JP2021169650A - スカンジウムの回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】固体の水酸化スカンジウムを含む溶液の濾過性を改善するための方法を提供すること。【解決手段】スカンジウムを含む有機溶媒を準備する工程と、有機溶媒にアルカリ溶液を加えて、スカンジウムをアルカリ溶液中に水酸化スカンジウムとして晶析剥離する工程と、晶析剥離後のアルカリ溶液中に含まれる水酸化スカンジウムを濾過する工程と、を有し、水酸化スカンジウムを濾過する工程において、有機物からなる濾過助剤を添加した後に、水酸化スカンジウムを濾過することを特徴とするスカンジウムの回収方法。【選択図】図1

Description

本発明はスカンジウムの回収方法に関する。
チタンはクロール法によりチタン鉱石から精製される。このクロール法では、チタン鉱石とコークスが流動床反応炉に投入され、塩素ガスが流動床反応炉の下部から吹入される。その結果、気体状の四塩化チタンが生成され、これを回収してマグネシウム等で還元し、最終的にはスポンジチタンが生成される。
しかし、チタン鉱石の中には、チタン以外にも有用な物質が含まれている。特許文献1では、チタン鉱石から有用な金属を回収するための方法が開示されている。具体的には、チタン鉱石を塩素化し、得られた粗製塩素化炉の残渣をHCl浸出する方法が開示されている。
また、特許文献2では、チタン、ジルコニウム、スカンジウムを含む溶液からスカンジウムを分離する方法が開示されている。そして、スカンジウムを含む材料として、チタン鉱石を例示している。
また、スカンジウムを含む溶液からスカンジウムを回収する方法としては、不純物を極力除くことが好ましい。このような技術として、特許文献3には、不純物としてトリウムに着目し、特定の条件で浸出及び/又は中和を行うことで、スカンジウムとトリウムを良好に分離する方法が開示されている。
特開平3−115534号公報 国際公開第2016/031699号 特開2018−150588号公報
特許文献3には、スカンジウムを含有する鉱石やその鉱石処理の中間物等から浸出処理等することで得られたスカンジウム含有溶液から、溶媒抽出法を用いてスカンジウムを分離精製する際、溶媒に含まれるスカンジウムを水酸化ナトリウム等のアルカリ溶液を用いて逆抽出することにより、固体の水酸化スカンジウムを含む逆抽出液を得る方法が開示されている。しかしながら、得られた水酸化スカンジウムは濾過性が悪く、その濾過性を改善する方法は知られていない。水酸化スカンジウムの濾過性が悪いと、スカンジウムの回収率が低下するという問題が生じる。
以上の事情に鑑み、本発明の実施形態は、固体の水酸化スカンジウムを含む溶液の濾過性を改善するための方法を提供することを課題とする。
本発明者が鋭意研究した結果、特定の条件で固体の水酸化スカンジウムを含む溶液の濾過を行うことで、上記課題が解決されることを見出した。こうした知見に基づき本発明は、以下のように特定される。
(1)スカンジウムを含む有機溶媒を準備する工程と、
前記有機溶媒にアルカリ溶液を加えて、スカンジウムを前記アルカリ溶液中に水酸化スカンジウムとして晶析剥離する工程と、
晶析剥離後のアルカリ溶液中に含まれる水酸化スカンジウムを濾過する工程と、
を有し、
前記水酸化スカンジウムを濾過する工程において、有機物からなる濾過助剤を添加した後に、前記水酸化スカンジウムを濾過することを特徴とするスカンジウムの回収方法。
(2)前記水酸化スカンジウムを濾過した後、酸性液でスカンジウムを浸出してスカンジウムの浸出液を得る工程、
前記スカンジウムの浸出液に、シュウ酸を添加してシュウ酸スカンジウムを得る工程、
前記シュウ酸スカンジウムをか焼して酸化スカンジウムを得る工程、
を更に有する(1)に記載のスカンジウムの回収方法。
(3)前記酸性液が塩酸溶液である(2)に記載のスカンジウムの回収方法。
(4)前記有機物からなる濾過助剤が、セルロースパウダーである(1)〜(3)のいずれかに記載のスカンジウムの回収方法。
(5)前記有機物からなる濾過助剤の前記晶析剥離後のアルカリ溶液への添加量が、固体で含まれる水酸化スカンジウムの質量に対して、0.3倍以上である(1)〜(4)のいずれかに記載のスカンジウムの回収方法。
