JP2008041253A - 電極触媒およびそれを用いた発電システム - Google Patents

電極触媒およびそれを用いた発電システム Download PDF

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Abstract

【課題】発電性能を維持しながら、電極触媒劣化を抑制しうる電極触媒を提供する。
【解決手段】平均結晶子径が1〜4nmである触媒金属粒子が、ラマン分光により測定されたD−バンドピーク強度IおよびG−バンドピーク強度Iの強度比R=I/Iが0.9〜1.2である炭素材料に担持されてなることを特徴とする電極触媒。
【選択図】なし

Description

本発明は、電極触媒に関し、より詳しくは、高活性で耐久性に優れる電極触媒に関する。
近年、エネルギー・環境問題を背景とした社会的要求や動向と呼応して、常温でも作動し高出力密度が得られる固体高分子形燃料電池が電気自動車用電源、定置型電源として注目されている。固体高分子形燃料電池は、フィルム状の固体高分子膜からなる電解質層を用い、一般的には、膜−電極接合体(以下、「MEA」とも称する。)をセパレータを介して積層した構造を内蔵している。
MEAは、電解質層がカソードとアノードとにより挟持されてなり、従って、電極触媒層は少なくとも片面が電解質層に接する構造となっている。
従来、カソードおよびアノードともに白金または白金合金等の触媒金属を微細化して、カーボンブラック等の比表面積の大きい炭素担体に高分散担持させた電極触媒が用いられている。かような電極触媒は、触媒金属表面の電極反応面積が大きいため、触媒活性を高くすることができる。
しかし、担体として炭素を用いた場合、電極電位が貴電位環境(約0.8V以上)となると、担体の電気化学的な酸化反応が起こり担体の腐食反応が進行するという問題があった。かような担体の腐食反応は、下記化学式に示すように、水を酸化剤として二酸化炭素を生成する反応が進行する。
これにより、担体が消失し、担体表面に担持されていた触媒金属の遊離・凝集を招く。触媒金属の遊離・凝集は、触媒金属の電極反応面積を低下させ、結果として、触媒活性の低下を招き、電池性能を低下させる要因となる。
一方、アノードにおいて燃料不足が起こった場合、所望の電流密度を保つために燃料の酸化反応に代わって水の電気分解や担体の酸化が発生する。したがって、カソードの場合と同様にアノードにおいても担体が腐食・消失し、触媒金属の遊離・凝集が起こる。
カーボンブラックの腐食を防止して寿命特性を向上させるために、使用するカーボンブラックをあらかじめ高温で熱処理して黒鉛化度を高める方法が従来採用されている。例えば、特許文献1〜4では、熱処理温度が高いほど耐食性が向上するとし、熱処理されたカーボンブラックの結晶化度が規定されている。また、加熱処理する際に、触媒担持炭素に黒鉛化を促進する物質を混合し、低い熱処理温度で炭素の黒鉛化を行い、黒鉛化の前または後で水蒸気等による賦活処理を行なって、寿命が長くしかも触媒貴金属を高分散に担持した触媒もある(特許文献5)。
なお、特許文献6には、電子伝導性、および触媒能力の向上を目的として、結晶子の大きさが1〜20nmである黒鉛の一次粒子凝集体であり、ラマンバンドの強度比が0.4〜1.7である黒鉛凝集体からなるナノ構造化黒鉛が記載されている。
特開2000−268828号公報 特開2001−357857号公報 特開2002−15745号公報 特開2003−36859号公報 特開2000−273351号公報 特開2006−8472号公報
上記特許文献1〜4に記載されているように、カーボンブラックの腐食を防止して寿命特性を向上させるためにカーボンブラックを熱処理する方法によれば、熱処理温度が高いほどカーボンブラックの耐食性は向上する傾向にある。しかしながら、同時にカーボンブラックのBET比表面積は減少する傾向にあり、またカーボンブラック上に担持された白金微粒子はカーボンブラックの熱処理温度が高いほど粒子径が大きくなり、さらに触媒粒子の分散度が低下するため、触媒活性が低下して燃料電池の発電セル電圧が低くなる。また、上記特許文献5の方法でカーボンの黒鉛化を行うと、黒鉛化の前または後で水蒸気等による賦活処理を行なう必要があり、操作が煩雑である。
さらに、上記特許文献6には、ラマンバンドの強度比が0.4〜1.7の炭素材料が開示されているが、特許文献6に開示されている触媒金属の担持方法は、いずれも触媒を担持させた後に熱処理を加えているため、触媒粒子の結晶子径が肥大するという問題があった。
そこで、本発明が目的とするところは、発電性能を維持しながら、電極触媒劣化を抑制しうる電極触媒を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討を行った。その結果、平均結晶子径が1〜4nmである触媒金属粒子が、ラマン分光により測定されたD−バンドピーク強度IおよびG−バンドピーク強度Iの強度比R=I/Iが0.9〜1.2である炭素材料に担持されてなる電極触媒によれば、電極の触媒劣化が抑制され、かつ起動停止条件下でも触媒の活性が維持されることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の電極触媒は、高活性で耐久性に優れた電極触媒であるため、燃料電池に適用した場合に自動車用、家庭用、電子機器用などに幅広く応用可能である。
