JP5904100B2 - 中和スラリーの沈降分離方法、並びにニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法 - Google Patents

中和スラリーの沈降分離方法、並びにニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法 Download PDF

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Description

本発明は、中和スラリーの沈降分離方法、並びにニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法に関し、より詳しくは、ニッケル酸化鉱石からニッケル及びコバルトを浸出させた浸出液に中和処理を施して得られる中和スラリーの沈降分離方法、並びにその方法を適用したニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法に関する。
ニッケル酸化鉱石からの有価金属の回収方法として、高圧酸浸出法(High Pressure Acid Leach法;以下、HPAL法と称する。)が行われている。HPAL法では、有価金属であるニッケルやコバルトを効率良く回収するため、浸出終了時の余剰酸濃度を25〜50g/Lに維持した操業が行われる(例えば、特許文献1参照。)。
このため、浸出液に含まれる余剰酸は、中和工程にてアルカリ等の中和剤が添加されて中和される。ここで、その中和処理に用いる中和剤としては、炭酸カルシウムを代表とする安価なCa系のものが採用される場合が多い。しかしながら、浸出スラリーが硫酸溶液である場合には、多量の石膏が副産物として生成するため、中和後の固液分離のために大きな設備を要することになる。
また、近年は、鉄鉱石の供給不足等からHPAL法にて生成される、ヘマタイトを主成分とした浸出残渣を鉄鋼原料として活用できないかと期待されている。しかしながら、その浸出残渣中には、ヘマタイト以外にも多くの成分が含有されているため、それら成分とヘマタイトとの分離を効率的に行うことが望まれる。特に、浸出残渣中のイオウは、製鋼工程で亜硫酸ガスを発生させる等の問題があり、イオウをできるだけ含有させないように分離することが望まれる(例えば、特許文献2参照。)。
このような社会的情勢からHPAL法で使用する中和剤として、カルシウム酸化物等の石膏が副産物として生成しない、いわゆるCaレスの中和剤が注目されてきている。
例えば、特許文献3には、マグネシウム酸化物を用いて、前工程で得られた溶液のpHを上昇させる予備中和工程を含む回収方法が示されている。
しかしながら、マグネシウム酸化物を使用した中和では、浸出液中の不純物成分を効果的に中和澱物とすることはできるものの、その中和澱物を後工程で固液分離する際に、濾布の閉塞等の濾過不良や濾過速度の低下を生じさせてしまうという問題がある。さらに、その中和澱物がSS(浮遊物質)となって固液分離後の上澄み液中に混入し、更なる濾過不良や濾過速度の低下の原因となってしまうという問題がある。このため、中和処理により生成した中和澱物を、濾過不良を抑制しながら効果的に分離除去することができる方法が求められている。
特許4525428号公報 特開2010-95788号公報 特開2007−77459号公報
本発明は、上述した問題点に解決するために提案されたものであり、ニッケル酸鉱石からニッケル及びコバルトを浸出して得られた浸出液に対して、効率的な中和処理を行うとともに、濾過不良等を抑制しながら、効果的に不純物成分を沈殿物化した中和澱物を分離除去することができる中和スラリーの沈降分離方法、並びにその方法を適用したニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した目的を達成するために鋭意検討を重ねた。その結果、浸出液に対してマグネシウム酸化物を中和剤として用いて中和処理を施し、得られた中和処理後のスラリー(中和スラリー)に対してカチオン系凝集剤を添加することによって、生成した中和澱物の濾過性を向上させて、その中和澱物を効果的に分離除去できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明に係る中和スラリーの沈降分離方法は、ニッケル酸化鉱石からニッケル及びコバルトを浸出させた浸出液に中和処理を施して得られる中和スラリーの沈降分離方法であって、上記浸出液に対してマグネシウム酸化物を用いて中和処理を施し、得られた中和スラリーにカチオン系凝集剤を添加して中和澱物を分離除去することを特徴とする。
