JP7246704B2 - 電極材料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、固体高分子方燃料電池用電極に好適な電極材料の製造方法に関する。
電解質に固体高分子膜を使用した固体高分子形燃料電池(PEFC)は、作動温度が80℃付近と比較的低温であるため、例えば、車載用電源、家庭用等の小規模な固定電源として導入されている。PEFCでは、以下の電気化学反応によって電力を取り出すことができる。
アノード反応:2H2 → 4H++4e- (反応1)
カソード反応:O2+4H++4e-→2H2O (反応2)
全反応 :2H2+O2→2H2
PEFCは、電解質膜と前記電解質膜の両面に積層された電極(アノード及びカソード)とを含む膜電極接合体(MEA)と、前記膜電極接合体の両面に積層されたガス拡散層(GDL)とからなる発電モジュールを、ガス流路が形成された2つのセパレータで挟んだ構造のセルを基本単位として構成されている。PEFCの構成部材は、一般的に、セパレータは金属材料で形成されており、ガス拡散層は多孔質の炭素材料が使用されている。また、電極触媒層(アノード及びカソード)は、担体の表面にPt等の貴金属からなる電極触媒粒子が担持された構造を有し、担体には一般的に炭素材料が使用されている。
一方、PEFCの膜電極接合体(MEA)の電解質膜で使用されるナフィオン(Nafion)は酸性(pH=0~3)であるため、PEFCの電極材料は超強酸性条件で使用されることになる。また、通常運転しているときのセル電圧は0.4~1.0Vであるが、起動停止時にはセル電圧が1.5Vまで上昇するため、カソードでは、炭素系担体が電気化学的に酸化されてCO2に分解する反応が起こり、炭素系担体が腐食されて触媒活性成分である電極触媒粒子が脱落するという問題があり、アノードにおいても運転初期などに燃料ガスが不足すると、その部分での電圧低下、あるいは濃度分極が生じて局部的に通常と反対の電位となり、炭素系担体の電気化学的酸化分解が起こることがある。
上述した炭素系担体の腐食の問題に対し、特許文献1では、電子伝導性酸化物材料の中でも導電性が高くカソード条件下でも安定な酸化スズ(SnO)を担体として用い、カソード条件下でも安定な酸化スズ粒子上にコロイド法により貴金属微粒子を高分散担持することで、耐久性、電気化学的触媒活性を向上させ、燃料電池自動車寿命に相当する6万回の電位サイクルに耐える電極触媒材料が報告されている。また、特許文献2では、酸化スズ等の電子伝導性酸化物担体を導電補助材に高分散させ、その導電性酸化物担体の上に、白金(Pt)粒子等を高分散担持することで、電極全体の導電率を向上させ優れた電極性能を得られることが報告されている。
一方、貴金属を電極触媒とした燃料電池の発電において、電極反応(酸素の還元及び水素の酸化)に実質的に寄与しているのは粒子表面の貴金属触媒のみであり、貴金属を最大限有効利用するには、貴金属触媒粒子を微細化し、少ない貴金属触媒量でより大きい表面積を確保することが求められる。
そこで、本発明者らは、特許文献3において、SnO微粒子を「コア」にして、これに光化学法にて貴金属触媒を「シェル」として析出させた電極材料の製造方法を報告している。この製造方法では、SnO微粒子に光を照射し、貴金属を還元析出させることによって、SnO微粒子の表面に、微粒子状及び/又は薄膜状の貴金属触媒が担持されたコアシェル構造を有する電極材料を製造する。
特許第5322110号公報 WO2015/141595 特開2018-156797号公報
特許文献3の方法は、燃料電池用電極として有望な電子伝導性酸化物コア、貴金属シェルからなる電極材料を与えるものであるが、コアとなる電子伝導性酸化物は、光還元作用を有する酸化物に制限される。また、光照射を必須とするため、工業的な大量生産には必ずしも適していないという課題があった。
かかる状況下、本発明の目的は、光還元反応を利用せずに、電子伝導性酸化物の表面に貴金属触媒を担持させることができる電極材料の製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> 炭素系導電補助材に担持された電子伝導性酸化物の表面に、微粒子状の貴金属触媒が担持された構造を有する電極材料の製造方法であって、以下の工程(1)~(3)を含む製造方法。
