JP2007091061A - 車両の前端構造 - Google Patents

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【課題】熱交換器の冷却能力を向上させることができる車両の前端構造を提供する。
【解決手段】エンジン5が搭載されたエンジンルーム5a内に配置され、空気と熱媒体との熱交換を行う熱交換器1、2と、熱交換器1、2が組み付けられるフロントエンドパネル3とを備える車両の前端構造であって、フロントエンドパネル3の周囲に、車両前方側に突出し、エンジンルーム5a内の熱気が熱交換器1、2の前面側に回り込むことを防止するとともに、車両前方側に存在する空気を熱交換器1、2に導くダクト部材11、12、13を設け、ダクト部材の車両下方側は、車両と歩行者との衝突時に歩行者の足を払う突出部材13を構成し、突出部材13に、車両上下方向に貫通する開口部13aを形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両の車体前端部を構成する車両の前端構造に関する。
車両に搭載されるラジエータやコンデンサ等の熱交換器は、車両前端側から空気を導入して冷却水や冷媒等の流体を冷却するものであるが、車両停止時や車両速度が小さい場合には、エンジンにて加熱されたエンジンルーム内の熱気が熱交換器(車両)の前面側に回り込んでしまい、熱交換器の冷却能力が低下するという問題があった。
この問題に対して、熱交換器周り(上下左右)のフロントエンドパネルから車両前方側に突出するダクトを設けて、熱交換器への熱気回り込みを防止する方法が提案されている。
しかしながら、上記方法において、熱交換器の周囲を完全にダクト化すると、通風経路が狭められるため通風抵抗が増加する。このため、熱交換器を通過する冷却風が減少し、熱交換器の冷却能力が低下するという問題がある。
本発明は、上記点に鑑み、熱交換器の冷却能力を向上させることができる車両の前端構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、エンジン(5)が搭載されたエンジンルーム(5a)内に配置され、空気と熱媒体との熱交換を行う熱交換器(1、2)と、熱交換器(1、2)が組み付けられるフロントエンドパネル(3)とを備える車両の前端構造であって、フロントエンドパネル(3)の周囲には、車両前方側に突出し、エンジンルーム(5a)内の熱気が熱交換器(1、2)の前面側に回り込むことを防止するとともに、車両前方側に存在する空気を熱交換器(1、2)に導くダクト部材(11、12、13)が設けられており、ダクト部材の車両下方側は、車両と歩行者との衝突時に歩行者の足を払う突出部材(13)を構成しており、突出部材(13)には、車両上下方向に貫通する開口部(13a)が形成されていることを第1の特徴としている。
これにより、突出部材(13)の開口部(13a)から熱交換器(1、2)の前面側に空気を取り入れることができるため、熱交換器(1、2)の周囲をダクト化することによる冷却風量の減少を抑制し、熱交換器(1、2)の冷却能力を向上させることが可能となる。
また、本発明は、突出部材(13)には、開口部(13a)の対向する内壁同士を接続する補強部材(13b)が設けられていることを第2の特徴としている。
これにより、突出部材(13)の強度を確保することができるため、歩行者の足を払う機能と熱交換器(1、2)の冷却効率の向上とを両立させることが可能となる。
また、本発明は、エンジンルーム(5a)の車両下方側を覆うアンダーカバー(14)を備えており、アンダーカバー(14)における開口部(13a)に対応する部位には貫通孔(14a)が形成されており、アンダーカバー(14)とフロントエンドパネル(3)との間には、所定の隙間(15)が設けられており、隙間(15)は、突出部材(13)の開口部(13a)より車両後方側においてアンダーカバー(14)側に設けられた第1の壁部(13c)と、アンダーカバー(14)の貫通孔(14a)より車両後方側においてフロントエンドパネル(3)側に設けられた第2の壁部(14b)とによって構成された迷路構造を有していることを第3の特徴としている。
なお、「迷路構造」とは、周知のごとく、通路の入口側から出口側までに至る部位に、通路が屈曲する部位を少なくとも一カ所設けることにより、通路を流通する流体が直線的に流通することができないようにしたものである。
