JP2009163198A - 揺動体装置の製造方法、光偏向器、画像形成装置 - Google Patents

揺動体装置の製造方法、光偏向器、画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】揺動板の駆動部を含む周辺部に損傷を与えず、精度良く揺動板の質量を調整することができ、揺動体装置を製造することが可能となる揺動体装置の製造方法等を提供する。
【解決手段】揺動板を該ねじり軸まわりに共振周波数で駆動する揺動体装置の製造方法であって、
前記揺動板として、該揺動板に延設部を形成し、該延設部の一部をレーザー光の照射により切断することによって該揺動板の質量を調整する延設部による周波数調整工程と、
前記揺動板を固定基盤に固定する揺動体部組立工程と、
前記揺動板を駆動させる駆動部を固定基盤に固定する駆動部組立工程と、
を有し、少なくとも、前記各工程中における前記駆動部組立工程を、前記延設部による周波数調整工程の後に実施する。
【選択図】 図8

Description

本発明は、揺動体装置の製造方法、光偏向器、画像形成装置に関する。
例えば、光の偏向走査によって画像を投影するプロジェクションディスプレイ、電子写真プロセスを有するレーザービームプリンタ、デジタル複写機等の画像形成装置に好適に利用可能な揺動体装置を用いた光偏向器が実現できる技術に関するものである。
従来から、半導体プロセスによってウエハから製造される微小機械部材はマイクロメータオーダの加工が可能であり、これらを用いて様々な微小機能素子が実現されている。
例えば、このような技術によって形成される可動子(揺動板)をねじり振動し、該可動子(揺動板)の共振現象を利用したアクチュエータ(揺動体装置)として、種々の提案がなされている。
特に、このような可動子(揺動板)の上に光偏向素子である反射面を配置し、該可動子(揺動板)の共振現象を利用して光走査を行う光偏向器は、従来のポリゴンミラー等の回転多面鏡を使用した光走査光学系に比べ、次のような利点を有している。
すなわち、光偏向器を小型化することが可能であること、半導体プロセスによって製造されるシリコン単結晶からなる光偏向器は理論上金属疲労が無く耐久性にも優れていること、消費電力が少ないこと、等の特徴がある。
特に、上記可動子(揺動板)のねじり振動の固有振動モードの周波数付近で駆動することにより、低消費電力とすることができる。
しかしながら、一方では、このような共振現象を利用した光偏向器においては、製造過程において生じる寸法誤差等により、個々アクチュエータ間における固有振動モードの周波数である共振周波数にばらつきを生じる。
したがって、このような個々のアクチュエータ間における共振周波数のばらつきは、好ましくないことから、共振周波数を調整する必要が生じる。
また、アクチュエータを使用する上で、動作(駆動)周波数である基準周波数が所定の値に定められている場合においては、固有振動モードの周波数と基準周波数との間で不一致が生じる。
したがって、このようなアクチュエータにより構成された光偏向器においては、上記固有振動モードの周波数と基準周波数との不一致が、可動子の振れ角のばらつきの原因となる。
光偏向器を用いたレーザービームプリンタ等の電子写真プロセスにおいては、レーザ光を感光体上で走査することによって画像を形成する。
したがって、画像の縦横比を安定させ、画質の劣化を抑制するためには、感光体の回転速度に対応させる上で、上記光偏向器における可動子の振れ角のばらつきをなくすため、光偏向器の共振周波数を所定の値に調整する必要が生じる。
従来において、上記のような共振周波数の調整を可能としたアクチュエータとして、特許文献1では、次のようなプレーナ型ガルバノミラーが提案されている。
この技術では、図20に示す様に、ねじり軸に揺動可能に弾性支持された反射面とコイルを有する可動板の両端に質量負荷部3001、3002を形成したプレーナ型ガルバノミラーが用いられる。
そして、このガルバノミラーの質量負荷部3001、3002にレーザー光を照射することで、質量を除去し、慣性モーメントを調整して周波数を所定の値にする。
そして、このミラーは、可動板3003の両側に永久磁石3004、3005が配置され、可動板3003に形成された平面コイルに通電すると、トーションバー3006、3007を回転中心として回転するムービングコイル型の駆動機構が構成されている。
特開2002−40355号公報
上記したように、共振現象を利用したアクチュエータにおいては、低消費電力化を図る上で可動子(揺動板)を固有振動モードの周波数付近で駆動することが望まれることから、共振周波数を調整する必要が生じる。
また、このようなアクチュエータにより構成された光偏向器を用いた画像形成装置においては、画像の縦横比を安定させ、画質の劣化を抑制するために、光偏向器の共振周波数を所定の値に調整する必要が生じる。
しかしながら、上記従来例のものにおいては、これらの共振周波数を所定の値に調整する上で、つぎのような課題を有している。
上記特許文献1のものにおいては、慣性モーメントを調整するため、ガルバノミラーの質量負荷部にレーザー光を照射し質量を除去するに際し、該レーザー光により、揺動板を駆動するために設けられた平面コイルを含む駆動部を損傷させてしまうこととなる。
また、上記特許文献1でのムービングコイル型に代え、ムービングマグネット型とした場合においても、可動板の周辺にコイルを設けることが必要となることから、レーザー加工時に、同様に、コイルを含む駆動部に損傷させてしまうこととなる。
本発明は、上記課題に鑑み、揺動板の駆動部を含む周辺部に損傷を与えず、精度良く揺動板の質量を調整することができ、揺動体装置を製造することが可能となる揺動体装置の製造方法、光偏向器、画像形成装置の提供を目的とする。
本発明は、つぎのように構成した揺動体装置の製造方法、光偏向器、画像形成装置を提供するものである。
本発明の揺動体装置の製造方法は、
固定部に対し、支持部によってねじり軸まわりに揺動可能に支持された揺動板を備え、該揺動板を該ねじり軸まわりに共振周波数で駆動する揺動体装置の製造方法であって、
前記揺動板の質量を調整するに際し、前記揺動板として、該揺動板に延設部を形成し、該延設部の一部をレーザー光の照射により切断することによって該揺動板の質量を調整する延設部による周波数調整工程と、
前記揺動板を固定基盤に固定する揺動体部組立工程と、
