11a,11b,11c
からの3波長による三重励起蛍光の同時検出が可能であ
る。レーザ波長の変更、蛍光色素の種類や励起レーザ波
長の数等、多重励起の状態が変わる毎に、ダイクロイッ
クミラー104,分光用ダイクロイックミラー9a,9
b,9c、吸収フィルタ112a,112b,112c
は最適な分光特性を有するフィルタに変更される。
【0005】この光学フィルタを用いた従来の蛍光用L
SMは、下記の如き問題点を有する。即ち、第1には、
製造上の制限から光学フィルタは自在にその分光特性を
決定することが出来ないので、蛍光光量やS/Nに限界
があり、特に吸収フィルタでは励起光を完全に遮断する
必要があるが、現状では励起波長近傍の最も蛍光強度の
強い波長領域を十分に透過させるようなフィルタを製造
することが出来ないと云うことである。第2には、励起
光波長や蛍光色素毎に専用の高価な光学フィルタを用意
せねばならず、様々な多重励起を想定した場合はフィル
タ枚数の膨大化や装置構成の複雑化と大型化を避け得な
いと云うことである。第3には、蛍光用LSMの光学系
では、多重蛍光の分光は複数の光学フィルタを経て行な
われるため、蛍光が光検出器に到達するまでに相当の光
量損失を生じると云うことである。これらの問題点は、
何れも励起光と蛍光の多重化が増せば増す程深刻であ
る。
【0006】従来、これらの問題点を改善するため、光
学フィルタを使わずに複数の蛍光波長を選択検知する方
法が提案されている。例えば、特表平9−502269
号公報に開示された技術は、プリズム等でスペクトル分
解された光束をスリット状のミラーにより透過する第1
の波長領域と反射する第2の波長領域とに分光し、更に
スリット状ミラーと第2の波長領域を制限する第2のス
リット位置及びスリット幅を制御して、任意の二つの波
長領域を選択・検出することが出来る分光装置及び共焦
点蛍光顕微鏡である。また、特願平11−72544号
に開示された技術は、共焦点絞りを透過した蛍光をプリ
ズム等でスペクトル分解し、デジタルミラーアレイ(D
MD)等の微小光偏向素子アレイで受け、この時、微小
光偏向素子の一つ一つが各々複数の光検出器に蛍光を受
光させる光偏向角度を有し、その偏向角度を任意に選択
することにより、励起波長や蛍光色素の様々な組み合わ
せに対して常に最適な蛍光検出を行い、高いS/Nをも
って多重蛍光像を得ることが出来る走査型光学装置であ
る。しかし、これらの技術は、蛍光分離のためのフィル
タを不要としたに過ぎず、励起用ダイクロイックミラー
を取り去ることは出来ない。
【0007】これに対し、米国特許第5751417号
には、励起用ダイクロイックミラーをも不要とした共焦
点LSMが開示されている。ここでは、入射励起光はス
リットアレイを透過し、分光器で波長分離される。分離
された励起光は、蛍光を透過し励起光を反射させるスリ
ットアレイである波長選択部材の該反射位置に投影さ
れ、反射した励起光は上記分光器と同じ第2の分光器に
よって共焦点スリットアレイに投影され、結像レンズ、
スキャンミラー、対物レンズを経て標本に照射される。
励起光の照射により発生した蛍光は、逆の経路を通り共
焦点スリットアレイを透過し、第2の分光器により波長
分離されて、波長選択部材に投影される。ここでは蛍光
波長は透過し励起波長は反射されるため、標本で反射し
た励起光と蛍光との分離が行なわれる。波長選択部材を
透過した蛍光は、更に上記第1及び第2の分光器と同じ
第3の分光器によって波長の広がりを空間的に元に戻さ
れ、共焦点スリットと共役な位置に配置されたスリット
アレイを透過した後、エリアセンサ若しくはマルチライ
ンセンサで撮像される。波長選択部材のスリット幅とス
リット位置を変えて、励起波長や取得する蛍光波長領域
を変更することが出来る。また、スリットの代わりにピ
ンホールを使うことや波長選択部材としてDMDを使用
することも記載されている
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、米国特
許第5751417号に開示された技術は、単波長励起
による励起光として蛍光の波長領域を変更する方法、具
体的には、スリット若しくはピンホール状の波長選択絞
りを波長分離方向に移動させるか、その絞りの大きさを
変更すると云う手段について開示してはいるが、複数の
蛍光波長を同時に検出する手段や、励起波長と蛍光色素
の多様性に対応する手段については何ら触れておらず、
そもそも多重励起の蛍光検出手段として有効な内容を含
んではいない。また、波長選択絞りをDMDに置き換え
ることも開示してはいるが、その場合の付加的な作用と
効果を理解することは困難である。更に、光源としてレ
ーザを想定しておらず、装置構成上必然的に生じるレー
ザ装置への戻り光の影響を考慮すると、レーザの使用は
困難と云える。
【0009】本発明は、上記のような従来技術の問題点
に鑑みてなされたものであり、その目的は、光学フィル
タ特に蛍光分離用フィルタだけでなく励起用ダイクロイ
