JP2006010503A - 圧電素子の機械的特性測定装置及び機械的特性測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 簡易な構成でありながら、圧電素子のブロッキングフォースやスティフネスを非破壊で測定することを可能とする。
【解決手段】 測定対象となる圧電素子1を押さえ付け、それ自身のたわみによりバネとして機能する押さえ板2と、圧電素子1の変位によって加わる圧力より大きな圧力により押さえ板2を支持する圧力印加手段と、押さえ板のバネ定数を変更するバネ定数変更手段(例えば複数のシャフト16)と、圧電素子の変位に伴う圧力変動を計測する圧力測定手段(ワッシャーロードセル13)と、圧電素子の変位を測定する変位測定手段(レーザ変位計14)とを備える。押さえ板2のバネ定数を変更するとともに、各バネ定数において圧電素子1に所定の電圧を印加したときの圧電素子1の変位とそれに伴う圧力変化を測定し、測定される変位と圧力変動の関係から圧電素子1の機械的特性、例えばブロッキングフォースやスティフネスを求める。
【選択図】 図1
【解決手段】 測定対象となる圧電素子1を押さえ付け、それ自身のたわみによりバネとして機能する押さえ板2と、圧電素子1の変位によって加わる圧力より大きな圧力により押さえ板2を支持する圧力印加手段と、押さえ板のバネ定数を変更するバネ定数変更手段(例えば複数のシャフト16)と、圧電素子の変位に伴う圧力変動を計測する圧力測定手段(ワッシャーロードセル13)と、圧電素子の変位を測定する変位測定手段(レーザ変位計14)とを備える。押さえ板2のバネ定数を変更するとともに、各バネ定数において圧電素子1に所定の電圧を印加したときの圧電素子1の変位とそれに伴う圧力変化を測定し、測定される変位と圧力変動の関係から圧電素子1の機械的特性、例えばブロッキングフォースやスティフネスを求める。
【選択図】 図1
Description
本発明は、センサーやアクチュエータ、超音波デバイス等に用いられる圧電素子の機械的特性の評価に用いられる測定装置及び測定方法に関するものであり、特に、簡易な構成でありながら圧電素子のブロッキングフォースやスティフネスを非破壊で測定し得る新規な測定装置、測定方法に関する。
電気エネルギーを機械エネルギーに変換、あるいは逆に機械エネルギーを電気エネルギーに変換する圧電素子は、例えば圧電センサーや、圧電アクチュエーター、超音波洗浄機用振動子、超音波モーター、圧電トランス等、各種圧電デバイスとして広く用いられている。
近年、パソコンのハードディスクヘッドの駆動用等、従来の圧電素子に比べ、小型化や薄層化された圧電素子が望まれる傾向にあり、その開発が進められている。しかしながら、圧電素子の小型化や薄層化が進むにつれて、素子の機械的強度が低下し、例えば素子を実際に駆動しているときに、素子にクラック等の欠陥を生じ、破損や特性の劣化が起こる可能性もある。したがって、小型化、薄層化しても機械的強度が良好な圧電素子を開発することが望まれる。
あるいは、例えば様々なマイクロアクチュエータ用の圧電素子としては、積層型圧電素子が有望視され、これを用いた積層型圧電アクチュエータ素子も開発されている。積層型圧電素子は、小型であり、微小変位の高精度制御が可能であり、応答性が速く、発生する力も大きく、エネルギー変換率も高い。
ところで、これら圧電素子の開発に際しては、作製した圧電素子の機械的特性を的確に把握し評価することが必要であり、圧電素子の機械的特性を正確に測定し得る測定装置、測定方法の開発が望まれる。また、測定に際しては、非破壊での測定が可能であることが望まれる。例えば、圧電素子の機械的強度(例えばブロッキングフォース)を測定する場合、圧電素子が変形をしなくなるまで大きな応力を加えることができれば、その測定は可能ではあるが、このような方法では測定した時点で圧電素子が破壊されてしまう。したがって、次の実験を行うためには、新たに圧電素子を作り直したり、多数のサンプルを用意する必要がある等、効率が悪い。
