JP2008051798A - 圧電アクチュエータおよびそれを用いた走査型プローブ顕微鏡 - Google Patents

圧電アクチュエータおよびそれを用いた走査型プローブ顕微鏡 Download PDF

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Abstract

【課題】 高速に駆動させた場合でも、圧電素子に無理なく、安定的に動作する与圧機構を備えた圧電アクチュエータを提供する。また、圧電素子の変位を大きな信号として検出し、検出精度が向上した圧電アクチュエータを提供する。
【解決手段】 一端が前記土台6に固定され他端が積層型圧電素子2または被駆動体5に接触した弾性部材となる板バネ4が、土台6に固定した一端側の部分より積層型圧電素子2に保持された他端の部分の方が断面二次モーメントが小さくなるように、土台6側から積層型圧電素子2側へ向かって厚みが薄くなるようにした。また、板バネ4の積層型圧電素子2に近い一端の積層型圧電素子2の伸縮方向に直交し被駆動体5側となる一面である側面4aに歪ゲージセンサー8を取り付けた。
【選択図】 図3

Description

本発明は、圧電効果を利用した圧電アクチュエータ、およびそれを使用した走査型プローブ顕微鏡に関するものである。
電圧を印加することで変位する圧電素子を用いた圧電アクチュエータにおいて、複数の圧電素子を積層した積層型圧電素子は、各圧電素子の層間の剥離や層間の隙間による変位の歪みを防止し、安定した動作を確保するために、一般的にあらかじめバネを使用した与圧構造を用いて圧電アクチュエータを与圧する構造が知られている。(例えば、特許文献1を参照)。
しかし、圧電アクチュエータを高速で駆動させた場合、与圧構造を構成するバネの共振周波数が低いと圧電素子によって跳ね上げられてしまうことがある。この場合、与圧構造と接触している圧電アクチュエータの圧電素子が、瞬間的に離れることになり、その間は与圧されていない状態になり圧電アクチュエータの動作が安定しないのみならず、圧電素子と与圧構造が離れた後再び接触する位置が離れる前の位置からずれて圧電アクチュエータの変位方向の長さが変化してしまうという問題があった。
この問題を解決するためには、与圧構造として高い共振周波数を有するバネを用いることで、圧電素子の高速な動作に追従できるようにする必要がある。高い共振周波数を有するバネを実現する方法として、バネの長さを短く且つ厚さを厚くしてバネ定数を大きくする方法、軽い素材を用いることで質量を軽くする方法がある。しかし、前者はバネ定数が大きくなることで圧電素子に加えられる与圧が大きくなり、高速駆動する用途で用いられるような発生力の小さい小型の圧電素子では圧電素子が変位できなくなる可能性がある。この場合は変位させるためのエネルギーが熱量に変わってしまうため、圧電素子がオーバーヒートして破損する恐れがある。また、軽い素材を用いる方法では、一般的に密度の小さい素材はヤング率も低いため効果を得られず、素材を限定されてしまうという欠点がある。
特開平10−173247号公報
本発明は、高速に駆動させた場合でも、圧電素子に無理なく、安定的に動作する与圧機構を備えた圧電アクチュエータを提供することを課題とする。
また本発明は、圧電素子の変位を大きな信号として検出し、検出精度が向上した圧電アクチュエータを提供することを課題としている。
さらに、本発明は、上述のような効果を有する走査型プローブ顕微鏡を提供することを課題としている。
上記問題を解決するために、本発明に係る圧電アクチュエータは、電圧の印加により変位する圧電素子と、前記圧電素子の一端を固定する土台と、前記圧電素子の他端に固定された被駆動体と、一端が前記土台に直接的に或いは間接的に固定され他端が前記圧電素子または被駆動体に接触し、前記圧電素子または被駆動体を圧縮方向に与圧する弾性部材と、からなり、前記弾性部材は、前記土台に固定した一端側の部分より前記圧電素子または被駆動体に接触した他端の部分の方が断面二次モーメントが小さい形状であることを特徴とするものである。
上記のような、土台側から圧電素子または被駆動体に向かっていくに従って変位方向への断面二次モーメントが小さくなるような形状の弾性部材が振動する場合には、圧電素子または被駆動体側のごく短い部分の振動が主となる。弾性部材の共振周波数は、ばねの振動する長さが短くなるほど高くなるため、上記のような形状にすることにより弾性部材の共振周波数を上げることができる。さらに、同じ共振周波数を持つ弾性部材同士で比較した場合、固定端から自由端までの断面二次モーメントが一定であるようなバネに比べてバネ定数を小さくできる。
