JP2011169736A - 交流磁歪の測定装置および測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】フリーな状態の板状被測定材料の交流磁歪を、簡便かつ容易に測定することができる交流磁歪の測定装置と、その装置を用いた磁歪の測定方法を提案する。
【解決手段】
交流磁界中に置かれた板状被測定材料の2標点間の長さの周期的な相対変化量から交流磁歪を測定する交流磁歪の測定方法において、水平方向に対して10〜90°の角度に傾斜した上面が平面かつその下方端部に突起を有する試料台上に被測定材料を載置し、被測定材料自体の自重でその下端を上記突起に当接させた状態とし、そのときの被測定材料の下端を上記2標点のうちの1つとして用いることを特徴とする交流磁歪の測定方法
【選択図】図1
【解決手段】
交流磁界中に置かれた板状被測定材料の2標点間の長さの周期的な相対変化量から交流磁歪を測定する交流磁歪の測定方法において、水平方向に対して10〜90°の角度に傾斜した上面が平面かつその下方端部に突起を有する試料台上に被測定材料を載置し、被測定材料自体の自重でその下端を上記突起に当接させた状態とし、そのときの被測定材料の下端を上記2標点のうちの1つとして用いることを特徴とする交流磁歪の測定方法
【選択図】図1
Description
本発明は、方向性電磁鋼板や無方向性電磁鋼板等の多結晶あるいは単結晶の板状磁性材料の交流磁歪の測定装置と、その測定方法に関するものである。
磁界中に置かれた材料を磁化すると、材料の結晶方位により形状が変化して歪が生じる。一般に、この歪のことを磁歪という。また、磁界が周期的に変化する交流磁界中では、材料に生じる磁歪も周期的に変動し、このときの磁歪変動を交流磁歪という。変圧器やリアクトル、モータ等、磁性材料を交流磁界中で磁化して使用する電気機器においては、上記交流磁歪が電気機器の騒音や振動を引き起こす原因となることが知られている。そのため、磁性材料の交流磁歪は、電気機器の騒音や振動を低減する上で、材料を選択する際の評価項目の1つとなっている。
交流磁歪の測定は、従来、被測定材料にストレインゲージなどのセンサーを貼り付けて、センサーにかかる歪量を電気信号に変換したり、被測定材料に固定した治具を介して交流磁歪による振動を差動トランスに導き、これを電気信号に変換したり、あるいはレコード針と同様の機構を持つピックアップを用いて針を材料に接触させ、圧電素子により材料表面の振動を電気信号に変換したりする方法などによって行われてきた。また、近年では、レーザードップラー振動計を用いて、非接触で交流磁歪を測定する方法も開発されている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、磁歪は材料に加わる応力によっても変化することが知られている。そのため、被測定材料に、測定する歪の方向(測定方向)に応力を付加した状態で交流磁歪を測定することがある。このような応力を付加した状態での磁歪の測定は、通常、被測定材料の一部を板厚方向に締付けて固定した状態で行われる。また、応力を付加しない場合でも、磁歪を測定する2標点の内の1方を固定するために、被測定材料の一部を板厚方向に締付けることがある。しかし、被測定材料の一部を締付けると、被測定材料の磁歪に影響を与えてしまうため、締付けない状態での磁歪を正しく評価できないという問題があった。
なお、特許文献1および特許文献2には、被測定材料の一部を上記のように固定することなく、2標点間の相対変化量を測定する交流磁歪の測定方法が開示されている。しかし、これらの方法は、標点位置の変動を検出する測定機器(反射器等)が2個必要となるため、測定結果の解析が複雑化し、装置自体も複雑化するという問題があった。
上記のように、従来技術の交流磁歪測定方法では、被測定材料内の2標点のうちの一方を締付けて測定する場合には、フリーな状態での被測定材料の磁歪を正しく評価できなかったり、また、被測定材料を固定しないで測定する場合でも、2標点間の相対変化量の測定や解析が複雑で、測定装置自体も複雑なものとなる、といった問題があった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、フリーな状態の板状被測定材料の交流磁歪を、容易にかつ精度よく測定可能な交流磁歪の測定装置を提供するとともに、その装置を用いた交流磁歪の簡便な測定方法を提案することにある。
上記目的をもって開発された本発明は、交流磁界中に置かれた板状被測定材料の2標点間の長さの周期的な相対変化量から交流磁歪を測定する交流磁歪の測定装置において、水平方向に対して10〜90°の角度に傾斜可能で、上面が平面かつその傾斜時における下方端部に突起を有する試料台を有してなり、上記試料台上に載置した被測定材料自体の自重で上記突起に当接させた被測定材料の下端を、上記2標点のうちの1つとして用いることを特徴とする交流磁歪の測定装置である。
