JP2021110693A - 磁歪測定装置および磁歪測定方法 - Google Patents

磁歪測定装置および磁歪測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】磁歪特性の測定対象となる材料と、この材料が接触する基板との摩擦に基づく測定誤差を低減できる磁歪測定装置および磁歪測定方法を提供する。【解決手段】交流磁界中に置かれ一端部が固定された板状材料8の他端部の変位を測定することにより、板状材料8の磁歪特性を測定する磁歪測定装置であって、板状材料8の底面が接触する基板18を備え、基板18が磁歪特性の測定方向に振動可能となっているので、板状材料8と基板18との摩擦に基づく測定誤差を低減できる。【選択図】図2

Description

本発明は、磁歪測定装置および磁歪測定方法に関する。
一般に、磁性材料には磁歪現象があるが、これは材料の磁化の変化に伴って材料の寸法が変化する現象である。電磁鋼板の磁歪現象は、電磁鋼板が例えば交流励磁される変圧器の鉄心に用いられる場合、鉄心の振動となって現れるため、変圧器から発せられる騒音の原因となる。このため、電磁鋼板に対して磁歪の低減が求められている。変圧器に使用される方向性電磁鋼板では、鉄心の構造を考慮して鋼板の長手方向(圧延方向)での磁歪が取り上げられて評価されることが多い。このため、鋼板の長手方向での磁歪特性を精度よく評価することが求められており、精度向上のための技術開発が行われて測定装置に適用されている。
磁歪測定装置の例を図1に示す。この磁歪測定装置では、幅100mm×長さ500mmの電磁鋼板サンプル1枚が、励磁コイルを貫通する様に配置され、励磁コイルによって交流磁界が与えられる。また、ヨークは閉磁路を形成するために用いられる。図1において、サンプルは励磁コイルの左端側においてクランプによって機械的に固定されており、磁歪現象によるサンプルの振動(磁歪振動)は、クランプよりも右側(励磁コイルが配置されている側)に現れる。また、この磁歪測定装置では、磁歪振動測定は差動方式による測定が可能なレーザー振動計を用いて行われる。具体的には、サンプルの磁歪によって振動する位置(測定点)に、レーザー光を反射する小ブロック(反射器)を接着して、そこにレーザー振動計のレーザー光の一つを照射する。また、磁歪による振動の影響を受けない固定点(基準点)に、レーザー光を反射する小ブロック(反射器)を設置して、そこにレーザー振動計のレーザー光の他の一つを照射する。そして、各小ブロックからの反射光に基づいてサンプルの振動を測定する。このような技術の一例は、特許文献1に開示されている。
特開平4−5524号公報 特開平9−203605号公報
磁歪測定における課題は、サブミクロンの振動を如何に精度よく測定するかにある。この課題に関し、特許文献2には、測定精度に関わる問題の一つが記載されている。特許文献2に係る発明は、サンプルを2枚の平面基板で挟んで磁歪測定を行うものである。そして、特許文献2には、平面基板とサンプルとの摩擦によって、磁歪によるサンプルの長さ変化が抑制されるとの言及があり、これはすなわち測定される磁歪の値が過小となる誤差が発生することを意味する。しかし、特許文献2には、この問題への対応について、平面基板の摩擦係数との関係で平面基板の質量を決めるとの言及があるのみで、積極的に摩擦の影響を除去する方法については提示されていない。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、磁歪特性の測定対象となる材料と、この材料が接触する基板との摩擦に基づく測定誤差を低減できる磁歪測定装置および磁歪測定方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の磁歪測定装置は、交流磁界中に置かれ一端部が固定された板状材料の他端部の変位を測定することにより、前記板状材料の磁歪特性を測定する磁歪測定装置であって、
前記板状材料の底面が接触する基板を備え、
前記基板が磁歪特性の測定方向に振動可能であることを特徴とする。
本発明においては、板状材料が接触する基板を振動させることができるため、基板を静止させた状態や基板を振動させた状態等の複数の状態で磁歪特性を測定し、これら複数の状態で測定される磁歪特性に基づいて摩擦の影響を除去することが可能となる。
また、本発明の前記構成において、前記基板の振動を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、前記測定方向において、前記基板の振動方向と前記板状材料の前記変位との方向とが揃うように前記基板の振動を制御することとしてもよい。
このように、基板の振動方向と板状材料の変位方向とを揃えることにより、板状材料の変位と板状材料に加わる摩擦力との関係を整理することが容易となり、摩擦の影響を除去することが容易となる。
また、本発明の前記構成において、前記制御装置は、前記測定方向において、前記基板の振動速度が前記板状材料の前記変位の速度よりも速くなるように前記基板の振動を制御することとしてもよい。
