特許文献1が開示する増速回路は、可動あごの閉動作を速くするが開動作が変らない。説明を簡単にするため、作動ピストンを移動させたときの作動ボトム側区画と作動ロッド側区画との油の給排割合を2:1と仮定する。また、ポンプからロッド側ライン(作動シリンダのロッド側区画に接続される油圧ラインをロッド側ラインと呼ぶ。)又はボトム側ラインを通じて流量「1」の油が供給されるとする。可動あごを閉じる場合、作動ロッド側区画から排出される油がボトム側ラインに戻され、作動ボトム側区画へ供給される油に追加される。このため、ポンプからボトム側ラインを通じて流量「1」の油が作動ボトム側区画へ供給されると、作動ロッド側区画から流量「1」の油がボトム側ラインに戻され、作動ボトム側区画へ流量「2」の油が供給されるようになり、増速回路がない場合に比べて可動あごの閉動作を2倍速くする。
これに対し、可動あごを開く場合、ポンプから流量「1」の油がそのまま作動ロッド側区画へ供給されるため、可動あごの開動作は速くならない。むしろ、作動ボトム側区画から流量「2」の油が排出されるため、ボトム側ラインに発生する圧損によりロッド側ラインに供給する油がポンプの特性により減少し、作動ピストンの移動は少なからず減速する。破砕機は、通常多量の油を要する可動あごの閉動作が速くなれば十分で、増速回路も前記閉動作を速くできればよいと考えることもできるが、破砕作業全般の時間短縮を鑑みた場合、逆に可動あごの開動作が遅くなるようでは意味がない。これから、建設機械の破砕機に用いられる作動シリンダにおける作動ロッドの伸長及び縮短をいずれも増速することが検討される。
ここで、特許文献1が開示する増速回路は、作動シリンダが一般に見られる通常の油圧シリンダを適用対象としている。これは、既に普及している破砕機の作動シリンダに増速機能を追加しようとする場合、当然の対応であるが、より積極的に作動ロッドの伸長を増速させたり、更に作動ロッドの縮短をも増速させたりすることを考えた場合は、増速回路の働きをよりよく享受する専用の作動シリンダを用い、増速回路と前記専用の作動シリンダとを組み合わせた増速機能付アクチュエータとする方が好ましい。そこで、建設機械の破砕機に用いられる作動シリンダにおける作動ロッドの伸長及び縮短をいずれも増速できるように、増速回路と専用の作動シリンダとを組み合わせた増速機能付アクチュエータについて検討した。
検討の結果、外部に仕事をする作動シリンダ(1)と、外部に仕事をしない反転シリンダ(2)と、油圧ラインを切り換える伸長時切換バルブ(3)とから構成される増速機能付アクチュエータを開発した。作動シリンダ(1)は、作動ロッド(14)の内部に形成したロッド内区画(141)に作動ボトム側区画(11)から減容ロッド(111)を挿入し、作動ボトム側区画(11)の断面積を前記減容ロッド(111)分だけ小さくした油圧シリンダである。反転シリンダ(2)は、反転ボトム側区画(21)と反転ロッド側区画と(22)の油の給排割合が減容ロッド(111)分だけ断面積を小さくした作動ボトム側区画(11)と作動ロッド側区画(12)との断面積比に等しくした油圧シリンダである。そして、伸長時切換バルブ(3)は、作動ロッド(14)の無負荷伸長時及び縮短時に、作動ボトム側区画(11)と反転ボトム側区画(21)とを連通させる無負荷伸長時経路(32)と、作動ロッド(14)の負荷伸長時に、ポンプと作動ボトム側区画(11)とを連通させ、かつタンクと反転ボトム側区画(21)とを連通させる負荷伸長時経路(33)とを切り換える2位置切換型である。本発明の増速機能付アクチュエータは、更にポンプに接続されるロッド内区画用ボトム側ライン(53)をロッド内区画(141)に接続して構成される。本発明では、作動シリンダ同様、反転シリンダにおける各部を「反転〜」と呼ぶ。
