JP6984191B2 - ニッケル高圧浸出残渣の固液分離方法 - Google Patents

ニッケル高圧浸出残渣の固液分離方法 Download PDF

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Description

本発明は、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬におけるニッケル高圧浸出残渣の固液分離方法に関する。
近年、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬法として、硫酸を用いた高圧酸浸出(High Pressure Acid Leaching)法が注目されている。この方法は、乾燥及び焙焼工程等の乾式処理工程を含まず、一貫した湿式工程からなるので、エネルギー的及びコスト的に有利であるとともに、ニッケル品位を50重量%程度まで向上させたニッケル・コバルト混合硫化物を得ることができるという利点を有している。
ニッケル・コバルト混合硫化物を得るための高圧酸浸出法によるニッケルの湿式製錬法においては、ニッケル酸化鉱石を高温加圧酸浸出して、浸出スラリーを得る浸出工程と、浸出工程で得られた浸出スラリーのpHを予備中和工程で調整した後、固液分離して、ニッケル及びコバルトのほかに不純物元素として亜鉛等を含有する粗硫酸ニッケル水溶液(浸出液)を得る固液分離工程が含まれる。
この湿式製錬方法における固液分離工程では、通常、浸出工程から得られた浸出スラリーをシックナーによって粗硫酸ニッケル水溶液と浸出残渣とに分離すると同時に、その浸出スラリーを多段洗浄する処理が行われる。具体的に、多段洗浄方法としては、シックナーを多段に連結させて、その浸出スラリーを有価金属を含まない洗浄液に向流で接触させて残渣に付着した有価金属を洗い流す連続向流洗浄法(CCD法:Counter Current Decantation)が用いられ、これによって有価金属の回収率を向上させている。残渣を洗浄する方法としては、様々な方法が知られているが、このCCD法を用いることによって系内に新たに導入する洗浄液を削減するとともに、ニッケル及びコバルトの回収率を例えば95%以上とすることが可能となる(例えば、特許文献1〜3を参照。)。
ところで、固液分離工程ではスラリーに所定のフロキュラント(凝集剤)を添加することで効率よくシックナーで残溢を分離することができる(例えば、特許文献4を参照)。しかしながら、予備中和工程でのpHが変動したり、鉱石中の不純物成分の影響でシックナーでの固液分離性が悪化することがある。
シックナーでの固液分離性が悪化すれば、沈降できなかった残渣が混じったスラリーがシックナーからオーバーフローし、前段のシックナーだけではなく、次工程の中和工程、浄液工程にも悪影響を及ぼし、製品の減産につながる。
そのため、鉱石中の不純物成分については、類別した鉱石の混合比を調整することで固液分離の悪化を防いでいる。一方、予備中和工程でのpHに関しては、固液分離の状態が悪化しないように基準値以下となるように管理している。後工程である中和工程のpHの安定化、および浄液工程・硫化工程の反応効率の向上のためには、予備中和工程でのpHを上昇させることが望ましい。
しかしながら、前述の通り予備中和工程のpH変動、とりわけpHの上昇は、残渣の沈降性を悪化させるため、予備中和工程でのpH上昇は難しい。そのため、新たな方法によりシックナーでの残渣の沈降性を上昇させることが求められていた。
特開2005−350766号公報 特開2011−225908号公報 特開2011−225956号公報 特表2004−522576号公報
本発明は、このような状況を解決するためになされたものであり、pH変動の影響を受けることなく浸出残渣の沈降性を向上させることのできるニッケル高圧浸出残渣の固液分離方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した課題に対して鋭意検討を重ね、従来一般的に排水処理に利用されている凝結剤が、固液分離工程での浸出残渣の沈降性の向上に利用できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の一態様は、ニッケル酸化鉱石を高圧硫酸浸出した後のスラリーを予備中和後に固体分を凝集させて固液分離するニッケル高圧浸出残渣の固液分離方法であって、固液分離を行う際に、スラリーに凝集剤を添加し、更に、粒子間の電気的な斥力を弱める凝結剤を添加し、スラリーのインプット流量に対する凝集剤の添加比率が1.20%以上であり、凝集剤はノニオン性高分子凝集剤であり、凝結剤は、陽イオンポリアミンである。