また、本発明に係る圧電アクチェーターは、前述したような圧電アクチュエータにおいて、前記弾性部材の前記圧電素子または被駆動体に接触した断面二次モーメントが小さい一端の側面に、前記圧電素子から接触しない程度の間隔を開けて歪ゲージセンサーを取り付けたことを特徴とするものである。
上記のような圧電素子または被駆動体に接触した断面二次モーメントが小さい一端の側面に、前記圧電素子から接触しない程度の間隔を開けて歪ゲージセンサーを有する構造の弾性部材を与圧構造として使用した場合、圧電素子を変位させたときに弾性部材に生じる歪が圧電素子または被駆動体側の端部周辺に集中するため、その部分に歪ゲージセンサーを取り付けることにより圧電素子の変位を大きな信号として検出することが出来るようになる。
また、本発明に係る走査型プローブ顕微鏡は、先端に探針を有するカンチレバーと、前記探針に対向配置された試料を載置するステージと、前記探針と前記試料とを、試料表面に平行な方向に相対移動させる移動手段と、前記カンチレバーの振動状態の変位を測定する測定手段とを備えてなり、前記移動手段に、上述の圧電アクチュエータを用いたことを特徴とするものである。
本発明に係る圧電アクチュエータでは、以下の効果が得られる。
与圧構造となる弾性部材が、高い共振周波数を持つので、圧電アクチュエータを高速で振動駆動した場合でも、弾性部材が跳ね上げられ難い。また、与圧構造のバネ定数が小さいので、圧電素子に過大な与圧荷重を加えることがなく、圧電素子の変位を安定して測定することが出来、安定的に圧電アクチュエータを高速動作することが可能となる。
また、上記のような形状の弾性部材を与圧構造として使用した場合、圧電素子を変位させたときに弾性部材に生じる歪が圧電素子側の端部周辺に集中するため、その部分に歪ゲージセンサーを取り付けることにより圧電素子の変位を大きな信号として検出することが出来、検出精度を向上させることが可能となる。
本発明に係る走査型プローブ顕微鏡においては、移動手段として上述の圧電アクチュエータを使用していることから、安定した測定を行うことが出来、更には検出精度も向上することが可能である。
以下、本発明に係る圧電アクチュエータの第1の実施の形態について図1の概略構成図を参照して説明する。
すなわち、上記第1の実施の形態の圧電アクチュエータ1は、電圧の印加により変位する圧電素子である積層型圧電素子2と、前記積層型圧電素子2の一端を固定する土台6と、前記積層型圧電素子2の他端に固定された被駆動体5と、一端が前記土台6に間接的に固定され他端が前記積層型圧電素子2に接触し、前記積層型圧電素子2を圧縮方向に与圧する弾性部材である板バネ4とからなり、前記板バネ4は、前記土台6に固定した一端側の部分より前記積層型圧電素子2に接触した他端の部分の方が断面二次モーメントが小さい形状であることを特徴とするものである。
具体的には、本実施の形態の圧電アクチュエータ1は、ピエゾ素子を積層した積層型圧電素子2の一端を土台6に固定する。もう一端に積層型圧電素子2の変位により移動させる被駆動体5を接着する。さらに、積層型圧電素子2の伸縮する変位方向に土台6と接続されたケース3が対峙するように設けられる。本実施の形態では、土台とケースが別体で構成しているが、一体となる構成でも良い。
ここで、本実施の形態においては、弾性部材として、前記土台6に固定した一端側より前記積層型圧電素子2に接触した他端に向けて、断面二次モーメントが連続または段階的に小さくなる構造であり、前記土台6に間接的に固定した一端側より前記積層型圧電素子2に接触した他端に向けて、断面積が連続または段階的に小さくなるような構造である弾性部材を用いている。
より具体的には、前記弾性部材として、前記土台6に間接的に固定した一端側より前記積層型圧電素子2に接触した他端に向けて、厚さが連続または段階的に薄くなる板バネ4を用いており、積層型圧電素子2の変位方向に厚さが変化していく構造を有する板バネ4を用いている。この板バネ4の厚みが厚い一端をケース3に固定し、板バネ4の厚みが薄い方を被駆動体5に、積層型圧電素子2の変位する圧縮方向に押し付けるように接触させている。すなわち、前記板バネ4はケース3に取り付けられて前記土台6に対して間接的に取り付けられていることとなる。このとき、板バネ4の積層型圧電素子2側の自由端を被駆動体5に接着しても良い。また、板バネ4で被駆動体5側の直接積層型圧電素子2を押し付けるような構造としても良い。