前記揺動板を駆動させる駆動部を固定基盤に固定する駆動部組立工程と、
を有し、少なくとも前記各工程中における前記駆動部組立工程を、前記延設部による周波数調整工程の後に実施することを特徴とする。
また、本発明の揺動体装置の製造方法は、前記揺動板の質量を調整するに際し、前記揺動板の領域に溝部を形成し、該溝部の形成によって該揺動板の質量を調整する溝部による周波数調整工程を有することを特徴とする。
また、本発明の揺動体装置の製造方法は、前記各工程中において、前記延設部による周波数調整工程及び前記溝部による周波数調整工程が終了した後に、少なくとも前記駆動部を固定する工程を実施することを特徴とする。
また、本発明の揺動体装置の製造方法は、前記各工程中において、前記延設部による周波数調整工程の終了後、前記溝部による周波数調整工程の終了前に、少なくとも前記駆動部を固定する工程を実施することを特徴とする。
また、本発明の揺動体装置の製造方法は、前記各工程中において、前記揺動体部組立工程の終了後、前記駆動部組立工程の終了前に、少なくとも前記延設部による周波数調整工程を実施することを特徴とする。
また、本発明の揺動体装置の製造方法は、前記揺動板が、第1揺動板と第2揺動板とにより、前記ねじり軸まわりに少なくとも2つの固有振動モードの周波数を有する構造を備えていることを特徴とする。
また、本発明の揺動体装置の製造方法は、前記揺動板の共振周波数を調整するに際し、前記揺動板のねじり軸まわりの固有振動モードの周波数を検出し、
前記検出された周波数と所定の共振周波数との差に基づいて、前記揺動板の慣性モーメントの調整量を決定することを特徴とする。
また、本発明の揺動体装置の製造方法は、前記揺動板の慣性モーメントの調整量に基づいて、前記溝部の幅、前記溝部の深さ及び前記溝部の本数、の少なくともいずれか一つを決定することを特徴とする。
また、本発明の揺動体装置の製造方法は、前記溝部が、レーザー光の照射により、前記ねじり軸に対し直交する方向に、前記揺動板または前記延設部の一方の辺から他方の辺に亙って形成されることを特徴とする。
また、本発明の揺動体装置の光偏向器は、上記したいずれかに記載の揺動体装置の製造方法によって製造された揺動体装置と、該揺動体装置における前記揺動体の上に配置された光偏向素子と、を有することを特徴とする。
また、本発明の光学機器は、光源と、感光体または画像表示体と、上記した光偏向器と、を有し、前記光源からの光を前記光偏向器により偏向し、前記光の少なくとも一部を、前記感光体または前記画像表示体上に入射することを特徴とする。
本発明によれば、揺動板の駆動部を含む周辺部に損傷を与えず、精度良く揺動板の質量を調整することができ、揺動体装置を製造することが可能となる揺動体装置の製造方法、光偏向器、画像形成装置を実現することができる。
本発明は、上記した構成により、揺動板の駆動部を含む周辺部に損傷を与えず、精度良く揺動板の質量を調整することができ、揺動体装置を製造することが可能となるが、それは本発明者らのつぎのような知見に基づくものである。
すなわち、揺動板をねじり軸まわりに共振周波数で駆動する揺動体装置の製造に際し、周波数調整のために貫通を伴う加工用レーザーの加工を要する場合、
このような周波数調整工程の後に、駆動部の組立工程を実施するようにすることで、加工用レーザーによる駆動部の損傷を回避することが可能になるということが見出されたことによるものである。
本発明においては、周波数の調整に際して、つぎの二つの周波数調整工程が用いられる。
一つは、前記揺動板の質量を調整するに際し、揺動板の領域に溝部を形成し、該溝部の形成によって該揺動板の質量を調整する溝部による周波数調整工程である。
他の一つは、前記揺動板の質量を調整するに際し、前記揺動板として、該揺動板にねじり軸と平行な方向に延びる延設部を形成し、該延設部の一部を切断することによって該揺動板の質量を調整する延設部による周波数調整工程である。
本発明においては、延設部による周波数調整工程のように、加工部に貫通を伴う加工用レーザーを用いた加工によって周波数を調整する工程が用いられる。
その際、少なくとも、前記各工程中における前記駆動部組立工程を、前記延設部による周波数調整工程の後に実施するようにすることにより、加工用レーザーによって駆動部に損傷を与えることなく、揺動体装置の組立を可能としたものである。
つぎに、本発明の実施形態における揺動体装置の製造方法について説明する。まず、揺動体装置の周波数の調整を、上記した溝部による周波数調整工程を用いて調整する場合の一例について説明する。
図1に、本実施形態における溝部による周波数調整工程を説明するための図を示す。
図1において、100は揺動体装置、101は揺動板、102は弾性支持部、103は固定部、104は永久磁石である。
本実施形態の揺動体装置において、揺動板101は弾性支持部102により固定部103に支持されている。
揺動板101はねじり軸Aに平行な辺、101aおよび101bを有する。
弾性支持部102は、揺動板101をA軸中心に弾性的に、ねじり振動自在に支持している。
揺動体装置100は、ねじり軸Aまわりにねじり振動の固有振動モードを有する。
その周波数fは、

f=1/(2・π)・√(2・K/I) (式1)

で表される。
ここで、Kは弾性支持部102のねじり軸Aまわりのねじりバネ定数、Iは揺動板101のねじり軸Aまわりの慣性モーメントを示している。
また、揺動板101には永久磁石104が設置されている。
永久磁石104は、図の長軸方向に着磁されている。そして、図示しない電磁コイルにより、交流磁界を印加し、トルクを発生することができる。
交流磁界の周波数を固有振動モードの周波数f付近とすることにより、共振現象を利用した揺動を行うことが可能となる。
以上のような揺動体装置を製造するに際し、以下に示す方法により、慣性モーメントを調整することで、固有振動モードの周波数を高精度に調整することができる。
まず、揺動体装置100を駆動し、固有振動モードの周波数fを検出する。
周波数fを検出する方法として、例えば、電磁コイルに印加する交流磁界の周波数をスイープし、駆動波形検出手段により、揺動体装置100のねじれ方向の振動の振幅を検出し、振幅が最大となる交流磁界の周波数を、固有振動モードの周波数fとする等がある。
このような測定手段によって測定された固有振動モードの周波数と調整目標値との差から、上記(式1)の関係を用いて、必要な慣性モーメント調整量を算出する。
