JP4863887B2 - 金属シリコンの精製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金属シリコンの精製方法に係り、特に、ICチップの封止材用フィラー原料や太陽電池用シリコンの粗原料等として有用な金属シリコンの精製方法に関するものである。
従来から、ICチップの封止材用フィラーや太陽電池用シリコン等の原料として、金属シリコンが、広く使用されて来ている。ところで、そのような金属シリコンとしては、これまで、純度が99%程度の化学工業用(冶金級)シリコンを塩化水素(HCl)と反応させて、クロロシランとし、そしてこのクロロシランを蒸留により精製した後、水素還元を行うクロロシラン法によって精製された、所謂イレブン・ナイン級の金属シリコンが、一般に、用いられて来ている。しかしながら、このようなイレブン・ナイン級の金属シリコンは、半導体用金属シリコンとして極めて高純度に精製されたものであって、非常に高価なものであるという問題が存していたのである。
かかる状況下、特許第2665437号公報(特許文献1)には、太陽電池用シリコン等の原料として好適に使用され得る金属シリコンを精製する方法として、純度が99.5%以上の金属けい素を50μm以下に粉砕し、そしてその粉砕物を1重量%〜5重量%のHF水溶液を用いて常温で処理した後、ろ過、水洗することを特徴とする金属けい素の精製方法が、明らかにされている。そして、そこでは、そのような精製方法を採用することによって、不純物である、Feを15ppm以下、Alを130ppm以下、Caを30ppm以下、Uを2.2ppb以下にまで低下させた高純度金属シリコンが、得られるとされている。
しかしながら、本発明者等が、上記提案されている精製方法について検討した結果、金属けい素を50μm以下に粉砕し、そしてHF水溶液で処理した後、ろ過、水洗する金属シリコンの精製方法には、それを工業的に実施する上において、非常に不利な点が存することが、明らかとなったのである。
すなわち、50μm以下に粉砕された金属シリコンにあっては、その粉砕物中に存在する非常に微細な粒子、特に5μmより小さな粒径を有する粒子が、HF水溶液による処理や、その後の水洗工程において行われるろ過操作において、金属シリコン粒子スラリーのろ過性を著しく悪化させ、そしてこのろ過性の問題により、かかる50μm以下に粉砕された金属シリコン粒子を使用した精製方法は、工業的に実施することが極めて困難となるのであり、実際に採用され得るものではなかったのである。
しかも、仮に、そのような方法によって金属シリコンの精製を行ったとしても、上述したようなろ過性の悪さから、HF水溶液による処理後の水洗工程おいて、有効な水洗処理を遂行することが困難であるところから、かかる水洗による不純物の除去効果が充分に発揮され得ず、従って、HF水溶液による処理において溶出され、また不溶成分として生成した不純物が、結局、金属粒子表面に付着して一定の割合で残ってしまうことになり、そのため、そのような精製方法によって得られる金属シリコンの純度を充分に高め得ないという問題を有するものでもあった。
このため、本発明者等は、先に、特願2006−225718号において、化学工業用程度の純度の金属シリコンを150μm以下に粉砕した後、その粉砕物から5μmより小さな粒径の微粒子を分級除去することにより、5〜150μmの粒径の金属シリコン粒子を採取し、次いでこの微粒子の除去された金属シリコン粒子を希薄フッ化水素酸中において10時間以上浸漬処理することによって、酸洗浄を施し、更にその後、水洗して、乾燥するようにした金属シリコンの精製方法を、明らかにした。この方法によれば、5μmより小さな粒径の微粒子の除去された金属シリコンに対して、酸洗浄や水洗が施されるものであるところから、それら酸洗浄や水洗の際に行われるろ過操作に際して、極めて良好なろ過性を確保することが出来ることとなり、以て、金属シリコンの高度な精製を、工業的に且つ安価に実施し得ることとなる。そして、このような方法の採用によって、従来法では極めて困難であった、含有ウラン濃度を2.0ppb以下とすることも、容易に可能となし得ることとなったのである。