本発明の一態様によれば、凝集剤で凝集させた粒子に帯電した電荷による斥力を凝結剤によって弱めることが可能となるため、より凝集し易くなり、浸出残渣の沈降性を向上させることができる。
陽イオンポリアミンは添加量が少なくて済み、かつ後工程である中和工程において生成した硫化物の濾過性を向上させるために使用することがあるため、新規薬剤添加に伴う操業への悪影響を及ぼすことなく使用することができる。
また、このとき、本発明の一態様では、凝結剤を、処理するスラリー流量に対して0.001〜0.010重量%の比率で添加しても良い。
凝結剤の添加量を上記範囲とすることで、より効率的に浸出残渣の沈降性を向上させることができる。
浸出後のスラリーのような酸性水溶液と鉱泥とからなるスラリーでは、ノニオン性高分子凝集剤を用いることが好ましい。
また、本発明の一態様では、予備中和において、スラリーの液相部のpHが2.5〜3.4となるように調整することができる。
凝結剤を添加することによって、湿式製錬の操業に適したpH2.5〜3.4という高い値であっても、浸出残渣の沈降性を向上させることができる。
本発明によれば、固液分離工程での浸出残渣の沈降性が向上し、pH変動の影響を受けることなく固液分離工程の操業が安定化する。
本発明の一実施形態に係るニッケル高圧浸出残渣の固液分離方法を含むニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法を示す工程図である。 本発明の一実施形態に係るニッケル高圧浸出残渣の固液分離方法においてシックナーを多段に連結させてCCD法を行う処理装置の構成図である。 本発明の一実施形態に係るニッケル高圧浸出残渣の固液分離方法におけるシックナー(1段のみ)の構成図である。 実施例1(凝結剤あり)と比較例1(凝結剤なし)の凝集剤添加比率と沈降速度の関係を示すグラフである。 実施例2(凝結剤あり)と比較例2(凝結剤なし)の時間の経過と界面の高さの関係を示すグラフである。
以下、本発明に係るニッケル高圧浸出残渣の固液分離方法について図面を参照しながら以下の順序で説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更可能である。
1.ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法
2.ニッケル高圧浸出残渣の固液分離方法
2−1.固液分離方法の概要
2−2.固液分離処理装置の構成
<1.ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法>
先ず、固液分離方法のより具体的な説明に先立ち、本発明の固液分離方法が用いられる固液分離工程を含むニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法について説明する。このニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法は、例えば高圧酸浸出法(HPAL法)を用いて、ニッケル酸化鉱石からニッケル及びコバルトを浸出させて回収する湿式製錬方法である。
図1に、ニッケル酸化鉱石の高圧酸浸出法による湿式製錬方法の工程(プロセス)図の一例を示す。図1に示すように、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法は、数種類のニッケル酸化鉱石を混合し、水と混合・分級して鉱石スラリーを調製するスラリー調製工程S1と、得られたニッケル酸化鉱石のスラリーに硫酸を添加して高温高圧下で浸出処理を施す浸出工程S2と、浸出工程S2にて得られた浸出スラリーのpHを所定範囲に調整する予備中和工程S3と、pH調整をした浸出スラリーを多段洗浄しながら残渣を分離して、ニッケル及びコバルトと共に不純物元素を含む浸出液を得る固液分離工程S4を有する。本発明の一実施形態に係るニッケル高圧浸出残渣の固液分離方法は、主に固液分離工程S4に関するものである。
さらに、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法では、固液分離工程S4で固液分離した浸出液のpHを調整し、不純物元素を含む中和澱物を分離してニッケル及びコバルトと共に亜鉛を含む中和終液を得る中和工程S5と、中和終液に硫化水素ガス等の硫化剤を添加することで亜鉛硫化物を生成させ、その亜鉛硫化物を分離除去してニッケル及びコバルトを含むニッケル回収用母液を得る浄液工程S6と、ニッケル回収用母液に硫化剤を添加することでニッケル及びコバルトを含む混合硫化物を形成する硫化工程S7と、固液分離工程S4から移送された遊離硫酸を含む浸出残渣と、硫化工程S7から移送されたマグネシウムやアルミニウム、鉄等の不純物を含むろ液(貧液)の中和を行う最終中和工程S8を有する。以下、各工程についての概要を説明する。
