本発明は、高い精度を実現した弾性体の検査方法、検査装置、及び寸法予測プログラム、並びに圧電/電歪アクチュエータの検査方法、検査装置、及び変位量予測プログラム、並びに圧電/電歪センサの検査方法、検査装置、及び検出感度予測プログラムに関する。
近年、光学、精密機械、半導体製造等の分野において、サブミクロンのオーダーで光路長や位置を調整する変位制御デバイスが所望されるようになってきている。これに応え、強誘電体や反強誘電体に電界を加えたときに起こる逆圧電効果や電歪効果等に基づくところの歪みを利用した圧電/電歪アクチュエータや、同様の効果に基づき強誘電体/反強誘電体に応力を加えたときに起こる電荷発生を利用した圧電/電歪センサ等の、圧電/電歪デバイスの開発が進められている。この圧電/電歪デバイスは、上記のように電界誘起歪みや応力によって誘起される電荷、電界を利用するデバイスであり、特に、圧電/電歪アクチュエータは、従来のサーボモータ、パルスモータ等による電磁方式等に比較して、微小変位制御が容易であり、機械/電気エネルギー変換効率が高く省電力化が図れ、超精密に実装出来て製品の小型軽量化に寄与する、という特徴を備えることから、その応用分野は拡大の一途を辿るものと考えられている。
圧電/電歪アクチュエータは、例えば、キャビティが設けられた厚肉の支持部と、そのキャビティを覆蓋する振動部と、を一体的に成形してなるセラミックス製の基体の一の面に、下部電極と圧電/電歪体と上部電極とを順に積層した圧電/電歪作動部を設けた構造を有するものである。そのような圧電/電歪アクチュエータは、上部電極と下部電極との間に電界が生じると、圧電/電歪材料からなる圧電/電歪体が変形し、振動部に上下方向の変位を生じ、この振動部を変位させる作用によって、圧電/電歪アクチュエータは精密機器のアクチュエータ部として適用され、例えば、振動部を上下に変形させることにより、スイッチの接触、非接触を制御したり、マイクロポンプとして流体制御を行う。
圧電/電歪アクチュエータがスイッチやマイクロポンプのアクチュエータ部等として利用される場合には、その変位量が十分に大きくないと、スイッチにおいてストロークが不足しスイッチとして機能しなかったり、マイクロポンプにおいて流体の押出し量が不十分になったり場合によっては全く流体を押し出せないという問題があった。又、複数の圧電/電歪アクチュエータを組みにして利用する場合には、その個体間の変位量にばらつきがあると、接触又は非接触動作が不安定になったり、流体の押出し量が不安定になったりして、スイッチやマイクロポンプの品質が低下する。従って、同一の電圧をかけた(同一の電界が生じた)ときに、各振動部の変位量が、一定以上であって且つ均一になる圧電/電歪アクチュエータが望まれる。そのため、圧電/電歪アクチュエータを製品として出荷するにあたっては、レーザードップラー振動計等によって、直接、振動部の変位量を検査する必要があった。ところが、作製した圧電/電歪アクチュエータの全ロットについて検査を行うとコストが高くなるため、それに代わる検査方法が求められていた。
「振動工学ハンドブック」(養賢堂発行)、第1版、1976年発行、第4章分布系の自由振動、4.6板の振動(P.98〜109)
「工業基礎振動学」(養賢堂発行)、第14版、1989年発行、第4章平板の横振動(P.224〜228)
このような圧電/電歪アクチュエータの検査にかかる要求に対し、従来は、圧電/電歪アクチュエータの製造工程において、コンデンサに見立てた圧電/電歪体の静電容量を計測することにより、同一の電圧をかけた(同一の電界が生じた)ときの変位量の大小や均一性を検査していた。この検査方法は、圧電/電歪アクチュエータの圧電/電歪体は変位発生部にあたるから、静電容量が等しければ、C=εS/dより、圧電/電歪体の電極面積、電極間距離、又は誘電率等が総合的に同等となるため、圧電/電歪体(ひいては圧電/電歪作動部)の変位量も等しくなり、更には、振動部の変位量も総合的に同等となる結果、変位量にばらつきが生じない筈である、との考えに基づいている。
しかしながら、このような従来の検査方法は、必ずしも精度の高いものではなかった。その理由は、圧電/電歪アクチュエータの圧電/電歪作動部以外の構成要素が、検査に反映されないためと考えられた。又、近時の圧電/電歪アクチュエータでは、微細化が進んだため、僅かな寸法のずれやばらつきが、特性に、より大きな影響を与えるようになっており、その寸法のずれやばらつきを検査するためには、破壊を伴う断面観察を行う必要があるため、多大なコストを要していた。更に、検査にあたり破壊が必要なため、直接、出荷する製品を検査することが不可能であった。
加えて、圧電/電歪アクチュエータの変位量を、レーザードップラー振動計等によって、直接、検査することは、装置が高価であり、検査タクトがかかり、コスト高になっていた。又、変位量に大きく影響する設計値からの寸法ずれ、位置ずれの量を、製造過程で顕微鏡等を用いた外観検査によって検出することは、熟練した人員を多く確保する必要があり、検査タクトもかかり、コスト高になっていた。更に、断面観察によって寸法ずれ、位置ずれを破壊検査する方法では、コスト高であるのに加え、検査したそのものを製品として使用することが出来ず、抜き取り検査しか行えなかった。尚、これらの問題は、同じ設計・仕様であれば均一なセンサ感度が求められる圧電/電歪センサにおいても、同様に生じていた。
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、製品としての実駆動をさせることなく、分解・破壊を伴わずに、高い精度で圧電/電歪デバイス(圧電/電歪アクチュエータ又は圧電/電歪センサ)を検査し得る方法を提供することにある。
研究が重ねられた結果、例えば上記した圧電/電歪アクチュエータの場合に、その振動部の変位量は、基体(振動部及び支持部)を含む全体の剛性や、振動部の形状、あるいは振動部に対する圧電/電歪作動部の形成位置、等の圧電/電歪アクチュエータの機械的性質又は形態にかかる各要素に、密接した関係があることがわかった。
そして、更に研究が重ねられた結果、圧電/電歪アクチュエータを振動させたときの種々の周波数特性を調べ、その周波数特性に基づいて圧電/電歪アクチュエータの上記機械的性質又は形態にかかる各要素を、高精度に予測出来ることが見出された。そして、圧電/電歪アクチュエータの機械的性質又は形態にかかる各要素を予測するシステムを構築し、それによって予測された機械的性質又は形態にかかる各要素に基づいて、圧電/電歪アクチュエータの高精度な検査が可能になることがわかった。更に、機械的性質又は形態にかかる各要素と振動部の変位との間には密接な関係があるため、圧電/電歪アクチュエータの振動部の変位量を、高精度に検査することが可能であることがわかった。
具体的には、例えば、圧電/電歪アクチュエータの設計ディメンジョンに依存する何れかの周波数特性の値と、被検体の設計寸法値からの寸法ずれ、位置ずれの量との間に、一定の関係があることが見出され、当該周波数特性の値を求めることによって、被検体における設計値からの寸法ずれ、位置ずれの量が一定の許容値内に入っているか否かを検査出来ることがわかった。そして、この設計値からの寸法ずれ等は、圧電/電歪アクチュエータの変位量の特性と密接な関係があるので、当該周波数特性から変位量を予測し、換算して検査することも可能であることがわかった。
又、研究が重ねられた結果、例えば、板(板状体)である圧電/電歪アクチュエータの一の部分の寸法ずれは、(1,2)次の振動モードに相当する共振ピークの高さに関係し、他の部分の寸法ずれは(3,1)次と(1,1)次の振動モードに相当する共振周波数の比に関係する、という具合に、それぞれの寸法ずれの要因が、特徴的に現れる次数((m,n)次)の共振が存在することを見出した。更に、従来の文献等に未だ記述されていない特殊な次数(本明細書において3.5次と命名する)の振動モードが存在し、その振動モードの共振によって、板(板状体)である圧電/電歪アクチュエータの一の部分の寸法ずれを、極めて精度よく予測出来ることが見出された。加えて、これらを個別に検査することも可能であるし、これらを組合せて重回帰分析等により計算式を作成することにより、圧電/電歪アクチュエータの変位量を高精度に予測し検査することが可能であることが見出された。
尚、一般に、板(板状体)の振動は、非特許文献1及び非特許文献2に記載されているように、(m,n)次の振動モードという形で表記することが出来る。例えば、正方形や長方形の板の場合には、縦方向と横方向、円形の板の場合には、円周方向と直径方向に、それぞれ振動の定常波の節の数に応じて、(m,n)次の振動モードと表記することが出来る。本明細書においては、節が1つもないモードを1次、節が1つ存在するモードを2次と表記する。即ち、長方形の板の場合に、縦方向にm−1、横方向にn−1、の数の節が存在する振動モードを、(m,n)次の振動モードと表記する。各共振周波数における振動モードの特定は、共振周波数で板を加振し、板の複数箇所での振動をレーザードップラー振動計等で測定し、得られた振動データを総合的に解析してアニメーション等で観察することにより特定することが可能である。
以上のような考え方に基づいて、圧電/電歪アクチュエータの変位量等と同様に、圧電/電歪センサの検出感度についても、検査出来ることがわかった。更には、圧電/電歪デバイス(圧電/電歪アクチュエータ及び圧電/電歪センサ)を含み、広く弾性体を有する構造体について、その寸法を検査する方法として適用可能なことが見出され、本発明が完成した。具体的には、本発明は以下に示す手段を提供する。
即ち、本発明によれば、2以上の弾性体を有する構造体にかかる弾性体の検査方法であって、構造体を振動させたときの周波数特性をピックアップし、その周波数特性によって、弾性体の寸法を予測する弾性体の検査方法が提供される。