反転シリンダ(2)は、反転ボトム側区画(21)と反転ロッド側区画(22)との油の給排割合が減容ロッド(111)分だけ断面積を小さくした作動ボトム側区画(11)と作動ロッド側区画(12)との断面積比に等しければ、例えば反転チューブ(25)の内径や反転ピストン(23)の移動範囲が、作動チューブ(15)の内径や作動ピストン(13)の移動範囲と異なってもよい。また、作動シリンダ(1)と反転シリンダ(2)とは、それぞれ複数あってもよい。この場合、全反転シリンダ(2)の反転ボトム側区画(21)合計と反転ロッド側区画(22)合計との油の給排割合が、全作動シリンダ(1)の減容ロッド(111)分だけ断面積を小さくした作動ボトム側区画(11)合計と作動ロッド側区画(12)合計との断面積比に等しければよい。
本発明の増速機能付アクチュエータは、反転シリンダ(2)と伸長時切換バルブ(3)とにより、油の流量優先と推力優先とを切り換える機能選択機構を構成する。まず、作動ロッド(14)の無負荷伸長時では、断面積の小さなロッド内区画(141)へポンプから油を直接送り込むと共に、伸長時切換バルブ(3)の無負荷伸長時経路(32)を介して、作動ロッド側区画(12)から排出される油を反転シリンダ(2)の反転ロッド側区画(12)に送り込み、減容ロッド(111)分だけ断面積を小さくした作動ボトム側区画(11)と作動ロッド側区画(12)との断面積比に等しい割合で増量した油を反転ボトム側区画(21)から排出し、断面積を減容ロッド(111)分だけ小さくした作動ボトム側区画(11)に送り込むことで、作動ロッドの伸長を増速する。
これに対し、作動ロッド(14)の負荷伸長時では、断面積の小さなロッド内区画(141)と断面積を減容ロッド(111)分だけ小さくした作動ボトム側区画(11)とにポンプから油を直接送り込むと共に、伸長時切換バルブ(3)が負荷伸長時経路(33)に切り換わり、作動ロッド側区画(12)から排出される油を反転シリンダ(2)に送り込み、減容ロッド(111)分だけ断面積を小さくした作動ボトム側区画(11)と作動ロッド側区画(12)との断面積比に等しい割合で増量した油を反転ボトム側区画(21)から排出してタンクへ戻すことで、作動ロッドの伸長に際する推力を確保し、作動ピストン(13)と反転ピストン(23)との移動を同期させる。伸長時切換バルブ(3)の伸長時パイロットライン31は、ポンプに接続される油圧ライン(例えばポンプと伸長時切換バルブ(3)とを結ぶ伸長時ボトム側ライン(51)等)に接続する。
作動ロッド(14)の縮短をも増速するには、更に縮短時切換バルブ(4)を加えて増速機能付アクチュエータを構成する。縮短時切換バルブ(4)は、作動ロッド(14)の伸長時に、作動ロッド側区画(12)と反転ロッド側区画(22)とを連通させる伸長時経路(42)と、作動ロッド(14)の縮短時に、ポンプと作動ロッド側区画(12)とを連通させ、かつタンクと反転ロッド側区画(22)とを連通させる縮短時経路(43)とを切り換える2位置切換型である。この場合、作動ロッド(14)の伸長に際し、上述した無負荷伸長時及び負荷伸長時の別を問わず、縮短時切換バルブ(4)の伸長時経路(42)を介して、作動ロッド側区画(12)から排出される油を反転シリンダ(2)の反転ロッド側区画(22)に送り込む。
これに対して、作動ロッド(14)の縮短時では、縮短時切換バルブ(4)が縮短時経路(43)に切り換わり、作動ロッド側区画(12)へポンプから油を直接送り込み、ロッド内区画(141)からタンクへ油を直接戻すと共に、伸長時切換バルブ(3)を介して作動ボトム側区画(11)から排出される油を反転シリンダ(2)の反転ボトム側区画(21)に送り込み、減容ロッド(111)分だけ断面積を小さくした作動ボトム側区画(11)と作動ロッド側区画(12)との断面積比に等しい割合で減量した油を反転ロッド側区画(22)から排出してタンクへ戻すことで、圧損の発生を抑制し、従来に比べて作動ロッド(14)の縮短を増速する。縮短時切換バルブ(4)の縮短時パイロットライン41は、ポンプに接続される油圧ライン(例えばポンプと縮短時切換バルブ(4)とを結ぶ縮短時ロッド側ライン(61)等)に接続する。