(1)スラリー調製工程
スラリー調製工程S1では、原料鉱石であるニッケル酸化鉱石を用いて、数種類のニッケル酸化鉱石を所定のNi品位、不純物品位となるように混合し、それらを水と混合してスラリー化し、篩にかけて所定の分級点で分級してオーバーサイズの鉱石粒子を除去した後に、アンダーサイズの鉱石のみを使用する。
スラリー調製工程S1で用いるニッケル酸化鉱石としては、主としてリモナイト鉱及びサプロライト鉱等のいわゆるラテライト鉱である。ラテライト鉱のニッケル含有量は、通常、0.8〜2.5重量%であり、水酸化物又はケイ苦土(ケイ酸マグネシウム)鉱物として含有される。また、鉄の含有量は、10〜50重量%であり、主として3価の水酸化物(ゲーサイト)の形態であるが、一部2価の鉄がケイ苦土鉱物に含有される。また、浸出工程S1では、このようなラテライト鉱の他に、ニッケル、コバルト、マンガン、銅等の有価金属を含有する酸化鉱石、例えば深海底に賦存するマンガン瘤等が用いられても良い。
ニッケル酸化鉱石の分級方法については、所望とする粒径に基づいて鉱石を分級できるものであれば特に限定されず、例えば、一般的な振動篩等を用いた篩分けによって行うことができる。さらに、その分級点についても、特に限定されず、所望とする粒径値以下の鉱石粒子からなる鉱石スラリーを得るための分級点を適宜設定することができる。
(2)浸出工程
浸出工程S2では、ニッケル酸化鉱石に対して、例えば高圧酸浸出法を用いた浸出処理を施す。具体的には、原料となるニッケル酸化鉱石を粉砕等して得られた鉱石スラリーに硫酸を添加し、例えば高温加圧容器(オートクレーブ)を用いて、220〜280℃の高い温度条件下で加圧することによって鉱石からニッケル、コバルト等を浸出し、浸出液と浸出残渣とからなる浸出スラリーを形成する。
この浸出工程S2における浸出処理では、浸出反応と高温熱加水分解反応が生じ、ニッケル、コバルト等の硫酸塩としての浸出と、浸出された硫酸鉄のヘマタイトとしての固定化が行われる。ただし、鉄イオンの固定化は完全には進行しないため、通常、得られる浸出スラリーの液部分には、ニッケル、コバルト等の他に2価と3価の鉄イオンが含まれる。浸出工程S2における硫酸の添加量としては、特に限定されるものではなく、鉱石中の鉄が浸出されるような過剰量が用いられる。なお、浸出工程S2では、次工程の固液分離工程S3で生成されるヘマタイトを含む浸出残渣の濾過性の観点から、得られる浸出液のpHが0.1〜1.0となるように調整することが好ましい。
(3)予備中和工程
予備中和工程S3では、浸出工程S2にて得られた浸出スラリーのpHを所定範囲に調整する。上述した高圧酸浸出法による浸出処理を行う浸出工程S2では、浸出率を向上させる観点から過剰の硫酸を加えるようにしている。そのため、得られた浸出スラリーには浸出反応に関与しなかった余剰の硫酸が含まれており、そのpHは非常に低い。このことから、予備中和工程S3では、次工程の固液分離工程S4における多段洗浄時に効率よく洗浄が行われるように、浸出スラリーのpHを所定の範囲に調整する。
具体的に、固液分離工程S4に供する浸出スラリーとしては、そのpHを2〜6程度に調整したものであることが好ましい。pHが2より低いと、後工程の設備を耐酸性とするためのコストが必要となる。一方で、pHが6より高いと、浸出液(スラリー)中に浸出したニッケルが、洗浄の過程で沈殿して、残渣として残るようになってニッケルの回収率が下がると共に、洗浄効率が低下する可能性がある。
予備中和工程S3では、後の中和工程S5でのpH変動幅の抑制、浄液工程S6や硫化工程S7での反応効率の向上を考えるとpHを高めにしておくことが好ましい。しかしながら、pHが高くなると液中に含まれるSS(微粒子成分)の量が増加するため、沈降性が悪化して固液分離工程で十分に分離できずに浄液工程S6で濾過機が目詰まりし易くなるという問題があった。本発明の一実施形態に係るニッケル高圧浸出残渣の固液分離方法では、後述する固液分離工程S4において、凝集剤と共にコロイド粒子間の電気的な斥力を弱める凝結剤を添加することにより、凝結剤がpH変動の影響を受けることなくコロイド粒子の凝集性を高めることができるため、より高いpH領域においても固液分離工程での浸出残渣の沈降性を向上させることができる。このような観点から、予備中和工程S3では、スラリーの液相部のpHを2.5〜3.4となるように調整することが好ましい。
pHの調整方法としては、特に限定されないが、例えば炭酸カルシウムスラリー等の中和剤を添加することによって所定の範囲に調整することができる。
(4)固液分離工程
固液分離工程S4では、予備中和工程S3にてpH調整された浸出スラリーを多段洗浄して、ニッケル及びコバルトのほか不純物元素として亜鉛を含む浸出液と浸出残渣とを得る。本発明の一実施形態に係るニッケル高圧浸出残渣の固液分離方法では、このときに凝集剤と共に、コロイド粒子間の電気的な斥力を弱める凝結剤を添加する。
