JP6828359B2 - ニッケル酸化鉱の湿式製錬方法 - Google Patents

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Description

本発明は、亜鉛を含むニッケル酸化鉱の湿式製錬方法に関し、特に脱亜鉛工程で生成される亜鉛硫化物スラリーの固液分離性を高めたニッケル酸化鉱の湿式製錬方法に関する。
ニッケル酸化鉱を湿式法で製錬する方法として、ニッケル酸化鉱を硫酸とともにオートクレーブ等の加圧容器に入れ、220〜280℃程度の高温高圧下で処理することによって、ニッケル酸化鉱に含まれるニッケルやコバルトなどの有価金属を浸出させる高圧酸浸出(High Pressure Acid Leaching:HPAL)プロセスが知られている。
例えば特許文献1には、ニッケル酸化鉱石のスラリーに硫酸を添加し、220〜280℃の温度下で撹拌しながら浸出する浸出工程と、前記浸出工程で生成された浸出スラリーを多段洗浄した後、固液分離してニッケル及びコバルトを含む浸出液と浸出残渣とを得る固液分離工程と、前記浸出液の酸化を抑制しながらpHが4以下となるように炭酸カルシウムを添加し、3価の鉄を含む中和澱物スラリーとニッケル回収用母液とを生成する中和工程と、前記母液に硫化水素ガスを吹きこみ、ニッケル及びコバルトを含む硫化物と貧液とを生成する硫化工程とを含むHPALプロセスが開示されている。このHPALプロセスは浸出工程及び固液分離工程の簡素化が可能になる上、中和工程での中和剤消費量及び澱物量が削減でき、更には効率的な水の繰り返し使用等によってプロセス全体として簡素で且つ高効率な製錬が可能になると記載されている。
また、特許文献2には、ニッケル酸化鉱石に対して浸出及び固液分離工程、中和工程、脱亜鉛工程、及びニッケル回収工程からなる一連の処理を施す湿式製錬方法において、該脱亜鉛工程ではニッケル及びコバルトとともに亜鉛を含む中和終液に硫化剤を添加して亜鉛硫化物を生成し、この亜鉛硫化物を分離することでニッケル及びコバルトを含むニッケル回収用母液を得る技術が開示されている。そして、この脱亜鉛工程では亜鉛硫化物の濾過性を改善することにより濾布の目詰まりを抑制し、これにより濾布の洗浄作業及び交換作業の頻度が低減される上、ニッケル回収率を高めることができると記載されている。具体的には、この特許文献2の方法は、中和工程において浸出液に浸出残渣を添加し、且つ脱亜鉛工程で処理される中和終液のpHを3.0〜3.5に調整するとともに該中和終液中にその濁度が100〜400NTUになるように中和澱物及び浸出残渣からなる懸濁物を残留させるものである。
特開2005−350766号公報 特開2010−037626号公報
上記のように、HPALプロセスは、ニッケル酸化鉱石を炉に入れて高温で熔解して製錬する乾式製錬法と異なり、酸化鉱石の還元及び乾燥工程を必要とせず、すべて湿式工程で行われるのでエネルギー的及びコスト的に有利である。また、ニッケル品位が50〜60質量%にまで濃縮された高純度のニッケル及びコバルトを含む硫化物を得ることができる。これにより、後段の精製工程においてハンドリングや精製のための設備をコンパクト化できるのでコストを低減することができる。
しかしながら、特許文献2の方法を用いてニッケル酸化鉱石に含有される亜鉛を工業的に分離する場合は、脱亜鉛工程で生成される亜鉛硫化物を含むスラリーの濾過の際の固液分離性、すなわち濾過性がすぐに低下することがあった。濾過性がすぐに低下する理由は、該スラリー中に含まれる微細な析出物などの澱物による閉塞と考えられ、このように微細な析出物が発生する場合は閉塞物の除去のために頻繁に洗浄することが必要になる。
例えば工業的な濾過工程ではフィルタープレスを用いることが多く、この場合、フィルタープレスに給液するスラリーの圧力はフィルタープレスの濾布の目詰まりが進むと上昇する。その結果、図1に示すように濾過時の単位積算流量あたりの濾過器の差圧の上昇に伴って処理能力が低下する。具体的には濾過器での差圧を積算流量で除した値が概ね0.10kPa/mよりも大きくなると処理能力は著しく低下する。