(6)前記有機溶媒に含まれるスカンジウムの抽出剤が、D2EHPAである(1)〜(5)のいずれかに記載のスカンジウムの回収方法。
(7)前記スカンジウムを含む有機溶媒が、以下の工程a)〜d)を経て得たものである(1)〜(6)のいずれかに記載のスカンジウムの回収方法。
a) チタン製錬塩化残渣を酸性液で浸出して浸出液Aを得る工程、
b) a)で得られた前記浸出液Aを中和した後、不純物として中和物を除去し、中和後液を得る工程、
c) b)で得られた前記中和後液から、有機溶媒を用いてスカンジウムを抽出する工程、
d) c)で得られた前記スカンジウムを抽出した有機溶媒から、スカンジウム以外の不純物を除去する工程。
本発明の実施形態によれば、固体の水酸化スカンジウムを含む溶液の濾過性を改善するための方法を提供することができる。
本発明の一実施形態におけるスカンジウムの回収フローを示す。 実施例に係る、添加比率(セルロースパウダーの添加量(g)/固体で含まれる水酸化スカンジウムの質量(g))−濾過時間のグラフを示す。 実施例に係る、添加比率(セルロースパウダーの添加量(g)/固体で含まれる水酸化スカンジウムの質量(g))−濾過速度のグラフを示す。
以下、本発明を実施するための具体的な実施形態について説明する。以下の説明は、本発明の理解を促進するためのものである。即ち、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
<原料>
本発明の実施形態に係るスカンジウム(Sc)の回収方法では、まず、スカンジウムを含む有機溶媒を準備する。このとき、スカンジウムを含む原料から、当該スカンジウムを含む有機溶媒を作製する。一実施形態において、スカンジウムを含む原料は、スカンジウムを含む鉱石であってもよい。更なる一実施形態において、スカンジウムを含む鉱石は、スカンジウムとトリウムとを含む鉱石であってもよい。更なる一実施形態において、スカンジウムを含む鉱石は、チタン(Ti)を精製するための原料であるチタン鉱石であってもよい。更なる一実施形態において、スカンジウムを含む原料は、Tiを精製する際に生じる塩化残渣であってもよい。以下では、限定されないが、原料の一例として、スカンジウムを含む原料が、チタン製錬塩化残渣である場合について説明する。
<チタンの精製>
従来、チタンは、チタン鉱石からクロール法により精製されるのが一般的である。チタン鉱石とコークスを流動床反応炉に投入する。そして、流動床反応炉の下部から塩素ガスを吹入させる。チタン鉱石は塩素ガスと反応し、四塩化チタンを生じる。四塩化チタンは反応炉内の温度では気体状態にある。この気体状態の四塩化チタンが、次の冷却システムに送られ、冷却される。冷却された四塩化チタンは液体状になり、回収される。
<塩化残渣>
気体状態の四塩化チタンが次の冷却システムに送られる際に、気流に乗って微粉状の不純物が一緒に冷却システムに送られる。該不純物には、チタン以外の物質(鉄、スカンジウム、バナジウム、ニオブ、ジルコニウム、アルミニウム、シリコン、トリウム等、一部は塩化物)、未反応の鉱石、未反応のコークス等が含まれる。こうした不純物は、冷却システムにおいて、固体の形状で回収される。本明細書では、この回収された物を塩化残渣と呼ぶ。塩化残渣はスラリー化してもよいし、乾燥粒子群の形態であってもよい。典型的には、スラリー化した物を用いて、有価金属を回収することができる。
<塩化残渣の品位>
上述した工程で得られた塩化残渣は、様々なレアメタルを有しており、例えば、Sc、V、Nb、Zr、Y、La、Ce、Pr、及びNdのような有用な元素を含む可能性がある。これらを回収することができれば、回収物を用いて利益を向上させることができる。以下の理論で本発明を限定するものではないが、塩化残渣は、チタン製錬の過程で生じる混合物であるため、その構成成分の多くはチタン精鉱に由来する。チタン精鉱は、採掘したチタン鉱石に対して浮選、磁選、比重選鉱等を実施し、Ti品位を高めることによって得ることができる。そのため、目的物であるTi含有粒子は比較的大きな粒子を形成する傾向にあると考えられ、一方でTi精鉱においては不純物である他のレアメタル元素については、精鉱製造時に微細な粒子としてTi精鉱に付着して混入していると考えられる。
<塩化残渣の前処理>