また、本発明は、交流磁界中に置かれた板状被測定材料の2標点間の長さの周期的な相対変化量から交流磁歪を測定する交流磁歪の測定方法において、上面が平面かつその傾斜時における下方端部に突起を有する試料台上に被測定材料を載置し、水平方向に対して10〜90°の角度に傾斜させて被測定材料自体の自重でその下端を上記突起に当接させた状態とし、そのときの被測定材料の下端を上記2標点のうちの1つとして用いることを特徴とする交流磁歪の測定方法を提案する。
また、本発明の交流磁歪の測定方法は、上記被測定材料の上に平板状重しを重ねて測定することを特徴とする。
本発明によれば、板状被測定材料の交流磁歪の測定を、被測定材料を締付けることなく、従って、締付けによる磁歪への悪影響を除去した状態で、しかも、簡便な測定方法かつコンパクトな測定装置で、精度よく測定することが可能となる。
以下、本発明の交流磁歪の測定装置と測定方法について説明する。
図1は、本発明の交流磁歪測定装置の基本構成を示した模式図である。図1において、1は被測定材料、2は被測定材料を上面に載置する試料台である。この試料台2は、傾斜角θを10°〜90°の範囲で可動できる、つまり、被測定材料の磁歪測定方向4を、水平方向5に対して傾斜角θ:10°〜90°の範囲で可動できる構造となっている。また、この試料台2の上面は平滑な平面からなり、傾斜させたときの上面下端には突起3が設けられており、試料台を傾斜させた際には、試料台上面に載置された被測定材料1が自重で降下し、その下端が突起3に当接するようになっている。なお、図1では、説明の都合上、試料台2と突起3は、被測定材料1と分離して記載してあるが、実際にはこれらは接触している。ここで、上記測定方向4と水平方向5との角度(傾斜角θ)を10゜以上としたのは、10゜未満では、被測定材料を試料台2上に設けた突起3に自重で当接させるのが難しくなるからである。
図1は、本発明の交流磁歪測定装置の基本構成を示した模式図である。図1において、1は被測定材料、2は被測定材料を上面に載置する試料台である。この試料台2は、傾斜角θを10°〜90°の範囲で可動できる、つまり、被測定材料の磁歪測定方向4を、水平方向5に対して傾斜角θ:10°〜90°の範囲で可動できる構造となっている。また、この試料台2の上面は平滑な平面からなり、傾斜させたときの上面下端には突起3が設けられており、試料台を傾斜させた際には、試料台上面に載置された被測定材料1が自重で降下し、その下端が突起3に当接するようになっている。なお、図1では、説明の都合上、試料台2と突起3は、被測定材料1と分離して記載してあるが、実際にはこれらは接触している。ここで、上記測定方向4と水平方向5との角度(傾斜角θ)を10゜以上としたのは、10゜未満では、被測定材料を試料台2上に設けた突起3に自重で当接させるのが難しくなるからである。
また、図1では、交流磁界を発生させる励磁コイルや、磁束密度信号を検出するサーチコイル、交流磁歪を測定する振動計の記載を省略しているが、交流磁界を与える方法は、交流磁界を付与できる方法であれば特に制限はなく、例えば、励磁コイルを被測定材料の周囲のみに巻き付ける方法や、ヨークを付け加えて磁気回路を閉じて、励磁コイルをそのヨークおよび被測定材料のそれぞれの周囲に巻き付ける方法等、通常公知の方法を採用することができる。なお、励磁する波形は、周期的であればよく、必ずしも正弦波にする必要はない。
また、交流磁歪を測定する方法も、振動を測定できる方法であれば特に制限はなく、例えば、触針を被測定材料に接触させて測定する方法や、レーザードップラー振動を用いて非接触で測定する方法等を採用することができる。
また、交流磁歪を測定する方法も、振動を測定できる方法であれば特に制限はなく、例えば、触針を被測定材料に接触させて測定する方法や、レーザードップラー振動を用いて非接触で測定する方法等を採用することができる。
図1の装置を用いた交流磁歪の測定は、磁歪を測定する被測定材料1を、傾斜角θ:10°〜90°の範囲で傾斜させた試料台2の上平面上に載置し、被測定材料1を自重で上面上を降下させ、その下端を上面下端に設けられた突起3に当接させ、この状態において、被測定材料中の2標点間の長さの周期的な相対変化量を図示されていない振動計で測定し、これを交流歪に変換することで行う。
