JP7011794B2 - コバルトおよびニッケルの回収方法 - Google Patents
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Description
〔1〕コバルトおよびニッケルと共にアルミニウムを含む酸性溶液について、該酸性溶液にアルカリを添加し、pH5~7に調整してコバルトおよびニッケルと共にアルミニウムを水酸化物にし、固液分離して回収した上記水酸化物をアルカリ溶液に混合し、pH8以上の液性下で上記水酸化物に含まれるアルミニウムを浸出させて固液分離し、アルミニウムを分離したコバルトおよびニッケル水酸化物を回収することを特徴とするコバルトおよびニッケルの回収方法。
〔2〕コバルトおよびニッケルと共にアルミニウムを含む濃度1.5~2mol/Lの硫酸性溶液に、濃度1mol/L未満の苛性ソーダを添加し、該溶液をpH5~7にして水酸化物を生成させ、固液分離して回収した上記水酸化物を濃度4~6mol/Lの苛性ソーダ溶液に混合し、pH8以上の液性下および液温50~80℃で、上記水酸化物に含まれるアルミニウムを浸出させ、次いで固液分離してアルミニウムを除去し、コバルトおよびニッケル水酸化物を回収する上記[1]に記載するコバルトおよびニッケルの回収方法。
〔3〕アルミニウムを除去して回収したコバルトおよびニッケル水酸化物を、処理開始時の上記酸性溶液に戻して該溶液のコバルトおよびニッケルの濃度を高める上記[1]または上記[2]に記載するコバルトおよびニッケルの回収方法。
〔4〕コバルトおよびニッケルと共にアルミニウムを含む上記酸性溶液が、リチウムイオン電池廃棄物から取り出した正極活物質粉砕物を硫酸浸出した液である上記[1]~上記[3]の何れかに記載するコバルトおよびニッケルの回収方法。
本発明の方法は、コバルトおよびニッケルと共にアルミニウムを含む酸性溶液について、該酸性溶液にアルカリを添加し、pH5~7に調整してコバルトおよびニッケルと共にアルミニウムを水酸化物にし、固液分離して回収した上記水酸化物をアルカリ溶液に混合し、pH8以上の液性下で上記水酸化物に含まれるアルミニウムを浸出させて固液分離し、アルミニウムを分離したコバルトおよびニッケル水酸化物を回収することを特徴とするコバルトおよびニッケルの回収方法である。
アルミニウム除去率=A1/A2×100(%) ・・・[1]
〔上記式[1]において、A1はアルミニウム浸出工程で得られた浸出液中のアルミニウム含有量、A2はAl澱物化工程で得られた沈殿物中のアルミニウム含有量〕
コバルトまたはニッケル溶出率=C1/C2×100(%) ・・・[2]
〔上記式[2]において、C1はアルミニウム浸出工程で得られた浸出液中のコバルトまたはニッケルの含有量、C2はAl澱物化工程で得られた沈殿物中のコバルトまたはニッケルの含有量〕
廃LIBから取り出した正極活物質14.5gを、濃度2mol/Lの硫酸100mLで浸出した液について、該浸出液がpH5.5になるよう、濃度25%の苛性ソーダ溶液を添加し、生成した水酸化物沈殿を吸引ろ過して固液分離し、該水酸化物沈澱を回収した(Al澱物化工程)。この水酸化物沈殿のコバルト含有量9.1wt%、ニッケル含有量は12.7wt%、アルミニウム含有量は25.1wt%であった。この水酸化物沈殿20gを濃度4mol/Lの苛性ソーダ溶液200mLに混合し、pH8以上の苛性ソーダ混合液にした。この混合液を80℃で2時間撹拌してアルミニウムを浸出させた(アルミニウム浸出工程)。この苛性ソーダ混合液を再び吸引ろ過して固液分離し、浸出残渣を回収した(分離回収工程)。分離工程後の濾液をICP-AESによって分析したところ、アルミニウム濃度は2.9g/Lであり、コバルトおよびニッケルは検出されなかった。一方、分離工程後の浸出残渣をXRFにて組成分析したところ、コバルト含有量30.7wt%、ニッケル含有量45.8wt%、アルミニウム含有量は3.5wt%であった。この結果によれば、分離工程後の浸出残渣に含まれるアルミニウムの除去率は68.9%であった(試料No. A1)。この浸出残渣に含まれるコバルトおよびニッケルは濃度2mol/Lの硫酸で容易に浸出できることが確認された。
アルミニウム浸出工程の苛性ソーダ溶液の濃度と液量、および浸出時の液温を変えて同様の処理を行った。この結果を表1に示した。表1に示すように、アルミニウム浸出工程の苛性ソーダ溶液の濃度は4~6mol/Lが好ましく、液温は50℃~80℃が好ましい(試料No.A1~A9)。苛性ソーダ溶液の濃度が2mol/L以下または液温が50℃未満では分離工程後の浸出残渣に含まれるアルミニウムの除去率が低下する(試料No.A10~A19)。
アルミニウム浸出工程の苛性ソーダ溶液に代えて硫酸を用いた以外は実施例1と同様にしてアルミニウムを浸出させた。この結果を表2に示した(比較例:試料No.B1、B2)。表2に示すように、硫酸浸出ではアルミニウムと共にコバルトおよびニッケルが大幅に浸出するので、アルミニウムを選択的に浸出して分離することができない。
廃LIBから取り出した正極活物質粉砕物を図1に示す処理工程に従って処理した。
