JP2018150588A - レアメタル回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】不純物を抑制しながら、スカンジウムを回収すること。【解決手段】スカンジウムとトリウムとを含む原料からスカンジウムを回収する方法であって、以下の工程を含む、該方法。浸出終了時のpHがpH0.3〜0.9となるように調整した酸性液により、前記原料からスカンジウムを浸出し浸出後液を得る浸出工程、前記浸出後液を中和させ、沈殿物を生成する中和工程、及び前記沈殿物と前記浸出後液を分離する固液分離工程。【選択図】図1

Description

本発明はレアメタルを回収する方法に関する。より具体的には、トリウムとスカンジウムを含む原料から、スカンジウムを回収する方法に関する。
チタンはクロール法によりチタン鉱石から精製される。このクロール法では、チタン鉱石とコークスが流動床反応炉に投入され、塩素ガスが流動床反応炉の下部から吹入される。その結果、気体状の四塩化チタンが生成され、これを回収してマグネシウム等で還元し、最終的にはスポンジチタンが生成される。
しかし、チタン鉱石の中には、チタン以外にも有用な物質が含まれている。特許文献1では、チタン鉱石から有用な金属を回収するための方法が開示されている。具体的には、チタン鉱石を塩素化し、得られた粗製塩素化炉の残渣をHCl浸出する方法が開示されている。
また、特許文献2では、チタン、ジルコニウム、スカンジウムを含む溶液からスカンジウムを分離する方法が開示されている。そして、スカンジウムを含む材料として、チタン鉱石を例示している。
特開平3−115534号公報 国際公開2016/031699号
スカンジウムを回収する際には、不純物を低減させることが好ましい。不純物の1つとしてトリウムが挙げられる。放射性等の理由からも、トリウムが混入することは好ましくない。しかし、従来のスカンジウムの回収方法においては、トリウムはスカンジウムと類似した挙動を示す。従って、従来技術においては、効率的な分離が困難であった。
以上の事情に鑑み、本発明は、トリウムの混入を低減させたスカンジウムの回収方法を提供する事を目的とする。
本発明者が鋭意研究した結果、特定の条件で浸出及び/又は中和を行うことで、スカンジウムとトリウムを分離できることを見出した。こうした知見に基づき本発明は、以下のように特定される。
(発明1)
スカンジウムとトリウムとを含む原料からスカンジウムを回収する方法であって、以下の工程を含む、該方法。
浸出終了時のpHが0.3〜0.9となる様に調整した酸性液により、前記原料からスカンジウムを浸出し浸出後液を得る浸出工程、
前記浸出後液を中和させ、沈殿物を生成する中和工程、及び
前記沈殿物と前記浸出後液を分離する固液分離工程。
(発明2)
前記浸出工程における液温度が60〜90℃で行う、発明1に記載のスカンジウムの回収方法。
(発明3)
前記中和工程が、pHを1.3〜2.5に調整する工程である発明1または2に記載のスカンジウムの回収方法。
(発明4)
発明1〜3のいずれか1つに記載の方法であって、
前記原料は、チタン鉱石とコークスと塩素ガスを反応させて気体又は液体状四塩化チタンを生成する際に生じる固体残渣である、
スカンジウムの回収方法。
(発明5)
発明4に記載の方法であって、前記方法が、
前記原料を粗粒と細粒とに分級する工程を更に含み、
前記浸出工程が、前記細粒からスカンジウムを浸出させる工程である、該方法。
本発明は、一側面において、特定のpHになるように浸出を行う。これにより、トリウムの浸出を抑え、且つ十分な量のスカンジウムを浸出させることができる。
本発明は、一側面において、特定の温度条件下で浸出を行う。これにより、トリウムの浸出を抑え、且つ十分な量のスカンジウムを浸出させることができる。
本発明は、一側面において、特定のpHになるように中和を行う。これにより、トリウムを優先的に沈殿させ、且つ十分な量のスカンジウムを浸出液に残すことができる。