ックミラーをも用いずに、また高度な位置再現精度を要
する機械駆動部を必要としない簡易な構成をもって、励
起波長や蛍光色素の様々な組み合わせに対しても装置構
成を変えることなく、多重染色された標本の多重蛍光像
を高いS/Nで検出できる走査型光学装置を提供するこ
とにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の走査型光学装置は、光源と、該光源からの
照明光を標本上に集光させる対物レンズと、前記集光さ
れた光と前記標本を相対的に移動させる走査手段と、前
記標本からの光を結像する結像光学系と、前記対物レン
ズの焦点位置と共役な位置に配置された共焦点絞りと、
該共焦点絞りを通過した前記標本からの光を検出する複
数の光検出装置と、前記共焦点絞りを通過した光を空間
的にスペクトル分解するスペクトル分解素子と、複数の
微小光偏向素子で構成され前記スペクトル分解素子から
の光を受けて前記光検出器に向けて光を偏向させる微小
光偏向素子アレイとを有する走査型光学装置であって、
前記光源は前記微小光偏向素子アレイを介して前記共焦
点絞りに照明光が入射する位置に配置され、該微小偏向
素子の各々は、前記共焦点絞りを通過した光を前記複数
の光検出装置に向けて選択的に偏向させる偏向角度と、
前記光源からの光を前記共焦点絞りに向けて偏向する偏
向角度を有し、前記微小光偏向素子はこれら複数の偏向
角度の一つを選択できるようになっていることを特徴と
している。これにより、コントラストの低下を引き起こ
す励起光を完全に排除し、且つ複数の蛍光を容易に同時
に分離することができ、常に最適な蛍光検出が可能とな
り、多重蛍光に対しても高いS/Nの明るい画像が得ら
れる。
【0011】また、上記目的を達成するため、本発明の
走査型光学装置は、前記光源と前記微小光偏向素子アレ
イとの間に、前記スペクトル分解素子と等しいスペクト
ル分離量を有する第2のスペクトル分解素子と、該第2
のスペクトル分解素子からの光を前記微小光偏向素子ア
レイに集光する第2の集光光学系を配置したことを特徴
としている。これにより、複数の波長の光を出射する光
源を用いる場合でも、アライメントが簡易で正確に行う
ことができ、且つ装置の小型化が可能となる。
【0012】また、上記目的を達成するため、本発明の
走査型光学装置は、前記光源と前記第2のスペクトル分
解素子の間にシングルモードファイバを配置したことを
特徴としている。これにより、光源光の変更や切り換え
を容易に行うことが出来るようになり、また、微小光偏
向素子上の決められた位置へ光源光を正確に投影するこ
とが容易となって、S/Nの高い像を得ることが可能と
なる。
【0013】また、上記目的を達成するため、本発明の
走査型光学装置は、前記シングルモードファイバーへ複
数の波長の光を入射させる結合光学系を備えていること
を特徴としている。これにより、光源としてレーザを用
いた場合でも、標本からの反射光によりレーザ発振の安
定性が損なわれると云うようなことがなくなり、S/N
の高い蛍光像を得ることが可能となる。また、シングル
モードファイバーはコア径が非常に小さく、出射端を略
理想的な点光源とみなすことが出来るので、高い波長分
解能を保証できるほか、出射端から出射するレーザビー
ムはレーザの配置に関係なく独立して光軸調整が行える
ことにより、レーザの変更や切換えを容易にすると云う
利点を有する。また、複数のレーザビームの出射点と光
軸を完全に一致させることが出来るため、各レーザビー
ムは正確に微小光偏向素子上の決められた位置に投影さ
せることが容易になる。
【0014】また、上記目的を達成するため、本発明の
走査型光学装置は、光源と第2のスペクトル分解素子と
の間に光アイソレータを配置したことを特徴としてい
る。それにより、光源としてレーザを用いた場合、標本
で散乱したレーザビームがレーザへ戻るのを防ぎ、安定
したレーザ出力を得ることが出来る。
【0015】また、上記目的を達成するため、本発明の
走査型光学装置は、NA1を前記共焦点絞りを通過した
前記微小光偏向素子アレイへ入射する光の開口数、NA
2を前記光源から前記微小光偏向素子アレイへ入射する
光の開口数としたとき、0.2<NA1/NA2<3な
る条件を満足するようにしたことを特徴としている。N
A1/NA2が上限の3を上回れば、入射レーザビーム
によって生ずる前記微小光偏向素子アレイ上に形成され
るスポット径が、標本から発せられた蛍光によって前記
微小光偏向素子アレイ上に形成されるスポット径に比し
て大きくなりすぎ、励起光と蛍光の分離を行う際の波長
分解能を低下させる。その結果、検出できる蛍光の波長
領域が狭まり明るさ、S/Nの点から十分な性能を発揮
できなくなる。また、NA1/NA2が下限の0.2を
下回れば、励起光としてのレーザビームの利用効率が極
めて低くなり、十分な光量を得る為に高価な大パワーレ
ーザの使用を免れない。また、使用するレーザ波長によ
っては励起光として十分な光量を得られない場合もあ