以上のように算出された前記揺動板の慣性モーメントの調整量に基づいて、前記溝部の幅、前記溝部の深さ及び前記溝部の本数、の少なくともいずれか一つを決定し、つぎのように慣性モーメントが調整可能となる溝部を前記揺動板の領域に形成する。
図2に、上記慣性モーメントが調整可能となる溝部を揺動板に形成する工程を説明する図を示す。
図2(a)は揺動板に直線の溝部を形成した構成を示す図であり、図2(b)は図2(a)のB−B断面図である。
本実施形態において、前記溝部は前記ねじり軸に対し直交する方向に、前記揺動板の一方の辺から他方の辺に亙って形成される。
具体的には、図2に示すように、揺動板101のねじり軸Aに平行な辺101aから辺101bまで、加工用レーザー光の照射により直線の溝部105を形成する。
特に、揺動体装置100を半導体製造プロセスによって製造した場合、その形状は非常に高精度、例えば±1μm以下に作製可能であるため、辺101aから辺101bまで連続的に加工することで精度が高い慣性モーメントの調整が可能となる。
比較例として、図3に示すように、揺動板の特定の部分106の質量を除去した場合について説明する。
揺動板101のねじり軸Aまわりの慣性モーメントの調整量Itは、

It=m・l2 (式2)

で表される。
ここで、mは除去した質量、lはねじり軸Aと除去部の重心との距離である。
上記(式2)に示されるように、
慣性モーメントの調整量Itは距離lの2乗に比例するため、精度良く慣性モーメントを調整しようとした場合、加工点を非常に精度良く調整する必要がある。
つまり、加工用レーザー光を偏光する偏光器の精度や、揺動体装置を動かすステージ精度が厳しく管理されなければならず、加工装置の高価格化や加工速度の低下が避けられない。
つぎに、本実施形態における揺動板101に溝部を形成する方法の一例について説明する。図4にその方法を説明する図を示す。
揺動体装置100はステージ401上に設置される。レーザー光源402は加工用レーザー光403が揺動板101に焦点が合うように設置され、ステージ401により揺動板101が矢印方向に移動することにより、揺動板101の辺101aから辺101bまで連続的に溝部を形成できる。
加工による慣性モーメントは、辺101aおよび辺101bが揺動板101のねじり軸Aに平行である。
そのため、紙面に法線方向のステージの位置誤差の影響は受けず、かつ、揺動板101の辺から辺まで加工するため、ステージ401の進行方向ステージの位置誤差の影響は受けない。
よって、慣性モーメントの調整精度は揺動板101の形状精度にのみ感度があり、ステージ401の位置精度によらない。
これにより、低精度、高速駆動のステージを使うことが可能となり、装置の低価格化、加工速度の向上が可能となる。加工位置の移動をステージで行ったが、加工用レーザー光403を光偏光器等で走査する場合も同様の効果が得られる。
以上の溝部による周波数調整工程によれば、加工装置の位置決め精度に依存しない加工によって、揺動板に慣性モーメントの調整が可能となる溝部を形成することで、固有振動モードの周波数を高精度に調整することが可能となる。
つぎに、揺動体装置の周波数の調整を、上記した溝部による周波数調整工程と共に、延設部による周波数調整工程を用いて調整する場合の一例について説明する。
図5に、本実施形態における溝部による周波数調整工程と延設部による周波数調整工程を用い、周波数の調整について説明をするための図を示す。
図5には図1に示す実施形態と同じ構成には同一の符号が付されているので、共通する部分の説明は省略する。
図5において、500は揺動体装置、501、502は延設部である。
本実施例の揺動体装置500において、揺動板101は、厚さ300μm、ねじり軸Aの方向の長さが1mm、幅が3mmとされている。
また、揺動板101は、延設部501、502を有している。
この延設部501、502は、図5に示すように、ねじり軸Aを挟む対称な位置に、前記揺動板においてねじり軸と平行な方向に延びる延設部として形成されている。
そして、その一部を切断することによって該揺動板の質量が調整可能とされている。
また、前記溝部が、前記延設部の表面と裏面の少なくともいずれか一方に形成可能に構成されている。
揺動板101、弾性支持部102、固定部103は、単結晶シリコンをドライエッチングにより、エッチングして形成される。
揺動体装置500は、ねじり軸Aまわりにねじり振動の固有振動モードを有する。
その周波数fは、上記実施形態で説明した(式1)で表される。
バネ定数Kや慣性モーメントIは製造ばらつきや環境変化により変化するため、作製された揺動体装置の周波数fと予め定められた目標の周波数とは誤差がある。
そこで、揺動体装置を製造するに際し、慣性モーメントを調整することで、固有振動モードの周波数を高精度に調整することができる。
まず、固有振動モードの周波数を測定し、測定された周波数と調整目標値との差から、上記(式1)の関係を用いて、必要な慣性モーメント調整量を算出する。算出された慣性モーメント調整量に応じて、上記した延設部による周波数調整工程及び溝部による周波数調整工程とを用いて揺動板の周波数を調整する。
ここでは、例えば、まず上記した延設部による周波数調整工程を用いて、慣性モーメント調整量に応じて延設部を切断する位置を制御する。
すなわち、調整量が多い場合は図中の切断距離lを短くし、調整量が少ない場合は図中の切断距離lを長くする。
本実施例では切断距離を揺動板の重心Gを基準としたが、端部やアライメントマーク等を基準としても良い。
また、望ましくはねじり軸Aに対称に配置された延設部を両方切断することが望ましいが、どちらか一方の延設部を切断しても良い。
延設部を切断することにより、後述する第二の工程と比べ多くの慣性モーメントを調整することができる。
次に、溝部による周波数調整工程を用い、慣性モーメント調整量に応じて延設部辺から辺に連続して形成する直線の溝部の幅tを制御する。
すなわち調整量が多い場合は図中の溝幅tを広くし、調整量が少ない場合は図中の溝幅tを狭くする。
本実施形態では、溝幅を調整したが、溝深さもしくは溝の本数を調整しても良い。
ドライエッチングにより精度良く形成された突起形状に溝部を形成することで、高精度に慣性モーメントを調整できる。
本実施形態では、このような揺動板の質量を調整するに際し、各工程中において、少なくとも固定基盤に駆動部を固定する組立て工程を、延設部による周波数調整工程のように、加工部に貫通を伴う加工用レーザーによる加工後に行うようにする。