上述した塩化残渣は、チタン製錬時に回収した直後は高温状態であり、有価金属を回収する処理を行う前に冷却する必要がある。冷却方法は、特に限定されず、空冷、又は水冷等の手段で冷却してもよい。
また、後述する分級を行う前に、塩化残渣を水洗しておくことが好ましい。水洗することでFeCl2等の水溶性の不純物を除去することが出来るからである。また水洗であれば、上述した冷却処理も同時に行うことが出来る。
<スカンジウムの回収>
一実施形態における、スカンジウムの回収の概要を図1に示す。以下、各工程について、具体的に説明する。
(1)スカンジウムの浸出工程(図1「浸出」)
チタン製錬塩化残渣を酸性液で浸出して浸出液を得る。前記酸性液のpHは浸出後に(又は浸出終了時に)0.3〜0.9の範囲になる様に調整されることが好ましい。0.3未満だと、トリウムが含まれる場合のトリウムの浸出量が多くなり、スカンジウムとの分離の妨げとなる。0.9超だと、スカンジウムの浸出量が低下してしまう。
また、浸出工程時の温度については特に限定されないが、前記酸性の溶液の温度は、好ましくは、60〜90℃であり、更に好ましくは、80℃〜90℃である。60℃より低いと、トリウムを含んでいる場合、スカンジウムとトリウムとの浸出量に差が出にくくなり、分離が困難となる。トリウムの浸出量は、温度が高くなるほど低下するため、浸出温度は高い方がよい。ただし、溶液の沸騰などの理由から、典型的な上限値は90℃としてもよい。
浸出反応のための時間については特に限定されないが、少なくとも1時間以上、典型的には2時間以上であってもよい。上限についても特に限定されないが、典型的には24時間以下である。
また、パルプ濃度については、特に限定されないが、100〜600g/L、典型的には、200〜500g/Lであってもよい。
上記酸性範囲にするための成分は特に限定されないが、強酸を使用することができる。例えば、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸、臭素酸、これらの混合物等を用いることができる。分量は特に限定されないが、上記pH範囲を実現できる量を添加すればよい。
(2)浸出液の中和工程(図1「中和」)
浸出後の溶液に対してpHを調節する中和を行ってもよい。即ち、pHを浸出時よりもアルカリ側に調整してもよい。これにより、スカンジウムを溶液中に残しつつ、トリウムを含む場合にはトリウムを沈殿させることができる。
中和工程におけるpH範囲は、1.3〜2.5が好ましい。1.3未満だと、トリウムの沈殿が生じにくい。一方で、pHが2.5を超えると、トリウムを含む場合、トリウムの沈殿の量が増加せず、むしろ、トリウムも沈殿するようになる。より好ましい範囲は、pHが1.8〜2.3である。これにより、スカンジウムが沈殿によってロスすることなく、大部分のトリウムを沈殿させることができる。
中和工程におけるpHの調整においては、浸出時よりもpHがアルカリ側に調整されるため、NaOH、Na2CO3、CaO、Ca(OH)2、CaCO3、LiOH、Li2CO3、KOH、K2CO3、Mg(OH)2、MgCO3等を用いることがこのましい。分量は、特に限定されないが、上述したpH範囲を実現できる量を添加すればよい。
操作の簡便性の観点から、浸出と中和は同じ槽で行うことが好ましい。無論、浸出直後(中和する前)に固液分離(図1「固液分離A」)を行い、浸出と中和を異なる槽で行うことも可能である。
(3)固液分離(図1「固液分離B」)
上記沈殿が形成された後は、固液分離を行うことができる。そして、スカンジウムが多く含まれる溶液側を回収することにより、トリウムの混入を低減させることができる(上述のように、トリウムは主に沈殿側に移動)。当該固液分離によって、不純物として中和物を除去し、中和後液を得ることができる。固液分離の方法は、特に限定されず、ろ過等の公知の方法を用いることができる。
(4)スカンジウム抽出
上記固液分離Bの工程の後は、中和後液に対して、有機溶媒を用いてスカンジウムを抽出する。より具体的には、中和後液に対して、TBPを抽出剤とした溶媒抽出を行うと、有機相側にFeが移動し、水相側にスカンジウム等の他のレアメタルが残留する。有機相側についてはFe逆抽出を行い、Fe逆抽出後液を廃水として廃棄する。なお、原料においてFeの含有量が低く、且つFeの浸出量が低い場合には、こうしたFeの抽出工程は省略してもよい。