本実施の形態では、与圧構造となる弾性部材の形状は自由端側が薄い板バネ構造として説明したが、そのような形状に限定されるものではなく、ケースに固定された弾性部材の一端から被駆動体5や被駆動体5側の積層型圧電素子2を押し付ける自由端への方向に対して、前述のように断面二次モーメントが小さくなるような形状であれば良い。すなわち、前記弾性部材として、前記土台6に間接的に固定した一端側より前記積層型圧電素子2または被駆動体5に接触した他端に向けて、前記積層型圧電素子2の変位方向を中心として、外周から中心に向けて厚さが連続的にまたは段階的に薄くなる皿バネ、具体的には、弾性部材の自由端となる積層型圧電素子2側へ中心方向に従って厚さが薄くなる皿バネ形状であっても良い。この場合、ケース3側の外周部を固定端側とし、中心部で被駆動体5もしくは積層型圧電素子2を与圧するような構造とする。この場合も、前記皿バネはケース3に取り付けられて前記土台6に対して間接的に取り付けられていることとなる。
さらには、前述のように、固定端から自由端に従って、連続的または段階的に断面積が小さくなるような弾性部材を用いてもよい。これにより、圧電素子は変位方向以外の方向にも振動成分も持つため、圧電素子側に向かっていくに従って変位方向以外の方向への断面二次モーメントも小さくなるような構造となるので、圧電素子の変位方向以外の方向への共振周波数も向上することができるようになる。
本実施の形態においては、上記の板バネ4といった弾性部材自身の共振周波数が、積層型圧電素子2を駆動する周波数帯域よりも高く、且つそれらの弾性部材によって積層型圧電素子2に付加される圧力の合計が、積層型圧電素子2の発生力よりも小さくなるような構造となるようにしている。すなわち、本実施の形態においては、与圧構造となる弾性部材が、高い共振周波数を持つので、圧電アクチュエータを高速で振動駆動した場合でも、弾性部材が跳ね上げられ難い。また、与圧構造のバネ定数が小さいので、圧電素子に過大な与圧荷重を加えることがなく、圧電素子の変位を安定して測定することが出来、安定的に圧電アクチュエータを高速動作することが可能となる。
次に、本発明に係る圧電アクチュエータの第2の実施の形態について図2に概略構成図を示す。なお、第1の実施の形態と同一の部材については同一の符号を付し、説明を省略することとする。
すなわち、上記第2の実施の形態の圧電アクチュエータ1は、電圧の印加により変位する圧電素子である積層型圧電素子2と、前記積層型圧電素子2の一端を固定する土台6と、 前記積層型圧電素子2の他端に固定された被駆動体5と、一端が前記土台6に直接的に固定され他端が前記被駆動体5に接触し、前記積層型圧電素子2を圧縮方向に与圧する弾性部材であるコイルバネ7とからなり、前記コイルバネ7は、前記土台6に固定した一端側の部分より前記被駆動体5に接触した他端の部分の方が断面二次モーメントが小さい形状であることを特徴とするものである。
ここで、本実施の形態においては、前記弾性部材として、前記土台6に固定した一端側より前記被駆動体5に接触した他端に向けて、断面二次モーメントが連続または段階的に小さくなる構造であり、前記土台6に直接的に固定した一端側より前記被駆動体5に接触した他端に向けて、断面積が連続または段階的に小さくなるような構造を有する弾性部材を用いている。より具体的には、前記弾性部材として、前記土台6に直接的に固定した一端側より前記被駆動体5に接触した他端に向けて太さが連続的にまたは段階的に細くなるワイヤーからなるコイルバネ7を用いている。すなわち、与圧構造となる弾性部材として、一端から他端に従って太さが細くなるワイヤーを丸めたコイルバネ7を用いた。この実施の形態では、コイルバネ7の径の太い一端を土台6に直接的に固定し、コイルバネ7の径の小さい方を被駆動体5に固定し、積層型圧電素子2の変位する圧縮方向に引き付けるように固定させている。 尚、弾性部材として、土台6側の固定端側から圧電素子側に向かっていくに従って断面積が小さくなる針状のバネ形状としても良い。