工程(1):一次粒子径5nm以下の電子伝導性酸化物を含むゾルと、炭素系導電補助材とを水系溶媒中で均一になるまで混合した後に、溶媒を留去させて乾燥させる工程
工程(2):工程(1)で得られた乾燥物を熱処理し、前記電子伝導性酸化物が担持された前記炭素系導電補助材を得る工程
工程(3):前記電子伝導性酸化物が担持された前記炭素系導電補助材を、貴金属前駆体化合物を含む溶液を均一になるまで混合し、乾燥後、熱処理する工程
<2> 工程(1)において、溶媒を留去させる方法が、凍結乾燥法である<1>に記載の電極材料の製造方法。
<3> 前記電子伝導性酸化物が、酸化スズを主体とする電子伝導性酸化物である<1>または<2>に記載の電極材料の製造方法。
<4> 前記炭素系導電補助材が、高黒鉛化カーボンブラックである<1>から<3>のいずれかに記載の電極材料の製造方法。
<5> 前記貴金属前駆体化合物が、貴金属アセチルアセトナートである<1>から<4>のいずれかに記載の電極材料の製造方法。
<6> <1>から<5>のいずれかに記載の方法で製造され、前記電子伝導性酸化物の表面に平均粒径4nm以下の微粒子状となるよう貴金属触媒が担持された電極材料。
本発明によれば、炭素系導電補助材に担持された電子伝導性酸化物担体の表面に、貴金属を微粒子状で析出させた電極材料が提供される。
本発明の電極材料の模式図である。 実施例1,2の電極材料の作製手順のフローチャートである。 実施例1の電極材料(蒸発乾固法、電極触媒未担持)のFE-SEM像である((a)倍率20万倍、(b)倍率50万倍)。 実施例2の電極材料(凍結乾燥法、電極触媒未担持)のFE-SEM像である((a)倍率20万倍、(b)倍率50万倍)。 実施例1の電極材料(蒸発乾固法)のXRDパターンである。 実施例2の電極材料(凍結乾燥法)のXRDパターンである。 実施例1の電極材料(蒸発乾固法)のFE-SEM像である((a)倍率20万倍、(b)倍率50万倍)。 実施例1の電極材料(蒸発乾固法)のSTEM像である。 実施例2の電極材料(凍結乾燥法)のFE-SEM像である((a)倍率20万倍、(b)倍率50万倍)。 実施例2の電極材料(凍結乾燥法)のSTEM像である。 実施例1,2の電極材料の電気化学的有効表面積(ECSA)を示す図である。 実施例1,2の電極材料のMass Activity(0.9VRHE)を示す図である。
以下、本発明について例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下の例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。なお、本明細書において、「~」とはその前後の数値又は物理量を含む表現として
用いるものとする。
本発明は、炭素系導電補助材に担持された電子伝導性酸化物の表面に、微粒子状の貴金属触媒が担持された構造を有する電極材料の製造方法であって、以下の工程(1)~(3)を含む製造方法(以下、「本発明の電極材料の製造方法」、又は単に「本発明の製造方法」と記載する。)に関する。
工程(1):一次粒子径5nm以下の電子伝導性酸化物を含むゾルと、炭素系導電補助材とを水系溶媒中で均一になるまで混合した後に、溶媒を留去させて乾燥させる工程
工程(2):工程(1)で得られた乾燥物を熱処理し、前記電子伝導性酸化物が担持された前記炭素系導電補助材を得る工程
工程(3):前記電子伝導性酸化物が担持された前記炭素系導電補助材を、貴金属前駆体化合物を含む溶液を均一になるまで混合し、乾燥後、熱処理する工程
図1に、本発明の製造方法で製造される電極材料の一例の模式図を示す。
図1に示す電極材料の一例では、炭素系導電補助材に担持された電子伝導性酸化物担体の表面に、1~数原子層レベルの大きさ(平均粒径4nm以下)の微粒子状の貴金属触媒が担持されている。
平均粒径4nm以下の微粒子状の貴金属触媒が電気化学的触媒として機能し、貴金属触媒で被覆された電子伝導性酸化物担体(コア)は、貴金属触媒と炭素系導電補助材との間の電子移動を担う。このような構成を有することにより、貴金属触媒の使用量が少なくとも優れた触媒活性及び導電性を有する電極材料となりうる。