この固液分離工程S4では、浸出スラリーを洗浄液と混合した後、固液分離装置としてシックナーを多段に設けて固液分離処理を施す。具体的には、先ず、浸出スラリーが洗浄液により希釈され、次に、スラリー中の浸出残渣がシックナーの沈降物として濃縮される。これにより、浸出残渣に付着するニッケル分をその希釈の度合いに応じて減少させることができる。また、このようにシックナーを多段に連結して用いることにより、ニッケル及びコバルトの回収率の向上を図ることができる。
固液分離工程S4における多段洗浄方法として、ニッケルを含まない洗浄液で向流に接触させる連続向流洗浄法(CCD法:Counter Current Decantation法)を用いる。これにより、系内に新たに導入する洗浄液を削減できるとともに、ニッケル及びコバルトの回収率を向上させることができる。
洗浄液としては、特に限定されるものではないが、ニッケルを含まず、工程に影響を及ぼさないものを用いることができる。その中でも、pHが1〜3の水溶液を用いることが好ましい。洗浄液のpHが高いと、浸出液中にアルミニウムが含まれる場合には嵩の高いアルミニウム水酸化物が生成され、シックナー内での浸出残渣の沈降不良の原因となる。このことから、洗浄液としては、好ましくは、後工程である硫化工程S7で得られる低pH(pHが1〜3程度)の貧液を繰り返して利用するとよい。
なお、この多段洗浄方法による固液分離処理については、シックナーの構成等を含めて後で詳述する。
(5)中和工程
中和工程S5では、固液分離工程S4にて分離された浸出液のpHを調整し、不純物元素を含む中和澱物を分離して、ニッケル及びコバルトと共に亜鉛を含む中和終液を得る。
具体的に、中和工程S5では、分離された浸出液の酸化を抑制しながら、得られる中和終液のpHが4以下、好ましくは3.0〜3.5、より好ましくは3.1〜3.2になるように、その浸出液に炭酸カルシウム等の中和剤を添加し、ニッケル回収用の母液の元となる中和終液と、不純物元素として3価の鉄を含む中和澱物スラリーとを形成する。中和工程S5では、このようにして浸出液に対する中和処理を施すことで、高圧酸浸出法による浸出処理で用いた過剰の酸を中和してニッケル回収用の母液の元となる中和終液を生成するとともに、溶液中に残留する3価の鉄イオンやアルミニウムイオン等の不純物を中和澱物として除去する。この中和澱物は再度固液分離工程S4に戻し入れてもよい。
(6)浄液工程
浄液工程S6では、中和工程S5から得られた中和終液に硫化水素ガス等の硫化剤を添加して硫化処理を施すことにより亜鉛硫化物を生成させ、その亜鉛硫化物を分離除去してニッケル及びコバルトを含むニッケル回収用母液(脱亜鉛終液)を得る。
具体的には、例えば、加圧された容器内にニッケル及びコバルトと共に亜鉛を含む中和終液を導入し、気相中へ硫化水素ガスを吹き込むことによって、亜鉛をニッケル及びコバルトに対して選択的に硫化し、亜鉛硫化物とニッケル回収用母液とを生成する。
(7)硫化工程
硫化工程S7では、ニッケル回収用母液である脱亜鉛終液を硫化反応始液として、その硫化反応始液に対して硫化剤としての硫化水素ガスを吹き込むことによって硫化反応を生じさせ、不純物成分の少ないニッケル及びコバルトの混合硫化物と、ニッケル及びコバルトの濃度を低い水準で安定させた貧液とを生成させる。
硫化工程S7における硫化処理は、硫化反応槽等を用いて行うことができ、硫化反応槽に装入した硫化反応始液に対して、その反応槽内の気相部分に硫化水素ガスを吹き込み、溶液中に硫化水素ガスを溶解させることで硫化反応を生じさせる。この硫化処理により、硫化反応始液中に含まれるニッケル及びコバルトを混合硫化物として固定化する。硫化反応の終了後、得られたニッケル及びコバルト混合硫化物を含むスラリーをシックナー等の固液分離装置に装入して沈降分離処理を施し、その混合硫化物のみをシックナーの底部より分離回収する。
なお、硫化工程S7を経て分離された水溶液成分は、シックナーの上部からオーバーフローさせて貧液として回収する。回収した貧液は、ニッケル等の有価金属濃度の極めて低い溶液であり、硫化されずに残留した鉄、マグネシウム、マンガン等の不純物元素を含む。この貧液は、最終中和工程S8に移送されて無害化処理される。あるいは、固液分離工程S4に戻して、再度ニッケルの回収に用いても良い。
(8)最終中和工程
最終中和工程S8は、上述した固液分離工程S4から移送された遊離硫酸を含む浸出残渣と、硫化工程S7から移送されたマグネシウムやアルミニウム、鉄等の不純物を含むろ液(貧液)の中和を行う。最終中和工程S8とは、湿式製錬プロセスから外部にスラリーを廃棄するために行う中和であり、湿式製錬プロセスの最後に行う中和工程のことをいう。浸出残渣やろ液は、中和剤によって所定のpH範囲に調整され、廃棄スラリー(テーリング)となる。この反応槽にて生成されたテーリングは、テーリングダム(廃棄物貯留場)に移送される。