しかしながら、最近、金属シリコンとして更に高純度なものが要請され、例えばICチップの封止材用フィラー原料として使用される場合においては、含有ウラン濃度が更に低下せしめられた、高純度な金属シリコンが求められているのであり、このため、前述したような金属シリコンの精製方法では、そのような要望に対して、必ずしも充分に応え得ないという問題があった。
特許第2665437号公報
ここにおいて、本発明は、かくの如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、工業的に且つ安価に生産可能で、しかも含有ウラン濃度を極めて有利に低減せしめることの出来る金属シリコンの有利な精製方法を提供することにある。
そして、本発明は、かかる課題の解決のために、不純物を含む金属シリコンを細かく粉砕した後、その粉砕物から5μmより小さな粒径の微粒子を分級除去することにより、5μm以上の粒径の金属シリコン粒子を採取し、次いでこの微粒子の除去された金属シリコン粒子を希薄フッ化水素酸中に浸漬する一方、該希薄フッ化水素酸に過酸化水素を添加せしめて、酸洗浄処理を実施し、更にその後、水洗して、乾燥することを特徴とする金属シリコンの精製方法を、その要旨とするものである。
なお、このような本発明に従うところの金属シリコンの精製方法の望ましい態様の一つによれば、前記金属シリコンの粉砕は、150μm以下の粒径の粒子を与えるように実施され、また他の望ましい態様によれば、前記金属シリコンの粉砕は、50μm以下の粒径の粒子を与えるように実施されることとなる。
また、本発明に従う金属シリコンの精製方法の更に他の望ましい態様の一つによれば、前記希薄フッ化水素酸は、有利には、1〜3重量%のフッ化水素濃度を有している。
さらに、本発明に従う金属シリコンの精製方法の好ましい態様の一つによれば、前記過酸化水素の添加総量は、前記希薄フッ化水素酸中において、0.5重量%以上の濃度となるように調整されることとなる。
加えて、本発明に従う金属シリコンの精製方法の好ましい態様の別の一つによれば、前記希薄フッ化水素酸に対して、無機強酸が更に添加され、そして、そのような無機強酸は、有利には、前記希薄フッ化水素酸中において1〜3重量%の濃度となるように添加せしめられることとなる。
このように、本発明に従う金属シリコンの精製方法にあっては、不純物を含む金属シリコンを原料として、それを細かく粉砕した後、その粉砕物から5μmより小さな粒径の微粒子を分級除去することにより、5μm以上の粒径の金属シリコン粒子を採取し、そしてこの微粒子の除去された金属シリコン粒子に対して、所定の酸洗浄処理や水洗処理を実施するものであるところから、そのような酸洗浄処理や水洗処理の際に行われるろ過操作の際に、極めて良好なろ過性を有利に確保することが出来、以て、金属シリコンの精製を、工業的に且つ安価に実施し得ることとなったのである。
しかも、かかる本発明に従う金属シリコンの精製方法にあっては、前記微粒子の除去された金属シリコン粒子を希薄フッ化水素酸中に浸漬する一方、該希薄フッ化水素酸に過酸化水素を添加せしめることによって、酸洗浄処理を実施するようにしたところから、上述せるように、金属シリコンの精製を工業的に且つ安価に実施可能と為しつつ、更に、得られる金属シリコンの精製を、従来の金属シリコンの精製方法と比較して、極めて高度に行い得ることとなるのであって、特に、金属シリコンに含まれる不純物のうち、ウランについては、その含有濃度を、更に1.0ppb以下、特に、0.5ppb以下にまで低減することが、可能となったのである。
