JP4939703B2 - 走査型レーザー顕微鏡 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、走査型レーザー顕微鏡に適用されるミラーの駆動機構と、この駆動機構によって駆動されるミラーを備えた走査型レーザー顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開2000−56233号公報には少なくとも1つの照射光波長分離用分散素子と、少なくとも一波長領域を対象とした顕微鏡照射方向への再反射のための、少なくとも部分的に反射する、照射光波長分離部分に配置された少なくとも1つの素子とから成っていて、顕微鏡、特に共焦点顕微鏡の照射光路における波長または波長領域を調整下で集束化するための装置が開示されている。
【0003】
図22は上記共焦点走査型レーザー顕微鏡の構成を示す図である。ファイバーFから出た光はレンズKにより平行光にされ、分散素子DPに入射する。分散素子DPがレーザー光に含まれる波長に分解し、その分解された光線、例えばλ1、λ2、λ3は、これらが集束する位置に小さなミラーS1、S2、S3を有し、その他の部分は透明になっているミラー保有体である素子STに到達する。
【0004】
なお照射光線は分光プリズムの中心から離れて上方部に導光されるので、個々の部分光線λ1、λ2、λ3はレンズL1の上方部に入り、そこから少し斜め下方に進んで小型ミラーS1、S2、S3上に集束し、そこでの反射と同時に光路はさらに下方に傾き、レンズL1を通過して素子DPの下方に戻る。
【0005】
小型ミラーS1、S2、S3からの戻り光線は分散素子DPの通過後には分散が元どおり集束し、複数波長をもった光としてレンズを通過し、ピンホールを通過して顕微鏡に導かれ、図23に示されているように顕微鏡対物レンズを通過して対象物に達する。
【0006】
対象物からの蛍光は小型ミラーS1、S2・・・それぞれの中間領域に到達し、図24に示すように小型ミラーS1、S2・・・の透光部分STを通過する。透光部分STを通過した各評価光路に対応して楔型プリズムGK(ここではGK1、2、3、4)が配置されており、この楔型プリズムGKを2軸に可動に構成することによって、波長域が制限可能に構成され、各評価光路に配置された光検出器で検出される。
【0007】
上述したように、特開2000−56233号公報は走査型共焦点レーザー顕微鏡をベースに、少なくとも1つの照射光波長分離用分散素子と、少なくとも一波長領域を対象とした顕微鏡照射方向への再反射のための、少なくとも部分的に反射する、照射光波長分離部分に配置された少なくとも1つの素子とを有し、照射光路における波長または波長領域を調整下で集束可能に構成することにより、波長分離のための光学的フィルター(励起光と蛍光を分離するためのダイクロイックミラー)を必要としない、自由度の高い走査型共焦点レーザー顕微鏡を提供可能にしている。
【0008】
しかし、レーザー光は光学系を通過、または反射することにより、徐々にそのビーム品質を劣化させる。この劣化は一方的に起こり、復元することはない。ビーム品質が劣化すると、本来対物レンズが有する集光性能がでなくなり、回折スポットが広がってしまうため、共焦点レーザー顕微鏡としての面内解像度、共焦点効果ともに劣化させてしまう。つまり、共焦点レーザー顕微鏡の性能は特に、照明光路における光学的な精度によるところが大きい。
【0009】
レーザー光のビーム品質劣化の原因として、特にミラーの面精度不良に起因する場合が多い。通常、ミラーは1/10λ以下の面精度が要求されるが、特開2000−56233号公報に係る構成では、小型ミラーS1、S2・・・に対してレーザー光は集光して反射されるので、より高い面精度が要求される。また、ミラー面に付着する挨がビーム品質の劣化に重大な影響を及ぼす。
【0010】
この埃について考慮すると、自然界に存在し装置内を浮遊した挨がミラー面に付着する可能性がある。それに加えて、レーザー光を集光させると集光位置で光トラップ効果が生じるので、装置内に浮遊している挨をレーザー光そのものが集塵する可能性もある。更に、近年、蛍光蛋白を使用したアプリケーションとして、蛍光退色法が広く利用されるようになった。この手法は単にレーザー光を試料に照射して試料からの蛍光を検出するだけでなく、試料の蛍光物質を積極的に退色させ、蛍光物質の復元を観察する方法で、通常の蛍光観察に比べると、強いレーザーパワーが要求される。従って上述したような光トラップによる集塵の可能性が更に高まる。
【0011】
また、試料からの2光子蛍光を観察するためのレーザー顕微鏡が近年特に注目を集めているが、2光子蛍光を発生させるためには試料に数ミリワットから数十ミリワットの強いレーザーパワーが要求される。従って、光トラップによる集塵の可能性は極めて大きくなる。
【0012】
特開2000−56233号公報に係る構成で上記アプリケーションを満足させ、さらに、2光子蛍光を観察するための装置を提供するには、装置内の挨を極めて高いレベルで排除しなければならない。従って、製作面でのコストに重大な影響を与える。
【0013】
また、特開2000−56233号公報に係る構成は、光検出器の配置の自由度が低く、制限されるという問題を有する。
【0014】
特開2000−56233号公報に係る構成では、試料からの光は小型ミラーS1、S2・・・のそれぞれの中間領域に到達し、図24に示すように小型ミラーS1、S2・・・の透光部分STを通過する。透光部分STを通過した各評価光路に対応して楔型プリズムGK(ここではGK1、2、3、4)が配置されており、この分散により各光束が曲げられて、さらにレンズKOにより集光される。
【0015】
しかしながら、図25に示すように楔型プリズムGKを通過しない光束も異なる角度で光検出器方向に向かうことになり、この角度差はプリズムの楔角を大きくとってもせいぜい60度程度である。なお楔型プリズムの楔角を大きくとると、屈折角は大きくなるが、集光位置から楔型プリズムヘの入射位置までの距離が離れるので波長分解精度が低下する。つまり、角度差と波長分解精度は相反する関係となっている。
【0016】
従って、特に、光検出器にサイドオンタイプのフォトマルチプライヤーを用いる場合は、レイアウトが制限され、光検出器の位置をミラー保有体である素子STから遠ざけねばならず、装置が大型化してしまう。これは試料からの光をミラー保有体である素子STの位置で透過させ、プリズムで屈折させることにより所望のスペクトル域を制限させる前記従来技術の構成をとるかぎり避けられない欠点である。
【0017】
更に、特開2000−56233号公報に係る構成では、分離された各光検出光路に独立の共焦点絞りを配置していない、また配置することが構成上極めて困難である。
【0018】
一般的に試料からの蛍光は、光検出器にフォトマルチプライヤーを必要とするほど微弱であるのが普通である。また、蛍光試料は励起光(レーザー光)を強く当てるほどに退色が激しくなるので、観察者は試料の退色と、得られる画像イズのバランスを見て、許容できる範囲内で、可能な限り励起光量を下げようとするのが普通である。従って、この種の装置では蛍光のロスを極力抑えることが極めて重要なポイントになる。
【0019】
2つの蛍光色素(DAPI、CY5)で標識された試料について考える。
DAPIはUV域(340〜365nm)に吸収波長域をもち、放出される蛍光波長は、ほぼ450nmにそのピークがあらわれる。一方、CY5は赤色域(630〜650nm)に吸収波長域をもち、蛍光波長は、ほぼ670nmにそのピークがあらわれる。
【0020】
ここで、これらの蛍光が結像位置で形成されるスポットについて、図23を参照して述べる。
【0021】
対物レンズ21´で試料22´上にレーザースポットを形成し、ここから放射される蛍光は、対物レンズ21´、結像レンズ20´、瞳投影レンズ19´を経て、共焦点絞り16´が配置されている位置、すなわちレンズ17´による結像位置にそのスポットを結ぶ。なおスポット径(回折径)は次式で表わされる。
【0022】
φ=1.22×λ/NA
ここでNAはレンズ21を出射する出射開口であり、λは波長である。
【0023】
この式からスポット径はDAPI(蛍光波長450nm)とCY5(蛍光波長670nm)では約1.5倍ほど異なり、CY5の方が大きい。
【0024】
従って上記従来技術では、共焦点効果を確保するためにDAPIのスポット径に合わせて共焦点絞り28の径を設定することになる。これはDAPIに対しては最適に設定されていることになるが、CY5に対しては、不必要に共焦点絞り28により絞られてしまい、貴重な蛍光を失ってしまう。逆に共焦点絞り28の径をCY5に合わせると、DAPIは十分な共焦点効果が得られないという欠点がある。このように、各検出光路に共焦点絞りを配置していないので、前述したような欠点を有する。