該正極活物質に含まれるコバルト、ニッケル、マンガン、リチウム、アルミニウムなどの含有量(以下、有価金属含有量と云う)を表3に示す。この正極活物質粉砕物を、過酸化水素を加えた硫酸を用いて浸出した〔硫酸浸出工程〕。この硫酸浸出液(pH0.2)の有価金属含有量を表3に示す。この硫酸浸出液に水硫化ソーダ(NaHSaq)を加えて液中の銅を硫化銅沈澱にし、該硫化銅沈澱を濾過して銅を除去した〔脱Cu工程〕。この脱Cu濾液と濾過残渣(含Cu残渣)の有価金属含有量を表3に示す。この脱Cu濾液に苛性ソーダ(NaOH)を加えてpH3.5にし、次亜塩素酸ナトリウム(NaClOaq)を加えて液中のマンガンを酸化マンガン沈澱にし、濾過して酸化マンガン沈澱を除去し、脱Mn濾液を回収した〔脱Mn工程〕。この脱Mn濾液および濾過残渣(含Mn残渣)の有価金属含有量を表3に示す。
この脱Mn濾液にpH5.5になるよう、25%の苛性ソーダ溶液を添加し、生成した水酸化物沈殿を濾過して回収した〔Al澱物化工程〕。この水酸化物沈殿に4mol/Lの苛性ソーダ溶液を混合してpH8以上にし、80℃で2時間撹拌し、アルミニウムを浸出させた。次いで、これを濾過して濾過残渣(Co,Ni残渣)を回収し、濾液(Al浸出液)と分離した〔Al浸出工程、分離回収工程〕。この濾過残渣と濾液の有価金属含有量を表3に示す。
実施例2において、分離回収工程で回収した濾過残渣(Co,Ni残渣)を処理開始時の硫酸浸出液に戻す処理を10回繰り返した後に、Al澱物化工程で沈澱させたアルミニウム水酸化物を固液分離した濾液(含Co,Ni濾液)を用い、該濾液の濃度を調整し、溶媒(2-ethylhexyl phosphonic acid mono-2-ethylhexyl ester、商品名:PC-88Aを20vol%、ケロシンを80vol%混合したもの)を用いてコバルトおよびニッケルを抽出して回収した。コバルトの回収率は93.3%、ニッケルの回収率は94.4%であった。
一方、分離回収工程で回収した濾過残渣(Co,Ni残渣)を処理開始時の硫酸浸出液に戻す処理を行わずに、Al澱物化工程で沈澱させたアルミニウム水酸化物を固液分離した濾液(含Co,Ni濾液)を用い、上記と同様にコバルトおよびニッケルを溶媒抽出によって回収した。コバルトの回収率は59.3%、ニッケルの回収率は64.4%であり、コバルトとニッケルの損失が大きかった。
Claims (4)
- コバルトおよびニッケルと共にアルミニウムを含む酸性溶液について、該酸性溶液にアルカリを添加し、pH5~7に調整してコバルトおよびニッケルと共にアルミニウムを水酸化物にし、固液分離して回収した上記水酸化物をアルカリ溶液に混合し、pH8以上の液性下で上記水酸化物に含まれるアルミニウムを浸出させて固液分離し、アルミニウムを分離したコバルトおよびニッケル水酸化物を回収することを特徴とするコバルトおよびニッケルの回収方法。
- コバルトおよびニッケルと共にアルミニウムを含む濃度1.5~2mol/Lの硫酸性溶液に、濃度1mol/L未満の苛性ソーダを添加し、該溶液をpH5~7にして水酸化物を生成させ、固液分離して回収した上記水酸化物を濃度4~6mol/Lの苛性ソーダ溶液に混合し、pH8以上の液性下および液温50~80℃で、上記水酸化物に含まれるアルミニウムを浸出させ、次いで固液分離してアルミニウムを除去し、コバルトおよびニッケル水酸化物を回収する請求項1に記載するコバルトおよびニッケルの回収方法。
- アルミニウムを除去して回収したコバルトおよびニッケル水酸化物を、処理開始時の上記酸性溶液に戻して該溶液のコバルトおよびニッケルの濃度を高める請求項1または請求項2に記載するコバルトおよびニッケルの回収方法。
- コバルトおよびニッケルと共にアルミニウムを含む上記酸性溶液が、リチウムイオン電池廃棄物から取り出した正極活物質粉砕物を硫酸浸出した液である請求項1~請求項3の何れかに記載するコバルトおよびニッケルの回収方法。
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Citations (2)
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JP2002143883A (ja) | 2000-11-09 | 2002-05-21 | Ebara Corp | リン含有有機性汚水の処理方法 |
JP2017036478A (ja) | 2015-08-10 | 2017-02-16 | Jx金属株式会社 | リチウムイオン電池スクラップからの鉄及びアルミニウムの除去方法及び、有価金属の回収方法 |
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Non-Patent Citations (1)
Title |
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米窪 達雄,水酸化アルミニウムに対する金属の共沈とpHとの関係,福井大学工学部研究報告,1963年,第11巻 第1・2号,P.149-154,ISSN:04298373,特に、「3.1」及び「3.2」参照。 |
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