JP2008050180A - 金属シリコンの精製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】工業的に且つ安価に生産可能な金属シリコンの精製方法を提供すること。
【解決手段】純度が99.5%以上の金属シリコンを150μm以下に粉砕した後、その粉砕物から5μmより小さな粒径の微粒子を分級除去することにより、5〜150μmの粒径の金属シリコンを採取し、次いでこの微粒子の除去された金属シリコン粒子を希薄フッ化水素酸中において10時間以上浸漬処理することによって、酸洗浄を施し、更にその後、水洗して、乾燥するようにした。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属シリコンの精製方法に係り、特に、ICチップの封止材用フィラー原料や太陽電池用シリコンの粗原料等として有用な金属シリコンの精製方法に関するものである。
従来から、ICチップの封止材用フィラーや太陽電池用シリコン等の原料として、金属シリコンが、広く使用されて来ている。ところで、そのような金属シリコンとしては、これまで、純度が99.5%程度の化学工業用(冶金級)シリコンを塩化水素(HCl)と反応させて、クロロシランとし、そしてそのクロロシランを蒸留により精製した後、水素還元を行うクロロシラン法によって精製された、所謂イレブン・ナイン級の金属シリコンが、一般に、使用されて来ている。しかしながら、そのようなイレブン・ナイン級の金属シリコンは、半導体用金属シリコンとして極めて高純度に精製されたものであって、非常に高価なものである上に、ICチップの封止材用フィラーや太陽電池用シリコン等の原料としては、純度が高過ぎて、必要以上の精製が施されたものとなっている。そのために、そのようなイレブン・ナイン級の金属シリコンを使用する際には、かかるイレブン・ナイン級に精製された金属シリコンから一度不純物として除去された成分(例えば、太陽電池用シリコンの場合、リンやホウ素等)を、改めて添加し直している等、コスト的に無駄の多いものとなっているのである。
かかる状況下、特許第2665437号公報(特許文献1)には、太陽電池用シリコン等の原料として好適に使用され得る金属シリコンを精製する方法として、純度が99.5%以上の金属けい素を50μm以下に粉砕し、そしてその粉砕物を1重量%〜5重量%のHF水溶液を用いて常温で処理した後、ろ過、水洗することを特徴とする金属けい素の精製方法が、明らかにされている。そして、そこでは、かかる精製方法を採用することによって、不純物である、Feを15ppm以下、Alを130ppm以下、Caを30ppm以下、Uを2.2ppb以下にまで低下させた高純度金属シリコンが、得られるとされている。
しかしながら、本発明者等が、そのような精製方法について鋭意検討した結果、上記せる如き、金属けい素を50μm以下に粉砕し、そしてHF水溶液で処理した後、ろ過、水洗する金属シリコンの精製方法にあっては、それを工業的に実施する上において、非常に不利な点が存することが、明らかとなったのである。
すなわち、かかる50μm以下に粉砕された金属シリコンにあっては、その粉砕物中に存在する非常に微細な粒子、特に5μm以下の粒子が、HF水溶液による処理や、その後の水洗工程において行われるろ過操作において、金属シリコン粒子スラリーのろ過性を著しく悪化させ、そしてこのろ過性の問題により、そのような50μm以下に粉砕された金属シリコン粒子を使用した精製方法は、工業的に実施することが極めて困難となり、実際に採用され得るものではなかったのである。
しかも、仮に、そのような方法によって金属シリコンの精製を行ったとしても、上述したようなろ過性の悪さから、HF水溶液による処理後の水洗工程おいて、有効な水洗処理を遂行することが困難であるところから、かかる水洗による不純物の除去効果が充分に発揮され得ず、従って、HF水溶液による処理において溶出され、また不溶成分として生成した不純物が、結局、金属粒子表面に付着して一定の割合で残ってしまうことになり、そのため、そのような精製方法によって得られる金属シリコンの純度を充分に高め得ないという問題を有するものでもあった。
