JP7183503B2 - 高濃度鉱石スラリーの製造方法 - Google Patents
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Description
鉱石スラリー調製工程S1では、原料としてのニッケル酸化鉱石を例えばシェイクアウトマシン、ドラムウォッシャーなどで段階的に分級した後、1~2mm程度の目開きを有するバイブレーティングスクリーンで分級して所定の粒度を有する鉱石を作製する。上記分級では、粉砕した鉱石を適量の水と共に湿式スクリーンに導入する湿式分級を用いる。これにより、所定の粒度を有する鉱石を鉱石スラリーの形態で篩下側に回収することができる。
高温加圧酸浸出工程S2では、上記鉱石スラリー調製工程S1で調製された鉱石スラリーをオートクレーブと称する圧力容器に硫酸と共に装入し、該鉱石スラリーに対して攪拌しながら3~4.5MPaG、220~280℃程度の高温高圧条件下で高温加圧酸浸出処理を施す。これにより、浸出反応及び高温熱加水分解反応が生じ、ニッケル、コバルト等の硫酸塩としての浸出と、浸出された硫酸鉄のヘマタイトとしての固定化が行われ、浸出液と浸出残渣とからなる浸出スラリーが生成される。
予備中和工程S3では、上記高温加圧酸浸出工程S2にて生成された浸出スラリーのpHを所定の範囲に調整する。すなわち、上記高温加圧酸浸出工程S2は、浸出率を向上させる観点から過剰の硫酸が添加されるため、オートクレーブから抜き出される浸出スラリーにはフリー硫酸(浸出反応に関与しなかった余剰の硫酸、以下遊離硫酸ともいう)が含まれている。そこで、予備中和工程S3では、次工程の固液分離工程S4における多段洗浄の際に効率よく洗浄が行われるように、浸出スラリーのpHを好ましくは2.0~4.0程度の範囲内に調整する。
固液分離工程S4では、直列に連結した複数基のシックナーに上記予備中和工程S3にてpH調整された浸出スラリーと洗浄液とを互いに向流になるように連続的に導入し、向流洗浄法(CCD法)により浸出スラリーを多段洗浄しながら、凝集剤を用いて重力沈降分離を行うのが好ましい。これにより浸出残渣が除去され、ニッケル及びコバルトのほか亜鉛等の不純物元素を含む粗硫酸ニッケル溶液が得られる。シックナーから抜き出された浸出残渣スラリーは、後述する最終中和工程S8において中和処理を施すことで重金属の除去処理を行った後、テーリングダムに移送される。なお、上記洗浄液にはpH1.0~3.0程度の水溶液を用いることが好ましく、後工程の硫化工程S7から排出される貧液を繰り返して利用するのが好ましい。
中和工程S5では、上記固液分離工程S4において浸出残渣から分離された粗硫酸ニッケル溶液に炭酸カルシウム等のpH調整剤を添加してpH調整することで遊離硫酸を中和する。その際、不純物元素を含む中和澱物が生成する。この中和澱物を固液分離により除去することで、ニッケル及びコバルトのほか、主に亜鉛からなる不純物元素を含むニッケル回収用母液の元となる中和終液が得られる。この中和工程S5では、中和終液のpHが4.0以下、好ましくは3.0~3.5、より好ましくは3.1~3.2になるように上記pH調整を行うのが好ましく、これにより上記粗硫酸ニッケル溶液中に残留する主に3価の鉄イオンやアルミニウムイオンを中和澱物として除去できる。
脱亜鉛工程S6では、反応槽内に上記中和工程S5で得た中和終液を装入し、微加圧状態を維持しながら該反応槽内の中和終液に対して硫化水素ガスなどの硫化剤を吹き込むことにより硫化処理を施す。これにより、ニッケル及びコバルトに対して亜鉛を選択的に硫化して亜鉛硫化物を生成させることができる。この亜鉛硫化物を分離除去することで、ニッケル及びコバルトを含む硫酸溶液からなる脱亜鉛終液(ニッケル回収用母液)が得られる。