【0025】
また、各検出光路に試料からの蛍光が分散する方向とは異なる方向に分散する楔型プリズムが少なくとも1個は存在するので、これらの光路にそれぞれ共焦点絞りを配置するのは現実的には困難である。なぜならば、分散をさらにキャンセルして光束を集束させるためのプリズムを再配置し、これを上記楔型プリズムの動きに同期して動かさなければならないからである。
【0026】
更に、上記の従来の構成では、数種類のレーザー光に対応するために、レーザー光の反射用の小型ミラーの交換、調整をおこなわなくてはならない。
【0027】
上記のように、レーザー光は、分散素子DPでレーザー光に含まれる波長に分解された光線は、これら集光する場所に小さなミラーS1、S2、S3を有し、その他の部分は透明になっているミラー保有体である素子STに到達する。つまり、レーザー光が波長と集束するところでは必ず小さなミラーが、例えばミラー保有ガラス棒として配置されている。
【0028】
また、棒状励起選択器(小型鏡S1、S2、S3・・・付き鏡保有体ST)は取り換えることができるので、単一または複数の波長をも任意に構成することができる。
【0029】
この従来例では、励起光であるレーザー光を反射させ、蛍光を含む試料からの光を光検出器へ導くために小型ミラーS1、S2、S3・・・を有し、その他の部分は透明になっているミラー保有体である素子STが必要となる。このミラー保有体STで、単一の波長または複数の波長域の励起光に対応可能ではあるが、様々な組合せが考えられるレーザー光には、その度に保有体STもしくは小型ミラーの交換が必要となる。しかし、この保有体STには、小型ミラーでレーザー光を確実に反射させ顕微鏡に導くために、小型ミラーの角度やミラー部の位置に高い精度が要求されるので、交換時に精度を出すための難しい調整が必要となる。
【0030】
また、従来の構成は、蛍光を最良の条件で検出することが難しいという問題を有する。例えば、励起波長が488、543、633nmに対応したスペクトル域に小型ミラーを有するSTを使用して、2つの蛍光色素(FITC、CY5)で標識された試料の蛍光観察を行う場合を考えると、その励起波長には488、633nmを使用する。従って、543nmの波長は使用しない。
【0031】
このとき、FITCで標識された部分から放出される蛍光は、543nmの波長を含んでいる。しかし、543nmの波長の光は、小型ミラーにより反射してしまうので試料からの蛍光として検出することができない。従って、ミラー保有体STをひとつで数多くのレーザー光に対応させるには小型ミラーを数多く配置する必要がある。しかし、そのようにすることで、多くのレーザー光に対応可能となるが、励起光として使用していないレーザー光の波長と同じ波長を持つ試料からの光に含まれる蛍光を必ず反射させてしまうことになる。
【0032】
上記の従来技術とは別に、特表平9−502269号公報には、蛍光光束をプリズム等のスペクトル分解手段により分光し、一方では第1スペクトル範囲を絞り込み、他方では絞りを通過しないスペクトル範囲の少なくとも一部分を反射して第2スペクトル範囲をなす2つの光路を構成し、それぞれの光路に対して光検出器を設けた分光装置が開示されている。
【0033】
特表平9−502269号公報の分光装置216の構成を図26を参照して説明する。
選択装置225は、光束214を分解するスペクトル分解手段227と、一方では第1スペクトル範囲229を絞り込み、他方では絞りを通過しないスペクトル範囲の少なくとも一部分230を反射する手段228とを有している。光検出器226は、絞り込まれた第1スペクトル範囲229の光路に配置された第1光検出器231と、反射されたスペクトル範囲の光路に設置された第2光検出器232とを有している。さらに選択装置225は、反射されたスペクトル範囲230の光路に設置され、第2スペクトル範囲234を絞り込む手段233を有する。第2光検出器232は、絞り込まれた第2スペクトル範囲234の光路に設置されている。
【0034】
以上は2個の光検出器を有する装置の構成を示したものであるが、特表平9−502269は3個の光検出器を有する装置の構成についても開示している。この構成を図27に示す。
【0035】
反射されたスペクトル範囲230の光路に設置され、一方では第2スペクトル範囲234を絞り込み、他方では絞りを通過しないスペクトル範囲の少なくとも一部分235を更に反射する手段233を有する。第2光検出器232は、絞り込まれた第2スペクトル範囲234の光路に設置され、第3光検出器236は、更に反射されたスペクトル範囲235の光路に設置されている。更に、反射されたスペクトル範囲の光路に第3スペクトル範囲239を絞り込む手段238が設置され、第3光検出器236は、絞り込まれた第3スペクトル範囲239の光路に設置されている。
【0036】
上記のようにして、合計3つのスペクトル範囲229、234、239を選択、光検出することが可能になっている。
【0037】
次に、LEICA社のレーザー顕微鏡TCS−SPのカタログからの抜粋図を図28に示す。ここにはプリズムと反射手段との間に集光レンズが配置されている構成が開示されている。なお集光レンズ以外の光検出部の構成は図26に示す構成と同じである。
【0038】
特表平9−502269の構成では、光束214がスペクトル分解手段227でスペクトル分解され、一方では第1スペクトル範囲229を絞り込み、他方では絞りを通過しないスペクトル範囲の少なくとも一部分230を反射する手段228(可変スリット)で、各蛍光の波長域に分割している。しかし、光束214の光束径はある程度の大きさを有するので、十分な分光分解能で各検出光路に分割されないという欠点がある。分光分解能を上げるにはスペクトル分解手段227と反射手段228の距離を長くとればよいが、装置が大型化するので現実的ではない。
【0039】
光束径の大きさで分光精度が制限されるという欠点を補う手段として、LEICA社のレーザー顕微鏡TCS−SLのカタログに係る図28が示すように、スペクトル分解手段の後方に集光レンズを配置している。これにより光束を回折径にまで絞れるので、図26に示す集光レンズが無い構成よりも分光分解能が向上している。
【0040】
しかし、いくら集光レンズにより光束を集光しても、集光位置は、例えば、図26において、絞り込み手段228と233の両方に最適な位置に設定することはできない。仮に集光位置を絞り込み手段228に設定するとする。この場合、絞り込み手段228では光束は回折径にまで絞られているので、極めて高い精度の分光が可能であるが、絞り込み手段233の光学的な位置は集光位置から大きくはずれ、従ってこの位置では光束は広がってしまっているので、高い精度の分光を実現できない。
【0041】
従って同じ分光精度を得ようとすると、集光位置を絞り込み手段228と233の中間位置に設定することになるが、この場合はどちらに対しても集光位置からずれているので、理想的な分光精度を実現することはできないことになる。
【0042】
なお、光検出器を3個有する構成の場合は、絞り込み手段228と絞り込み手段238の距離が更に大きくなるので、上述したような欠点はなおさら顕著に現れる。
【0043】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、改良されたミラー駆動機構および前記ミラー駆動機構によって駆動されるミラーを備えた走査型レーザー顕微鏡を提供することを目的とする。
【0044】
具体的には、以下の通りである。
(1) 対物レンズにレーザー光が導かれるまでの(照明)光路中にレーザー光のビーム品質の劣化を抑えることができること。また、装置中に浮遊する挨が光学系に付着することによるによるレーザー光のビーム品質の劣化を受けにくいこと。
(2) サイドオンタイプのフォトマルチプライヤーでも容易に配置できるような、レイアウトの自由度が高いこと。
(3) 分離された各光検出光路に独立の共焦点絞りを配置することが容易なこと。
(4) 波長分解能が極めて高いこと。
(5) 様々な波長のレーザー光に対応でき、光学素子の難しい調整、交換を必要としないこと。
【0045】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するために次のような手段を講じた。
【0046】