これにより、加工用レーザーによる駆動部の損傷を回避することを可能とすることができる。
以上の実施形態においては、揺動板が一つの場合の構成例について説明したが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。
例えば、揺動板を、第1揺動板と第2揺動板とにより構成し、前記ねじり軸まわりに少なくとも2つの固有振動モードの周波数を有する揺動体装置としてもよい。
つぎに、このような第1揺動板と第2揺動板とにより構成した形態による揺動体装置の製造方法の一例について説明する。
図6に、本実施形態における第1揺動板と第2揺動板とにより構成した揺動体装置の製造方法を説明する図を示す。
図6において、601は第1揺動板、602は第2揺動板、611は第1弾性支持部、612は第2弾性支持部である。
本実施形態の揺動体装置600は、揺動板が、第1揺動板と第2揺動板とにより、前記ねじり軸まわりに少なくとも2つの固有振動モードの周波数を有する構造を備えている。
具体的には、第1揺動板601、第2揺動板602、第1弾性支持部611、第2弾性支持部612と固定部620からなる。
ここで、第1揺動板601は、厚さ300μm、ねじり軸Aの方向の長さが1mm、幅が3mmである。
また、第2揺動板602は、厚さ300μm、ねじり軸Aの方向の長さが2mm、幅が6mmである。
また、揺動板は延設部603,604,605,606を有し、延設部はねじり軸Aを挟んで図示の如く対称な位置で揺動板601,602と接続されている。そして、全ての延設部は、ねじり軸Aに平行な方向に伸びるように形成されている。
第1揺動板601と第2揺動板602は、第1弾性支持部611によりねじり振動可能に接続され、前記第2揺動板602は前記第2弾性支持部612によりねじり振動可能に固定部620に固定される。
揺動板、弾性支持部、固定部は単結晶シリコンをドライエッチングにより、エッチングして形成される。
揺動体装置600は、ねじり軸A回りに2つの固有モードの周波数f1、f2を有する。
揺動体装置は、2つの固有モードを含む駆動力を印加することで、2つの正弦波を合成した捻れ振動を実現できる。
特に、f1とf2が2倍の関係にある時、2つの正弦振動701と702の振幅を調整することで、図7に示すような略鋸波振動703を実現できる。
略鋸波振動703は正弦波であったときと比べ、実質的な等角速度となる領域を広く設定できるため、偏向走査の全域に対する利用可能な領域を大きくできる。
一方で、上記のように所定の合成波形を得るためには、揺動体装置の2つの固有モードの周波数f1およびf2を精度良く調整する必要がある。
一般に、2個の揺動板と2個の弾性支持部を含む振動系の2つの固有振動モードの周波数f1、f2は、つぎの(式3)で表される。
Figure 2009163198
ここで、k1およびk2は第1弾性支持部611および第2弾性支持部612のねじり軸Aまわりのねじりバネ定数、I1およびI2は第1揺動板601および第2揺動板602のねじり軸Aまわりの慣性モーメントを示している。
バネ定数Kや慣性モーメントIは製造ばらつきや環境変化により変化するため、作製された揺動体装置の周波数fと予め定められた目標の周波数とは誤差がある。
そこで、揺動体装置を製造するに際し以下に示す方法により、慣性モーメントを調整することで、固有振動モードの周波数を高精度に調整することができる。まず、固有振動モードの周波数を測定し、測定された周波数と調整目標値との差から、上記(式3)の関係を用いて、必要な第1揺動板601および第2揺動板602それぞれの慣性モーメント調整量を算出する。
算出された慣性モーメント調整量に応じて、上記した延設部による周波数調整工程及び溝部による周波数調整工程とを用い、第1揺動板601および第2揺動板602それぞれの慣性モーメントを調整することで揺動体装置600の周波数f1及びf2を調整する。
ここでは、例えば、まず上記した延設部による周波数調整工程を用いて、慣性モーメント調整量に応じて延設部を切断する位置を制御する。
すなわち、調整量が多い場合は図中の切断距離lを短くし、調整量が少ない場合は図中の切断距離lを長くする。
本実施形態では切断距離を揺動板の重心を基準としたが、端部やアライメントマーク等を基準としても良い。
また、望ましくはねじり軸Aに対称に配置された延設部を両方切断することが望ましいが、どちらか一方の延設部を切断しても良い。
延設部を切断することにより、後述する第二の工程と比べ多くの慣性モーメントを調整することができる。
次に、溝部による周波数調整工程を用い、慣性モーメント調整量に応じて延設部辺から辺に連続して形成する直線の溝部の幅tを制御する。
すなわち、調整量が多い場合は図中の溝幅tを広くし、調整量が少ない場合は図中の溝幅tを狭くする。
本実施形態では、溝幅を調整したが、溝深さもしくは溝の本数を調整しても良い。
ドライエッチングにより精度良く形成された突起形状に溝部を形成することで、高精度に慣性モーメントを調整できる。
本実施形態では、このような揺動板の質量を調整するに際し、各工程中において、少なくとも固定基盤に駆動部を固定する組立て工程を、延設部による周波数調整工程のように、加工部に貫通を伴う加工用レーザーによる加工後に行うようにする。
これにより、加工用レーザーによる駆動部の損傷を回避することを可能とすることができる。
また、このような揺動体装置の揺動板の上に光偏向素子である反射面が配置された構成とすることで、この揺動体装置を光偏向器として利用することができる。また、このような光偏向器と、光源と、感光体と、を有し、前記光源からの光を前記光偏向器により偏向し、前記光の少なくとも一部を、前記感光体上に入射する画像形成装置を構成することができる。
以下に、本発明の実施例について説明する。
[実施例1]
実施例1においては、揺動板の質量を調整するに際し、駆動部の損傷を回避するため、延設部の一部をレーザー光によって切断する延設部による周波数調整工程を終了し、その後に溝部による周波数調整工程を終了した後に、
少なくとも駆動部を固定する駆動部組立工程を実施するようにした揺動体装置の製造方法の構成例について説明する。
図8に、本実施例の製造工程を説明するためのフローチャートを示す。
図9、図10に、本実施例の製造工程によって製造された揺動体装置を説明するための図を示す。
図9は図8における工程8まで完了後の揺動体装置の上面図であり、図10は図9におけるA−A’断面図である。