一方で、水相側の方は、D2EHPA(Bis(2-ethylhexyl) phosphate)を抽出剤とした溶媒抽出を行う(図1の「スカンジウム抽出」)。これにより、有機相側にスカンジウムが移動し、一方で、スカンジウム以外の不純物であるいくつかの元素(例えば、Nb、Y、La、Ce、Zr、Pr、又はNd等)については水相側(スカンジウム抽出後液)に残留する。スカンジウム抽出後液は、スカンジウム以外の元素を回収するのに用いることができる。
上記「スカンジウム抽出」では、スカンジウムを含む溶液(上述の水相)に、D2EHPAを添加して、有機相中にスカンジウムを抽出することで、スカンジウムを含む有機溶媒を得る。ここで、有機相における、D2EHPAの濃度が0.15〜0.30(mol/l)となるように、且つ、溶媒浸出時の抽出温度を20〜45℃、抽出時のpHを−0.5〜0.5に調整することが好ましい。このような条件で溶媒抽出を行うことで、スカンジウムをより効率的に抽出することができる。
(5)スクラブ工程
次に、上記有機溶媒で浸出して得られた浸出後液(スカンジウムを含む有機溶媒)を酸でスクラビングする(図1「スクラビング」)。これにより、スカンジウム以外の不純物である鉄やトリウム等の混入を減少させることができる。このとき使用する酸としては、1M〜4.2M程度のHClやNaCl、H2SO4等が挙げられる。
(6)スカンジウム逆抽出、か焼
次に、スクラビング後の溶媒(不純物除去後のスカンジウムを含む有機溶媒)に、例えば1.5〜2.5MのNaOH等のアルカリ溶液で晶析剥離(図1「Sc晶析剥離(Sc逆抽出)」)を行い、水酸化スカンジウム(粗Sc(OH)3スラリー)を得て、水酸化スカンジウムを濾過する(図1「固液分離C」)。
当該水酸化スカンジウムを濾過する工程において、有機物からなる濾過助剤を添加した後に、前記水酸化スカンジウムを濾過する。水酸化スカンジウムはゲル状に固まる性質を有しており、このまま濾過すると、濾過速度が遅いまたは十分な濾過が困難であった。これに対し、本発明の実施形態では、有機物からなる濾過助剤を添加した後に、水酸化スカンジウムを濾過するため、水酸化スカンジウムが良好に分散し、濾過速度が良好となる。これは、懸濁物質と濾過助剤とが混在したケークが形成され、空隙率の高い濾過比抵抗の小さい濾過が可能となるためである。また、濾過助剤として、無機物(例えば珪藻土)を使用すると、水酸化スカンジウムを濾過した後、酸性液でスカンジウムを浸出してスカンジウムの浸出液を得る工程において、濾過助剤中の不純物(例えば、Fe、Al、Si等)が酸で溶解してしまう。このため、後述のような、シュウ酸等のカルボン酸を添加して、スカンジウムをカルボン酸スカンジウムの形で沈殿させる際に、濾過助剤から溶出した不純物によって汚染されてしまう。これに対し、本発明の実施形態では、濾過助剤として有機物を使用しているため、酸に溶解する不純物金属(例えば、Fe、Al、Si等)が無機物の濾過助剤と比較すると少なく、後述のような、シュウ酸等のカルボン酸を添加して、スカンジウムをカルボン酸スカンジウムの形で沈殿させる際に、濾過助剤から溶出した不純物によって汚染されない。また、万が一、有機系の濾過助剤が酸で分解、もしくは溶解したとしても、分解物はグルコース等の有機物であるため、カルボン酸スカンジウムをか焼して酸化スカンジウムを得る工程において除去可能である。
当該有機物からなる濾過助剤は、セルロースパウダーであるのが好ましい。このような構成によれば、入手が容易であること、意図しない吸着等の反応が起きないといったメリットが有る。
当該有機物からなる濾過助剤の、晶析剥離後のアルカリ溶液への添加量が、固体で含まれる水酸化スカンジウムの質量に対して、0.3倍以上であるのが好ましい。このような構成によれば、水酸化スカンジウムの濾過速度がより向上する。当該有機物からなる濾過助剤の、晶析剥離後のアルカリ溶液への添加量は、固体で含まれる水酸化スカンジウムの質量に対して、0.6倍以上であるのがより好ましく、0.9倍以上であるのがより好ましい。また、当該有機物からなる濾過助剤の、晶析剥離後のアルカリ溶液への添加量の上限値は、回収する水酸化スカンジウムケーキ中のスカンジウム濃度を高くし、後工程の取り扱い物量を低減するという観点や、セルロースパウダーの使用量を低減するという観点から、固体で含まれる水酸化スカンジウムの質量に対して、2.4倍以下であるのが好ましく、2.0倍以下であるのがより好ましい。
