JP2008051194A - 油圧シリンダ及び油圧駆動装置 - Google Patents

油圧シリンダ及び油圧駆動装置 Download PDF

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Abstract

【課題】油圧シリンダの収縮駆動を有効に増速する。
【解決手段】油圧シリンダ10は、第1シリンダ室20を囲むシリンダ本体16と、第1ピストン部22及び第1ロッド部24を有する第1ピストンロッド18とを具備し、第1ピストン部22が第1シリンダ室20を第1ヘッド側26と第1ロッド側室28とに区画する。さらに、第1ピストンロッド18は第2シリンダ室30を有し、シリンダ本体16は第1シリンダ室20内に第2ピストンロッド31を有し、この第2ピストンロッド31の第2ピストン部32が第2シリンダ室30内に第2ヘッド側室36を形成する。油圧シリンダ10の収縮駆動時に第2ヘッド側室36から押し出される作動油が第1ロッド側室28に供給される作動油に合流することでその収縮駆動の増速が達成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、破砕機やプレス機等を駆動するための油圧シリンダ及び当該油圧シリンダを利用した油圧駆動装置に関する。
従来、破砕機その他の各種機械を往復駆動するための油圧アクチュエータとして油圧シリンダが多用されている。この油圧シリンダの伸縮速度が高いほど作業効率は高くなる。しかし、この油圧シリンダの伸縮速度は、一般に、当該油圧シリンダに作動油を供給するための油圧ポンプの容量や吐出圧に支配される。従って、その限られたポンプ容量やポンプ吐出圧でより高い伸縮速度を得るためには、何らかの増速手段を付加する必要がある。
下記特許文献1は、前記増速手段として、建設機械にオプション的に付設される増速バルブを開示する。この増速バルブは、駆動対象である油圧シリンダのヘッド側室とロッド側室との面積差を利用して、前記ロッド側室から流出する戻り油の一部を供給側に還元する再生回路を構築することにより、前記ヘッド側室への供給流量を増やす。
特開平10−169213号公報
前記特許文献1が開示する増速バルブは、油圧シリンダのヘッド側室とロッド側室との面積差を利用するものであるので、その使用は当該油圧シリンダの伸張時に限られる。従って、油圧シリンダの収縮方向の駆動の増速には適用不能である。また、油圧シリンダの大きさによって油の再生量が限られる。
本発明は、このような事情に鑑み、油圧シリンダの収縮方向の駆動を効率よく増速するための技術の提供を目的とする。
前記課題を解決するための手段として、本発明は、伸縮可能な油圧シリンダであって、第1シリンダ室を囲むシリンダ本体と、前記第1シリンダ室内をその軸方向に区画して第1ヘッド側室と第1ロッド側室とを形成するように当該第1シリンダ室内に装填される第1ピストン部及びこの第1ピストン部から前記第1ロッド側室側に延びて前記シリンダ本体の外部に突出する第1ロッド部を有する第1ピストンロッドとを備え、前記第1ロッド部は、前記第1シリンダ室の軸方向と平行な方向に延びる第2シリンダ室を内部に有し、前記シリンダ本体は、前記第1シリンダ室内で前記第1ヘッド側室側から第1ロッド側室側に延びる第2ピストンロッドを有し、この第2ピストンロッドの端部は、前記第2シリンダ室内に装填される第2ピストン部を構成し、この第2ピストン部は前記第2シリンダ室内で前記第2ピストン部よりも前記ロッド部の先端側の空間を密閉して第2ヘッド側室を形成し、前記シリンダ本体または前記第1ピストンロッドは、前記第2ヘッド側室内を前記油圧シリンダの外部に連通するためのヘッド側油路を有するものである。
この油圧シリンダでは、前記第1シリンダ室及び前記第2ヘッド側室に対する適当な作動油の給排によって、伸張駆動及び収縮駆動に加えて当該収縮駆動の増速が達成される。具体的には、前記第1シリンダ室の第1ロッド側室への作動油の供給により前記第1ピストンロッドが前記シリンダ本体に対して収縮方向に移動し、その際、当該第1ピストンロッドの内部に形成された第2ヘッド側室内から前記ヘッド側油路を通じて作動油が押し出されるので、この作動油を前記第1ロッド側室に供給される作動油に合流させることにより、当該油圧シリンダの収縮駆動を増速することができる。
しかも、前記第2ヘッド側室は前記第1ピストンロッドの内部に形成されるので、油圧シリンダ全体を著しい大型化させることなく、前記収縮駆動の増速を実現することができる。
この油圧シリンダでは、さらに、前記第2ピストンロッドが、前記第2シリンダ室の内径よりも小さな外径を有して前記第1ヘッド側室側から第1ロッド側室側に延びる第2ロッド部を有し、前記第2ピストン部は前記第2ロッド部の先端に位置して前記第2シリンダ室内を前記第2ヘッド側室と前記第2ロッド部の周囲の第2ロッド側室とに区画し、前記シリンダ本体は前記第2ロッド側室内を前記油圧シリンダの外部に連通するためのロッド側油路を有することが、より好ましい。
この油圧シリンダでは、前記第2ピストンロッドの第2ロッド部の外径が前記第2シリンダ室の内径よりも小径である分、前記第1ピストンロッドの第1ピストン部が前記第1ヘッド側室から圧力を受ける面積(受圧面積)が増大する。換言すれば、前記第2ロッド部の周囲の第2ロッド側室の面積分だけ、前記第2ピストン部が前記第2ヘッド側室から圧力を受ける受圧面積と前記第1ピストン部が前記第1ヘッド側室から圧力を受ける受圧面積とが重複するので、この重複分だけ通常の油圧シリンダよりも伸張方向についての受圧面積が増大する。従って、油圧シリンダ全体の大型化を伴うことなくその伸張駆動力を増大させることが可能になる。