ここにおいて、本発明にて精製対象とされる、不純物を含む金属シリコンとしては、特に限定されるものではなく、従来から公知のものが、何れも、その対象とされるものであるが、一般に、珪砂を電気炉中において還元せしめて得られる、化学工業用(冶金級)金属シリコンとして知られているもの等が、原料として有利に用いられることとなる。なお、そのような化学工業用金属シリコンは、一般に、純度が約99%程度のものであって、不純物として、Fe、Al、Ca等が合わせて約1,000ppm〜1,500ppm程度、またU等の放射性元素が、数10〜100ppb程度含まれているものである。
そして、本発明に従って、上述せる如き金属シリコン原料を精製するに際しては、先ず、前記した化学工業用金属シリコン等の金属シリコンのブロックやカレット等が、機械的に細かく粉砕せしめられるのである。なお、この金属シリコン原料の粉砕方法としては、従来から公知の手法が、何れも採用され得るものであって、例えば、ボールミル等の公知の粉砕機を用いて粉砕を行う等して、実施されることとなる。
このように、金属シリコン原料が細かく粉砕されることによって、そのような金属シリコン原料のブロック等の内部に存在する鉄、アルミニウム、カルシウム、ウラン等の不純物が、粉砕粒子表面に露出されるようになり、そして、そのような不純物が粒子表面に露出せしめられた金属シリコンの粒子に対して、後述する所定の酸洗浄操作と水洗が施されることによって、かかる金属シリコン粒子中の不純物が、効果的に除去されるようになるのである。
また、そのような細かく粉砕された金属シリコン粒子にあっては、その粉砕によっても金属シリコン粒子表面に露出せしめられなかった不純物が存在していても、後述する酸洗浄処理において、希薄フッ化水素酸や過酸化水素が金属シリコン粒子の内部粒界にまで浸透して、そこに存在する不純物が効果的に溶出され得るようになるところから、金属シリコン中の不純物が、有利に除去せしめられ得ることとなるのである。
なお、かかる粉砕によって得られる粉砕物、即ち金属シリコン粒子の粒径は、特に限定されるものではないが、有利には、上記のように粉砕して生じる粉砕物を篩い分けすることによって、一般に150μm以下、好ましくは50μm以下となる粒径を有する金属シリコン粒子が形成されることとなる。このような粒径の金属シリコン粒子を形成せしめるようにすることによって、上述したような不純物の金属シリコン粒子表面への露出や、酸洗浄処理における金属シリコン粒子の内部粒界に存在する不純物の溶出が、より有利に行われ得ることとなるのであり、以て、金属シリコンの高度な精製が、より一層効果的に実現され得るのである。
そして、本発明に従う金属シリコンの精製方法にあっては、上述のようにして得られる金属シリコン粒子よりなる粉砕物から、更に、5μmより小さな粒径の金属シリコン粒子を分級除去せしめる操作が、実施されることとなる。これによって、5μm以上の粒径を有する金属シリコン粒子が取り出されるのである。なお、この分級除去操作には、従来から公知の手法が、何れも採用可能であり、例えば、風力分級機等の公知の分級機を用いて分級除去することにより、目的とする粒径の粒子の採取が行われることとなる。
このようにして、不純物を含む金属シリコンを細かく粉砕した後、その得られた粉砕物から、5μmより小さな粒径の微粒子を分級除去して、5μm以上の粒径の金属シリコン粒子を採取し、これを用いることとしたことによって、後述する希薄フッ化水素酸や過酸化水素による酸洗浄及びそれに続く水洗の際に行われるろ過操作において、極めて良好なろ過性が確保され得るのである。そして、そのような極めて良好なろ過性の実現により、金属シリコンの精製が、工業的に有利に実施され得るのである。
次いで、本発明にあっては、かくの如くして得られた、微粒子の除去された金属シリコン粒子に対して、希薄フッ化水素酸中に浸漬することからなる酸洗浄処理が、施されることとなる。この希薄フッ化水素酸中への浸漬による酸洗浄処理によって、かかる金属シリコン粒子の表面に露出した鉄、アルミニウム、カルシウム、ウラン等の不純物は、希薄フッ化水素酸中に溶解せしめられるようになると共に、希薄フッ化水素酸が金属シリコン粒子の内部粒界に浸透して、かかる粒子の内部粒界に存在する不純物が、希薄フッ化水素酸中に溶出せしめられるようになるのである。そして、そのようにして溶解乃至は溶出せしめられた不純物は、後述するろ過操作及び水洗操作によって、容易に分離・除去され得るのである。
