JP2008049935A - 車体前部構造 - Google Patents

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幸一郎 島田
Keiichiro Shibata
恵一郎 柴田
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礼治 菊池
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嘉男 福島
Kazumasa Kondo
和真 近藤
Naomi Yamamoto
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Abstract

【課題】フロントバンパフェイシャの開口部を拡大することなく熱交換機の冷却能力を向上させることができる車体前部構造を提供する。
【解決手段】下方仕切り板21の略水平方向に広がる板状の上面部21aの下面には、車幅方向に延び、車両前方を向くフィン21bが下方へ突出して形成されている。そして、上面部21aにおけるフィン21bの直前方の部位を略上下方向に貫通する導風開口部21dを設けて空気通路を構成している。
【選択図】図7

Description

本発明は、自動車の車体前部構造、より詳しくは、自動車に設けられる熱交換器に冷却用空気を導くための熱交換器冷却構造に関し、自動車の車体構造の技術分野に関する。
一般に自動車にはエンジン冷却水を冷却するためのラジエータが備えられている。ラジエータは例えば、エンジンルームの車両前部にその形状に合わせた方形枠状のファンシュラウドにより保持された状態で設置され、前端に位置するフロントバンパフェイシャの開口部から導入される走行風により冷却されるようになっている。
ところで、車体の前端部には歩行者保護のための足払い部材と称される衝撃吸収部材が設けられることがあり、ファンシュラウドの下端部から車両前方へ向けてフロントバンパフェイシャの下端部まで延出するように一体的に設けた下壁部を、衝撃吸収部材として用いると共に前記開口部から取り入れた走行風をラジエータに導く案内部材としても用いることが特許文献1に開示されている。
特開2004−249816号公報
しかし、前記特許文献1に記載の車体前部構造においては、衝撃吸収部材(下壁部)の上方を流れる走行風はラジエータへ良好に導入できるようになるが、衝撃吸収部材の下方を流れる走行風については該衝撃吸収部材に遮られてラジエータへ導入できないので、例えばエンジンの大型化に伴ってラジエータの冷却能力を向上させたくても、十分な走行風を確保できないという問題がある。これを解決する手段としては、例えば前記開口部を拡大することが考えられるが、車体デザインの自由度が損なわれるという不都合が生じる。
そこで本発明は、フロントバンパフェイシャの開口部を拡大することなく熱交換器の冷却能力を向上させることができる車体前部構造を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のように構成したことを特徴とする。
本願の請求項1に記載の発明は、走行風を導入する開口部を有するフロントバンパフェイシャと、該開口部の後方に設けられた熱交換器と、該熱交換器を保持する方形枠状のシュラウドと、前端部が前記フロントバンパフェイシャの下端部近傍に位置し、後端部が前記シュラウドの下端部近傍に取り付けられる衝撃吸収部材とを有する車体前部構造であって、前記衝撃吸収部材には、該衝撃吸収部材の下方を通過する走行風を該衝撃吸収部材の上方へ通過させる空気通路が設けられていることを特徴とする。
本願の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記空気通路は、走行風が車両後方へ進むにつれて前記衝撃吸収部材の下端部から上昇するように形成されることを特徴とする。
本願の請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記衝撃吸収部材は、略水平方向に広がる板状の上面部を有すると共に、該上面部の下面には、車幅方向に延び、車両前方を向くフィンが、下方へ突出して形成されており、前記空気通路は、前記上面部における前記フィンの直前方の部位を略上下方向に貫通する孔により構成されることを特徴とする。