る。また更に、NA2が必要以上に大きくなりすぎる
と、上記集光光学系の収差補正が難しく多くの枚数を使
った大口径レンズが必要となるなど、装置の複雑化、大
型化を招く。
【0016】また、上記目的を達成するため、本発明の
走査型光学装置は、前記第2のスペクトル分解素子が、
前記スペクトル分解素子と光学的に共役な位置に配置さ
れていることを特徴としている。それにより、第2のス
ペクトル分解素子により角度分離された光束は、その共
役位置にある第1のスペクトル分解素子により各波長の
角度分離が元に戻されるので、総ゆる波長のレーザビー
ムが光軸を等しくして前記共焦点絞りを通過することが
でき、光軸ずれによる不具合が防止され得る。
【0017】また、上記目的を達成するため、本発明の
走査型光学装置は、前記微小光偏向素子の各々の偏向角
度を記憶する記憶部と、前記光源の波長及び蛍光色素の
情報を入力する情報入力部と、該情報入力部により入力
された情報から記憶された前記微小光偏向素子の各々の
偏向角度を再現する制御部を有する操作装置を備えたこ
とを特徴としている。これにより、多用するレーザ及び
蛍光色素や、一度実行した蛍光検出に対応する装置の状
態を、情報入力部への簡単な入力により何時でも再現す
ることができ、測定時の煩雑な作業を軽減して快適な操
作が保証される。また、測定ミスを減らし、強力なレー
ザビーム照射による標本のダメージや退色を最低限に抑
えることが出来る。
【0018】また、上記目的を達成するため、本発明の
走査型光学装置は、光源の波長に対応する前記微小光偏
向素子の位置を検出し、検出された位置情報に基づいて
前記微小光偏向素子の各々の偏向角度を決定するように
したことを特徴としている。励起用レーザビームを、標
本位置に置いたミラーで反射させるなど、何らかの手段
で前記共焦点絞りを透過させ、前記スペクトル分解素子
を経て前記微小光偏向素子アレイへ導く。この時、前記
微小光偏向素子を1素子ずつ前記光検出装置の一つへ向
け、順にその光量を検出することで、該励起用レーザビ
ームの波長に対応する微小光偏向素子の位置を検出する
ことができる。この情報に基づき、該微小光偏向素子の
各々の光偏向角度を決定することで、レーザ波長の径時
変化や環境変化に対する装置のキャリブレーションを行
ったことになり、常に最高のS/Nをもって多重蛍光の
検出が可能となる。また、レーザの発振機構と連動させ
ることで、完全に自動化されたシステムが構築できる。
【0019】また、上記目的を達成するため、本発明の
走査型光学装置は、標本から発生する蛍光を検出する光
検出装置と、標本で反射した光を検出する光検出装置を
備えたことを特徴としている。微小光偏向素子アレイに
入射する光束は、素子間の隙間、表面の傷、素子のエッ
ジ等の影響で所望の方向以外へ散乱されることがある。
特に、この散乱光が標本から戻る励起光によって発生し
たものであった場合は、取得すべき蛍光に、前記散乱さ
れた励起光が混在して励起光ノイズが画像のコントラス
トを著しく低下させる。そこで本発明では、前記微小光
偏向素子アレイへ入射する光束のうち励起光のみを少な
くとも1つの光検出装置でモニタリングすることで、励
起光に起因するバックグランドノイズを見積り、他の光
検出装置で得られた強度情報から正確にバックグランド
ノイズ成分のみを差し引くことが可能である。結果とし
て非常にS/Nの高い画像を得ることができる。また本
手法では、バックグランドノイズと蛍光は全く同時に検
出されることから、ノイズ成分の時間的変動に非常に強
いという特徴を有している。
【0020】また、上記目的を達成するため、本発明の
走査型光学装置は、前記微小光偏向素子が微小ミラー素
子から成っていることを特徴としている。これにより、
複数ある光偏向角度のステップ幅を比較的大きくとれる
ので、蛍光及び励起光の分離を確実に行うことが出来
る。また、ミラーの駆動装置は反射面の裏側に設置する
ことができ、光の利用効率を非常に良くすることが出来
る。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図示
した実施例に基づき説明する。図1は、本発明の走査型
光学装置の第1実施例の全体構成図、図2(a)はミラ
ーアレイに入射する励起光と蛍光の位置を示す図、図2
(b)は励起光の波長と蛍光色素を変更した場合にミラ
ーアレイに入射する励起光と蛍光の位置が変わる様子を
示す図、図3は微小ミラー位置と励起波長及び蛍光波長
との関係を示す図である。本実施例は、波長488n
m,568nm及び647nmを同時発振するマルチラ
インKr−Arレーザ1と、波長351nmを発振する
Arレーザ2を光源としている。各レーザ1,2から出
射したレーザビームは、ファイバカップリングレンズ3
を夫々経てシングルモードファイバ4を通り、走査型光
学装置本体5に導入される。レーザ1から出射したレー
ザビームは、レーザラインフィルタ6により励起波長を
選択される。本体5内へ導入されたレーザビームは、ビ