また本発明は、前記いずれかの油圧シリンダと、油圧ポンプと、この油圧ポンプの吐出油を前記油圧シリンダに導いて当該油圧シリンダを伸縮させる油圧回路とを備えた油圧駆動装置であって、前記油圧回路は、前記油圧ポンプの吐出油を前記第1ヘッド側室内及び前記第2ヘッド側室内に導いて前記第1ロッド側室内の作動油を前記油圧シリンダの外部に排出させるための伸張駆動用油路と、前記油圧ポンプの吐出油を前記第1ロッド側室内に導いて前記第1ヘッド側室内の作動油を前記油圧シリンダの外部に排出させるための収縮駆動用油路とを有し、前記収縮駆動用油路は、前記油圧シリンダの収縮駆動時に前記第2ヘッド側室から前記ヘッド側油路を通じて押し出される作動油を前記第1ロッド側室に供給される吐出油に合流させるための収縮増速用油路を含むものである。
この油圧駆動装置では、前記油圧ポンプの吐出油が前記油圧回路の伸張駆動用油路を通じて前記第1ヘッド側室および前記第2ヘッド側室に供給されることにより、前記油圧シリンダが伸張駆動される。その一方、前記吐出油が前記油圧回路の収縮駆動用油路を通じて前記第1ロッド側室内に供給されることにより、前記油圧シリンダが収縮駆動されるとともに、その収縮駆動中に当該油圧シリンダの第2ヘッド側室の容積が減少することにより当該第2ヘッド側室内の作動油が前記ヘッド側油路を通じて押し出される。そして、この作動油が前記油圧回路の収縮増速用油路を通じて前記油圧ポンプの吐出油に合流することにより、当該収縮駆動が増速される。
具体的に、前記油圧回路は、前記油圧ポンプと前記油圧シリンダとの間に介在する1または複数の切換弁を有し、当該切換弁は、前記伸張駆動用油路を完成する位置と前記収縮駆動用油路及び収縮増速用油路を完成する位置とに切換可能であるものが、好適である。
前記切換弁には、前記収縮増速用油路を完成する収縮増速位置と前記収縮増速用油路を解除して前記第2ヘッド側室をタンクに連通させる収縮増速解除位置とに切換可能な収縮増速切換弁が含まれるのが、より好ましい。この収縮増速切換弁は、前記油圧シリンダの収縮駆動状態を、前記収縮増速用油路を用いて当該収縮駆動が増速される状態と、当該収縮駆動の増速が解除される状態に切換えることを可能にする。従って、油圧シリンダの駆動負荷や求められる駆動速度等に応じて収縮駆動状態を切換えるといったことが可能になる。
さらに、この油圧回路は、前記油圧ポンプの吐出圧が一定圧を上回る場合にのみ前記収縮増速切換弁を前記収縮増速解除位置に切換える収縮増速解除切換手段を有することが、より好ましい。この収縮増速解除切換手段は、何らかの要因で前記収縮駆動の負荷が高まったときに、前記油圧ポンプの吐出圧の上昇を受けて前記収縮増速切換弁を収縮増速解除位置に切換えることにより、油圧シリンダの収縮駆動状態をその駆動速度よりも駆動力を重視した駆動状態に自動的に切換える。
前記油圧シリンダが前記第2ロッド側室を有するものである油圧駆動装置においては、前記油圧回路の伸張駆動用油路は、前記油圧シリンダの伸張駆動時に前記第1ロッド側室及び第2ロッド側室から押し出される作動油を前記第1ヘッド側室または前記第2ヘッド側室に供給される前記油圧ポンプの吐出油に合流させるための伸張増速用油路を含むことが、より好ましい。
この装置によれば、前記油圧シリンダの伸張駆動時に前記第1ロッド側室及び第2ロッド側室から押し出される作動油が前記吐出油に合流することにより、当該伸張駆動が有効に増速される。
この場合、前記油圧回路は、前記伸張増速用油路を完成する伸張増速位置と前記伸張増速用油路を解除して前記第1ロッド側室及び前記第2ロッド側室をタンクに連通させる伸張増速解除位置とに切換可能な伸張増速切換弁を含むことが、より好ましい。この伸張増速切換弁は、前記油圧シリンダの伸張駆動状態を、前記伸張増速用油路を用いて当該伸張駆動が増速される状態と、当該伸張駆動の増速が解除される状態に切換えることを可能にする。従って、油圧シリンダの駆動負荷や求められる駆動速度等に応じて伸張駆動状態を切換えるといったことが可能になる。
さらに、この油圧回路は、前記油圧ポンプの吐出圧が一定圧を上回る場合にのみ前記伸張増速切換弁を前記伸張増速解除位置に切換える伸張増速解除切換手段を有することが、より好ましい。この伸張増速解除切換手段は、何らかの要因で前記伸張駆動の負荷が高まったときに、前記油圧ポンプの吐出圧の上昇を受けて前記伸張増速切換弁を伸張増速解除位置に切換えることにより、油圧シリンダの伸張駆動状態をその駆動速度よりも駆動力を重視した駆動状態に自動的に切換える。
前記伸張増速切換弁は、前記伸張増速位置及び前記伸張増速解除位置に加えて、前記収縮増速用油路を完成する収縮増速位置に切換可能な双方向増速切換弁であり、かつ、前記伸張増速解除位置は、前記収縮増速用油路を解除して前記第2ヘッド側室をタンクに連通させる収縮増速解除位置を兼ねるものが、好適である。この構成は、単一の切換弁(双方向増速切換弁)を用いて、伸縮駆動の増速及び増速解除の切換と、収縮駆動の増速及び増速解除の切換とを行うことを可能にする。
以上のように、本発明によれば、油圧シリンダの収縮駆動時において、第1ピストンロッドの内部に形成された第2ヘッド側室内の作動油を油圧ポンプの吐出油に合流させることにより、油圧シリンダの収縮方向の駆動を効率よく増速することができる効果がある。
本発明の第1の実施の形態を図1を参照しながら説明する。
図1は、当該実施の形態に係る油圧シリンダ10及び油圧駆動装置を示すものである。この油圧駆動装置は、前記油圧シリンダ10と、油圧ポンプ12と、この油圧ポンプ12の吐出油を前記油圧シリンダ10に導くための油圧回路14とを備える。
前記油圧シリンダ10は、全体が軸方向(図の左右方向)に伸縮可能であり、その伸縮によって例えば破砕機の開閉駆動を行う。具体的に、この油圧シリンダ10は、シリンダ本体16と、このシリンダ本体16に対して前記軸方向に相対移動可能な第1ピストンロッド18とを有し、前記シリンダ本体16の外側端部(すなわちヘッド側端部16a)及び前記第1ピストンロッド18の外側端部(すなわちロッド側端部18a)がそれぞれ駆動対象(例えば前記破砕機を構成する一対の破砕アーム)に連結される。