本願の請求項4に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記衝撃吸収部材は、略水平方向に広がる板状の上面部を有すると共に、該上面部の下面には、車両前後方向に延び、車幅方向を向くリブが、車幅方向に複数並設された状態で下方へ突出して形成されており、前記空気通路は、前記上面部における前記リブの間の部位を略上下方向に貫通する孔により構成されており、該孔に走行風を導くダクト構造が前記リブの間に設けられていることを特徴とする。
本願の請求項5に記載の発明は、請求項3又は請求項4に記載の発明において、前記衝撃吸収部材の上面部の前端部の下面には、車両前方を向く前面部が下方に突出して形成されていると共に、該前面部には、車両前後方向に貫通する孔が設けられていることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、前記衝撃吸収部材には、該衝撃吸収部材の下方を通過する走行風を該衝撃吸収部材の上方へ通過させる空気流路が設けられているので、衝撃吸収部材の上方を流れる走行風だけでなく、衝撃吸収部材に設けられた空気流路を介して前記衝撃吸収部材の下方を流れる走行風についても熱交換器に導くことができ、フロントバンパフェイシャの開口部を拡大することなく、熱交換器の冷却性能を向上させることができる。
請求項2に記載の発明によれば、空気通路は走行風が車両後方へ進むにつれて前記衝撃吸収部材の下端部から上昇するように形成されているので、衝撃吸収部材の下方を流れる走行風が該衝撃吸収部材に設けられた空気流路を介して該衝撃吸収部材の上方に滑らかに導かれることになる。即ち、衝撃吸収部材の下方を流れる走行風が上方へ流れ込みやすくなり、熱交換器の冷却性能を一層向上させることができる。
請求項3に記載の発明によれば、衝撃吸収部材の上面部の下面には、車幅方向に延び、車両前方を向くフィンが、下方へ突出して形成されており、空気通路は、前記上面部における前記フィンの直前方の部位を略上下方向に貫通する孔により構成されているので、該衝撃吸収部材の下方を流れる走行風がフィンによって前記孔(空気通路)まで誘導されることとなる。つまり走行風が衝撃吸収部材の上方に導かれやすくなり、熱交換器の冷却性能がより一層向上することとなる。
請求項4に記載の発明によれば、衝撃吸収部材の上面部の下面には、車両前後方向に延び、車幅方向を向くリブが、車幅方向に複数並設された状態で下方へ突出して形成されており、空気通路は、前記上面部における前記リブの間の部位を略上下方向に貫通する孔により構成されており、走行風を該孔に導くダクト構造が前記リブの間に設けられているので、衝撃吸収部材の下方を流れる走行風がダクト構造により、前記孔(空気通路)まで良好に誘導されることとなる。つまり、衝撃吸収部材の剛性を強化するリブ間の空間を有効利用して、ダクト構造を設けることができる。
請求項5に記載の発明によれば、衝撃吸収部材の上面部の前端部の下面には、車両前方を向く前面部が下方に突出して形成されていると共に、該前面部には、車両前後方向に貫通する孔が設けられているので、衝撃吸収部材の下方を流れる走行風に比べて比較的風圧の高い走行風を前記貫通する孔を介して空気通路に導入することができ、その結果、熱交換器の冷却性能を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態に係る車体前部構造について説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る自動車の前部を上方から見た斜視図、図2は図1と同状態においてバンパフェイシャを分離した状態で車体前部内部を上方から見た斜視図、図3は同自動車の前部を下方から見た斜視図、図4は同自動車の正面図、図5は図4のA−A断面図、図6は図5のB−B端面図、図7は本発明の実施の形態に係る要部斜視図である。