本実施の形態においては、上記のコイルバネ7といった弾性部材自身の共振周波数が、積層型圧電素子2を駆動する周波数帯域よりも高く、且つそれらの弾性部材によって積層型圧電素子2に付加される圧力の合計が、積層型圧電素子2の発生力よりも小さくなるような構造となるようにしている。すなわち、本実施の形態においては、与圧構造となる弾性部材が、高い共振周波数を持つので、圧電アクチュエータを高速で振動駆動した場合でも、弾性部材が跳ね上げられ難い。また、与圧構造のバネ定数が小さいので、圧電素子に過大な与圧荷重を加えることがなく、圧電素子の変位を安定して測定することが出来、安定的に圧電アクチュエータを高速動作することが可能となる。
さらに、本発明に係る圧電アクチュエータの第3の実施の形態について図3に概要図を示す。第3の実施の形態においては与圧構造となる弾性部材の形状を前述の第1の実施の形態と同様としており、第1の実施の形態と同一の部材については同一の符号を付し、説明を省略することとする。
ここで本実施の形態の圧電アクチュエータにおいては、弾性部材である板バネ4の積層型圧電素子2に接触した断面二次モーメントが小さい一端の一面に、前記積層型圧電素子2または被駆動体5から接触しない程度の間隔を開けて歪ゲージセンサー8を取り付けている。 より具体的には、図3中に示すように、与圧構造となる板バネ4の積層型圧電素子2に近い一端の積層型圧電素子2の伸縮方向に直交し被駆動体5側となる一面である側面4aに歪ゲージセンサー8を取り付けた構造としている。
なお、この歪ゲージセンサー8は、接着剤を用いて接着されるか、弾性部材である板バネ4にブリッジ回路を蒸着することによって取り付けられる。蒸着によって取り付ける方法は、弾性部材である板バネ4が絶縁物の場合は板バネ4に直接金などの金属あるいはCu−NiやCr−Nなどの高いゲージ率を持つ材料を蒸着して歪ゲージを形成し、板バネ4が導電体の場合は弾性部材表面に絶縁膜を蒸着し、その上に前述のように歪ゲージを蒸着して形成すればよい。
前述のように、本発明に係る圧電アクチュエータの与圧構造となる弾性部材である板バネは、土台6に固定した一端側より積層型圧電素子2に接触した他端に向けて、断面二次モーメントが連続して小さくなる構造であるため、積層型圧電素子2を変位させたときに弾性部材である板バネ4に生じる歪は断面二次モーメントが最も小さい積層型圧電素子2側の端部の側面4aに集中する。そのため、板バネ4の断面二次モーメントが最も小さくなる積層型圧電素子2側の端部の側面4aに歪ゲージセンサー8を取り付けている。従って、本実施の形態においては、従来のように、歪が弾性部材である板バネ全体に均一に生じる従来の平板上の板バネを用いた与圧構造に歪ゲージセンサーを取り付けた場合よりも、積層型圧電素子2の変位を大きな信号として検出することが出来るようになり、検出精度を向上させることが可能となる。
本実施の形態においても、上記の板バネ4といった弾性部材自身の共振周波数が、積層型圧電素子2を駆動する周波数帯域よりも高く、且つそれらの弾性部材によって積層型圧電素子2に付加される圧力の合計が、積層型圧電素子2の発生力よりも小さくなるような構造となるようにしている。すなわち、本実施の形態においても、与圧構造となる弾性部材が、高い共振周波数を持つので、圧電アクチュエータを高速で振動駆動した場合でも、弾性部材が跳ね上げられ難い。また、与圧構造のバネ定数が小さいので、圧電素子に過大な与圧荷重を加えることがなく、圧電素子の変位を安定して測定することが出来、安定的に圧電アクチュエータを高速動作することが可能となる。
上述の第3の実施の形態においては、弾性部材として第1の実施の形態で使用した板バネを例に挙げて説明したが、弾性部材としては第1の実施の形態中で述べたような他の態様の弾性部材及び第2の実施の形態で使用したコイルバネや他の態様の弾性部材を用いることが可能である。
次に本発明に係る走査型プローブ顕微鏡について図4を参照して説明する。
本実施の形態の走査型プローブ顕微鏡は、図4に示すように、先端に探針22を有するカンチレバー11と、前記探針22に対向配置された試料であるサンプル10を載置する図示しないステージと、前記探針22と前記サンプル10とを、サンプル10表面に平行な方向に相対移動させる移動手段である圧電アクチュエータ1と、前記カンチレバー11の振動状態の変位を測定する測定手段とを備えているものである。なお、本実施の形態の走査型プローブ顕微鏡においては、前記ステージが前記圧電アクチュエータの被駆動体5上に配されている。