本発明の製造方法で製造される電極材料は、固体高分子形燃料電池のカソード用の電極材料や固体高分子形水電解装置のアノード用の電極材料として好適に使用できる。
以下、本発明の電極材料の製造方法の各工程についてより詳細に説明する。
<工程(1)>
工程(1)は、一次粒子径5nm以下の電子伝導性酸化物を含むゾルと、炭素系導電補助材とを水系溶媒中で均一になるまで混合した後に、溶媒を留去させて乾燥させる工程である。
工程(1)で使用される電子伝導性酸化物を含むゾルは、一次粒子径5nm以下(好適には3nm以下)の電子伝導性酸化物の粒子を水系溶媒に高分散したものである。
ゾルに含まれる電子伝導性酸化物としては、燃料電池(特には固体高分子形燃料電池)のアノード条件、カソード条件の少なくともいずれか一方で十分な耐久性と電子伝導性を併せ持つものであればよい。なお、PEFCのカソード条件とは、PEFCの通常運転時のカソードにおける条件であり、温度が室温~150℃程度、空気等の酸素を含むガスが供給される条件(酸化雰囲気)を意味し、アノード条件とは、PEFCの通常運転時のアノードにおける条件であり、温度が室温~150℃程度、水素を含む燃料ガスが供給される条件(還元雰囲気)を意味する。
電子伝導性酸化物として具体的には、スズ(Sn)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)及びタングステン(W)から選択される1種の金属元素の酸化物を主体とする電子伝導性酸化物が挙げられる。ここで、本発明において「主体とする電子伝導性酸化物」とは、(A)母体酸化物のみからなるもの、及び(B)他元素をドープされた酸化物であって、母体酸化物が80mol%以上含まれるもの、を意味する。
ドープされる元素として、具体的には、Sn,Ti,Sb,Nb,Ta,W,In,V,Cr,Mn,Moなどが挙げられる(但し、母体酸化物と異なる元素である。)。ドープされる元素は、母体酸化物より価数が高い元素であり、例えば、母体酸化物が酸化スズの場合で例示すると、上記ドープ種元素のうち、Sn以外の元素(例えば、Nb)が選択される。
電子伝導性酸化物のなかで好適なものは、酸化スズ又は酸化スズを主体とする電子伝導性酸化物である。元素としてスズ(Sn)は、PEFCカソードや水電解電極のアノード条件として使用される領域において、酸化物であるSnO2が熱力学的に安定であり、酸化分解が起こらない。また、酸化スズ又は酸化スズを主体とする電子伝導性酸化物は、水系溶媒に高分散できるという利点もある。
ゾルに含まれる電子伝導性酸化物は、一次粒子径として5nm以下(好適には3nm以下)の粒子である。電子伝導性酸化物は、溶媒(分散媒)に一次粒子として分散していることが好ましいが、二次粒子(凝集体)として含有されていてもよい。
二次粒子としての粒径は、本発明の目的を損なわない限りで制限はないが、例えば、5nm~500nmである。
酸化スズ又は酸化スズを主体とする電子伝導性酸化物の場合では、一次粒子径として5nm以下、二次粒子径(一次粒子の凝集体)は20nm以下であることが好ましい。
一次粒子径5nm以下、二次粒子径の20nm以下である酸化スズ又は酸化スズを主体とする電子伝導性酸化物を高分散に含むゾルは自作してもよいが、市販のゾルを用いれば、ゾルを作製する工程を省略することができる。好適な市販品を例示すると、多木化学株式会社製の「セラメース」シリーズを挙げることができる。
電子伝導性酸化物の一次粒子(結晶子径)はX線回折法におけるシェラー式から求めることができる。また、炭素系導電補助材に担持した後の電子伝導性酸化物の平均粒子径(二次粒子径)は、電子顕微鏡像より調べられる電子伝導性酸化物(20個)の粒子径の平均値により得ることもできる。
電子伝導性酸化物は、結晶であることが好ましい。ゾルに含まれる電子伝導性酸化物が結晶であれば、電子伝導性酸化物を結晶化させるために高温での熱処理を必ずしも行うことなく、結晶性の高い(すなわち、導電率の高い)電子伝導性酸化物担体を炭素系導電補助材に担持することができる。