ラマン分光法は、ラマン散乱光を解析することにより試料の構造解析を行うものである。炭素材料をラマン分光法により分析すると、通常1360cm−1付近と1580cm−1付近とにピークが生じる。結晶性の高い黒鉛は、1580cm−1付近にシングルピークを有し、このピークは、通常G−バンドと呼ばれる。一方、結晶性が低くなる(結晶構造欠陥が増す)につれ、通常D−バンドと呼ばれる1360cm−1付近のピークが現れてくる。天然のダイヤモンドは、1360cm−1付近のシングルピークとなる。したがって、D−バンドおよびG−バンドの強度比R(I/I)は、炭素材料の黒鉛化度の指標となりうる。
本発明者らは、このR値が一定の範囲、すなわち0.9〜1.2にある炭素材料を電極触媒金属粒子の担持体として用いることによって、電極触媒の耐久性が著しく向上し、さらに触媒の質量活性が良好となることを見出した。
熱処理により黒鉛化度を高めることによって、触媒の耐久性が高まることは、従来より知られていた(特許文献1〜5)。しかしながら、黒鉛化度を高める、すなわちR値を小さくすると、触媒金属の分散性が低下し、質量活性が維持できない。これは、次の理由によると考えられる。導電性炭素材料表面においては、炭素六員環網平面の基底面であるベーサル(basal)面と、炭素六員環網平面の端部であるエッジ部とが露出している。一般的に、黒鉛化度が高い場合、結晶子が層状に配列しており、エッジ部分の露出が減少する(図1)。エッジ部分は、他の部分よりも表面エネルギーが高く、核生成を行うための活性点になりやすいため、触媒の核生成速度に大きく影響を与える。そのため、エッジ部分の露出が減少すると、触媒金属の分散を悪化させ、質量活性が抑制されると考えられる。逆に、R値が大きくなると、炭素材料の端面の結晶構造が崩れてエッジ部分が露出するようになるため(図2)、触媒金属を高分散に担持させ易くなるが、活性点となるエッジ部分が多いため、炭素材料の腐食の進行が速くなる虞がある。
一方、本願発明は、R値が適切に制御された炭素材料を用いることによって、触媒の核生成速度が速く、触媒金属を高分散に担持でき、質量活性が向上され、さらに適度に黒鉛化されていることで、カーボン腐食が抑制され、電極触媒の耐久性も維持できる電極触媒を見出したものである。本発明においては、R値は0.9〜1.2であり、本願発明の効果がより顕著に発揮されるためには、好ましくは1.0〜1.1である。R値が0.9未満であると、安定性は高いが、エッジ部分が少なく、触媒金属が高分散に担持され難いため、触媒金属粒子の肥大化が起こりやすい。このため、質量活性の低下を起こしやすい。一方、R値が1.2より大きくなると、エッジ部分が多いため、炭素材料の腐食の進行が速くなる虞がある。
R値は、顕微ラマン分光器にて、炭素材料のラマンスペクトルを計測し、D−バンドと呼ばれる1300〜1400cm−1の範囲のピーク強度(I)と、G−バンドと呼ばれる1500〜1600cm−1の範囲のピーク強度(I)との相対的強度比、つまりピーク面積比(I/I)を算出することにより求められる。該ピーク面積は、下記実施例で示されるラマン分光測定により求められたものを採用する。
かようなR値を持つ炭素材料の製造方法は、特に制限されるものではない。かような炭素材料は、例えば、原材料となる炭素材料をアルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で熱処理することによって得られる。
原材料となる炭素材料としては、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;カーボンナノチューブ;カーボンナノファイバー;カーボンナノホーン;カーボンフィブリルなどの導電性炭素材料が挙げられる。カーボンブラックは、黒鉛化処理が施されていてもよい。中でも、低コストで大量生産に向いていることから、カーボンブラックを原材料となる炭素材料として用いることが好ましい。また、上記原材料となる炭素材料は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。原材料となる炭素材料は自ら調製してもよいし、市販品を用いてもよい。市販品としては、バルカン、ケッチェンブラック(登録商標)、BlackPearl(登録商標)などが挙げられる。
原材料となる炭素材料のDバンドピークの半値幅は、50〜200cm−1であることが好ましく、100〜180cm−1であることがより好ましい。Dバンドは経験的にエッジ部分を表すことから、原材料となる炭素材料のDバンドピークの半値幅が前記範囲にあれば、エッジ部分の絶対数が適当であり、また、カーボンが脆くなり、熱処理によって大きく構造が変化する虞も少ない。
不活性ガス雰囲気下で熱処理する場合には、雰囲気を、窒素ガスやアルゴンガスのような不活性ガスで置換する。ただし、熱処理により腐食しやすい部分の焼失に影響しない程度の活性ガスを含んでいてもよい。本願においては、「不活性ガス雰囲気下」とは、不活性ガスの含有量が95体積%以上である雰囲気を意味するものとする。好ましくは、不活性ガスの含有量が100体積%である無酸素雰囲気下で熱処理される。また、好ましくは、不活性ガスとしてアルゴンガスを用いる。