図2及び図5に示すように、この自動車1の車体前部構造は、主たる構造体として、車体前部の左右の側部において前後に延びるフロントサイドフレーム2,2と、左右のサスタワー3,3の上部から前方に延びるエプロンレイン4,4と、左右のフロントサイドフレーム2,2の前端部にクラッシュカン5,5を介して固定され、フロントバンパ30の骨格を構成するフロントバンパレインフォースメント6(以下適宜、フロントバンパレイン6という)とを有すると共に、図1に示すように、車体前部の外表面を構成する部材として、車体前部の上面を構成するボンネットフード7と、車体前端部の外表面でかつフロントバンパ30の外表面を構成するフロントバンパフェイシャ8と、車体の左右の側部の外表面を構成するフロントフェンダパネル9,9(図1においては一方のみ図示されている)とを有しており、これらの外表面を構成する部材の内側の空間が、エンジン10等を収容するエンジンルーム11として構成されている。
エンジンルーム11には、エンジン10以外に、図3にも示すように、変速機12や、エンジン補機13等が収容されていると共に、エンジン10の前方に、図5及び図6に示すように、エンジン10の冷却水を冷却するためのラジエータ14が配設されている。ラジエータ14は、コンデンサ14a、ラジエータ本体14b、ラジエータファン14c、ファンカバー14d等で構成され、シュラウド15に固定されている。
シュラウド15は、図2、図5及び図6に示すように、ラジエータ14の左右の端部が固定される左右の縦辺部15a,15aと、下端部が固定される下辺部15bと、上端部が固定される上辺部15cとを有し、正面視で略四角形の枠状とされている。また、上辺部15cの左右両端部から外方後方に延びる固定アーム部15d,15dを有し、該固定アーム部15d,15dの先端部が、前記エプロンレイン4,4の前端部に固定されている。なお、図示しないが、左右の縦辺部15a,15aもフロントバンパレイン6に対して固定されている。上辺部15cには、エンジン10の吸気ダクト1aが挿通される孔部15gが形成されている。
エンジン10は、ターボチャージャ付きのエンジンであり、ターボチャージャにより圧縮されて高温となった吸気を冷却するためのインタークーラ16が、エンジンルーム11における車幅方向一端側に配設されている(図2、図5参照)。インタークーラ16は、種々の取付方法が可能であるが、本実施の形態においては、図示しない取付部材を介してフロントサイドフレーム2,2に固定されている。なお、本発明は、ターボチャージャを有さないエンジンに対しても適用可能である。
バンパ30は、前述のフロントバンパフェイシャ8及びフロントバンパレイン6以外にも、衝撃緩和部材17と、前記フロントバンパレイン6の前面側を覆うバンパレインカバー18とを有している。
フロントバンパレイン6は、断面ハット状の前面側部材6aと板状の後面側部材6bとを接合してなる車幅方向に延びる閉断面体であり、安全基準等において定められた前突時の衝撃に耐え得る強度を達成可能なように上下方向に所定の幅を有している。
衝撃緩和部材17は、前突時に歩行者等の被衝突体へ加わる衝撃を吸収して和らげるためのものであり、例えば発砲樹脂材で構成され、フロントバンパフェイシャ8の内面とフロントバンパレイン6の前面側部材6aとの間に配され、フロントバンパレイン6の前面側部材6aに固定されている。また、衝撃緩和部材17は、断面略矩形状とされており、高さ方向(上下)幅がフロントバンパレイン6の前面側部材6aの高さ方向幅よりも小さくされている。
フロントバンパフェイシャ8は、車体の前端部外表面の比較的広い範囲を構成している。そして、該フェイシャ8の車幅方向中央部には、エンジンルーム11内に走行風を導入する横長の開口部8a(以後、中央開口部8aという)が形成されている。また、フロントバンパフェイシャ8には、中央開口部8aの左右側方にも、開口部8b,8bが形成されている(以後、側方開口部8bという)。この側方開口部8bは、図4に示すように、車両正面視で、インタークーラ16に重なる位置に設けられており、主としてインタークーラ16に走行風を供給するために設けられている。なお、デザイン上、インタークーラ16が設けられていない車幅方向で対称な位置にも、側方開口部8bが設けられている。