ームコリメートレンズ7により適宜のビーム径を有する
平行光束に変換され、ダイクロイックミラー8によって
二つのレーザ1及び2から出射したビームは混合され
る。
【0022】混合されたレーザビームは、スペクトル分
解素子であるプリズム9によって波長毎に角度分解さ
れ、集光レンズ10を経て微小光偏向素子アレイである
ミラーアレイ12上に集光する。ここで、ミラーアレイ
12は微小光偏向素子である微小ミラー素子11を、一
次元あるいは二次元に多数配列したものである。プリズ
ム9に入射したレーザビームは波長ごとにプリズムで屈
折される角度が異なるため、波長ごとに異なる微小ミラ
ー素子上に集光することになる。即ち、入射したレーザ
ビームの波長情報は、ミラーアレイ12上の位置情報に
変換されることにより、微小ミラー11を波長情報の一
単位としてデジタル化されることになる。波長毎に異な
る微小ミラー11に入射したレーザビームは、各々、微
小ミラー11の持つ複数の反射角度の一つによって、集
光レンズ13,プリズム14,コリメートレンズ15を
経て共焦点絞り16に集光するように偏向される。プリ
ズム9と14は全く等しい分散量を有していて光学的に
共役な位置に配置され、且つ集光レンズ10と13は等
しい焦点距離を持つように選定されているから、ミラー
アレイ12上で波長分離されていた各レーザビームは、
プリズム14を通った後は同軸上に混合される。共焦点
絞り16を通過したレーザビームは結像レンズ17でコ
リメートされた後、走査手段としてのガルバノメータミ
ラー等のX−Y走査光学系18で偏向され、瞳リレーレ
ンズ19,対物レンズ20を介して標本21上をスポッ
トによって二次元的に走査される。レーザビームの照射
により励起された標本21からの蛍光は、対物レンズ2
0から結像レンズ17に至る経路を戻り、共焦点絞り1
6を通過する。
【0023】共焦点絞り16を通り、コリメートレンズ
15で平行光化された蛍光光束は、プリズム14,集光
レンズ13によってその波長情報をミラーアレイ12上
の位置情報に置き換えられる。上記の通り、プリズム9
と14の分散量は等しく且つ集光レンズ10と13の焦
点距離は等しいから、ミラーアレイ12においては入射
レーザビームの分離した波長位置と標本21からの蛍光
光束の分離された波長は一対一に対応する。ここで、プ
リズム9,14は、グレーティング,音響光学,ホログ
ラフィック素子など他のスペクトル分解素子に置き換え
られても良いし、集光レンズ10,13は、シリンドリ
カルレンズなどスペクトル分解方向にパワーを有するど
のような光学系によって置き換えられても良い。
【0024】微小ミラー素子11は、各々が入射した光
束を光検出装置22a,22b,22c,22dへ向け
て反射する偏向角と励起レーザビームを共焦点絞り16
を通して標本21上へ照射する五つの選択可能な反射角
を有し、その角度選択は、入力部23を経てコントロー
ラ24からの電気信号により一素子単位で行うことが出
来る。また、使用するレーザ光源の種類や蛍光色素の種
類の情報、あるいはこれらの組み合わせの情報を入力部
23を介して入力すれば、これらの情報に関してコント
ローラ24がメモリー部25に記憶されている各微小ミ
ラー素子11の角度状態を呼出し、何時でも最適な測定
状態を再現することが出来るようになっている。また、
逆に或る微小ミラー素子11の角度状態をメモリー部2
5へ記憶させることも出来る。
【0025】共焦点絞り16を通過し、波長分離されて
ミラーアレイ12上に投影された多重蛍光の分光は、蛍
光波長に対応する微小ミラー素子11がその蛍光毎に別
々の光検出装置22a,22b,22c,22dへ向け
て反射させることで達成され、各光検出装置においてそ
の強度が検出される。この時、標本21で反射し散乱し
たレーザ光も共焦点絞り16を通ってミラーアレイ12
上に達成するが、そのレーザ光の波長に対応する微小ミ
ラー11は、そのレーザ光を励起用のレーザの入射方向
に向けて反射させるため、光検出装置22a,22b,
22c,22dの何れにおいても検出されない。
【0026】このように本実施例によれば、多重蛍光の
同時検出において、分離検出されるべき蛍光の数に関係
なく一度の反射のみで分光が行なわれるので光量ロスは
極めて少なく、また、従来必要であった励起用ダイクロ
イックミラー,分光用ダイクロイックミラー,バリアフ
ィルタを使用しないので励起光,蛍光のロスを減らし理
想的な蛍光像の検出を達成することが出来る。
【0027】次に、励起波長と蛍光色素を変える場合に
ついて説明する。先ず、351nm,488nm,56
8nmの励起波長に対して、各々の波長で励起される三
種類の蛍光色素で標本21が染色されている第一の状態
について説明する。この場合、図2(a)に示されるよ
うに、光軸を共通にした三波長混合のレーザビームλ0
がプリズム9,集光レンズ10を経て短波長側から順に
光束λ1,λ2,λ3に波長分離され、各々微小ミラー
素子11a,11b,11cに集光される。微小ミラー