電子伝導性酸化物を含むゾルは、目的とする粒径の電子伝導性酸化物を高分散に含有されるのであれば、従来公知の方法で製造したものを使用可能である。
ゾルにおける電子伝導性酸化物の濃度は、高すぎると電子伝導性酸化物が凝集しやすくなるため、電子伝導性酸化物の種類等を考量して、凝集の生じない濃度範囲で適宜決定される。
ゾルの溶媒(分散媒)は、水系溶媒が好適に用いられる。なお、本明細書において、「水系溶媒」とは、水または水と相溶可能な有機溶媒との混合溶媒(好適には水を70体積%以上含む)を意味するものとする。水と相溶可能な有機溶媒としては、例えば、エタノール等の低級アルコールが挙げられる。
また、ゾルの溶媒には、必要に応じてゾル中の電子伝導性酸化物の凝集を抑制する分散剤等の任意の成分を含んでいてもよい。分散剤は、後工程の乾燥、熱処理工程で気化するものが好適である。このような分散剤として、例えば、アンモニアが挙げられる。
本発明の電極材料において、炭素系導電補助材(単に「導電補助材」と記載する場合がある。)は、本発明の電極材料に含まれ、電極を形成した際に電子伝導性を向上させる役割を有し、かつ、電極の骨格としての役割を有する。
炭素系導電補助材は相互接触性がよく、優れた電子伝導性を有するため、電子伝導性酸化物担体が固定化された炭素系導電補助材を使用して製造された電極材料を用いて、燃料電池用電極や水電解用電極を構成した際に、炭素系導電補助材が互いに接触して低抵抗の導電パスが形成され、電子伝導性に優れた電極となる。すなわち、電子伝導性酸化物に起因する電気化学的酸化への優れた耐久性と、炭素系導電補助材に起因する優れた電子伝導性を併せ持つ電極材料を製造することができる。
また、本発明の電極材料において、電極形成時の骨格としての役割は、炭素系導電補助材が担い、電子伝導性酸化物は炭素系導電補助材に担持される構成であることから、電子伝導性酸化物に由来する電気抵抗を低減できる。このため、電子伝導性酸化物担体が固定化された炭素系導電補助材を用い電極材料を製造することで、電気抵抗が低減された電極材料を得ることができる。
本発明の電極材料における炭素系導電補助材は、二次電池や燃料電池に使用される任意の炭素系導電材料を使用することができる。その形状や大きさは、電極の使用目的等を考慮して適宜選択できるが、燃料電池用電極等のガス拡散電極用途では、電極を形成した際の電極内の電気伝導性とガス拡散性が求められる。そのため、電気伝導性とガス拡散性とを両立させるために、炭素系導電補助材が粒子状である場合には、粒径0.03~500μm程度であり、繊維状である場合、直径2nm~20μm、全長0.03~500μm程度であることが好適である。
炭素系導電補助材は、特に導電性に優れる結晶性が高い炭素材料を好適に使用することができる。
炭素材料として、カーボンナノチューブや気相成長炭素繊維等の繊維状炭素も使用できるが、特に高黒鉛化カーボンブラックを好適に使用できる。炭素材料が、高結晶性、高純度であると化学的安定性に優れるため好ましい。
高黒鉛化カーボンブラック(Graphitized Carbon Black, GCB)は、カーボンブラックを高温黒鉛化炉で熱処理(例えば、2500℃以上)して黒鉛化(結晶化)したものである。黒鉛化の程度は、例えば、ラマン分光法で評価することができ、好適にはラマン分光法により求めたR値が1.10以下であるものが好適に使用される。R値は、黒鉛の結晶化度を示す指標であり、1360cm-1及び1580cm-1のラマンバンドの相対強度比(I1360/I1580)である。
高黒鉛化カーボンブラックは自作品、市販品のいずれでも使用できる。好適な市販品を例示すると、キャボット社の「GCB」シリーズ(品番:GCB200等)や、東海カーボン社製の「トーカブラック」シリーズ(品番:トーカブラック#3800等)などが挙げられる。
本発明で使用される炭素系導電補助材は、1種類でもよいし、または大きさ(粒径、繊維径及び繊維長さ)や結晶性等の異なる2種以上の炭素材料を任意の割合で使用してもよい。
工程(1)で使用される溶媒(分散媒)は、水系溶媒である。上述の通り、水系溶媒は、水または水と相溶可能な有機溶媒との混合溶媒(好適には水を70体積%以上含む)を意味する。水と相溶可能な有機溶媒としては、例えば、エタノール等の低級アルコールが挙げられる。