熱処理する場合の熱処理温度は、好ましくは500〜3000℃、より好ましくは1500〜3000℃、さらに好ましくは2000〜2500℃で行う。具体的には、原材料となる炭素材料がカーボンブラックの場合、1000〜2500℃であることが好ましく、2000〜2500℃であることがより好ましい。また、熱処理する場合の熱処理時間は、好ましくは5分〜2時間、より好ましくは10分〜1時間で行う。具体的には、原材料となる炭素材料がカーボンブラックの場合、5分〜2時間であることが好ましく、10分〜1時間であることがより好ましい。上記熱処理によって、原材料となる炭素材料の黒鉛化が進行し、R値が小さくなる。そのため、R値が本願発明の範囲にある炭素材料を得るためには、原材料となる炭素材料の種類によって、熱処理時間、熱処理温度を適宜調節して熱処理を行えばよい。
炭素材料のBET比表面積は、特に限定されないが、触媒粒子の分散性、触媒利用率などの点から、好ましくは100〜2000m/gであり、より好ましくは200〜1000m/gである。
また、前記炭素材料の大きさは、特に限定されないが、担持の容易さ、触媒利用率などの観点からは、平均1次粒子径が1〜10nm、好ましくは2〜5nmとするのがよい。
R値が0.9〜1.2である炭素材料は、担持後に加熱処理が不要であり、触媒金属が単体で存在する場合、触媒金属の合金化が最小限に抑えられる。これは、耐久性と活性の両立という点で、有利である。さらに、本願発明の炭素材料を用いることで触媒担持後に加熱処理が不要であることから、担持される触媒金属粒子の粒径肥大化も起こらないため、触媒金属粒子が微粒子のまま維持され、電極触媒の質量活性も高く維持できる。
炭素材料に担持する触媒金属粒子を構成する材料としては、触媒作用を有するものであれば特に制限はなく公知の触媒金属を使用できる。具体的には、白金、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、タングステン、鉛、鉄、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウム等の金属、およびこれらの合金等などから選択される。好ましくは、白金、イリジウム、パラジウム、コバルト、ニッケル、鉄、およびこれらの合金から選ばれる。触媒活性、一酸化炭素等に対する耐被毒性、耐熱性などを向上させるために、少なくとも白金を含むものがより好ましく用いられる。
合金として用いる場合、合金の組成は、合金化する金属の種類にもよるが、白金が30〜90原子%、合金化する金属が10〜70原子%とするのがよい。なお、合金とは、一般に金属元素に1種以上の金属元素または非金属元素を加えたものであって、金属的性質をもっているものの総称である。
触媒金属粒子の形状は、特に制限されず公知の触媒成分と同様の形状が使用できるが、触媒成分は、粒状であることが好ましい。
炭素材料に担持する触媒金属粒子は、その平均結晶子径が、1〜4nmであり、好ましくは、2〜4nmである。かような微粒子の触媒は、R値が0.9〜1.2である炭素材料に金属触媒を担持し、担持後に加熱処理を行わないため、実現される。平均結晶子径が4nmを超えると、有効電極面積が減少するため、触媒活性が低下する虞がある。また、平均結晶子径が1nm未満であると、白金面積あたりの活性が低下する虞がある。本発明において、平均結晶子径は、X線回折法(X−Ray Diffraction:以下XRD法とする)によって測定される回折ピークの半値幅により求められるものを採用する。具体的には、実施例中で採用された方法によって求められる。
炭素材料に触媒金属粒子を担持させる方法としては、担持後の触媒金属粒子の平均結晶子径が、1〜4nmであれば、特に制限されるものではなく、含浸法、液相還元担持法、蒸発乾固法、コロイド吸着法、噴霧熱分解法、逆ミセル法等を利用することができる。好ましくは、触媒成分を低コストで高分散担持可能な、含浸法、液相還元担持法が用いられる。
触媒が微粒子かつ高分散で担持されるため好適な触媒担持方法としては、以下(1)〜(3)が挙げられる。
(1)炭素材料に触媒金属前駆体を溶媒中で含浸させた後に、水素雰囲気下200℃以下で加熱して触媒金属を析出させる方法。
触媒金属前駆体としては、触媒金属の塩化物、硝酸塩、硫酸塩、アンモニウム塩、アミン、炭酸塩、重炭酸塩、ハロゲン塩、亜硝酸塩、シュウ酸などの無機塩類、蟻酸塩などのカルボン酸塩および水酸化物、アルコキサイド、酸化物などが例示でき、これらを溶解する溶媒の種類やpHなどによって適宜選択することができる。好ましくは塩化物、硝酸塩、アンモニウム塩、アミン、炭酸塩である。具体的には、触媒金属が白金である場合、ジニトロジアミン白金酸硝酸、塩化白金酸(ヘキサクロロ白金酸)、硝酸白金などが挙げられる。これらの原料は、担持される金属触媒の粒子径を制御しやすく、また金属触媒の分散性を向上させやすい。