このほか、本発明の増速機能付アクチュエータは、伸長時切換バルブ(3)と縮短時切換バルブ(4)とを組み合わせることにより、作動ロッド(14)の伸長時及び縮短時いずれでも作動ピストン(13)と反転ピストン(23)とを同期させるピストン同期機構を構成する。これにより、作動ピストン(13)と反転ピストン(23)とを同じだけ移動させ、反転ピストン(23)が先に反転チューブ(25)の始端又は終端に到達する等、反転ピストン(23)が作動ピストン(13)の移動を妨げる虞をなくすことができる。
本発明の増速機能付アクチュエータにより、作動ロッド(14)の伸長及び縮短をいずれも増速する作動シリンダ(1)が提供できるようになる。具体的には、作動ロッド(14)の伸長に際して送り込む油の流量を増やし、また作動ロッド(14)の縮短に際して作動ボトム側区画(11)から排出される油による圧損の発生を抑制して、作動ロッド(14)の伸長及び縮短双方を増速する(従来生じていた圧損による減速がなくなり、従来に比べて増速する)。また、作動シリンダ(1)は単数のみならず、複数であってもよいため、例えば本発明の増速機能付アクチュエータを破砕機に利用する場合、1基の作動シリンダ(1)を用いた構成により片あご式破砕機が実現され、2基の作動シリンダ(1)を用いた構成により両あご式破砕機が実現される。こうして、本発明を適用した片あご式又は両あご式破砕機は、可動あごの開動作及び閉動作をいずれも速くして、破砕作業の作業時間を短縮させる。
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。まず、本例の増速機能付アクチュエータの構成を説明する。本例の増速機能付アクチュエータは、図1?図3に見られるように、作動シリンダ(1)、反転シリンダ(2),(2)、伸長時切換バルブ(3)及び縮短時切換バルブ(4)を相互に油圧ラインで接続し、構成される。本例は、作動ロッド(14)の伸長時又は縮短に際して反転シリンダ(2)の反転ピストン(23)が始端又は終端に達してロッド側ライン(6)に過剰な油圧が発生した場合に対応するため、前記作動ロッド側区画(12)に接続されたロッド側ライン(6)と縮短時ロッド側ライン(61)とを、ロッド側リリーフバルブ(631)を設けたロッド側戻り迂回ライン(63)により接続し、前記ロッド側ライン(6)とロッド内区画用ボトム側ライン(53)とを、ボトム側リリーフバルブ(631)を設けたボトム側戻り迂回ライン(64)により接続している。
作動シリンダ(1)は、作動ロッド(14)を突出させた作動ピストン(13)により作動チューブ(15)を作動ボトム側区画(11)と作動ロッド側区画(12)とに分け、作動ロッド(14)の内部に形成したロッド内区画(141)に作動ボトム側区画(11)から減容ロッド(111)を挿入し、作動ボトム側区画(11)の断面積を前記減容ロッド(111)分だけ小さくした油圧シリンダで、外部に仕事をする主たる油圧シリンダである。作動シリンダ(1)は、外部に仕事をする油圧シリンダであるから、仕様要求に応じて作動チューブ(15)の内径や作動ピストン(13)の移動範囲等を決定する。本例は1基の作動シリンダ(1)であるが、複数基の作動シリンダ(1)を用いてもよい。
本例の作動シリンダ(1)は、減容ロッド(111)を貫通するロッド内区画用ボトム側ライン(53)により、作動ロッド(14)の伸長時にロッド内区画(141)とポンプとを接続する(図1及び図2参照)。ロッド内区画用ボトム側ライン(53)は、作動ロッド(14)の縮短時にロッド内区画(141)とタンクとを接続する(図3参照)。ロッド内区画用ボトム側ライン(53)から2本の油圧ラインが分岐され、一方の伸長時ボトム側ライン(51)が伸長時切換バルブ(3)のポートAに、また他方の縮短時ボトム側ライン(52)が縮短時切換バルブ(4)のポートEに、それぞれ接続される。図示では、伸長時ボトム側ライン(51)から縮短時ボトム側ライン(52)が分岐し、伸長時切換バルブ(3)の伸長時パイロットライン(31)を縮短時ボトム側ライン(52)に接続している。