ここで、本発明の交流磁歪の測定方法において重要なことは、突起に当接した被測定材料の下端を上記2標点のうちの1つとして用いることである。これにより、もう1つの標点における振動を測定するだけで、したがって、1つの振動計だけで磁歪の測定を行うことが可能となるので、測定方法が簡便となり、さらに、測定結果を解析して交流磁歪に変換する処理も簡単となるので、測定装置をコンパクトなものとすることができる。
なお、本発明では、磁歪を測定する被測定材料を板状のものに限定しているが、その理由は、通常、交流磁界中で鉄心等の用途に用いられる材料は、渦電流による鉄損の増加を抑制するために薄い板状とし、これを積層して用いることが多いからである。また、板状材料の場合、交流磁歪の測定は、通常、1枚の材料で行われるが、本発明の装置および方法であれば、鉄心を模して2枚以上重ねて測定することも可能である。
また、図1では、被測定材料1は、試料台2の上にフリーな状態で載置されているが、被測定材料1の板厚方向の振動(測定方向4と垂直方向の振動)を防止するために、被測定材料の上に、平板状の重しを重ねてもよい。本発明の測定方法では、被測定材料の磁歪測定方向が水平方向と10゜〜90゜の角度θを有しているため、自重による被測定材料の板厚方向の振動抑制力が弱くなっているので、被測定材料の上に平板状の重しを置くことは、板厚方向の振動による外乱を防止するのに効果的である。
また、本発明の測定装置では、被測定材料を載置する試料台および被測定材料の上に重ねる平板状重しは、絶縁体かつ非磁性材料で構成され、かつ試料台は剛性材であることが必要である。ここでいう剛性材とは、被測定材料およびその上に重ねる平板状重しの荷重により平面性を失わない程度の剛性を持つ材料という意味である。試料台および平板状重しは、単体の材料で作られていることが望ましいが、複合材であっても、また、試料台の一部がヨークとなっていても、上記特性を満たすものであれば構わない。
なお、本発明では、被測定材料に応力を付加しないフリーな状態で測定することを基本としているが、例えば、被測定材料のフリーな側端部に錘を付けて試料台を傾斜させる等の方法で測定方向に圧縮応力を付加した状態での交流磁歪の測定も可能である。ただし、引張応力を付加した状態での交流磁歪の測定は不可能である。
厚さ:0.27mm、幅:100mm、長さ:300mmの方向性電磁鋼板を被測定材料とし、図2に示した構造の交流磁歪測定装置(交流磁界を発生させる励磁コイルおよび磁束密度信号を検出するサーチコイルの記載は省略)を用いて、周波数:50Hz、磁束密度:1.7Tで励磁したときの交流磁歪を以下に示す1〜4の測定条件で測定した。なお、磁歪の測定方向は、被測定材料の長手方向であり、磁気回路を閉じるために被測定材料の長手方向両端部に位置する試料台の両側2ヶ所でヨークと接触させた。また、交流磁歪は、Peak−Peak値で評価した。
<測定条件1>
図2に示したように、被測定材料1を水平状態(傾斜角θ:0°)の試料台2の上面に載置し、被測定材料中の標点A(図中の7)と標点B(図中の8)における振動を、2台の触針接触式の振動計9、9´を用いて測定し、交流磁歪に変換した。
<測定条件2>
図3に示したように、被測定材料1を水平状態(傾斜角θ:0°)の試料台2の上面に載置し、被測定材料1の一端を試料台上面の突起3に当接し、この部分を上から固定具10で締付けて固定し、固定具の締付けからフリーとなる部分(図中の7)を標点Aとし、標点B(図中の8)における振動を、触針接触式の振動計9で測定し、交流磁歪に変換した。
<測定条件3,4>
図4に示したように、試料台2の測定方向と水平方向との角度(傾斜角θ)を20゜および50゜とし、試料台の上に載置した被測定材料1の下端を、試料台上面下端に設けた突起3に自重で当接させ、上記突起3と当接した被測定材料の下端を標点Aとし、標点Bにおける振動を触針接触式の振動計9で測定し、交流磁歪に換算した。
<測定条件5,6>
図4に示したように、試料台2の測定方向と水平方向との角度(傾斜角θ)を70゜とし、試料台の上に載置した被測定材料1の下端を、試料台上面下端に設けた突起3に自重で当接させた状態(測定条件5)と、さらに、被測定材料の上に、厚さ2mmの樹脂製の平板状重しを載せた状態(測定条件6)において、上記突起3と当接した被測定材料の下端を標点Aとし、標点Bにおける振動を触針接触式の振動計9で測定し、交流磁歪に換算した。
図2に示したように、被測定材料1を水平状態(傾斜角θ:0°)の試料台2の上面に載置し、被測定材料中の標点A(図中の7)と標点B(図中の8)における振動を、2台の触針接触式の振動計9、9´を用いて測定し、交流磁歪に変換した。
<測定条件2>