本発明は、一側面において、原料が、チタン製錬工程で生じる塩化残渣を用いる。これにより、従来廃棄物として処理されていた物から、有用な資源を回収することができる。
本発明は、一側面において、分級を行う。これにより、原料全体におけるスカンジウムの含有量を上昇させることができる。
本発明の一実施形態におけるScの回収フローを示す。 本発明の一実施形態において、浸出後のpHと、Sc及びThの浸出との関係を示す。 本発明の一実施形態において、浸出前のpHと、Sc及びThの浸出との関係を示す。 本発明の一実施形態において、浸出時の温度と、Sc及びThの浸出との関係を示す。 本発明の一実施形態において、中和時のpHと、Sc及びThの溶液残存率との関係を示す。 本発明の一実施形態において、塩化残渣の内のScの分級結果を示す。 クロール法についてのフロー図である(従来技術)
以下、本発明を実施するための具体的な実施形態について説明する。以下の説明は、本発明の理解を促進するためのものである。即ち、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
1.原料
本発明は、スカンジウムとトリウムとを含む原料から、スカンジウムを回収する方法に関する。一実施形態において、スカンジウムとトリウムとを含む原料は、スカンジウムとトリウムとを含む鉱石であってもよい。更なる一実施形態において、スカンジウムとトリウムとを含む鉱石は、チタンを精製するための原料であるチタン鉱石であってもよい。更なる一実施形態において、スカンジウムとトリウムとを含む原料は、チタンを精製する際に生じる塩化残渣であってもよい。以下では、原料の一例として、塩化残渣について説明する。
1−1.チタンの精製
従来、チタンは、チタン鉱石からクロール法により精製されるのが一般的である。図7に流れの一部を示す。チタン鉱石とコークスを流動床反応炉に投入する。そして、流動床反応炉の下部から塩素ガスを吹入させる。チタン鉱石は塩素ガスと反応し、四塩化チタンを生じる。四塩化チタンは反応炉内の温度では気体状態にある。この気体状態の四塩化チタンが、次の冷却システムに送られ、冷却される。冷却された四塩化チタンは液体状になり、回収される。
1−2.塩化残渣
気体状態の四塩化チタンが次の冷却システムに送られる際に、気流に乗って微粉状の不純物が一緒に冷却システムに送られる。該不純物には、チタン以外の物質(鉄、スカンジウム、バナジウム、ニオブ、ジルコニウム、アルミニウム、シリコン、トリウム等、一部は塩化物)、未反応の鉱石、未反応のコークス等が含まれる。こうした不純物は、冷却システムにおいて、固体の形状で回収される。本明細書では、この回収された物を塩化残渣と呼ぶ。塩化残渣はスラリー化してもよいし、乾燥粒子群の形態であってもよい。典型的には、スラリー化した物を用いて、有価金属を回収することができる。
1−3.塩化残渣の品位
上述した工程で得られた塩化残渣は、様々なレアメタルを有しており、例えば、Sc、V、Nb、Zr、Y、La、Ce、Pr、及びNdのような有用な元素を含む可能性がある。これらを回収することができれば、回収物を用いて利益を向上させることができる。以下の理論で本発明を限定するものではないが、塩化残渣は、チタン製錬の過程で生じる混合物であるため、その構成成分の多くはチタン精鉱に由来する。チタン精鉱は、採掘したチタン鉱石に対して浮選、磁選、比重選鉱等を実施し、Ti品位を高めることによって得ることができる。そのため、目的物であるTi含有粒子は比較的大きな粒子を形成する傾向にあると考えられ、一方でTi精鉱においては不純物である他のレアメタル元素については、精鉱製造時に微細な粒子としてTi精鉱に付着して混入していると考えられる。
1−4.塩化残渣の前処理
上述した塩化残渣は、チタン製錬時に回収した直後は高温状態であり、有価金属を回収する処理を行う前に冷却する必要がある。冷却方法は、特に限定されず、空冷、又は水冷等の手段で冷却してもよい。