ここで、本実施の形態に係る自動車1においては、図4に明確にあらわれているように、フロントバンパレイン6が、フロントバンパフェイシャ8の中央開口部8aを車幅方向に横切っており、その結果、中央開口部8aの有効開口面積が減少し、ラジエータ14への冷却用空気の供給量が少なくなるという問題がある。そこで、本実施の形態においては、フロントバンパフェイシャ8の中央開口部8aから導入した走行風をラジエータ14へ効果的に導くための第1導風構造を設けると共に、後述する下方仕切り板21の下方を流れる走行風をラジエータ14へ効果的に導くための第2導風構造を設けている。
まず、第1導風構造は、後端部がシュラウド15の左右の縦辺部15a,15aに固定され、前端部が車両前後方向においてバンパレイン6の前面近傍に位置する左右の側方仕切り板20,20と、後端部がシュラウド15の下端部近傍にある下辺部15bに固定され、前端部がフロントバンパフェイシャ8の下端部近傍に固定され、いわゆる足払い部材(車体前部に衝突した歩行者の脚部保護のための部材)を兼ねたほぼ水平な下方仕切り板21とを有している。下方仕切り板21の後端部の固定について更に詳しく説明すると、図7に示すように、下方仕切り板21の後端部は車幅方向端部近傍と車幅方向略中央部に固定部材21eが設けられ、これらは左右の縦辺部15aの下辺部15b近傍と下辺部15bの車幅方向略中央部から上方へ延出して設けられた固定部材保持部15eに固定されている。固定方法は、ネジ止めでも良く、リベット止めや溶接で固定しても良い。また、シュラウド15には、フロントバンパフェイシャ8の中央開口部8aの上縁部とほぼ同じ高さ位置で上辺部15cから前方に延び、平面視で扇形状の上方仕切り板部15fが設けられていると共に、フロントバンパフェイシャ8には、中央開口部8aの上縁部から後方に延び、後縁部が前記仕切り板部15fの前縁部に対応する形状とされた横面部8cが設けられており、該横面部8cの後端部と上方仕切り板部22の前端部とが突き合わされている。そして、これらの仕切り板20,20,21及び仕切り板部15f並びに横面部8cにより中央開口部8aとラジエータ14とを前後に連結するダクト状の第1導風構造が構成されている。
また、バンパレインカバー18は、図6に示すように、概ね前方を向いた前面部18aと、該前面部18aの上端から後方に延びる上面部18bと、前面部18aの下端から後方に延びる下面部18cとを有し、衝撃緩和部材17とバンパレイン6との間に生じた段差Xを覆っている。その場合に、上面部18bは後方側ほど高くなっており、一方フロントバンパフェイシャ8の横面部8c及びシュラウド15の上方仕切り板部15fはほぼ水平であるので、これにより、上部流路F1の上下幅が後方側ほど狭まっている。また、下面部18cは後方側ほど低くなっており、一方下方仕切り板21はほぼ水平であるので、下部流路F2の上下幅が後方側ほど狭まっている。つまり、上部流路F1及び下部流路F2の流路断面積が後方側ほど小さくなっている。
図6及び図7に示すように、下方仕切り板21の上面部21aの下面から車両上下方向の下方へ突出するように複数のフィン21b…21bが設けられている。これらのフィン21b…21bは各々が車幅方向に延設され、車両前方斜め上方を向き、車両前後方向に略等間隔に並ぶように設けられており、複数の補強用リブとしても機能する。また、下方仕切り板21の上面部21aの下面から下方へ突出する複数のリブ21c…21cが設けられている。これらのリブ21c…21cは前記複数のフィン21b…21bに直交するように設けられると共に、車幅方向に略等間隔に並ぶように設けられている。そして、上面部21aには、複数のフィン21b…21bの直前方の部位を略上下方向に貫通する孔としての複数の導風開口21d…21dが車幅方向に所定間隔で設けられている。前記複数のフィン21b…21bと複数の導風開口21d…21dとにより第2導風構造が構成される。
なお、前記第2導風構造は前記態様に限定されず、少なくとも複数の導風開口21d…21dを有した構造であれば、後述する空気通路としての作用を奏することができる。
次に、本実施の形態に係る車体前部構造の作用効果について説明する。