図9及び図10において、1101は第1揺動板、1102は第2揺動板、1103は第1弾性支持部、1104は第2弾性支持部である。
また、1107及び1108は溝部、1105及び1106は延設部であり、これらは図8における工程8までを経て、これらの延設部及び溝部が加工され、揺動板の質量が調整された後の構成が示されている。
1109は硬磁性体、1110はSi固定部、1111は駆動部突き当て部、1112はSi固定部突き当て部、1113は固定基盤である。
本実施例の揺動体装置は、揺動板が、第1揺動板1101と第2揺動板1102とにより、ねじり軸まわりに少なくとも2つの固有振動モードの周波数を有する構造を備えている。
具体的には、第1揺動板1101、第2揺動板1102、第1弾性支持部1103、第2弾性支持部1104、Si固定部1110を備え、第1揺動板1101は、図示しない反射面を駆動部1116と反対側の面に有している。
駆動部1116はコイル1114とコア1115から成り、駆動部突き当て部1111によって位置決めを行い、駆動部1116の底面で固定基盤1113と接着剤で固定されている。
Si固定部1110はSi固定部突き当て部1112によって位置決めを行い、固定基盤1113と接着剤で固定されている。
つぎに、図8を用いて、本実施例の製造工程を説明する。
工程1では、図11及び図12に示す製造用の揺動体装置を用い、該揺動体装置の第1揺動板1201と第2揺動板1202を揺動させる。
そして、第1揺動板1201が有する図示しない反射面によって図示しないレーザーから出射したレーザー光を反射し、図示しない2つのビームディテクター(以下、BD)で受光することによって走査時間間隔を測定する。
それにより、第1揺動板1201と第2揺動板1202の固有振動モードの周波数f1、f2を測定する。
ここで、図11及び図12に示す製造用の揺動体装置について説明する。図11は本実施例の製造工程に用いられる揺動体装置の上面図であり、図12は図11におけるB−B’断面図である。
図11及び図12において、1201は第1揺動板、1202は第2揺動板、1203は第1弾性支持部、1204は第2弾性支持部、1205及び1206は延設部である。
1209は硬磁性体、1210はSi固定部、1211は駆動部突き当て部、1212はSi固定部突き当て部、1216は駆動部、1217はバネ固定部である。ここで、図11及び図12に示す製造用の揺動体装置の固定基盤1213、駆動部1216、Si固定部突き当て部1212、バネ固定部1217は、揺動板1201、1202を製造工程で駆動することを目的としている。
本実施例において、第1揺動板1201は図示しない反射面を駆動部1216と反対側の面に有している。駆動部1216はコイル1214とコア1215からなり、それぞれ固定基盤1213に接着剤で固定されている。
硬磁性体1209は第2揺動板1202に接着剤で固定されている。
Si固定部1210はバネ固定部1217により固定基盤1213に固定されている。このように、バネ固定部1217によりSi固定部1210を固定すると取り外しが容易であり、少ない作業時間で固定できる。
ここで、Si固定部1210を金属板や樹脂板で挟みネジ止め固定してもよい。また、製造用の揺動体装置の駆動部1216は、延設部1205、1206をレーザーで切断してもレーザー光が当たらないように、揺動板1201、1202から離して設ける。この場合、駆動部1216は完成した揺動体装置の駆動部1116よりも硬磁性体1209から離れているので、駆動部1216にはより大きな電流を印加する。
工程2では、f1,f2の目標周波数と測定された周波数との差から、上記(式3)を用いて、第1揺動板1201および第2揺動板1202にそれぞれ必要な慣性モーメント調整量を算出する。
次に、工程3では、算出された慣性モーメント調整量に応じて延設部1205、1206を切断する。
次に、工程4では、工程1と同様にして、加工用レーザーによって延設部1205、1206を切断された第1揺動板1201(以下、切断後の第2揺動板1201と記す)と、
第2揺動板1202(以下、切断後の第1揺動板1202と記す)の固有振動モードの周波数f1、f2を測定する。
次に、工程5では、f1、f2の目標周波数と測定された周波数との差から、上記(式3)を用いて、切断後の第1揺動板1201と切断後の第2揺動板1202にそれぞれ必要な慣性モーメント調整量を算出する。
次に、工程6では算出された慣性モーメント調整量に応じて延設部1205、1206の辺から辺にそれぞれ、直線の溝部1107、1108を連続して形成する。
尚、工程5と工程6は、工程3の延設部の切断によりf1、f2を目標周波数にあわせることができれば省略することもできる。f1、f2が目標周波数と一致したか否かは、工程4で確認することができる。
次に、工程7では、駆動部突き当て部1111によって位置決めを行い、固定基盤1113に駆動部1116を接着剤により固定する。
次に、工程8では、バネ固定部1217により固定されていたSi固定部1210を固定基盤1213から切り離す。そして、Si固定部突き当て部1112によって位置決めを行い、Si固定部1110を固定基盤1113に接着剤により固定することにより、揺動体部組立工程を実施する。
このような、延設部1205、1206の切断のように、加工部に貫通を伴う加工用レーザーを用いた加工によって周波数を調整した後に、固定基盤1113に駆動部1116を固定する。
これにより、加工用レーザーによって駆動部1116に損傷を与えることなく、揺動体装置の組立が可能になる。
また、揺動体部組立工程では、周波数調整後に固定基盤1113にSi固定部1110が固定される。
これにより、加工用レーザーを第1揺動板1101の反射面と反対面から照射でき、反射面への加工塵付着による反射率の低下を防止することが可能となる。
ここで、図9及び図10に示す構成においては、Si固定部1110は接着剤によって固定基盤1113に固定されている。
これに対して、図11及び図12に示す構成においては、Si固定部1110はバネ固定部1117によって固定基盤1113に固定されている。
このように、固定方法が異なることにより固定強度に差が生じ、2つの固有モードの周波数f1、f2も固定強度によって変化する場合がある。
この場合、Si固定部1113、1213への固定強度によるf1、f2のずれを考慮して、f1、f2の目標周波数を設定する。