前記シリンダ本体16は、略円筒状をなし、内側に第1シリンダ室20を囲む。
前記第1ピストンロッド18は、第1ピストン部22と、第1ロッド部24とを有する。前記第1ピストン部22は、前記第1シリンダ室20内に装填され、この第1シリンダ室20内をその軸方向に区画することにより、互いに密閉された第1ヘッド側室26と第1ロッド側室28とを形成する。前記第1ロッド部24は、前記第1ピストン部22から前記第1ロッド側室28側へ軸方向に延び、前記シリンダ本体16の外部に突出する。
前記第1ピストンロッド18の本体は、後方にのみ開口する中空状をなし、その開口部分にリング状の蓋23が装着される。この蓋23は、前記第1ピストン部22の内側部分を構成するとともに、前記第1ロッド部24とで、前記第1シリンダ室20の軸方向と平行な方向に延びる第2シリンダ室30を囲む。
前記シリンダ本体16は、その第1シリンダ室20内に第2ピストンロッド31を有する。この第2ピストンロッド31は、第2ピストン部32と第2ロッド部34とにより構成される。
前記第2ピストン部32は、前記第2シリンダ室30内に装填され、この第2シリンダ室30を軸方向に区画することにより、互いに密閉された第2ヘッド側室36と第2ロッド側室38とを形成する。このうち前記第2ヘッド側室36は前記第2ピストン部32よりも第1ロッド部24の先端側(図1では左側)に形成された室であり、前記第2ロッド側室38は前記第2ヘッド側室36と反対側の室である。
前記第2ロッド部34は、前記第2シリンダ室30の内径よりも小さな外径を有し、前記第1シリンダ室20内でその第1ヘッド側室26から前記第1ピストンロッド18の蓋23を貫いて前記第1ロッド側室28側に延びる。より具体的に、この第2ロッド部34は、前記シリンダ本体16のヘッド側端部16aから前記第1シリンダ室20の中心軸上を通って前記第2シリンダ室30内にまで至っており、この第2ロッド部34の先端が前記第2ピストン部32につながっている。従って、前記第2ロッド側室28は前記第2ロッド部34の周囲に形成されている。
前記シリンダ本体16の周壁には、前記第1ヘッド側室26および前記第2ヘッド側室28をそれぞれ油圧シリンダ10の外部に連通するためのヘッド側ポート42及びロッド側ポート44が形成されている。前記第1ピストンロッド18の第1ロッド部24には、前記第2ヘッド側室36内を油圧シリンダ10の外部に連通するためのヘッド側油路46が形成されている。また、前記シリンダ本体16には、前記第2ロッド側室38内を油圧シリンダ10の外部に連通するためのロッド側油路48が形成されている。このロッド側油路48は、前記第2ロッド側室38から前記第2ロッド部34を通って前記ヘッド側端部16aの側面にまで至っている。
前記油圧回路14は、方向切換弁50と、増速切換弁52とを備え、これらは前記油圧ポンプ12と前記油圧シリンダ10との間に介在する。
前記方向切換弁50は、図例では3位置4ポートの手動切換弁で構成される。すなわち、この方向切換弁50は2つの一次側ポートと2つの二次側ポートとを有する。前記各一次側ポートは前記油圧ポンプ12の吐出側とタンクとにそれぞれ接続される。前記各二次側ポートは、それぞれ伸張駆動用配管54及び収縮駆動用配管56を介して前記増速切換弁52に接続される。
この方向切換弁50は、手動操作を受けることにより、中立位置50aと、伸張駆動位置50bと、収縮駆動位置50cとに切換えられる。前記中立位置50aは、前記油圧ポンプ12及びタンクと前記両配管54,56とを遮断する位置である。前記伸張駆動位置50bは、前記伸張駆動用配管54を前記油圧ポンプ12に接続して前記収縮駆動用配管56を前記タンクに接続する位置であり、逆に前記収縮駆動位置50cは、前記収縮駆動用配管56を前記油圧ポンプ12に接続して前記伸張駆動用配管54を前記タンクに接続する位置である。
前記伸張駆動用配管54は、その途中でシリンダ側配管54aと弁側配管54bとに分岐し、前記シリンダ側配管54aが前記油圧シリンダ10のヘッド側ポート42に接続される一方、前記弁側配管54bが前記増速切換弁52に接続される。また、前記収縮駆動用配管56は、前記増速切換弁52の近傍で供給用配管56aと合流用配管56bとに分岐し、これら配管56a,56bはともに前記増速切換弁52に接続される。
前記増速切換弁52は、伸縮駆動及び収縮駆動の双方について、その増速及び増速解除の切換を行う双方向の増速切換弁であり、図例では3位置6ポートのパイロット切換弁で構成される。すなわち、この増速切換弁52は、3つの一次側ポートと3つの二次側ポートとを有する。前記各一次側ポートは、前記伸張駆動用配管54の弁側配管54b、前記収縮駆動用配管56の供給用配管56a、及び合流用配管56bにそれぞれ接続される。また、前記各二次側ポートは、シリンダ側配管58,60,62をそれぞれ介して、前記油圧シリンダ10のロッド側ポート44、ヘッド側油路46、およびロッド側油路48に接続される。
この増速切換弁52は、伸張増速位置52aと、収縮増速位置52bと、増速解除位置52cとを有する。この増速切換弁52は、パイロット圧の入力を受ける2つのパイロットポートである伸張側パイロットポート64A及び収縮側パイロットポート64Bを有し、前記伸張側パイロットポート64Aに入力されるパイロット圧が前記収縮側パイロットポート64Bに入力されるパイロット圧を上回る場合には前記伸張増速位置52aに切換わり、逆に前記収縮側パイロットポート64Bに入力されるパイロット圧が前記伸張側パイロットポート64Aに入力されるパイロット圧を上回る場合には前記収縮増速位置52bに切換わり、前記両パイロットポート64A,64Bに入力されるパイロット圧が同等の場合(両パイロット圧が0の場合を含む。)には前記増速解除位置52cを保つ。