素子11a,11b,11cは、各レーザビームを集光
レンズ13,プリズム14,コリメートレンズ15を経
て共焦点絞り16を通過する角度に偏向される。標本2
1から発生した蛍光は共焦点絞り16を通り、コリメー
トレンズ15,プリズム14,集光レンズ13を経てミ
ラーアレイ12上にスペクトル分解されて、各々ミラー
アレイ12の微小ミラー素子11a′,11b′,11
c′上に投影される。微小ミラー素子11a′,11
b′,11c′上に入射した蛍光は、各々光検出装置2
2a,22b,22cへ向けて反射され、夫々の光量が
検出される。この状態の微小ミラー位置と励起波長及び
蛍光波長との関係は図3(a)に示されている。図3
(a)において、横軸は微小ミラー素子の位置、縦軸は
ミラーアレイ12上に到達する励起光と蛍光の強度を表
わし、BAは検出できる蛍光波長領域を、EMは各蛍光
の分光特性を夫々示している。
【0028】次に、前記Kr−Arレーザを発振波長6
33nmのHe−Neレーザに変更して、351nmと
633nmの二波長のレーザビームで励起を行う第二の
状態について図2(b)を参照して説明する。標本21
は二種類の蛍光色素で染色されているものとし、その一
つは波長351nmの励起光照射により染色部分のカル
シウム濃度に依存して発光する蛍光の波長が変化するI
ndo−1とする。この蛍光色素は、約380nmから
420nmの短波長側の波長バンドと約470nmから
520nmに至る長波長側の波長バンドの二つの波長領
域で別々に蛍光強度を検出し、その強度比をとることで
カルシウム濃度の監視を行えることから一般的に広く使
用されている。また、もう一つの蛍光色素としてはCy
5を用い、波長633nmのレーザビームで励起させる
ものとする。この第二の状態は、全体として二波長励起
で三重蛍光を検出する場合の例である。
【0029】先ず、He−NeレーザはArレーザと光
軸を一致させて前記第一の状態同様の角度でプリズム9
へ入射させる。これらのレーザビームは、プリズム9,
集光レンズ10を経て波長分離され、351nm,63
3nm各々のレーザビームは、微小ミラー素子11a,
11dに集光する。微小ミラー11a,11dは前記第
一の状態同様に各レーザビームを集光レンズ13,プリ
ズム14,コリメートレンズ15を経て、共焦点絞り1
6を通過する角度に偏向される。かくして、標本21か
ら発せられた蛍光は、共焦点絞り16を通り、コリメー
トレンズ15,プリズム14,集光レンズ13によっ
て、ミラーアレイ12上にスペクトル分解される。波長
351nmのレーザビームによって励起された蛍光は、
ミラーアレイ12上の位置11a′1と11a′2に、
波長633nmのレーザビームによって励起された蛍光
はミラーアレイ12上の位置11d′に夫々投影され
る。ミラーアレイ12の位置11a′1,11a′2,
11d′にある微小ミラーは、各々光検出装置22a,
22b,22cへ向けて反射して別々に光量検出され、
特に光検出装置22a,22bの検出信号は、その比を
計算することでカルシウム濃度の情報に変換される。
【0030】上記のような二つの蛍光波長の比を得る場
合や複数の蛍光波長の比を得る場合、注意しなければな
らないことがある。それは、それぞれの蛍光は特定の波
長で光強度を有するのではなく、ある波長域で光強度を
有している。そのため、二つの蛍光の波長が近い場合、
一方の蛍光の長波長側が他方の蛍光の短波長側と重なり
合うことがある。この場合、それぞれの蛍光について波
長域全ての光を光検出装置で測定すると、それぞれ重な
り合っている相手の蛍光強度も測定してしまうので測定
誤差を生じてしまう。また、このような測定誤差が生じ
ないように、重なり合う波長の反対側の狹い波長域で光
強度を測定すると、光強度の絶対値が小さくなるため、
やはりS/Nが悪化して測定誤差を生じてしまう。
【0031】このような問題に対して、本実施例では検
出する波長域(波長幅)と波長位置(例えば蛍光の中心
波長)を自由にしかも容易に選択あるいは調整すること
ができるので、重なり合う波長域の影響を最小限に押え
つつ絶対強度の大きい蛍光の測定が可能になる。よって
精度の高い測定が行える。また、例えば標本のPHの変
化によって蛍光波長が変化するなどの測定環境が変化し
た場合でも、測定する波長域と波長位置を調整して測定
環境の変化に対応することができる。このように、本実
施例では多くのアプリケーションに対して有効に対応す
ることが可能である。図3(b)には、この第二の状態
の微小ミラー位置及び励起波長と蛍光波長との関係が示
されている。横軸は微小ミラー位置を、縦軸はミラーア
レイ12上に到達する励起光と蛍光の強度を、BAは検
出される蛍光波長領域を、EMはCy5の蛍光波長を、
λca1,λca2は標本のカルシウム濃度が異なる二
つの状態のIndo−1の蛍光波長を夫々表わしてい
る。
【0032】このように、励起波長及び蛍光色素の様々