なお、この5μm以上の粒径を有する金属シリコン粒子が浸漬される希薄フッ化水素酸としては、従来から公知のものが、何れも採用可能であって、何等限定されるものではなく、例えば、市販の40〜70%程度のフッ化水素酸が、純水等の水で希釈されることによって得られるもの等が、用いられるのであるが、有利には、かかる希薄フッ化水素酸は、1〜3重量%のフッ化水素濃度を有していることが、望ましい。なお、この希薄フッ化水素酸におけるフッ化水素濃度が、1重量%よりも低くなると、フッ化水素酸による金属シリコン粒子の酸洗浄効果が充分に発揮され得なくなる恐れがあり、またフッ化水素濃度が3重量%よりも高くなっても、その濃度に見合う充分な効果を期待することが出来なくなり、コスト的に不利となるため、好ましくない。
また、この酸洗浄処理において、金属シリコン粒子に対する希薄フッ化水素酸の使用量は、何等限定されるものではなく、用いられる希薄フッ化水素酸のフッ化水素濃度や精製対象とされる金属シリコン粒子の量等によって、適宜に決定され得るものであるが、一般に、精製しようとする金属シリコン粒子の1重量部に対して、3〜4重量部程度の割合において、使用されることとなる。この希薄フッ化水素酸の使用量が少な過ぎると、酸洗浄の効果が充分に発揮され得ない恐れがあり、また希薄フッ化水素酸の使用量が多くなり過ぎると、無駄が多くなり、コスト的に不利となるからである。
さらに、このような酸洗浄処理としての希薄フッ化水素酸中における浸漬処理は、一般に、5時間以上、好ましくは10時間以上の時間を要して、行われることとなる。このような浸漬処理を実施することにより、希薄フッ化水素酸が、金属シリコン粒子の内部粒界に、より確実に浸透して、かかる粒子の内部粒界に存在する不純物が、より一層有利に希薄フッ化水素酸中に溶出されることとなるからである。なお、この浸漬処理時間の上限は、工程の生産性の面から適宜に決定されることとなる。
そして、本発明に従う金属シリコンの精製方法にあっては、上述の如く、金属シリコン粒子を所定の希薄フッ化水素酸中に浸漬せしめる一方、かかる希薄フッ化水素酸に、更に過酸化水素を添加せしめて、酸洗浄処理が実施されるのである。
このように、希薄フッ化水素酸に過酸化水素を添加して、酸洗浄処理を実施することにより、金属シリコン粒子の内部粒界等における浸食が促進され、そこに存在する鉄、アルミニウム、カルシウム、ウラン等の不純物が効果的に溶出乃至は溶解せしめられるようになることから、金属シリコンの精製が、より有利に高度に行なわれ得ることとなるのである。なお、そのような過酸化水素が存在しない場合には、鉄、アルミニウム、カルシウム、ウラン等の不純物が、金属シリコン粒子の内部粒界等に取り残されることとなる。そしてその場合には、長時間の希薄フッ化水素酸中への浸漬によっても、前記した不純物を充分に除去出来ない恐れがあるのである。
そこにおいて、過酸化水素としては、例えば、市販の30〜35%程度の過酸化水素水溶液が、必要に応じて純水等の水で希釈されることによって得られるものが、用いられることとなる。また、過酸化水素の使用量(添加総量)は、精製対象とされる金属シリコン粒子の量等によって、適宜に決定され得るものであるが、有利には、希薄フッ化水素酸中において、0.5重量%以上、好ましくは1〜2重量%の終濃度となるように調整されることとなる。この過酸化水素の添加総量が少な過ぎると、上述したような過酸化水素の添加による効果が充分に発揮され得ない恐れがあり、また添加総量が多くなり過ぎると、精製対象である金属シリコン自体の溶解量が増大することによって、収率の低下を招くばかりでなく、処理コストの増大や過酸化水素の残存する廃液処理の問題等が惹起される恐れがあるため、望ましくない。