このような構成によれば、基板を振動させた状態において、磁歪による変形を助長する方向に安定的に摩擦力を加えることが可能となる。したがって、基板を静止させ、磁歪によるサンプルの変形が阻害される方向に摩擦力が働く状態で測定したデータと、基板を振動させ、磁歪によるサンプルの変形が助長される方向に摩擦力が働く状態で測定したデータとを測定し、これらの平均を求めて摩擦の影響を除去することが可能となる。
また、本発明の磁歪測定方法は、交流磁界中に置かれ一端部が固定された板状材料の他端部の変位を測定することにより、前記板状材料の磁歪特性を測定する磁歪測定方法であって、
前記板状材料の底面を基板に接触させ、前記基板を静止させた状態で磁歪特性を測定する静止状態測定工程と、
前記板状材料の底面を前記基板に接触させ、前記基板を磁歪特性の測定方向に振動させた状態で磁歪特性を測定する振動状態測定工程と、
前記静止状態測定工程で測定された磁歪特性と、前記振動状態測定工程で測定された磁歪特性との平均を求める工程とを含むことを特徴とする。
本発明によれば、基板を静止させた状態と基板を振動させた状態との両状態で磁歪特性を測定し、両状態で測定される磁歪特性に基づいて摩擦の影響を除去することが可能となる。
また、本発明の前記構成において、前記振動状態測定工程では、前記測定方向において、前記基板の振動方向と前記板状材料の前記変位の方向とが揃うように前記基板を振動させることとしてもよい。
このように、基板の振動方向と板状材料の変位方向とを揃えることにより、板状材料の変位と板状材料に加わる摩擦力との関係を整理することが容易となり、摩擦の影響を除去することが容易となる。
また、本発明の前記構成において、前記振動状態測定工程では、前記測定方向において、前記基板の振動速度が前記板状材料の前記変位の速度よりも速くなるように前記基板を振動させることとしてもよい。
このような構成によれば、基板を振動させた状態において、磁歪による変形を助長する方向に安定的に摩擦力を加えることが可能となる。したがって、基板を静止させ、磁歪によるサンプルの変形が阻害される方向に摩擦力が働く状態で測定したデータと、基板を振動させ、磁歪によるサンプルの変形が助長される方向に摩擦力が働く状態で測定したデータとを測定し、これらの平均を求めて摩擦の影響を除去することが可能となる。
本発明によれば、磁歪特性の測定対象となる材料と、この材料が接触する基板との摩擦に基づく測定誤差を低減できる。
従来の磁歪測定装置の一例を示す図である。 本発明の実施の形態に係る磁歪測定装置を示す概略図である。 同、サンプルの振動を表わす波形と基板の振動を表わす波形とを示す図である。 静止状態測定工程を説明するためのフローチャートである。 振動状態測定工程を説明するためのフローチャートである。 同、磁歪測定装置の第1変形例を示す概略図である。 同、磁歪測定装置の第2変形例を示す概略図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
本発明の発明者らは、磁歪測定における測定誤差を低減するために、摩擦による影響を考察した。まず、これについて説明する。
磁歪測定において、磁歪はサンプルの振動として現れる。具体的には、磁歪測定においてはサンプルの伸びと縮みが周期的に繰り返される。サンプルが基板上に置かれる場合、サンプルと基板との間には摩擦が生じる。この摩擦は、サンプルが伸びるときにその伸びを阻害して本来の伸び量よりも小さくする。また、この摩擦は、サンプルが縮むときにその縮みを阻害して本来の縮み量よりも小さくする。したがって、摩擦があると磁歪による振動(変位)の振幅が本来の値よりも小さくなる。これは、磁歪によるサンプルの変形が、一部、摩擦力によって発生する弾性変形によって吸収されているといえる。
一般に、動摩擦はクーロン摩擦と呼ばれ、物体と、この物体が置かれた面との間に発生する摩擦力は、摩擦係数と物体の質量による垂直抗力との積に比例し、滑り速度には無関係であるといわれている。図1に示されるような従来の方式では、サンプルが接する基板は常に静止している。このため、摩擦力は常に磁歪によるサンプルの変形(変位)を阻害するように働く。そこで本発明では、磁歪を測定する方向において基板に動きを与え、摩擦力の方向を故意に変化させる。具体的には、磁歪によりサンプルが伸びる期間は、基板が、クランプから離れる向き、すなわち摩擦力がサンプルに伸び歪を与える方向に動き、磁歪によるサンプルの変形(変位)を助長する。一方、磁歪によりサンプルが縮む期間は、基板が、クランプに近づく向き、すなわち摩擦力がサンプルに縮み歪を与える方向に動き、磁歪によるサンプルの変形を助長する。このような状態は、基板を磁歪測定方向に振動させることで得られる。
摩擦力によるサンプルの変形は弾性変形の一種と考えられる。したがって、その弾性率に相当する係数は一定値となる。また、前述の様に摩擦力は滑り速度に影響されない。これらのことから、基板に動きが与えられていない場合に磁歪による変形が阻害されることで発生する変位減少量と、基板を振動させた場合に磁歪による変形が助長されることで発生する変位増加量は絶対値が等しいものとなる。したがって、基板が固定されているときと、振動しているときとのそれぞれで、磁歪によるサンプルの変形(変位)の位相が合うようにして、磁歪によるサンプルの変形(変位)を測定して記録し、これらの平均を取ることで、摩擦に基づく変形の助長と阻害とが相殺され、摩擦の影響のない磁歪特性を得ることができる。