本発明の電極材料の製造方法では、使用する炭素系導電補助材への電子伝導性酸化物の担持量は、特に限定されず、電子伝導性酸化物担体が固定化された炭素系導電補助材において、電子伝導性酸化物の担持量は粒径や表面積等の電子伝導性酸化物の物性、電子伝導性酸化物の製造方法によっても最適値がかわるため、十分な量の貴金属触媒が析出できる範囲で適宜決定される。
そのため、工程(1)で調製される溶液に含まれる電子伝導性酸化物と炭素系導電補助材の割合(濃度)は、電極材料として目的とする電子伝導性酸化物の担持量になるような仕込み量で適宜決定すればよい。
電子伝導性酸化物の担持率は、酸化スズの場合を例示すると、炭素系導電補助材と電子伝導性酸化物の合計を100重量%としたときに、通常、電子伝導性酸化物が5~95重量%であり、好ましくは20~95重量%であり、より好ましくは45~95重量%である。電子伝導性酸化物の担持量が少なすぎると、工程(3)において十分な量の貴金属触媒を析出させることができないおそれがある。電子伝導性酸化物の担持量が多すぎると、凝集して粒径が大きくなりすぎ、電子伝導性酸化物に起因して電極材料の電気抵抗が高くなる場合がある。
また、本発明の目的を損なわない範囲で、工程(1)で調製される溶液は、電子伝導性酸化物ゾル、炭素系導電補助材以外の成分を含んでいてもよい。
例えば、電子伝導性酸化物及び炭素系導電補助材の分散性を高めるための分散剤は、後工程の乾燥、熱処理工程で気化するものが好適である。
均一になるまで混合された電子伝導性酸化物と炭素系導電補助材を含む溶液は、溶媒を留去させて乾燥される。乾燥方法として、溶媒を留去させて乾燥する方法を採用することによって、炭素系導電補助材に高分散に一次粒子径5nm以下の電子伝導性酸化物を担持させることが可能となる。
ここで、「溶媒を留去させて乾燥する」とは、減圧することによって溶媒を積極的に蒸発させて乾燥することを意味する。
具体例を挙げると、ロータリーエバポレータ等の減圧装置を使用し、電子伝導性酸化物を含むゾルと炭素系導電補助材を含む溶液を、減圧して乾燥させる方法(本明細書において「蒸発乾固法」と称する場合がある)や、電子伝導性酸化物を含むゾルと炭素系導電補助材を含む溶液を、凍結させた後に、得られた凍結物を真空状態にし、凍結物中の溶媒を昇華させることで乾燥状態にする方法(本明細書において「凍結乾燥法」と称する)が挙げられる。
本発明の製造方法においては、凍結乾燥法が、炭素系導電補助材により高分散に電子伝導性酸化物を担持できるので好ましく採用される。
凍結乾燥法では、電子伝導性酸化物を含むゾルと炭素系導電補助材を含む混合溶液を、液体窒素等の冷媒で急速凍結し、凍結状態のまま減圧して分散媒を昇華させて乾燥する。
凍結乾燥において、減圧時の圧力は、200Pa以下であることが好ましい。
<工程(2)>
工程(2)は、工程(1)で得られた乾燥物を熱処理し、前記電子伝導性酸化物が担持された前記炭素系導電補助材を得る工程である。
工程(1)で得られた乾燥物は、粒子状の電子伝導性酸化物が炭素系導電補助材に分散担持される形態で仮固定されている。そこで、工程(2)により、熱処理を行い炭素系導電補助材への固着力を高める。また、熱処理によって、電子伝導性酸化物の結晶性が高まったり、粒子間の結合性が向上することによって、電子伝導性が向上する傾向にある。
熱処理方法は、本発明の目的を損なわない限り条件で適宜決定される。すなわち、熱処理条件は、電子伝導性酸化物の還元や、炭素系導電材料の酸化分解が進行しない雰囲気、温度で行われる。熱処理温度や熱処理時間は、電子伝導性酸化物の電子伝導性と、炭素系導電補助材への固着力のバランスを考慮した上で、適宜決定される。電子伝導性酸化物が、酸化スズの場合、熱処理温度が200~300℃であることが好ましい。熱処理時間は、通常、0.5~3時間程度である。
<工程(3)>
工程(3)は、工程(2)で得られた前記電子伝導性酸化物が担持された前記炭素系導電補助材を、貴金属前駆体化合物を含む溶液を均一になるまで混合し、乾燥後、熱処理する工程である。
本発明の電極材料において、電極触媒となりうる貴金属としては、例えば、Ru,Ir,Pd,Rh,Os,Au,Agから選択される貴金属、及びこれらの貴金属を含む合金が挙げられる。