しかしながら、従来、圧電素子の機械的特性を測定する測定装置については、ほとんど研究が進んでおらず、僅かに特許文献1記載の変位測定装置や非特許文献1記載のスティフネス測定装置等が散見されるに過ぎない。
例えば、特許文献1に記載される変位測定装置は、圧電素子を挟持し、該圧電素子に電圧を印加する一対の電極と、圧電素子に荷重を負荷するための荷重負荷手段と、圧電素子の温度を制御するための温度制御手段と、圧電素子の変位を測定するための変位測定手段とから構成されるものである。前記構成を有する特許文献1記載の変位測定装置によれば、荷重を負荷し、且つ温度制御した実駆動条件下での圧電素子の変位量を測定することができる。
非特許文献1記載の測定装置は、動的に圧電素子のスティフネスを測定するものであり、クランプングリンブとサーボアクチュエータの間に積層アクチュエータと圧力センサを挟みこみ、さらに積層アクチュエータの両側にレーザ変位計を設置することにより構成されている。測定に際しては、サーボアクチュエータを伸ばして圧電素子に圧力を加え、その時の圧力を圧力センサで読み取る。このとき、積層アクチュエータを駆動させながら、圧力センサとサーボアクチュエータを同期させ、サーボアクチュエータによって圧電素子に加えられる圧力をコントロールすることにより、擬似的にバネ定数を変更した状態を作り出すことができる。そして、各バネ定数での変位量と圧力の関係を測定し、それぞれの圧力と変位量の最大値を示す点を結んだ直線の傾きからスティフネスを求める。
実開平6−46312号公報
Piezoelectric Materials in Devices
これら測定装置のうち、特許文献1記載の測定装置は、比較的簡単な構造を有するものの、測定できるのは圧電素子の変位量のみであり、ブロッキングフォースやスティフネス等の圧電素子の機械的特性を測定することは想定されていない。
一方、非特許文献1記載の測定装置は、スティフネスの測定ができ、さらには原理的にはブロッキングフォースの測定も可能であるが、測定に際してサーボアクチュエータをロードセルの値と同期させる必要があり、制御回路が煩雑であり、装置構成の簡略化が難しいという問題がある。
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、簡易な構成でありながら圧電素子のブロッキングフォースやスティフネスを測定し得る圧電素子の機械的特性測定装置を提供することを目的とし、簡単な操作で正確にブロッキングフォースやスティフネスを測定し得る圧電素子の機械的特性測定方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上述の目的を達成するために、長期に亘り種々の検討を重ねてきた。その結果、板材のたわみを利用することで、通常のバネでは実現することが難しい大きなバネ定数を得ることができ、しかも簡単な工夫でバネ定数を任意に変更し得ることを知見するに至った。そして、これを利用することで、非特許文献1の測定装置と同様の測定を行い得るとの結論を得るに至った。
本発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。すなわち、本発明の機械的特性測定装置は、測定対象となる圧電素子を押さえ付け、それ自身のたわみによりバネとして機能する押さえ板と、前記圧電素子の変位によって加わる圧力より大きな圧力により前記押さえ板を支持する圧力印加手段と、前記押さえ板のバネ定数を変更するバネ定数変更手段と、前記圧電素子の変位に伴う圧力変動を計測する圧力測定手段と、前記圧電素子の変位を測定する変位測定手段とを備えることを特徴とする。
また、本発明の機械的特性測定方法は、それ自身のたわみによりバネとして機能する押さえ板により圧電素子を押さえ付け、前記押さえ板のバネ定数を変更するとともに、各バネ定数において圧電素子に所定の電圧を印加したときの圧電素子の変位とそれに伴う圧力変化を測定し、測定される変位と圧力変動の関係から前記圧電素子の機械的特性、例えばブロッキングフォース及びスティフネスを求めることを特徴とする。