本発明の第1の態様による走査型レーザー顕微鏡は、少なくともひとつのスペクトル域を有するレーザー光を走査装置により対物レンズを介して試料上を走査し、前記試料からの蛍光を所望のスペクトル範囲に絞り込んで光検出する走査型レーザー顕微鏡において、少なくとも1つのスペクトル域からなる前記レーザー光をスペクトル分解するスペクトル分解手段と、スペクトル分解された前記レーザー光を集光する第1の光学手段と、前記レーザー光をコリメートして前記試料へ導く一方で、前記試料からの光を集光する第2の光学手段と、スペクトル分解された前記レーザー光を合成する一方で、前記試料からの光をスペクトル分解するスペクトル合成/分解手段と、前記第1の光学手段と前記第2の光学手段の略焦点位置に配置され、少なくともひとつのスペクトル域のレーザー光は通過させ、試料からの光の一部を反射する少なくとも1つの反射手段と、前記反射手段により導かれた試料からの光を検出する光検出器と、を具備することを特徴とする。
【0047】
本発明の第2の態様による走査型レーザー顕微鏡は、少なくとも1つのスペクトル域からなるレーザー光を走査装置により対物レンズを介して試料上を走査し、前記試料からの蛍光を所望のスペクトル範囲に絞り込み、光検出する走査型レーザー顕微鏡において、少なくとも1つのスペクトル域からなる前記レーザー光をスペクトル分解するスペクトル分解手段と、スペクトル分解された前記レーザー光を集光する第1の光学手段と、前記第1の光学手段の略焦点位置に配置され、スペクトル分解された前記レーザー光を少なくとも部分的に前記試料への光路へ向けて反射させる一方で、前記試料からの光を波長幅と波長域を調整可能に通過させる少なくとも1つの反射手段と、前記反射手段で反射された、前記レーザー光をコリメートする一方で、前記試料からの光を前記反射手段に略集光する第2の光学手段と、スペクトル分解された前記レーザー光を合成する一方で、前記試料からの光をスペクトル分解するスペクトル合成/分解手段と、前記反射手段を通過した試料からの光を検出する光検出器と、を具備することを特徴とする。
【0082】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る走査型レーザー顕微鏡の概略構成を示す図である。なお、図1(a)は全体図であり、図1(b)は、3角形状のミラー11a、11bの側面図(図1(a)の1B−1B矢視図)である。
【0083】
レーザー光源1は多波長の発振線を有するアルゴンレーザーであり、457.9nm、488nm、及び514.5nmの3本の発振線を有する。レーザー光源2はヘリウムネオンレーザーであり、543nmの発振線を有している。これらのレーザー光はビーム合成用のダイクロイックミラー3によりビーム合成されて、AOTF4に入射する。AOTF4は、上記4本の発振線に対して選択フィルターとして機能する。具体的には、AOTF4は、各発振線に対応するRFを選択的にかけることによって、光ファイバー5に選択的に発振線を導光することができる。
【0084】
光ファイバー5を出射したレーザー光はコリメートレンズ6により平行光線となって出射し、プリズム7(S1)に入射する。ここで選択された発振線(ここでは457.9nmと514.5nm)は光路を曲げられ、それぞれレーザー光8a、8bとして出射する。これらのレーザー光はそれぞれ集光レンズ9(A1)により、焦点位置にそれぞれ10a、10bとして集光する。集光レンズ9(A1)の略焦点位置に配置された2軸方向(紙面に垂直な方向と図1の矢印方向)に可動な3角形状のミラー11a、11bは10aと10bの位置で通過するレーザー光8a、8b以外は遮光するように位置調整されている。3角形状のミラー11a、11bを通過したレーザー光8a、8bはレンズ12(A2)により平行光に戻され、さらにプリズム13(S2)で合成されて1本のレーザー光14となってレンズ15に入射する。なお光学系440と光学系441は本実施形態においては全く同じものが対称的に用いられている。
【0085】
レーザー光14は、レンズ15の焦点位置に配置された絞り16を通過してレンズ17に入射し、このレンズ17で平行光にされてX−Yスキャナ18に入射する。
【0086】
X−Yスキャナ18を出射したレーザー光は、瞳投影レンズ19、結像レンズ20を透過して、対物レンズ21により試料22上を集光して走査する。
【0087】
試料22からの蛍光及び試料22を反射したレーザー光は光路を逆にたどる。
なお、絞り16は試料22と光学的に共役な位置に配置されているので、絞り16は共焦点絞りとして機能する。
【0088】
絞り16を通過した前記光線はレンズ15により平行光線にされ、プリズム13(S2)にてスペクトル分解される。すなわち、試料22を反射したレーザー光は光路を完全に逆にもどり、457.9nm、514.5nmのレーザー光で励起され、試料から放出された蛍光はそのスペクトル特性によりスペクトル分解され、レンズ12(A2)の焦点位置(レンズ9(A1)の焦点位置でもある。
)に集光する。
【0089】
これらの蛍光は頂角を有する形状のミラー11a、11bを反射し、それぞれレンズ23a、23b(光学手段(A3))を通過して光検出器24a、24bで検出される。
【0090】
なお、光検出器24a、24bの検出部24a′、24b′はそれぞれレーザー光のプリズム7(S1)への入射位置30、試料からの光がプリズム13(S2)へ入射する位置31と光学的に共役な位置になるように配置されている。
【0091】
ここで3角形状のミラー11a、11bの構成及び作用について図2を参照して詳しく説明する。
【0092】
ミラー11a、11bはそれぞれX−Yステージ125a、125bにより可動に構成されている。ミラー11a、11bをY方向に移動させることにより、光検出器24a、24bにむけて反射する光線のスペクトル幅を自在に設定することができ、またX方向に移動させることにより、スペクトル域を、それぞれ自在に設定することができる。なお、ミラー11a、11bはそれぞれレンズ9(A1)の焦点位置として形成されるスペクトル集光線340に対してα=15度だけ仰角をもって配置されている。
【0093】
上記例では、レーザー光として、457.9nmと514.5nmの発振線に対応するようにミラー11a、11bの位置関係を設定しているが、4本の発振線のうち任意の2本の組合せ、或いは任意の1本に対してミラー位置を設定することもできる。
【0094】
観察対象である試料の蛍光特性によりレーザー光の発振線が選択されると、指示器26により制御器27に司令信号が出され、制御器27はAOTF4を制御して目的の発振線に対応するRFを出力するとともに、ステージ125a、125bを駆動して、目的の発振線は通過して、試料からの蛍光は最大に検出されるようにミラー11a、11bの位置を制御する。もちろん、試料が2重染色であり、蛍光のクロストークが問題となる場合は、X−YステージをY方向に駆動して、光検出器に向けて反射するスペクトル幅を制限することも可能であり、或いはX−YステージをX方向に駆動してスペクトル域をシフトすることも指示器26により可能である。
【0095】
図2は、例えば457.9nmの発振線が1本だけ選択された場合に、試料からの蛍光を全スペクトル域にわたって検出する場合のミラー11aの位置を示した図である。図2において、457.9nmの波長のレーザー光はミラー11aをすり抜け、試料からの蛍光はミラー11aの全幅で反射され、光検出器24aで検出される。
【0096】
図3は試料からのスペクトル分布を検出する場合のミラー11aの動きについて示す図である。
【0097】
ミラー11aはレンズ12(A2)で集光されるスポット径と同等の幅を持つようにステージ125aをY方向に駆動して、光検出器24aで検出される検出信号を記憶する。また、この時、ミラー11aをX方向に駆動しながら適当なサンプリング信号に同期させている。
【0098】
これにより試料からの蛍光スペクトル分布を得ることができる。
【0099】
上記のように、試料からの蛍光に対して、波長幅と波長域の両方を調整可能にして各光検出器に導光、検出できるようにしたので、様々な蛍光試料に対応できる。更に、試料が2重染色されたものであっても、蛍光のクロストークを容易に抑えることができる。
【0100】
また、選択されたレーザー発振線に対して自動的にミラー11a、11bを設定できるようにしたので、使い易い。なお、ミラー11a、11bは、目的とする発振線以外の光束を遮光するためにも使用することができる。
【0101】
更に、光検出器24a、24bの検出部24a′、24b′が、それぞれレーザー光のプリズム7(S1)への入射位置30、及び試料からの光がプリズム13(S2)へ入射する位置31と光学的に共役な位置になるように配置されている。従って、ミラー11a、11bの移動があっても、蛍光光束は光検出器24a、24bの検出部24a′、24b′の位置で振れることがなく、光検出器にサイドオン型のフォトマルチプライヤーのような感度分布特性をもつような検出器を用いても安定した光検出を行うことができる。