[実施例2]
実施例2においては、揺動板の質量を調整するに際し、
駆動部の損傷を回避するため、延設部の一部をレーザー光によって切断する延設部による周波数調整工程の終了後、溝部による周波数調整工程の終了前に、
駆動部を固定基盤に固定する駆動部組立工程と、揺動板を固定基盤に固定する揺動体部組立工程を実施するようにした揺動体装置の製造方法の構成例について説明する。
図13に、本実施例の製造工程を説明するためのフローチャートを示す。
本実施例の製造工程では、上記実施例1と同様の揺動体装置が製造される。
したがって、図13における工程8まで完了後の揺動装置の構成は、実施例1で示した図9及び図10と同様である。
つぎに、図13を用いて、本実施例の製造工程を説明する。
工程1では、実施例1の工程1(図8)と同様にして、製造用の揺動体装置を用いて第1揺動板1201と第2揺動板を駆動して、これらの固有振動モードの周波数f1、f2を測定する。
次に、工程2では、f1、f2の目標周波数と測定された周波数との差から上記(式3)を用いて、第1揺動板および第2揺動板にそれぞれ必要な慣性モーメント調整量を算出する。
次に工程3では、算出された慣性モーメント調整量に応じて延設部1205、1206を切断する。
次に、工程4では、駆動部突き当て部1111によって位置決めを行い、固定基盤1113に駆動部1116を接着剤により固定する。
次に、工程5ではSi固定部突き当て部1112によって位置決めを行い、Si固定部1110を固定基盤1113に接着剤により固定する。
次に、工程6では、工程1と同様にして、切断後の第1揺動板1201と切断後の第2揺動板1202の固有振動モードの周波数f1、f2を測定する。
次に、工程7では、f1,f2の目標周波数と測定された周波数との差から上記(式3)の関係を用いて、切断後の第1揺動板1101と切断後の第2揺動板1102にそれぞれ必要な慣性モーメント調整量を算出する。
次に、工程8では、算出された慣性モーメント調整量に応じて延設部1105、1106の辺から辺にそれぞれ、直線の溝部1107、1108を連続して形成する。
このような、延設部1205、1206の切断のように、加工部に貫通を伴う加工用レーザーを用いた加工によって周波数を調整した後に、固定基盤1113に駆動部1116とSi固定部1110を固定する。
これにより、加工用レーザーによって駆動部1116に損傷を与えることなく、揺動体装置の組立が可能になる。
また、本実施例では固定基盤1113にSi固定部1110を固定した後に、溝部1107、1108を形成することによる慣性モーメント調整で微調整を行っている。
これにより、実施例1のように固定方法によるf1,f2の目標周波数のずれを考慮することなく、f1,f2の目標周波数に確実に調整することが可能となる。
また、本実施例では固定基盤1113に駆動部1116とSi固定部1110を固定後に、溝部の加工工程が実施されている。
その際、溝部の加工工程に、加工用レーザーが用いられた場合であっても、溝部の加工工程では、加工用レーザーの貫通を伴はないことから、加工用レーザーによって駆動部1116に損傷を与えることなく、揺動体装置の組立が可能になる。
[実施例3]
実施例3においては、Si固定部を固定基盤に固定する工程の終了後、駆動部を固定基盤に固定する工程の終了前に、延設部の一部をレーザー光によって切断する工程と、溝部の加工工程とを実施するようにした揺動体装置の製造方法の構成例について説明する。
図14に、本実施例の製造工程を説明するためのフローチャートを示す。
図15、図16に、本実施例の製造工程によって製造された揺動体装置を説明するための図を示す。
図15は図14における工程8まで完了後の揺動体装置の上面図であり、図16は図15におけるC−C’断面図である。
図15及び図16において、1301は第1揺動板、1302は第2揺動板、1303は第1弾性支持部、1304は第2弾性支持部である。
また、1307及び1308は溝部、1305及び1306は延設部であり、これらは図14における工程8までを経て、これらの延設部及び溝部が加工され、揺動板の質量が調整された後の構成が示されている。
1309は硬磁性体、1310はSi固定部、1311は駆動部突き当て部、1312はSi固定部突き当て部、1313は固定基盤である。
本実施例の揺動体装置は、揺動板が、第1揺動板1301と第2揺動板1302とにより、ねじり軸まわりに少なくとも2つの固有振動モードの周波数を有する構造を備えている。
具体的には、第1揺動板1301、第2揺動板1302、第1弾性支持部1303、第2弾性支持部1304、Si固定部1310を備え、第1揺動板1301は、図示しない反射面を駆動部1316と反対側の面に有している。
駆動部1316はコイル1314とコア1315から成り、駆動部突き当て部1311によって位置決めを行い、固定基盤1313と接着剤で固定されている。Si固定部1310はSi固定部突き当て部1312によって位置決めを行い、固定基盤1313と接着剤で固定されている。
つぎに、図14を用いて、本実施例の製造工程を説明する。
工程1では、固定基盤1313にSi固定部1310をSi固定部突き当て部1312によって位置決めを行い、接着剤により固定する。
次に、工程2では、図17及び図18に示す製造用の揺動体装置を用い、該揺動体装置の第1揺動板1401と第2揺動板1402を揺動させる。
そして、第1揺動板1401が有する図示しない反射面によって図示しないレーザーから出射したレーザー光を反射し、図示しない2つのビームディテクター(以下、BD)で受光することによって走査時間間隔を測定する。
それにより、第1揺動板1401と第2揺動板1402の固有振動モードの周波数f1、f2を測定する。
ここで、図17及び図18に示す揺動体装置について説明する。
図17は本実施例の製造工程に用いられる揺動体装置の上面図であり、図18(a)は図17におけるD−D’断面図である。
図17及び図18(a)において、1401は第1揺動板、1402は第2揺動板、1403は第1弾性支持部、1404は第2弾性支持部、1405及び1406は延設部である。
1409は硬磁性体、1410はSi固定部、1411は駆動部突き当て部、1412はSi固定部突き当て部、1413は固定基盤、1416は駆動部、1418は貫通孔、1419は固定基盤固定部である。
本実施例において、第1揺動板1401は図示しない反射面を駆動部1416と反対側の面に有している。