図2に、本実施形態に係る磁歪測定装置10を示す。磁歪測定装置10は、基板18と、架台20と、ヨーク22と、基板支持部材24と、クランプ26と、加振器28と、反射器30と、励磁コイル32と、レーザー振動計40と、振動センサ42と、A/D変換器44と、コンピュータ(制御装置)46と、任意波形発生器48と、電力増幅器50と、駆動電源52と、を備えている。また、ヨーク22、基板支持部材24、クランプ26および加振器28は、架台20に固定されている。そして、この磁歪測定装置10によって測定対象としてのサンプル(材料)8の磁歪特性が測定されるようになっている。
以下では、図2における左右方向をX方向とし、図2における上下方向をZ方向とし、X方向およびZ方向に垂直な方向(図2の紙面に垂直な方向)をY方向として説明する(図1参照)。X方向は、測定方向となっている。すなわち、磁歪測定装置10では、サンプル8の、X方向における磁歪特性を測定するようになっている。
なお、図2は、磁歪測定装置10の概略図であって、サンプル8、基板18、架台20、ヨーク22、基板支持部材24、クランプ26、加振器28、反射器30、励磁コイル32、レーザー振動計40および振動センサ42の位置関係を示す図と、ブロック図とを組み合わせた図である。このため、A/D変換器44、コンピュータ46、任意波形発生器、電力増幅器50および駆動電源52は、実際の位置関係と図2に示すX、Y、Z方向とが一致していない。また、磁歪測定装置10の基本的な構成は、適宜、図1に示す従来の磁歪測定装置と同様としてもよい。
また、本実施形態においては、サンプル8は、幅(Y方向の長さ)100mm、長さ(X方向の長さ)500mmの板状の(Z方向の長さがX方向の長さおよびY方向の長さよりも短い)電磁鋼板とする。すなわち、サンプル8の長手方向(圧延方向)が測定方向と一致している。なお、サンプル8の大きさは前述の通りでなくてもよく、また必ずしも板状でなくてもよい。
基板18は、非導電性材料(非磁性材料)によって形成された板となっている。具体的には、例えばベークライトの板や、ガラスエポキシの板を基板として用いることができる。基板18は、長方形の板状となっており、基板18の上にサンプル8が載置されるようになっている。すなわち、基板18の上面にサンプル8の底面が接触するようになっている。また、基板18は、基板支持部材24とヨーク22とによって下から支持されている。すなわち、基板18は、基板支持部材24とヨーク22との上に載置されている。具体的には、基板18底面の対向する2辺(第1辺と第2辺)のうち、第1辺の近傍において基板18底面と基板支持部材24とが当接しており、第2辺の近傍において基板18底面とヨーク22とが当接している。ここで、第1辺および第2辺は、Y方向に平行となっている。
ヨーク22は、図1に示すヨークと同様の形状となっており、略方形の枠状となっている。換言すると、ヨーク22は4つの直線部を有し、これらの直線部がZ方向視においてロの字状となるように一体化されている。また、サンプル8は、ヨーク22の対向する2つの直線部の間に架設されるようになっている。そして、ヨーク22とサンプル8とによって閉磁路が形成されるようになっている。
基板支持部材24は、XZ平面における断面形状が、上方に向かうにつれて細くなる形状となっている。また、基板支持部材24は、YZ平面における断面形状が、上方に向かうにつれて細くなる形状となっている。すなわち、基板支持部材24は、基板18底面との接触面積が小さくなるように(ほぼ点で接するように)形成されている。そして、複数の基板支持部材24が、Y方向に並べて配置されている。
また、基板18は、基板支持部材24およびヨーク22に対して固定されておらず、基板支持部材24およびヨーク22の上を摺動可能(直線移動可能)となっている。換言すると、基板18は、架台20に対して相対的に振動可能となっている。具体的には、基板18は、X方向に振動可能(直線移動可能)となっている。また、サンプル8は、基板18に対して固定されておらず、基板18の上を摺動可能(直線移動可能)となっている。換言すると、サンプル8は、基板18に対して相対的に振動可能となっている。具体的には、サンプル8は、X方向に振動可能(直線移動可能)となっている。
なお、本実施形態の磁歪測定装置10においては、基板18と基板支持部材24との接触面積を小さくすることにより、基板18と基板支持部材24との間に生じる摩擦を小さくしているが、例えば、基板18と基板支持部材24との接触部や、基板18とヨーク22との接触部にローラー(回転体)を設けること等により摩擦を小さくしてもよい。
クランプ26は、サンプル8を挟み込んで固定できるようになっている。すなわち、クランプ26は、サンプル8を架台20に対して固定する固定部材となっている。サンプル8は、基板18上に配置された状態で、X方向における一方の端部8a(図2における左側の端部。以下第1端部という。)がクランプ26に挟まれて固定されるようになっている。ここで、第1端部8aは、クランプ26よりも外側(端側(図2における左側))において、ヨーク22の上に載っており、ヨーク22と接している。また、サンプル8のX方向における他方の端部8b(図2における右側の端部。以下第2端部という。)は、クランプ26等による固定がされておらず自由端となっている。すなわち、サンプル8は、磁歪や、基板18からの摩擦力等によって伸縮する際に、クランプ26に固定された部分を固定点として、当該固定点よりも第2端部8b側の部分がクランプ26および架台20に対して相対的に変位するようになっている。そして、当該固定点よりも第2端部8b側が、サンプル8の測定対象となる部分となっており当該部分の伸縮が測定されるようになっている。