このため、近年、特にICチップの封止材用フィラー原料として使用される金属シリコンとして、ウラン濃度が2.0ppb以下の高純度のものが、求められて来ているのであるところ、そのようなウラン濃度が2.0ppb以下の金属シリコンは、上述したような金属シリコンの精製方法によっては得ることが困難であるという問題をも、内在しているのである。
特許第2665437号公報
ここにおいて、本発明は、かくの如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、工業的に且つ安価に生産可能な金属シリコンの有利な精製方法を提供することにある。
そして、本発明は、かかる課題の解決のために、純度が99.5%以上の金属シリコンを150μm以下に粉砕した後、その粉砕物から5μmより小さな粒径の微粒子を分級除去することにより、5〜150μmの粒径の金属シリコン粒子を採取し、次いでこの微粒子の除去された金属シリコン粒子を希薄フッ化水素酸中において10時間以上浸漬処理することによって、酸洗浄を施し、更にその後、水洗して、乾燥することを、その要旨とするものである。
なお、このような本発明に従うところの金属シリコンの精製方法の望ましい態様の一つによれば、前記水洗によって、含有ウラン濃度が2.0ppb以下とされた金属シリコン粒子が、取り出されることとなる。
また、この本発明に従う金属シリコンの精製方法の別の望ましい態様の一つによれば、前記希薄フッ化水素酸は、1〜3重量%のフッ化水素濃度を有している。
このように、本発明に従う金属シリコンの精製方法にあっては、純度が99.5%以上の金属シリコンを150μm以下に粉砕した後、その粉砕物から5μmより小さな粒径の微粒子を分級除去することにより、5〜150μmの粒径の金属シリコンを採取し、そしてこの微粒子の除去された金属シリコン粒子に対して、希薄フッ化水素酸による酸洗浄及びその後の水洗が施されるものであるところから、かかる酸洗浄や水洗の際に行われるろ過操作に際して、極めて良好なろ過性を確保することが出来ることとなり、以て、金属シリコンの高度の精製を、工業的に且つ安価に実施し得ることとなる。
しかも、かかる本発明に従う金属シリコンの精製方法にあっては、前記微粒子の除去された金属シリコン粒子を、希薄フッ化水素酸中において10時間以上浸漬処理することによって、酸洗浄を施し、更にその後、水洗し、乾燥するようにしているところから、上述したように、金属シリコンの精製を工業的に且つ安価に実施可能と為しつつ、更に、得られる金属シリコンの純度を有利に向上させることが出来、従来法では極めて困難であった、含有ウラン濃度を2.0ppb以下とすることも容易に可能となし得たのである。
ここにおいて、本発明にて精製対象とされる金属シリコンとしては、純度が99.5%以上の金属シリコンであれば、特に限定されるものではなく、従来から公知のものが、何れもその対象とされるものであるが、一般に、珪砂を電気炉中において還元せしめて得られる、化学工業用(冶金級)金属シリコンとして知られているもの等が、有利に用いられることとなる。なお、そのような化学工業用金属シリコンには、一般に、不純物として、Fe、Al、Ca等が約1,000ppm程度、またU等の放射性元素が、数10〜数100ppb程度含まれているものである。
そして、本発明に従って、上述せる如き純度が99.5%以上の金属シリコンを精製するに際しては、先ず、かかる純度が99.5%以上の金属シリコンのブロックやインゴット等が、150μm以下の粒径となるように、機械的に粉砕されることとなる。なお、この金属シリコンの粉砕方法としては、従来から公知の手法が、何れも採用され得るものであって、例えば、ボールミル等の公知粉砕機により粉砕を行う一方、生じた粉砕物を篩い分けすることによって、目的とする粒径:150μm以下の金属シリコン粒子が、取り出されるのである。
このように、純度:99.5%以上の金属シリコンが、150μm以下の粒径を有する粒子となるように粉砕されることによって、そのような金属シリコンのインゴット等の内部に存在する鉄、アルミニウム、カルシウム、ウラン等の不純物が、粉砕粒子表面に露出されるようになるのである。そして、このような不純物が粒子表面に露出せしめられた金属シリコンの粒子に対して、後述する酸洗浄及び水洗が効果的に施されることによって、金属シリコン中の不純物が、有利に除去され得るのである。