なお、そのような過酸化水素の希薄フッ化水素酸への添加時期、添加方法等は、特に限定されるものではなく、金属シリコン粒子の希薄フッ化水素酸への浸漬に先立って、或いはその浸漬と同時に添加せしめることが可能であり、また、かかる添加は、一時に、或いは間欠的に又は連続的に時間をかけて、実施されてもよい。
また、本発明にあっては、金属シリコン粒子が浸漬される、希薄フッ化水素酸に過酸化水素を添加した溶液に対して、無機強酸を添加することが望ましく、特に、そのような無機強酸として、硫酸、硝酸又は塩酸が好適に選択されて、添加されることとなる。このように、希薄フッ化水素酸に対して、無機強酸を更に添加せしめることによって、金属シリコン粒子の内部粒界等に存在する鉄、アルミニウム、カルシウム、ウラン等の不純物、特にウランに対して、上記した無機強酸イオンが配位することとなるのであり、これによって、上記したような不純物が、希薄フッ化水素酸中に、錯イオン又は水溶性の錯化合物として、より一層有利に確実に溶解乃至は溶出せしめられることとなるのであり、以て、金属シリコンの精製が、より一層高度に実施され得るのである。
そして、そのような無機強酸を添加せしめるに際しては、その添加量は、前記希薄フッ化水素酸中において、1〜3重量%の無機強酸濃度となるように、調整せしめられることが望ましい。その添加量が1重量%よりも少なくなる場合にあっては、前記した無機強酸の添加による金属シリコン粒子中の不純物の除去の効果が、充分に発揮され得ない恐れがあるため、望ましくなく、また3重量%よりも多くなる場合には、無駄が多くなり、コスト的に不利となるばかりでなく、そのような高濃度の酸を含有する廃水の処理費用の点からも不利になるという問題があるため、望ましくない。
ところで、上記せる如き金属シリコン粒子の酸洗浄処理操作には、従来から公知の手法が何れも採用可能であって、何等限定されるものではないが、具体的には、例えば、内面が樹脂コーティングされた容器を用い、そこに、前記微粒子の除去された金属シリコン粒子と希薄フッ化水素酸を投入する一方、過酸化水素を該希薄フッ化水素酸へ投入し、そして室温下で、金属シリコン粒子が容器の底に沈積しない程度の速度で撹拌することにより、行われることとなる。
また、かかる酸洗浄処理が終了した後、得られた金属シリコンスラリーに対しては、酸洗浄処理された金属シリコン粒子を取り出すべく、ろ過操作が実施されることとなる。なお、このろ過操作には、従来から公知の手法が、何れも採用され得るものであるが、一般に、ろ過速度及び固液分離能に優れている遠心ろ過装置を用いたろ過操作が、有利に採用される。
このように、酸洗浄処理の終了した金属シリコン粒子に対して、ろ過操作が実施されることにより、前記した酸洗浄処理によって希薄フッ化水素酸中に溶解せしめられた不純物が、分離、除去されることとなるのであるが、本発明にあっては、前述せるように、5μm以上の粒径を有する金属シリコン粒子が対象とされているために、かかるろ過操作において、極めて良好なろ過性が確保され得て、以て、目的とする金属シリコンの精製が、工業的に有利に実施され得るのである。これに対して、金属シリコン粒子中に、5μmよりも小さな粒径の微粒子が存在する場合には、ろ過操作におけるろ過性が著しく悪化するようになるところから、かかる5μmより小さな粒子が存在する金属シリコンにあっては、その精製を工業的に実施することが極めて困難となるのであり、実用上において採用され得るものではないのである。
その後、かかるろ過操作の終了した金属シリコン粒子には、適数回の水洗処理が施されることとなる。この水洗処理により、金属シリコン粒子表面に付着する残フッ化水素酸や不純物が、更に効果的に洗い流されて、得られる金属シリコンの純度が有利に高められ得るのである。ここで使用される洗浄水としては、特に限定されるものではないが、有利には、蒸留やイオン交換等によって得られる純水が、使用されることとなる。