本発明の測定装置、測定方法は、基本的には、先の非特許文献1記載の測定装置と同様の測定原理によりブロッキングフォース及びスティフネスを測定するものである。すなわち、圧電素子をバネ定数の異なるバネによって押さえ付けた状態を作り出し、各バネ定数における変位量と圧力の関係を測定し、それぞれの圧力と変位量の最大値を示す点を結んだ直線の傾きや切片からスティフネスやブロッキングフォースを求める。
このとき、非特許文献1記載の測定装置のようにサーボアクチュエータをロードセルの値と同期させる方法を採用すると、装置構成が煩雑になる。一方、特許文献1記載の測定装置は、変位量を測定する装置であるが、荷重負荷手段を有しており、これを流用して、例えば荷重負荷手段として記載される4隅のコイルバネをバネ定数を変えて変位や圧力を測定すれば、同様の測定が実現可能と考えられる。ただし、この場合、バネ定数を変更するためには、前記4隅のコイルバネを取替えなければならず、作業が煩雑である。また、圧電素子のブロッキングフォースやスティフネスを測定するためには、100N/μm程度のバネ定数を有するバネが必要であるが、前記コイルバネとしてこのような大きなバネ定数を有するものを設置することは不可能に近く、現実的ではない。
そこで、本発明では、前記の通り、圧電素子を押さえ付ける押さえ板を板バネに見立て、そのバネ定数を変更することで前記測定を可能としている。すなわち、同じ厚さ、同じ材質の板バネの場合、その長さによって腰の強さが変わり、バネ定数が変わる。例えば、短い板バネの方が長い板バネよりもたわみ難く、長い板バネはたわみ易い。ここで、たわみ難いとは、バネ定数が大きいことを意味し、たわみ易いとはバネ定数が小さいことを意味する。
本発明では、前記押さえ板を例えば複数のシャフトによって支持するようにし、その間隔を変更することで、擬似的に板バネとして機能する押さえ板の長さを変え、バネ定数を変更するようにしている。シャフトの間隔は、コイルバネを取り替える方法等に比べて簡単に変更可能であり、これによりバネ定数を変更した状態が簡単に作り出される。
本発明の圧電素子の機械的特性測定装置によれば、簡易な構成でありながら圧電素子の機械的特性、具体的にはブロッキングフォースやスティフネスを非破壊で測定することが可能である。同様に、本発明の圧電素子の機械的特性測定方法によれば、簡単な操作で正確にブロッキングフォースやスティフネスを測定することが可能である。
以下、本発明を適用した圧電素子の機械的特性測定装置及び機械的特性測定方法について、図面を参照して詳細に説明する。
本発明の測定装置、測定方法において、測定対象となる圧電素子は、単板の圧電素子であってもよいし、複数の圧電セラミック層が電極を介して積層された積層圧電素子であってもよい。ただし、一般的に積層圧電素子の方が変位が大きいことから、本発明を適用し易い。測定する機械的特性は、ブロッキングフォース及びスティフネスである。圧電素子に電圧を印加すると、これに伴って変位するが、圧縮応力を加えてその大きさを大きくしていくと変位量が次第に低下していき、遂には変位がゼロとなる。このときに必要な圧縮応力がブロッキングフォースである。また、金属やセラミックスの弾性変形領域においては、結晶にかかる応力とその結果発生する歪曲線の間には比例関係が成立し、Hookの法則[歪量(dL/L)=応力(Pa)/ヤング率(Pa)]にしたがうことが知られている。その比例定数は単なる数値ではなくマトリックスであり、この比例定数を表すマトリックスを弾性スティフネス定数と呼ばれる量で表現する。
図1は、本発明を適用した測定装置の一例を示すものである。この測定装置は、測定対象となる圧電素子1を押さえ付ける押さえ板2と、この押さえ板2に圧電素子1の変位によって圧力が加わったときに押さえ板2が移動しないように圧力を付与する圧力印加手段、圧電素子1に加わる圧力を計測する圧力測定手段、圧電素子1の変位を正確に検出する変位測定手段、及び前記押さえ板2のバネ定数を変更するバネ定数変更手段を主な構成要素としている。