【0102】
上記の第1の実施形態では光学手段(A1)、(A2)としてレンズを使用しているが、レンズの替わりに放物鏡のような凹面鏡であってもよい。この場合、色収差が生じないので各波長のレーザー光、及び試料22からの蛍光はスペクトル集光線340上に完全に集光する。従って、高い波長分解能を得ることができる。
【0103】
また、本実施の形態を含む下記の各実施形態において、スペクトル分解手段(S1)、スペクトル合成/分解手段(S2)のうちのいずれか一方、又は両方に対して回折格子を使用しても良い。この場合、回折格子は分散量を大きく取れるので前記光学手段(A1)と(A2)の焦点距離を小さくすることができる。従って、装置の小型化が可能になる。
【0104】
(第2の実施形態)
図4は、第2の実施形態に係る走査型レーザー顕微鏡の概略構成を示す図である。図4において、図1と同じ部分には同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。なお、以下の各実施の形態において、ミラーの駆動部分の構成は、特に断らない限り図1と同じである。
【0105】
プリズム13(S2)を出射したレーザー光は光路に挿脱可能に構成された中間倍率変更手段32を経て、X−Yスキャナ18に入射する。中間倍率変更手段32の倍率を設定することにより、対物レンズ21の瞳径にレーザー光束が略一致するようになっている。
【0106】
図4で試料からの光はミラー11a、11bで反射されてそれぞれレンズ23a、23bに入射し、平行光線となってプリズム28a、28bに入射し1本のビームに合成される。
【0107】
なお、光学系442a、442bには光学系441、440と全く同じものが用いられている。
【0108】
各プリズムを出射した光線は共焦点レンズ29a、29bの焦点位置に配置された共焦点絞り16a、16bを通過して光検出器24a、24bで検出される。
【0109】
共焦点絞り16a、16bは絞り径が電動により可変できるように構成されており、試料22の蛍光特性に対して自動的に設定される。絞り径の制御は、例えばミラー11a、11bの位置に対応した波長から絞り径を演算し、図示しない制御部で制御するようにしても良い。
【0110】
また複数の対物レンズ21が図示しないレボルバに取り付けられており、指示器26の司令信号を受けて、制御器27により光路に選択的に挿入される。対物レンズは開口数と倍率により瞳径が異なるが、瞳径の大きな対物レンズが選択された場合には制御器27により光路に中間倍率変更手段32(入射レーザー光束に対して光束径を拡大して出射する。)が自動的に挿入され、瞳径の小さな対物レンズが選択された場合には中間倍率変更手段32は光路から外されるように構成されている。
【0111】
このように、本実施形態においては、瞳径の大きな対物レンズ21が選択されても、瞳径の小さな対物レンズ21が選択されても、対物レンズ21への入射レーザー光束は対物レンズ21の瞳径にほぼ一致させることができる。従って、照明光の損失を抑えるだけでなく、対物レンズが有する最大の結像性能を得ることができる。
【0112】
更に、試料からの蛍光光束は、瞳径の大きな対物レンズが選択されても、瞳径の小さな対物レンズが選択されても、プリズム13に入射する蛍光光束径はほぼ一定(プリズム13を出射するレーザー光束径とほぼ同じ径)になる。従ってレンズ12(A2)で集光するスポット径は選択される対物レンズによらずほぼ一定になるので、ミラー11a、11bによる波長分解能はほぼ一定に保たれる。
【0113】
本第2の実施形態では中間倍率変更手段32を光路に挿脱することにより、2段階に対物レンズ21の瞳へのレーザー入射光束を変更可能にしているが、中間倍率変更手段32としてズーム光学系を使用することも考えられる。この場合、光路に選択された対物レンズ21に対して最適なレーザー入射光束を与えることが可能となる。
【0114】
上記のように、第2の実施形態によれば、各検出光路に独立して共焦点絞りを配置しているので、試料の蛍光スペクトル特性に対して最適な絞り径に設定できる。従って、蛍光を損失することなく共焦点効果を得ることができる。
【0115】
また、プリズムと光検出器の間に共焦点絞りを配置しているので、レーザー光の散乱光が光検出器で検出され難いという利点がある。
【0116】
更に、光路に選択された対物レンズ(の瞳径)にかかわらず、波長分解能をほぼ一定にすることが可能であるとともに、対物レンズが有する最大の結像性能を得ることができる。
【0117】
(第3の実施形態)
図5は、第3の実施形態に係る走査型レーザー顕微鏡の概略構成を示す図である。図5において、図1と同じ部分には同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。図5に示すように、本実施形態においては、シングルモードファイバー540の両端をそれぞれレンズ15及びレンズ17の焦点位置に配置して、顕微鏡/走査装置部41と分光器部42を前記シングルモードファイバー540で接続している。これにより、顕微鏡/走査装置部41と分光器部42を別ユニットとして構成している。さらにレーザー光源部43と分光器部42もシングルモードファイバー5で接続されている。なおシングルモードファイバー540は空間フィルターとして機能するので、共焦点絞りとして機能する。
【0118】
顕微鏡/走査装置部41と分光器部42及びレーザー光源部43を別ユニットとして構成しているので、顕微鏡及び/走査装置部41を小型にでき、自由度の高いレイアウトが可能になる。
【0119】
(第4の実施形態)図6は、第4の実施形態に係る走査型レーザー顕微鏡の概略構成を示す図である。図6において、図1と同じ部分には同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。なお、図6において、図6(a)は全体概観図であり、図6(b)は、主要部の正面図である。図6に示すように、ミラー11a、11bは、それぞれ、その反射面がスペクトル集光線340を含むように配置され、さらに、反射面が入射光束に対して角度βをなすように、わずかに上方、下方に傾いて配置されている。
【0120】
ミラー11a、11bの反射光はそれぞれ60a、60bとしてレンズ12に入射し、光検出器24a、24bで検出される。
【0121】
ミラー11a、11bは、図1に示すようなそれぞれステージ125a、125bの駆動機構により、図6(b)に示すように、捩れた角度をなすように配置され、異なる矢印方向(Yl、Y2方向)及びスペクトル集光線340と同じX方向に移動可能に構成されている。
【0122】
なお、光検出器24a、24bの検出部24a′、24b′はそれぞれレーザー光のプリズム7(S1)への入射位置30、試料からの光がプリズム13(S2)へ入射する位置31と光学的に共役な位置になるように配置されている。
【0123】
第4の実施形態では、レンズ9(A1)、レンズ12(A2)の集光位置に完全に一致する位置にミラー11a、11bを配置し、ミラー11a、11bを移動しても反射面は常にスペクトル集光線340上にあるので、ミラー11a、11bを移動しても波長分解能は全く劣化しない。従って極めて波長分解能の高い分光装置を提供できる。
【0124】
また、検出光路の集光レンズとしてレンズ12を共用しているので、安価でコンパクトな分光装置を提供できる。
【0125】
更に、光検出器24a、24bの検出部24a′、24b′はそれぞれレーザー光のプリズム7(S1)への入射位置30、試料からの光がプリズム13(S2)へ入射する位置31と光学的に共役な位置になるように配置されている。従って、ミラー11a、11bの移動があっても、蛍光光束が光検出器24a、24bの検出部24a′、24b′の位置で振れることがなく、光検出器にサイドオン型のフォトマルチプライヤーのような感度分布特性をもつような光検出器を用いても安定した光検出を行うことができる。
【0126】
(第5の実施形態)
図7は、第5の実施形態に係る走査型レーザー顕微鏡の概略構成を示す図である。図7において、図4と同じ部分には同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。図7に示すように、ミラー11a、11bは、正面図(展開図を含む)である図7(b)に示すように、第4の実施形態と同様に、それぞれわずかに上方、下方に傾いて配置されており、反射された試料からの光はそれぞれ60a、60bとしてレンズ12(A2)に入射し、平行光束になって、プリズム13に入射して、1本のビームに合成される。