な組み合わせに対し常に最適な分光が行えるのは、微小
ミラー素子が、複数の光検出装置に選択的に光束を受光
せしめる複数の反射角度と、光源から出射された光束を
微小ミラー素子アレイ上の共焦点絞りと光学的に共役の
位置に集光させる反射角度とを持ち、且つ、該複数の反
射角度の一つを任意に選択できるようになっているから
に他ならない。かくして、本実施例では、光学フィルタ
を使用することなしに、また高度な位置再現精度を要す
る機械駆動部を必要としない簡易な構成で、励起波長や
蛍光色素の様々な組み合わせに対しても、装置構成を変
更することなしに、多重染色された標本の多重励起蛍光
像を高いS/Nをもって得ることが出来る。
【0033】図4は、本発明の走査型光学装置の第2実
施例の要部構成を示す図である。図中、標本から共焦点
絞り16に至る光学的構成は第1実施例と同様であるの
で省略されており、また、第1実施例と同一の構成要素
には同一符号が付されている。この実施例では、光源と
して、波長488nm、568nm、647nmのレー
ザビームを同時に出射するマルチラインKr−Arレー
ザ1と、波長351nmのレーザビームを出射するAr
レーザ2とが用いられている。各レーザビームはダイク
ロイックミラー8で同軸上に混合された後、ビームエク
スパンダー26により適当なビーム径を有する平行光束
に変換されて、光アイソレータ27を透過する。この光
アイソレータ27は、標本から反射し散乱したレーザビ
ームの戻り光を遮断してレーザ出力を安定化させるのに
役立てられている。光アイソレータ27を透過したレー
ザビームは、ビームスプリッター28を通り、グレーテ
ィング29と集光ミラー30によって波長情報を微小ミ
ラー素子11の位置情報に置き換えられ、ミラーアレイ
12上に集光される。
【0034】波長毎に異なる微小ミラー素子11に入射
したレーザビームは、微小ミラー素子11の持つ複数の
反射角度の一つによって、集光ミラー31,グレーティ
ング32,コリメートミラー33を経て共焦点絞り16
を通過する方向に偏向される。この過程において、波長
分離された各波長のレーザビームは、グレーティング3
0と光学的に共役な位置に配置され且つ全く等しい波長
分散を有するグレーティング32と、集光ミラー30と
焦点距離が等しい集光ミラー31とにより必然的に同軸
上に混合される。集光ミラー30,31,コリメートミ
ラー33は色収差の発生を考慮する必要がなく、屈折光
学系に比べてコンパクトな構成とすることが可能であ
る。レーザビームにより励起された標本からの蛍光は、
共焦点絞り16を通り、コリメートミラー33で平行光
化され、グレーティング32と集光ミラー31によっ
て、その波長情報をミラーアレイ12上の位置情報に置
き換えられる。これらミラーアレイ12に入射した多重
蛍光の検出は第1実施例の場合と同様に行われる。
【0035】但し、標本やレンズ表面で反射散乱したレ
ーザ光が共焦点絞り16を通り抜けてミラーアレイ12
に戻ると、微小ミラー素子11同士の隙間や表面の傷で
散乱したレーザ光が光検出装置22a,22b,22
c,22dで検出される可能性があり、この場合、励起
光の混入によりS/Nの低下を引き起こす。このような
励起光ノイズの影響を排除するため、本実施例では、前
記レーザ光の戻り光をビームスプリッター28で分岐さ
せて光検出装置34により監視し、この検出データを基
にして光検出装置22a,22b,22c,22dによ
り検出された光強度から、蛍光に混在した励起レーザ光
の強度を除去する処理を行っている。そのために、最初
に標本位置にミラーを配置して、ミラーからの反射光の
量を光検出装置22a,22b,22c,22d及び光
検出装置34でそれぞれ検出しておき、光検出装置34
で測定した光強度と光検出装置22a,22b,22
c,22dで検出した光強度の比率をあらかじめ取得し
ておく。実際に標本を観察する場合は、標本から反射し
て光検出装置34で検出されたレーザ光の強度をもと
に、上記の比率に応じて光検出装置22a,22b,2
2c,22dの出力に補正を加えれば良い。なおミラー
による測定は、基本的に一度行えば良いが、装置を使用
するたびに行っても良い。以上は、標本から反射したレ
ーザ光がミラーアレイ12によって散乱された場合を想
定したものであるが、ミラーアレイ12に直接入射した
励起レーザビームの散乱光の影響は、標本のない状態で
レーザビームを出射させて、光検出装置22a,22
b,22c,22dによりバックグランドノイズとして
事前に測定を行って補正される。
【0036】このような本実施例においては、光学フィ
ルタを使用することなく、また高度な位置再現精度を要
する機械駆動部を必要としない簡易な構成で、励起波長
や蛍光色素の様々な組み合わせに対しても、装置構成を
変更することなしに多重染色された標本の多重励起蛍光
像を、高いS/Nをもって得ることが出来る。また、励
起レーザビームを単独で検出し、蛍光に含まれる励起光
ノイズを見積もって補正することにより、微弱な蛍光で