また、後述する分級を行う前に、塩化残渣を水洗しておくことが好ましい。水洗することでFeCl2等の水溶性の不純物を除去することが出来るからである。また水洗であれば、上述した冷却処理も同時に行うことが出来る。
2.Scの回収
一実施形態における、Scの回収の概要を図1に示す。以下、各工程について、具体的に説明する。
2−1.Scの浸出工程(図1「浸出」)
一実施形態において、本発明の方法は、酸性の溶液を用いて、スカンジウムとトリウムとを含む原料からスカンジウムを浸出させる工程を含む。前記酸性の溶液のpHは浸出後に(又は浸出終了時に)0.3〜0.9の範囲になる様に調整されることが好ましい。0.3未満だと、トリウムも浸出量が多くなり、スカンジウムとの分離の妨げとなる。0.9超だと、スカンジウムの浸出量が低下してしまう。
更なる一実施形態において、浸出後(又は浸出終了時)のpHは、0.3〜0.7であることが更に好ましい。この範囲であれば、スカンジウムの浸出量を大幅に低下させることなく、トリウムの浸出を抑制することができる。別の更なる一実施形態において、浸出後(又は浸出終了時)のpHは、0.8〜1.2であることが更に好ましい。この範囲であれば、一定量のスカンジウムの浸出量を実現しつつ、トリウムの浸出を大幅に抑制することができる。
なお、「浸出終了時」とは、一時間あたりの浸出量(重量基準)の増加率が10%以下になった時点を浸出終了時とする。
また、浸出終了時で特定のpHになるように調整するために、浸出反応中の溶液のpHをモニタリングしてもよい。更には、HClや、NaOH(或いは後述する中和工程でpH調整のために使用する物質)を浸出液に添加して、上述したpH範囲内又はその付近になるよう調整してもよい。
本発明の一実施形態においては、浸出開始時のpHよりは、浸出終了時のpHの方が重要となる。この理由は、ロットによって、浸出反応中はpHが変動したり、変動しなかったりするためである。一方で、浸出終了時で特定のpHになるように調整することによって、一定量のスカンジウムの浸出量を実現しつつ、トリウムの浸出を大幅に抑制することができる。即ち、両者の浸出量は、浸出開始時のpHよりは、むしろ、浸出終了後のpHと大きく相関する。
また、浸出工程時の温度については特に限定されないが、前記酸性の溶液の温度は、好ましくは、60〜90℃であり、更に好ましくは、80℃〜90℃である。60℃より低いと、スカンジウムとトリウムの浸出量に差が出にくくなり、分離が困難となる。トリウムの浸出量は、温度が高くなるほど低下するため、浸出温度は高い方がよい。ただし、溶液の沸騰などの理由から、典型的な上限値は90℃としてもよい。
浸出反応のための時間については特に限定されないが、少なくとも1時間以上、典型的には2時間以上であってもよい。上限についても特に限定されないが、典型的には24時間以下である。
また、パルプ濃度については、特に限定されないが、100〜600g/L、典型的には、200〜500g/Lであってもよい。
上記酸性範囲にするための成分は特に限定されないが、強酸を使用することができる。例えば、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸、臭素酸、これらの混合物等を用いることができる。分量は特に限定されないが、上記pH範囲を実現できる量を添加すればよい。
2−2.浸出液の中和工程(図1「中和」)
一実施形態において、本発明の方法は、浸出後の溶液に対してpHを調節する中和工程を含むことができる。即ち、pHを浸出時よりもアルカリ側に調整する工程を含むことができる。これにより、スカンジウムを溶液中に残しつつ、トリウムを沈殿させることができる。
中和工程におけるpH範囲は、1.3〜2.5が好ましい。1.3未満だと、トリウムの沈殿が生じにくい。一方で、pHが2.5を超えると、トリウムの沈殿の量が増加せず、むしろ、スカンジウムも沈殿するようになる。より好ましい範囲は、pHが1.8〜2.3である。これにより、スカンジウムが沈殿によってロスすることなく、大部分のトリウムを沈殿させることができる。