そして、本実施の形態の走査型プローブ顕微鏡においては、図4中に示すようにサンプル10が上述の第3の実施の形態で説明した圧電アクチュエータの被駆動体5上に載置された図示しないステージ上に配されている。すなわち、本実施の形態の走査型プローブ顕微鏡においては、サンプル10を紙面長手方向のZ方向に移動させるようになされている。また、本実施の形態の走査型プローブ顕微鏡においては、XY方向への駆動機構9によりサンプル10を紙面と直交する2方向であるXY方向に移動させるようになされている。従ってこれらの移動機構によりサンプル10の位置をXYZ方向に3次元的に移動することが可能となされ、探針22との相対位置を変化させることが可能となされている。
なお、圧電アクチュエータ1については実施の形態3で述べたものと同様のものを使用していることから同一の符号を付し、説明を省略することとする。また、本実施の形態の走査型プローブ顕微鏡においては、図示するようにカンチレバー11に振動を与えるカンチレバー加振部12、カンチレバー加振部12を駆動させるための加振電源13を有する。
なお、カンチレバー11にはレーザー光照射部14からレーザー光が照射され、カンチレバー11から反射されたレーザー光はフォトディテクタ15に入射し、この入射位置からカンチレバー11の変位量がカンチレバー変位検出部16で検出される。そして、カンチレバー変位検出部16により検出されたカンチレバー11の変位に基づいて制御部17から、圧電アクチュエータ1を駆動するZ駆動電源19に所定の制御信号を出力して圧電アクチュエータ1を駆動させて探針22とサンプル10のZ方向の相対位置を制御するようにしている。すなわち、本実施の形態の走査型プローブ顕微鏡においてはサンプル10と探針22の間に働く原子間力によって生じるカンチレバー11の変位を上述のような機構で検出し、且つ上記カンチレバー11の変位量を一定に保つように探針22とサンプル10の相対位置を上述のような機構で制御している。
本実施の形態の走査型プローブ顕微鏡によって観察を行なう際は、制御部17からXY方向への駆動機構9を駆動するXY駆動電源18に所定の制御信号を出力してXY方向への駆動機構9によりサンプル10と探針22の相対位置をXY方向に走査しながら、サンプル10の表面の凹凸やサンプル10と探針22先端の相互作用により生じる原子間力によりカンチレバー11に生じる変位をカンチレバー変位検出部16により検出し、その変位量が一定になるように探針22とサンプル10のZ方向の相対位置を本発明に係る圧電アクチュエータ1によって制御する。このように制御しながら、XY方向への位置とZ方向への圧電アクチュエータ1の駆動信号から、サンプル10表面の形状や物性などを描き出すことにより観察を行なう。
このとき、本実施の形態の走査型プローブ顕微鏡においては、第3の実施形態に示したような歪ゲージセンサー8を取り付けた圧電アクチュエータ1を使用しており、上述したようなカンチレバー11の変位量に基づくZ方向への圧電アクチュエータ1の駆動信号ではなく歪ゲージセンサー8の出力信号をZ方向への信号として使用することにより、積層型圧電素子2の変位を大きな信号として検出し、検出精度を高めた観察を行うことでよりピエゾ素子のヒステリシスを排除した高精度な観察も可能である。また、本実施の形態の走査型プローブ顕微鏡においては、カンチレバー変位検出部16より得られた測定データが制御部17に送られ、イメージデータ生成部20に送られてイメージ化され、これが表示部21に表示されることは言うまでもない。
本発明に係る走査型プローブ顕微鏡においては、移動手段として上述の圧電アクチュエータを使用していることから、安定した測定を行うことが出来、更には検出精度も向上することが可能である。
なお、上述の各実施の形態においては、これらの与圧構造となる弾性部材は1つのみではなく複数の弾性部材を用いて圧電素子を予圧するような構造としても良い。また、上述の各実施の形態においては、圧電素子は積層型圧電素子であるとして説明したが、積層型圧電素子に限定するものではなく、バルクの圧電素子でも良い。