ここで、上記マグネシウム酸化物としては、上記ニッケル酸化鉱石の母岩を粉砕したものを用いることができる。
また、上記浸出液としては、硫酸溶液を用いた高温加圧酸浸出法により上記ニッケル酸化鉱石からニッケル及びコバルトを浸出して得られたものを用いることができる。
また、上記カチオン系凝集剤の添加量としては、上記中和スラリー中の固形分に対し650〜1350g/t(固形分)の量であることが好ましい。さらに、上記カチオン系凝集剤の添加量は、上記中和スラリー中の固形分に対し900〜1100g/t(固形分)の量であることがより好ましい。

また、本発明に係るニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法は、ニッケル酸化鉱石からのニッケル及びコバルトの回収を、浸出工程、固液分離工程、中和工程を含む高温加圧酸浸出法により行う湿式製錬方法において、上記中和工程にて、浸出して得られた浸出液に対してマグネシウム酸化物を用いて中和処理を施し、得られた中和スラリーにカチオン系凝集剤を添加して中和澱物を分離除去することを特徴とする。
本発明によれば、ニッケル及びコバルトを含む浸出液に対してマグネシウム酸化物を中和剤として用いて中和処理を施し、その中和スラリーに対してカチオン系凝集剤を添加して中和澱物を分離除去するようにしているので、濾過不良や濾過速度の低下を抑制して、中和澱物を効果的に分離除去することができる。
また、そのカチオン系凝集剤の添加量を調整することにより、SS濃度を効果的に低減させることができ、濾布の目詰まり等を防止してより一層に濾過性を向上させ、高い生産性で以って、清澄度の高いニッケル及びコバルト回収用の母液を得ることができる。
ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法の工程図である。 カチオン系凝集剤の添加量に対するSS濃度(mg/l)と、濾過時間(秒)との関係を示すグラフ図である。
以下、本発明に係る中和スラリーの沈降分離方法を適用した具体的な実施形態(以下、本実施の形態という。)について、以下の順で詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない限りにおいて適宜変更することができる。
1.概要
2.ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法
3.中和スラリーの沈降分離方法
3−1.中和処理
3−2.固液分離処理
<1.概要>
本実施の形態に係る中和スラリーの沈降分離方法は、硫酸溶液等を用いた浸出処理によりニッケル酸化鉱石からニッケル及びコバルトを浸出させた浸出液に対して中和処理を施すことで得られる中和スラリーの沈降分離方法である。
具体的に、この中和スラリーの沈降分離方法は、ニッケル酸化鉱石からニッケル及びコバルトを浸出させた浸出液に対してマグネシウム酸化物を用いて中和処理を施し、得られた中和スラリーにカチオン系凝集剤を添加して中和澱物を分離除去する。
このような方法によれば、浸出液に対する中和処理を効率的に行うことができるとともに、生成した中和澱物を、濾過不良等の発生を抑制しながら、効果的に分離し除去することができる。
また、この方法によれば、中和スラリーに添加するカチオン系凝集剤の添加量を調整することによって、上澄み液中のSS(浮遊物質)濃度を効果的に低減させることができ、清澄度の高い中和処理後液、すなわちニッケル及びコバルトの回収用の母液を得ることできる。また、このようにSS濃度を低減させることができることにより、中和澱物を分離除去するための固液分離処理においても、処理に用いる濾布の閉塞等を防止して、濾過不良や濾過速度の低下をより効果的に抑制することができ、高い生産性で以って清澄度の高い母液を得ることができる。