なお、サンプル8は、第1端部8aが、ヨーク22の上に直接載っている一方、第2端部8bが基板18を介してヨーク22の上に載っている。ただし、第1端部8aが、基板18や、基板18と同一素材、同一の厚さの小片等の、非導電性部材(非磁性部材)を介してヨーク22の上に載っていてもよい。また、第2端部8bが基板18を介さずにヨーク22の上に直接載っていてもよい。
励磁コイル32は、基板18が内側に位置するように、基板18の外側に巻き回された状態となっている。また、励磁コイル32は、軸がX方向に延びる筒状となるように巻かれている。そして、励磁コイル32を貫通する磁束がX方向を向くようになっている。そして、基板18上に配置されたサンプル8が、X方向において励磁コイル32を貫通するようになっている。
なお、励磁コイル32は、サンプル8に磁歪を引き起こさせることが可能となっていればよい。具体的には、例えば、サンプル8が基板18上に配置された際に、サンプル8(および基板18)の少なくとも一部が励磁コイル32の内側に位置するようになっていることが好ましい。また、励磁コイル32は、内側に基板18が配置された筒状の部材(例えば、ベークライト等の非導電性材料(非磁性材料)によって形成された部材)に巻き回されて形成されていてもよい。
加振器28は、基板18を架台20に対して相対的に振動させることが可能となっている。加振器28は、振動可能な可動部を有している。そして、この可動部が基板に結合されており、基板18をX方向に振動させることが可能となっている。加振器28は、例えば、ピエゾ素子や超磁歪材料によるメカニカル振動子によって振動を起こすものとするとよい。また、加振器28は、例えば、モータまたはエアー等の力によって振動を起こすものであってもよく、基板18に適切な振動を与えられるものであればよい。また、加振器28は、ピエゾ素子、超磁歪材料、モータ、エアー等の複数を組み合わせて振動を起こすことが可能なものであってもよい。
反射器30は、レーザー振動計40からのレーザー光を反射することが可能となっている。反射器30には、例えば、レーザー光を反射する反射テープを貼ったベークライトのブロック(例えば数ミリ立方のブロック)や、レーザー光を反射する反射部を有するL字状の部材等を用いることができるが、レーザー光を反射できるものであれば、特にその構成が限定されるものではない。
本実施形態の磁歪測定装置10では、レーザー振動計40からのレーザー光を反射する反射器30として、反射器30aと反射器30bとの2個の反射器が用意されている。1個の反射器30aは、サンプル8に固定されており、サンプル8の伸縮に応じて変位するようになっている。また、もう1個の反射器30bは、サンプル8と独立しており、サンプル8が伸縮しても変位しないようになっている。換言すると、反射器30bは、架台20に対して直接または間接的に固定されており、サンプル8または基板18がX方向に変位(振動)しても、反射器30bはX方向に変位しないようになっている。反射器30bは、例えばヨーク22やクランプ26に固定されてもよい。
レーザー振動計40は、レーザードップラー振動計となっており、反射器30a,30bそれぞれにレーザー光を照射するとともに、反射器30a,30bそれぞれからの反射光(反射レーザー光)を検出するようになっている。すなわち、レーザー振動計40には、反射器30a,30bからの反射光が差動信号として入力されるようになっている。そして、レーザー振動計40は、この差動信号に基づいて、サンプル8の振動を表わす振動波形(磁歪波形)を生成し、出力信号として出力するようになっている。換言すると、レーザー振動計40は、サンプル8の振動を測定可能となっている。ここで、励磁コイル32によって交流磁界が与えられた状態で、レーザー振動計40によって測定されるサンプル8の振動(レーザー振動計40によって生成される磁歪波形)は、サンプル8の磁歪特性を表わすものである。すなわち、レーザー振動計40は、サンプル8の磁歪特性を測定可能となっている。
振動センサ42は、基板18の振動を検出するセンサであり、レーザードップラー振動計となっている。また、基板18には、振動センサ42からのレーザー光を反射する反射器(基板側反射器)が設けられている。そして、振動センサ42は、基板側反射器および反射器30bにレーザー光を照射するとともに、これらの反射器からの反射光(反射レーザー光)を検出するようになっている。すなわち、振動センサ42には、基板側反射器および反射器30bからの反射光が差動信号として入力されるようになっている。そして、振動センサ42は、この差動信号に基づいて、基板18の振動を表わす振動波形(基板振動波形)を生成し、出力信号として出力するようになっている。換言すると、振動センサ42は、基板18の振動を測定可能となっている。