本発明に係る第1の実施の形態における圧電アクチュエータの構成を示す概要図である。 本発明に係る第2の実施の形態における圧電アクチュエータの構成を示す概要図である。 本発明に係る第3の実施形態における圧電アクチュエータの構成を示す概要図である。 本発明に係る走査型プローブ顕微鏡の実施の形態の構成を示す概要図である。
符号の説明
1 圧電アクチュエータ
2 積層型圧電素子
3 ケース
4 板バネ
5 被駆動体
6 土台
7 コイルバネ
8 歪ゲージセンサー
9 XY方向への駆動機構
10 サンプル
11 カンチレバー
12 カンチレバー加振部
13 加振電源
14 レーザー光照射部
15 フォトディテクタ
16 カンチレバー変位検出部
17 制御部
18 XY駆動電源
19 Z駆動電源
20 イメージデータ生成部
21 表示部
22 探針

Claims (10)

  1. 電圧の印加により変位する圧電素子と、
    前記圧電素子の一端を固定する土台と、
    前記圧電素子の他端に固定された被駆動体と、
    一端が前記土台に直接的に或いは間接的に固定され他端が前記圧電素子または被駆動体に接触し、前記圧電素子または被駆動体を圧縮方向に与圧する弾性部材と、からなり、
    前記弾性部材は、前記土台に固定した一端側の部分より前記圧電素子または被駆動体に接触した他端の部分の方が断面二次モーメントが小さい形状であることを特徴とする圧電アクチュエータ。
  2. 請求項1に記載の圧電アクチュエータにおいて、
    前記弾性部材は、前記土台に固定した一端側より前記圧電素子または被駆動体に接触した他端に向けて、断面二次モーメントが連続または段階的に小さくなる構造であることを特徴とする圧電アクチュエータ。
  3. 請求項1又は2に記載の圧電アクチュエータにおいて、
    前記弾性部材の前記圧電素子または被駆動体に接触した断面二次モーメントが小さい一端の一面に、前記圧電素子または被駆動体から接触しない程度の間隔を開けて歪ゲージセンサーを取り付けたことを特徴とする圧電アクチュエータ。
  4. 請求項1から3の何れかに記載の圧電アクチュエータにおいて、
    前記圧電素子が、複数のピエゾ素子を積層した積層型圧電素子であることを特徴とする圧電アクチュエータ。
  5. 請求項1から4の何れかに記載の圧電アクチュエータにおいて、
    前記弾性部材が、前記土台に直接的に或いは間接的に固定した一端側より前記圧電素子または被駆動体に接触した他端に向けて、断面積が連続または段階的に小さくなるような構造であることを特徴とする圧電アクチュエータ。
  6. 請求項1から5の何れかに記載の圧電アクチュエータにおいて、
    前記弾性部材が、前記土台に間接的に固定した一端側より前記圧電素子または被駆動体に接触した他端に向けて、厚さが連続または段階的に薄くなる板バネであることを特徴とする圧電アクチュエータ。
  7. 請求項1から5の何れかに記載の圧電アクチュエータにおいて、
    前記弾性部材が、前記土台に間接的に固定した一端側より前記圧電素子または被駆動体に接触した他端に向けて、前記圧電素子の変位方向を中心として、外周から中心に向けて厚さが連続的にまたは段階的に薄くなる皿バネであることを特徴とする圧電アクチュエータ。
  8. 請求項1から5の何れかに記載の圧電アクチュエータにおいて、
    前記弾性部材が、前記土台に直接的に固定した一端側より前記圧電素子または被駆動体に接触した他端に向けて太さが連続的にまたは段階的に細くなるワイヤーからなるコイルバネであることを特徴とする圧電アクチュエータ。
  9. 先端に探針を有するカンチレバーと、
    前記探針に対向配置された試料を載置するステージと、
    前記探針と前記試料とを、試料表面に平行な方向に相対移動させる移動手段と、
    前記カンチレバーの振動状態の変位を測定する測定手段とを備えている走査型プローブ顕微鏡において、
    前記移動手段に、請求項1乃至7に記載の圧電アクチュエータを用いたことを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
  10. 請求項9に記載の走査型プローブ顕微鏡において、
    前記ステージが前記被駆動体上に配されていることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
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