具体的に、最終中和工程S8では、浸出残渣に含まれる遊離硫酸を完全に中和し、ろ液に含まれる不純物を水酸化物として固定し、不純物の水酸化物を含むスラリーをテーリングダムに排出する。
<2.ニッケル高圧浸出残渣の固液分離方法>
(2−1.固液分離方法の概要)
これまで、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法のフローを一通り説明してきたが、本発明の一実施形態は、主に、(4)固液分離工程において、pH変動の影響を受けることなく、より高いpH領域においても浸出残渣の沈降性を向上させることのできるニッケル高圧浸出残渣の固液分離方法である。すなわち、本発明の一態様は、ニッケル酸化鉱石を高圧硫酸浸出した後のスラリーを予備中和後に固体分を凝集させて固液分離するニッケル高圧浸出残渣の固液分離方法であって、固液分離を行う際に、スラリーに凝集剤を添加し、更に、コロイド粒子間の電気的な斥力を弱める凝結剤を添加する。
コロイド粒子はそれ自身が持っている電位により、周りに電気二重層が存在する。粒子同士が凝集する際には、その電気二重層によって斥力が働き、粒子の凝集を阻害する。凝結剤には、この電気的な反発を緩和する働きがあり、本発明の一態様では、凝集剤と共にこの凝結剤を用いることによって、固液分離工程における浸出残渣の沈降性を向上させることができる。
凝結剤の種類としては、粒子間の電気的な斥力を弱める作用を有する物であれば特に限定はされないが、無機系凝結剤としては、硫酸バンド、PAC、塩化アルミ、塩化第二鉄等があり、有機系凝結剤としては、陽イオンポリアミン、アルキルアミンエピクロルヒドリン縮合物、エチレンイミン等が挙げられる。これらの中でも、陽イオンポリアミンは、無機系凝結剤と比べて添加量が少なくて済み、かつ後工程である中和工程において使用することがあるため、操業に悪影響を及ぼすことなく使用することができるという点から特に好ましい。特に、最適な凝集剤としてノニオン性高分子凝集剤が選定される、浸出後のスラリーのような酸性水溶液と鉱泥とからなるスラリーでは、元来コロイド粒子が持っている表面電荷が凝集剤によって打ち消されずに残留しているため、逆の電荷を持った凝結剤が有効に機能する。
また、凝結剤は、処理するスラリー流量に対して0.001〜0.010重量%の比率で添加することが好ましい。後述するように、固液分離工程では、主にシックナーを多段に設けた連続向流洗浄法(CCD法:Counter Current Decantation法)が用いられるため、添加比率は、例えば、シックナーの入り口流量に対する凝結剤の添加量比率となる。凝結剤の添加量の比率が0.001重量%未満の場合は、凝結剤による効果を十分に得ることができない。また、一般的に有機系凝結剤は高価であるため、凝結剤の添加量の比率が0.010重量%を超える場合、費用対効果が良くない上に、後工程や最終製品に悪影響を及ぼす恐れがあるため好ましくない。また、凝結剤によってさらに凝集された粒子どうしが凝結剤そのものの余剰な電荷によって反発することになるので、沈降性が悪くなる。
凝集剤としては、スラリーの固体分を凝集させる効果が生じるものであれば特に限定はされないが、例えばアニオン系又はノニオン系(弱アニオン性)の高分子凝集剤が挙げられる。浸出後のスラリーのような酸性領域であって、浸出残渣のようにいわゆる鉱泥を対象とした場合には、ノニオン性高分子凝集剤を用いることが好ましい。ノニオン性高分子凝集剤としては、例えば、ポリアクリルアミド系や変性ポリアクリルアミド系の高分子凝集剤を用いることができる。
凝集剤は、処理するスラリー流量に対して例えば、0.01〜2重量%の比率で添加することができる。したがって、凝集剤:凝結剤はおよそ1:1〜2000:1の比率で添加することが好ましい。なお、凝集剤の添加量としては、特に限定されるものではなく、処理対象となる浸出スラリーに含まれる固形分量等に応じて、適宜設定することができる。
(2−2.固液分離処理装置の構成)
次に、本発明の一実施形態に係るニッケル高圧浸出残渣の固液分離方法で用いる固液分離処理装置の構成について説明する。図2は、シックナーを多段に連結させてCCD法を行う処理装置の一例を示す構成図である。なお、この図2に示す処理装置1では、シックナーを5段連結させた構成例を示すが、連結段数としてはこれに限定されるものではない。