前記伸張増速位置52aは、伸張駆動の増速を行うための位置であって、具体的には次のような配管接続を行うための位置である。
A1)伸張駆動用配管54の弁側配管54bを前記シリンダ側配管60に接続(すなわち前記油圧シリンダ10のヘッド側油路46に接続)する伸張駆動用油路を完成する。
A2)前記収縮駆動用配管56の供給用配管56a及び合流用配管56bをともにブロックする。
A3)前記油圧シリンダ10のヘッド側ポート44およびロッド側油路48にそれぞれつながるシリンダ側配管58,62を共通の逆止弁65を介して前記伸張駆動用油路に接続する伸張増速用油路を完成する。前記逆止弁65は前記シリンダ側配管58,62側から前記伸張駆動用油路側への作動油の流れのみを許容する。
一方、前記収縮増速位置52bは、収縮増速用油路を形成するための位置であって、具体的には次のような配管接続を行うための位置である。
B1)収縮駆動用配管56の供給用配管56aを前記シリンダ側配管58に接続(すなわち油圧シリンダ10のロッド側ポート44に接続)する収縮駆動用油路を形成する。
B2)前記油圧シリンダ10のロッド側油路48につながるシリンダ側配管62を前記伸張駆動用配管54の弁側配管54bに接続する油路を形成する。
B3)前記油圧シリンダ10のヘッド側油路46につながるシリンダ側配管60を前記収縮駆動用配管56の合流用配管56bに逆止弁67を介して接続する収縮増速用油路を完成する。前記逆止弁67は、前記シリンダ側配管60から前記合流用配管56bへの作動油の流れのみを許容する。
また、前記増速解除位置52cは、前記伸張駆動及び前記収縮駆動の増速を解除するための位置であって、具体的には次のような配管接続を行うための位置である。
C1)伸張駆動用配管54の弁側配管54bを、油圧シリンダ10のヘッド側油路46につながるシリンダ側配管60に接続する。
C2)収縮駆動用配管56の供給用配管56aを油圧シリンダ10のロッド側ポート44につながるシリンダ側配管58に接続する。
C3)収縮駆動用配管56の合流用配管56bを油圧シリンダ10のロッド側油路48につながるシリンダ側配管62に接続する。
さらに、この油圧回路14は、前記伸張側パイロットポート64Aに入力されるパイロット圧を切換えるためのシャトル弁66A及び逆止弁付可変リリーフ弁68Aと、前記収縮側パイロットポート64Aに入力されるパイロット圧を切換えるためのシャトル弁66B及び逆止弁付可変リリーフ弁68Bとを備える。
前記シャトル弁66Aは2つの入力ポートと単一の出力ポートとを有し、その一方の入力ポートが前記伸張駆動用配管54のシリンダ側配管54aに接続され、他方の入力ポートが前記逆止弁付可変リリーフ弁68Aの二次側に接続され、前記出力ポートが前記伸張側パイロットポート64Aに接続される。
前記逆止弁付可変リリーフ弁68Aは、前記収縮駆動用配管56の分岐上流側部分と前記シャトル弁66Aの他方の入力ポートとの間に介在し、当該収縮駆動用配管56を流れる作動油の圧力が設定圧を超える場合にのみ開弁して当該作動油を前記シャトル弁66Aに導くものであり、収縮増速解除切換手段に相当する。当該シャトル弁66Aは、前記シリンダ側配管54aの圧力と前記逆止弁付可変リリーフ弁68Aの二次側圧力とを高圧選択し、その圧力を前記伸張側パイロットポート64Aにパイロット圧として入力する。
同様に、前記シャトル弁66Bも2つの入力ポートと単一の出力ポートとを有し、その一方の入力ポートが前記収縮駆動用配管56の分岐上流側部分に接続され、他方の入力ポートが前記逆止弁付可変リリーフ弁68Bの二次側に接続され、前記出力ポートが前記収縮側パイロットポート64Bに接続される。
前記逆止弁付可変リリーフ弁68Bは、前記伸張駆動用配管54の弁側配管54bと前記シャトル弁66Bの他方の入力ポートとの間に介在し、当該弁側配管54bを流れる作動油の圧力が設定圧を超える場合にのみ開弁して当該作動油を前記シャトル弁66Bに導くものであり、伸縮増速解除切換手段に相当する。当該シャトル弁66Bは、前記弁側配管54bの圧力と前記逆止弁付可変リリーフ弁68Bの二次側圧力とを高圧選択し、その圧力を前記収縮側パイロットポート64Bにパイロット圧として入力する。
次に、この油圧駆動装置の作用を説明する。なお、以下の説明では、前記油圧シリンダ10は破砕機における一対の破砕アームの間に介在し、この油圧シリンダ10の収縮及び伸張によって前記両破砕アームが開閉するものとする。また、初期状態として次の1)〜3)を満たす状態を想定する。
1)前記油圧シリンダ10が収縮して前記両破砕アームを開かせている。そして、これらの破砕アーム同士の間に被破砕物が介在する位置に当該破砕機が移送されている。
2)図1に示す方向切換弁50が中立位置50aに切換えられている。
この初期状態において、前記方向切換弁50が前記中立位置50aから伸張駆動位置50bに切換えられると、前記油圧ポンプ12の吐出油が伸張駆動用配管54に流入し、そのシリンダ側配管54aと弁側配管54bとに分流する。そのシリンダ側配管54aに流れる作動油はそのまま油圧シリンダ10のヘッド側ポート42を通じて第1ヘッド側室26内に流入し、当該作動油の圧力はシャトル弁66Aで高圧選択されて増速切換弁52の伸張側パイロットポート64Aにパイロット圧として入力される。
ここで、前記油圧ポンプ12の吐出圧が低いうちは、前記弁側配管54b内の圧力が低いために逆止弁付可変リリーフ弁68Bは閉弁状態を維持する。また、収縮駆動用配管56内の圧力も低い。従って、収縮側パイロットポート64Bに入力されるパイロット圧は低く、このパイロット圧を前記伸張側パイロットポート64Aに入力されるパイロット圧が上回るため、そのパイロット圧差が前記増速切換弁52を伸張増速位置52aに切換える。