触媒金属前駆体を添加する溶媒としては、特に限定されず、水、アルコール、または水とアルコールとの混合溶媒などが用いられるが、アルコールを用いることが好ましい。溶媒にアルコールを用いることで、炭素材料のエッジ面部分で核生成が起こりやすくなり、触媒金属が高分散に担持されうる。これは、カーボンが黒鉛化するにつれ撥水性が上がるため、溶媒としてアルコールを用いることで、溶媒とカーボンとの親和性が向上し、触媒が均一に担持されるためと考えられる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールなどが好適に用いられる。触媒金属前駆体は、溶媒に溶解または分散される。
触媒金属前駆体を溶媒に溶解/分散させた後、これに炭素材料を分散させることにより、炭素材料に触媒金属前駆体を含浸させることができる。炭素材料を分散させるには、振とう器、スターラー、ホモジナイザ、超音波分散装置等の適当な分散手段を用いることもできる。混合処理における温度は、好ましくは10〜40℃、より好ましくは20〜30℃であり、時間は、振とう器、スターラーを用いた際は好ましくは6〜12時間、より好ましくは8〜10時間、スターラー、ホモジナイザを用いた際は、好ましくは10分〜3時間、より好ましくは30分〜1時間である。
炭素材料、触媒金属前駆体、および溶媒の比率は、特に限定されるものではなく、設計する触媒担持量により、適宜調節すればよい。
この後、触媒金属前駆体が含浸された炭素材料を、吸引濾過などの濾別手段により濾取し、乾燥してもよい。乾燥方法としては、加熱乾燥、真空乾燥、自然乾燥、ロータリーエバポレーターによる乾燥など、公知の方法を用いることができる。
続いて、触媒金属前駆体が担持された炭素材料を、水素雰囲気下で加熱する。これにより、触媒金属が還元され、触媒金属粒子として炭素材料に担持されて、触媒が完成する。なお、水素雰囲気下とは、水素ガスの含有量が10体積%以上である雰囲気を意味するものとする。好ましくは、水素ガスの含有量が25体積%以上である。水素ガス以外に、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスが含まれうる。
水素雰囲気下での熱処理条件は、特に限定されるものではなく、適宜決定して行えばよいが、熱処理温度としては、好ましくは150〜200℃とするのがよい。熱処理温度が高温になると、触媒の凝集が進行しやすいため、熱処理温度は200℃以下であることが好ましい。また、熱処理時間は、30分〜5時間、好ましくは1〜3時間とするのがよい。
(2)炭素材料に触媒金属前駆体を溶媒中で含浸させた後に、150℃以下で加熱して触媒金属を析出させる方法。
炭素材料に触媒金属前駆体を溶媒中で含浸させる工程は、上記(1)と同様である。この際、溶媒は上記(1)と同様にアルコールを用いることが好ましい。アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールなどが好適に用いられる。
加熱は、粒径の肥大化を抑制する理由で、150℃以下で行われる。それに伴い、用いる有機溶媒の沸点が150℃以下となるように溶媒選定を行なう。加熱時間としては、特に限定されないが、具体的には、2〜10時間、より好ましくは4〜8時間であるとよい。加熱処理時の雰囲気下条件については、加熱時に酸素雰囲気であると、析出した白金とアルコール類が反応してしまい燃焼などの反応が起こる可能性があるため、窒素、アルゴンなどの不活性雰囲気下で行なうことが好ましい。また、炭素材料に金属触媒を担持した後は、濾過などの方法により、溶液から触媒を単離する。
(3)炭素材料に触媒金属前駆体を溶媒中で含浸させた後に、還元剤を溶媒に添加して触媒金属を析出させる方法。
炭素材料に触媒金属前駆体を溶媒中で含浸させる工程は、上記(1)と同様である。この際、溶媒は上記(1)と同様にアルコールを用いることが好ましい。アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールなどが好適に用いられる。
その後、炭素材料/触媒金属前駆体溶液中に、還元剤を添加混合する。
還元剤としては、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸、酢酸などの有機酸またはその塩、水素化ホウ素ナトリウム、蟻酸、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒドなどのアルデヒド類、メタノール、エタノールなどが挙げられる。還元力が強いため、水素化ホウ素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムが好適に用いられる。還元剤は溶媒に溶解させて用いるのがよいが、この際の溶媒としては、触媒金属前駆体を溶解させた溶媒と同じ溶媒を用いることが好ましい。還元剤の添加量は、用いる還元剤により適宜調節すればよい。
還元剤を添加混合する際の温度は、好ましくは15〜40℃、より好ましくは20〜30℃であり、混合時間は、好ましくは30分〜6時間、より好ましくは1〜3時間である。この際、還元剤の添加混合処理は、上記(2)と同様不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