以下、より具体的に、この中和スラリーの沈降分離方法について説明するが、その説明に先立ち、この方法を適用することができるニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法について説明する。なお、以下のニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法は、硫酸溶液を用いた高温加圧酸浸出法(HPAL法)によりニッケル及びコバルトを回収する形態を具体例として示す。
<2.ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法>
ニッケル酸化鉱石のHPAL法を用いた湿式製錬方法は、図1の工程図に示すように、ニッケル酸化鉱石のスラリーに硫酸溶液を添加して高温高圧下で浸出する浸出工程S1と、浸出スラリーを多段洗浄しながら浸出残渣を分離してニッケル及びコバルトと共に不純物元素を含む浸出液を得る固液分離工程S2と、浸出液のpHを調整し浸出液中の余剰酸を中和するとともに不純物元素を含む中和澱物を分離除去してニッケル及びコバルトを含む中和終液を得る中和工程S3と、その中和終液に対し硫化処理を施してニッケル及びコバルトを含む混合硫化物を形成する硫化工程S4とを有する。
(1)浸出工程
浸出工程S1では、高温加圧容器(オートクレーブ)等を用いて、ニッケル酸化鉱石のスラリーに硫酸溶液を添加して220〜280℃の温度下で撹拌処理して、浸出残渣と浸出液からなる浸出スラリーを形成する。
ニッケル酸化鉱石としては、主としてリモナイト鉱及びサプロライト鉱等のいわゆるラテライト鉱が挙げられる。ラテライト鉱のニッケル含有量は、通常、0.8〜2.5重量%であり、水酸化物又はケイ苦土(ケイ酸マグネシウム)鉱物として含有される。また、鉄の含有量は、10〜50重量%であり、主として3価の水酸化物(ゲーサイト)の形態であるが、一部2価の鉄がケイ苦土鉱物に含有される。また、浸出工程S1では、このようなラテライト鉱の他に、ニッケル、コバルト、マンガン、銅等の有価金属を含有する酸化鉱石、例えば深海底に賦存するマンガン瘤等が用いられる。
(2)固液分離工程
固液分離工程S2では、浸出工程S1で形成される浸出スラリーを多段洗浄して、ニッケル及びコバルトを含む浸出液と浸出残渣を分離する。この固液分離工程S2においては、浸出スラリーに対して、例えばアニオン系又はノニオン系(弱アニオン性)凝集剤を添加して固液分離処理を行う。
(3)中和工程
中和工程S3では、浸出液の酸化を抑制しながら、中和剤を添加して浸出液中の余剰酸を中和するとともに、浸出液中に含まれる3価の鉄等の不純物成分を中和澱物とする中和処理を施す。また、この中和工程S3では、中和処理して得られた中和処理後のスラリー(中和スラリー)中の中和澱物を沈降分離させ、シックナー等の固液分離装置を用いて固液分離処理を施し、中和澱物を分離除去する。これにより、中和澱物スラリーと、ニッケル及びコバルトを回収するための母液となる中和終液とを得る。
本実施の形態においては、この中和工程S3において、マグネシウム酸化物を中和剤として用いた中和処理を施すとともに、得られた中和スラリーに対してカチオン系凝集剤を添加して中和澱物を分離除去する固液分離処理を施すことを特徴としている。詳しくは後述する。
(4)硫化工程
硫化工程S4では、ニッケル及びコバルトの回収用の母液である中和終液に対して硫化水素ガスを吹きこみ、不純物成分の少ないニッケル及びコバルトを含む混合硫化物(ニッケル・コバルト混合硫化物)と、ニッケル濃度を低い水準で安定させた貧液(硫化後液)とを得る。なお、この硫化工程S4では、ニッケル及びコバルト回収用の母液に亜鉛が含まれる場合には、ニッケル及びコバルトを硫化物として分離するに先立って、亜鉛を硫化物として選択的に分離することができる。
また、この硫化工程S4では、得られたニッケル・コバルト混合硫化物のスラリーをシックナー等の沈降分離装置を用いて沈降分離処理し、ニッケル・コバルト混合硫化物をシックナーの底部から分離回収するとともに、水溶液成分はオーバーフローさせて硫化後液として回収する。
<3.中和スラリーの沈降分離方法>
上述したように、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法では、浸出工程S1にて生成した浸出スラリーを、固液分離工程S2にて固液分離することによって浸出液が得られる。そして、その浸出液に対して中和工程S3にて中和処理を施すことにより、浸出液中に含まれる余剰酸の中和と不純物成分の分離除去が行われる。