【0127】
プリズム13を出射した各蛍光光束は共焦点レンズ29a、29bの焦点位置に配置された共焦点絞り16a、16bを通過して光検出器24a、24bで検出される。
【0128】
共焦点絞り16a、16bは絞り径が電動により可変できるように構成されており、試料22の蛍光特性に対して自動的に設定される。
【0129】
絞り径の制御方法としては、例えばミラー11a、11bの位置に対応した波長から絞り径を演算し、図示しない制御部で制御するようにしても良い。
【0130】
本実施形態によれば、検出光路の集光レンズとしてレンズ12を共用し、スペクトル合成用としてプリズム7、13を共用しているので、安価でコンパクトな走査型共焦点レーザー顕微鏡を提供できる。特にプリズムを共用していることでビームの集束を確実にできる。
【0131】
本第5の実施形態において、プリズム7、13の代わりに回折格子を構成しても良い。この場合に、回折格子は分散を大きく取れるので装置の小型化に役立つ。
【0132】
(第6の実施形態)
第6の実施形態は第2の実施形態(2チャンネル)を4チャンネルに構成した実施形態である。
【0133】
図8(a)において、レーザー光源1は多波長の発振線を有する水冷アルゴンレーザーであり、351nm、364nm、457.9nm、488nm、及び514.5nmの5本の発振線を有する。レーザー光源2はヘリウムネオンレーザーであり、543nmの発振線を有している。これらのレーザー光はビーム合成用のダイクロイックミラー3によりビーム合成され、AOTF4に入射する。AOTF4は、上記6本の発振線に対して選択フィルターとして機能するAOTF4に入射する。具体的には、AOTF4は、各発振線に対応するRFを選択的にかけることによって、光ファイバー5に選択的に発振線を導光することができる。なお、図示しない制御器により、ミラー11aから11dは、X−Y方向に可動に構成されている電動ステージ125aから125dによりそれぞれ位置制御される。
【0134】
ここで、図8の8B−8B矢視図である図8(b)に示すように、ミラー11aから11dは、それぞれレンズ9(A1)及びレンズ12(A2)の焦点位置として形成されるスペクトル集光線340に対してα=15度だけ仰角をもって配置されている。
【0135】
さらに、反射面が入射光束と角度βをなすように、わずかに上方、下方に傾いて配置されている。
【0136】
これにより、図8において、紙面に垂直な方向に同じ検出光路が構成されている。
【0137】
本第6の実施形態においては、4つの検出光路を有しているので、4重染色された試料を観察可能であり、またDAPIのようなUVで励起される蛍光試料にも対応できる。
【0138】
また、検出光路の数は本実施形態では4チャンネル、すなわち、ミラーを4個配置するものであったが、ミラーを3個配置して、3つの検出光路を有する装置(3チャンネル)にしてもよいし、更に多くの検出光路を有する装置に構成することも可能である。なお、上記の実施形態では、ミラーを4個配置するものであり、その他にもミラーを3個配置する例も開示したが、ミラーは複数個配置する必要は特になく、例えば、1個のミラー、好ましくは、3角形状のミラーをX−Y方向に駆動できるだけでも、上記の実施形態と同様の効果を達成することができる。また、ここで述べたような構成のものは、上記の実施形態に限られるものではなく、種々変形して用いることができ、少なくとも本明細書に記載された実施形態への適用は可能である。
【0139】
(第7の実施形態)
図9は、第7の実施形態に係る走査型レーザー顕微鏡の概略構成を示す図である。図9において、図1と同じ部分には同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。なお、図9(b)は、ミラー及びその駆動部分の構成を示す図9(a)の9B−9B矢視図である。また、図9(c)は、図9(a)の9C矢視図である。図9(b)に示すようにミラー11´a、11´bの反射面は、スペクトル集光線340に対して、垂直でない、頂角(この例では90度)をなす2つの稜線Rl、R2でそれぞれ構成される。(すなわち各稜線Rl、R2はスペクトル集光線340に対してそれぞれ45度をなす。)
さらに、ミラー11´a、11´bで反射された蛍光光束を通過させ、レーザー光束がミラー11´a、11´bにより反射された反射光束を遮断する遮断部材50(図9(c)参照)がミラー11´a、11´bとレンズ23a、23b(光学手段(A3))の間に配置されている。
【0140】
試料からの蛍光をできるだけ多く光検出器に導くためには、ミラー11´a、11´bをレーザー光束(この例では457.9nmと514.5nm)に可能な限り近づける必要がある。しかし、レーザー集光スポットはレーリー分布している。そのため、レーザー光の一部はミラー11´a、11´bにより反射されて光路を曲げられて、光検出器24a、24bに向かってしまうために、レーザー光が光検出器24a、24bで検出されてしまう可能性がある。
【0141】
第7の実施形態ではミラー11´a、11´bをスペクトル集光線340に対して45度をなす稜線を有するミラーで構成し、さらに、ミラー11´a、11´bにより反射された反射光束を遮断する遮断部材がミラー11´a、11´bとレンズ23a、23b(光学手段(A3))の間に配置されている。従って、レーザー光が光検出器で検出されることがないので、極めてS/Nの良い試料からの蛍光画像を得ることができる。
【0142】
(第8の実施形態)
図10は、第8の実施形態に係る走査型レーザー顕微鏡の概略構成を示す図である。図10において、図1と同じ部分には同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0143】
図10において、レーザー光源33は紫外線域の発振線を有する水冷アルゴンレーザーであり、351nmの発振線を有する。
【0144】
前記レーザー光源33が発するレーザー光はビームエクスパンダー34で対物レンズの瞳径に略一致するようにビーム径が拡大され、351nmの光は反射し、それよりも長い波長の光を透過するダイクロイックミラー35によりX−Yスキャナ18に導かれ、対物レンズ21を介して試料22に照射される。試料(DAPI)からの蛍光(中心波長は約450nm)は光路を逆にたどり、ダイクロイックミラー35を透過して第1の実施形態と同様に光検出される。
【0145】
レンズ9、12として、通常高い性能の収差補正が要求されるが、とりわけ紫外線域で収差補正を厳密に行うとなると、レンズ構成は複雑になる。さらに高い精度が要求されるので、製作面においてもコスト高の原因となる。
【0146】
第8の実施形態では351nmの紫外線域のレーザー光をプリズム7、13を介さずに導光しているので、レンズ9、12の設計、製作は容易になり、コストを抑えることができる。
【0147】
また、本実施形態においては、レーザー光源33を新たに配置したが、レーザー光源33に替えて、レーザー光源1及びレーザー光源2を用い、AOTF4で所望の波長を選択するようにしても良い。なお、第5の実施形態においても、同様の構成が可能である。
【0148】
(第9の実施形態)
図11は、第9の実施形態に係る走査型レーザー顕微鏡の概略構成を示す図である。図11において、図1と同じ部分には同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。なお、図11では、走査型レーザー顕微鏡の全体構成ではなく、分光部分のみを示している。図11(b)は、図11(a)に適用されるミラーの構成例を示す図であって、11B−11B矢視図である。図11(b)において、図10と同じ部分には同じ符号を付す。
【0149】
図11(b)において、ミラー11aから11dは、図10と同様に、それぞれ、スペクトル集光線340に対して仰角α(=15度)をもって配置されるとともに、その反射面が入射光束と角度βをなすように、わずかに上方、下方に傾いて配置されている。ここで、ミラー11aと11cよりもミラー11bと11dの方が小さくなっている。
【0150】
4つの検出光路を有しているので、第6の実施形態と同様に、さまざまな蛍光試料に対応できる。また、レンズ12の集光位置に略一致する位置にミラー11aから11dを配置し、ミラー11aから11dを移動しても反射面は常にスペクトル集光線340の近傍にあるので、ミラー11aから11dを移動しても波長分解能がほとんど劣化しない。従って、波長分解能が高く、さまざまな蛍光試料に対応できる分光装置を提供できる。