また、そのような粉砕操作によって150μm以下の粒径を有する粒子とされることにより、かかる粉砕によっても金属シリコン粒子表面に露出されなかった金属シリコン粒子内部の不純物にあっても、後述する酸洗浄処理において、希薄フッ化水素酸が粒子内部にまで充分に浸透して、金属シリコン粒子内部に存在する不純物が効果的に溶出され得るようになるところから、金属シリコン中の不純物が、より一層有利に除去され得ることとなるのである。
なお、前記粉砕操作において、金属シリコン粒子の粒径が、150μmより大きくなると、金属シリコン粒子表面に露出されない不純物の割合が多くなると共に、金属シリコン粒子の粒径が大きくなって、上述したような酸洗浄処理における希薄フッ化水素酸の金属シリコン粒子内部への浸透が充分に行われ難くなるところから、金属シリコン粒子内部の不純物を充分に除去することができなくなるという問題を生じる。
そして、本発明に従う金属シリコンの精製方法にあっては、上述のようにして得られる粒径:150μm以下の金属シリコン粒子よりなる粉砕物から、5μmより小さな粒径の金属シリコン粒子を分級除去せしめるものであって、これにより、5〜150μmの粒径を有する金属シリコン粒子が取り出されるのである。なお、この分級除去操作には、従来から公知の手法が、何れも採用可能であり、例えば、風力分級機等の公知の分級機を用いて分級除去することにより、目的とする粒径の粒子の採取が行われることとなる。
このようにして、純度が99.5%以上の金属シリコンを、粒径:150μm以下に粉砕した後、その得られた粉砕物から、5μmより小さな粒径の微粒子を分級除去して、5〜150μmの粒径の金属シリコン粒子を採取し、これを用いることとしたことによって、後述する希薄フッ化水素酸による酸洗浄及びそれに続く水洗の際に行われるろ過操作において、極めて良好なろ過性が確保され得ることとなったのである。そして、そのような極めて良好なろ過性の実現により、金属シリコンの精製が、工業的に有利に実施され得るのである。
なお、本発明にあっては、前記の如くして採取される金属シリコン粒子は、粒径:150μm以下の粒子のうち、50〜150μmの粒径を有する金属シリコン粒子が、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上含まれるように構成される。このようにすることによって、後述する希薄フッ化水素酸による酸洗浄及びそれに続く水洗の際に行われるろ過操作の際のろ過性が、更に一層有利に向上され得ることとなるのである。
そして、本発明にあっては、そのようにして得られた微粒子の除去された金属シリコン粒子が、希薄フッ化水素酸中において、10時間以上浸漬処理されることによって、酸洗浄が施されることとなる。このように、5〜150μmの粒径を有する金属シリコン粒子を酸洗浄することによって、粉砕によって金属シリコン粒子表面に露出された鉄、アルミニウム、カルシウム、ウラン等の不純物が、前記希薄フッ化水素酸中に溶解せしめられると共に、希薄フッ化水素酸が金属シリコン粒子内部に浸透して、かかる粒子内の不純物が、希薄フッ化水素酸中に溶出せしめられ、またフッ化水素と反応して不溶性の不純物として析出せしめられるようになる。
ここにおいて、金属シリコン粒子の酸洗浄処理に用いられる希薄フッ化水素酸としては、従来から公知のものが、何れも採用可能であって、何等限定されるものではなく、例えば、市販の46〜50%程度のフッ化水素酸が、更に純水等の水で希釈されることによって得られるものが用いられるのであるが、有利には、かかる希薄フッ化水素酸は、1〜3重量%のフッ化水素濃度を有していることが、望ましい。なお、この希薄フッ化水素酸におけるフッ化水素濃度が、1重量%よりも低くなると、フッ化水素酸による金属シリコンの酸洗浄効果が充分に発揮され得なくなる恐れがあり、またフッ化水素濃度が3重量%よりも高くなっても、その濃度に見合う充分な効果を期待することが出来なくなり、コスト的に不利となるばかりでなく、金属シリコン中の不純物であるウランの除去効果がかえって悪化する恐れもあり、好ましくないのである。