中和工程におけるpHの調整においては、浸出時よりもpHがアルカリ側に調整されるため、NaOH、Na2CO3、CaO、Ca(OH)2、CaCO3、LiOH、Li2CO3、KOH、K2CO3、Mg(OH)2、MgCO3等を用いることがこのましい。分量は、特に限定されないが、上述したpH範囲を実現できる量を添加すればよい。
操作の簡便性の観点から、浸出と中和は同じ槽で行うことが好ましい。無論、浸出直後(中和する前)に固液分離(図1「固液分離A」)を行い、浸出と中和を異なる槽で行うことも可能である。
3.固液分離(図1「固液分離B」)
上記沈殿が形成された後は、固液分離を行うことができる。そして、スカンジウムが多く含まれる溶液側を回収することにより、トリウムの混入を低減させることができる(上述のように、トリウムは主に沈殿側に移動)。固液分離の方法は、特に限定されず、ろ過等の公知の方法を用いることができる。
4.Fe分離、スクラブ工程、溶媒分離、か焼など
上記固液分離Bの工程の後は、中和後液に対して、有機溶媒やキレート樹脂を用いてスカンジウムを回収することができ、有機溶媒の場合、例えばTBP(リン酸トリブチル)を用いることにより、スカンジウムを回収することができる。より具体的には、中和後液に対して、TBPを添加すると、油相側にFeが移動し、水相側にSc等の他のレアメタルが残留する。油相側についてはFe逆抽出を行い、Fe逆抽出後液を廃水として廃棄する。なお、原料においてFeの含有量が低く、且つFeの浸出量が低い場合には、こうしたFeの抽出工程は省略してもよい。
一方で、水相側の方は、D2EHPA(Bis(2-ethylhexyl) phosphate)及びTBPの混合溶媒を添加する(図1の「Sc抽出」)。これにより、油相側にScが移動し、一方で、Sc以外のいくつかの元素(例えば、Nb、Y、La、Ce、Zr、Pr、又はNd等)については水相側(Sc抽出後液)に移動する。Sc抽出後液は、Sc以外の元素を回収するのに用いることができる。
また、Scが移動してきた油相側については、必要に応じて、HClやNaCl、H2SO4を添加してスクラビングを行う(図1「スクラビング」)。これにより、Ti、V等の混入を減少させることができる。スクラビング後の水相側については廃水処理を行う。一方、スクラビング後の油相側については、NaOHを添加して、Sc逆抽出を行う(図1「Sc逆抽出」)。Sc逆抽出後の水相側の液を濾過してか焼し(図1「固液分離C」及び「か焼」)、最後はSc23の形で回収することができる。
5.分級工程
一実施形態において、スカンジウムとトリウムを含む原料は、上述したように塩化残渣であってもよい。この実施形態において、塩化残渣を水洗した後、当該塩化残渣は、分級を行い、粗粒と細粒とに分けることができる。分級の方法としては、特に限定されず、乾式でも湿式でもよい。より好ましいのは湿式である。これは、塩化残渣が水洗されている場合に、乾燥させる手間を必要としないからである。また、分級の方法として、特定の大きさの目開きの篩を用いてもよい。湿式の分級として、水力分級機、水平水流分級機、遠心沈降機の分級機械を使用してもよい。乾式の分級として、エアセパレータ、空気式の分級機を用いてもよい。
分級の基準値については、特に限定されず、レアメタル(例えば、Sc、V、Nb、Zr、Y、La、Ce、Pr、又はNd)が多く含まれるサイズの範囲を上限値として採用すればよい。例えば、基準値の上限については、55μm以下、40μm以下、又は25μm以下であってもよい。基準値の下限については、10μm以上、15μm以上、又は20μm以上であってもよい。これにより、例えば、塩化残渣中に存在するScのうちの、少なくとも約82%(基準値を25μmにした場合)、約84%(基準値を38μmにした場合)、又は約88%(基準値を53μmにした場合)を回収することができる。その一方で、回収対象となる物量を減らすことができる。更には、他の不純物(例えば、Fe、コークス、未反応チタンなど)の多くは粗粒側に分配される。