CCD法では、固液分離処理が行われる沈降分離槽と、撹拌槽との組合せからなるシックナーを1段として、このシックナーが複数段、例えば5〜8段、直列に連結させた処理装置を用いる。この処理装置1では、一端(図2中のA側)の第1段目のシックナーに浸出工程S2にて得られた浸出スラリーが装入され、他端(図2のB側)の最終段目(第5段目)のシックナーに例えば工業用水等の洗浄液が装入される。そして、その浸出スラリーと洗浄液とが処理装置1内で向流で接触し、同時にA端から装入される浸出スラリーに対して凝集剤及び凝結剤を添加することで、スラリー中の固形分を凝集させ固液分離を促進させる。
ここで、図3に、図2に示した処理装置1の各段を構成するシックナー(1段のみ)の構成図を示す。上述したように、処理装置1は、複数のシックナーが多段に連結されたものであり、シックナー10は、撹拌槽11と、沈降分離槽12とから構成されている。
撹拌槽11は、その内部に撹拌軸や撹拌羽根等の撹拌部材を備えた槽である。この撹拌槽11では、前段のシックナーから流送された浸出スラリーと、後段のシックナーから流送されたオーバーフロー液とが、それぞれ装入されて撹拌混合される。なお、第1段目のシックナーの撹拌槽11には、前段のシックナーではなく浸出工程S2にて得られた浸出スラリーが装入され、最終段目(図2の例では第5段目)のシックナーの撹拌槽11には、オーバーフロー液ではなく、新規の洗浄水が装入される。この撹拌槽11において、浸出スラリーとオーバーフロー液とが撹拌混合されることによって、浸出スラリーが洗浄され、固形分に付着した付着水が洗い流されるようになる。
沈降分離槽12は、例えば底部が円錐形状で上部が円筒形状の処理槽であり、その内部に浸出スラリーが装入されて、その浸出スラリー中の固形分を沈降分離させる。
沈降分離槽12には、その内部に垂直に配設された筒状のフィードウェル13が備えられている。フィードウェル13は、例えば沈降分離槽12が円筒形状の場合には、その沈降分離槽12と略同心円状に設けられている。このフィードウェル13は、撹拌槽11から供給された浸出スラリーを沈降分離槽12内に送り込む(フィードする)送路となっている。
また、沈降分離槽12には、その槽上部の周縁部に浸出スラリー中の固形分を沈降分離させて得られた上澄み液である浸出液をオーバーフロー(OF)させて排出するためのオーバーフロー部14が設けられている。このオーバーフロー部14は、例えば樋のような形状となっており、後段のシックナーからのオーバーフロー液を撹拌槽11に流送させるための流路が接続されている。なお、沈降分離槽12において、オーバーフローした溶液(以下、オーバーフロー液ともいう。)は、上述したように前段の撹拌槽11に流送され、一方で、それ以外の固形分を含めたスラリーは、沈降分離槽12の下部から取り出されて、ポンプ15によって後段の撹拌槽11にポンプ送液される。
次に、図3に示したような、撹拌槽11と沈降分離槽12とからなるシックナーを複数段連結させた処理装置1(図2)によって、浸出スラリーを多段洗浄する際の基本的な流れを説明する。なお、図2中の矢印は、浸出スラリーやオーバーフロー液の流れを示す。
先ず、第1段目のシックナーでは、その撹拌槽内に、浸出工程S2において得られた浸出スラリー(予備中和工程S3でpH調整されたもの)と、後段の第2段目のシックナーの沈降分離槽からのオーバーフロー液とが装入されて、それらが撹拌混合される。この撹拌槽内では、浸出スラリー中の固形分に付着している付着水がオーバーフロー液によって洗浄され、付着水中のニッケルイオン等が液側に回収される。その後、撹拌槽からフィードウェルを介して洗浄された浸出スラリーが沈降分離槽内に装入される。
このとき、例えば、第1段目のシックナーにおいては、フィードウェルを介して浸出スラリーと共に、スラリー中の固形分を凝集させるための凝集剤及び凝結剤が添加される。そして、装入された沈降分離槽内で浸出スラリーと凝集剤とが混合され、更に凝結剤の作用によりスラリー中の固形分が凝集沈殿して分離される。分離した固形分を含むスラリーは、沈降分離槽の下部から抜き出されてポンプを介して後段の第2段目のシックナーの撹拌槽に移送される。一方で、沈降分離槽からオーバーフロー部を経由してオーバーフローした上澄み液は、湿式製錬方法における次工程の中和工程S5に供給される。
次に、第2段目のシックナーでは、その撹拌槽内に、前段の第1段目のシックナーの沈降分離槽の下部から抜き出された固形分を含むスラリーが装入されるとともに、後段の第3段目のシックナーの沈降分離槽からのオーバーフロー液が装入されて、固形分に付着した水分中のニッケルイオン等がオーバーフロー液によって洗い流される。そして、撹拌槽内で洗浄されて得られたスラリーは、フィードウェルを介して沈降分離槽内に装入され、スラリー中の固形分が凝集沈殿して分離される。分離した固形分を含むスラリーは、沈降分離槽の下部から抜き出されてポンプを介して後段の第3段目のシックナーの撹拌槽に移送される。一方で、沈降分離槽からオーバーフロー部を経由してオーバーフローしたオーバーフロー液は、前段の第1段目のシックナーの撹拌槽に接続された配管等を経由して、その撹拌槽内に装入される。