以上の(1)〜(3)の担持方法によれば、上記の条件にて、触媒前駆体が還元され、触媒金属が形成されることから、白金担持後に行われうる300℃以上の高温加熱処理を行う必要がない。触媒担持後に熱処理を加えると、担持された金属触媒の粒子径が大きくなるため、触媒質量活性が低下する虞がある。一方、担持後に加熱処理を行わなければ、触媒粒子が小さいまま維持され、触媒質量活性が維持されうる。
以上、本発明に好適に用いられうる電極触媒の製造方法を説明したが、本発明の電極触媒は、上記(1)〜(3)の方法で得られるものに限定されるものではない。
炭素材料の触媒担持量は特に限定されず、触媒の種類、燃料電池の性能、炭素材料の
種類などに応じて、所望の発電特性が得られるように、担持量を決定するとよい。例えば
炭素材料としてカーボンブラックが用いられる場合には、カーボンブラックの触媒担持
量は、触媒層に含まれるカーボンブラック100質量%に対して30〜70質量%であることが好ましい。
本発明の製造方法によって得られる電極触媒は、上述のように、優れた耐腐食性すなわち高耐久性を有し、燃料電池に適用した場合に電池の耐久性向上に大きく寄与する。電極触媒の適用用途としては、PEFC(固体高分子型燃料電池)が挙げられる。PEFCにおいて、電極触媒は触媒層に配置される。PEFCの一般的な構成としては、セパレータ、ガス拡散層、カソード触媒層、固体高分子電解質膜、アノード触媒層、ガス拡散層、およびセパレータが、この順序で配置された構成が挙げられる。ただし、PEFCにおける基本的な構成は上記に限定されるわけではなく、他の構成を有するPEFCにも、本発明を適用することが可能である。
本発明の電極触媒は、アノードおよびカソードの双方の電極触媒として好適に用いられる。しかしながら、アノードにおける水素の酸化反応に対してカソードでの還元反応は作動電位が高電位であるため、電極触媒の劣化が生じやすい。したがって、前記電極触媒は、少なくともカソードに使用される形態が好ましい。
さらに、燃料電池に適用した場合の適用用途としては、自動車用、家庭用、電子機器用など幅広く適用可能である。本発明のPEFCは、触媒層が劣化しにくく、耐久性に優れる。即ち、本発明のPEFCは、長期間に亘ってPEFCを使用した場合であっても、電圧低下が少ない。そのため、自動車用、家庭用、電子機器用など幅広く適用可能である。さらに、長期間に渡る耐久性が求められる用途において、本発明の電極触媒を含む燃料電池は特に有益である。かような用途としては、自動車用が挙げられる。本発明のPEFCは長期間に渡って発電特性が維持されうるため、本発明のPEFCを搭載してなる自動車の寿命の長期化や自動車価値の向上が達成されうる。
以下、実施例を用いて、より具体的に本発明を説明する。なお、本発明が下記実施例に
限定されることはない。
(実施例1)
実施例1では原材料となる炭素材料としてケッチェンブラック(ライオン社製:ケッチェンブラックEC600JD、R=1.42)を用いた。
(1)ラマン分光測定
ラマンスペクトルは、測定装置として、Holo Lab 5000R(KaiserOptical System Inc.製)を使用し、室温、露光30秒×積算5回、以下の条件にて測定した。
励起波長:Nd:YAGのSHG、532nm
レーザー出力:3mW
スポットサイズ:〜1μm
検出器:CCD
(2)炭素材料の製造およびラマン分光測定
上記原材料となる炭素材料をArガス雰囲気下2000℃で30分間加熱処理を行なった。これにより得られた炭素材料のラマン分光測定を(1)と同様の条件で行なった。ラマン分光測定結果から、R=0.92となる炭素材料を得た。
(3)金属触媒担持(担持方法(1))
塩化白金酸(和光純薬工業株式会社製)1.0gを無水エタノール(関東化学株式会社製)20mLに溶かして、塩化白金酸無水エタノール溶液を調製した。白金担持量が炭素材料100質量%に対して30質量%になるように炭素材料を秤量し、この溶液と混合させ、サンプル瓶で25℃にて約一晩攪拌し分散させた。その後、Pt/C溶液をスターラーで攪拌しながら、Arガスを流した。このとき溶液は25℃に保った。
この溶液を80℃乾燥炉中で乾かし、その後20%H(Arバランス)雰囲気下、200℃で水素還元を行ない、白金が担持された炭素材料を得た。
(4)触媒結晶子径の測定
(3)で得られた炭素材料に担持されている金属触媒の結晶子径を、XRD法により測定し、39°近傍のピーク値からシェラー式を用いて結晶子径を算出した。
XRDの測定条件は、以下の通りである;
測定機器:マック・サイエンス社製 X線回折装置(MXP18VAHF型)、線源:(CuKα)、出力設定:電圧40kV、電流300mA、発散スリット1.0°、散乱スリット1.0°、受光スリット0.3mm、走査範囲5〜90°。
(5)触媒担持量の測定
触媒担持量は、熱天秤を用いて測定した。
(6)電極触媒層の作製
上記実施例にて得られた触媒担持炭素担体30mgを純水15mLに混合し、5質量%Nafion溶液(Aldrich社製)1mLと、イソプロピルアルコール10mLとをさらに添加した後、超音波攪拌を20分間行なった。得られた溶液を金板電極1.6cmに80μLの厚さで塗布して一晩乾燥させ、電極触媒層を得た。乾燥後、塗布した触媒重量を測定した。