図示の通り、本実施形態の測定装置は、基台3と、この上に組み立てられた剛直な躯体4とによって支持された構造を採用しており、基台3上に載置された治具5の上に圧電素子1を設置し、これを上方から押さえ板2により押さえ付けるような構造となっている。この場合、測定原理から押さえ板2の方が基台3よりもたわみ易いことが必要である。押さえ板2よりも基台3の方がたわみ易いと、測定の際に基台3の方が先にたわんでしまい、正確な測定ができなくなる。
押さえ板2には、4隅に挿通孔6が設けられるとともに、ここにそれぞれ支持シャフト7が挿通され、面内方向における位置決めが図られている。各支持シャフト7には、コイルバネ8が挿入され、その下端面において押さえ板2を支持し、これを下方に向かって押圧するようになっている。なお、図示は省略するが、押さえ板2の背面側には、圧電素子1や後述のシャフトの設置を容易なものとすること等を目的に、押さえ板2を上方に引き上げる引き上げ機構(例えば引き上げ棒等)が設けられている。
コイルバネ8の上端面には、加圧板9が当接されており、また加圧板9の背面には、これを支持する押し下げロッド10及びハンドル11が設けられている。押し下げロッド10はネジ方式によって上下動可能であり、ハンドル11を回転操作することによって下方、あるいは上方へと移動する。したがって、ハンドル11の操作によって押し下げロッド10を下方に移動すると、これに支持される加圧板9も押し下げられ、コイルバネ8を上方から圧縮する。このコイルバネ8の圧縮力は、前記押さえ板2に伝わり、これを下方に押さえ付ける。したがって、前記コイルバネ8、加圧板9、押し下げロッド10及びハンドル11によって、押さえ板2に圧力を付与する圧力印加手段が構成されることになる。
また、加圧板9の背面側には、上部ロードセル12が設置されており、この加圧板9に加わる圧力、すなわち押さえ板2に加わる圧力をモニタするようになっている。測定に際しては、圧電素子1の変位に伴って押さえ板2に所定の圧力が加わるが、この圧力によって押さえ板2が後退(上方に移動)してしまうと、押さえ板2の板バネとしての機能を利用した測定ができなくなる。そこで、前記上部ロードセル12によって押さえ板2を押さえ付ける圧力をモニタし、これが圧電素子1の変位によって加わると予想される圧力よりも大きくなるように、前記圧力印加手段によって加える圧力を設定する。
一方、圧電素子1に加わる圧力を計測する圧力測定手段としては、圧電素子1と押さえ板2の間にワッシャーロードセル13を挟み込んでいる。このワッシャーロードセル13は、先の上部ロードセル12と同様、圧力検出に広く用いられるものであり、前記のように圧電素子1と押さえ板2の間に挟み込むことにより、圧電素子1に加わる圧力を計測することができる。なお、ここで中央に孔の開いたワッシャーロードセル13を用いたのは、後述のレーザ変位計のレーザ光を圧電素子1の上面に照射するための経路を確保するためである。
また、圧電素子1の変位を検出するための変位測定手段としては、ここでは、レーザ変位計14が用いられている。本実施形態では、レーザ変位計14を横方向に配置し、反射鏡15によってレーザ光を直角に曲げ、圧電素子1の上端面に照射するように構成されている。なお、押さえ板2及びワッシャーロードセル13のレーザ光の光路部分には、それぞれ孔が開けられており、この孔内に臨む圧電素子1の上端面にレーザ光が照射され、その反射光を検出することで変位量が計測される。変位測定手段としては、このレーザ変位計に限らず、渦電流を利用した変位計やマイクロメータ等も使用可能であるが、設置が容易であること、測定精度が高いこと等の理由により、前記レーザ変位計を用いるのが好ましい。
さらに、本実施形態の測定装置には、重要な構成要素であるバネ定数変更手段が設けられている。本実施形態では、このバネ定数変更手段として、複数本のシャフト16を設けている。各シャフト16は、ネジ式等によって伸縮自在とされており、押さえ板2の圧電素子1が設置される側の面、すなわち下面を下方から支え、前記圧力印加手段によって押さえ板2に加わる圧力が圧電素子1に直接加わらないようにする。その結果、圧電素子1は、所定のバネ定数の板バネとして機能する押さえ板2によって上面が抑えられた状態になる。測定に際しては、このことを考慮し、押さえ板2によって加わる圧力が適正なものとなるように各シャフト16の長さを調整する。