この伸張増速位置52aに切換えられた増速切換弁52は、前記弁側配管54b側に分流した作動油をシリンダ側配管60に導く伸張駆動用油路を開通する。この作動油は油圧シリンダ10のヘッド側油路46を通じて第2ヘッド側室36に流入する。従って、前記油圧ポンプ10の吐出油は前記第1ヘッド側室26と前記第2ヘッド側室36とに分配され、その圧力が前記油圧シリンダ10の第1ピストンロッド18をシリンダ本体16に対して伸張方向に相対移動させる。すなわち、前記破砕機を閉じ方向に作動させる。
この伸張駆動時に、第1ロッド側室28内の作動油はロッド側ポート44を通じてシリンダ側配管58へ押し出され、同様に第2ロッド側室38内の作動油はロッド側油路48を通じてシリンダ側配管62内に押し出されるが、これらの作動油は前記伸張増速位置52aにおける前記増速切換弁52の逆止弁65を通じて前記伸張駆動用油路に供給される。この供給された作動油は、前記伸張駆動用油路を通じて前記第2ヘッド側室36に供給される作動油に合流し、また、前記伸張駆動用配管54のシリンダ側配管54aを通じて前記第1へッド側室26に供給される作動油にも合流する。この合流は、前記両ヘッド側室26,36に対する作動油供給流量を増やし、その結果、前記油圧シリンダ10の伸張駆動を増速する。
以上のような油圧シリンダ10の伸張駆動が進んで前記破砕機の両破砕アームが例えば被破砕物に当接すると、その当接時点から前記油圧シリンダ10の駆動負荷が増大し、前記油圧ポンプ12の吐出圧すなわち伸張駆動用配管54内の圧力が急激に高まる。そして、この圧力が前記伸張駆動用配管54の弁側配管54bにつながる逆止弁付可変リリーフ弁68Bの設定圧を上回った時点で同弁68Bが開弁し、当該圧力をシャトル弁66Bの入力ポートに入力する。このシャトル弁66Bは、前記圧力を高圧選択して前記増速切換弁52の収縮側パイロットポート64Bにパイロット圧として入力する。このパイロット圧は、前記伸張駆動用配管54のシリンダ側配管54aから前記シャトル弁66Aを通じて前記伸張側パイロットポート64Aに入力されるパイロット圧と釣り合うため、これらのパイロット圧は前記増速切換弁52を前記増速解除位置52cに保持する。
この増速解除位置52cに保持された増速切換弁52は、前記伸張増速位置52aと同様に前記弁側配管54bと前記シリンダ側配管60とを接続する伸張駆動用油路は維持するが、この伸張駆動用油路と前記シリンダ側配管58,62とを接続する伸張増速用油路は解消し、前記シリンダ側配管58,62を収縮駆動用配管56の供給用配管56a及び合流用配管56bにそれぞれ接続する。従って、前記油圧シリンダ10の各ロッド側室28,38から前記シリンダ側配管58,62にそれぞれ押し出された作動油は、前記収縮駆動用配管56を通じてタンクに逃がされる。すなわち、このときの収縮駆動用配管56は戻り用配管(タンクライン)として機能する。
この状態では、増速作用は消失するが、その分油圧シリンダ10の各ヘッド側室26,36に供給される油圧が高まる。この高い油圧は例えば前記被破砕物を破砕するのに十分な力を破砕機に与える。特に、この第1の実施の形態では、第2ピストンロッド31の第2ロッド部34が第2ピストン部32及び第2シリンダ室30よりも小径であるために、第1ピストンロッド18が両ヘッド側室26,36から受ける圧力の面積(受圧面積)が第2ロッド側室38の分だけオーバーラップしており、よって通常の油圧シリンダよりも高い伸張駆動力が前記第1ピストンロッド18に与えられる。
次に、前記破砕機を開く際には、前記方向切換弁50が前記伸張駆動位置50bから収縮駆動位置50cに切換えられる。これにより、前記油圧ポンプ12の吐出油が今度は収縮駆動用配管56に流入し、その圧力がシャトル弁66Bで高圧選択されて増速切換弁52の収縮側パイロットポート64Bにパイロット圧として入力される。
ここで、前記油圧ポンプ12の吐出圧が低いうちは、前記弁側配管54b内の圧力が低いために逆止弁付可変リリーフ弁68Aは閉弁状態を維持する。また、伸張駆動用配管54内の圧力も低い。従って、伸張側パイロットポート64Aに入力されるパイロット圧は低く、このパイロット圧を前記収縮側パイロットポート64Bに入力されるパイロット圧が上回るため、そのパイロット圧差が前記増速切換弁52を収縮増速位置52bに切換える。
この収縮増速位置52bに切換えられた増速切換弁52は、前記収縮駆動用配管56の供給用配管56aに分流する作動油をシリンダ側配管58に導く収縮駆動用油路を開通する。この作動油は、油圧シリンダ10のロッド側ポート44を通じて第1ロッド側室28に流入し、第1ピストンロッド18をシリンダ本体16に対して収縮方向に相対移動させる。すなわち、前記破砕機を開き方向に作動させる。
この収縮駆動時に、第1ヘッド側室26内の作動油はヘッド側ポート42を通じて伸張駆動用配管54のシリンダ側配管54aへ押し出され、同様に第2ヘッド側室36内の作動油はヘッド側油路46を通じてシリンダ側配管60内に押し出される。このうち、前記第2ヘッド側室36から押し出された作動油は、前記収縮増速位置52bにおける前記増速切換弁52の逆止弁67及び合流用配管56bを通じて前記供給用配管56aに供給される。すなわち、前記第1ロッド側室28に供給される作動油に合流する。この合流は、前記第1ロッド側室28に対する作動油供給流量を増やし、その結果、前記油圧シリンダ10の収縮駆動を増速する。この収縮駆動の増速は、単にヘッド側室とロッド側室との面積差を利用しただけの従来の増速装置では不可能であったものである。