そして、本発明にあっては、かかる水洗処理の際に行われるろ過操作に際しても、上述したように極めて有効なろ過性が確保され得ると共に、金属シリコン粒子の脱水ケーキに対する水の供給に際しても、ケーキに供給された水が、極めて良好に浸透して、ケーキを容易にスラリー状と為し得るのであって、これにより、金属シリコンの精製が、有利に工業的に実施され得ることとなる一方、水洗処理に要する純水の量が効果的に削減され得て、金属シリコンの精製が、経済的に有利に実施され得ることとなるのである。
しかも、本発明にあっては、かかる水洗処理の実施により、金属シリコン粒子中の含有鉄濃度を5ppm以下、含有アルミニウム濃度を120ppm以下、含有カルシウム濃度を7ppm以下、含有ウラン濃度を、1.0ppb以下にまで有利に低減させることが出来るのであって、以て、極めて高純度の金属シリコン粒子を、容易に取得することが出来るのである。そして、そのようなウラン濃度の著しく低減された金属シリコン粒子を、水洗工程から取り出すことによって、ICチップの封止材用フィラー等の原料として有利に使用され得る金属シリコン粒子を、容易に得ることが出来るのである。
その後、上述せる水洗処理が施された後、その水洗処理の終了した金属シリコン粒子には、乾燥操作が施されて、目的とする金属シリコン粒子が取得されるのであるが、その乾燥方法は、何等限定されるものではなく、従来から公知の手法に従って、例えば、真空乾燥機等を用いて行われることとなる。そして、本発明にあっては、上記した極めて良好なろ過性により、ろ過操作の際の固液分離が有効に行われるところから、乾燥に要するエネルギーも効果的に削減され得ることとなり、以て、金属シリコンの精製が、有利に且つ安価に実施され得ることとなる。
以下に、本発明の代表的な実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
−金属シリコン粒子−
含有ウラン濃度:約40ppb、純度:約99%以上の化学工業用の金属シリコン粗粉砕品(株式会社アドマテックス製)を金属シリコン原料として用いて、それを、ボールミル等の粉砕機により、更に機械的に粉砕した。そして、その得られた粉砕物を325メッシュの篩いに掛けることにより、40μm以下の粒径の粒子を有する金属シリコン粉砕物を取り出し、また同様に、100メッシュの篩いに掛けることにより、150μm以下の粒径の粒子を有する金属シリコン粉砕物を取り出した。
次いで、上記のようにして取り出した40μm以下の金属シリコン粒子(粉砕物)又は150μm以下の金属シリコン粒子(粉砕物)から、風力分級機(日本ニューマチック工業株式会社製DS−2型高精度気流分級機)を用いて、それぞれ、5μmより小さな粒径の微粒子を分級除去することにより、5〜40μm又は5〜150μmの粒径を有する金属シリコン粒子(粉砕物)を採取した。
−実施例1−
内面が樹脂コーティングされた、容量:50Lの撹拌機付き円筒容器内に、1wt%のフッ化水素濃度を有する酸洗浄液の36L及びノニオン系消泡剤(株式会社ADEKA製、アデカノールLG−145)の50mLを順に投入し、撹拌混合を行った。そして、その撹拌混合を続けながら、そこに、上述のようにして得た5〜40μmの粒径を有する金属シリコン粒子の12kgを投入した。次いで、室温で15時間、投入された金属シリコン粒子が容器の底に沈降しない程度の速度で撹拌を続けて、浸漬洗浄処理を行う一方、この浸漬処理開始から8時間経過後、終濃度1wt%となるように、5時間かけて、過酸化水素水溶液の連続的添加を行うことにより、金属シリコン粒子に対する酸洗浄を施した。
その後、かかる酸洗浄処理の終了した金属シリコンスラリーを、遠心分離機(タナベウィルテック株式会社製O−15型自動堅型遠心分離機)を用いて遠心脱水を行い、金属シリコン粒子のケーキを得た。
次いで、上記のようにして得られた、前記バスケット内の金属シリコン粒子のケーキに対して、純水を供給した後、純水の供給を止めて、再び脱水運転(ろ過操作)を行い、そしてそれを、それぞれ交互に数回繰り返すことによって、水洗を実施した。