また、前記した酸洗浄処理において、金属シリコンに対する希薄フッ化水素酸の使用量は、何等限定されるものではなく、かかる希薄フッ化水素酸のフッ化水素濃度や精製対象とされる金属シリコンの量等によって、適宜に決定され得るものであるが、一般に、精製しようとする金属シリコン粒子の1重量部に対して、3〜4重量部程度の割合において、使用されることとなる。この希薄フッ化水素酸の使用量が少な過ぎると、酸洗浄の効果が充分に発揮され得ない恐れがあり、また希薄フッ化水素酸の使用量が多過ぎると、無駄が多くなり、コスト的に不利となるからである。
さらに、本発明にあっては、上記希薄フッ化水素酸中における浸漬処理は、10時間以上、好ましくは12時間以上の時間を要して、行われることとなるのであるが、特にそのような浸漬処理は、15時間以上行われることが、更に望ましい。このような12時間以上、更に15時間以上の浸漬処理を実施することにより、希薄フッ化水素酸が、金属シリコン粒子内部により確実に浸透して、かかる粒子内の不純物が、より一層有利に希薄フッ化水素酸中に溶出され、また不溶性の成分として析出せしめられることとなるからである。なお、この希薄フッ化水素酸による浸漬処理が、10時間より短くなると、希薄フッ化水素酸の金属シリコン粒子内部への浸透が充分ではなくなって、金属シリコン粒子内部の不純物の除去効果が充分に得られない恐れが生じる。また、この浸漬処理時間の上限は、工程の生産性の面から適宜に決定されることとなるが、一般に48時間以下、好ましくは36時間以下程度とされることとなる。
加えて、そのような希薄フッ化水素酸による酸洗浄を実施するに際しては、従来から公知の手法が何れも採用可能であって、何等限定されるものではないが、具体的には、例えば、内面が樹脂コーティングされた容器を用い、そこに、前記微粒子の除去された金属シリコン粒子と希薄フッ化水素酸を投入し、そして室温下で、金属シリコン粒子が容器の底に沈降しない程度の速度で撹拌することにより、行われることとなる。
さらに、かかる酸洗浄処理が終了した後、得られた金属シリコンスラリーに対しては、酸洗浄された金属シリコン粒子を取り出すべく、ろ過操作が実施されることとなる。なお、そのようなろ過操作には、従来から公知の手法が何れも採用され得るものであるが、一般に、ろ過速度及び固液分離能に優れている遠心ろ過装置を用いたろ過操作が、有利に採用される。
このように、酸洗浄処理の終了した金属シリコン粒子に対して、ろ過操作が実施されることにより、希薄フッ化水素酸中に溶解乃至は溶出せしめられた不純物や微細な不溶成分として析出した不純物が、分離、除去されることとなるのであるが、本発明にあっては、上述したように、金属シリコンが、5〜150μmの粒径を有する金属シリコン粒子とされているために、そのようなろ過操作において、極めて良好なろ過性が確保され得て、以て、目的とする金属シリコンの精製が、工業的に有利に実施され得るのである。これに対して、金属シリコン粒子中に、5μmよりも小さな粒径の微粒子が存在する場合には、そのような微粒子によって、ろ過操作におけるろ過性が著しく悪化するようになるところから、かかる5μmより小さな粒子が存在する金属シリコンにあっては、その精製を工業的に実施することが極めて困難となるのであり、実用上において採用され得るものではないのである。
次いで、本発明に従う金属シリコンの精製方法にあっては、上記せる如きろ過操作の終了した金属シリコン粒子に対して、水洗処理が施されることとなる。この水洗処理により、酸洗浄処理後のろ過操作によって分離、除去されなかった不純物、金属シリコン粒子表面に付着する不純物が、有利に確実に洗い流されて、得られる金属シリコンの純度が有利に高められ得ることとなるのである。なお、ここで使用される洗浄水としては、特に限定されるものではないが、有利には、蒸留やイオン交換等によって得られる純水が、使用されることとなる。このような純水を使用することによって、水中に含まれる新たな不純物の混入が、有利に回避され得るのである。そして、この水洗処理では、水の入れ替えとろ過とが適数回繰り返された後、終了せしめられるのであるが、そこにおいて、水の入れ替え回数及び水の使用量は、何等限定されるものではなく、水洗が実施される金属シリコンの量等によって、適宜に決定され得るものである。また、そのようなろ過操作としては、具体的には、例えば、上記したろ過工程の終了した遠心ろ過装置内の金属シリコン粒子に、直接水を掛けることによってスラリー状と為し、更にこのスラリーに対して、ろ過操作が施されるようにされる。