まず、第2導風構造による作用について説明すると、下方仕切り板21は、上面部21aの下面に複数のフィン21b…21b及び複数のリブ21c…21cを有しているので、衝撃吸収部材として車両前方からの衝撃を良好に吸収することができる。
また、下方仕切り板21の上面部21aには、複数のフィン21b…21bと複数の導風開口21d…21dとが設けられているので、図6の矢印に示すように下方仕切り板21の下方を通過する走行風は、これらのフィン21b…21bにより上方へ導かれ、上面部21aにおける該フィン21b…21bの直前方に設けられている複数の導風開口21d…21d(空気通路)を介して下方仕切り板21の上方へ通過してラジエータ14に到達することとなる。従って、発明が解決しようとする課題の欄において説明したように、例えばエンジンの大型化に伴ってラジエータの冷却能力を向上させたくても、従来は衝撃吸収部材の下方を流れる走行風については該衝撃吸収部材に遮られてラジエータへ導入できず、十分な走行風を確保できないという問題があったが、本実施の形態に係る第2導風構造においては、衝撃吸収部材に該衝撃吸収部材の下方を通過する走行風を衝撃吸収部材の上方へ通過させる空気通路を広範囲に複数設けているので、その走行風によってラジエータ14の冷却効率が向上するという効果が奏される。
なお、本実施の形態に係る車体前部構造においては、以下のような作用効果も得られる。
即ち図6に示すように、第1導風構造においては、フロントバンパフェイシャ8の横面部8c及びシュラウド15の上方仕切り板部15f、下方仕切り板21、バンパレインカバー18の上面部18b及び下面部18cは、上部流路F1及び下部流路F2の上下幅がそれぞれ後方側ほど狭まるように形成されている、つまり流路断面積が後方側ほど小さくなるように形成されているから、中央開口部8aから流入する走行風の流速が上部流路F1及び下部流路F2を通過することにより上昇することとなる。
ここで、ラジエータ14は走行風にとって通気抵抗体であるため走行風がラジエータ14を通過しにくく、またラジエータ14の周囲は前記ダクト状構造により囲まれているので、ラジエータ14の前方には、エア溜りが生じる。その場合に、エア溜りは、周囲と比べて圧力が高いので、開口部8aから走行風が導入されにくくなっている。したがって、例えばフロントバンパフェイシャ8の中央開口部8aの開口面積を大きくしても、エア溜りに作用する走行風の圧力、すなわちエア溜りへの空気の押し込み能力が同じである限り、冷却能力の向上幅は限られる。また、フロントバンパフェイシャ8の開口部8aの開口面積を広くするということは、理想とするデザインから遠ざかることを意味する。
そこで、本実施の形態においては、前記エア溜りに流入するときの走行風の流速を、前述のように、バンパフェイシャ8前面における走行風の流速よりも速くさせて、その動圧によりエア溜りへ走行風を押し込むようにしたものであり、これにより、バンパフェイシャ8の開口部8aの開口面積を大きくすることなく、熱交換能力の向上が達成されるものである。また、デザインの自由度が担保され、理想とするデザインが実現可能となるものである。
加えて、このような効果をフロントバンパレイン6がフロントバンパフェイシャ8の中央開口部8aを通して前方から丸見えとなるのを防止するためのバンパレインカバー18を利用して達成することができる。
また、図6に示すように、衝撃緩和部材17とフロントバンパレイン6との間に段差Xが生じているが、本実施の形態においては、該段差Xがバンパレインカバー18の上面部18b及び下面部18cにより覆われるので、該段差Xにより走行風の流れが乱されることがない。つまり、走行風がよどんだり流速が低下したりしにくくなる。
なお、上部流路F1及び下部流路F2の両方について流路の上下幅が後方側ほど狭まるように形成したが、一方の流路の上下幅のみについて後方側ほど狭まるように形成してもよい。
次に、本発明の第2の実施の形態に係る車体前部構造について説明する。
図8は本発明の第2の実施の形態に係る自動車の前部を上方から見た斜視図、図9は同自動車の正面図、図10は図9のC−C断面図、図11は本発明の第2の実施の形態に係る要部斜視図である。