このとき、本実施の形態においては、その中和工程S3において、マグネシウム酸化物を中和剤として用いた中和処理と、得られた中和スラリーにカチオン系凝集剤を添加する固液分離処理とが行われる。
<3−1.中和処理>
本実施の形態における中和工程S3では、浸出スラリーを固液分離して得られた、ニッケル及びコバルトを含む浸出液に対して、マグネシウム酸化物を中和剤として添加して中和処理を施す。この中和処理によって、浸出液中の余剰酸に対する中和と、浸出液中に含まれる不純物成分の水酸化物化(沈殿物化)を行い、中和終液と中和澱物とを含む中和処理後のスラリー(中和スラリー)を得る。
より具体的に、中和剤として用いるマグネシウム酸化物としては、例えばサプロライト鉱等の珪酸マグネシウムや水酸化マグネシウムを含有するニッケル酸化鉱石の母岩を用いることができる。母岩の使用に際しては、その母岩を適当な大きさ(例えば、概ね100〜300mm)に粉砕したものを用いる。このように母岩を中和剤として用いることによって、中和処理のコストを効果的に削減することができる。
中和処理におけるpH条件としては、特に限定されないが、pH4.0以下となるように、マグネシウム酸化物を添加して中和することが好ましい。pHが4.0を超えると、浸出液中のニッケルやコバルトの水酸化物が発生して中和澱物に含まれるようになり、これら有価金属の回収ロスとなる。
<3−2.固液分離処理>
固液分離処理では、上述した中和処理により得られた中和スラリーから、中和澱物を沈降分離させ、シックナー等の固液分離装置を用いて中和澱物を分離除去し、ニッケル及びコバルトの回収用の母液となる中和終液(中和後液)を得る。
ここで、本発明者らは、上述した中和処理においてマグネシウム酸化物を中和剤として用いることにより、効率的な中和澱物の生成が可能となるものの、生成した中和澱物の濾過性が低下するという知見を得た。特に、マグネシウム酸化物として、サプロライ鉱等のニッケル酸化鉱石の母岩を粉砕したものを用いた場合、その母岩にはアモルファスシリカが多く含まれていることから、これを中和剤として用いて中和処理を施すと、中和終液の上澄みの清澄度が下がり、濾過性が著しく低下する。
そこで、本実施の形態における中和工程S3では、中和スラリーに対してカチオン系凝集剤を添加して固液分離することを特徴としている。詳細なメカニズムは定かではないが、マグネシウム酸化物により中和処理して得られた中和スラリーに、カチオン系凝集剤を添加することで、アモルファスシリカ等のアモルファスの表面電荷を変化させることができると考えられる。これにより、中和澱物の凝集化を促進させて濾過性を向上させるとともに、その中和澱物からSSが発生することを防止して、SSに起因する濾布の目詰まり等の濾過不良を抑制することができると考えられる。
このように、本実施の形態においては、中和スラリーに対してカチオン系凝集剤を添加して固液分離処理を行うことによって、濾過性に優れた中和澱物(残渣)を得ることができ、効果的に中和澱物を分離除去することができる。
カチオン系凝集剤としては、特に限定されず、一般的に使用されているものを用いることができる。具体的には、例えばポリアクリル酸エステル系、ポリメタクリル酸エステル系、ポリアミン系、ジシアンジアミド系、ポリアクリルアミド系、ビニルホルムアルデヒド系のポリマー等が挙げられる。
カチオン系凝集剤の添加量は、特に限定されないが、その固形分として、650〜1350g/tの範囲とすることが好ましい。ここで、中和終液中のSS濃度としては、一般的には、100mg/l未満の濃度に抑えることが好ましく、50mg/l以下にまで抑えることがより好ましく、10mg/l未満まで抑えることで殆ど清澄度に問題がなく、その濾過性も高まるとされている。この点において、カチオン系凝集剤の添加量を650〜1350g/tの範囲とすることにより、SS濃度を100mg/l以下に低減させることができ、清澄度の高い母液(ニッケル及びコバルト回収用の母液)を得ることができる。また、このようにSS濃度を効果的に低減させることができることにより、濾過処理に際して濾布の目詰まり等を防止することができ、より一層に濾過性を向上させることができる。