本発明にあっては、かくの如き水洗処理の際に行われるろ過操作に際しても、上述したように、極めて有効なろ過性が確保され得、更に上記した水の入れ替えに際しても、そのろ過性の良さから、ケーキに供給された水が、極めて良好に浸透して、ケーキを容易にスラリー状と為し得るのであって、これにより、金属シリコンの精製が、有利に工業的に実施され得ることとなる一方、ろ過操作に要する純水の量が効果的に削減され得て、金属シリコンの精製が、経済的に有利に実施され得ることとなるのである。
しかも、本発明にあっては、かかる水洗処理の実施により、金属シリコン粒子中の含有鉄濃度を10ppm以下、含有アルミニウム濃度を240ppm以下、含有カルシウム濃度を10ppm以下、含有ウラン濃度を、2.0ppb以下にまで有利に低減させることが出来るのであって、以て極めて高純度の金属シリコン粒子が、容易に取得することが出来るのである。そして、そのようなウラン濃度の著しく低減された金属シリコンを、水洗工程から取り出すことによって、ICチップの封止材用フィラー等の原料として有利に使用され得る金属シリコンを、容易に得ることが出来る。
その後、上述せる水洗処理が施された後、その水洗処理の終了した金属シリコン粒子には、乾燥操作が施されて、目的とする金属シリコン粒子が取得されるのであるが、その乾燥方法は、何等限定されるものではなく、従来から公知の手法に従って、例えば、真空乾燥機等を用いて行われることとなる。そして、本発明にあっては、上記した極めて良好なろ過性により、ろ過操作の際の固液分離が有効に行われるところから、乾燥に要するエネルギーも効果的に削減され得ることとなり、以て、金属シリコンの精製が、有利に且つ安価に実施され得ることとなる。
以上のように、純度が99.5%以上の金属シリコンを150μm以下に粉砕した後、その粉砕物から5μmより小さな粒径の微粒子を分級除去することによって、5〜150μmの粒径の金属シリコン粒子を採取し、更にその微粒子の除去された金属シリコン粒子に対して、希薄フッ化水素酸中における10時間以上の浸漬処理による酸洗浄及びその後の水洗を施すようにしたことにより、金属シリコン中に存在する鉄、アルミニウム、カルシウム、ウラン等の不純物が効果的に除去され得ることとなったのであり、以て、金属シリコンの高度の精製が達成され得ることとなる一方、酸洗浄や水洗の際に行われるろ過操作に際して、極めて良好なろ過性を確保することが出来るところから、かかる金属シリコンの高度の精製を、工業的に且つ安価に実施し得る特徴が発揮され得るのである。
以下に、本発明の代表的な実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
−実施例1−
先ず、純度:99.5%以上の化学工業用の金属シリコンブロック(株式会社アドマテックス製)を、ジョークラッシャーやボールミル等を用いて、機械的に粉砕する一方、その得られた粉砕物を100メッシュの篩いに掛けることにより、150μm以下の粒径を有する金属シリコン粒子を取り出した。また、篩上の150μmよりも大なる粒径の金属シリコン粒子については、ボールミルに戻して、再度の粉砕を行った。
次いで、上記のようにして取り出した150μm以下の金属シリコン粒子から、風力分級機(日本ニューマチック工業株式会社製DS−2型高精度気流分級機)を用いて、5μmより小さな粒径の微粒子を分級除去することにより、5〜150μmの粒径を有する金属シリコン粒子(粉砕物)を採取した。
一方、内面が樹脂コーティングされた、容量:50Lの撹拌機付き円筒容器内に、1wt%のフッ化水素濃度を有する希薄フッ化水素酸の20L及びノニオン系消泡剤の35mLを順に投入し、撹拌混合を行った。そして、その撹拌混合を続けながら、そこに、前記5〜150μmの粒径を有する金属シリコン粒子の7kgを投入した。次いで、室温で15時間、投入された金属シリコン粒子が容器の底に沈降しない程度の速度で撹拌を続けて、浸漬処理を行うことにより、金属シリコン粒子に対する酸洗浄を施した。