分級手段として篩を用いる場合には、上記分級の基準値に基づいて、網目のサイズを適宜決定することができる。例えば、25μmを基準値として分級する場合には、目開きが25μm(JIS規格だと、500メッシュ)を使用する。そして、篩を通過した物を細粒とし、篩上に残った物を粗粒とする。
分級後に得られた細粒は、上述したような条件で浸出工程を行い、スカンジウムを回収することができる。
以下、本発明の理解を促進するため、更に具体的な実施例を開示する。
実施例1 浸出時のpHの影響
塩化残渣は、チタン製錬において揮発した四塩化チタンを回収するための炉において、固形物として回収された物質である。該塩化残渣は、東邦チタニウム(株)から入手した。また、該塩化残渣は、水洗済みのスラリー状態であった。
塩化残渣におけるスカンジウム及びトリウムの品位の分析については、アルカリ融解−ICP発光分光分析法を用いた(ICP−AES、セイコーインスツル株式会社製、SPS7700)。
パルプ濃度200g/L且つ液量200mLの塩化残渣を含む溶液を調製した。pHは塩酸で調製した(塩酸濃度は2mol/L、1.5mol/L、0.5mol/L、0.3mol/L、1mol/L、0.5mol/Lであり、それぞれ浸出開始時のpHは、−0.11、0.03、0.54.0.77、0.22、0.57)。温度は60℃で、3時間浸出させた。
溶液中に浸出したスカンジウムとトリウムの量は、ICP−AES(セイコーインスツル株式会社製、SPS7700)によって測定した。そして、塩化残渣中の品位と、溶液中に浸出した量を用いて浸出率を算出した。結果を図2に示す。浸出後(即ち、浸出終了時)のpH0.5付近(例えばpH0.3〜0.7)だと、スカンジウムの浸出量を低下させることなく、トリウムの浸出量を低下させることができた。また、浸出後(即ち、浸出終了時)のpH1.0付近(例えば、pH0.8〜1.2)だと、スカンジウムの浸出量を一定量確保させたうえで、トリウムの浸出量を大幅に低下させることができた。この試験結果を浸出前のpHと浸出率の関係でまとめた結果を図3に示す。前述した通り、スカンジウムとトリウムの浸出量は、浸出開始時のpHよりは、むしろ、浸出終了後のpHと大きく相関することが判る。
実施例2 浸出時の温度の影響
実施例1と同様の条件で試験を行った。ただし、塩酸濃度は1.5mol/L、浸出前のpHは、0.03とした。また、温度については、30℃、60℃、80℃に調整した。結果を図4に示す。温度を上昇させるほど、トリウムの浸出量を低下させることができた。一方で、温度を上昇させるほどスカンジウムの浸出量を増加させることができた。この傾向から、80℃を超える温度範囲では、更に両者の浸出率の差は増大するものと考えられる。
実施例3 中和時のpHの影響
実施例1と同様の条件で浸出を行った。ただし、温度を80℃、塩酸濃度は1.5mol/L、浸出前のpHは、0.03とした。また、浸出時間は2時間に設定した。浸出後、吸引濾過にて濾過を行い、残渣と濾液を得た。その後、濾液にNaOHを添加して、中和を行った。中和後、沈殿が形成されたことが確認された。そして、中和前後における浸出液中のスカンジウムとトリウムの量を、ICP−AESで分析した。これらの値を元にして、液残存率を算出した。結果を図5に示す。中和後のpHが1.3〜2.5の範囲だと、多くのトリウムを沈殿させつつ、スカンジウムが溶液中に残存した状態を維持できた。特にpHが2付近(例えば、pHが1.8〜2.3)だと、スカンジウムを溶液中に残存させながら、トリウムの沈殿を著しく促進できた。
実施例4 塩化残渣の粒度分布測定
塩化残渣は、チタン製錬において揮発した四塩化チタンを回収するための炉において、固形物として回収された物質である。該塩化残渣は、東邦チタニウム(株)から入手した。また、該塩化残渣は、水洗済みのスラリー状態であった。
前記塩化残渣に対して分級を行った。具体的には「JIS Z 8815−1994 ふるい分け試験方法通則」の手順に沿って以下の通り実施した。
(1)目開きの大きい篩が上段になる様に重ねる。