(実施例2)
実施例2では原材料となる炭素材料としてBlackPearl 2000(Cabot社製、R=1.30)を用いた。
(1)原材料となる炭素材料のラマン分光測定は実施例1と同様に行った。
(2)炭素材料の製造およびラマン分光測定
上記原材料となる炭素材料をArガス雰囲気下1800℃で30分加熱処理を行なった。これにより得られた炭素材料のラマン分光測定を(1)と同様の条件で測定を行なった。ラマン分光測定結果から、R=1.03となる炭素材料を得た。
(3)金属触媒担持(担持方法(2))
塩化白金酸(和光純薬工業株式会社製)1.0gを無水エタノール(関東化学株式会社製)20mLに溶かして、塩化白金酸無水エタノール溶液を調製した。白金担持量が炭素材料100質量%に対して30質量%になるように炭素材料を秤量し、この溶液と混合させ、スクリュー管瓶で25℃にて約一晩攪拌し分散させた。その後、Pt/C溶液をスターラーで攪拌しながら、Arガスを流した。このとき溶液は25℃に保った。
この溶液を150℃まで加熱、1時間保持し冷却した後に、超純水で十分に濾過させて白金が担持された炭素材料を得た。
(4)電極触媒層の作製は実施例1と同様に行った。
(実施例3)
実施例3では原材料となる炭素材料としてケッチェンブラックEC(ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製、R=1.35)を用いた。
(1)原材料となる炭素材料のラマン分光測定は実施例1と同様に行った。
(2)炭素材料の製造およびラマン分光測定
上記原材料となる炭素材料をArガス雰囲気下1500℃で30分加熱処理を行なった。これにより得られた炭素材料のラマン分光測定を(1)と同様の条件で測定を行なった。ラマン分光測定結果から、R=1.16となる炭素材料を得た。
(3)金属触媒担持(担持方法3)
塩化白金酸(和光純薬工業株式会社製)1.0gを無水エタノール(関東化学株式会社製)20mLに溶かして、塩化白金酸無水エタノール溶液を調製した。白金担持量が炭素材料100質量%に対して30質量%になるように炭素材料を秤量し、この溶液と混合させ、サンプル瓶で25℃にて約一晩攪拌し分散させた。その後、Pt/C溶液をスターラーで攪拌しながら、Arガスを流した。このとき溶液は25℃に保った。
還元剤として、水素化ホウ素ナトリウムを200mg量り、5.0mLの無水エタノールと混合した。次に、この水素化ホウ素ナトリウム溶液をゆっくりとPt/C溶液に入れ、そのままArガスを流しながら約1時間攪拌し続けた。1時間後、そのままの状態で超純水を約2倍量入れ、濾過して白金が担持された炭素材料を得た。
(4)電極触媒層の作製は実施例1と同様に行った。
(実施例4)
実施例4では原材料となる炭素材料としてBlackPearl 2000(Cabot社製、R=1.30)を用いた。
(1)原材料となる炭素材料のラマン分光測定は実施例1と同様に行った。
(2)炭素材料の製造およびラマン分光測定は実施例2と同様に行った。ラマン分光測定結果から、R=1.03となる炭素材料を用いた。
(3)金属触媒担持(担持方法(2’))
塩化白金酸(和光純薬工業株式会社製)1.0gと塩化イリジウム(和光純薬工業株式会社製)0.15gを無水エタノール(関東化学株式会社製)20mLに溶かして、無水エタノール溶液を調製した。白金担持量がカーボンブラック100質量%に対して30質量%になるようにカーボンブラックを秤量し、この溶液と混合させ、サンプル瓶で25℃にて約一晩攪拌し分散させた。その後、Pt−Ir/C溶液をスターラーで攪拌しながら、Arガスを流した。このとき溶液は25℃に保った。
該溶液を150℃まで加熱、1時間保持し冷却した後に、超純水で十分に濾過して白金/イリジウムが担持された炭素材料を得た。
(4)電極触媒層の作製は実施例1と同様に行った。
(比較例1)
原材料となる炭素材料としてケッチェンブラックEC(ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製、R=1.35)を用いた。
(1)原材料となる炭素材料のラマン分光測定は実施例1と同様に行った。
(2)上記原材料となる炭素材料をArガス雰囲気下3000℃で2時間加熱処理を行なった。これにより得られた炭素材料のラマン分光測定を(1)と同様の条件で測定を行なった。ラマン分光測定結果から、R=0.60となる炭素材料を得た。
(3)金属触媒担持(担持方法(2))
塩化白金酸(和光純薬工業株式会社製)1.0gを無水エタノール(関東化学株式会社製)20mLに溶かして、塩化白金酸無水エタノール溶液を調製した。白金担持量がカーボンブラック100質量%に対して30質量%になるようにカーボンブラックを秤量し、この溶液と混合させ、スクリュー管瓶で25℃にて約一晩攪拌し分散させた。その後、Pt/C溶液をスターラーで攪拌しながら、Arガスを流した。このとき溶液は25℃に保った。
この溶液を150℃まで加熱、1時間保持し冷却した後に、超純水で十分に濾過して白金が担持された炭素材料を得た。