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、HPALプロセスの脱亜鉛工程おいて生成する亜鉛硫化物スラリーの固液分離性を向上させ、これにより濾過装置の早期の閉塞を抑えて生産効率を向上させるニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者らは、HPALプロセスのうちニッケル酸化鉱石を酸浸出して得た浸出液を中和して得た中和終液に対して硫化物を添加して亜鉛を沈殿物として除去する脱亜鉛工程において、該中和終液に含まれるFeが脱亜鉛工程で添加した硫化剤と反応して微細な硫化鉄を形成する点に着目して鋭意研究を重ねた結果、中和終液に残留するFe濃度を所定の濃度以下にすることで上記硫化物を含むスラリーの固液分離性を向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法は、ニッケル酸化鉱石を硫酸溶液とともに加圧容器に入れて高圧下で酸浸出する浸出工程と、該浸出工程で得た浸出スラリーを洗浄した後、固液分離してニッケル及び不純物元素を含む浸出液と浸出残渣とを得る固液分離工程と、該浸出液に中和剤を添加してpH調整するとともに凝集剤を添加して不純物元素を含む中和澱物を生成した後、該中和澱物をニッケルを含む中和終液から固液分離する中和工程と、該中和終液に硫化剤を添加して亜鉛硫化物を生成した後、該亜鉛硫化物を含むスラリーを濾過器での濾過により固液分離して亜鉛硫化物と脱亜鉛後液とを得る脱亜鉛工程と、該脱亜鉛後液に硫化剤を添加してニッケルを含む混合硫化物を生成した後、該混合硫化物を硫化後液から固液分離するニッケル回収工程とからなるニッケル酸化鉱の湿式製錬方法であって、前記中和工程で得られる中和終液のFe濃度1.25g/L以下にすることによって、前記濾過時の単位積算流量あたりの濾過器の差圧が0.10kPa/m 未満の値で維持されるように前記中和剤の添加量を調整することを特徴としている。
本発明によれば、ニッケル酸化鉱の湿式製錬方法における脱亜鉛工程において生成される亜鉛硫化物を含むスラリーの固液分離性を向上させることができる。
ニッケル酸化鉱の湿式製錬方法における脱亜鉛工程で生成した亜鉛硫化物を含むスラリーをフィルタープレスで濾過する際の濾過性と処理能力との関係を示すグラフである。 本発明の一具体例の湿式製錬方法を示すプロセスフロー図である。 本発明の一具体例の湿式製錬方法における中和終液のFe濃度と脱亜鉛工程の沈殿物粒径との関係を示すグラフである。 本発明の一具体例の湿式製錬方法における中和終液のFe濃度と脱亜鉛工程の濾過性との関係を示すグラフである。 本発明の一具体例の湿式製錬方法における凝集剤の添加割合と脱亜鉛工程の濾過性との関係を示すグラフである。 本発明の一具体例の湿式製錬方法における脱亜鉛工程の硫化水素添加当量と脱亜鉛工程の濾過性との関係を示すグラフである。 本発明の一具体例の湿式製錬方法における脱亜鉛工程の硫化水素添加当量と脱亜鉛工程のニッケル沈殿率との関係を示すグラフである。
以下、本発明の一具体例のニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法について説明する。この本発明の一具体例の湿式製錬方法は、図2に示すように、ニッケル酸化鉱石を硫酸溶液とともに加圧容器に入れて高圧下で酸浸出する浸出工程と、該浸出工程で得た浸出スラリーを洗浄した後、固液分離してニッケル及び不純物元素を含む浸出液と浸出残渣とを得る固液分離工程と、該浸出液に中和剤を添加してpH調整するとともに凝集剤を添加して不純物元素を含む中和澱物を生成した後、該中和澱物をニッケルを含む中和終液から固液分離する中和工程と、該中和終液に硫化剤を添加して亜鉛硫化物を生成した後、該亜鉛硫化物を含むスラリーを固液分離して亜鉛硫化物と脱亜鉛後液とを得る脱亜鉛工程と、該脱亜鉛後液に硫化剤を添加してニッケルを含む混合硫化物を生成した後、該混合硫化物を硫化後液から固液分離するニッケル回収工程とから構成されている。
本発明の一具体例においては、上記一連の工程のうちの脱亜鉛工程において、濾過時の単位積算流量あたりの濾過器の差圧が0.10kPa/m未満の値で維持されるように、脱亜鉛工程で処理される中和終液に含まれるFeの濃度の調整を行っている。このように単位積算流量あたりの差圧を濾過性の指標とする理由は、工業的にニッケル酸化鉱石の処理を行う製錬プラントでは、濾過装置に一定流量でスラリーを給液する恒率濾過が一般的に採用されるので、該濾過装置の管理が容易になるからである。
上記の濾過時の単位積算流量あたりの差圧とは、濾過装置の濾布を交換又は洗浄してから現濾過時点までの間に濾過装置で処理されたスラリーの合計流量で現濾過時点での濾過装置の差圧を除した値であり、この合計流量は例えば濾過装置のスラリー供給側に設けた積算流量計から得ることができる。上記の中和終液のFe濃度の調整を行う具体的な方法としては、中和工程で添加する中和剤の添加量を増減させることで行うことができる。即ち、中和終液中のFe濃度を下げる場合は中和剤の添加量を増やせばよい。なお、中和剤としては、消石灰、石灰石、水酸化ナトリウムなどを用いることができ、これらの中では工業的な観点から消石灰が好ましい。