硫化工程S7では、上記脱亜鉛工程S6の反応槽とは別の混合硫化物生成用反応槽に上記脱亜鉛工程S6で得た脱亜鉛終液を装入し、上記微加圧よりも圧力の高い加圧状態を維持しながらこの混合硫化物生成用反応槽内の脱亜鉛終液に対して硫化水素ガス等の硫化剤を吹き込む。これにより、硫化反応が生じるので、ニッケル及びコバルトを含む硫化物(ニッケルコバルト混合硫化物)が生成する。生成したニッケルコバルト混合硫化物はろ過などの固液分離により回収することができ、その際、液相側に貧液が排出される。なお、この硫化工程S7で処理される脱亜鉛終液にはFe、Al、Mn等の不純物金属イオンが各々数g/L程度含まれている場合があるが、これら不純物成分はニッケル及びコバルトに比べて硫化物としての安定性が低く、よって上記ニッケルコバルト混合硫化物にはほとんど含有されない。
最終中和工程S8では、上記硫化工程S7から排出される鉄、アルミニウム、マンガン等の不純物金属イオン及び未反応のNiイオンを含む貧液と上記の固液分離工程S4から排出される重金属を含む浸出残渣スラリーとに対して中和処理を施す。これにより、排出基準を満たすまで上記の金属イオンや重金属を除去することができる。上記中和処理は、石灰石を中和剤として用いた第1の中和処理と、消石灰を中和剤として用いた第2の中和処理とからなる2段階で中和処理を行うのが好ましく、これにより上記金属イオンの濃度を1mg/Lまで効率的かつ効果的に除去することができる。
珪素品位5.0~5.5%(分析法:蛍光X線分析法)で且つ低ニッケル品位のニッケル酸化鉱石(低珪素品位鉱石)を図1に示す湿式製錬法の工程図に沿って処理した。その際、鉱石スラリー調製工程S1において、目開き1~2mmのスクリーンを用いて該ニッケル酸化鉱石を湿式分級し、得られた鉱石スラリーを、栗田工業株式会社製の凝集剤(型番:PN901)を水で薄めて濃度0.20質量%に調製した凝集剤溶液と共に図2に示すようなシックナー1に装入した。そして、下記に示すように様々な条件で重力沈降による濃縮を行うことで、濃縮鉱石スラリーを製造した。
珪素品位5.0~5.5%のニッケル酸化鉱石に代えて珪素品位6.0~6.5%のニッケル酸化鉱石(高珪素品位鉱石)を用いた以外は上記実施例1と同様にして濃縮鉱石スラリーを製造した。その結果、濃縮鉱石スラリーの固形分濃度は37.5~49.2質量%まで変動したが、固体鉱石1トン当りの凝集剤の添加量を80~130g/トン未満の範囲内にすることで濃縮鉱石スラリーの固形分濃度を43.0~49.2質量%の範囲内に抑えることができた。
S2 高温加圧酸浸出工程
S3 予備中和工程
S4 固液分離工程
S5 中和工程
S6 脱亜鉛工程
S7 硫化工程
S8 最終中和工程
1 シックナー
2 円筒状の直胴部
3 円錐状の底部
4 シックナー本体
5 レーキ
6 回転軸
7 駆動部
8 オーバーフローライン
9 フィードウェル
10 鉱石スラリー供給管
11 添加剤供給管
12 スラリー抜出管
13 スラリーポンプ
15 鉱石スラリー流量計
16 鉱石スラリー比重計
17 添加剤流量計
Claims (4)
- 珪素品位2.0~8.0%で且つ低ニッケル品位のニッケル酸化鉱石を含んだ鉱石スラリーを、フィードウェル及びこれに斜め上方から接続する鉱石スラリー供給管を介してシックナーに装入することで高温加圧酸浸出工程の原料となる高濃度に濃縮された高濃度鉱石スラリーを製造する方法であって、該ニッケル酸化鉱石1トン当たり凝集剤80~130gが添加されるように、該凝集剤を濃度0.18~0.30質量%で含有する凝集剤溶液を、該フィードウェル及び該鉱石スラリー供給管の2か所で該鉱石スラリーに添加する際の添加量を調整することを特徴とする高濃度鉱石スラリーの製造方法。
- 前記鉱石スラリーはスラリー濃度が10~30質量%であることを特徴とする、請求項1に記載の高濃度鉱石スラリーの製造方法。
- 前記凝集剤は高分子系凝集剤であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の高濃度鉱石スラリーの製造方法。
- 前記凝集剤溶液は前記凝集剤を水で希釈することで調製することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の高濃度鉱石スラリーの製造方法。
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