上記周波数特性は、弾性体を加振機や圧電/電歪素子等で振動させたときの機械的な振動を、直接、レーザードップラー振動計や加速度センサ等で測定して得ることが可能であるが、圧電/電歪アクチュエータや圧電/電歪センサの場合には、ネットワークアナライザやインピーダンスアナライザを使用し、電気的なインピーダンスやゲインと位相の周波数特性を測定する方が、安価で高速に測定することが可能である。尚、このことは、本発明に係る全ての発明(弾性体の検査方法の他に、圧電/電歪アクチュエータの検査方法、圧電/電歪センサの検査方法、弾性体の検査装置、圧電/電歪アクチュエータの検査装置、圧電/電歪センサの検査装置、弾性体の寸法予測プログラム、圧電/電歪アクチュエータの変位量予測プログラム、圧電/電歪センサの検出感度予測プログラム)においても同様である。
本発明に係る弾性体の検査方法において、上記周波数特性が、一の次数の共振周波数Fx及び他の次数の共振周波数Fy、並びに、それらにより求められる1以上の周波数比FRxy(FRxy=Fy/Fx)乃至1以上の周波数差FDxy(FDxy=Fy−Fx)、のうちの何れかであることが好ましい。更に、上記周波数特性として、共振周波数Fzを加え、何れか又は2以上の組合せにより、弾性体の寸法を予測することも好ましい。尚、本明細書において、乃至とは、及び/又は、を意味する。
又、上記周波数特性が一の次数の共振波形のピークの高さPKx、面積Sx、及び極大値と極小値の差、並びに、前記一の次数の共振波形と他の次数の共振波形との間の、ピークの高さの比PKRxy、ピークの高さの差PKDxy、面積比SRxy、面積差SDxy、極大値と極小値の差の比、及び極大値と極小値の差の差、のうちの何れかであることが好ましい。
更に、これらの周波数特性を組合せて、多変量解析等を行うことにより、より高精度に弾性体の寸法を予測・推定することが可能である。
尚更には、ある次数(m,n)の共振にかかる共振ピークが現れるか否か、即ち(m,n)次共振が生じているか否かによっても、弾性体の検査を簡便に行うことが可能である(このことは、本発明に係る全ての発明に適用出来る)。
本明細書において、(m,n)次の共振にかかる共振波形とは、所定の周波数帯域におけ周波数特性として示される波形のうち、(m,n)次の振動モードに対応する共振ピーク近傍を示す波形(曲線)である。周波数特性とは、限定されるものではないが、機械振動の伝達特性、電気インピーダンス特性、電気的伝送特性、電気的反射特性等であって、横軸を周波数とし、縦軸をゲイン(利得)と位相、インピーダンスと位相、又はアドミタンスと位相、等としたチャートで表現することが出来る。機械的な共振と電気的な共振は、現象としては別の現象であるが、圧電/電歪アクチュエータや圧電/電歪センサにおいては、両者が、ほぼ一致した共振周波数にて観測されることがわかっており、この現象は圧電共振子や圧電フィルタとして応用されている。
(m,n)次の共振は、周波数特性を表すチャートにおいて、上記共振波形のうちピークを有する山型乃至谷型の部分で特定される。共振波形とは、その山型乃至谷型の部分の近傍を表す波形にあたる。共振波形の面積とは、周波数特性を表すチャートにおけるピークのないベースとなるラインに対して、その山型乃至谷型に盛り上がった部分の面積であり、共振波形のピークの高さとは、その山型乃至谷型部分のピークの高さの値であって、この縦軸の値は、ゲイン、インピーダンス、アドミタンス、位相等、何れの周波数特性の値であっても構わないが、電気振動の場合は位相、機械振動の場合はゲイン(利得)をとることが好ましい。上記ベースとなるラインが比較的フラットであり、データ処理し易いからである。尚、共振波形の極大値と極小値の差は、縦軸の値としてインピーダンス又はアドミタンスの値をとるチャートの場合に、好適に採用される。インピーダンスやアドミタンスの場合は、ベースラインが右上がり又は右下がりの曲線乃至直線となり、共振と反共振とが組みになって、山型の部分と谷型の部分にピークが存在するので、その両者の差を寸法ずれや変位量を予測するための特性値とすることが出来る。
本発明に係る弾性体の検査方法は、上記弾性体の寸法が、構造体を構成する2以上の弾性体のうち任意の2の弾性体間のずれ量である場合に好適に用いられる。又、上記弾性体の寸法が、構造体を構成する2以上の弾性体のうち任意の1の弾性体のうねり量である場合に好適に用いられる。
次に、本発明によれば、圧電/電歪体と2以上の電極とを具備する圧電/電歪アクチュエータの検査方法であって、圧電/電歪アクチュエータを振動させたときの周波数特性をピックアップし、その周波数特性によって、圧電/電歪アクチュエータの変位量を予測する圧電/電歪アクチュエータの検査方法が提供される。
本発明に係る圧電/電歪アクチュエータの検査方法においては、上記周波数特性が、一の次数の共振周波数Fx及び他の次数の共振周波数Fy、並びに、それらにより求められる1以上の周波数比FRxy(FRxy=Fy/Fx)乃至1以上の周波数差FDxy(FDxy=Fy−Fx)、のうちの何れかであることが好ましい。
又、本発明に係る圧電/電歪アクチュエータの検査方法においては、上記1以上の周波数比FR乃至1以上の周波数差FDに、1以上の共振周波数Fz乃至圧電/電歪体の静電容量CPを加えて、何れか又は2以上の組合せにより、圧電/電歪アクチュエータの変位量を予測することが好ましい。
更に、上記周波数特性が、一の次数の共振波形のピークの高さPKx、面積Sx、及び極大値と極小値の差、並びに、前記一の次数の共振波形と他の次数の共振波形との間の、ピークの高さの比PKRxy、ピークの高さの差PKDxy、面積比SRxy、面積差SDxy、極大値と極小値の差の比、及び極大値と極小値の差の差、のうちの何れかであることが好ましい。
加えて、これらの周波数特性を組合せ、多変量解析等を行うことにより、より高精度に圧電/電歪アクチュエータの変位量を予測・推定することが可能である。
次に、本発明によれば、圧電/電歪体と2以上の電極とを具備する圧電/電歪センサの検査方法であって、圧電/電歪センサを振動させたときの周波数特性をピックアップし、その周波数特性によって、圧電/電歪センサの検出感度を予測する圧電/電歪センサの検査方法が提供される。
本発明に係る圧電/電歪センサの検査方法においては、一の次数の共振周波数Fx及び他の次数の共振周波数Fy、並びに、それらにより求められる1以上の周波数比FRxy(FRxy=Fy/Fx)乃至1以上の周波数差FDxy(FDxy=Fy−Fx)、のうちの何れかであることが好ましい。
又、本発明に係る第1の圧電/電歪センサの検査方法においては、上記1以上の周波数比FRxy乃至1以上の周波数差FDxyに、1以上の共振周波数Fz乃至圧電/電歪体の静電容量CPを加えて、圧電/電歪センサの検出感度を予測することが好ましい。
更に、上記周波数特性が、一の次数の共振波形のピークの高さPKx、面積Sx、及び極大値と極小値の差、並びに、前記一の次数の共振波形と他の次数の共振波形との間の、ピークの高さの比PKRxy、ピークの高さの差PKDxy、面積比SRxy、面積差SDxy、極大値と極小値の差の比、及び極大値と極小値の差の差、のうちの何れかであることが好ましい。
更に、これらの周波数特性を組合せ、多変量解析等を行うことにより、より高精度に圧電/電歪センサの検出感度を予測・推定することが可能である。
次に、本発明によれば、2以上の弾性体を有する構造体にかかる弾性体を検査する装置であって、構造体を振動させたときの周波数特性をピックアップし、その周波数特性によって、弾性体の寸法を予測する手段を具備する弾性体の検査装置が提供される。
本発明に係る第1の弾性体の検査装置においては、周波数特性が、一の次数の共振周波数Fx及び他の次数の共振周波数Fy、並びに、それらにより求められる1以上の周波数比FRxy(FRxy=Fy/Fx)乃至1以上の周波数差FDxy(FDxy=Fy−Fx)、のうちの何れかであることが好ましい。更に、上記周波数特性として、1以上の共振周波数Fzを加え、何れか又は2以上の組合せにより、弾性体の寸法を予測する手段を具備することも好ましい。
又、上記周波数特性が、一の次数の共振波形のピークの高さPKx、面積Sx、及び極大値と極小値の差、並びに、前記一の次数の共振波形と他の次数の共振波形との間の、ピークの高さの比PKRxy、ピークの高さの差PKDxy、面積比SRxy、面積差SDxy、極大値と極小値の差の比、及び極大値と極小値の差の差、のうちの何れかであることが好ましい。
本発明に係る弾性体の検査装置は、上記弾性体の寸法が、構造体を構成する2以上の弾性体のうち任意の2の弾性体間のずれ量である場合に好適に用いられる。又、上記弾性体の寸法が、構造体を構成する2以上の弾性体のうち任意の1の弾性体のうねり量である場合に好適に用いられる。
次に、本発明によれば、圧電/電歪体と2以上の電極とを具備する圧電/電歪アクチュエータを検査する装置であって、圧電/電歪アクチュエータを振動させたときの周波数特性をピックアップし、その周波数特性によって、前記圧電/電歪アクチュエータの変位量を予測する手段を具備する圧電/電歪アクチュエータの検査装置が提供される。
本発明に係る圧電/電歪アクチュエータの検査装置においては、上記周波数特性が、一の次数の共振周波数Fx及び他の次数の共振周波数Fy、並びに、それらにより求められる1以上の周波数比FRxy(FRxy=Fy/Fx)乃至1以上の周波数差FDxy(FDxy=Fy−Fx)、のうちの何れかであることが好ましい。
又、本発明に係る圧電/電歪アクチュエータの検査装置においては、上記1以上の周波数比FRxy乃至1以上の周波数差FDxyに、1以上の共振周波数Fz乃至圧電/電歪体の静電容量CPを加えて、何れか又は2以上の組合せにより、圧電/電歪アクチュエータの変位量を予測する手段を具備することが好ましい。