A/D変換器44は、2チャンネルのアナログデジタル変換器となっている。そして、A/D変換器44の一方のチャンネルには、レーザー振動計40の出力信号が入力され、他方のチャンネルには、振動センサ42の出力信号が入力されるようになっている。また、A/D変換器44は、レーザー振動計40の出力信号(磁歪波形)と、振動センサ42の出力信号(基板振動波形)とをそれぞれデジタル信号に変換して出力することが可能となっている。
なお、レーザー振動計40が基準点の位置を把握するために使用される反射器30bと、振動センサ42が基準点の位置を把握するために使用される反射器30bとは別体であってもよい。また、レーザー振動計40および振動センサ42はそれぞれ、差動信号に基づいて振動を測定するものでなくてもよい。換言すると、レーザー振動計40または振動センサ42は、反射器30aからの反射光または基板側反射器からの反射光のみが入力され(シングル入力となっており)、この入力される反射光に基づいて振動を測定するものであってもよい。すなわち、本実施形態においては、反射器30bを用いることでサンプル8あるいは基板18の変位を測定するにあたっての基準となる基準点の位置を算出しているが、クランプ26によって所定位置でサンプル8が固定されるという前提の下、反射器30bを用いた基準点の位置の算出をしないこととしてもよい。
また、レーザー振動計40および振動センサ42は、サンプル8または基板18の振動を測定可能であれば、レーザー光のドップラー効果を利用して測定するものでなくてもよい。例えば、同様にレーザー光を利用した非接触の測定器として、レーザー変位計を用いてもよい。また、圧電素子、加速度センサまたはひずみゲージを利用した測定器、あるいは電極間の距離による電気容量の変化を利用した測定器等を用いてもよい。
コンピュータ46は、A/D変換器44および任意波形発生器48に接続されている。また、任意波形発生器48は、励磁コイル32に電力を供給する電力増幅器50および加振器28を駆動する駆動電源52に接続されている。任意波形発生器48は、2チャンネルの波形発生器となっており、一方のチャンネルから励磁コイル32を励磁するための信号(波形)を出力可能となっており、電力増幅器50はこの信号に従って励磁コイル32に電力を供給して励磁コイル32を励磁させるようになっている。また、任意波形発生器48は、他方のチャンネルから加振器28を振動させるための信号(波形)を出力可能となっており、駆動電源52はこの信号に従って加振器28を駆動するようになっている。すなわち、任意波形発生器48の一方のチャンネルからの出力波形は、電力増幅器50を介して励磁コイル32に与えられ、他方のチャンネルからの出力波形は、駆動電源52を介して加振器28に与えられるようになっている。
コンピュータ46には、A/D変換器44によって変換されたレーザー振動計40の出力信号と、振動センサ42の出力信号とが入力される。そして、コンピュータ46は、レーザー振動計40の出力信号と、振動センサ42の出力信号とに基づいて励磁コイル32に与える信号と、加振器28に与える信号とを制御するようになっている。具体的には、コンピュータ46は、サンプル8が所定の条件で励磁されるように、任意波形発生器48を設定する。換言すると、コンピュータは、サンプル8が磁歪によって所定の条件で振動するように、任意波形発生器48を設定する。また、コンピュータ46は、加振器28が所定の条件で振動するように、任意波形発生器48を設定する。そして、任意波形発生器48は、コンピュータ46による設定に基づいて、電力増幅器50を介して励磁コイル32を励磁し、駆動電源52を介して加振器28を振動させる。
磁歪測定装置10は、励磁コイル32によって交流磁界を発生させ、この交流磁界中に配置されたサンプル8を磁歪変形させ、サンプル8の磁歪特性を測定する。具体的には、サンプル8が置かれる基板18を静止させた状態と振動させた状態との2つの状態で磁歪特性を測定し、両状態で測定された磁歪特性の平均を求めることにより、摩擦による測定誤差を低減(除去)した磁歪特性を取得する。具体的には、図3に示すように、基板18が静止している状態(基板振動波形が静止状態波形dとなる状態)で測定される磁歪波形(静止磁歪波形a)と、基板18が振動している状態(基板振動波形が振動状態波形eとなる状態)で測定される磁歪波形(振動磁歪波形b)とを取得し、静止磁歪波形aと振動磁歪波形bとの平均を求めることにより、平均磁歪波形cを求める。
なお、サンプル8の振動は、基本的に、励磁コイル32によって発生する交流磁界の1/2の周期(2倍の周波数)で繰り返される。
以下では、図4、5を参照しながら、磁歪測定装置10によるサンプル8の磁歪測定のフローを説明する。
最初に基板18を振動させず停止させた状態での測定(静止状態測定工程)について図4を参照しながら説明する。
まず、コンピュータ46は、サンプル8が所定の条件で励磁されるように任意波形発生器48を設定して励磁コイル32を励磁する(ステップS1)。具体的には、コンピュータ46は、サンプル8が磁歪によってX方向において周期的に伸縮(振動)するように、励磁コイル32に交流磁界を発生させる。