(4)電極触媒層の作製は実施例1と同様に行った。
(比較例2)
原材料となる炭素材料としてBlackPearl 2000(Cabot社製、R=1.30)を用いた。
(1)原材料となる炭素材料のラマン分光測定は実施例1と同様に行った。
(2)上記原材料となる炭素材料をArガス雰囲気下3000℃で1時間加熱処理を行なった。これにより得られた炭素材料のラマン分光測定を(1)と同様の条件で測定を行なった。ラマン分光測定結果から、R=0.76となる炭素材料を得た。
(3)金属触媒担持(担持方法(2))
塩化白金酸(和光純薬工業株式会社製)1.0gを無水エタノール(関東化学株式会社製)20mLに溶かして、塩化白金酸無水エタノール溶液を調製した。白金担持量がカーボンブラック100質量%に対して30質量%になるようにカーボンブラックを秤量し、この溶液と混合させ、サンプル瓶で25℃にて約一晩攪拌し分散させた。その後、Pt/C溶液をスターラーで攪拌しながら、Arガスを流した。このとき溶液は25℃に保った。
この溶液を150℃まで加熱、1時間保持し冷却した後に、超純水で十分に濾過して白金が担持された炭素材料を得た。
(4)電極触媒層の作製は実施例1と同様に行った。
(比較例3)
炭素材料としてBlackPearl 2000(Cabot社製、R=1.30)を用いた。
(1)炭素材料のラマン分光測定は実施例1と同様に行った。
(2)金属触媒担持(担持方法(2))
塩化白金酸(和光純薬工業株式会社製)1.0gを無水エタノール(関東化学株式会社製)20mLに溶かして、塩化白金酸無水エタノール溶液を調製した。白金担持量がカーボンブラック100質量%に対して30質量%になるようにカーボンブラックを秤量し、この溶液と混合させ、サンプル瓶で25℃にて約一晩攪拌し分散させた。その後、Pt/C溶液をスターラーで攪拌しながら、Arガスを流した。このとき溶液は25℃に保った。
この溶液を150℃まで加熱、1時間保持し冷却した後に、超純水で十分に濾過して白金が担持された炭素材料を得た。
(3)電極触媒層の作製は実施例1と同様に行った。
(比較例4)
原材料となる炭素材料としてケッチェンブラックEC(ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製、R=1.35)を用いた。
(1)原材料となる炭素材料のラマン分光測定は実施例1と同様に行った。
(2)上記原材料となる炭素材料をArガス雰囲気下3000℃で2時間加熱処理を行なった。これにより得られた炭素材料のラマン分光測定を(1)と同様の条件で測定を行なった。ラマン分光測定結果から、R=0.60となる炭素材料を用いた。
(3)金属触媒担持(担持方法(2’))
塩化白金酸(和光純薬工業株式会社製)1.0gと塩化イリジウム(和光純薬工業株式会社製)0.15gを無水エタノール(関東化学株式会社製)20mLに溶かして、無水エタノール溶液を調製した。白金担持量がカーボンブラック100質量%に対して30質量%になるようにカーボンブラックを秤量し、この溶液と混合させ、サンプル瓶で25℃にて約一晩攪拌し分散させた。その後、Pt−Ir/C溶液をスターラーで攪拌しながら、Arガスを流した。このとき溶液は25℃に保った。
この溶液を150℃まで加熱、1時間保持し冷却した後に、超純水で十分に濾過して白金/イリジウムが担持された炭素材料を得た。
(4)電極触媒層の作製は実施例1と同様に行った。
(比較例5)
炭素材料としてBlackPearl 2000(Cabot社製、R=1.30)を用いた。
(1)炭素材料のラマン分光測定は実施例1と同様に行った。
(2)金属触媒担持(担持方法(2’))
塩化白金酸(和光純薬工業株式会社製)1.0gと塩化イリジウム(和光純薬工業株式会社製)0.15gを無水エタノール(関東化学株式会社製)20mLに溶かして、無水エタノール溶液を調製した。白金担持量がカーボンブラック100質量%に対して30質量%になるようにカーボンブラックを秤量し、この溶液と混合させ、スクリュー管瓶で25℃にて約一晩攪拌し分散させた。その後、Pt−Ir/C溶液をスターラーで攪拌しながら、Arガスを流した。このとき溶液は25℃に保った。
この溶液を150℃まで加熱、1時間保持し冷却した後に、超純水で十分に濾過して白金/イリジウムが担持された炭素材料を得た。
(3)電極触媒層の作製は実施例1と同様に行った。
上記各実施例1〜4および比較例1〜5で作製した電極触媒層を評価用作用極として、下記に示す手順で電気化学的活性表面積(ECA:Electrochemical Area)、質量活性および比活性を算出することにより、電極触媒の触媒活性および耐久性を評価した。
(評価方法)
3極式セルを用い、電解質溶液は0.5M硫酸水溶液、対極にカーボン電極、参照極にはRHE(Reversible Hydrogen Electrode)を用い25℃で測定した。
<電気化学的活性表面積(ECA:Electrochemical Area)の測定>
電解質水溶液中を窒素パージし、CV(サイクリックボルタンメトリー)を0〜1.2V(vs.RHE)の範囲で15サイクルした波形の水素吸着電流からPt比表面積を求め、上記で測定した触媒担持質量を用いてECA値を算出した。なお、ECAは、電気化学的に測定したPt比表面積(cm/g−Pt)を表す。