このように中和終液のFe濃度を調整することで脱亜鉛工程での固液分離性を変えることができる。即ち、中和工程で得た中和終液のFe濃度と脱亜鉛工程で得た沈殿物のD50であらわした粒径(μm)との関係を示す図3から分かるように、Fe濃度を減らすことで、脱亜鉛反応後の沈殿物の粒径をより大きくすることができる。具合的には、Fe濃度を1.25g/L以下、より好適には1.00g/L以下、最も好適には0.75g/L以下にすることで沈殿物の粒径をより大きくすることができる。その結果、図4に示す中和終液のFe濃度と脱亜鉛工程の濾過性の関係から分かるように、中和終液のFe濃度を1.25g/L以下にすることで差圧を0.10kPa/mよりも小さくすることができ、0.75g/L以下にすることでより顕著に差圧を小さくすることができる。
上記中和工程では、生成した中和澱物の沈降分離性を促進するため、中和剤とともに又は中和後のスラリーに凝集剤を添加する。この場合の凝集剤の添加量の割合は、図5に示すように最大でも中和剤添加後のスラリー量1トン当たり12g以下に調整することが好ましく、10g以下にするのがより好ましい。このように所定量の凝集剤を添加すると共に、上記した中和終液のFe濃度を1.25g/L以下に維持することで、濾過性をより一層向上させることができる。なお、上記凝集剤は、無機系のものを用いると系内に鉄やアルミニウム等の不純物が混入するおそれがあるので、カチオン系高分子凝集剤を用いるのが好ましい。また、中和澱物の沈降性を改善するため、図2の点線で示すように中和後に浸出残渣を添加してもよい。この場合は、浸出残渣を添加した後の中和後スラリー1トン当たり凝集剤の添加量を12g以下、より好ましくは10g以下とすればよい。
一般的には、凝集剤の添加量はスラリーの沈降性を見ながらその最適値を選定するものであるが、ニッケル酸化鉱石のHPALによる処理の場合は上記した中和後のスラリー1トンあたり12gを超える量を添加しても沈降性の改善には貢献せず、むしろ濾過性を悪化させるおそれがある。なお、凝集剤の添加量の下限値は特に限定はないが、上記中和後のスラリー1トンあたり8g/L以上が好ましい。その理由は、中和後のスラリーを固液分離するには例えば静置時間を延ばすことで理論的には凝集剤の添加量をゼロにすることができるが、工業的な観点からは好ましくないからである。なお、凝集剤の添加量を中和後のスラリー1トン当たり12g以下の条件で調整することで脱亜鉛工程の濾過性が改善される理由としては、脱亜鉛工程で処理される中和終液の粘性が低下することも関係していると考えられる。
本発明者らは更に、脱亜鉛工程において硫化剤の添加によって亜鉛を硫化物として沈殿させる際、硫化剤の添加量を調整することによっても濾過性を向上させ得ることを見出した。即ち、硫化剤には硫化水素ガスに限定されず、硫化ナトリウムや硫化水素ナトリウムなどの固体状のものあるいはそれらを溶解した液体状のものを用いることができるが、例えば硫化剤に硫化水素ガスを用いた場合、下記の式1の反応が生じる。
[式1]
Zn2++HS=ZnS+2H
上記式1から分かるように、量論上は亜鉛1molに対して硫化水素ガス1molを添加すればよい。しかし工業的には連続槽型反応器で硫化反応が行われることや反応液に微量に存在し得る他の金属元素の影響もあるため、化学当量以上の添加が必要である。具体的には上述したように脱亜鉛工程で処理される中和終液中のFe濃度を1.25g/L以下に維持しながら、図6に示すように、硫化剤の添加量を3.5モル当量以下となるように添加するのが好ましく、3.0モル当量以下となるのがより好ましい。これにより濾過時の単位積算流量あたりの濾過器の差圧を0.10kPa/m未満に維持でき、良好な濾過性が可能になる。なお、図6は凝集剤を上記のスラリー1トン当たり12g添加した時のグラフである。
この硫化剤の添加量が3.5モル当量を超えると差圧が1.0kPa/mを超えるようになり、特に4.5モル当量を超えると、図7に示すように、ニッケルの沈殿が顕著に増加し、ニッケルのロスになる上、濾過機の澱物負荷が増大するので好ましくない。なお、硫化剤の添加量の下限は1.0モル当量が好ましい。このように、亜鉛はニッケルよりもわずかに硫化しやすいだけであるため、硫化剤を単に添加するだけでは亜鉛とニッケルを良好に分離できなくなることがあるが、上記のように硫化剤の添加量を調整することで有価なニッケルの硫化を抑制しながら亜鉛だけを選択的に硫化することができる。なお図7のニッケル沈殿率は下記の式2で算出した。
[式2]