なお、前記第1の実施の形態と同一部材については同一部材番号を付し、説明を省略する。また、本実施の形態に係る下方仕切り板22の固定部材22f…22fは、前記第1の実施の形態で述べた固定部材21e…21eと構成・機能が同一であるので、これらの説明についても省略する。本実施の形態では、衝撃吸収部材としての下方仕切り板22の下面に複数のリブ22b…22b,22c…22cを設け、これらのリブ22b…22b,22c…22cによって空気通路としてのダクトを形成している。
図8から図10に示すように、中央開口部8aの下側のフロントバンパフェイシャ8には車両前方からの走行風を導入可能なフロントバンパ導風開口部8c,8cが車幅方向中心の両側に所定間隔を有して一対設けられている。また、図10、図11に示すように、下方仕切り板22の上面部22aの前端部の下面には、車両前方を向く前面部22gが下方に突出して形成されていると共に、該前面部22gにはフロントバンパ導風開口部8c,8cに対応する位置に車両前後方向に貫通する孔としての前端導風開口部22e,22eが設けられている。また、下方仕切り板22の上面部22aの下面から車両上下方向の下方へ突出するように複数のリブ22b…22bが設けられている。これらのリブ22b…22bは車両前後方向に略等間隔に並ぶように設けられている。また、複数のリブ22b…22bと同様に下方仕切り板22の上面部22aの下面から下方へ突出する複数のリブ22c…22cが設けられている。これらのリブ22c…22cは前記複数のリブ22b…22bに直交し、かつ車幅方向に略等間隔に並ぶように設けられている。つまり、複数のリブ22b…22bの各々は、車両幅方向に延び、その面の法線方向が車両前後方向に向くように設けられている。また、複数のリブ22c…22cの各々は、車両前後方向に延び、その面の法線方向が車両幅方向に向くように設けられている。さらに、上面部22aには、前端導風開口部22e,22eの車幅方向端部より外側でかつ該開口部22e,22eに最も近い位置に設けられている左右のリブ22c,22cの間において、略上下方向に貫通する孔としての導風開口部22d,22dが設けられている。なお本実施の形態では、前記左右のリブ22c,22cの間には導風開口部22d,22dが設けられる位置まで車両前後方向に並設されるリブ22b…22bが取り除かれた構造になっており、前記前端導風開口部22e,22e左右のリブ22c,22c及び導風開口部22d,22dによりダクト構造が構成される。
なお、本実施の形態においても前記第1の実施の形態と同様に、前記第2導風構造は前記態様に限定されず、少なくとも複数の導風開口22d,22dを有した構造であれば、後述する空気通路としての作用を奏することができる。
次に、本実施の形態に係る車体前部構造の作用効果について説明する。
まず、第2導風構造による作用について説明すると、下方仕切り板22は、上面部22aの下面に複数のリブ22b…22b及び複数のリブ22c…22cを有しているので、衝撃吸収部材として車両前方からの衝撃を良好に吸収することができる。
また、下方仕切り板22には、前端導風開口部22e,22e、導風開口部22d,22d及び左右のリブ22c,22c等でなるダクト構造が設けられているので、図10の矢印に示すように下方仕切り板22の下端部近傍を通過する走行風は、フロントバンパ導風開口部8c,8cと前端導風開口部22e,22eとを通過してダクト構造体に導入された後、導風開口部22d,22dの後方に設けられたリブ22b,22bにより上方へ導かれ、導風開口部22d,22dを介して衝撃吸収部材の上方へ通過してラジエータ14に到達することとなる。このように、第2導風構造においては、比較的風圧の高い走行風をフロントバンパ導風開口部8c,8cと前端導風開口部22e,22eを介して衝撃吸収部材の上方へ通過させる空気通路を設けているので、その走行風によってラジエータ14の冷却効率が向上する。さらに上記第2導風構造においては、導風開口部22d,22dに導くダクト構造が複数のリブ22c,22cの間に設けられているので、衝撃吸収部材の剛性を強化するリブ間の空間を有効利用して、ダクト構造を設けることができる。