硬磁性体1409は第2揺動板1402に接着剤で固定されている。
Si固定部1410は固定基盤1413に、Si固定部突き当て部1412によって位置決めを行い、接着剤で固定されている。
駆動部1416はコイル1414とコア1415からなり、それぞれ固定基盤固定部1419に接着剤で固定されている。
本実施例では、図18(c)に示すように、駆動部1416と固定基盤固定部1419は揺動板1401、1402を駆動するためのジグである。図18(b)の固定基盤1413を有する構造体は、図18(c)の固定基盤固定部1419の固定基盤突き当て面1417に突き当てて設置されている。駆動部1416は固定基盤1413と固定基盤固定部1419を固定する際に、貫通孔1418を貫通し、硬磁性体1409と磁気的作用を及ぼす位置に配置される。尚、本実施例では、製造用の揺動体装置の駆動部1416は、延設部1405、1406をレーザーで切断してもレーザー光が当たらないように、揺動板1401、1402から離して設ける。この場合は、駆動部1416は完成した揺動体装置の駆動部1316よりも硬磁性体1409から離れているので、駆動部1416にはより大きな電流を印加する。
次に、工程3では、f1、f2の目標周波数と測定された周波数との差から上記(式3)を用いて、第1揺動板1401および第2揺動板1402にそれぞれ必要な慣性モーメント調整量を算出する。
次に、工程4では、算出された慣性モーメント調整量に応じて延設部1405、1406を切断する。
次に、工程5では、工程2と同様にして、加工用レーザーによって延設部1405、1406を切断された第1揺動板1401(以下、切断後の第2揺動板1401)と、
第2揺動板1402(以下、切断後の第1揺動板1402)の固有振動モードの周波数f1、f2を測定する。
次に、工程6では、f1、f2の目標周波数と測定された周波数との差から上記(式3)を用いて、切断後の第1揺動板1401と切断後の第2揺動板1402にそれぞれ必要な慣性モーメント調整量を算出する。
次に、工程7では、算出された慣性モーメント調整量に応じて延設部1405、1406の辺から辺にそれぞれ、直線の溝部1307、1308を連続して形成する。
尚、工程6と工程7は、工程4の延設部の切断によりf1、f2を目標周波数にあわせることができれば省略することもできる。f1、f2が目標周波数と一致したか否かは、工程5で確認することができる。次に、工程8では、固定基盤1413を固定基盤固定部1419から切り離す。そして、駆動部1316を貫通孔1318から通し、駆動部突き当て部1311によって位置決めを行い、接着剤により固定する。
このような、延設部1405、1406の切断のように、加工部に貫通を伴う加工用レーザーを用いた加工によって周波数を調整した後に、固定基盤に駆動部を固定する。
これにより、加工用レーザーによって駆動部に損傷を与えることなく、揺動体装置の組立が可能になる。
また、本実施例では固定基盤にSi固定部を固定した後に、加工用レーザーにより慣性モーメント調整を行っている。
これにより、実施例1のように固定方法によるf1,f2の目標周波数のずれを考慮することなく、f1,f2の目標周波数に確実に調整することができる。
[実施例4]
実施例4では、本発明の揺動体装置を適用して構成した光偏向器を用いた光学機器の構成例について説明する。
ここでは、光学機器として画像形成装置を示している。
図19に、本実施例における画像形成装置の構成例を説明する概略斜視図を示す。
図19において、2001はレーザ光源、2002はレンズあるいはレンズ群、2003は光走査系、2004は書き込みレンズ或いはレンズ群、2005は感光体である。
本実施例の画像形成装置は、光源と、感光体と、本発明の揺動体装置を適用して構成される揺動体の上に配置された光偏向素子を備えた光偏向器とを有している。
そして、前記光源からの光を前記光偏向器により偏向し、前記光の少なくとも一部を、前記感光体上に入射するように構成されている。
具体的には、図19に示されるように、上記した各実施例の揺動体装置を用いて構成された光走査系(揺動体装置)2003により、入射光を1次元に走査する。
この走査されたレーザ光は書き込みレンズ2004により、感光体2005上へ画像を形成する。
感光体2005は図示しない帯電器により一様に帯電されており、この上に光を走査することにより、その部分に静電潜像を形成する。
次に、図示しない現像器により静電潜像の画像部分にトナー像を形成し、これを例えば図示しない用紙に転写・定着することで用紙上に画像が形成される。
その際、上記した各実施例の揺動体装置を用いて構成された光走査系(揺動体装置)2003により、光の偏向走査の角速度を仕様範囲内で略等角速度とすることができる。
上記説明では、光学機器として画像形成装置を構成した例について説明したが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。
例えば、光源と、画像表示体と、本発明の揺動体装置を適用して構成した光偏向器と、を有し、前記光源からの光を前記光偏向器により偏向した光を、前記画像表示体上に入射するようにしてプロジェクションディスプレイを構成するようにしてもよい。
このように、本発明の揺動体装置によれば、
例えば、光の偏向走査によって画像を投影するプロジェクションディスプレイ、電子写真プロセスを有するレーザービームプリンタ、デジタル複写機等の画像形成装置を含む光学機器に好適な揺動体装置を実現することができる。