あってもノイズの少ない鮮明な画像を得ることが出来
る。
【0037】図5は、本発明の走査型光学装置の第3実
施例の要部構成を示す図である。図中、標本から共焦点
絞り16に至る光学的構成は第1実施例と同様であるの
で省略されており、また第1実施例と同一の構成要素に
は同一符号が付されている。この実施例では、光源とし
て、波長488nmのレーザビームを出射するArレー
ザ35aと、波長543nmのレーザビームを出射する
He−Neレーザ35bと、波長633nmのレーザビ
ームを出射するHe−Neレーザ35cとが用いられて
いる。各レーザビームはレーザ結合用ダイクロイックミ
ラー36a,36bにより共通の光軸上に結合され、そ
の後、ファイバカップリングレンズ3を経てシングルモ
ードファイバ4を通り、走査型光学装置本体5に導入さ
れる。ファイバ4から出射されたこれらのレーザビーム
は、ビームコリメートレンズ7により適当なビーム径に
されて、プリズム37により波長分解され、集光レンズ
38によりミラーアレイ12の微小ミラー素子11の位
置情報に対応づけられる。波長毎に異なる微小ミラー素
子11に入射せしめられたレーザビームは、その表面で
反射された後、入射時と同じ集光レンズ38,プリズム
37を通り、略同一の光軸上に混合される。プリズム3
7を出射したレーザビームは、コリメートレンズ15に
より、共焦点絞り16を通過するように集光される。
【0038】微小ミラー素子11は各々幾つかの反射角
を選択できるようになっており、レーザビームが入射し
た微小ミラー素子に対しては共焦点絞り16を通過する
角度が選択されている。また、集光レンズ38を通るレ
ーザビームは波長によらずミラーアレイ12の配列方向
に対して略垂直に入射するようにプリズム37,集光レ
ンズ38が配置されている。レーザビームにより励起さ
れた標本からの蛍光は、共焦点絞り16を通り、コリメ
ートレンズ15で平行光化されて、プリズム37及び集
光レンズ38を経ることで、その波長情報をミラーアレ
イ12上の位置情報に置き換えられ、これらミラーアレ
イ12に入射せしめられた多重蛍光の検出は第1実施例
と同様に行われる。
【0039】この実施例では、光学フィルタを使用する
ことなく、また高度な位置再現精度を要する機械駆動部
を必要としない簡易な構成で、励起波長や蛍光色素の様
々な組み合わせに対しても、装置構成を変更することな
しに、多重染色された標本の多重励起蛍光像を高いS/
Nをもって得ることが出来ると云う特徴と共に、入射レ
ーザビームと標本からの蛍光とが、同一のプリズム37
と集光レンズ38によって波長分離されるため、波長分
離されたレーザビームを確実に同一光路に混合すること
が出来る。また、入射レーザビームと蛍光の波長分離量
をミラーアレイ12上で完全に一致させることが容易と
なり、波長分離に関係する光学部品の製造誤差によって
波長分解能が低下することを防ぐことが出来る。また、
励起光と蛍光を同一の光学系で波長分離する構成である
ため、装置全体がコンパクトにすることが出来る。以上
何れの実施例においても光源としてレーザを用いた場合
について説明したが、本発明はこれに限定されるもので
はない。
【0040】以上説明したように、本発明の走査型光学
装置は、特許請求の範囲に記載した特徴の他に下記の特
徴を有している。
【0041】(1)前記シングルモードファイバへ複数
の波長の光を入射させる結合光学系を備えていることを
特徴とする請求項3に記載の走査型光学装置。
【0042】(2)前記光源と前記第2のスペクトル分
解素子との間に光アイソレータを配置したことを特徴と
する請求項2または3または上記(1)に記載の走査型
光学装置。
【0043】(3)NA1を前記共焦点絞りを通過し前
記微小偏向素子アレイへ入射する光の開口数、NA2を
前記光源から前記微小光偏向素子アレイへ入射する光の
開口数としたとき、0.2<NA1/NA2<3なる条
件を満足するようにしたことを特徴とする請求項1乃至
3の何れか又は上記(1)または(2)に記載の走査型
光学装置。
【0044】(4)前記第2のスペクトル分解素子は、
前記スペクトル分解素子と光学的に共役な位置に配置さ
れていることを特徴とする請求項2または3または上記
(1)乃至(3)の何れかに記載の走査型光学装置。
【0045】(5)前記微小光偏向素子の各々の偏向角
度を記憶する記憶部と、前記光源の波長及び蛍光色素の
情報を入力する情報入力部と、該情報入力部により入力
された情報から記憶された前記微小光偏向素子の各々の
偏向角度を再現する制御部を有する操作装置を備えたこ
とを特徴とする請求項1乃至3の何れかまたは上記
(1)乃至(4)の何れかに記載の走査型光学装置。
【0046】(6)前記光源の波長に対応する前記微小
光偏向素子の位置を検出し、検出された位置情報に基づ
いて前記微小光偏向素子の各々の偏向角度を決定するよ
うにしたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかまた
は上記(1)乃至(5)の何れかに記載の走査型光学装
置。
【0047】(7)前記複数の光検出装置は、標本から
発生する蛍光を検出する光検出装置と、標本で反射した
光を検出する光検出装置から成ることを特徴とする請求
項1乃至3の何れかまたは上記(1)乃至(6)の何れ
かに記載の走査型光学装置。
【0048】(8)前記微小光偏向素子の各々は微小ミ
ラー素子であることを特徴とする請求項1乃至3の何れ
かまたは上記(1)乃至(7)の何れかに記載の走査型
光学装置。
【0049】
【発明の効果】上述の如く本発明によれば、光学フィル
タを使用することなく、また高度な位置再現精度を要す
る機械駆動部を必要としない簡易な構成をもって、励起
波長や蛍光色素の様々な組み合わせに対しても装置構成
を変更することなしに常に最適な分光を行い、蛍光光量
の損失を著しく低減して、多重励起蛍光像を高いS/N
をもって得ることが出来る走査型光学装置を提供するこ
とが出来る。また、本発明によれば、光源として用いら
れるレーザの波長の経時変化や環境変化に対しても、煩
雑な校正作業を伴わずに、常に最高のS/Nをもって多
重蛍光の検出が可能である走査型光学装置を提供するこ
とが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の走査型光学装置の第1実施例を示す図
である。
【図2】第1実施例における波長選択の様子を示す図で
ある。
【図3】第1実施例におけるミラー位置、蛍光波長及び
励起波長の関係を示す図である。
【図4】本発明の走査型光学装置の第2実施例の要部を
示す図である。
【図5】本発明の走査型光学装置の第3実施例の要部を
示す図である。
【図6】従来の蛍光用レーザ走査型顕微鏡の光学構成を
示す図である。
【符号の説明】
1,2,35a,35b,35c 光源(レーザ) 3 ファイバカップリングレンズ 4 シングルモードファイバ 5 走査型光学装置本体 6 レーザラインフィルタ 7 ビームコリメートレンズ 8 ダイクロイックミラー 9,14,37 スペクトル分解素子(プリズム) 10,13,38 集光レンズ 11 微小光偏向素子(微小ミラー素
子) 12 微小光偏向素子アレイ(ミラーア
レイ) 15 コリメートレンズ 16 共焦点絞り 17 結像レンズ 18 走査手段(X−Y走査光学系) 19 瞳リレーレンズ 20 対物レンズ 21 標本 22a,22b,22c,22d,34 光検出装置 23 情報入力部 24 制御部(コントローラ) 25 記憶部(メモリー部) 26 ビームエクスパンダー 27 光アイソレータ 28 ビームスプリッター 29,32 グレーティング 30,31 集光ミラー 33 コリメートミラー 36a,36b レーザ結合用ダイクロイックミラ
ー λ0,λ1,λ2,λ3 光束 BA 蛍光検出波長領域 EM 蛍光波長特性 λca1,λca2 Indo−1の蛍光波長特性

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光源と、該光源からの照明光を標本上に
    集光させる対物レンズと、前記集光された光と前記標本
    を相対的に移動させる走査手段と、前記標本からの光を
    結像する結像光学系と、前記対物レンズの焦点位置と共
    役な位置に配置された共焦点絞りと、該共焦点絞りを通
    過した前記標本からの光を検出する複数の光検出装置
    と、前記共焦点絞りを通過した光を空間的にスペクトル
    分解するスペクトル分解素子と、複数の微小光偏向素子
    で構成され前記スペクトル分解素子からの光を受けて前
    記光検出器に向けて光を偏向させる微小光偏向素子アレ
    イとを有する走査型光学装置であって、前記光源は前記
    微小光偏向素子アレイを介して前記共焦点絞りに照明光
    が入射する位置に配置され、該微小偏向素子の各々は、
    前記共焦点絞りを通過した光を前記複数の光検出装置に
    向けて選択的に偏向させる偏向角度と、前記光源からの
    光を前記共焦点絞りに向けて偏向する偏向角度を有し、
    前記微小光偏向素子はこれら複数の偏向角度の一つを選
    択できるようになっていることを特徴とする走査型光学
    装置。
  2. 【請求項2】 前記光源と前記微小光偏向素子アレイと
    の間に、前記スペクトル分解素子と等しいスペクトル分
    離量を有する第2のスペクトル分解素子と、該第2のス
    ペクトル分解素子からの光を前記微小光偏向素子アレイ
    に集光する第2の集光光学系を配置したことを特徴とす
    る請求項1に記載の走査型光学装置。
  3. 【請求項3】 前記光源と前記第2のスペクトル分解素
    子の間にシングルモードファイバを配置したことを特徴
    とする請求項1又は2に記載の走査型光学装置。
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