更に、上記周波数特性が、一の次数の共振波形のピークの高さPKx、面積Sx、及び極大値と極小値の差、並びに、前記一の次数の共振波形と他の次数の共振波形との間の、ピークの高さの比PKRxy、ピークの高さの差PKDxy、面積比SRxy、面積差SDxy、極大値と極小値の差の比、及び極大値と極小値の差の差、のうちの何れかであることが好ましい。
次に、本発明によれば、圧電/電歪体と2以上の電極とを具備する圧電/電歪センサを検査する装置であって、圧電/電歪センサを振動させたときの周波数特性をピックアップし、その周波数特性によって、圧電/電歪センサの検出感度を予測する手段を具備する圧電/電歪センサの検査装置が提供される。
本発明に係る圧電/電歪センサの検査装置においては、周波数特性が、一の次数の共振周波数Fx及び他の次数の共振周波数Fy、並びに、それらにより求められる1以上の周波数比FRxy(FRxy=Fy/Fx)乃至1以上の周波数差FDxy(FDxy=Fy−Fx)、のうちの何れかであることが好ましい。
又、本発明に係る第1の圧電/電歪センサの検査装置においては、上記1以上の周波数比FRxy乃至1以上の周波数差FDxyに、1以上の共振周波数Fz乃至圧電/電歪体の静電容量CPを加えて、圧電/電歪センサの検出感度を予測する手段を具備することが好ましい。
更に、上記周波数特性が、一の次数の共振波形のピークの高さPKx、面積Sx、及び極大値と極小値の差、並びに、前記一の次数の共振波形と他の次数の共振波形との間の、ピークの高さの比PKRxy、ピークの高さの差PKDxy、面積比SRxy、面積差SDxy、極大値と極小値の差の比、及び極大値と極小値の差の差、のうちの何れかであることが好ましい。
次に、本発明によれば、2以上の弾性体を有する構造体にかかる弾性体の寸法を予測するために、コンピュータを、予測寸法を計算しようとする構造体の周波数特性の測定値を入力する手段、予測寸法の計算式に基づいて構造体にかかる弾性体の予測寸法を得る手段、得られた構造体にかかる弾性体の予測寸法を出力する手段、として、機能させるための弾性体の寸法予測プログラムが提供される。
本発明に係る弾性体の寸法予測プログラムは、上記予測される弾性体の寸法が、構造体を構成する2以上の弾性体のうち任意の2の弾性体間のずれ量である場合に好適に用いられる。又、上記予測される弾性体の寸法が、構造体を構成する2以上の弾性体のうち任意の1の弾性体のうねり量である場合に好適に用いられる。
本発明に係る弾性体の寸法予測プログラムは、より具体的には、2以上の弾性体を有する構造体にかかる弾性体の寸法を予測するために、コンピュータを、構造体を振動させたときの1次の共振周波数F1(上記周波数特性)を入力する手段、構造体を振動させたときの1以上の高次のn次共振周波数Fn(上記周波数特性)を入力する手段、1次の共振周波数F1及び1以上の高次のn次共振周波数Fnにより、1以上の周波数比FRn(FRn=Fn/F1)を得る手段、数1式(上記予測寸法の計算式)に基づいて構造体にかかる弾性体の予測寸法を得る手段、得られた構造体にかかる弾性体の予測寸法を出力する手段、として、機能させるものであることが好ましい。
本発明に係る弾性体の寸法予測プログラムは、尚更には、2以上の弾性体を有する構造体にかかる弾性体の寸法を予測するために、コンピュータを、構造体を振動させたときの1以上のm次共振周波数Fm(上記周波数特性)を入力する手段、数2式(上記予測寸法の計算式)に基づいて構造体にかかる弾性体の予測寸法を得る手段、得られた構造体にかかる弾性体の予測寸法を出力する手段、として、機能させるものであることが好ましい。
次に、本発明によれば、圧電/電歪体と2以上の電極とを具備する圧電/電歪アクチュエータの変位量を予測するために、コンピュータを、予測変位量を計算しようとする圧電/電歪アクチュエータの周波数特性を入力する手段、予測変位量の計算式に基づいて圧電/電歪アクチュエータの予測変位量を得る手段、得られた圧電/電歪アクチュエータの予測変位量を出力する手段、として、機能させるための圧電/電歪アクチュエータの変位量予測プログラムが提供される。
本発明に係る圧電/電歪アクチュエータの変位量予測プログラムにおいて、上記周波数特性として、1次の共振乃至1以上の高次のn次共振にかかる共振波形の、面積、ピークの高さ、及び極大値と極小値の差、並びに、それらにより求められる1次の共振にかかる共振波形と1以上の高次のn次共振にかかる共振波形との間の、面積比、ピークの高さの比、及び極大値と極小値の差の比、を入力することが可能である。
又、本発明に係る圧電/電歪アクチュエータの変位量予測プログラムは、より具体的には、本発明によれば、圧電/電歪体と2以上の電極とを具備する圧電/電歪アクチュエータの変位量を予測するために、コンピュータを、圧電/電歪アクチュエータを振動させたときの1次の共振周波数F1(上記周波数特性)を入力する手段、圧電/電歪アクチュエータを振動させたときの1以上の高次のn次共振周波数Fn(上記周波数特性)を入力する手段、1次の共振周波数F1及び1以上の高次のn次共振周波数Fnにより、1以上の周波数比FRn(FRn=Fn/F1)を得る手段、数3式(上記予測変位量の計算式)に基づいて圧電/電歪アクチュエータの予測変位量を得る手段、得られた圧電/電歪アクチュエータの予測変位量を出力する手段、として、機能させるものであることが好ましい。
本発明に係る圧電/電歪アクチュエータの変位量予測プログラムは、尚更には、本発明によれば、圧電/電歪体と2以上の電極とを具備する圧電/電歪アクチュエータの変位量を予測するために、コンピュータを、圧電/電歪アクチュエータを振動させたときの1次の共振周波数F1(上記周波数特性)を入力する手段、圧電/電歪アクチュエータを振動させたときの1以上の高次のn次共振周波数Fn(上記周波数特性)を入力する手段、圧電/電歪体の静電容量CPを入力する手段、1次の共振周波数F1及び1以上の高次のn次共振周波数Fnにより、1以上の周波数比FRn(FRn=Fn/F1)を得る手段、数4式(上記予測変位量の計算式)に基づいて圧電/電歪アクチュエータの予測変位量を得る手段、得られた圧電/電歪アクチュエータの予測変位量を出力する手段、として、機能させるものであることが好ましい。
本発明に係る圧電/電歪アクチュエータの変位量予測プログラムは、尚更には、圧電/電歪体と2以上の電極とを具備する圧電/電歪アクチュエータの変位量を予測するために、コンピュータを、圧電/電歪アクチュエータを振動させたときの1以上のm次共振周波数Fm(上記周波数特性)を入力する手段、数5式(上記予測変位量の計算式)に基づいて圧電/電歪アクチュエータの予測変位量を得る手段、得られた圧電/電歪アクチュエータの予測変位量を出力する手段、として、機能させるものであることが好ましい。
本発明に係る圧電/電歪アクチュエータの変位量予測プログラムは、尚更には、圧電/電歪体と2以上の電極とを具備する圧電/電歪アクチュエータの変位量を予測するために、コンピュータを、圧電/電歪アクチュエータを振動させたときの1次の共振周波数F1(上記周波数特性)を入力する手段、圧電/電歪アクチュエータを振動させたときの1以上の高次のn次共振周波数Fn(上記周波数特性)及びm次共振周波数Fm(上記周波数特性)を入力する手段、1次の共振周波数F1及び1以上の高次のn次共振周波数Fnにより、1以上の周波数比FRn(FRn=Fn/F1)を得る手段、数6式(上記予測変位量の計算式)に基づいて圧電/電歪アクチュエータの予測変位量を得る手段、得られた圧電/電歪アクチュエータの予測変位量を出力する手段、として、機能させるものであることが好ましい。
本発明に係る圧電/電歪アクチュエータの変位量予測プログラムは、尚更には、圧電/電歪体と2以上の電極とを具備する圧電/電歪アクチュエータの変位量を予測するために、コンピュータを、圧電/電歪アクチュエータを振動させたときの1次の共振周波数F1(上記周波数特性)を入力する手段、圧電/電歪アクチュエータを振動させたときの1以上の高次のn次共振周波数Fn(上記周波数特性)及びm次共振周波数Fm(上記周波数特性)を入力する手段、圧電/電歪体の静電容量CPを入力する手段、1次の共振周波数F1及び1以上の高次のn次共振周波数Fnにより、1以上の周波数比FRn(FRn=Fn/F1)を得る手段、数7式(上記予測変位量の計算式)に基づいて圧電/電歪アクチュエータの予測変位量を得る手段、得られた圧電/電歪アクチュエータの予測変位量を出力する手段、として、機能させるものであることが好ましい。
次に、本発明によれば、圧電/電歪体と2以上の電極とを具備する圧電/電歪センサの検出感度を予測するために、コンピュータを、予測検出感度を計算しようとする圧電/電歪センサの周波数特性を入力する手段、予測検出感度の計算式に基づいて圧電/電歪センサの予測検出感度を得る手段、得られた圧電/電歪センサの予測検出感度を出力する手段、として、機能させるための圧電/電歪センサの検出感度予測プログラムが提供される。
本発明に係る圧電/電歪センサの検出感度予測プログラムにおいて、上記周波数特性として、1次の共振乃至1以上の高次のn次共振にかかる共振波形の、面積、ピークの高さ、及び極大値と極小値の差、並びに、それらにより求められる1次の共振にかかる共振波形と1以上の高次のn次共振にかかる共振波形との間の、面積比、ピークの高さの比、及び極大値と極小値の差の比、を入力することが可能である。
本発明に係る圧電/電歪センサの検出感度予測プログラムは、より具体的には、圧電/電歪体と2以上の電極とを具備する圧電/電歪センサの検出感度を予測するために、コンピュータを、圧電/電歪センサを振動させたときの1次の共振周波数F1(上記周波数特性)を入力する手段、圧電/電歪センサを振動させたときの1以上の高次のn次共振周波数Fn(上記周波数特性)を入力する手段、1次の共振周波数F1及び1以上の高次のn次共振周波数Fnにより、1以上の周波数比FRn(FRn=Fn/F1)を得る手段、数8式(上記予測検出感度の計算式)に基づいて圧電/電歪センサの予測検出感度を得る手段、得られた圧電/電歪センサの予測検出感度を出力する手段、として、機能させるものであることが好ましい。