なお、「貴金属を含む合金」とは「上記の貴金属のみからなる合金」と、「上記の貴金属とそれ以外の金属からなる合金で上記の貴金属を10質量%以上含む合金」を含む。貴金属と合金化される上記「それ以外の金属」は、特に限定されないが、Co,Ni,Ti,W,Ta,Nb,Snを好適な例として挙げることができ、これらは1種類あるいは2種類以上を使用してもよい。
なお、これらの貴金属の中でも、Pt及び/又はPtを含む合金は、固体高分子形燃料電池の作動温度である80℃付近の温度域において、酸素の還元に対する電気化学的触媒活性が高いため、好適に使用される。
本発明の製法方法では、本発明の目的を達成できるのならば、貴金属触媒粒子の前駆体(貴金属前駆体化合物)として任意の化合物を使用でき、白金アンミン錯体等の貴金属元素とアンモニアとの錯体等も使用できるが、好適には貴金属アセチルアセトナートを使用することができる。
貴金属前駆体化合物として、貴金属アセチルアセトナートを使用する担持方法(以下、「貴金属アセチルアセトナート」と称す場合がある)であれば、微粒子状の貴金属触媒を、光励起させることなく、電子伝導性酸化物の表面に析出させることができる。
本発明の電極材料の製造方法では、上記貴金属に対応するアセチルアセトナート化合物を前駆体として使用できる。
貴金属前駆体化合物は1種でもよいが、2種以上を用いてもよく、2種以上の貴金属前駆体化合物を使用する場合、金属種は同じであっても異なってもよい。
貴金属前駆体化合物は、例えば、Ptの前駆体としては、白金アセチルアセトナート、白金ヘキサフルオロアセチルアセトナート等を用いることができる。
貴金属前駆体化合物の濃度は、本発明の目的を損なわない範囲で、電子伝導性酸化物担体及び犠牲触媒の濃度や貴金属前駆体化合物の金属種等に応じて適宜決定される。貴金属前駆体化合物は、電子伝導性酸化物に対して多すぎると貴金属触媒が凝集して析出しやすくなる一方で、少なすぎると得られる電極材料の触媒活性が不十分なものとなるおそれがある。
工程(3)において、貴金属触媒が微粒子状で析出する場合、微粒子の平均粒径は4nm以下であり、好ましくは平均粒径3nm以下である。このようにすることで、少ない貴金属の量であっても、大きな表面積を確保できる。
なお、「平均粒径」とは、電子顕微鏡観察より調べられる任意の粒子状の貴金属触媒(50個)の粒子径を平均した値である。2以上の粒子状の貴金属触媒が連結している場合は、それぞれの粒子について粒子径を求め、他の粒子の粒子径とあわせて平均値を算出する。また、形状が球状以外の場合は、粒子における最大長を示す方向の長さをその粒子径とする。
工程(3)では、熱処理工程を行うことで、析出した貴金属触媒の活性を高めることができる。熱処理温度や時間は、貴金属触媒粒子が過度に凝集しない温度になるように適宜設定される。
以上、本発明について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。特に、今回の開示において、明示的に開示されていない事項、例えば、操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定される
ものではない。なお、以下の実施例及び図面の説明において、高黒鉛化カーボンブラックを「GCB」と表記し、Ptアセチルアセトナートを「Pt(acac)2」と表記し、「酸化スズ粒子を担持した高黒鉛化カーボンブラック」を、電極材料(電極触媒未担持)と記載する場合がある。また、PtとSn酸化物を担持したGCBを「Pt/SnO/GCB」と記載する場合がある。
1.電極材料の作製
実施例の電極材料として、以下の実施例1、2の電極材料を製造した。作製手順のフローチャートを図2に示す。
使用した導電補助材、貴金属前駆体化合物、電子伝導性酸化物は以下の通りである。
<導電補助材>
導電補助材として、以下の物性を有する高黒鉛化カーボンブラック(GCB)(キャボット社製、GCB200)を使用した。
<貴金属前駆体化合物>
貴金属前駆体化合物として、Ptアセチルアセトナート(Pt(C5H7O22、Platinum(II) acetylacetonate,97%,Sigma Aldrich)を使用した。