次いで、レーザー振動計40は、この交流磁界下で振動するサンプル8の振動を測定する(ステップS2)。この測定結果が、基板18が停止した状態での磁歪特性の測定結果となる。本実施形態の磁歪測定装置10においては、基板18が停止した状態におけるサンプル8の振動を表わす波形(静止磁歪波形a(図3参照))が、基板18が停止した状態での磁歪特性の測定結果として得られるようになっているが、当該測定結果は波形でなくてもよく、当該状態におけるサンプル8の磁歪特性を表わすものであればよい。
続いて基板18を振動させた状態での測定(振動状態測定工程)について図5を参照しながら説明する。
まず、コンピュータ46は、サンプル8が所定の条件で励磁されるように任意波形発生器48を設定して励磁コイル32を励磁する(ステップS11)。具体的には、コンピュータ46は、サンプル8が磁歪によってX方向において周期的に伸縮(振動)するように、励磁コイル32に交流磁界を発生させる。
次いで、コンピュータ46は、基板18が所定の条件で振動するように任意波形発生器48を設定して加振器28を振動させる(ステップS12)。具体的には、コンピュータ46は、基板18がX方向において周期的に振動するように、加振器28を振動させる。
次いで、レーザー振動計40がサンプル8の振動を検出し、振動センサ42が基板18の振動を検出する(ステップS13)。そして、レーザー振動計40によって検出されたサンプル8の振動を表わす磁歪波形と、振動センサ42によって検出された基板18の振動を表わす基板振動波形とが、A/D変換器44を介してコンピュータ46に送られる。
次いで、コンピュータ46は、磁歪波形と基板振動波形とに基づいて、基板18が振動した状態での磁歪測定の測定条件を満たしているか否か判定する(ステップS14)。ここでは、X方向において、基板18の振動方向とサンプル8の振動方向とが一致しており、かつ基板18の振動速度がサンプル8の振動速度を上回っている場合に測定条件を満たしている(ステップS14でYES)と判定してステップS16の処理に進み、そうでない場合に測定条件を満たしていない(ステップS14でNO)と判定してステップS15の処理に進む。
ステップS15の処理では、コンピュータ46は、前記測定条件を満たすように、加振器28に与える波形を修正し、基板18の振動態様を修正する。すなわち、コンピュータ46は、X方向において、基板18の振動方向とサンプル8の振動方向とが一致し、かつ基板18の振動速度がサンプル8の振動速度を上回るように、加振器28に与える波形の形状や振幅、周波数等を変更する。換言すると、コンピュータ46は、基板振動波形の上下のピーク位置(振動方向の切り替わるタイミング)がそれぞれ磁歪波形の上下のピーク位置(振動方向の切り替わるタイミング)と一致するように、加振器28に与える波形を修正する。さらに換言すると、コンピュータ46は、振動磁歪波形bと振動状態波形eとの同期がとれた状態となり、振動磁歪波形bと振動状態波形eとが同位相となるように、加振器28に与える波形を修正する(図3参照)。このために、コンピュータ46には、磁歪波形と基板振動波形とに基づいて、加振器28に与える波形を修正するフィードバックループを実行するソフトウェアが実装されている。
なお、コンピュータ46は、磁歪波形と基板振動波形との関係を調整するにあたり、加振器28に与える信号(基板18の振動態様)を修正するのではなく、励磁コイル32に与える信号(サンプル8の振動態様)を修正してもよく、加振器28に与える信号と励磁コイル32に与える信号との両方を修正してもよい。
ステップS15の処理が終了するとステップS13の処理に戻る。すなわち、前記測定条件が満たされるまで、ステップS13〜S15の処理が繰り返されるようになっている。そして、前記測定条件が満たされると(ステップS14でYES)、ステップS16の処理に進む。
ステップS16の処理では、レーザー振動計40は、交流磁界下で、かつ前記測定条件を満たした状態で振動するサンプル8の振動を測定する。この測定結果が、基板18が振動した状態での磁歪特性の測定結果となる。本実施形態の磁歪測定装置10においては、基板18が振動した状態におけるサンプル8の振動を表わす波形(振動磁歪波形b(図3参照))が、基板18が振動した状態での磁歪特性の測定結果として得られるようになっているが、当該測定結果は波形でなくてもよく、当該状態におけるサンプル8の磁歪特性を表わすものであればよい。
以上のように、レーザー振動計40と振動センサ42とA/D変換器44とコンピュータ46と任意波形発生器48とは、フィードバック系を構成しており、任意波形発生器48からの出力(当該出力に基づくサンプル8の振動と基板18の振動と)がレーザー振動計40と振動センサ42とに入力され、サンプル8の振動と基板18の振動とが前記測定条件を満たした所望の状態となるように、任意波形発生器48からの出力をコンピュータ46が制御するようになっている。なお、振動状態測定工程において、ステップS16の処理に進んでからも、ステップS3〜S15の処理を続け、基板18の振動を適宜調整するようにしてもよい。
なお、静止状態測定工程と振動状態測定工程とは、どちらを先に行ってもよい。また、静止状態測定工程および振動状態測定工程における前述の各ステップは、前述の通りの順序で行わなくてもよく、適宜順序を入れ替えることとしてもよい。
静止状態測定工程と振動状態測定工程とのそれぞれで磁歪特性が測定されると、静止状態測定工程で測定された磁歪特性と振動状態測定工程で測定された磁歪特性との平均を求める処理(平均処理)が行われる。具体的には、図3に示すように、静止磁歪波形aの振幅と振動磁歪波形bの振幅とを平均し、摩擦の影響が除去された平均磁歪波形cを求める。