本発明に係る圧電/電歪センサの検出感度予測プログラムは、尚更には、本発明によれば、圧電/電歪体と2以上の電極とを具備する圧電/電歪センサの検出感度を予測するために、コンピュータを、圧電/電歪センサを振動させたときの1次の共振周波数F1(上記周波数特性)を入力する手段、圧電/電歪センサを振動させたときの1以上の高次のn次共振周波数Fn(上記周波数特性)を入力する手段、圧電/電歪体の静電容量CPを入力する手段、1次の共振周波数F1及び1以上の高次のn次共振周波数Fnにより、1以上の周波数比FRn(FRn=Fn/F1)を得る手段、数9式(上記予測検出感度の計算式)に基づいて圧電/電歪センサの予測検出感度を得る手段、得られた圧電/電歪センサの予測検出感度を出力する手段、として、機能させるものであることが好ましい。
尚、本発明に係る各プログラムの発明における各数式は、各方法の発明等において使用され得る数式である。例えば、本発明に係る(第1の)弾性体の検査方法は、1以上の周波数比FRnより、弾性体の寸法を予測するが、この予測をするために、本発明に係る(第2の)弾性体の寸法予測プログラムの数1式が用いられ得る。
本発明に係る弾性体の検査方法及び検査装置は、2以上の弾性体が構成要素になっている構造体について、その一部分を検査の判断基準とするのではなく、構造体全体を微小に振動させたときの、一の次数の共振周波数、他の次数の共振周波数、及びそれらにより求められる周波数比乃至周波数差、並びに、一の次数の共振波形のピークの高さ、面積、極大値と極小値の差、及びその一の次数の共振波形と他の次数の共振波形との間の、ピークの高さの比、ピークの高さの差、面積比、面積差、等に基づいて、構造体が有する2の弾性体間のずれ量や1の弾性体のうねり量等の弾性体の寸法を予測しているので、経験に頼らずに高い精度で検査することが出来る。そして、非破壊検査であるため、より正確な良否判断が、迅速に行える。
本発明に係る圧電/電歪アクチュエータの検査方法及び検査装置は、圧電/電歪体と2以上の電極が構成要素になっている圧電/電歪アクチュエータについて、その一部分である圧電/電歪体にかかる静電容量のみを検査に用いるのではなく、圧電/電歪アクチュエータ全体を実際に振動させたときの、一の次数の共振周波数、他の次数の共振周波数、及びそれらにより求められる周波数比乃至周波数差、並びに、一の次数の共振波形のピークの高さ、面積、極大値と極小値の差、及びその一の次数の共振波形と他の次数の共振波形との間の、ピークの高さの比、ピークの高さの差、面積比、面積差、等に基づいて、圧電/電歪アクチュエータの変位量を予測しているので、経験に頼らずに高い精度で検査することが出来る。そして、非破壊検査であるため、より正確な良否判断が、迅速に行える。従って、望まれない製品を出荷してしまう過誤が防止され得る。
本発明に係る圧電/電歪センサの検査方法及び検査装置は、圧電/電歪体と2以上の電極が構成要素になっている圧電/電歪センサについて、その一部分である圧電/電歪体にかかる静電容量のみを検査に用いるのではなく、圧電/電歪センサ全体を実際に振動させたときの、一の次数の共振周波数、他の次数の共振周波数、及びそれらにより求められる周波数比乃至周波数差、並びに、一の次数の共振波形のピークの高さ、面積、極大値と極小値の差、及びその一の次数の共振波形と他の次数の共振波形との間の、ピークの高さの比、ピークの高さの差、面積比、面積差、等に基づいて、圧電/電歪センサの検出感度を予測しているので、経験に頼らずに高い精度で検査することが出来る。そして、非破壊検査であるため、より正確な良否判断が、迅速に行える。従って、望まれない製品を出荷してしまう過誤が防止され得る。
圧電/電歪アクチュエータの一例を示す図であり、振動部と支持部とを分離して表す斜視図である。
図1に示される圧電/電歪アクチュエータの振動部及び圧電/電歪作動部を含むAA’断面を表す断面図である。
図1に示される圧電/電歪アクチュエータの振動部及び圧電/電歪作動部を含むBB’断面を表す断面図である。
基体と圧電/電歪作動部がずれている圧電/電歪アクチュエータの一例を示す断面図であり、図3に対応する断面が示された図である。
振動部が(図中の)下向きのうねりを有する形態の圧電/電歪アクチュエータを示す断面図であり、図3に対応する断面が示された図である。
圧電/電歪アクチュエータをマイクロスイッチのアクチュエータ部として適用した例を示す断面図であり、非導通状態(OFF)を表している。
圧電/電歪アクチュエータをマイクロスイッチのアクチュエータ部として適用した例を示す断面図であり、導通状態(ON)を表している。
圧電/電歪アクチュエータの一例を示す断面図である。
圧電/電歪アクチュエータの一例を示す断面図である。
圧電/電歪アクチュエータの一例を示す図であり、距離Dの横ずれがある形態の圧電/電歪アクチュエータを示す断面図である。
圧電/電歪アクチュエータの一例を示す図であり、うねり量Hの(図中において)上方向のうねりがある形態の圧電/電歪アクチュエータを示す断面図である。
圧電/電歪アクチュエータの一例を示す図であり、距離Dの横ずれ及びうねり量Hの(図中において)上方向のうねりがある形態の圧電/電歪アクチュエータを示す断面図である。
圧電/電歪アクチュエータの一例を示す断面図である。
圧電/電歪アクチュエータの一例を示す図であり、振動部と支持部とを分離して表す斜視図である。
図13におけるCC’断面を示す断面図である。
圧電/電歪アクチュエータの一例を示す斜視図である。
圧電/電歪アクチュエータの一例を示す斜視図である。
圧電/電歪アクチュエータの振動部の形状の一例を示す上面図である。
圧電/電歪アクチュエータの振動部の形状の一例を示す上面図である。
圧電/電歪アクチュエータの振動部の形状の一例を示す上面図である。
圧電/電歪アクチュエータの振動部の形状の一例を示す上面図である。
圧電/電歪アクチュエータの振動部の形状の一例を示す上面図である。
周波数特性測定システムの一例を示す構成図である。
周波数特性測定システムの一例を示す構成図である。
周波数特性測定システムの一例を示す構成図である。
周波数特性測定システムの一例を示す構成図である。
周波数特性測定システムの一例を示す構成図である。
長方形の板の振動モードを示す説明図である。
円形の板の振動モードを示す説明図である。
1次振動モードの振動分布を示した図である。
高次ピークA振動モードの振動分布を示した図である。
高次ピークB振動モードの振動分布を示した図である。
圧電/電歪アクチュエータの周波数特性の一例を示すチャートである。
圧電/電歪アクチュエータの周波数特性の一例を示すチャートである。
圧電/電歪アクチュエータの周波数特性の一例を示すチャートである。
圧電/電歪アクチュエータの周波数特性の一例を示すチャートである。
圧電/電歪アクチュエータの周波数特性の一例を示すチャートである。
圧電/電歪アクチュエータの周波数特性の一例を示すチャートである。
圧電/電歪アクチュエータの周波数特性の一例を示すチャートである。
圧電/電歪アクチュエータにかかる圧電/電歪体と振動部とのずれ量と、そのずれ量を有する圧電/電歪アクチュエータの変位量との関係を示すグラフである。
周波数比FR1Aと、圧電/電歪体と振動部との横ずれ量(絶対値)と、の関係を示すグラフである。
横ずれ量と(共振波形の)ピークの高さとの関係を示すグラフである。
横ずれ量と(共振波形の)面積との関係を示すグラフである。
横ずれ量と(共振波形間の)ピークの高さの比、及び横ずれ量と(共振波形間の)面積の比との関係を示すグラフである。
圧電/電歪アクチュエータにかかる振動部のうねり量と、そのうねり量を有する圧電/電歪アクチュエータの変位量との関係を示すグラフである。
周波数比FR1Bと、圧電/電歪アクチュエータにかかる振動部のうねり量と、の関係を示すグラフである。
周波数比FRDEと、圧電/電歪アクチュエータにかかる振動部のうねり量と、の関係を示すグラフである。
容量CPのみの一次式によって変位を予測した場合の予測変位量と実測変位量のグラフである。
周波数特性を用いて変位を予測した場合の予測変位量と実測変位量との関係を示すグラフである。
本発明に係る圧電/電歪アクチュエータの変位量予測プログラムが組み込まれたコンピュータシステムの一例を示す構成図である。
本発明に係る圧電/電歪アクチュエータの変位量予測プログラムが組み込まれたコンピュータシステムの一例を示す構成図である。
符号の説明
1…中央処理装置、2…記憶装置、4…入力装置、5…出力装置、10…コンピュータシステム、20,30,40,50,51…圧電/電歪アクチュエータ、44…基体、46…キャビティ、66…振動部、68…支持部、73…中間電極、75…上部電極、77…下部電極、78…圧電/電歪作動部、79…圧電/電歪体。
以下、本発明の実施の形態について、適宜、図面を参酌しながら説明するが、本発明はこれらに限定されて解釈されるべきものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。例えば、図面は、好適な本発明の実施の形態を表すものであるが、本発明は図面に表される態様や図面に示される情報により制限されない。本発明を実施し又は検証する上では、本明細書中に記述されたものと同様の手段若しくは均等な手段が適用され得るが、好適な手段は以下に記述される手段である。尚、本明細書において、単に本発明というときは、弾性体の検査方法、検査装置、及び寸法予測プログラム、並びに、圧電/電歪アクチュエータの検査方法、検査装置、及び変位量予測プログラム、並びに、圧電/電歪センサの検査方法、検査装置、及び検出感度予測プログラム、の全てを指すものとする。