図3に示したように、被測定材料1を水平状態(傾斜角θ:0°)の試料台2の上面に載置し、被測定材料1の一端を試料台上面の突起3に当接し、この部分を上から固定具10で締付けて固定し、固定具の締付けからフリーとなる部分(図中の7)を標点Aとし、標点B(図中の8)における振動を、触針接触式の振動計9で測定し、交流磁歪に変換した。
<測定条件3,4>
図4に示したように、試料台2の測定方向と水平方向との角度(傾斜角θ)を20゜および50゜とし、試料台の上に載置した被測定材料1の下端を、試料台上面下端に設けた突起3に自重で当接させ、上記突起3と当接した被測定材料の下端を標点Aとし、標点Bにおける振動を触針接触式の振動計9で測定し、交流磁歪に換算した。
<測定条件5,6>
図4に示したように、試料台2の測定方向と水平方向との角度(傾斜角θ)を70゜とし、試料台の上に載置した被測定材料1の下端を、試料台上面下端に設けた突起3に自重で当接させた状態(測定条件5)と、さらに、被測定材料の上に、厚さ2mmの樹脂製の平板状重しを載せた状態(測定条件6)において、上記突起3と当接した被測定材料の下端を標点Aとし、標点Bにおける振動を触針接触式の振動計9で測定し、交流磁歪に換算した。
上記交流磁歪の測定条件および測定結果を表1に示した。この結果から、試料台上に被測定材料を載置し、2標点A,Bにおける振動を測定して交流磁歪を算出する場合(測定条件1)と、被測定材料の1端を固定し、標点Bにおける振動を測定して交流磁歪を算出する場合(測定条件2)とでは、交流磁歪の測定値に10%以上の違いがあることがわかる。
一方、本発明の条件(測定条件3〜6)で測定した場合には、交流磁歪の測定値は、2標点A,Bで測定した測定条件1の測定値とほとんど差はなく、しかも、測定値が安定していることがわかる。
一方、本発明の条件(測定条件3〜6)で測定した場合には、交流磁歪の測定値は、2標点A,Bで測定した測定条件1の測定値とほとんど差はなく、しかも、測定値が安定していることがわかる。
1:被測定材料
2:試料台
3:試料台上面に設けた突起
4:測定方向
5:水平方向
6:ヨーク
7:標点A
8:標点B
9,9´:振動計
10:固定具
2:試料台
3:試料台上面に設けた突起
4:測定方向
5:水平方向
6:ヨーク
7:標点A
8:標点B
9,9´:振動計
10:固定具
Claims (3)
- 交流磁界中に置かれた板状被測定材料の2標点間の長さの周期的な相対変化量から交流磁歪を測定する交流磁歪の測定装置において、水平方向に対して10〜90°の角度に傾斜可能で、上面が平面かつその傾斜時における下方端部に突起を有する試料台を有してなり、上記試料台上に載置した被測定材料自体の自重で上記突起に当接させた被測定材料の下端を、上記2標点のうちの1つとして用いることを特徴とする交流磁歪の測定装置。
- 交流磁界中に置かれた板状被測定材料の2標点間の長さの周期的な相対変化量から交流磁歪を測定する交流磁歪の測定方法において、上面が平面かつその傾斜時における下方端部に突起を有する試料台上に被測定材料を載置し、水平方向に対して10〜90°の角度に傾斜させて被測定材料自体の自重でその下端を上記突起に当接させた状態とし、そのときの被測定材料の下端を上記2標点のうちの1つとして用いることを特徴とする交流磁歪の測定方法。
- 上記被測定材料の上に平板状重しを重ねて測定することを特徴とする請求項2に記載の交流磁歪の測定方法。
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JP2010033617A JP2011169736A (ja) | 2010-02-18 | 2010-02-18 | 交流磁歪の測定装置および測定方法 |
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Cited By (3)
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---|---|---|---|---|
CN104407052A (zh) * | 2014-12-08 | 2015-03-11 | 中国特种设备检测研究院 | 基于磁致伸缩超声导波检测技术检测炉管缺陷的方法 |
JP2021110693A (ja) * | 2020-01-15 | 2021-08-02 | 日本製鉄株式会社 | 磁歪測定装置および磁歪測定方法 |
CN114114107A (zh) * | 2022-01-26 | 2022-03-01 | 山东理工大学 | 一种磁致伸缩微小形变量测量实验装置 |
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2010
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