その後、かかる酸洗浄処理の終了した金属シリコンスラリーを、遠心分離機(タナベウィルテック株式会社製O−15型自動堅型遠心分離機)の容量:60Lのバスケット内に供給して、遠心力:600Gにて脱水運転(ろ過操作)を行い、金属シリコン粒子のケーキを得た。
次いで、上記のようにして得られた前記バスケット内の金属シリコン粒子のケーキに対して、純水を供給した後、再び遠心力:600Gにて脱水運転(ろ過操作)を行い、そしてそれを、それぞれ6回ずつ交互に繰り返すことによって、水洗を実施した。
最後に、上記した水洗工程の終了後に得られた金属シリコン粒子のケーキを取り出し、振動真空乾燥機(中央化工機株式会社製VU45型振動乾燥機)を用いて、130℃、−720mHgにて乾燥を行い、目的とする金属シリコン粒子を得た。この金属シリコン粒子の精製の各工程における条件、精製に要した延べ時間、得られた金属シリコン粒子の収量及び収率等を、下記表1に示す。
また、上記のようにして得られた金属シリコン粒子中の不純物を、Fe、Al、Caについては、株式会社島津製作所製のICP発光分光分析器を用いて、Uについては、株式会社島津製作所製の誘導結合高周波プラズマ重量分析器を用いて、その含有率を調べた。それらの結果を、下記表1に併せて示す。
−比較例1−
金属シリコン粒子として、5μmより小さな粒径の微粒子を分級除去する操作を施していない金属シリコン粒子(粉砕物)を使用したこと以外は、実施例1と同様の手順で、金属シリコン粒子の精製を行った。そして、その金属シリコン粒子の精製の各工程における条件、精製に要した延べ時間、得られた金属シリコン粒子の収量及び収率等を、下記表1に示す。また、得られた金属シリコン粒子中の不純物含有率を、実施例1と同様にして調べた。その結果を、下記表1に併せて示す。
Figure 2008050180
かかる表1の結果から明らかなように、実施例1においては、酸洗浄工程及び水洗工程におけるろ過時間及び水洗工程における純水供給時間が、比較例1に比して極めて短時間となっており、従って、金属シリコン粒子の精製に要する延べ時間が、比較例1に比して極めて短いものとなっている。また、収量、収率も大変良好であり、更に、得られた金属シリコン粒子の精製後の不純物含有率を、比較例1に比して高度に低減することが出来、特にウラン含有率を、2.0ppb以下とすることが出来た。
一方、比較例1にあっては、酸洗浄工程及び水洗工程におけるろ過時間及び水洗工程における純水供給時間が大変長時間となっており、従って、金属シリコン粒子の精製に要する延べ時間が、極めて長いものとなっている。また、収量、収率も実施例1に比して低い値となっている。これは、ろ過操作の間に、ろ布の目から、金属シリコン粒子の微粉が流れ出て行ってしまうことによるものと考えられる。更に、得られた金属シリコン粒子の精製後の不純物含有率が高く、ウラン含有率は、3.6ppbと高い値となった。

Claims (3)

  1. 純度が99.5%以上の金属シリコンを150μm以下に粉砕した後、その粉砕物から5μmより小さな粒径の微粒子を分級除去することにより、5〜150μmの粒径の金属シリコン粒子を採取し、次いでこの微粒子の除去された金属シリコン粒子を希薄フッ化水素酸中において10時間以上浸漬処理することによって、酸洗浄を施し、更にその後、水洗して、乾燥することを特徴とする金属シリコンの精製方法。
  2. 前記水洗によって、含有ウラン濃度が2.0ppb以下とされた金属シリコン粒子が、取り出されることを特徴とする請求項1に記載の金属シリコンの精製方法。
  3. 前記希薄フッ化水素酸が、1〜3重量%のフッ化水素濃度を有していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の金属シリコンの精製方法。
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