<電子伝導性酸化物>
電子伝導性酸化物として、酸化スズゾル(多木化学製「セラメースS-8」;SnO2換算酸化スズ含有率:8.2wt%、一次粒子径:2nm、二次粒子径:8nm、pH:10、溶媒:水、分散剤:アンモニア)を使用した。
<実施例1>
工程(1)
実施例1の工程(1)では、蒸発乾固法で酸化スズ粒子を担持したGCBを調製した。
まず、ナスフラスコに入れた純水(10mL)中に導電補助材であるGCBと酸化スズゾルであるセラメースを入れて、超音波撹拌機で撹拌した。セラメース(酸化スズゾル)の仕込み量は、電極材料全体に対するSnO2担持量として30wt%となるようにした。次いで、試料が入ったナスフラスコを減圧機能と回転機能が備わったロータリーエバポレータにセットし、超音波をかけながら減圧し溶媒を蒸発させて留去し、粉末を完全に乾燥させ、乾燥物を得た。
工程(2)
工程(1)で得られた乾燥物を粉砕後、N2雰囲気下で、昇温速度1℃/分、250℃で1時間保持の条件で熱処理を施すことで、酸化スズ粒子が担持されたGCBからなる実施例1の電極材料(電極触媒未担持、SnO/GCB)を得た。
工程(3)
工程(2)で得られた実施例1の電極材料(電極触媒未担持)に、白金アセチルアセトナート法により、電極触媒粒子であるPt触媒粒子を担持した。Pt前駆体(Pt(acac)2)の量は、Ptが20wt%になるようにした。
ナスフラスコに、酸化スズ粒子を担持したGCBからなる実施例1の電極材料(電極触媒未担持)およびPt前駆体を加え、さらにアセトンを加え溶解させた。次いで、ナスフラスコを氷冷しながら、超音波撹拌装置にて、溶媒が全て揮発するまで撹拌して、乾燥粉末を得た。次いで、得られた乾燥粉末をN2雰囲気下で、210℃で3時間、240℃で3時間還元処理を施すことで、実施例1の電極材料(Pt/SnO/GCB)を得た。
<実施例2>
工程(1)
実施例2の工程(1)では、凍結乾燥法で酸化スズ粒子を担持したGCBを調製した。
所定の容器に入れた純水(10mL)中に導電補助材であるGCBと酸化スズゾルであるセラメースを分散させ、超音波撹拌機で撹拌した。セラメース(酸化スズゾル)の仕込み量は、電極材料全体に対する担持量として30wt%となるようにした。
撹拌後の溶液を液体窒素で凍結させて得られた凍結物を、凍結乾燥器(アズワン株式会社、型番:FDU-12AS)を用いて凍結物中の溶媒を昇華させることにより、溶媒を留去して乾燥粉末を得た。凍結乾燥機による昇華の際の条件は、約-50℃、約100Paである。
工程(2)
工程(1)で得られた乾燥物を粉砕後、実施例1と同様の条件(N2雰囲気下で、昇温速度1℃/分、250℃で1時間保持)で熱処理を施すことで、酸化スズ粒子が担持されたGCBからなる実施例2の電極材料(電極触媒未担持、SnO/GCB)を得た。
工程(3)
工程(2)で得られた実施例2の電極材料(電極触媒未担持)に、実施例1と同様の白金アセチルアセトナート法及び熱処理条件で処理し、実施例2の電極材料(Pt/SnO/GCB)を得た。
2.物性評価
2-1.電極材料(電極触媒未担持)の評価
(1)酸化スズ粒子の担持率
熱分析装置(株式会社リガク製、ThermoPlus TG8120)を用いて、実施例1,2の電極材料(電極触媒未担持)を、大気雰囲気下で200℃まで昇温し、昇温前後の質量差をから酸化スズ粒子の担持率を求めた。
酸化スズ粒子の担持率は、実施例1の電極材料が30.4wt%、実施例1の電極材料が30.4wt%、27.2wt%であった。
(2)微細構造評価
実施例1,2の電極材料(電極触媒未担持)を、走査型電子顕微鏡(FE-SEM、株式会社日立ハイテクノロジーズ、S-5200)で観察した。実施例1の電極材料(電極触媒未担持)のFE-SEM像を図3、実施例2の電極材料(電極触媒未担持)のFE-SEM像を図4に示す。
図3及び図4の対比から、凍結乾燥法を用いた実施例2の電極材料(電極触媒未担持)の方が、蒸発乾固法を用いた実施例1の電極材料(電極触媒未担持)よりも、SnO粒子がより高分散に担持される傾向があることが認められた。
2-2.電極材料(電極触媒あり)
(1)X線回折法(XRD)による評価