反転シリンダ(2)は、反転ロッド(24)を突出させた反転ピストン(23)により反転チューブ(25)を反転ボトム側区画(21)と反転ロッド側区画(22)とに分けた油圧シリンダで、外部に仕事をしない油圧シリンダである。反転シリンダ(2)は、仕様要求に応じて決定された作動シリンダ(1)を基準として仕様が決定される。具体的に、反転ボトム側区画(21)と反転ロッド側区画(22)との油の給排割合が減容ロッド(111)分だけ断面積を小さくした作動ボトム側区画(11)と作動ロッド側区画(12)との断面積比に等しくするように反転チューブ(25)の内径が決定され、反転ピストン(23)の移動範囲が作動ピストン(13)以上に決定される。本例は2基の反転シリンダ(2),(2)を用い、全反転シリンダ(2)の反転ボトム側区画(21)合計と反転ロッド側区画(22)合計との油の給排割合が、減容ロッド(111)分だけ断面積を小さくした作動ボトム側区画(11)と作動ロッド側区画(12)との断面積比に等しくしている。
伸長時切換バルブ(3)は、作動ロッド(14)の無負荷伸長時と負荷伸長時とで油圧ラインを切り換える2位置切換型である。具体的には、作動ロッド(14)の無負荷伸長時及び縮短時に、ポートA及びポートBを閉じ、ポートCとポートDとを接続することにより、作動ボトム側区画(11)に接続した作動ボトム側ライン(5)と反転ボトム側区画(21)に接続した反転ボトム側ライン(26)とを連通させる無負荷伸長時経路(32)を常態とするように付勢(図1中左方向に付勢)してあり、作動ロッド(14)の負荷伸長時、すなわち作動ロッド(14)が何らかの負荷を受けた時(図2参照)に、ポートAとポートCとを接続し、ポートBとポートDとを接続することにより、ポンプに接続される伸長時ボトム側ライン(51)と前記作動ボトム側ライン(5)とを連通させ、かつタンクに接続される伸長時ロッド側ライン(62)と前記反転ボトム側ライン(26)とを連通させる負荷伸長時経路(33)に切り換える。
本例の伸長時切換バルブ(3)は、既述したように、作動シリンダ(1)のロッド内区画(141)に接続されるロッド内区画用ボトム側ライン(53)から分岐した伸長時ボトム側ライン(51)がポートAに接続されるほか、反転ボトム側区画(21)から延びる反転ボトム側ライン(26)をポートDに、作動ボトム側区画(11)から延びるボトム側ライン(5)をポートCに、そして作動ロッド(14)の伸長時にタンクと接続され(図1及び図2参照)、縮短時にポンプと接続(図3参照)される縮短時ロッド側ライン(61)から分岐した伸長時ロッド側ライン(62)をポートBに、それぞれ接続している。本例は反転シリンダ(2)を2基用いているから、反転ボトム側ライン(26)は分岐して、それぞれの反転ボトム側区画(21)に接続されている。
縮短時切換バルブ(4)は、作動ロッド(14)の伸長時と縮短時とで油圧ラインを切り換える2位置切換型である。具体的には、作動ロッド(14)の伸長時(無負荷伸長時と負荷伸長時とを問わない)に、ポートE及びポートFを閉じ、ポートGとポートHとを接続することにより、作動ロッド側区画(12)に接続した作動ロッド側ライン(6)と反転ロッド側区画(22)に接続した反転ロッド側ライン(27)とを連通させる伸長時経路(42)を常態とするように付勢(図1中左方向に付勢)してあり、作動ロッド(14)の縮短時に、ポートEとポートGとを接続し、ポートFとポートHとを接続することにより、ポンプに接続される縮短時ロッド側ライン(61)と前記作動ロッド側ライン(6)とを連通させ、かつタンクに接続される縮短時ボトム側ライン(52)と前記反転ロッド側ライン(27)とを連通させる縮短時経路(43)に切り換える。
本例の縮短時切換バルブ(4)は、既述したように、作動シリンダ(1)のロッド内区画(141)に接続されるロッド内区画用ボトム側ライン(53)から分岐した縮短時ボトム側ライン(52)がポートEに接続されるほか、作動ロッド(14)の伸長時にタンクと接続され(図1及び図2参照)、縮短時にポンプと接続(図3参照)される縮短時ロッド側ライン(61)をポートFに、反転ロッド側区画(22)から延びる反転ロッド側ライン(27)をポートGに、そして作動ロッド側区画(12)から延びるロッド側ライン(6)をポートHに、それぞれ接続している。本例は反転シリンダ(2)を2基用いているから、既述した反転ボトム側ライン(26)と同様に、反転ロッド側ライン(27)は分岐して、それぞれの反転ロッド側区画(22)に接続されている。