なお、静止状態測定工程と振動状態測定工程とでは、同一条件で励磁コイル32(サンプル8)を励磁するとよい。換言すると、静止状態測定工程と振動状態測定工程とでは、図3に示すように、静止磁歪波形aと振動磁歪波形bとの周波数が一致するようにサンプル8を振動させる。さらに換言すると、静止磁歪波形aの上下のピーク位置(振動方向の切り替わるタイミング)がそれぞれ振動磁歪波形bの上下のピーク位置(振動方向の切り替わるタイミング)と一致するように、サンプル8を振動させる。さらに換言すると、静止磁歪波形aと振動磁歪波形bとの同期がとれ、静止磁歪波形aと振動磁歪波形bとを同位相とできるように、サンプル8を振動させる。
なお、平均処理は、静止状態測定工程の測定結果と振動状態測定工程の測定結果との平均を取ることにより、摩擦による測定誤差が低減された磁歪特性を求めるものであればよい。また、平均処理は、コンピュータ46で行うこととしてもよく、レーザー振動計40で行うこととしてもよく、レーザー振動計40の出力信号を取り扱い可能な別のコンピュータで行うこととしてもよい。
以上のように、本実施形態の磁歪測定装置10は、交流磁界中に置かれ一端部(第1端部8a)が固定されたサンプル8の他端部(第2端部8b)の変位を測定することにより、サンプル8の磁歪特性を測定する磁歪測定装置であって、サンプル8の底面が接触する基板18を備え、基板18が磁歪特性の測定方向に振動可能となっている。このような構成によれば、基板18を静止させた状態や基板を振動させた状態等の複数の状態で磁歪特性を測定し、これら複数の状態で測定される磁歪特性に基づいて摩擦の影響を除去することが可能となる。
また、磁歪測定装置10は、基板18の振動を制御するコンピュータ46を備え、コンピュータ46は、測定方向において、基板18の振動方向とサンプル8の変位の方向とが揃うように基板18の振動を制御する。したがって、基板18の振動方向とサンプル8の変位方向とを揃え、サンプル8の変位とサンプル8に加わる摩擦力との関係を整理することが容易となり、摩擦の影響を除去することが容易となる。
また、コンピュータ46は、測定方向において、基板18の振動速度がサンプル8の変位の速度よりも速くなるように基板18の振動を制御する。このため、基板18を振動させた状態において、磁歪によるサンプルの変形を助長する方向に安定的に摩擦力を加えることが可能となる。したがって、基板18を静止させ、磁歪によるサンプルの変形が阻害される方向に摩擦力が働く状態で測定したデータと、基板18を振動させ、磁歪によるサンプルの変形が助長される方向に摩擦力が働く状態で測定したデータとを測定し、これらの平均を求めて摩擦の影響を除去することが可能となる。
なお、磁歪によるサンプル8の変位は、図3に示すように、変位が最小となる点から最大となる点まで単調に増加し、変位が最大となる点から最小となる点まで単調に減少するようになるとは限らない。すなわち、サンプル8の磁歪特性に応じて、変位が最小となる点と最大となる点との間において、変位方向が切り替わることもある。このような場合であっても、コンピュータ46は、サンプル8の変位方向の切り替わり毎に基板18の振動方向も切り替わるように制御することが好ましい。
なお、基板18を動かす場合、磁歪によるサンプル8の変位を助長するためには、基板18の速度は磁歪による変位速度を上回る様に設定する必要がある。特に、サンプル8の伸び縮みの1周期全体にわたり、高精度での磁歪測定が必要とされる場合、磁歪による変位の助長を1周期全体にわたって必ず発生させることが好ましく、1周期において常に(1周期における各瞬間で)、基板の速度が磁歪による変位速度を上回る様に設定することが好ましい。ただし、必ずしも1周期において常に基板の速度が磁歪による変位速度を上回る様にしなければならないわけではない。すなわち、1周期において一部に基板の速度が磁歪による変位速度を下回る点があったとしても、基板静止状態での測定結果と基板振動状態での測定結果との平均を取ることにより、摩擦による測定誤差を低減させることはできる。また、基板18の速度が磁歪による変位速度を下回る状態で測定されたデータについては除外して平均処理を行うようにしてもよい。
また、基板18を振動させた状態での磁歪特性の測定は、複数回に分けて行ってもよい。例えば、基板18の振動方向および磁歪によるサンプル8の変位の方向が、クランプ26から遠ざかる方向(図2における右方向)となる場合と、基板18の振動方向および磁歪によるサンプル8の変位の方向が、クランプ26に近づく方向(図2における左方向)となる場合と、で別々に磁歪特性を測定し、これらを合成して基板振動状態での測定結果を取得することとしてもよい。このように測定を分けることで、磁歪によるサンプル8の変位の方向の切り替わりタイミングと基板18の振動方向の切り替わりタイミングとを一致させる必要等が無くなり、基板18の速度を、磁歪による変位速度を上回った状態に保つことが容易となる。