ニッケル沈殿率(%)=(中和終液のニッケル濃度−脱亜鉛後液のニッケル濃度)/中和終液のニッケル濃度×100
図2に示すようなプロセスに従ってニッケル酸化鉱石を硫酸とともに加圧容器に入れ、240〜260℃の温度に加熱して高圧加圧浸出を行った。得られた浸出スラリーを固液分離して浸出残渣と浸出液とを得た。この浸出液を貯留する槽から一定量で抜き出した浸出液に対して、連続的に中和剤として消石灰を添加してpHを2〜3の範囲内に調整するとともに、凝集剤として栗田工業株式会社製のKURIFARM PA−904を連続的に添加してスラリーを生成した。
このスラリーを固液分離して中和終液を得た後、この中和終液に硫化水素ガスを連続的に吹き込んで硫化物を析出させた。この硫化物を含む反応液のスラリーを濾布の洗浄直後のフィルタープレスに供給して固液分離した。上記の処理の際、凝集剤の添加量と硫化水素の吹き込み量を段階的に変化させ、各々の場合の中和終液のFe濃度及びフィルタープレスにおける差圧と処理量を測定した。
このようにして処理条件の異なる試料1〜18の処理を行った。これら試料1〜18の処理における中和終液のFe濃度、中和工程での凝集剤の添加割合、脱亜鉛工程での硫化水素ガスの添加当量、フィルタープレスの処理能力及び濾過性、製品中のZn品位を下記表1に示す。なお、これら試料1〜18の処理の際の中和終液は、Fe濃度以外の組成は、ニッケルが3.6〜4.0g/L、コバルトが0.30〜0.39g/L、亜鉛が0.09〜0.11g/Lで、pHが2.72〜2.90の範囲内であった。
フィルタープレスの濾過性は、フィルタープレスの給液側及び排液側にそれぞれ設けた圧力計の差をフィルタープレスの給液側に設けた積算流量計で求めた運転開始時からの積算流量で除して求めた。フィルタープレスにおける処理能力は給液側の流量計から求めた。製品中のZn品位は、ニッケル回収工程で得た混合硫化物に対して蛍光X線分析(XRF)で測定して求めた。また、凝集剤の添加割合と硫化水素ガスの添加当量は下記の式3、式4からそれぞれ計算した。
Figure 0006828359
[式3]
凝集剤添加割合=凝集剤の添加量(g/hr)/浸出液と中和剤との合計流量(t/hr)
[式4]
硫化水素ガスの添加当量=硫化水素ガス添加量(mol/hr)/[中和終液流量×亜鉛のモル濃度](mol/hr)
上記表1の結果から分かるように、本発明の要件を満たす試料1〜10の処理では、いずれにおいても濾過装置の差圧を積算流量で除して得た値が0.10kPa/m未満となり、良好な濾過性が得られることが分った。これに対して本発明の要件を満たしていない試料11〜18の処理では、いずれも濾過装置の差圧を積算流量で除して得た値が0.10kPa/mを超えており、上記試料1〜10に比べて濾過性が劣っていた。


Claims (3)

  1. ニッケル酸化鉱石を硫酸溶液とともに加圧容器に入れて高圧下で酸浸出する浸出工程と、該浸出工程で得た浸出スラリーを洗浄した後、固液分離してニッケル及び不純物元素を含む浸出液と浸出残渣とを得る固液分離工程と、該浸出液に中和剤を添加してpH調整するとともに凝集剤を添加して不純物元素を含む中和澱物を生成した後、該中和澱物をニッケルを含む中和終液から固液分離する中和工程と、該中和終液に硫化剤を添加して亜鉛硫化物を生成した後、該亜鉛硫化物を含むスラリーを濾過器での濾過により固液分離して亜鉛硫化物と脱亜鉛後液とを得る脱亜鉛工程と、該脱亜鉛後液に硫化剤を添加してニッケルを含む混合硫化物を生成した後、該混合硫化物を硫化後液から固液分離するニッケル回収工程とからなるニッケル酸化鉱の湿式製錬方法であって、
    前記中和工程で得られる中和終液のFe濃度1.25g/L以下にすることによって、前記濾過時の単位積算流量あたりの濾過器の差圧が0.10kPa/m 未満の値で維持されるように前記中和剤の添加量を調整することを特徴とするニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法。
  2. 前記凝集剤の添加量を、前記浸出液及び前記中和剤の合計量1トンあたり12g以下とすることを特徴とする、請求項1に記載のニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法。
  3. 前記中和終液に含まれる亜鉛量に対して前記硫化剤を1モル当量以上3.5モル当量以下となる量を添加することを特徴とする、請求項1及び2に記載のニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法。


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