(2)最上段の篩に試料を入れて蓋をする。
(3)篩分け装置(Retsch社製 AS200)を「Amplitude:1.00」で作動させる。
(4)シャワーで散水し、最下段から出る液が透明になるまで篩う。
(5)篩を装置から取り出す。
(6)試料を回収し、濾過、秤量する。
分級した結果、塩化残渣において、目開き25μmの篩を通過した粒子群は全体の約20%を占めることが示された。また、目開きが38μmの篩を通過した粒子群は全体の約22%、そして、目開きが53μmの篩を通過した粒子群は全体の約35%を占めることが示された。
次に、分級された各粒子群の秤量を行った。各粒子群の元素分析は、アルカリ融解−ICP発光分光分析法を用いた(ICP−AES、セイコーインスツル株式会社製、SPS7700)。結果を表1及び図6に示す。図中、分布率「+150」は、目開きが150μmの篩上に残った粒子群を表す。また、「−25」は、目開きが25μmの篩を通過した粒子群を表す。また、「150/106」は、目開きが150μmの篩を通過し且つ目開きが106μmの篩上に残った粒子群を表す。Scの82%が、25μmの篩を通過した粒子群に存在することが示された。従って、25μmを基準値として分級することにより、スケールを減少させながら、これらの元素の8割以上を分配できることが示された。これにより、粒子群全体に占めるScの含有量が増加し回収量を向上させることができる。あるいは、25μmよりも、多少大きい基準値(例えば、55μm以下、40μm以下)で分級したとしても、同様の効果を得ることができる。このようにSc元素は、分級することにより、スケールを減少させつつ、品位を高めることができることが示された。
本明細書において、「又は」や「若しくは」という記載は、選択肢のいずれか1つのみを満たす場合や、全ての選択肢を満たす場合を含む。例えば、「A又はB」「A若しくはB」という記載の場合、Aを満たしBを満たさない場合と、Bを満たしAを満たさない場合と、Aを満たし且つBを満たす場合のいずれも包含することを意図する。
以上、本発明の具体的な実施形態について説明してきた。上記実施形態は、本発明の具体例に過ぎず、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上述の実施形態の1つに開示された技術的特徴は、他の実施形態に提供することができる。また、特定の方法については、一部の工程を他の工程の順序と入れ替えることも可能であり、特定の2つの工程の間に更なる工程を追加してもよい。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって規定される。

Claims (5)

  1. スカンジウムとトリウムとを含む原料からスカンジウムを回収する方法であって、以下の工程を含む、該方法。
    浸出終了時のpHがpH0.3〜0.9となるように調整した酸性液により、前記原料からスカンジウムを浸出し浸出後液を得る浸出工程、
    前記浸出後液を中和させ、沈殿物を生成する中和工程、及び
    前記沈殿物と前記浸出後液を分離する固液分離工程。
  2. 前記浸出工程における液温度が60〜90℃で行う、請求項1に記載のスカンジウムの回収方法。
  3. 前記中和工程が、pHを1.3〜2.5に調整する工程である請求項1または2に記載のスカンジウムの回収方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法であって、
    前記原料は、チタン鉱石とコークスと塩素ガスを反応させて気体又は液体状四塩化チタンを生成する際に生じる固体残渣である、
    スカンジウムの回収方法。
  5. 請求項4に記載の方法であって、前記方法が、
    前記原料を粗粒と細粒とに分級する工程を更に含み、
    前記浸出工程が、前記細粒からスカンジウムを浸出させる工程である、該方法。
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