次に、本例の増速機能付アタッチメントの働きを作動ロッド(14)の伸長及び縮短に従って説明する。説明を簡単にするため、減容ロッド(111)分だけ断面積を小さくした作動ボトム側区画(11)、作動ロッド側区画(12)及びロッド内区画(141)の断面積比が3:2:1と仮定する。これから、本例の反転シリンダ(2)は、反転ボトム側区画(21)合計と反転ロッド側区画(22)合計との油の給排割合が3:2である。ロッド内区画用ボトム側ライン(53)及び縮短時ロッド側ライン(61)は、一方がポンプに接続されると他方がタンクに接続されるように、切換バルブ(図示略)を介してそれぞれがポンプ又はタンクに接続される。そして、ポンプに接続されたロッド内区画用ボトム側ライン(53)及び縮短時ロッド側ライン(61)は、流量「1」の油を供給すると仮定する。また、各図において、作動シリンダ(1)に向けて供給される油は黒塗り矢印、作動シリンダ(1)から排出されてタンクへ戻される油は白抜き矢印で表している。
作動ロッド(14)の無負荷伸長時では、図1に見られるように、伸長時切換バルブ(3)は、無負荷伸長時経路(32)によりポートCとポートDとを接続して、作動ボトム側区画(11)に接続した作動ボトム側ライン(5)と、反転ボトム側区画(21)に接続した反転ボトム側ライン(26)とを連通させる。また、縮短時切換バルブ(4)は、伸長時経路(42)によりポートGとポートHとを接続して、作動ロッド側区画(12)に接続した作動ロッド側ライン(6)と、反転ロッド側区画(22)に接続した反転ロッド側ライン(27)とを連通させる。
ポンプから供給される流量「1」の油は、ロッド内区画用ボトム側ライン(53)を通じてすべてロッド内区画(141)に送り込まれる。また、作動ロッド側区画(12)から排出された流量の油は、ロッド側ライン(6)、縮短時切換バルブ(4)のポートGからポートH、そして反転ロッド側ライン(27)を通じて反転ロッド側区画(22)に送り込まれ、反転ピストン(23)を押して反転ロッド(24)を縮短させる。これにより、給排割合に応じて増量された流量の油が、反転ボトム側区画(21)から排出される。そして、反転ボトム側区画(21)から排出された油は、反転ボトム側ライン(26)、伸長時切換バルブ(3)のポートDからポートC、そしてボトム側ライン(5)を通じて作動ボトム側区画(11)に送り込まれる。これは、減容ロッド(111)を含まない作動ボトム側区画(11)の断面積(作動チューブ(15)の断面積)より小さなロッド内区画(141)にのみ、ポンプから流量「1」の油が送り込まれることを意味する。こうして、本発明における作動シリンダ(1)は、減容ロッド(111)を有さない従来の油圧シリンダのロッドを伸長する場合に比べ、作動ロッド(14)の伸長を増速させる。
作動ロッド(14)の負荷伸長時では、図2に見られるように、負荷に対向して発生する油圧が伸長時パイロットライン(31)により伸長時切換バルブ(3)に加えられ、無負荷伸長時経路(32)から負荷伸長時経路(33)に切り換わる。これにより、ポートA及びポートC、ポートB及びポートDを接続して、作動ボトム側区画(11)に接続した作動ボトム側ライン(5)と、ポンプに接続した伸長時ボトム側ライン(51)とを連通させ、かつ反転ボトム側区画(21)に接続した反転ボトム側ライン(26)と、タンクに接続した伸長時ロッド側ライン(62)とを連通させる。これに対し、縮短時切換バルブ(4)は、作動ロッド(14)の無負荷伸長時と同じで、伸長時経路(42)によりポートGとポートHとを接続して、作動ロッド側区画(12)に接続したロッド側ライン(6)と、反転ロッド側区画(22)に接続した反転ロッド側ライン(27)とを連通させる。