先ず、本発明に係る圧電/電歪アクチュエータの検査方法、検査装置、及び変位量予測プログラムのそれぞれの対象となり得る圧電/電歪アクチュエータについて説明する。図1、図2、図3、図4、図5は、圧電/電歪アクチュエータの一例を示す図である。図1は、振動部66と支持部68とを分離した斜視図であり、図2は、振動部66及び圧電/電歪作動部78を含んで図1のAA’断面を表す断面図であり、図3は、同様に図1のBB’断面を表す断面図である。図示される圧電/電歪アクチュエータ20は、基体44と圧電/電歪作動部78とからなる。基体44は、キャビティ46を有する厚肉の支持部68と、そのキャビティ46を覆蓋する振動部66とを、一体的に成形してなる。圧電/電歪作動部78は、圧電/電歪体79と、その一の面に形成された上部電極75と、その他の面に形成された下部電極77と、からなり、下部電極77が振動部66と接触するように、基体44の一の面に配置されている。圧電/電歪アクチュエータは、このような構造を有し、通常、基体と圧電/電歪体はセラミックス材料(圧電/電歪材料)で形成され、電極は金属材料(導電性材料)で形成され、これらは弾性材料であるから、圧電/電歪体、基体等が弾性体にあたり、圧電/電歪アクチュエータは、2以上の弾性体を有する構造体に該当する。
圧電/電歪アクチュエータ20は、上部電極75と下部電極77との間に電界が生じると、圧電/電歪材料からなる圧電/電歪体79が変位を生じ、振動部66を変形させる。この作用によって、圧電/電歪アクチュエータ20は、例えば精密機器のアクチュエータ部として適用される。図6(a)、図6(b)は、圧電/電歪アクチュエータをマイクロスイッチのアクチュエータ部として適用した例を示す断面図である。図示されるマイクロスイッチ120は、圧電/電歪アクチュエータ20のキャビティ46内にスイッチ電極18を設けるとともに、キャビティ46を塞ぐように端子板121を取り付け、その端子板121に、スイッチ電極18に対向させるようにスイッチ電極19を設けたものである。振動部66が変形しなければ、スイッチ電極18,19は非導通(OFF)であるが(図6(a)参照)、圧電/電歪体79が変位を生じ、振動部66を変形させると、スイッチ電極18,19は導通(ON)する(図6(b)参照)。
圧電/電歪アクチュエータとして、圧電/電歪体が一層の圧電/電歪アクチュエータ20の他に、図7、図8、及び図12に断面図が示される圧電/電歪アクチュエータ70,30,40が例示される。図7は、図2に準じた断面を表す断面図であり、図8、図12は、図3に準じた断面を表す断面図である。図7、図8、及び図12に示される圧電/電歪アクチュエータ70,30,40は、基体44と圧電/電歪作動部78とからなり、基体44は、キャビティ46を有する厚肉の支持部68と、そのキャビティ46を覆蓋する振動部66とを一体的に成形してなる点で圧電/電歪アクチュエータ20に共通するが、圧電/電歪アクチュエータ70及び圧電/電歪アクチュエータ30(図7、図8参照)は上部電極75と中間電極73と下部電極77とで挟まれた圧電/電歪体79を2層有し、圧電/電歪アクチュエータ40(図12参照)は同様に圧電/電歪体79を3層有する点で異なる。本明細書において、便宜上、圧電/電歪作動部の最も振動部側に存在する電極を下部電極と呼び、最も振動部と離れた側に存在する電極を上部電極と呼び、複数の圧電/電歪体が積層されている場合に、上部電極と下部電極以外の電極を中間電極と呼ぶ。
図15(a)、図15(b)は、圧電/電歪アクチュエータの基体の態様を例示する斜視図である。図15(a)に示される圧電/電歪アクチュエータ50のように、一の面に圧電/電歪作動部78が設けられた振動部66が、その両側を支持部68で支持されキャビティ46を形成して基体44を構成する態様でもよく、図15(b)に示される圧電/電歪アクチュエータ51のように、一の面に圧電/電歪作動部78が設けられた振動部66が、その片側のみで支持部68に支持され基体44を構成する片持ちの態様でもよい。これらのように、圧電/電歪アクチュエータは、限定されるものではないが、振動部の一の面に変位を発生する圧電/電歪作動部が設けられ圧電/電歪作動部と振動部とが変形するデバイスであるから、大変位が必要な場合は、変形を容易にするために、振動部の他の面側が拘束されておらず自由であることが好ましい。又、強い発生力や高速の応答が必要な場合は、圧電/電歪作動部の両端を支持する両持ちの態様(図15(a)参照)が好ましい。
図16(a)〜図16(e)は、振動部66の形状を例示する上面図である。薄板状の振動部66の上面から見た形状として、正方形(図16(a))、長方形(図16(b))、円形(図16(c))、長円形(図16(d))、六角形(多角形、図16(e))が例示される。例えば、円形(図16(c))の場合において、その全周が支持部68で支えられていてもよく、周の対向する2の部分あるいは周の1部分において支持部68で支えられていてもよい。これらのように、圧電/電歪アクチュエータは、振動部66の形状を限定しない。
続いて、圧電/電歪アクチュエータ20の場合を例にして、圧電/電歪アクチュエータの製造方法について説明する。圧電/電歪アクチュエータを作製するにあたり、基体にセラミックス材料を用いる場合にはグリーンシート積層法を用いて製造することが出来、圧電/電歪作動部は薄膜、厚膜等の膜形成法を用いて製造することが出来る。
基体44は、次のように作製される。例えば、酸化ジルコニウム等のセラミックス粉末にバインダ、溶剤、分散剤、可塑剤等を添加混合してスラリーを作製し、これを脱泡処理後、リバースロールコーター法、ドクターブレード法等の方法により所定の厚さを有するグリーンシートを作製する。そして、金型を用いた打ち抜き、レーザー加工等の方法により、グリーンシートを求められる種々の形状に加工する。そして、複数のグリーンシートを順次重ね合わせた後に、例えば熱を加えた圧着によりセラミックグリーン積層体を得る。得られたグリーンシート積層体を、1200〜1600℃程度の温度で焼成すると、基体44が得られる。
続いて、基体44の一の面に圧電/電歪作動部78を形成する。例えば、スクリーン印刷法等の膜形成法により、基体44の一の面の所定位置に下部電極77を印刷し、1250〜1450℃程度の温度で焼成し、次いで、圧電/電歪体79を印刷し、1100〜1350℃程度の温度で焼成し、次いで、上部電極75を印刷し、好ましくは500℃〜900℃の温度で焼成して圧電/電歪作動部78を形成することが出来る。この後に、電極を駆動回路に接続するための電極リードを印刷し、焼成すればよい。適切な材料を選択することにより、圧電/電歪作動部の各電極及び圧電/電歪体と電極リードを逐次印刷した後に、1回で一体焼成することも可能である。
以上のようにして圧電/電歪アクチュエータ20が形成された後、圧電/電歪アクチュエータ20について分極が必要な場合には分極処理を施す。分極は、例えば、上部電極75及び下部電極77間に、使用予定の駆動電圧よりも十分に高い電圧(分極電圧)を印加することで行われる。限定されるものではないが、駆動電圧が30Vの場合には、分極電圧を70V程度にして行われる。そして、分極処理を施された圧電/電歪アクチュエータ20について、基体44及び圧電/電歪作動部78が正常に作製されたか否かを確認するための検査が行われる。基体44と圧電/電歪作動部78とがずれたり振動部66がうねったりしていると、電極間に同一の(駆動)電圧をかけても所望の変位量が得られない場合がある。
図4は、基体44に対し圧電/電歪作動部78が横ずれを生じている圧電/電歪アクチュエータの一例を示す断面図であり、横ずれが生じていない圧電/電歪アクチュエータを表した図3に対応する断面が示された図である。このように、十分に管理して製作しても、ばらつきとして、ある程度の横ずれが発生することは避けられない。この横ずれの発生の理由として、スクリーン印刷時の位置決めの精度に限界があることや、スクリーン印刷に用いるスクリーン製版に伸びが発生すること等が挙げられる。図3に示される圧電/電歪アクチュエータ20は、多くの場合、複数個の組として作製され使用されるものであり、1個に分割して用いる場合でも、生産効率を向上させるため、図13に示されるような態様で複数個(図13では3つの例を示しているが、通常、数十以上)の組として作製される。例えば、複数のキャビティ46が設けられた基体44の一の面に、スクリーン印刷法で、導電性材料ペースト及び圧電/電歪材料ペーストを用いて、下部電極77、圧電/電歪体79、上部電極75を印刷し、複数の圧電/電歪作動部78が形成される。その際に、上記理由により、基体44(キャビティ46)と圧電/電歪体79等との相対位置が、全ての圧電/電歪アクチュエータで均一にならず、横ずれが生じる場合があり得る。図14は、図13におけるCC’断面を示す断面図であり、複数の圧電/電歪作動部が不均一にずれている例を表す図である。図14において、図中の左側の圧電/電歪作動部78はキャビティ46に対して横ずれしていないが、図中の中央部の圧電/電歪作動部78はキャビティ46に対して少し横ずれを生じており、図中の右側の圧電/電歪作動部78はキャビティ46に対して大きく横ずれを生じている。
検査における予測項目である圧電/電歪アクチュエータ20(2以上の弾性体を有する構造体にあたる)の寸法としては、具体的には、上記した横ずれの量、即ち、圧電/電歪作動部78の圧電/電歪体79(弾性体にあたる)と基体44(弾性体にあたる)の振動部66との横ずれ量の他に、基体44の振動部66のうねり量が挙げられる。図5は、図3に対して振動部66が、図中の下向きにうねりのある形態の圧電/電歪アクチュエータを示す断面図である。尚、本明細書においては、うねり量H(図5参照)を、上向きのうねりを正(プラス)として定義する。即ち、図5に示される圧電/電歪アクチュエータは、マイナスのうねり量のうねりが生じたものである。