一方、前記第2ロッド側室38は、前記ロッド側油路48、前記シリンダ側配管62、及び前記増速切換弁52を介して前記伸張駆動用配管54の弁側配管54bに接続される。そして、前記収縮駆動中、前記弁側配管54b内の作動油(タンクからの油もしくは前記第1ヘッド側室26からの油)を吸い込みながら膨張する。この作動油の吸い込みは、油圧シリンダ10からタンクへの戻り油を減量し、その分背圧の上昇を抑制する。
以上のような油圧シリンダ10の収縮駆動中に前記破砕機のいずれかの破砕アームが障害物に当たるなどして前記油圧シリンダ10の駆動負荷が増大すると、前記油圧ポンプ12の吐出圧すなわち収縮駆動用配管56内の圧力が急激に高まる。そして、この圧力が前記収縮駆動用配管56につながる逆止弁付可変リリーフ弁68Aの設定圧を上回った時点で同弁68Aが開弁し、当該圧力をシャトル弁66Aの入力ポートに入力する。このシャトル弁66Aは、前記圧力を高圧選択して前記増速切換弁52の伸張側パイロットポート64Aにパイロット圧として入力する。このパイロット圧は、前記収縮駆動用配管56aから前記シャトル弁66Bを通じて前記収縮側パイロットポート64Bに入力されるパイロット圧と釣り合うため、これらのパイロット圧は前記増速切換弁52を前記増速解除位置52cに保持する。
この増速解除位置52cに保持された増速切換弁52は、前記収縮増速位置52bと同様に前記供給用配管56aと前記シリンダ側配管58とを接続する収縮駆動用油路は維持するが、前記合流用配管56bと前記第2ヘッド側室36につながる前記シリンダ側配管60とを接続する収縮増速用油路は解消し、前記合流用配管56bには前記シリンダ側配管62を、前記弁側配管54bには前記シリンダ側配管60をそれぞれ接続する。この接続は、前記油圧ポンプ12の吐出油を前記第1ロッド側室28と前記第2ロッド側室38とに分配供給させる一方、前記第2ヘッド側室36内から前記へッド側油路46を通じて押し出される作動油を前記シリンダ側配管60及び前記伸張駆動用配管54を通じてタンクに逃がす。すなわち、このときの合流用配管56bは分配用配管として機能し、伸張駆動用配管54は戻り用配管(タンクライン)として機能する。
この装置において、前記増速切換弁52の増速解除位置52cおよび増速解除切換手段(図例では逆止弁付可変リリーフ弁68A,68B及びシャトル弁66A,66B)は必須のものではなく、仕様によって省略が可能である。また、収縮駆動の増速及び増速解除の切換と、伸張駆動の増速及び増速解除の切換とをそれぞれ別の切換弁で行うことも可能である。あるいは、伸張駆動についてはその増速を省略する(例えば前記増速切換弁52の伸張増速位置52aを省略する)ようにしてもよい。
図2は、本発明の第2の実施の形態に係る油圧シリンダ10及び油圧駆動装置を示すものである。この第2の実施の形態は、以下の点を除いて第1の実施の形態と共通する。
この第2の実施の形態では、前記第1の実施の形態における第2ロッド側室38及びこれにつながるロッド側油路48が省略されている。具体的には、前記図1に示した第2ピストンロッド31に代え、図2に示すように第2ピストン部32と第2ロッド部34とが同径の第2ピストンロッド31がシリンダ本体16内に形成されている。
前記第1の実施の形態と同様に、前記第2ピストン部32よりもロッド側端部18a側に形成される第2ヘッド側室36にはヘッド側油路46がつながるが、このヘッド側油路46はシリンダ本体16側に形成されている。具体的に、このヘッド側油路46は、前記第2ピストン部32の端面から前記第2ピストンロッド31′の中心軸上を通る部分と、この部分からヘッド側端部16aの側面に至る部分とからなっている。
油圧回路14においては、前記第1の実施の形態に係るシリンダ側配管62、伸張側のシャトル弁66A及び逆止弁付可変リリーフ弁68A、及び収縮駆動用配管56の合流用配管56bが省略され、当該収縮駆動用配管56は単管である。そして、前記第1の実施の形態に係る増速切換弁52に代え、これと同じく双方向増速切換弁である増速切換弁72が装備されている。
この増速切換弁72は、3位置4ポートのパイロット切換弁で構成される。すなわち、この増速切換弁72は、2つの一次側ポートと2つの二次側ポートとを有する。前記各一次側ポートは、前記伸張駆動用配管54の弁側配管54b及び前記収縮駆動用配管56にそれぞれ接続される。また、前記各二次側ポートは、油圧シリンダ10のロッド側ポート44につながるシリンダ側配管58及び前記ヘッド側油路46につながるシリンダ側配管60にそれぞれ接続される。
この増速切換弁72は、伸張増速位置72aと、収縮増速位置72bと、伸張増速解除位置72cとを有するとともに、伸張側パイロットポート74A及び収縮側パイロットポート74Bを有し、前記伸張側パイロットポート74Aに入力されるパイロット圧が前記収縮側パイロットポート74Bに入力されるパイロット圧を上回る場合には前記伸張増速位置72aに切換わり、逆に前記収縮側パイロットポート74Bに入力されるパイロット圧が前記伸張側パイロットポート74Aに入力されるパイロット圧を上回る場合には前記収縮増速位置72bに切換わり、前記両パイロットポート74A,74Bに入力されるパイロット圧が同等の場合(両パイロット圧が0の場合を含む。)には前記伸張増速解除位置72cを保つ。
前記伸張増速位置72aは、前記油圧シリンダ10の伸張駆動を増速させるための位置であって、具体的には次のような配管接続を行うための位置である。
A1)伸張駆動用配管54の弁側配管54bを前記シリンダ側配管60に接続する伸張駆動用油路を完成する。
A2)前記収縮駆動用配管56をブロックする。
A3)前記油圧シリンダ10のヘッド側ポート44につながるシリンダ側配管58を逆止弁75を介して前記伸張駆動用油路に接続する伸張増速用油路を完成する。前記逆止弁75は前記シリンダ側配管58側から前記伸張駆動用油路側への作動油の流れのみを許容する。
一方、前記収縮増速位置72bは、収縮増速用油路を形成するための位置であって、具体的には次のような配管接続を行うための位置である。