<質量活性(MA)>
電解質水溶液中を酸素パージし、0.9V(vs.RHE)のときの酸素還元電流値を触媒担持質量で割ることにより、質量活性を算出した。
<比活性(SA)>
電解質水溶液中を酸素パージして、0.9V(vs.RHE)のときの酸素還元電流値をCVから求めたPt面積で割ることにより、比活性を算出した。
<Cdl>
電解質水溶液中を窒素パージし、CV(サイクリックボルタンメトリー)を0〜1.2V(vs.RHE)の範囲で15サイクルした波形の二重層領域(0.4V近傍)の電荷量から電気容量を算出し、触媒の炭素重量用いてCdl値を求めた。なお、Cdlは、炭素材料の二重層容量(mF/mg)、すなわち炭素材料表面上に電気的に吸着するイオンの電荷量を表しており、炭素材料比表面積を示すことになる。
<サイクル試験(起動停止試験)>
1.0〜0.6V(vs.RHE)の電位範囲で5秒間のパルス波を1サイクルとし、これを2000サイクル行なった。サイクル試験を行った後、再度上記測定方法で、ECAを測定した。
以上の結果を表1および表2に示す。
実施例2および比較例3、実施例4および比較例5を比較すると、サイクル試験後のECAおよびCdlの減少率は、いずれも実施例のほうが高い。これにより、R値が一定以下の炭素材料を用いることによって、耐久性が向上することがわかる。
触媒は起動停止が行なわれることで、担体である炭素材料の腐食が進み炭素材料自体が消失していく。さらに、Pt自身も溶出などにより消失する。起動停止試験によるECAの低下の原因としては、高電位、低電位サイクルによるPtの溶出、高電位負荷に起因する炭素材料腐食による炭素材料上のPt消失などが考えられる。一方、起動停止試験によるCdlの低下の原因としては、起動停止回数の少ない時点においては、炭素材料表面が荒らされていく中で一旦二重層容量は増加していくが、最終的には炭素材料自体がなくなるため二重層容量も減少するためであると考えられる。本発明の電極触媒を用いた触媒層は、ECA、Cdlの減少率が一定以下であり、このため、耐久性に優れたものと言える。
さらに、起動停止試験後の活性の評価として、サイクル試験前の質量活性と、上記ECAとの積を算出した。起動停止試験後の活性を直接評価すると、バインダーとなる電解質ポリマーの劣化などの影響も含むので、触媒担持炭素のみを適切に評価できない虞がある。そこで、本実施例では、起動停止試験後の活性の評価として、起動停止試験前の質量活性(MA)と、上記ECAとの積を用いた。ECA×MAを見ると、実施例1〜4はいずれも比較例と比較して高い水準であった。
なお、起動停止試験前の比活性(SA)と、上記ECAとの積ECA×SAにおいては大きな差は見られなかった。
以上の結果から、実施例1〜4は、耐久性が高く、触媒活性の高い電極触媒であることがわかる。本発明の電極触媒は、発電性能を維持しながら、電極触媒劣化が抑制された電極触媒であることが示された。
R値が小さい場合の、炭素材料の結晶構造を示す図である。 R値が大きい場合の、炭素材料の結晶構造を示す図である。

Claims (10)

  1. 平均結晶子径が1〜4nmである触媒金属粒子が、ラマン分光により測定されたD−バンドピーク強度IおよびG−バンドピーク強度Iの強度比R=I/Iが0.9〜1.2である炭素材料に担持されてなることを特徴とする電極触媒。
  2. 前記炭素材料が、原材料となる炭素材料を不活性ガス雰囲気下で熱処理することで得られる、請求項1に記載の電極触媒。
  3. 前記炭素材料に触媒金属前駆体をアルコール溶媒中で含浸させた後に、水素雰囲気下200℃以下で加熱して触媒金属を析出させることで得られる、請求項1または2に記載の電極触媒。
  4. 前記炭素材料に触媒金属前駆体をアルコール溶媒中で含浸させた後に、150℃以下で加熱して触媒金属を析出させることで得られる、請求項1または2に記載の電極触媒。
  5. 前記炭素材料に触媒金属前駆体をアルコール溶媒中で含浸させた後に、還元剤を前記溶媒に添加して触媒金属を析出させることで得られる、請求項1または2に記載の電極触媒。
  6. 前記触媒金属粒子を構成する材料は、白金、イリジウム、パラジウム、コバルト、ニッケル、鉄、およびそれらの合金からなる群より選ばれる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電極触媒。
  7. 前記炭素材料がカーボンブラックから得られる炭素材料である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電極触媒。
  8. 前記原材料となる炭素材料のD−バンドピークの半値幅が50〜200cm−1である請求項2〜7のいずれか1項に記載の電極触媒。
  9. 燃料電池用である請求項1〜8のいずれか1項に記載の電極触媒。
  10. 請求項9に記載の電極触媒を自動車用、家庭用、電子機器用燃料電池のいずれかに用いることを特徴とする発電システム。
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