このように、アンダーカバー(14)とフロントエンドパネル(3)との隙間(15)に迷路構造を構成することで、熱交換器(1、2)前面側への熱気回り込みを防止することができる。このため、熱交換器(1、2)の冷却能力を向上させることが可能となる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1〜図6に基づいて説明する。図1は本第1実施形態に係る車両の前端構造を示す断面図で、図2は本第1実施形態に係る車両の前端構造を示す平面図で、図3は本第1実施形態に係る熱交換器1、2およびフロントエンドパネル3を示す斜視図である。
図1〜図3に示すように、本第1実施形態のコンデンサ1とラジエータ2は、共通のフロントエンドパネル3内に組み込まれて、送風機4とともに一体の組立構造体、すなわち、クーリングモジュールを構成している。なお、フロントエンドパネル3は、コンデンサ1およびラジエータ2の周囲を支持するとともにコンデンサ1およびラジエータ2を通過する空気流をガイドするものである。なお、コンデンサ1およびラジエータ2をまとめて熱交換器1、2ともいう。
コンデンサ1は、冷凍サイクル(図示せず)内を循環する冷媒と外気とを熱交換して冷媒を冷却する熱交換器である。また、ラジエータ2は、エンジン冷却水と外気とを熱交換してエンジン冷却水を冷却する熱交換器である。なお、冷媒およびエンジン冷却水が、本発明の熱媒体に相当している。
なお、図1および図2ではコンデンサ1およびラジエータ2の具体的構成の図示を省略しているが、コンデンサ1およびラジエータ2は、周知のごとく扁平チューブとコルゲートフィンとの組み合わせからなる熱交換コア部と、熱交換コア部の扁平チューブに対して冷媒または冷却水の分配、集合の役割を果たすタンク部とを備えている。
コンデンサ1におけるタンク部は、通常、熱交換コア部の左右両側に配置されている。これに対し、ラジエータ2におけるタンク部は、与えられる配置スペースの形態に応じて熱交換コア部の上下両側あるいは左右両側に配置されている。
フロントエンドパネル3は、熱交換器1、2等が組み付け固定されるもので、文献によってはキャリアまたはラジエータサポートとも呼ばれる。また、フロントエンドパネル3は、上方側に位置して水平方向に延びる上方側梁部材3a、下方側に位置して水平方向に延びる下方側梁部材3b、および上下方向に延びて両梁部材3a、3bを連結する支柱部3cからなる矩形枠状のパネル本体部を有している。
フロントエンドパネル3には、ファンシュラウド3dが一体に成形されている。ファンシュラウド3dは、熱交換器1、2に空気を送風する送風機4とラジエータ1との隙間を閉塞して送風機4にて誘起された空気流が熱交換器を迂回して流れることを防止する機能と、送風機4を支持する機能とを有している。
コンデンサ1は、フロントエンドパネル3のうち最上流部(最前方部)に配置され、コンデンサ1の下流側にラジエータ2が配置されている。また、ラジエータ2の下流側(最下流部)に、送風機4が配置されている。
そして、熱交換器1、2は、このフロントエンドパネル3を介して車両ボディに組み付けられるようになっている。本第1実施形態では、熱交換器1、2は車両の前端部、換言すると、エンジン5が搭載されるエンジンルーム5aの前端部においてバンパーリーンフォース6の車両後方側に搭載されている。
ここで、バンパーリーンフォース6とは、車両の前端部にて車両幅方向に延びて車両前面側からの衝突力を吸収する梁状のもので、通常、金属にて断面矩形状に形成されている。バンパーリーンフォース6の車両幅方向の左右両端部は応力吸収部(図示せず)を介して車両ボディのサイドメンバー7に連結される。この応力吸収部は、一般にクラッシュボックスと称され、衝突力により容易に変形可能な部材である。なお、図2おいて、バンパーリーンフォース6の図示は省略している。
このバンパーリーンフォース6の前面側には樹脂製の意匠部品としてのバンパーカバー6aが配置され、このバンパーカバー6aによりバンパーリーンフォース6の前面側を覆うようになっている。なお、バンパーカバー6aは、後述する突出部材13の前面側にも設けられており、突出部材13の前面側を覆うようになっている。
エンジン5、ラジエータ1等が搭載されるエンジンルーム5aの上方側開口部は、蓋部材をなすエンジンフード(ボンネット)8によって閉塞されている。
バンパーリーンフォース6の上方側および下方側には、それぞれ車両前方開口部9、10が設けられている。上方側の第1の車両前方開口部9および下方側の第2の車両前方開口部10は熱交換器1、2の冷却空気を導入するためのものである。