次に、図9、図10、及び図11を参照して、圧電/電歪体79と振動部66との横ずれ量について説明する。図9、図10、及び図11は、圧電/電歪体79を2層有する形態の圧電/電歪アクチュエータを示す図であり、振動部及び圧電/電歪作動部を含んで図3に準じた断面を表す断面図である。図9は、距離D(μm)の横ずれがある形態である。図10は、うねり量H(μm)の図中において上方向のうねりがある形態である。図11は、距離D(μm)の横ずれとうねり量H(μm)の上方向のうねりがある形態である。図9及び図11において、横ずれ量の変更(即ち距離Dの変更)がなされると、変位発生部たる圧電/電歪作動部78の圧電/電歪体79と振動部66とが重なる(圧電/電歪体79が振動部66に投影する)面積が変わって、圧電/電歪アクチュエータの変位量が変わり得る。この圧電/電歪アクチュエータにおいてはAA’断面のキャビティの長さに比べ、BB’断面のキャビティの長さが非常に小さいため、デバイス特性は、BB’断面における横ずれ量の影響を受け易い。尚、本明細書において、圧電/電歪体79と振動部66との横ずれ量は、図1に示されるBB’断面におけるずれ量を指す。図9及び図11に示される横ずれ量も同様の横ずれ量である。
次に、弾性体や圧電/電歪デバイス(圧電/電歪アクチュエータ又は圧電/電歪センサ)を振動させ、周波数特性をピックアップするための装置について説明する。図17(a)は、外力によって振動させて周波数特性をピックアップするためのシステムを示す構成図である。この周波数特性測定システムは、主に加振器211、レーザー振動計212、FFTアナライザ213、及び増幅器214で構成される。加振器211に、例えば圧電/電歪アクチュエータ210を両面テープや接着剤等で固定し、振動させ、レーザー振動計212で振動を計測し、その振動をFFTアナライザ213によって解析し、周波数特性をピックアップすることが出来る。増幅器214は、加振器を駆動するためにFFTアナライザ213の信号を増幅する作用をする。又、FFTアナライザの代わりにゲインフェーズアナライザ、周波数分析器等も使用出来、レーザー振動計の代わりに加速度センサを用いることが出来る。このような周波数特性測定システムによれば、電圧をかけて振動させ得る圧電/電歪デバイスではなく電気の力では振動が生じ得ない、2以上の弾性体を有するあらゆる構造体を振動させ、その周波数特性をピックアップすることが可能であり、その周波数特性によって、その構造体にかかる弾性体の寸法を予測することが可能である。
図17(b)は、加振器を使用せず、圧電/電歪アクチュエータ210を直接駆動する周波数特性測定システムを示す構成図である。圧電/電歪アクチュエータを含む圧電/電歪デバイスは、自ら振動しない弾性体とは異なり、自ら逆圧電効果により振動する機能を有するので、図17(a)に示された加振器211を使わずとも振動させることが出来、より安価に周波数特性測定システムを構築することが可能である。
図17(a)及び図17(b)に示された周波数特性測定システムは、機械振動そのものを、直接、測定することが可能であり、又、レーザーを照射する対象点や加速度センサを設置する場所を変更することにより、振動の分布を測定することが出来るという点で好ましい。
図18は、圧電/電歪デバイスの周波数特性の1つであるインピーダンス特性を測定する周波数特性測定システムを示す構成図である。この周波数特性測定システムによれば、圧電/電歪デバイスのインピーダンス−位相特性、アドミタンス−位相特性等の測定が可能である。共振周波数付近では、振動が大きくなることによる圧電効果によって、圧電/電歪デバイスのインピーダンスが大きく変化するため、レーザー振動計を使わずとも共振波形を取得することが可能である。即ち、図17(a)又は図17(b)の周波数特性測定システムに比べて、より安価で高速な測定が出来るという点で好ましい。又、ネットワークアナライザを使用したシステムに比べて、より高精度なインピーダンス測定が可能である。
図19(a)及び図19(b)は、検査対象の圧電/電歪アクチュエータにネットワークアナライザをプローブ(測定治具)を通じて接続し、入力信号に対する透過波や反射波を解析することで、例えばインピーダンス(大きさと位相)の周波数特性を測定するシステムの例を示す構成図である。図19(a)は、伝送法(透過法)の周波数特性測定システムの例を示し、図19(b)は反射法の周波数特性測定システムの例を示す図である。これらの周波数特性測定システムにより、例えば利得−位相特性としての周波数特性を測定することが可能であり、ネットワークアナライザの機能を使用してインピーダンス−位相特性、アドミタンス−位相特性として計測することも可能である。これらの周波数特性測定システムによれば、図18に示されたインピーダンスアナライザによる周波数特性測定システムに比較して、より安価且つ高速な測定が可能になる。
図23、図24(a)、図24(b)、図24(c)、図25(a)、図25(b)、及び図25(c)は、ネットワークアナライザの伝送法による圧電/電歪アクチュエータのインピーダンス−位相特性(周波数特性)の測定例を示すチャートである。共振周波数を検出するための方法は、インピーダンスの極小値や極小値、位相の極大値や極小値等に限らず、アドミタンスの極大値や極小値、ゲインの極大値や極小値等を使用することも可能である。尚、圧電/電歪体79の静電容量CPは、LCRメータ等を用いて、上部電極75と下部電極77との間に電圧をかけながら計測する。印加する電圧及びその周波数は、限定されるものではないが、例えば1kHzの周波数で、例えば1V程度の電圧である。
次に、共振時の板(板状体)の振動モードについて説明する。既に記したように、一般に、板の振動は、(m,n)次の振動モードと表記することが出来る。図20は、長方形の板の振動モードを示す図である。又、図21は、円形の板の場合の振動モードを示す図である。長方形の板の縦方向、横方向の代わりに、円形の板の円周方向と直径方向の節の数により、同じように(m,n)という表記で振動モードを特定することが可能である。
図20に示されたm=3.5以外の振動モードのように、通常、節である境界線をまたぐと、振動の向きは逆向きになるが、本出願人は、図中の縦方向の中央に節が存在し、その両側とも同じ方向に振動する振動モードが存在することを見出した。この振動モードの共振周波数は、m=3の振動モードとm=4の振動モードとの中間になるので、本明細書においてm=3.5と表記し、図20においてm=3.5の振動モードとして示している。この振動モードの発生理由は、完全に解明されていないが、板状体である本出願人の圧電/電歪アクチュエータが、図1等に示す通り、振動部(基体)の一の面に圧電/電歪作動部が存在し、上下方向に対称でないこと、及び、振動部が微妙に上下にうねっていること、のうちの何れかあるいは両方の理由によると考えている。
図22(a)は、(m,n)=(1,1)である振動モードの振動分布を示す図であり、図1に示された圧電/電歪アクチュエータのAA'断面のうちの振動領域に相当する。図22(a)において、±1.0を支持部とし、0を中心として示されている。同様に、図22(b)は、(m,n)=(3,1)である振動モードの振動分布を示す図であり、図22(c)は、(m,n)=(3.5,1)である振動モードの振動分布を示す図である。これらの振動分布の測定及び振動モードの特定は、図17(b)乃至図17(a)に示された周波数特性測定システムにおいて、振動モードを特定したい共振周波数の正弦波で圧電/電歪アクチュエータ(板状体)を加振し、圧電/電歪アクチュエータの複数の箇所における振動をレーザードップラー振動計等を用いて測定し、振動のデータを総合的に解析してアニメーション等で観察することにより特定することが可能である。
次に、実際の測定データに基づいて、寸法ずれや変位量の予測方法について、具体的に説明する。図23は、ネットワークアナライザの画面に表示される位相値の周波数特性の一例を示す図である。1次の共振周波数F1は、最も低い周波数のインピーダンスの極小値や位相の極大値を示す周波数として検出される。1次の共振周波数とは、図22(a)に例示されるような振動モード(1,1)(1つの腹が形成される振動)の共振周波数である。
次いで、高次ピークAの共振周波数FAが、共振周波数F1より高周波側に第2の位相極大値を示す周波数として検出される。高次ピークAの共振周波数とは、図22(b)に例示されるような振動モード(3,1)(3つの腹が形成される振動)の共振周波数であり、本例においては、主にFR1A=FA/F1=1.06〜1.14の間に発生した。
そして、高次ピークBの共振周波数FBが、共振周波数FAより高周波側に第3の位相の極大値を示す周波数として検出される。高次ピークBの共振周波数とは、図22(c)に例示されるような特殊な振動モード(3.5,1)の共振周波数であり、本例においては、主にFR1B=FB/F1=1.14〜1.25の間に発生した。
図26は、圧電/電歪体79と振動部66との横ずれ量と、その横ずれ量を有する圧電/電歪アクチュエータの変位量との関係を示すグラフである。傾向が明確となるように、ずれ量の大きい圧電/電歪アクチュエータを含めて解析を行った。図27は、周波数比FR1A=FA/F1と、圧電/電歪体79と振動部66との横ずれ量(絶対値)と、の関係を示すグラフである。図27から明示されるように、FR1Aと横ずれ量(絶対値)とは概ね比例するから、数10式に示すように、FR1Aに係数aを掛けたa(FR1A)に基づいて予測横ずれ量(寸法)を求めることが可能である。
次に、振動部66のうねり量について説明する。図11において、振動部66の両端部を結ぶ平面から飛び出た振動部66の頂点までの高さH(μm)を振動部66のうねり量という。尚、振動部の頂点が振動部66の両端部を結ぶ平面より凹んでいると、高さH(うねり量)は負の数値で表される。