さらに、そのカチオン系凝集剤の添加量としては、固形分で、750〜1200g/tの範囲とすることがより好ましく、900〜1100g/tの範囲とすることがさらに好ましい。添加量をこのような範囲とすることによって、その濾過速度がさらに速くなり、濾過不良を抑制しながら効果的に中和澱物を分離除去することができる。また、添加量を上述した範囲とすることによって、SS濃度を約50mg/l以下、さらには10mg/l未満まで低減させることができ、より一層に清澄度の高い母液を得ることができる。
以上のように、本実施の形態においては、例えばHPAL法によって硫酸浸出された浸出液中の余剰酸の中和と不純物成分の除去を行う中和工程において、中和剤としてマグネシウム酸化物を用いて中和処理を施し、得られた中和スラリーに対してカチオン系凝集剤を添加して中和澱物を分離除去する。これにより、効率的な中和処理を可能にするとともに、生成した中和澱物の濾過性を向上させて、シックナー等の固液分離装置によって効果的に固形側に分離除去することができる。
また、中和スラリーに添加するカチオン系凝集剤の添加量を制御することによって、中和終液(上澄み液)中のSS濃度を効果的に低減させることができ、濾布等の目詰まりを防止してより一層に濾過性を向上させるとともに、清澄度の高いニッケル及びコバルト回収用の母液を得ることができる。
以下に、本発明についての実施例を説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
[中和澱物の沈降分離効果の検討]
ニッケル酸化鉱石をHPAL法にて硫酸浸出し、固液分離して得られた浸出液に対してマグネシウム酸化物(珪酸マグネシウム及び水酸化マグネシウム)を用いて中和処理を施し、浸出液中の余剰酸の中和と不純物成分の水酸化物除去を実施した。この中和処理により、母液と中和澱物とを含む中和スラリーを得た。
その後、得られた中和スラリーを、目盛りが100mlのメスシリンダーに100ml移し、下記表1に一覧を示す凝集剤を、下記表2に示す水準(添加量)で添加し、上下振とうを3回実施した後に静置して固液分離を行った。静置30分後に上澄み液を50ml採取し、目開きが0.45μmのセルロース製メンブランフィルターを用いて濾過面積17.3cmにて100torrの吸引ろ過を実施した。
下記表2に、このときのSS(浮遊物質)濃度とろ過時間の測定結果を示す。なお、この表2には、比較として、中和処理の実施前後の浸出液(母液)のSS濃度と濾過時間も併せて示す。
Figure 0005904100
Figure 0005904100
表2に示すように、中和処理前の浸出液の濾過時間と中和処理後の母液の濾過時間の結果から、マグネシウム酸化物を中和剤として用いた中和処理によって、浸出液中に含まれていた不純物を効果的に沈殿物化して中和澱物とすることができることが分かった。
次に、このように生成した中和澱物の分離除去に関して、試験例1及び2の結果から、ノニオン系、アニオン系凝集剤では、中和澱物の分離効果が低く、またその中和澱物がSSとして上澄み液中に残存するようになった。その結果、濾過時間が2000秒以上も掛かって濾過不良が生じてしまい、効果的に中和澱物を除去することができなかった。これに対して、カチオン系凝集剤を加えた場合では、その濾過時間が著しく速くなり、効果的に中和澱物を分離除去できていることが分かる。
このことから、浸出液をマグネシウム酸化物を中和剤として中和処理することで得られた中和スラリーに対して、カチオン系凝集剤を添加して中和澱物を分離させることによって、濾過不良を抑制しながら効果的に分離除去できることが分かった。
[カチオン系凝集剤の添加量の検討]
次に、浸出液を中和処理して得られた中和スラリーに対して、そのカチオン系凝集剤の添加量を下記表3に示すように変化させたときの、中和終液(母液)中のSS濃度と濾過時間を測定した。
表3に、測定結果を示す。また、図2に、カチオン系凝集剤の添加量に対するSS濃度(mg/l)と、濾過時間(秒)との関係を示すグラフを示す。
Figure 0005904100