ポンプから供給される流量「1」の油は、ロッド内区画用ボトム側ライン(53)を通じてロッド内区画(141)に送り込まれるほか、前記ロッド内区画用ボトム側ライン(53)から分岐した伸長時ボトム側ライン(51)、伸長時切換バルブ(3)のポートAからポートC、そしてボトム側ライン(5)を通じて作動ボトム側区画(11)に送り込まれ、作動ピストン(13)を押して作動ロッド(24)を伸長させる。油の流量は変らないが、ポンプからの油圧をそのままに作動ピストン(13)を押すので、作動ロッド(14)の推力が確保される。
作動ピストン(13)の移動により作動ロッド側区画(12)から排出された油は、ロッド側ライン(6)、縮短時切換バルブ(4)のポートGからポートH、そして反転ロッド側ライン(27)を通じて反転ロッド側区画(22)に送り込まれ、反転ピストン(23)を押して反転ロッド(24)を縮短させる。これにより、反転ボトム側区画(21)から排出された油は、反転ボトム側ライン(26)、伸長時切換バルブ(3)のポートDからポートB、伸長時ロッド側ライン(62)、そして縮短時ロッド側ライン(61)を通じてタンクに戻される。
作動ロッド(14)の縮短時では、図3に見られるように、縮短時ロッド側ライン(61)に発生する油圧が縮短時パイロットライン(41)により縮短時切換バルブ(4)に加えられ、伸長時経路(42)から縮短時経路(43)に切り換わる。これにより、ポートE及びポートG、ポートF及びポートHを接続して、作動ロッド側区画(12)に接続した作動ロッド側ライン(6)と、ポンプに接続した縮短時ロッド側ライン(61)とを連通させ、かつ反転ロッド側区画(22)に接続した反転ロッド側ライン(27)と、タンクに接続した縮短時ボトム側ライン(52)とを連通させる。これに対し、伸長時切換バルブ(3)は、作動ロッド(14)の無負荷伸長時と同じで、無負荷伸長時経路(32)によりポートCとポートDとを接続して、作動ボトム側区画(11)に接続したボトム側ライン(5)と、反転ボトム側区画(21)に接続した反転ボトム側ライン(26)とを連通させる。
ポンプから供給される流量「1」の油は、当初、縮短時ロッド側ライン(61)が接続された縮短時切換バルブ(4)の伸長時経路(42)における閉じたポートFと、前記縮短時ロッド側ライン(61)に接続された伸長時ロッド側ライン(63)のロッド側リリーフバルブ(631)に遮られ、油圧を発生させる。縮短時切換バルブ(4)は、前記油圧により、伸長時経路(42)縮短時経路(43)に切り換わる。これにより、縮短時ロッド側ライン(61)、縮短時切換バルブ(4)のポートFからポートH、そしてロッド側ライン(6)を通じて作動ロッド側区画(12)に送り込まれ、作動ピストン(13)を押して作動ロッド(24)を縮短させる。このとき、作動ロッド側区画(12)に送り込んだ油で、作動ボトム側区画(11)及びロッド内区画(141)から油を排出しながら作動ピストン(13)を押す関係から、縮短時ロッド側ライン(61)に油圧が発生し続け、縮短時切換バルブ(4)の切り換わりが維持される。
作動ピストン(13)の移動により作動ボトム側区画(11)から排出された油は、ボトム側ライン(5)、伸長時切換バルブ(3)のポートCからポートD、そして反転ボトム側ライン(26)を通じて反転ボトム側区画(21)に送り込まれ、反転ピストン(23)を押して反転ロッド(24)を伸長させる。これにより、反転ロッド側区画(22)から排出された油は、反転ロッド側ライン(27)、縮短時切換バルブ(4)のポートGからポートE、縮短時ボトム側ライン(52)、そしてロッド内区画用ボトム側ライン(53)を通じてタンクに戻される。ここで、作動ボトム側区画(11)から排出された油をそのままタンクに戻すと、ポンプから送り込まれる油に比べて流量が多いため、圧損を生じるが、本発明の増速機能付アクチュエータは反転シリンダ(2)により油を減量させてからタンクに戻すようにしているので、圧損の発生を抑制できる。