B1)収縮駆動用配管56を前記シリンダ側配管58に接続する収縮駆動用油路を形成する。
B2)前記伸張駆動用配管54の弁側配管54bをブロックする。
B3)前記ヘッド側油路46につながるシリンダ側配管60を前記収縮駆動用油路に逆止弁77を介して接続する収縮増速用油路を完成する。前記逆止弁77は、前記シリンダ側配管60側から前記収縮駆動用油路側への作動油の流れのみを許容する。
また、前記伸張増速解除位置72cは、前記伸張駆動の増速を解除するための位置であって、伸張駆動用配管54の弁側配管54bを前記シリンダ側配管60に接続し、かつ、前記収縮駆動用配管56を前記シリンダ側配管58に接続する位置である。
この油圧駆動装置の作用は次のとおりである。
まず、油圧シリンダ10が収縮し、かつ、方向切換弁50が中立位置50aにある初期状態から当該方向切換弁50が伸張駆動位置50bに切換えられると、前記第1の実施の形態と同様に、油圧ポンプ12の吐出油が伸張駆動用配管54のシリンダ側配管54aと弁側配管54bとに分流し、前記シリンダ側配管54aに分流した作動油は油圧シリンダ10のヘッド側ポート42を通じて第1ヘッド側室26内に流入するとともに、その圧力が増速切換弁72の伸張側パイロットポート74Aにパイロット圧として入力される。
前記油圧ポンプ12の吐出圧が低いうちは、前記伸張駆動用配管54内の圧力が低いために逆止弁付可変リリーフ弁68Bは閉弁状態を維持し、かつ、収縮駆動用配管56内の圧力も低いため、収縮側パイロットポート64B側のパイロット圧を伸張側パイロットポート64A側のパイロット圧が上回って前記増速切換弁72を伸張増速位置72aに切換える。この伸張増速位置72aに切換えられた増速切換弁72は、前記弁側配管54b側に分流した作動油をシリンダ側配管60に導く伸張駆動用油路を開通し、当該作動油を油圧シリンダ10のヘッド側油路46を通じて第2ヘッド側室36に流入させる。従って、前記油圧ポンプ10の吐出油は前記第1ヘッド側室26と前記第2ヘッド側室36とに分配供給され、その圧力が前記油圧シリンダ10の第1ピストンロッド18をシリンダ本体16に対して伸張方向に相対移動させる。すなわち、前記油圧シリンダ10に連結される機械(例えば破砕機)を閉じ方向に作動させる。
この伸張駆動時に、第1ロッド側室28内の作動油はロッド側ポート44を通じてシリンダ側配管58へ押し出され、前記伸張増速位置72aにおける前記増速切換弁72の逆止弁75を通じて前記伸張駆動用油路に供給される。すなわち、当該作動油は当該伸張駆動用油路を通じて前記第2ヘッド側室36または前記第1ヘッド側室26に供給される作動油に合流する。この合流は、前記油圧シリンダ10への作動油供給流量を増やし、その結果、同シリンダ10の伸張駆動を増速する。
以上のような油圧シリンダ10の伸張駆動が進んで例えば前記破砕機の両破砕アームが被破砕物に当接すると、その当接時点から前記油圧シリンダ10の駆動負荷が増大し、伸張駆動用配管54内の圧力が急激に高まって逆止弁付可変リリーフ弁68Bを開弁させる。この圧力はシャトル弁66Bで高圧選択されて前記増速切換弁72の収縮側パイロットポート64Bにパイロット圧として入力される。このパイロット圧は前記伸張側パイロットポート64A側のパイロット圧と釣り合い、前記増速切換弁72を伸張増速解除位置72cに保持する。
この伸張増速解除位置72cに保持された増速切換弁72は、前記伸張増速位置72aと同様に前記弁側配管54bと前記シリンダ側配管60とを接続する伸張駆動用油路は維持するが、この伸張駆動用油路と前記シリンダ側配管58とを接続する合流用油路は解消し、前記シリンダ側配管58を収縮駆動用配管56に接続する。従って、前記第1ロッド側室28から押し出される作動油は前記シリンダ側配管58及び収縮駆動用配管56を通じてタンクに逃がされる。この状態では、増速作用は消失するが、その分油圧シリンダ10の各ヘッド側室26,36に供給される油圧が高まる。
次に、前記破砕機を開く際には、前記方向切換弁50が前記伸張駆動位置50bから収縮駆動位置50cに切換えられて前記油圧ポンプ12の吐出油が収縮駆動用配管56に流入し、その圧力がシャトル弁66Bで高圧選択されて増速切換弁72の収縮側パイロットポート64Bにパイロット圧として入力される。このパイロット圧は前記増速切換弁72を収縮増速位置72bに切換える。
この収縮増速位置72bに切換えられた増速切換弁72は、前記収縮駆動用配管56の供給用配管56aに分流する作動油をシリンダ側配管58に導く収縮駆動用油路を開通し、この作動油を油圧シリンダ10のロッド側ポート44を通じて第1ロッド側室28に流入させて、第1ピストンロッド18をシリンダ本体16に対して収縮方向に相対移動させる。すなわち、前記破砕機を開き方向に作動させる。
この収縮駆動時に、第2ヘッド側室36内からへッド側油路46を通じてシリンダ側配管60へ押し出される作動油は、前記収縮増速位置72bにおける前記増速切換弁72の逆止弁77を通じて前記収縮駆動用油路に供給される。すなわち、前記第1ロッド側室28に供給される作動油に合流する。この合流は、前記第1ロッド側室28に対する作動油供給流量を増やし、その結果、前記油圧シリンダ10の収縮駆動を増速する。
従って、この第2の実施の形態においても、前記第2ヘッド側室36内の作動油を利用することにより有効な収縮駆動の増速が達成される。
本発明の第1の実施の形態に係る油圧駆動装置を示す全体図である。 本発明の第2の実施の形態に係る油圧駆動装置を示す全体図である。
符号の説明
10 油圧シリンダ
12 油圧ポンプ
14 油圧回路
16 シリンダ本体
16a ヘッド側端部
18 ピストンロッド
18a ロッド側端部
20 第1シリンダ室
22 第1ピストン部
24 第1ロッド部