図29は、振動部66のうねり量と、そのうねり量を有する圧電/電歪アクチュエータの変位量との関係を示すグラフである。傾向が明確となるように、うねり量の大きい圧電/電歪アクチュエータを含めて解析を行った。図30は、周波数比FR1B=FB/F1と振動部66のうねり量との関係を示すグラフである。図30から明示されるように、FR1Bとうねり量とは概ね比例するから、数11式に示すように、FR1Bに係数aを掛けたa(FR1B)に基づいて予測うねり量(寸法)を求めることが可能である。
又、図26から明示されるように横ずれ量と変位量とは概ね比例し、図29から明示されるようにうねり量と変位量とは2次多項式で示される関係にあるから、数12式に示すように、FR1Aに係数aを掛けたa(FR1A)と、FR1Bに係数cを掛けたc(FR1B)と、FR1Bの二乗に係数bを掛けたb(FR1B)2と、に基づいて(更に静電容量CPを加えることも出来る)、予測変位量を求めることが可能である。製造工程において、例えば、圧電/電歪体79を印刷等により形成する際に、圧電/電歪体79と振動部66との横ずれ量が変更されるように圧電/電歪体79の印刷位置を微変更すること等によって予測変位量の調整が可能になる。
又、数13式に示すように、F1に係数eを掛けたe(F1)と、FR1Aに係数aを掛けたa(FR1A)と、FR1Bに係数cを掛けたc(FR1B)と、FR1Bの二乗に係数bを掛けたb(FR1B)2と、に基づいて(更に静電容量を加えることも出来る)、予測変位量を求めることが可能である。製造工程において、例えば圧電/電歪体79を印刷等により形成する際に、圧電/電歪体79と振動部66との横ずれ量が変更されるように圧電/電歪体79の印刷位置を微変更すること等によって予測変位量の調整が可能になる。
図32(a)は、容量CPのみの一次式(予測変位量=a×CP+b、(a,bは係数))により、変位を予測した場合の予測変位量と実測変位量のグラフである。又、図32(b)は、数13式で変位を予測した場合の予測変位量と実測変位量との関係を示すグラフである。このグラフは、圧電/電歪アクチュエータ20と同形態の圧電/電歪アクチュエータを16体作製し、それぞれの予測変位量と、レーザードップラー振動計によって計測した実測変位量と、の関係を示し、両者が概ね比例していることを表している。又、図32(a)に比較して図32(b)は予測変位量と実測変位量との相関が良好であり、より高い精度で変位の予測が可能であることがわかる。
尚、上記した検査においては、振動モード(1,1)、振動モード(3,1)、振動モード(3.5,1)にかかる共振周波数、共振波形に着目したが、これ以外の振動モードの共振周波数、共振波形に着目して検査することが可能である。
図24(a)〜図24(c)は、圧電/電歪アクチュエータのインピーダンス−位相の周波数特性の測定例を示すチャートである。図24(a)は、横ずれが生じていない(ずれ量が0μm)場合の周波数特性を示し、図24(b)は、横ずれが(相対的に)小さい場合の周波数特性を示し、図24(c)は、横ずれが(相対的に)大きい場合の周波数特性を示している。何れにおいても、図中の左側のピークは1次ピークを示し、右側のピークは高次ピークCを示している。1次ピークは(m,n)=(1,1)のモードであり、高次ピークCは(m,n)=(1,2)の振動モードである。
図24(a)に示されるように、横ずれが生じていない圧電/電歪アクチュエータでは、周波数の低い領域に振動モード(1,1)にかかる共振周波数のピークがあるが、周波数の高い一定の領域には目立ったピークが見られない。一方、図24(b)、図24(c)に示されるように、横ずれの生じている圧電/電歪アクチュエータでは、周波数の高い領域(例えば4.5〜5MHz)において、振動モード(1,2)にかかる共振周波数の(共振波形の)ピークが発生しており、図24(b)と図24(c)との比較で明示されるように、横ずれの量が大きくなる程、そのピークの高さPKCが大きくなるとともに、周波数Rから周波数Tまでの間の共振波形にかかる面積SCが大きくなる。又、横ずれ量が大きくなる程、周波数の低い領域に現れる振動モード(1,1)にかかる共振周波数の(共振波形の)ピークの高さPK1や、周波数Qから周波数Pまでの間の共振波形にかかる面積S1は小さくなる。
インピーダンス特性においても、基本的な傾向は、位相特性と同じである。即ち、図24(a)に示されるように、横ずれが生じていない圧電/電歪アクチュエータでは、周波数の低い領域における振動モード(1,1)にかかる共振により生じた極大値E1と極小値E2との差が大きく、周波数の高い一定の領域には段差状の波形が見られない。一方、図24(b)、図24(c)に示されるように、横ずれの生じている圧電/電歪アクチュエータでは、周波数の高い領域(例えば4.5〜5MHz)において、振動モード(1,2)にかかる共振により生じた段差状の波形が見られ、図24(b)と図24(c)との比較で明示されるように、横ずれの量が大きくなる程、その極大値E3と極小値E4との差が大きくなる。
図28(a)において、曲線181は、横ずれ量と高次ピークCの高さPKCとの関係を示し、曲線182は、横ずれ量と1次ピークの高さPK1との関係を示している。又、図28(b)において、曲線183は、横ずれ量と高次ピークCの面積SCとの関係を示し、曲線184は、横ずれ量と1次ピークの面積S1との関係を示している。更に、図28(c)において、曲線185は、横ずれ量とピークの高さの比PKC/PK1との関係を示し、曲線186は、横ずれ量とピークの面積の比(面積比)SC/S1との関係を示している。図28(a)〜図28(c)から明示されるように、横ずれ量が小さいときにピークの高さPKCや面積SCは大きくなり(検出感度が高く)、横ずれ量が大きいときにピークの高さの比PKC/PK1及び面積比SC/S1が大きくなる(検出感度が高い)。
横ずれによって、振動モード(1,2)の(共振波形の)ピークの高さが高くなる等の現象は、以下の理由により説明出来る。即ち、振動部に対して圧電/電歪作動部が横ずれなく配置されている場合には、構造物としての圧電/電歪アクチュエータの重心は振動の中心に一致する。又、圧電/電歪作動部の伸び縮みにより、元々振動モード(1,1)に近い屈曲変位が励起される。即ち、振動部の中心が大きく変位が励起される。この場合、振動部の中心が大きく振動するような奇数次の振動モード(3,1)、(5,1)、(7,1)、(1,3)等は、比較的、励起され易いが、振動部の中心が節となる偶数次の振動モード(2,1)、(4,1)、(1,2)等は、励起され難い。実際に、図24(a)に示されるような振動モード(1,2)は、殆ど観測されない。それに対して、横ずれが発生する場合、振動の中心と圧電/電歪アクチュエータとの重心位置がずれ、偶数次のモードが励起されるようになる。そして、ずれが大きくなるほど、偶数次のモードが大きくなる。問題となる横ずれは、図1に示される圧電/電歪アクチュエータのBB'断面での位置ずれであり、幅の狭い横方向の中心に節のある振動モード(1,2)(図20参照)が強く励起されるのである。同様に、図1のAA'断面での位置ずれの場合は、(2,1)モードが強く励起されるが、この方向での位置ずれは変位に対して殆ど悪影響を及ぼさないため、本明細書では問題としていないが、寸法ずれ検査としてはこの考え方が適用出来る。図24(b)及び図24(c)に示される高次ピークCを用いて、横ずれや変位を予測する方法は、図23に示される高次ピークAを用いて予測する方法に比較して、それぞれのピーク(共振波形)の近くにノイズとなるピーク(共振波形)が比較的少なく、意図しない別のピーク(共振波形)を誤って検出してしまう確率が低いため、高感度に精度よく横ずれを予測することが可能であり、より好ましい。高次ピークCによる横ずれ量の予測式は、図28(a)より原点付近では近似的に直線とみなせるので、例えば、数14式のような単純で式で表すことが可能である。
図25(a)、図25(b)、及び図25(c)は、ネットワークアナライザの画面に表示される位相値の周波数特性の一例を示す図であり、図25(a)は、振動部に下向きのうねりがある形態の圧電/電歪アクチュエータ(図5参照)の周波数特性を示し、図25(b)は、振動部にうねりのない圧電/電歪アクチュエータ(図3参照)の周波数特性を示し、図25(c)は、振動部に上向きのうねりがある形態の圧電/電歪アクチュエータ(図10参照)の周波数特性を示す。図25(a)、図25(b)、及び図25(c)に示されるように、高次ピークDの共振周波数FDが、周波数8〜9MHzに検出され、高次ピークEの共振周波数FEが、周波数10〜11MHzに検出される。高次ピークDの共振周波数は、振動モード(1,3)の共振周波数であり、高次ピークEの共振周波数は、振動モード(3.5,3)の共振周波数である。この2つの共振周波数による周波数比FRDE(FRDE=FE/FD)は、圧電/電歪アクチュエータのうねり量に関係があり、共振周波数FE,FDより周波数比FRDEを求めることにより、圧電/電歪アクチュエータのうねり量を予測することが出来る。即ち、若干、値のシフトはあるものの、上述のFR1Bと概ね同様の計算式によって、うねり量や変位量等を予測することが可能である。図25(a)、図25(b)、及び図25(c)に示される高次ピークDと高次ピークEを使用してうねり量を予測する方法は、図23に示される1次ピークと高次ピークBを使用する方法と比較して、それぞれのピーク(共振波形)の近くにノイズとなるピーク(共振波形)が比較的少なく、別のピークを誤って検出してしまう確率が低いため、高感度に精度よくうねり量を予測することが可能であり、より好ましい。図31は、周波数比FRDEと、圧電/電歪アクチュエータにかかる振動部のうねり量と、の関係を示すグラフである。高次ピークD,Eによるうねり量の予測式は、この図31より近似的に直線とみなせるので、例えば、数式15のような単純で式で表すことが可能である。