以後、第3段目のシックナー、第4段目のシックナーにおいても、同様の手順によって固形分を含むスラリーがオーバーフロー液と向流で接触することで、多段洗浄される。
そして、最終段である第5段目のシックナーでは、その撹拌槽内に、前段の第4段目のシックナーの沈降分離槽の下部から抜き出された固形分を含むスラリーが装入されるとともに、新規の洗浄水(例えば、湿式製錬プロセスにおける低ニッケル濃度のプロセス液)が装入されて、固形分に付着した水分中のニッケルイオン等が洗浄水によって洗い流される。そして、撹拌槽内で洗浄されて得られたスラリーは、フィードウェルを介して沈降分離槽内に装入され、スラリー中の固形分が凝集沈殿して分離される。分離した固形分を含むスラリーは、沈降分離槽の下部からポンプで抜き取られ、浸出残渣(CCD残渣)として残渣処理される。一方で、沈降分離槽からオーバーフロー部を経由してオーバーフローしたオーバーフロー液は、前段の第4段目のシックナーの撹拌槽に接続された配管等を経由して、その撹拌槽内に装入される。
なお、このようにして、浸出スラリーに対して多段洗浄を行いながら固液分離処理を施すことによって、新規の洗浄水としては最終段のシックナーのみに洗浄水を装入すればよいため、その最終段以外の各段のシックナーには新規の洗浄水が不要となる。これにより、洗浄水を大幅に節約することが可能となる。そのことにより、浸出液のニッケル、コバルト濃度の低下も防ぐことができ、中和工程S5以降の次工程の装置効率、処理効率が向上し、低設備コスト、低運転コストの効率的な操業を行うことができる。
本発明の一実施形態に係るニッケル高圧浸出残渣の固液分離方法では、上述したシックナーを多段に設けて浸出スラリーを多段洗浄しながら固形分を分離する処理において、例えば、浸出スラリー中の固形分を凝集させるための凝集剤を添加するに際して、所定量の凝集剤及び凝結剤を、第1段目のシックナーに添加することができる。これにより、浸出スラリー中の固形分の凝集がより効果的に進行し、浸出残渣の沈降性を向上させることができる。そのことにより、予備中和工程S3のpHを高めに維持することができ、中和工程S5でのpH変動幅の抑制、浄液工程S6や硫化工程S7での反応効率の向上を図ることができる。もちろん、それぞれ凝集剤及び凝結剤の必要量を各シックナーに分割して添加するようにしてもよい。状況に応じて、濃度の異なる凝集剤及び凝結剤を分けて添加することもできる。
一例として、所定量の凝集剤及び凝結剤を、第1段目のシックナーと第2段目のシックナーとに分けて添加してもよい。所定量の凝集剤及び凝結剤のうち、所定の割合の凝集剤及び凝結剤を第1段目のシックナーのフィードウェルに添加し、その残りの凝集剤及び凝結剤を第2段目のシックナーのオーバーフロー部に添加する。
また、凝集剤の添加量の比率、すなわち、第1段目のシックナーへの凝集剤添加量と、第2段目のシックナーへの凝集剤添加量の比率(第1段目:第2段目)としては、特に限定されないが、95:5〜50:50であることが好ましく、90:10とすることが特に好ましい。
また、凝結剤の添加量の比率、すなわち、第1段目のシックナーへの凝結剤添加量と、第2段目のシックナーへの凝結剤添加量の比率(第1段目:第2段目)としては、特に限定されないが、5:95〜50:50であることが好ましく、10:90とすることが特
に好ましい。
すなわち、凝集剤と凝結剤の添加順序については、どちらが先でも、同時であっても構わないが、あらかじめ凝集剤の添加によって凝集された固形分を含んだスラリーに、凝結剤を追加的に添加することが特に好ましい。凝集剤および凝結剤の添加量の比率が、上述した範囲内であると、固形分の沈降性がより向上する。
このような固液分離処理方法によれば、沈降が生じるフィードウェルと、後段から供給されるオーバーフロー液のそれぞれに凝集剤及び凝結剤が作用し、浸出スラリー中の固形分の凝集がより効果的に進行する。このため、少ないシックナー段数であっても、最終的に第1段目のシックナーから排出されるオーバーフロー液のSS濃度を低くすることができる。これにより、付随した効果として、シックナーの段数を減少させることも可能であり、固液分離装置の設置スペースを縮小させることができ、また初期の設備投資を大幅に削減することができるので、効率的な固液分離処理を行うことが可能となる。
以下、本発明について、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1では、固液分離工程において、第1段目のシックナーにノニオン性高分子凝集剤と凝結剤である陽イオンポリアミンを添加し、下記の条件で操業を行った。このとき、第1段目のシックナーの底部からスラリーを1Lサンプリングし、それを十分に撹拌した後、メスシリンダーに移し変え、固形物の沈降速度をモニタリングした。固形物の沈降速度は、メスシリンダー内における固形物含有層と清澄液層の界面の高さを経時的に読み取ることで行った。