図1に示すように、フロントエンドパネル3における上方側梁部材3aには、車両前方側に突出する上方ダクト11が設けられている。同様に、図2に示すように、フロントエンドパネル3における支柱部3cにも、車両前方側に突出する側方ダクト12がそれぞれ設けられている。
図1および図3に示すように、フロントエンドパネル3における下方側梁部材3bには、その車両後方側の端部が支持された突出部材13が設けられている。突出部材13は、車両幅方向全幅に渡るように構成され、ポリプロピレン、ポリエチレンあるいはABS樹脂などの合成樹脂により形成されている。また、突出部材13は、車両と歩行者との衝突時において、歩行者の足を払い、歩行者をエンジンフード8の上部に乗せて保護するための足払い機能を有している。
これらのダクト11、12および突出部材13は、エンジンルーム5aの熱気がフロントエンドパネル3と車両ボディとの隙間から熱交換器1、2の前面側に回り込むことを防止するとともに、車両前方側に存在する新気(熱気が混入していない空気)を熱交換器1、2に導くようになっている。なお、上方ダクト11、側方ダクト12および突出部材13が、本発明のダクト部材に相当している。
突出部材13には、車両上方側から下方側に開口する開口部13aが設けられている。この開口部13aから熱交換器1、2前面側に空気を取り入れることができる。開口部13aの長手方向は車両幅方向になっている。
また、突出部材13には、突出部材13の強度を確保するため、開口部13aの短手方向において開口部13aの対向する内壁同士を接続する補強部材13bが複数設けられている。
以上説明したように、突出部材13に開口部13aを設けることで、開口部13aから熱交換器1、2の前面側に空気を取り入れることができる。このため、熱交換器1、2の周囲にダクトを設けることによる冷却風量の減少を抑制することができ、熱交換器1、2の冷却能力を向上させることが可能となる。
ここで、熱交換器1、2の周囲のダクトに開口部を設ける場合において、開口部の位置とエンジンルーム5aからの熱気回り込みの影響との関係について検討する。なお、ここでは突出部材13が熱交換器1、2下方側のダクトの役割をする。
熱交換器1、2上方側に開口部を設ける場合、図4に示すように、エンジンルーム5a内の熱気は、エンジンフード8と上方側梁部材3aとの隙間から熱交換器1、2の前面側に直接回り込む。同様に、熱交換器1、2側方に開口部を設ける場合、図5に示すように、エンジンルーム5a内の熱気は、熱交換器1、2の車両幅方向端部と支柱部3cとの隙間から熱交換器1、2の前面側に直接回り込む。
一方、熱交換器1、2下方側に開口部を設ける場合、図6に示すように、エンジンルーム5a内の熱気は、一旦エンジンルーム5aから排出され、地表を伝わり熱交換器1、2の前面側に回り込む。この場合、他の場合と比較して、熱気が熱交換器1、2前面側に回り込むまでの経路が長くなり、熱気の量が少なくなる。したがって、エンジンルーム5aから回り込む熱気が熱交換器1、2の冷却性能に与える影響は小さい。
よって、本第1実施形態のように、熱交換器1、2の下側の突出部材13に開口部13aを設けることで、エンジンルーム5aからの熱気回り込みの影響を最小限に抑えることができる。
また、突出部材13に開口部13aの対向する内壁同士を接続する補強部材13bを設けることで、突出部材13の強度を保つことができるため、足払い機能と熱交換器1、2の冷却効率の向上とを両立させることが可能となる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図7および図8に基づいて説明する。上記第1実施形態と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。本第2実施形態は、アンダーカバー14が設けられている車両に本発明を適用したものである。
図7は、本第2実施形態の車両の前端構造を示す拡大断面図である。図7に示すように、エンジンルーム5aの下方側はアンダーカバー14により概略覆われている。アンダーカバー14の車両前方側の先端は、バンパーカバー6aと突出部材13との間に入り込むように配置されている。また、フロントエンドパネル3の下方側梁部材3bとアンダーカバー9との間には、所定の隙間15が設けられている。