【0151】
(第10の実施形態)
図12を参照して、第10の実施形態を説明する。図12において、四角形状のミラー44a、44bは、一端が円周状に配置されたバンドルファイバー50a、50b内に配置されており、軸45a、45b回りに回転可能に構成されている。更に、四角形状のミラー44a、44bは、スペクトル集光線340に沿って可動に構成されている。また、バンドルファイバー50a、50bの他端には光検出器24a、24bが配置されている。すなわち、ミラー44a、44bの回転により波長幅を調整し、スペクトル集光線340に沿って移動することにより波長域を調整するようにして反射可能に構成されており、反射光はバンドルファイバーで光検出器24a、24bに導かれる。
【0152】
本実施形態によれば、バンドルファイバーを用いて光検出器に導光しているので、光線はそのスペクトル特性に係わらず、光検出器24a、24bに対して同じ位置に入射する。従って、光検出器24a、24bがフォトマルチプライヤーのような受光部に感度分布を有するものであっても、感度が変化することなく精度の高い分光測光が可能である。
【0153】
(第11の実施形態)
図13は、本発明の第11の実施形態に係わる走査型レーザー顕微鏡の構成を示す図(光検出器を除く)である。図14(a)及び図15は、光検出器を含む図13の正面図である。図13から図15において、図1と同じ部分には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0154】
なお、第1の実施形態では、レーザー光8a、8bがミラー11a、11bを通過し、試料22からの蛍光がミラー11a、11bを反射して、光検出器24a、24bに入射するようにしたが、本実施形態では、3角形状のミラー11a、11bでレーザー光8a、8bが集光位置10a、10bで反射するように位置調整されている。そして、試料22からの蛍光が3角形状のミラー11a、11bを通過して、その直後に配置された1軸方向(図14(a)の矢印方向23″)に移動可能な光選択用ミラー、ここでは、3角ミラー23で蛍光をそれぞれの光路に反射して、レンズ23a、23bを通過して光検出器24a、24bで検出されるように構成されている。なお、この3角ミラーは、所望の波長幅と波長域を有する光束を選択する光選択用ミラーとして機能するが、一方、所望の波長幅と波長域以外の波長幅と波長域を有する光束を遮光するための遮光部材(遮光手段)としても機能する。
【0155】
本実施形態における3角形状のミラー11a、11bの構成及び作用について詳しく説明する。なお、図13(b)は、3角形状のミラー11a、11bの13B−13B矢視図(側面図)である。
【0156】
第1の実施形態と同様に、本実施形態においても、ミラー11a、11bは、それぞれ、X−Yステージ125a、125bにより可動に構成されており、ミラーをX方向に移動させることにより、反射させるレーザー光及び試料からの光のスペクトル域を自在に設定することができ、またY方向を移動させることにより、反射させる試料からの光のスペクトル幅をそれぞれ自在に設定することができる。また、Y方向に移動させることでミラー11a、11bを光路から外すことができるようになっている。
【0157】
ミラー23は電動ステージ29により図14(a)及び図15に示す矢印23″方向に可動に構成されている。ミラー23をミラー23の頂点23’と3角形状ミラー11bの中心軸を一致させて、同期させながら移動させることにより、光検出器24a、24bに向けて反射する光線のスペクトル域を設定することができる。
【0158】
本実施形態では、レーザー光として、457.9と514.5nmの発振線に対応するように3角形状のミラー11a、11bの位置関係を設定しているが、4本の発振線のうち任意の組合せ、或いは図15に示すような任意の1本に対して3角形状のミラーの位置を設定することもできる。
【0159】
そして、観察対象である試料の蛍光特性によりレーザーの発振線が選択されると、指示器26から制御器27に司令信号が出され、制御器27はAOTF4を制御して目的の発振線に対応するRFを出力するとともに、X−Yステージ125a、125bを駆動して、目的の発振線が確実に反射されるようにミラー11a、11bの位置を制御して、試料からの蛍光は最大に検出されるように3角ミラー23の位置を制御する。もちろん、試料が2重染色であり、蛍光のクロストークが問題になる場合は、X−YステージをY方向に駆動して、光検出器へと通過するスペクトル幅を制限することも、或いはスペクトル域をシフトすることも指示器26から可能である。
【0160】
本実施形態によれば、選択されたレーザー発振線に対して自動的に3角形状のミラー11a、11b及び3角ミラー23が設定されているので、使いやすい。
なお、本実施形態においては、
(第12の実施形態)
図16は、第12の実施形態に係わる走査型レーザー顕微鏡の構成を示す図(光検出器を除く)である。図17は、光検出器を含む図16の正面図である。図16及び図17において、図13から図15と同じ部分には、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0161】
図16に示すように、プリズム13を出射したレーザー光は直接X−Yスキャナ18に入射する。なお、コリメートレンズ6の焦点距離を適当に設定することにより、対物レンズ21の瞳径にレーザー光束が略一致するようになっている。そして、図17に示すように、試料22からの光は3角形状のミラー11a、11bを通過して、偏向手段、ここでは、3角ミラー23でそれぞれの光路に反射されてそれぞれレンズ23a、23bに入射し、平行光線となってプリズム28a、28bに入射し1本のビームに合成される。各プリズムを出射した光線は、共焦点レンズ29a、29bの焦点位置に配置された共焦点絞り16a、16bを通過して光検出器24a、24bで検出される。なお、共焦点絞り16a、16bは絞り径が電動により可変できるように構成されており、試料22の蛍光特性に対して自動的に設定される。
【0162】
本実施形態においては、各検出光路に独立して共焦点絞りを配置しているので、試料の蛍光スペクトル特性に最適な絞り径に設定でき、蛍光を損失することなく共焦点効果を得ることのできる装置を提供することができる。また、プリズムと光検出器の間に共焦点絞りを配置しているので、レーザー光の散乱光が光検出器で検出され難いという利点がある。
【0163】
(第13の実施形態)
図18は、第13の実施形態に係わる走査型レーザー顕微鏡の構成を示す図(光検出器を除く)である。図18において、図13と同じ部分には、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0164】
図18に示すように、コリメートレンズ6を出射したレーザー光はプリズム35の上部に入射してスペクトル分解され、それぞれレーザー光8a、8bとして出射する。これらのレーザー光はそれぞれレンズ36のレンズ上部に入射し、そこから少し斜め下方に進み、集光レンズ36の略焦点位置に配置された3角形状のミラー11a、11b上に10a、10bとして集光して、反射と同時に斜め下方に傾き再びレンズ36を通過して平行光線となり、プリズム35の下方部に入射しスペクトル合成されて1本のレーザー光14となりレンズ15に入射して、顕微鏡へと接続される。
【0165】
試料22からの光は顕微鏡の光路を逆に戻り、プリズム35の下方部から入射してスペクトル分解され、レンズ36の焦点位置に集光する。試料22からの蛍光は3角形状のミラー11a、11bを通過し、第11の実施形態として示した図14(a)の検出光路に導光され試料からの蛍光が検出される。
【0166】
励起光路と検出光路のプリズム35とレンズ36を共用しているので、安価でコンパクトな走査型レーザー顕微鏡を提供できる。
【0167】
なお、個々の光検出器に導く試料からの光のスペクトル域を任意に設定できるようにするために、偏向手段を、レーザー光の一部を反射させ、かつ試料からの光を部分的に通過させるようにした上述した実施形態に用いていたが、これに限られるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の光学系に適用でき、例えば試料からの光を導くためにミラー11a、11bを用いた本発明の実施の形態への適用も可能である。
【0168】