なお、第1導風構造に付いては第1の実施の形態と同一の作用効果が奏される。
また、前記第2の実施の形態では、衝撃吸収部材としての下方仕切り板22にダクトとしての空気通路が一体的に形成された構成となっているが、それに限らず、下方仕切り板22と別体に形成されたダクト部材を用いても良く、この場合は、前記左右のリブ22c、22cの間の空間に前記ダクト部材を配置して構成するようにしても良い。
更に、前記第2の実施の形態では、下方仕切り板22に前端導風開口部22eが形成されているが、本実施の形態に限らず、第1の実施の形態においても設けることができ、前記第2の実施の形態と同一の作用効果が奏される。
本発明は、自動車に設けられるフロントバンパフェイシャとその後方に位置する衝撃吸収部材により、熱交換器に冷却用空気を導く車体前部構造に広く適用することができる。
本発明の実施の形態に係る自動車の前部を上方から見た斜視図である。 図1と同状態においてバンパフェイシャを分離した状態で車体前部内部を上方から見た斜視図である。 同自動車の前部を下方から見た斜視図である。 同自動車の正面図である。 図4のA−A断面図である。 図5のB−B端面図である。 下方仕切り板(衝撃吸収部材)近傍の要部斜視図である。 本発明の第2の実施の形態に係る自動車の前部を上方から見た斜視図である。 同自動車の正面図である。 図9のC−C断面図である。 下方仕切り板(衝撃吸収部材)近傍の要部斜視図である。
符号の説明
1 自動車
8 フロントバンパフェイシャ
8a 中央開口部(開口部)
14 ラジエータ(熱交換器)
15 シュラウド
21,22 下方仕切り板(衝撃吸収部材)
21a 上面部
21b フィン
21d 導風開口部(空気通路、上面部を貫通する孔)
22a 上面部
22c リブ(車両前後方向に延び、車幅方向を向くリブ)
22d 導風開口部(空気通路、上面部を貫通する孔)
22e 前端導風開口部(前面部を貫通する孔)

Claims (5)

  1. 走行風を導入する開口部を有するフロントバンパフェイシャと、該開口部の後方に設けられた熱交換器と、該熱交換器を保持する方形枠状のシュラウドと、前端部が前記フロントバンパフェイシャの下端部近傍に位置し、後端部が前記シュラウドの下端部近傍に取り付けられる衝撃吸収部材とを有する車体前部構造であって、
    前記衝撃吸収部材には、該衝撃吸収部材の下方を通過する走行風を該衝撃吸収部材の上方へ通過させる空気通路が設けられていることを特徴とする車体前部構造。
  2. 前記請求項1に記載の車体前部構造において、
    前記空気通路は、走行風が車両後方へ進むにつれて前記衝撃吸収部材の下端部から上昇するように形成されていることを特徴とする車体前部構造。
  3. 前記請求項1又は請求項2に記載の車体前部構造において、
    前記衝撃吸収部材は、略水平方向に広がる板状の上面部を有すると共に、該上面部の下面には、車幅方向に延び、車両前方を向くフィンが、下方へ突出して形成されており、
    前記空気通路は、前記上面部における前記フィンの直前方の部位を略上下方向に貫通する孔により構成されることを特徴とする車体前部構造。
  4. 前記請求項1又は請求項2に記載の車体前部構造において、
    前記衝撃吸収部材は、略水平方向に広がる板状の上面部を有すると共に、該上面部の下面には、車両前後方向に延び、車幅方向を向くリブが、車幅方向に複数並設された状態で下方へ突出して形成されており、
    前記空気通路は、前記上面部における前記リブの間の部位を略上下方向に貫通する孔により構成されており、該孔に走行風を導くダクト構造が前記リブの間に設けられていることを特徴とする車体前部構造。
  5. 前記請求項3又は請求項4に記載の車体前部構造において、
    前記衝撃吸収部材の上面部の前端部の下面には、車両前方を向く前面部が下方に突出して形成されていると共に、該前面部には、車両前後方向に貫通する孔が設けられていることを特徴とする車体前部構造。
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