アンダーカバー14における開口部13aに対応する部位には、貫通孔14aが設けられており、この貫通孔14aおよび突出部材13の開口部13aから空気を熱交換器1、2前面側に取り入れることができるようになっている。なお、本第2実施形態では、アンダーカバー14における貫通孔14aより車両前方側の部位を前方側アンダーカバー141といい、開口部より車両後方側の部位を後方側アンダーカバー142という。
突出部材13における開口部13aの車両後方側には、アンダーカバー14側(車両下方側)に延びる第1の壁部13cが設けられている。また、後方側アンダーカバー142における車両前方側の先端には、フロントエンドパネル3側(車両上方側)に延びる第2の壁部14bが設けられている。これらの壁部13c、14bの先端は、互いに反対方向に断面L字状に屈曲している。そして、これらの壁部13c、14bの先端同士がかみ合うことによって、迷路構造が構成されている。
車両にアンダーカバー14を設ける場合において上記第1実施形態の構成を適用すると、図8に示すように、エンジンルーム5a内の熱気が、フロントエンドパネル3とアンダーカバー14との隙間15を通って熱交換器1、2の前面側に回り込み、熱交換器1、2の冷却能力が低下するおそれがあった。
これに対し、本第2実施形態では、フロントエンドパネル3とアンダーカバー14との隙間15に迷路構造を構成することで、熱交換器1、2の前面側への熱気回り込みを防止することができる。このため、熱交換器1、2の冷却能力を向上させることが可能となる。
第1実施形態に係る車両の前端構造を示す断面図である。 第1実施形態に係る車両の前端構造を示す平面図である。 第1実施形態に係る熱交換器1、2およびフロントエンドパネル3を示す斜視図である。 熱交換器1、2上方に開口部を設けた車両の前端構造における熱気の流れを示す断面図である。 熱交換器1、2側方に開口部を設けた車両の前端構造における熱気の流れを示す平面図である。 第1実施形態に係る車両の前端構造における熱気の流れを示す断面図である。 第2実施形態の車両の前端構造を示す拡大断面図である。 アンダーカバー14が設けられている車両に第1実施形態の構成を適用した車両の前端構造を示す拡大断面図である。
符号の説明
1…コンデンサ(熱交換器)、2…ラジエータ(熱交換器)、3…フロントエンドパネル、11…上方ダクト(ダクト部材)、12…側方ダクト(ダクト部材)、13…突出部材、13a…開口部、13b…補強部材、13c…第1の壁部、14…アンダーカバー、14a…貫通孔、14b…第2の壁部。

Claims (3)

  1. エンジン(5)が搭載されたエンジンルーム(5a)内に配置され、空気と熱媒体との熱交換を行う熱交換器(1、2)と、前記熱交換器(1、2)が組み付けられるフロントエンドパネル(3)とを備える車両の前端構造であって、
    前記フロントエンドパネル(3)の周囲には、車両前方側に突出し、前記エンジンルーム(5a)内の熱気が前記熱交換器(1、2)の前面側に回り込むことを防止するとともに、車両前方側に存在する空気を前記熱交換器(1、2)に導くダクト部材(11、12、13)が設けられており、
    前記ダクト部材の車両下方側は、車両と歩行者との衝突時に歩行者の足を払う突出部材(13)を構成しており、
    前記突出部材(13)には、車両上下方向に貫通する開口部(13a)が形成されていることを特徴とする車両の前端構造。
  2. 前記突出部材(13)には、前記開口部(13a)の対向する内壁同士を接続する補強部材(13b)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両の前端構造。
  3. 前記エンジンルーム(5a)の車両下方側を覆うアンダーカバー(14)を備えており、
    前記アンダーカバー(14)における前記開口部(13a)に対応する部位には貫通孔(14a)が形成されており、
    前記アンダーカバー(14)と前記フロントエンドパネル(3)との間には、所定の隙間(15)が設けられており、
    前記隙間(15)は、前記突出部材(13)の前記開口部(13a)より車両後方側において前記アンダーカバー(14)側に設けられた第1の壁部(13c)と、前記アンダーカバー(14)の前記貫通孔(14a)より車両後方側において前記フロントエンドパネル(3)側に設けられた第2の壁部(14b)とによって構成された迷路構造を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の車両の前端構造。
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