[条件]
・凝集剤の添加比率(=凝集剤の流量/シックナーへのインプット流量)
1.10%〜1.50%
・凝結剤の添加比率(=凝結剤の流量/シックナーへのインプット流量)
0.001%〜0.002%
・スラリーの液相部のpH
2.80〜3.20
(比較例1)
比較例1では、固液分離工程において、凝結剤を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして、スラリーの澱物の沈降速度を測定した。
図4に実施例1(凝結剤あり)と比較例1(凝結剤なし)の凝集剤添加比率と沈降速度の関係を示す。同じ凝集剤添加比率で比較すると、実施例1(凝結剤あり)の方が沈降速度が速かった。
また、実施例1(凝結剤あり)と比較例1(凝結剤なし)の固形分の分析値を表1に示す。操業中、澱物の沈降に影響するとされるSiの品位の違いはほとんどなかった。表1の表示は水分を含まない固形分重量を基準とした重量%であり、測定は蛍光X線分析装置にて行った。
Figure 0006984191
(実施例2)
実施例2では、実施例1と同様にして得られたスラリー1Lを十分に撹拌した後、メスシリンダーに移し変え、メスシリンダー内における固形物含有層と清澄液層の界面の高さを経時的に読み取った。このときの凝集剤と凝結剤の添加比率の条件を下記に示す。また、スラリーの液相部のpHは3.4であった。
[条件]
・凝集剤の添加比率(=凝集剤の流量/シックナーへのインプット流量)
1.50%
・凝結剤の添加比率(=凝結剤の流量/シックナーへのインプット流量)
0.002%
(比較例2)
比較例2では、固液分離工程において、凝結剤を添加しなかったこと以外は実施例2と同様にして、メスシリンダー内における固形物含有層と清澄液層の界面の高さを経時的に読み取った。このとき、スラリーの液相部のpHは3.0であった。
図5に実施例2(凝結剤あり)と比較例2(凝結剤なし)の時間の経過と界面の高さの関係を示す。実施例2のスラリーの液相部のpH3.4は、比較例2のスラリーの液相部のpH3.0よりも高いため、通常は実施例2のスラリーの界面の高さの方が高くなるはずであるが、凝結剤を添加することにより、実施例2の方が界面が低く、沈降速度が速くなった。実施例2のように、pHが高い状態であっても凝結剤を添加すれば沈降性の向上に効果があると考えられる。
なお、上記のように本発明の一実施形態および各実施例について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。したがって、このような変形例は、全て本発明の範囲に含まれるものとする。
例えば、明細書または図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書または図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、ニッケル高圧浸出残渣の固液分離方法の構成も本発明の一実施形態および各実施例で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
1 処理装置、10 シックナー、11 撹拌槽、12 沈降分離槽、13 フィードウェル、14 オーバーフロー部、15 ポンプ

Claims (3)

  1. ニッケル酸化鉱石を高圧硫酸浸出した後のスラリーを予備中和後に固体分を凝集させて固液分離するニッケル高圧浸出残渣の固液分離方法であって、
    前記固液分離を行う際に、
    前記スラリーに凝集剤を添加し、
    更に、粒子間の電気的な斥力を弱める凝結剤を添加し、
    前記スラリーのインプット流量に対する前記凝集剤の添加比率が1.20%以上であり、
    前記凝集剤はノニオン性高分子凝集剤であり、
    前記凝結剤は、陽イオンポリアミンであることを特徴とするニッケル高圧浸出残渣の固液分離方法。
  2. 前記凝結剤を、処理するスラリー流量に対して0.001〜0.010重量%の比率で
    添加することを特徴とする請求項に記載のニッケル高圧浸出残渣の固液分離方法。
  3. 前記予備中和において、前記スラリーの液相部のpHが2.5〜3.4となるように調
    整することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のニッケル高圧浸出残渣の固液分離方法。
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