最後に、上記した水洗工程の終了後に得られた金属シリコン粒子のケーキを取り出し、振動真空乾燥機(中央化工機株式会社製VU−5型振動乾燥機)を用いて、130℃の温度、40Torrの圧力下にて乾燥を行い、目的とする金属シリコン粒子を得た。この金属シリコン粒子の精製に要した延べ時間、得られた金属シリコン粒子の収量及び収率を、下記表1に示す。
また、上記のようにして得られた金属シリコン粒子中の不純物を、鉄、アルミニウム、カルシウムについては、株式会社島津製作所製のICP発光分光分析装置(ICP)を用いて、ウランについては、株式会社島津製作所製の誘導結合高周波プラズマ重量分析装置(ICP−MS)を用いて、それぞれの含有率を調べた。その得られた結果を、下記表1に併せて示す。
−実施例2〜7、比較例1−
それぞれ、下記表1に示す粒径を有する金属シリコン粒子(粉砕物)に対して、下記表1に示すフッ化水素濃度、無機強酸濃度、過酸化水素終濃度及びその添加時期に従って酸洗浄処理を行った以外は、実施例1と同様の手順で、金属シリコン粒子の精製を行った。金属シリコン粒子の精製に要した延べ時間、得られた金属シリコン粒子の収量及び収率を、下記表1に示す。また、得られた金属シリコン粒子中の不純物について、実施例1と同様にして、その含有率を調べた。それらの結果を、下記表1に併せて示す。
Figure 0004863887
かかる表1の結果から明らかなように、本発明に従って、希薄フッ化水素酸及び過酸化水素による酸洗浄処理を行った実施例1〜7にあっては、金属シリコン粒子の精製を、工業的に実施しつつ、得られた金属シリコン粒子中の不純物の含有量を、希薄フッ化水素酸のみの酸洗浄処理を行った比較例1に比して、高度に低減することが出来、特にウラン濃度を、1.0ppb以下とすることが出来た。また、それら実施例の中でも、希薄フッ化水素酸に無機強酸を加えたものにおいては、更にその洗浄乃至は精製効果が向上することが認められるのである。一方、希薄フッ化水素酸のみの酸洗浄処理を行った比較例1にあっては、実施例1〜7に比して、不純物を充分に取り除くことが出来ず、ウランについては、2.0ppb程度の精製に止まった。

Claims (7)

  1. 不純物を含む金属シリコンを細かく粉砕した後、その粉砕物から5μmより小さな粒径の微粒子を分級除去することにより、5μm以上の粒径の金属シリコン粒子を採取し、次いでこの微粒子の除去された金属シリコン粒子を希薄フッ化水素酸中に浸漬する一方、該希薄フッ化水素酸に過酸化水素を添加せしめて、酸洗浄処理を実施し、更にその後、水洗して、乾燥することを特徴とする金属シリコンの精製方法。
  2. 前記金属シリコンの粉砕が、150μm以下の粒径の粒子を与えるように実施されることを特徴とする請求項1に記載の金属シリコンの精製方法。
  3. 前記金属シリコンの粉砕が、50μm以下の粒径の粒子を与えるように実施されることを特徴とする請求項1に記載の金属シリコンの精製方法。
  4. 前記希薄フッ化水素酸が、1〜3重量%のフッ化水素濃度を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の金属シリコンの精製方法。
  5. 前記過酸化水素の添加総量が、前記希薄フッ化水素酸中において、0.5重量%以上の濃度となるように調整されることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一つに記載の金属シリコンの精製方法。
  6. 前記希薄フッ化水素酸に対して、無機強酸が更に添加されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一つに記載の金属シリコンの精製方法。
  7. 前記無機強酸が、前記希薄フッ化水素酸中において1〜3重量%の濃度となるように添加せしめられることを特徴とする請求項6に記載の金属シリコンの精製方法。
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