また、上述した実施形態では、偏向手段として3角ミラーを用いていたが、これに限られるものではなく、例えば、図14(b)に示すような光検出器を試料からの光の光路上と、試料からの光の光軸に対して垂直な方向の光路上との2箇所にそれぞれレンズを介して配置すると共に、傾斜をつけたミラー、ここでは45°の傾斜で固定されたミラーを試料からの光の光軸に対して垂直な方向に移動可能に設けることで、そのミラーの移動により、試料からの光を反射と透過とに分けて各々の光検出器に導くようにすることもできる。
【0169】
(第14の実施形態)
図19は、第14の実施形態に係わる走査型レーザー顕微鏡の構成を示す図(光検出器を除く)である。図20は、光検出器を含む図及び図19の正面図である。本実施形態は第11の実施形態(2チャンネル)を4チャンネルにした実施形態である。
【0170】
図19において、レーザー光源1は多波長の発振線を有する水冷アルゴンレーザーであり、351nm、364nm、457.9nm、488nm、514.5nmの発振線を有している。これらのレーザー光はビーム合成用のダイクロイックミラー3によりビーム合成され、上記6本の発振線に対して選択フィルターとして機能するAOTF4に入射する。AOTF4は、各発振線に対してRFを選択的にかけることによって、光ファイバー5に選択的に発振線を導光することができる。
【0171】
3角形状のミラー11aから11dはそれぞれX−Y方向に可動に構成されている電動X−Yステージ125aから125dを介して制御器27により位置制御される。
【0172】
図20(a)において、試料22からの蛍光は3角形状のミラー11aから11dを通過して、その直後に配置された2軸方向(図20の矢印方向37’及び紙面に垂直な方向)に移動可能な3角形状のミラー37aから37dで蛍光をそれぞれの光路に向けて反射する。3角形状のミラー37aから37dで反射された蛍光は、レンズ23aから23dを通過して光検出器24aから24dで検出される。
【0173】
図20(a)に示すように、3角形状のミラー37aから37dは光軸に垂直な方向に対して、それぞれ異なる傾き角を持っており、それぞれの蛍光が異なる方向に反射するように上方もしくは下方に傾いて配置されている。
【0174】
ここで、3角形状のミラー37aから37dの構成及び作用について詳しく説明する。
【0175】
図20(c)は3角形状のミラー37aから37dの側面図(図20(b)の20C−20C矢視図)を示したものである。
【0176】
3角形状のミラー37aから37dはそれぞれ、X−Yステージ38aから38dにより可動に構成されており、配線39から制御器27に接続され制御器27により位置制御される。X−YステージをX方向に移動させることにより、反射させる試料からの蛍光のスペクトル域を自在に設定することができ、Y方向に移動させることにより、反射させる試料からの光のスペクトル幅を自在に設定することができる。また、Y方向に移動させることで光路からミラーを外すことができる。
【0177】
なお、光検出器24aから24dの検出部24a′から24d′はそれぞれレーザー光のプリズム7への入射位置30、試料からの光がプリズム13への入射位置31と光学的に共役な位置になるように配置されている。
【0178】
本実施形態においても、4つの検出光路を有しているので、4重染色の蛍光試料に対応できる。
【0179】
(第15の実施形態)
図21は、第15の実施形態に係わる走査型レーザー顕微鏡の構成を示す図である。図21において、図19及び図20と同じ部分には、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0180】
図21に示すように、試料22からの蛍光は3角形状のミラー11aから11dを通過して、その直後に配置された1軸方向(図21の矢印の方向40’)に可動な複数の光を同時に検出することができる直線状に複数の光検出器の配列した光検出器24、例えばマルチアノードフォトマルチプライヤーチューブで検出される。
【0181】
上記の光検出器24は、電動ステージ541により可動に構成されており、制御器27により位置制御される。光検出器24を移動することにより、4本の任意の発振線に対応した試料22からの蛍光が同時に検出される。
【0182】
このように、複数の光を同時に検出することができる光検出器を使用することにより、コンパクトな走査型レーザー顕微鏡を提供できる。
【0183】
本実施形態においても、プリズム7の代わりに回折格子の構成が可能である。
回折格子は分散を大きくとれるので装置の小型化に役立つ。もちろんプリズム13の代わりに回折格子を用いることも考えられるが、回折格子は偏光特性を有するので、試料からの蛍光(ランダム偏光)を分光するにはプリズムの方が理想的である。
【0184】
本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で種々変形して実施できるのは勿論である。
【0185】
【発明の効果】
本発明によれば次のような効果が得られる。
【0186】
本発明によれば、対物レンズにレーザー光が導かれるまでの(照明)光路中にレーザー光のビーム品質の劣化を抑えることのできる分光型走査型レーザー顕微鏡を提供することができる。また、装置中に浮遊する挨が光学系に付着することによるによるレーザー光のビーム品質の劣化を受けにくい走査型レーザー顕微鏡を提供することができる。
【0187】
試料からの蛍光を反射するミラーの仰角を適当に設定することにより、サイドオンタイプのフォトマルチプライヤーでも容易に配置できるような、レイアウトの自由度が高い走査型レーザー顕微鏡を提供することができる。
【0188】
多チャンネルに構成された各光検出光路に独立の共焦点絞りを配置することが容易に可能な走査型レーザー顕微鏡を提供することができる。
【0189】
本発明によれば、特に、2つ以上のスペクトル範囲に絞り込み、それぞれ光検出を行う分光装置において、分光分解能の極めて高い、高精度の分光装置を提供することができる。
【0190】
本発明によれば、様々なレーザー光に対して適応ができる分光型走査型レーザー顕微鏡を提供できる。
【0191】
レーザー光と試料からの光を分解/合成するプリズム及びスペクトル分解されたレーザー光と試料からの光を集光するレンズをそれぞれ1つにすることで、コンパクトで安価な走査型レーザー顕微鏡を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係る走査型レーザー顕微鏡の概略構成を示す図。
【図2】 457.9nmの発振線が1本だけ選択された場合に、試料からの蛍光を全スペクトル域にわたって検出する場合のミラー11aの位置を示した図。
【図3】 試料からのスペクトル分布を検出する場合のミラーの動きについて示す図。
【図4】 第2の実施形態に係る走査型レーザー顕微鏡の概略構成を示す図。
【図5】 第3の実施形態に係る走査型レーザー顕微鏡の概略構成を示す図。
【図6】 第4の実施形態に係る走査型レーザー顕微鏡の概略構成を示す図。
【図7】 第5の実施形態に係る走査型レーザー顕微鏡の概略構成を示す図。
【図8】 第6の実施形態に係る走査型レーザー顕微鏡の概略構成を示す図。
【図9】 第7の実施形態に係る走査型レーザー顕微鏡の概略構成を示す図。
【図10】 第8の実施形態に係る走査型レーザー顕微鏡の概略構成を示す図。
【図11】 第9の実施形態に係る走査型レーザー顕微鏡の概略構成を示す図。
【図12】 第10の実施形態に係る走査型レーザー顕微鏡の概略構成を示す図。
【図13】 第11の実施形態に係る走査型レーザー顕微鏡の概略構成を示す図。
【図14】 第11の実施形態に係る走査型レーザー顕微鏡における検出部の詳細を示す図。
【図15】 第11の実施形態に係る走査型レーザー顕微鏡における検出部の詳細を示す図。
【図16】 第12の実施形態に係る走査型レーザー顕微鏡の概略構成を示す図。
【図17】 第12の実施形態に係る走査型レーザー顕微鏡における検出部の詳細を示す図。
【図18】 第13の実施形態に係る走査型レーザー顕微鏡の概略構成を示す図。
【図19】 第14の実施形態に係る走査型レーザー顕微鏡の概略構成を示す図。
【図20】 第14の実施形態に係る走査型レーザー顕微鏡におけるミラー部の詳細を示す図。
【図21】 第15の実施形態に係る走査型レーザー顕微鏡の概略構成を示す図。
【図22】 従来の共焦点走査型レーザー顕微鏡の構成を示す図。
【図23】 蛍光が結像位置で形成されるスポットについて説明するための図。
【図24】 従来の共焦点走査型レーザー顕微鏡の構成を示す図。
【図25】 従来の問題点を説明するための図。
【図26】 従来の共焦点走査型レーザー顕微鏡の構成を示す図。
【図27】 従来の共焦点走査型レーザー顕微鏡の構成を示す図。