本発明の実施形態における溝部による周波数調整工程を説明するための図。 本発明の実施形態における慣性モーメントが調整可能となる溝部を揺動板に形成する工程を説明するための図。図2(a)は揺動板に直線の溝部を形成した構成を示す図、図2(b)は図2(a)のB−B断面図。 比較例における揺動板の特定の部分の質量を除去した場合について説明する図。 本発明の実施形態における揺動板に溝部を形成する方法の一例について説明する図。 本発明の実施形態における溝部による周波数調整工程と延設部による周波数調整工程を用い、周波数の調整について説明をするための図。 本発明の実施形態における第1揺動板と第2揺動板とにより構成した揺動体装置の製造方法を説明するための図。 本発明の実施形態における正弦振動と略鋸波振動の軌跡について説明するための図。 本発明の実施例1における製造工程を説明するためのフローチャート。 本発明の実施例1における製造工程によって製造された揺動体装置を説明するための図8における工程8まで完了後の揺動体装置の上面図。 本発明の実施例1における製造工程によって製造された揺動体装置を説明するための図9におけるA−A’断面図。 本発明の実施例1における製造工程に用いられる揺動体装置を説明するための上面図。 本発明の実施例1における製造工程に用いられる揺動体装置を説明するための図11におけるB−B’断面図。 本発明の実施例2における製造工程を説明するためのフローチャート。 本発明の実施例3における製造工程を説明するためのフローチャート。 本発明の実施例3における製造工程によって製造された揺動体装置を説明するための図14における工程8まで完了後の揺動体装置の上面図。 本発明の実施例3における製造工程によって製造された揺動体装置を説明するための図15におけるC−C’断面図。 本発明の実施例3における製造工程に用いられる揺動体装置を説明するための上面図。 (a)本発明の実施例3における製造工程に用いられる揺動体装置を説明するための図17におけるD−D’断面図。(b)揺動板を有する構造体。(c)揺動板を駆動するためのジグ。 本発明の実施例4における画像形成装置を説明する図。 従来例である特許文献1におけるプレーナ型ガルバノミラーを説明する図。
符号の説明
100、500、600:揺動体装置
101:揺動板
102:弾性支持部
103、620:固定部
104:永久磁石
105:溝部
401:ステージ
402:レーザー光源
403:加工用レーザー光
501、502、603、604、605、606、1105、1106 1205、1206、1305、1306、1405、1406:延設部
601、1101、1201、1301、1401:第1揺動板
602、1102、1202、1302、1402:第2揺動板
611、1103、1203、1303、1403:第1弾性支持部
612、1104、1204、1304、1404:第2弾性支持部
701、702:正弦振動
703:略鋸波振動
1109、1209、1309、1409:硬磁性体
1110、1210、1310、1410:Si固定部
1111、1211、1311、1411:駆動部突き当て部
1112、1212、1312、1412:Si固定部突き当て部
1113、1213、1313、1413:固定基盤
1114、1214、1314、1414:コイル
1115、1215、1315、1415:コア
1116、1216、1316、1416:駆動部
1318、1418:貫通孔
1417:固定基盤突き当て面
1419:固定基盤固定部
2001:レーザー光源
2002:レンズ或いはレンズ群
2003:光偏向器
2004:書き込みレンズ或いはレンズ群
2005:感光体

Claims (11)

  1. 固定部に対し、支持部によってねじり軸まわりに揺動可能に支持された揺動板を備え、該揺動板を該ねじり軸まわりに共振周波数で駆動する揺動体装置の製造方法であって、
    前記揺動板の質量を調整するに際し、前記揺動板として、該揺動板に延設部を形成し、該延設部の一部をレーザー光の照射により切断することによって該揺動板の質量を調整する延設部による周波数調整工程と、
    前記揺動板を固定基盤に固定する揺動体部組立工程と、
    前記揺動板を駆動させる駆動部を固定基盤に固定する駆動部組立工程と、
    を有し、少なくとも前記各工程中における前記駆動部組立工程を、前記延設部による周波数調整工程の後に実施することを特徴とする揺動体装置の製造方法。
  2. 前記揺動板の質量を調整するに際し、前記揺動板の領域に溝部を形成し、該溝部の形成によって該揺動板の質量を調整する溝部による周波数調整工程を有することを特徴とする請求項1に記載の揺動体装置の製造方法。
  3. 前記各工程中において、前記延設部による周波数調整工程及び前記溝部による周波数調整工程が終了した後に、少なくとも前記駆動部を固定する工程を実施することを特徴とする請求項2に記載の揺動体装置の製造方法。
  4. 前記各工程中において、前記延設部による周波数調整工程の終了後、前記溝部による周波数調整工程の終了前に、少なくとも前記駆動部を固定する工程を実施することを特徴とする請求項2に記載の揺動体装置の製造方法。
  5. 前記各工程中において、前記揺動体部組立工程の終了後、前記駆動部組立工程の終了前に、少なくとも前記延設部による周波数調整工程を実施することを特徴とする請求項1に記載の揺動体装置の製造方法。
  6. 前記揺動板は、第1揺動板と第2揺動板とにより、前記ねじり軸まわりに少なくとも2つの固有振動モードの周波数を有する構造を備えていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の揺動体装置の製造方法。
  7. 前記揺動板の共振周波数を調整するに際し、前記揺動板のねじり軸まわりの固有振動モードの周波数を検出し、
    前記検出された周波数と所定の共振周波数との差に基づいて、前記揺動板の慣性モーメントの調整量を決定することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の揺動体装置の製造方法。
  8. 前記揺動板の慣性モーメントの調整量に基づいて、前記溝部の幅、前記溝部の深さ及び前記溝部の本数、の少なくともいずれか一つを決定することを特徴とする請求項7に記載の揺動体装置の製造方法。
  9. 前記溝部は、レーザー光の照射により、前記ねじり軸に対し直交する方向に、前記揺動板または前記延設部の一方の辺から他方の辺に亙って形成されることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の揺動体装置の製造方法。
  10. 請求項1から9のいずれか1項に記載の揺動体装置の製造方法によって製造された揺動体装置と、
    該揺動体装置における前記揺動体の上に配置された光偏向素子と、
    を有することを特徴とする光偏向器。
  11. 光源と、感光体または画像表示体と、請求項10に記載の光偏向器と、
    を有し、前記光源からの光を前記光偏向器により偏向し、前記光の少なくとも一部を、前記感光体または前記画像表示体上に入射することを特徴とする光学機器。
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