次に、前記各シャフト16によるバネ定数変更の原理について説明する。図2に示すように、仮に2本のシャフト16を間隔Aで配置した場合と、これよりも狭い間隔Bで配置した場合を考える。前記シャフト16を間隔Aで配置した場合、押さえ板2は、この間隔Aに相当する長さの板バネとして機能する。同様に、前記シャフト16を間隔Bで配置した場合、押さえ板2は、間隔Bに相当する長さの板バネとして機能する。ここで、A>Bであるので、前者は長さの長い板バネ、後者は長さの短い板バネとして機能することになる。押さえ板2の材質、厚さ等は何ら変更していないのであるから、前者と後者は長さだけが異なることになるが、このような場合、その中央部分を圧電素子1の変位によって圧力を加えると、長さが長い板バネの方がたわみ易く、短い板バネの方がたわみ難い。これは、板バネのバネ定数を変更したのと等価であり、前者のバネ定数が後者のバネ定数に比べて小さいということになる。したがって、シャフト16の間隔を変更することで、板バネとして機能する押さえ板2のバネ定数を任意に設定することが可能となる。また、コイルバネ等の場合と異なり、押さえ板2の材質、厚さ等を選定することで、例えば100N/μm以上のバネ定数も簡単に実現することができる。
押さえ板2を安定に支持するためには、前記シャフト16は3本以上であることが好ましい。例えば4本、あるいは5本のシャフト16を支持平面内において等方的、且つ均等に配置して支持するようにすれば、安定な支持状態が得られる。そして、これらシャフト16の中の少なくとも1本の位置を変更すれば、押さえ板2の支持状態を変えることができ、バネ定数を変更することができる。勿論、2本以上を移動してもよいし、それによって多様なバネ定数に変更することが可能となる。例えば各シャフト16を同心円的に配置し、その配置径を変更することでバネ定数を変更することも可能である。
バネ定数変更手段としては、これに限らず、例えば押さえ板2の枚数を変更したり、押さえ板2の材質を変更することでたわみ易さを変更し、前記バネ定数を変更するようにすることも可能である。ただし、操作のし易さ等を考慮すると、前記シャフト16による方法が最適である。
以上の測定装置を用いてブロッキングフォース及びスティフネスを測定するが、以下、その測定原理について説明する。
前記測定装置における測定原理は、先にも述べた通り、圧電素子をバネ定数の異なるバネによって押さえ付けた状態を作り出し、各バネ定数における変位量と圧力の関係を測定し、それぞれの圧力と変位量の最大値を示す点を結んだ直線の傾きや切片からスティフネスやブロッキングフォースを求めるというものである。
圧電素子においては、電圧の印加によって変位が起こり、印加電圧に応じて伸び縮みする。図3は、横軸に変位、縦軸に圧力をとったときに、圧電素子の変位と圧電素子に加わる圧力の挙動を示すものである。例えば、圧電素子が開放状態である場合(バネ定数がゼロの場合に相当する。)の軌跡を考える。なお、ここで圧電素子の最大印加電圧Vmaxにおける変位がh1とする。印加電圧を次第に高くしていくと、図3中矢印aで示すように、次第に変位が大きくなり、A点(最大変位h1)に到達する。このとき、圧電素子は開放状態であるので、圧電素子に加わる圧力は、ゼロである。そして、印加電圧を下げていくと、図中矢印bで示すように、変位が減少していく。
これに対して、圧電素子を所定のバネ定数を有するバネによって押さえ付けた場合には、バネによって加わる最大圧力に応じて最大変位量が減少し、先の開放状態の場合とは異なる軌跡を示す。すなわち、バネによって押さえ付けた場合、圧電素子に印加する電圧を次第に高くすると、圧電素子の変位(伸び)に伴ってバネ(すなわち圧電素子)に加わる圧力が上昇し、図中矢印cで示すように、所定の傾きで変位、圧力ともに上昇する。ただし、最大印加電圧Vmaxを印加しても、前記圧力が加わることにより変位が抑えられ、最大印加電圧Vmaxを印加したときに到達するB点における最大変位h2は、先の開放状態の場合の最大変位h1よりも小さい。また、このとき、圧電素子には、最大圧力Pが加わっている。印加電圧を下げていくと、図中矢印dで示すように、変位、圧力共に減少していき、元の位置に戻る。