又、高次ピークC,D,Eによる変位量の予測式は、うねり量と変位量が2次曲線の関係であることを考慮し、例えば、数16式のような式で表すことが可能である。
予測横ずれ量、予測うねり量、予測変位量が得られたら、それらに基づいて、作製した圧電/電歪アクチュエータ20が良品であるか又は不良品であるかの判断をして、検査が終了する。そして、検査に合格した圧電/電歪アクチュエータ20のみが出荷される。
従来は、圧電/電歪体の静電容量のみに基づいて圧電/電歪アクチュエータを検査をしていたので、圧電/電歪アクチュエータを構成する他の要素、即ち振動部、支持部で構成される基体等の製品毎の違いが検査結果に反映されていなかった。そのため、検査の精度の向上に限界があったが、上記検査では、予測横ずれ量、予測うねり量、予測変位量が作製された圧電/電歪アクチュエータを実際に振動させて得られたものであり、これらは全て圧電/電歪アクチュエータを構成する全ての要素(予知し得ないものを含む)が反映されたものであるため、寸法、変位量のばらつきを確実に識別出来、従来より検査にかかる精度が高く、良品か否かの判断は、より正確に行われ得る。作製したものを振動させるだけであって、圧電/電歪アクチュエータの破壊、分解を伴わないため、検査に多くの時間を要することはない。検査に合格した良品の圧電/電歪アクチュエータがアクチュエータ部として用いられた例えばマイクロスイッチは、振動部の変位量が一定範囲内に収まり、スイッチ動作のばらつきが抑えられる。
ところで、ずれ量及びうねり量等の寸法は、圧電/電歪アクチュエータのアクチュエータ変位量と同様に、圧電/電歪センサの検出感度にも大きな影響がある。即ち、圧電/電歪センサにおいても、静電容量、共振周波数、共振周波数比等と合わせて多変量解析等を行うことにより、より高精度に検出感度を予測・推定することが可能である。
又、本発明は、圧電/電歪アクチュエータが縦横に複数配列された圧電/電歪アクチュエータセットの検査にも有効に活用出来る。即ち、圧電/電歪アクチュエータセットの各圧電/電歪アクチュエータの寸法ずれのばらつきが、圧電/電歪アクチュエータセットの特性ばらつきとなっているが、その品質をより向上させるため、寸法ずれのばらつきを検査してばらつきの大小を選別し、それぞれに合った用途で使用しようとする際、この1次及び高次の共振モードの共振周波数、共振周波数比、共振波形のピークの高さ、面積、等の情報を使用し、圧電/電歪アクチュエータセットの特性ばらつきを精度よく予測することが出来る。
次に、周波数比FR1A及び周波数比FR1B、並びに必要な場合には静電容量CPを加えて計算し、圧電/電歪アクチュエータ20の寸法、及び、圧電/電歪アクチュエータ20の変位量を予測するための、本発明に係る弾性体(圧電/電歪アクチュエータ)の寸法予測プログラム、及び、圧電/電歪アクチュエータの変位量予測プログラムについて説明する。
以下、先ず、本発明に係る圧電/電歪アクチュエータの変位量予測プログラム(単に変位量予測プログラムともいう)について説明する。図33(a)及び図33(b)は、変位量予測プログラムが組み込まれたコンピュータシステムの構成図である。図33(a)に示されるコンピュータシステム10は、主に、中央処理装置1、記憶装置2(メインメモリ)、入力装置4、出力装置5から構成される。本発明に係る変位量予測プログラムは、圧電/電歪体と2以上の電極とを具備する圧電/電歪アクチュエータの変位量を予測するために、コンピュータを所定の手段として機能させるためのプログラムである。本発明に係る変位量予測プログラムは、記憶装置2に格納され、このプログラムに基づいて中央処理装置1がコンピュータシステム10を構成する他の装置へ指令を出す。
中央処理装置1は変位量予測プログラムの指令により、変位量を予測しようとする圧電/電歪アクチュエータに適用すべき計算式に基づいて、圧電/電歪アクチュエータの予測変位量を計算する。次いで、中央処理装置1は変位量予測プログラムの指令により、得られた圧電/電歪アクチュエータの予測変位量を、プリンタやCRT(画面)へ出力する。尚、計算式は、変位量予測プログラムに組み込んでおくことが可能である。又、計算式は例示したものに留まらず、指数関数やより高次の多項式等、検査対象物の特性に応じて変更することも可能である。
コンピュータシステム10において、具体的な計算式が使用されて予測変位量が得られる場合について説明する。予測変位量を計算しようとする圧電/電歪アクチュエータを振動させたときの、1次及び高次の共振モードの共振周波数、共振波形のピークの高さ、面積等の情報が、キーボードやネットワークアナライザ等から入力される。そして、中央処理装置1は、記憶装置2中の変位量予測プログラムの指令を受けて、共振周波数比やピークの高さの比、面積比等を計算する。
更に、中央処理装置1は、記憶装置2中の変位量予測プログラムの指令を受けて、圧電/電歪アクチュエータにかかる予測変位量を計算するための計算式である数12式や数13式に基づいて、圧電/電歪アクチュエータの予測変位量を計算する。尚、予測変位量を求めるのに静電容量が用いられる場合(数4式相当)には、予測変位量を計算しようとする圧電/電歪アクチュエータの圧電/電歪体の静電容量CPが、キーボードやLCRメータ等から入力される。計算された予測変位量は、変位量予測プログラムの指令により中央処理装置1が、プリンタやCRT(画面)等へデジタルデータ又はアナログデータとして出力する。
図33(b)に示されるコンピュータシステム330は、図33(a)に示されたコンピュータシステムに加えて、良否選別装置(ロボット)が付加されたものである。測定した各被検体毎に、変位予測プログラムに基づいて予測した変位が記憶装置に格納され、指定したしきい値に基づく合否判定の情報も記憶装置に格納される。良否選別装置(ロボット)は、合否判定情報に基づいて被検体(圧電/電歪アクチュエータ製品)を選別し、例えば良品は良品専用のトレイに、不良品は不良品専用のトレイに載せ換える、等の動作を行う。
本発明に係る弾性体の寸法予測プログラム(単に寸法予測プログラムともいう)は、弾性体である圧電/電歪作動部78の圧電/電歪体79や基体44の振動部66にかかる寸法(ずれ量やうねり量)を予測するために、コンピュータを所定の手段として機能させるためのプログラムである。本発明に係る寸法予測プログラムは、予測寸法を計算するために数1式を利用することを除けば、上記した変位量予測プログラムに準じて、記憶装置2に格納され、このプログラムに基づいて中央処理装置1がコンピュータシステム10を構成する他の装置へ指令を出すものであり、詳細の説明は省略する。
以上、本発明に係る圧電/電歪アクチュエータの検査方法、検査装置、及び変位量予測プログラムについて圧電/電歪アクチュエータの一例を示して説明したが、本発明に係る圧電/電歪センサの検査方法、検査装置、及び検出感度予測プログラムのそれぞれが対象とする圧電/電歪センサも、電気/機械変換と機械/電気変換との違いがあるのみであり、構造体としては上記圧電/電歪アクチュエータと同態様である。
又、本発明に係る圧電/電歪アクチュエータの検査方法、検査装置、及び変位量予測プログラムのそれぞれが対象とし得る圧電/電歪アクチュエータは、それぞれ弾性体である圧電/電歪体と2以上の電極とを具備するものであるから、2以上の弾性体を有する構造体に相当する。本明細書においては、圧電/電歪アクチュエータとして、圧電/電歪体と2以上の電極とからなる圧電/電歪作動部の他に、弾性体であって振動部及び支持部とで構成される基体を具備するものが例示され、その例において、圧電/電歪作動部、振動部、支持部が1の弾性体として示されている。
本発明に係る弾性体の検査方法、検査装置、寸法予測プログラムのそれぞれが対象とし得る弾性体は、塑性ではない弾性を示す物体であって、2以上の弾性体で構成される構造体の少なくとも1の弾性体であればよく、圧電/電歪体(圧電/電歪作動部)、セラミックス製の基体(振動部)に限定されない。
又、本発明に係る圧電/電歪デバイスの検査方法、検査装置、及び変位量予測プログラムのそれぞれが対象とし得る圧電/電歪デバイス、及び、本発明に係る圧電/電歪センサの検査方法、検査装置、及び検出感度予測プログラムのそれぞれが対象とする圧電/電歪センサは、電界によって誘起される歪みや応力によって誘起される電荷/電界を利用してまとまった機能を果たすユニットを示し、圧電/電歪体と少なくとも一対の電極とを構成要素とするものであり、狭義の意味での、印加電界に概ね比例した歪み量を発生する逆圧電効果や応力によって誘起された電荷量を発生する圧電効果、印加電界の二乗に概ね比例した歪み量を発生する電歪効果を利用する圧電/電歪アクチュエータに限定されず、強誘電体材料全般に見られる分極反転、反強誘電体材料に見られる反強誘電相−強誘電相間の相転移、等の現象を利用する圧電/電歪アクチュエータも含まれる。又、分極処理が行われるか否かについても、圧電/電歪アクチュエータを構成する圧電/電歪体に用いられる材料の性質に基づいて適宜決定される。
本発明に係る弾性体の検査方法、検査装置、及び寸法予測プログラム、並びに、圧電/電歪アクチュエータの検査方法、検査装置、及び変位量予測プログラムは、例えば、計測器、光変調器、光スイッチ、電気スイッチ、マイクロリレー、マイクロバルブ、搬送装置、ディスプレイ及びプロジェクタ等の画像表示装置、画像描画装置、マイクロポンプ、液滴吐出装置、微小混合装置、微小撹拌装置、微小反応装置、等に適用される各種の圧電/電歪アクチュエータの検査手段として好適に利用出来る。又、本発明に係る圧電/電歪センサの検査方法、検査装置、及び検出感度予測プログラムは、流体特性、音圧、微小重量、加速度等の検出に用いられる各種の圧電/電歪センサの検査手段として好適に利用出来る。