【図28】 従来の共焦点走査型レーザー顕微鏡の構成を示す図。
【符号の説明】
1、2…レーザー光源
3…ダイクロイックミラー
4…AOTF
5…光ファイバー(シングルモードファイバー)
6…コリメートレンズ
7、13…プリズム
8a、8b…レーザー光
9、12、15、17…レンズ
10a、10b…集光位置
11a、11b…ミラー(3角形状ミラー)
13…プリズム
18…X−Yスキャナ
19…瞳投影レンズ
20…結像レンズ
21…対物レンズ
22…試料
44a、44b…ミラー
45a、45b…軸
50…遮断部材
50a、50b…バンドルファイバー
Claims (22)
- 少なくともひとつのスペクトル域を有するレーザー光を走査装置により対物レンズを介して試料上を走査し、前記試料からの蛍光を所望のスペクトル範囲に絞り込んで光検出する走査型レーザー顕微鏡において、
少なくとも1つのスペクトル域からなる前記レーザー光をスペクトル分解するスペクトル分解手段と、
スペクトル分解された前記レーザー光を集光する第1の光学手段と、
前記レーザー光をコリメートして前記試料へ導く一方で、前記試料からの光を集光する第2の光学手段と、
スペクトル分解された前記レーザー光を合成する一方で、前記試料からの光をスペクトル分解するスペクトル合成/分解手段と、
前記第1の光学手段と前記第2の光学手段の略焦点位置に配置され、少なくともひとつのスペクトル域のレーザー光は通過させ、試料からの光の一部を反射する少なくとも1つの反射手段と、
前記反射手段により導かれた試料からの光を検出する光検出器と、を具備することを特徴とする走査型レーザー顕微鏡。 - 前記反射手段は、前記試料からの光を、その波長幅と波長域の両方を調整しながら反射可能に構成されていることを特徴とする請求項1記載の走査型レーザー顕微鏡。
- 少なくとも1つのスペクトル域からなるレーザー光を走査装置により対物レンズを介して試料上を走査し、前記試料からの蛍光を所望のスペクトル範囲に絞り込み、光検出する走査型レーザー顕微鏡において、
少なくとも1つのスペクトル域からなる前記レーザー光をスペクトル分解するスペクトル分解手段と、
スペクトル分解された前記レーザー光を集光する第1の光学手段と、
前記第1の光学手段の略焦点位置に配置され、スペクトル分解された前記レーザー光を少なくとも部分的に前記試料への光路へ向けて反射させる一方で、前記試料からの光を波長幅と波長域を調整可能に通過させる少なくとも1つの反射手段と、
前記反射手段で反射された、前記レーザー光をコリメートする一方で、前記試料からの光を前記反射手段に略集光する第2の光学手段と、
スペクトル分解された前記レーザー光を合成する一方で、前記試料からの光をスペクトル分解するスペクトル合成/分解手段と、
前記反射手段を通過した試料からの光を検出する光検出器と、を具備することを特徴とする走査型レーザー顕微鏡。 - 前記試料からの光を集光するレンズと、前記レンズの焦点位置に配置された共焦点絞りと、を更に備え、これらが走査装置と前記スペクトル合成/分解手段との間に配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の走査型レーザー顕微鏡。
- 前記光検出器は試料からの光が前記スペクトル合成/分解手段に入射する位置と光学的に略共役な位置に配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の走査型レーザー顕微鏡。
- 前記反射手段と前記光検出器との間に配置され、前記反射手段により反射された試料からの光をコリメートする第3の光学手段を更に備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の走査型レーザー顕微鏡。
- 前記反射手段により反射された試料からの光をコリメートする第3の光学手段と、試料からの光を前記第3の光学手段を経てスペクトル合成するスペクトル合成手段と、試料からの光を前記スペクトル合成手段を経て集光する共焦点レンズと、前記共焦点レンズの焦点位置に配置された共焦点絞りと、前記共焦点絞りを通過した試料からの光を検出する光検出器と、からなる検出光路が前記反射手段に接続されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の走査型レーザー顕微鏡。
- 前記第2の光学手段と前記第3の光学手段とは同一に構成されることを特徴とする請求項6または7に記載の走査型レーザー顕微鏡。
- 前記第2の光学手段と前記第3の光学手段とは同一に構成されるとともに、前記スペクトル合成/分解手段と前記スペクトル合成手段も同一に構成されることを特徴とする請求項7に記載の走査型レーザー顕微鏡。
- 前記スペクトル合成/分解手段と前記対物レンズの間に配置された中間倍率変更手段を更に備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の走査型レーザー顕微鏡。
- 前記中間倍率変更手段は使用する対物レンズの瞳径に対応して設定可能に構成されることを特徴とする請求項10に記載の走査型レーザー顕微鏡。
- 前記スペクトル合成/分解手段から出射するレーザー光は直接走査装置に接続されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の走査型レーザー顕微鏡。
- 前記反射手段はミラーであって、その反射面は頂角を有する形状からなるとともに、前記スペクトル合成/分解手段により試料からの光束がスペクトル分解される方向に略一致する第1の移動軸と、前記第1の移動軸に対しては略直交し試料からの光束方向とは一致しない第2の移動軸とを有し、駆動機構によってこれら移動軸に沿って可動に構成されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の走査型レーザー顕微鏡。
- 前記反射手段の反射面は、前記スペクトル分解手段により前記レーザー光がスペクトル分解される方向に対して、垂直でない、頂角をなす2つの稜線で構成されるとともに、前記レーザー光が前記ミラーにより反射される光束を遮断する遮断部材が光路に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の走査型レーザー顕微鏡。
- 前記反射手段の反射面は、前記スペクトル分解手段により前記レーザー光がスペクトル分解される方向に対して、垂直でない、頂角をなす2つの稜線で構成されることを特徴とする請求項3に記載の走査型レーザー顕微鏡。
- 前記第1の光学手段と前記第2の光学手段は球面ミラー、または放物ミラーで構成されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の走査型レーザー顕微鏡。
- 前記スペクトル合成/分解手段と走査装置の間に配置され、レーザー光を該走査装置に導光するためのレーザー光導光手段を更に備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の走査型レーザー顕微鏡。
- 前記反射手段を通過した試料からの光束を反射させ、光の進行方向を偏向させる少なくとも1つの偏向手段を更に備えたことを特徴とする請求項3に記載の走査型レーザー顕微鏡。
- 前記偏向手段は前記スペクトル分解手段により光束が分解されるスペクトル分解方向に略一致する方向と、この方向に略直交する方向の2方向に移動可能に配置された3角形成分を有する形状(スペクトル分解方向に対して平行でない稜線を有する形状)のミラーで構成されることを特徴とする請求項18に記載の走査型レーザー顕微鏡。
- 別のレーザ光が、前記スペクトル合成/分解手段と前記対物レンズとの間から入射することを特徴とする請求項1記載の走査型レーザー顕微鏡。
- 前記第2の光学手段は、前記反射手段と前記光検出器との間に配置され、前記反射手段により反射された試料からの光をコリメートすることを特徴とする請求項1記載の走査型レーザー顕微鏡。
- 前記第2の光学手段は、前記反射手段により反射された試料からの光をコリメートし、
前記第2の光学手段によりコリメートされた試料からの光をスペクトル合成するスペクトル合成部と、
前記スペクトル合成部により合成された試料からの光を集光する共焦点レンズと、
前記共焦点レンズの焦点位置に配置された共焦点絞りと、
前記共焦点絞りを通過した試料からの光を検出する前記光検出器とを含む検出光路が、前記反射手段に光学的に接続されることを特徴とする請求項1記載の走査型レーザー顕微鏡。
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