続いて、水酸化スカンジウムをか焼し(図1「か焼」)、最後は酸化スカンジウム(Sc23)の形態で回収することができる。もしくは、得られたSc(OH)3を塩酸溶液などの酸性液で浸出してスカンジウムの浸出液を得る。次に、スカンジウムの浸出液に、シュウ酸等のカルボン酸を添加して、スカンジウムをカルボン酸スカンジウムの形で沈殿させ更にか焼して、酸化スカンジウム(Sc23)の形態で回収することができる。
(6)分級工程
一実施形態において、スカンジウムを含む原料は、上述したように塩化残渣であってもよい。この実施形態において、塩化残渣を水洗した後、当該塩化残渣は、分級を行い、粗粒と細粒とに分けることができる。分級の方法としては、特に限定されず、乾式でも湿式でもよい。より好ましいのは湿式である。これは、塩化残渣が水洗されている場合に、乾燥させる手間を必要としないからである。また、分級の方法として、特定の大きさの目開きの篩を用いてもよい。湿式の分級として、水力分級機、水平水流分級機、遠心沈降機の分級機械を使用してもよい。乾式の分級として、エアセパレータ、空気式の分級機を用いてもよい。
分級の基準値については、特に限定されず、レアメタル(例えば、Sc、V、Nb、Zr、Y、La、Ce、Pr、又はNd)が多く含まれるサイズの範囲を上限値として採用すればよい。例えば、基準値の上限については、55μm以下、40μm以下、又は25μm以下であってもよい。基準値の下限については、10μm以上、15μm以上、又は20μm以上であってもよい。これにより、例えば、塩化残渣中に存在するスカンジウムのうちの、少なくとも約82%(基準値を25μmにした場合)、約84%(基準値を38μmにした場合)、又は約88%(基準値を53μmにした場合)を回収することができる。その一方で、回収対象となる物量を減らすことができる。更には、他の不純物(例えば、Fe、コークス、未反応チタンなど)の多くは粗粒側に分配される。
分級手段として篩を用いる場合には、上記分級の基準値に基づいて、網目のサイズを適宜決定することができる。例えば、25μmを基準値として分級する場合には、目開きが25μm(JIS規格だと、500メッシュ)を使用する。そして、篩を通過した物を細粒とし、篩上に残った物を粗粒とする。
分級後に得られた細粒は、上述したような条件で浸出工程を行い、スカンジウムを回収することができる。
以下、本発明の理解を促進するため、更に具体的な実施例を開示する。
(試験例1)
抽出剤(D2EHPA):7.5体積%、改質剤(TBP):3体積%、及び、希釈剤(Shellsol D70):89.5体積%を含む有機溶媒を用いて、中和後液を溶媒抽出してスカンジウムを抽出し、スクラビングで不純物を除去することで、スカンジウムを含む有機溶媒を準備した。
次に、当該スカンジウムを含む有機溶媒に、2MのNaOH溶液で晶析剥離(図1「Sc晶析剥離(Sc逆抽出)」)を行い、粗Sc(OH)3スラリーを得た。
次に、得られた粗Sc(OH)3スラリー(スラリー濃度:19g/l)を、メンブレンフィルター(孔径1μm)で濾過した。また、別途、得られた粗Sc(OH)3スラリーに、有機物からなる濾過助剤としてセルロースパウダー(日本製紙社製KCフロック(登録商標)W−200Y、粒度(%):200メッシュパス90以上、見掛比重(g/ml):0.30〜0.36、平均粒子径:約32μm)を25g/L添加し、濾布(型式:P−9310、通気度:1(ml/cm2)/秒)を用いて濾過した。
この結果、メンブレンフィルターで濾過したとき、濾過速度が72(ml/分)/m2であったのに対し、セルロースパウダーを添加して濾過したときは、2095(ml/分)/m2と濾過速度が約30倍に向上した。
(試験例2)
濾過助剤としての、セルロースパウダーの最適添加量を検討するために、試験例1と同等の粗Sc(OH)3スラリー(スラリー濃度:20g/l)を以下の手順(1)〜(4)で作製し、以下の手順(5)〜(8)で濾過速度測定試験を実施した。