26 第1ヘッド側室
28 第1ロッド側室
30 第2シリンダ室
31 第1ピストンロッド
32 第2ピストン部
34 第2ロッド部
36 第2ヘッド側室
38 第2ロッド側室
46 ヘッド側油路
48 ロッド側油路
50 方向切換弁
50a 中立位置
50b 伸張駆動位置
50c 収縮駆動位置
52 増速切換弁(双方向増速切換弁)
52a 伸張増速位置
52b 収縮増速位置
52c 増速解除位置
54 伸張駆動用配管
56 収縮駆動用配管
58,60,62 シリンダ側配管
68A 逆止弁付可変リリーフ弁(収縮増速解除切換手段)
68B 逆止弁付可変リリーフ弁(収縮増速解除切換手段)
72 増速切換弁(伸張増速切換弁)
72a 伸張増速位置
72b 収縮増速位置
72c 伸張増速解除位置

Claims (10)

  1. 伸縮可能な油圧シリンダであって、
    第1シリンダ室を囲むシリンダ本体と、
    前記第1シリンダ室内をその軸方向に区画して第1ヘッド側室と第1ロッド側室とを形成するように当該第1シリンダ室内に装填される第1ピストン部及びこの第1ピストン部から前記第1ロッド側室側に延びて前記シリンダ本体の外部に突出する第1ロッド部を有する第1ピストンロッドとを備え、
    前記第1ロッド部は、前記第1シリンダ室の軸方向と平行な方向に延びる第2シリンダ室を内部に有し、
    前記シリンダ本体は、前記第1シリンダ室内で前記第1ヘッド側室側から第1ロッド側室側に延びる第2ピストンロッドを有し、この第2ピストンロッドの端部は、前記第2シリンダ室内に装填される第2ピストン部を構成し、この第2ピストン部は前記第2シリンダ室内で前記第2ピストン部よりも前記ロッド部の先端側の空間を密閉して第2ヘッド側室を形成するものであり、
    前記シリンダ本体または前記第1ピストンロッドは、前記第2ヘッド側室内を前記油圧シリンダの外部に連通するためのヘッド側油路を有することを特徴とする油圧シリンダ。
  2. 請求項1記載の油圧シリンダにおいて、
    前記第2ピストンロッドは、前記第2シリンダ室の内径よりも小さな外径を有して前記第1ヘッド側室側から第1ロッド側室側に延びる第2ロッド部を有し、前記第2ピストン部は前記第2ロッド部の先端に位置して前記第2シリンダ室内を前記第2ヘッド側室と前記第2ロッド部の周囲の第2ロッド側室とに区画し、
    前記シリンダ本体は前記第2ロッド側室内を前記油圧シリンダの外部に連通するためのロッド側油路を有することを特徴とする油圧シリンダ。
  3. 請求項1または2記載の油圧シリンダと、油圧ポンプと、この油圧ポンプの吐出油を前記油圧シリンダに導いて当該油圧シリンダを伸縮させる油圧回路とを備えた油圧駆動装置であって、
    前記油圧回路は、前記油圧ポンプの吐出油を前記第1ヘッド側室内及び前記第2ヘッド側室内に導いて前記第1ロッド側室内の作動油を前記油圧シリンダの外部に排出させるための伸張駆動用油路と、前記油圧ポンプの吐出油を前記第1ロッド側室内に導いて前記第1ヘッド側室内の作動油を前記油圧シリンダの外部に排出させるための収縮駆動用油路と、前記油圧シリンダの収縮駆動時に前記第2ヘッド側室から前記ヘッド側油路を通じて押し出される作動油を前記第1ロッド側室に供給される吐出油に合流させるための収縮増速用油路とを含むことを特徴とする油圧駆動装置。
  4. 請求項3記載の油圧駆動装置において、
    前記油圧回路は、前記油圧ポンプと前記油圧シリンダとの間に介在する1または複数の切換弁を有し、
    当該切換弁は、前記伸張駆動用油路を完成する位置と前記収縮駆動用油路及び前記収縮増速用油路を完成する位置とに切換可能であることを特徴とする油圧駆動装置。
  5. 請求項4記載の油圧駆動装置であって、
    前記切換弁には、前記収縮増速用油路を完成する収縮増速位置と前記収縮増速用油路を解除して前記第2ヘッド側室をタンクに連通させる収縮増速解除位置とに切換可能な収縮増速切換弁が含まれることを特徴とする油圧駆動装置。
  6. 請求項5記載の油圧駆動装置において、
    前記油圧回路は、前記油圧ポンプの吐出圧が一定圧を上回る場合にのみ前記収縮増速切換弁を前記収縮解除位置に切換える収縮増速解除切換手段を有することを特徴とする油圧駆動装置。
  7. 請求項3〜6のいずれかに記載の油圧駆動装置において、
    前記油圧シリンダとして請求項2記載の油圧シリンダを備え、
    前記伸張駆動用油路は、前記油圧シリンダの伸張駆動時に前記第1ロッド側室及び第2ロッド側室から押し出される作動油を前記第1ヘッド側室または前記第2ヘッド側室に供給される前記油圧ポンプの吐出油に合流させるための伸張増速用油路を含むことを特徴とする油圧駆動装置。
  8. 請求項7記載の油圧駆動装置において、
    前記油圧回路は、前記伸張増速用油路を完成する伸張増速位置と前記伸張増速用油路を解除して前記第1ロッド側室及び前記第2ロッド側室をタンクに連通させる伸張増速解除位置とに切換可能な伸張増速切換弁を含むことを特徴とする油圧駆動装置。
  9. 請求項8記載の油圧駆動装置において、
    前記油圧回路は、前記油圧ポンプの吐出圧が一定以上の場合にのみ前記伸張増速切換弁を前記伸張増速解除位置に切換える伸張増速解除切換手段を有することを特徴とする油圧駆動装置。
  10. 請求項8または9記載の油圧駆動装置において、
    前記伸張増速切換弁は、前記伸張増速位置及び前記伸張増速解除位置に加えて、前記収縮増速用油路を完成する収縮増速位置に切換可能な双方向増速切換弁であり、前記伸張増速解除位置は、前記収縮増速用油路を解除して前記第2ヘッド側室をタンクに連通させる収縮増速解除位置を兼ねることを特徴とする油圧駆動装置。
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