このように、圧電素子を所定のバネ定数を有するバネによって押さえ付けて圧電素子に所定の電圧を印加すると、前記図3において、所定の角度で傾斜する直線状の軌跡を描くことになる。このとき、押さえ付けるバネのバネ定数を大きくしていくと、圧電素子に加わる圧力の最大値が大きくなり、これに伴って変位が規制されて変位量が減少する。すなわち、バネ定数の上昇の伴って前記直線状の軌跡の傾きが大きくなっていく。逆に、押さえ付けるバネのバネ定数を小さくしていくと、前記傾きは小さくなっていく。この様子を示したのが図4であり、圧電素子を押さえ付けるバネのバネ定数を次第に大きくしていくと、その軌跡は、直線L2、L3・・・L6というように、次第に直線の傾きが大きくなり、最大印加電圧Vmaxで到達する最大圧力が次第に大きく、最大変位が次第に小さくなっていく。このとき、各直線L1〜L6の最大圧力、最大変位を示す点を結ぶと、直線lを描くことができる。
ブロッキングフォースは、電圧を印加した際に、変位をゼロとし得る圧縮応力であるので、前記直線lにおいて変位ゼロのときの圧力、すなわち直線lの切片によって求められることになる。実際には、前記測定においては、圧電素子にバネによって初期圧力が加わっているので、前記直線lが縦軸と交わった点での圧力からこの初期圧力を差し引いた値がブロッキングフォースである。また、スティフネスは、前記直線lの傾きである。
前記測定原理にしたがってブロッキングフォースを求める場合、変位がゼロとなる圧縮応力を直接圧電素子に加える必要がなく、これよりも低い圧力を加えるだけでよいので、圧電素子にクラックが入ったり破壊したりするおそれがない。
前述の測定原理に基づいて図1に示す測定装置によってブロッキングフォースやスティフネスを求めるには、先ず、圧電素子1を所定の位置に装着し、押さえ板2によって上から押さえ付ける。このとき、シャフト16を適当な間隔で配置し、これらシャフト16によって押さえ板2の下面を支持し、押さえ板2が板バネとして機能するように、すなわち押さえ板2によって圧電素子1に加えられる圧力が適正になるように、その長さを調整する。
圧力印加手段によって押さえ板2に加える圧力は、圧電素子1の変位によって押さえ板2に加わると想定される最大圧力より大きな圧力とする必要がある。そこで、上部ロードセル12によって押さえ板2に加わる圧力を確認しながら、押さえ板2に適性な圧力を加える。この状態で圧電素子1に所定の電圧を印加し、当該シャフト間隔(バネ定数)における最大変位、最大圧力を求める。
前記シャフト間隔での測定が終わったら、シャフトのうちの少なくとも1本の位置を変更し、押さえ板2が板バネとして機能する際の実効的なバネ定数を変更する。そして、同様の測定を行い、このバネ定数における最大変位、最大圧力を求める。さらにバネ定数を変更して複数回の測定を行い、各測定で得られた結果に基づい直線lを引き、ブロッキングフォース及びスティフネスを求める。測定は、なるべくバネ定数を大きく変えて多数回行うことが精度を向上する上で好ましい。
なお、前述の測定に際しては、圧電素子1に直接触れる治具5やワッシャーロードセル13等は圧力印加による歪みが無いことが前提である、歪みを完全に取り除くことが難しい場合には、予め歪みを測定しておき、その測定結果に基づいて測定値を補正することも可能である。
本実施例においては、前記測定装置、測定方法にしたがって実際に測定を行い、圧電素子のブロッキングフォース及びスティフネスを算出した。
測定に用いた装置の構成は、図1に示すものと同様とし、押さえ板2及び基台3にはステンレス板を用いた。このとき、押さえ板2の厚さを基台3の厚さよりも薄くし、押さえ板2の方がたわみ易くした。変位による圧力変動を確認するため、圧力測定手段として前述のワッシャーロードセル13を用いた。圧電素子1に直接触れる治具5にはアルミナを使用し、各シャフト16はネジ式で伸び縮み可能とした。