表3及び図2に示される結果から分かるように、カチオン系凝集剤を添加して中和澱物を濾過分離することによって、濾過不良を抑制して効果的に分離除去することができるが、添加量が1350g/t(固形分)を超えると、濾過時間が若干長くなることが分かる。また、その添加量が500g/t(固形分)より少ない場合でも、同様に、濾過時間が若干長くなることが分かる。さらに、この1350g/t(固形分)を超える添加量、及び、500g/t(固形分)より少ない添加量では、母液中のSS濃度も大きくなることが分かる。
一方で、カチオン系凝集剤の添加量が650〜1350g/t(固形分)の範囲では、濾過時間が60秒以下となり、母液中のSS濃度も100mg/l以下と好ましい値となることが分かる。また、カチオン系凝集剤を750〜1200g/t(固形分)の範囲で添加することにより、濾過時間が約30秒以下とより迅速となり、母液中のSS濃度も50mg/l以下と低濃度となることが分かる。さらに、カチオン系凝集剤を900〜1100g/t(固形分)の範囲で添加することにより、濾過時間が15秒以下と極めて迅速となり、母液中のSS濃度も10mg/l未満と非常に低濃度となることが分かる。
このことから、カチオン系凝集剤の添加量として、好ましくは650〜1350g/t(固形分)の範囲、より好ましくは750〜1200g/t(固形分)の範囲、さらに好ましくは900〜1100g/t(固形分)の範囲とすることによって、濾過不良を抑制しながら効果的に中和澱物を分離除去できるとともに、清澄度の高い母液(ニッケル及びコバルト回収用の母液)が得られることが分かった。

Claims (9)

  1. ニッケル酸化鉱石からニッケル及びコバルトを浸出させた浸出液に中和処理を施して得られる中和スラリーの沈降分離方法であって、
    上記浸出液に対してマグネシウム酸化物を用いて中和処理を施し、得られた中和スラリーにカチオン系凝集剤を添加して中和澱物を分離除去することを特徴とする中和スラリーの沈降分離方法。
  2. 上記マグネシウム酸化物は、上記ニッケル酸化鉱石の母岩を粉砕したものであることを特徴とする請求項1に記載の中和スラリーの沈降分離方法。
  3. 上記浸出液は、硫酸溶液を用いた高温加圧酸浸出法により上記ニッケル酸化鉱石からニッケル及びコバルトを浸出して得られたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の中和スラリーの沈降分離方法。
  4. 上記カチオン系凝集剤の添加量が、上記中和スラリー中の固形分に対し650〜1350g/t(固形分)の量であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の中和スラリーの沈降分離方法。
  5. 上記カチオン系凝集剤の添加量が、上記中和スラリー中の固形分に対し900〜1100g/t(固形分)の量であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の中和スラリーの沈降分離方法。
  6. ニッケル酸化鉱石からのニッケル及びコバルトの回収を、浸出工程、固液分離工程、中和工程を含む高温加圧酸浸出法により行う湿式製錬方法において、
    上記中和工程にて、浸出して得られた浸出液に対してマグネシウム酸化物を用いて中和処理を施し、得られた中和スラリーにカチオン系凝集剤を添加して中和澱物を分離除去することを特徴とするニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法。
  7. 上記マグネシウム酸化物は、上記ニッケル酸化鉱石の母岩を粉砕したものであることを特徴とする請求項6に記載のニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法。
  8. 上記カチオン系凝集剤の添加量が、上記中和スラリー中の固形分に対し650〜1350g/t(固形分)の量であることを特徴とする請求項6又は7に記載のニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法。
  9. 上記カチオン系凝集剤の添加量が、上記中和スラリー中の固形分に対し900〜1100g/t(固形分)の量であることを特徴とする請求項6又は7に記載のニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法。
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