(1)Sc濃度213g/LのScCl3溶液を21ml準備する。
(2)NaOHを38g秤量して、水400mlに溶解する。
(3)攪拌しながら徐々にScCl3溶液を添加する。
(4)最後に480mlにメスアップする。
(5)80mlに分割して、それぞれ例2−1〜例2−6のサンプルとして、100ml容器に入れる。
(6)それぞれ試験例1で用いたセルロースパウダーを規定量入れて攪拌する。
(7)φ55のヌッチェで、試験例1で用いた濾布を使って濾過する。このとき、初期濾液は抜ける可能性が有るので、少量ずつ行う。
(8)濾液が清澄になった時点で抜けた液を戻して全量入れて、濾過を開始し、濾過終了までの濾過時間を測定する。
試験条件及び評価結果を表1に示す。
Figure 2021169650
また、図2に、添加比率(セルロースパウダーの添加量(g)/固体で含まれる水酸化スカンジウムの質量(g))−濾過時間のグラフを示す。また、図3に、添加比率(セルロースパウダーの添加量(g)/固体で含まれる水酸化スカンジウムの質量(g))−濾過速度のグラフを示す。
上記試験結果によれば、セルロースパウダーの添加量が、固体で含まれる水酸化スカンジウムの質量に対して、0.3倍以上であると、濾過速度が312(ml/分)/m2以上となり、上述の試験例1のメンブレンフィルターによる濾過に比べて、濾過速度が大きく向上することが確認された。
以上、本発明の具体的な実施形態について説明した。上記実施形態は、本発明の具体例に過ぎず、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上述の実施形態の1つに開示された技術的特徴は、他の実施形態に提供することができる。また、特定の方法については、一部の工程を他の工程の順序と入れ替えることも可能であり、特定の2つの工程の間に更なる工程を追加してもよい。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって規定される。

Claims (7)

  1. スカンジウムを含む有機溶媒を準備する工程と、
    前記有機溶媒にアルカリ溶液を加えて、スカンジウムを前記アルカリ溶液中に水酸化スカンジウムとして晶析剥離する工程と、
    晶析剥離後のアルカリ溶液中に含まれる水酸化スカンジウムを濾過する工程と、
    を有し、
    前記水酸化スカンジウムを濾過する工程において、有機物からなる濾過助剤を添加した後に、前記水酸化スカンジウムを濾過することを特徴とするスカンジウムの回収方法。
  2. 前記水酸化スカンジウムを濾過した後、酸性液でスカンジウムを浸出してスカンジウムの浸出液を得る工程、
    前記スカンジウムの浸出液に、シュウ酸を添加してシュウ酸スカンジウムを得る工程、
    前記シュウ酸スカンジウムをか焼して酸化スカンジウムを得る工程、
    を更に有する請求項1に記載のスカンジウムの回収方法。
  3. 前記酸性液が塩酸溶液である請求項2に記載のスカンジウムの回収方法。
  4. 前記有機物からなる濾過助剤が、セルロースパウダーである請求項1〜3のいずれか一項に記載のスカンジウムの回収方法。
  5. 前記有機物からなる濾過助剤の前記晶析剥離後のアルカリ溶液への添加量が、固体で含まれる水酸化スカンジウムの質量に対して、0.3倍以上である請求項1〜4のいずれか一項に記載のスカンジウムの回収方法。
  6. 前記有機溶媒に含まれるスカンジウムの抽出剤が、D2EHPAである請求項1〜5のいずれか一項に記載のスカンジウムの回収方法。
  7. 前記スカンジウムを含む有機溶媒が、以下の工程a)〜d)を経て得たものである請求項1〜6のいずれか一項に記載のスカンジウムの回収方法。
    a) チタン製錬塩化残渣を酸性液で浸出して浸出液Aを得る工程、
    b) a)で得られた前記浸出液Aを中和した後、不純物として中和物を除去し、中和後液を得る工程、
    c) b)で得られた前記中和後液から、有機溶媒を用いてスカンジウムを抽出する工程、
    d) c)で得られた前記スカンジウムを抽出した有機溶媒から、スカンジウム以外の不純物を除去する工程。
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