評価した圧電素子は、PZTの積層型圧電素子であり、10mm角、長さ40mmの素子である。測定に際しては、初期圧力を820N印加し、圧電素子1に印加する電圧は、圧電素子1を固定した状態で変位が30μmとなる電圧に固定した。
以上のような設定条件で、シャフト16の間隔を200mm、150mm、100mm、50mm、20mmと狭めていき、押さえ板2の歪み(バネ定数)を変化させた。シャフト16の間隔を前記のように狭めていくことで、バネ定数は10N/μm、20N/μm、30N/μm、60N/μm、90N/μmと変化した。
測定結果を図5に示す。各バネ定数での測定結果を結ぶ直線を引いたところ、y=−86x+3464と算出された。したがって、スティフネスは傾きから86N/μm、ブロッキングフォースは切片から初期圧力を差し引いて3464−820=2644Nと計算された。
1 圧電素子、2 押さえ板、3 基台、4 躯体、5 治具、7 支持シャフト、8 コイルバネ、9 加圧板、10 押し下げロッド、11 ハンドル、12 上部ロードセル、13 ワッシャーロードセル、14 レーザ変位計、15 反射鏡、16 シャフト(バネ定数変更手段)
Claims (11)
- 測定対象となる圧電素子を押さえ付け、それ自身のたわみによりバネとして機能する押さえ板と、
前記圧電素子の変位によって加わる圧力より大きな圧力により前記押さえ板を支持する圧力印加手段と、
前記押さえ板のバネ定数を変更するバネ定数変更手段と、
前記圧電素子の変位に伴う圧力変動を計測する圧力測定手段と、
前記圧電素子の変位を測定する変位測定手段とを備えることを特徴とする圧電素子の機械的特性測定装置。 - 測定される変位と圧力変動の関係から前記圧電素子のブロッキングフォース及びスティフネスが求められることを特徴とする請求項1記載の圧電素子の機械的特性測定装置。
- 前記バネ定数変更手段は、前記押さえ板の圧電素子が接する側の面を支える複数のシャフトから構成され、これらシャフトの間隔を変更することで押さえ板のたわみに要する応力を変更し、バネ定数を変更することを特徴とする請求項1又は2記載の圧電素子の機械的特性測定装置。
- 前記シャフトの本数が3本以上であることを特徴とする請求項3記載の圧電素子の機械的特性測定装置。
- 前記圧力測定手段は、ロードセルであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の圧電素子の機械的特性測定装置。
- 前記変位測定手段は、レーザ変位計であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の圧電素子の機械的特性測定装置。
- 前記圧力印加手段により押さえ板に加えられる圧力をモニタするロードセルが設置されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の圧電素子の機械的特性測定装置。
- 前記圧電素子は、基台上に載置した状態で前記押さえ板により押さえ付けられ、前記押さえ板のたわみが基台のたわみよりも大であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の圧電素子の機械的特性測定装置。
- それ自身のたわみによりバネとして機能する押さえ板により圧電素子を押さえ付け、
前記押さえ板のバネ定数を変更するとともに、各バネ定数において圧電素子に所定の電圧を印加したときの圧電素子の変位とそれに伴う圧力変化を測定し、
測定される変位と圧力変動の関係から前記圧電素子の機械的特性を求めることを特徴とする圧電素子の機械的特性測定方法。 - 前記各バネ定数において最大変位となる点を求め、これら各点を結んだ直線の傾きからスティフネスを求め、切片からブロッキングフォースを求めることを特徴とする請求項9記載の圧電素子の機械的特性測定方法。
- 前記押さえ板の圧電素子が接する側の面を複数のシャフトによって支え、これらシャフトの間隔を変更することで押さえ板のたわみに要する応力を変更し、バネ定数を変更することを特徴とする請求項9又は10記載の圧電素子の機械的特性測定方法。
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