また、基板18を振動させた状態での磁歪特性の測定について、基板18の振動とサンプル8の変位とを同期させなくてもよい(同一周波数としなくてもよい)。例えば、サンプル8に一定の交流磁界を加えるとともに、基板18をランダムに振動させ(サンプル8の変位との同期をとらずに振動させ)、基板18の振動方向とサンプル8の変位方向とが同一となり、基板18の振動速度がサンプル8の変位速度を上回る点のデータを抽出して、振動磁歪波形b等の、磁歪によるサンプルの変形が助長される方向に摩擦力が働く状態でのデータを取得することとしてもよい。
なお、クーロン摩擦では、滑り速度は摩擦力の大きさに関与しないので、磁歪を測定する瞬間において基板18の振動速度がサンプル8の変位速度を上回っていれば基板18の振動波形は任意とすることができる。例えば、図3においては、基板振動波形(振動状態波形e)を三角波としているが、サンプル8の振動磁歪波形bの振幅を大きくした波形が基板振動波形(振動状態波形e)となるようにしてもよい。
本実施の形態の磁歪測定装置10の変形例を図6、図7に示す。ここで、図6、図7に示す変形例において、磁歪測定装置10は、駆動装置60を備える。駆動装置60は、基板18を振動させる装置である。駆動装置60は、例えば、基板18の振動を制御する制御装置46と基板18を振動させる加振器28とを備える。なお、ここで制御装置46は、前述のようにフィードバックループによって、サンプル8や基板18の実際の振動を参照して基板18の振動を制御してもよいが、サンプル8や基板18の実際の振動を参照せずに振動を制御してもよい。
図6に示す第1変形例では、基板18は、X方向における両端部が、基板支持部材24,24によって下方から支持されている。また、基板支持部材24は、軸がY方向に延びる円柱状となっており、外周面が基板18に接している。すなわち、基板支持部材24は、基板18に接する曲面を有している。また、基板18には、駆動装置60が接続されている。そして、駆動装置60が、基板18をX方向に振動させるようになっている。
なお、基板支持部材24は、基板18のX方向への移動に伴い、軸を中心として周方向に回転するようになっていてもよい。
図7に示す第2変形例では、駆動装置60は、ベルトに接続されている。また、駆動装置60は、ベルトを回転させることが可能になっている。第2変形例においては、サンプル8は、ベルト上に配置される。すなわち、ベルト(ベルトの上面)が、基板18として機能するようになっている。そして、ベルトの回転によって、基板18がX方向に動くようになっている。具体的には、ベルトが所定方向に回転すると、基板18がX方向において、クランプ26から離れる方向に動き、ベルトが逆方向に回転すると、基板18がX方向において、クランプ26に近づく方向に動くようになっている。すなわち、ベルトの回転方向の切り替えによって、基板18の振動が実現されるようになっている。
なお、ベルトの上にベルトとは別体の基板18を配置することとしてもよい。
なお、前述した実施形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。したがって、本発明は前述の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各構成要素を置換、削除する等、変更することが可能である。
8 サンプル(板状材料)
10 磁歪測定装置
18 基板
46 コンピュータ(制御装置)

Claims (6)

  1. 交流磁界中に置かれ一端部が固定された板状材料の他端部の変位を測定することにより、前記板状材料の磁歪特性を測定する磁歪測定装置であって、
    前記板状材料の底面が接触する基板を備え、
    前記基板が磁歪特性の測定方向に振動可能であることを特徴とする磁歪測定装置。
  2. 前記基板の振動を制御する制御装置を備え、
    前記制御装置は、前記測定方向において、前記基板の振動方向と前記板状材料の前記変位の方向とが揃うように前記基板の振動を制御することを特徴とする請求項1に記載の磁歪測定装置。
  3. 前記制御装置は、前記測定方向において、前記基板の振動速度が前記板状材料の前記変位の速度よりも速くなるように前記基板の振動を制御することを特徴とする請求項2に記載の磁歪測定装置。
  4. 交流磁界中に置かれ一端部が固定された板状材料の他端部の変位を測定することにより、前記板状材料の磁歪特性を測定する磁歪測定方法であって、
    前記板状材料の底面を基板に接触させ、前記基板を静止させた状態で磁歪特性を測定する静止状態測定工程と、
    前記板状材料の底面を前記基板に接触させ、前記基板を磁歪特性の測定方向に振動させた状態で磁歪特性を測定する振動状態測定工程と、
    前記静止状態測定工程で測定された磁歪特性と、前記振動状態測定工程で測定された磁歪特性との平均を求める工程とを含むことを特徴とする磁歪測定方法。
  5. 前記振動状態測定工程では、前記測定方向において、前記基板の振動方向と前記板状材料の前記変位の方向とが揃うように前記基板を振動させることを特徴とする請求項4に記載の磁歪測定方法。
  6. 前記振動状態測定工程では、前記測定方向において、前記基板の振動速度が前記板状材料の前記変位の速度よりも速くなるように前記基板を振動させることを特徴とする請求項5に記載の磁歪測定方法。
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