実施例1,2の電極材料について、XRD測定を行い、Pt及びSnOの結晶性及び粒径(結晶子径)を評価した。図5に実施例1の電極材料、図6に実施例2の電極材料のXRDパターンをそれぞれ示す。
実施例1,2の電極材料のいずれもPtのピーク及びSnOのピークが認められ、それぞれで結晶性の高い粒子が存在していることが確認された。
また、Scherrer法により求めた、Pt粒子及びSnO粒子の結晶子径を求めた。表1に実施例1の電極材料、表2に実施例1の電極材料のPt粒子及びSnO粒子の結晶子径を示す。いずれの条件で調製した電極材料についても、2nm程度の結晶子径を有するPt微粒子及びSnO粒子が形成されていることが明らかになった。
Figure 0007246704000001
Figure 0007246704000002
(2)微細構造評価
実施例1の電極材料のFE-SEM像を図7、STEM像を図8に示す。また、実施例2の電極材料のFE-SEM像を図9、STEM像を図10に示す。
図7、8からわかるようにSnO粒子の担持に蒸発乾固法を用いた実施例1の電極材料では、Pt粒子が凝集している部分が確認され、Pt粒子の担持状態にばらつきが見られた。一方、図9、10からわかるようにSnO粒子の担持に凍結乾燥法を用いた実施例2の電極材料では、Pt粒子の凝集が少なく、1~2nm程度のPt粒子が高分散に担持されていることがわかった。
3.電気化学的評価(ハーフセル)
3-1.電気化学的表面積(ECSA)の評価
実施例1,2の電極材料について、サイクリックボルタンメトリー(CV)を行い、CVから求めた水素吸着量から電気化学的表面積(ECSA)を算出した。なお、ECSAは、電極材料に含まれるPtの有効表面積に相当する。
CVの測定条件は以下の通りである。なお、1原子のPtに付き 1原子のHが吸着すると仮定すると210μC/cm2の電気量となる。

測定:三電極式セル(作用極:電極材料/GC、対極:Pt、参照極:Ag/AgCl)
電解液:0.1M HClO4(pH:約1)
測定電位範囲:0.05~1.2V(可逆水素電極基準)
走査速度 :50 mV/s
水素吸着量:0.05~0.4Vの水素吸着を示すピーク面積から算出
電気化学的表面積(ECSA):下記式より算出

ECSA=(水素吸着量)[μC] / 210[μC/cm2]
実施例1,2の電極材料のCVにおいて水素の吸脱着に由来するピークが観察された(図示せず)。CVから求めた実施例1,2の電極材料の電気化学的表面積(ECSA)の評価結果を図11に示す。
図11に示されるように、実施例1の電極材料のECSAは68.4m-2-1、実施例2の電極材料のECSAは80.8m-2-1であった。
標準触媒として使用される田中貴金属工業株式会社製Pt担持カーボン(Pt/C、品番:TEC10E50E、Pt担持率46wt%)のECSAは84.2m-2-1であることから、実施例2の電極材料は標準触媒に匹敵するほどのECSAを有していることが確認された。上記の微細構造評価では、実施例2の電極材料におけるPt粒子の粒径は1~2nm程度と非常に小さく、高分散担持され、ECSA、すなわち、Pt有効表面積が増大したことに起因していると判断した。
3-2.ORR活性の評価
実施例1,2の電極材料について、ORR活性を評価した。
ORR活性は、回転ディスク電極法(RDE法)でリニアスイープボルタンメトリー(LSV)を行い、得られる活性化支配電流(ik)を基に算出するMass activity(単位Pt質量当たりの活性)を指標とした。

Mass activity = i / 電極上のPt質量

活性化支配電流(ik)は、回転電極測定によって得られた電流-電位曲線について、任意の電位においてi-1とω-1/2でプロットして得られるKoutecky-Levichプロットを作成し、得られた直線を外挿することによって切片から求めた。
具体的な手順として、まず、O2を50mL/分で30分間バブリングした後、0.2VRHEから貴な方向に向けて10mV/sで1.20VRHEまで電位を走査し、測定を行なった。なお、測定中は常にO2を50mL/分でパージした。なお、VRHEは可逆水素電極(RHE)基準の電位である
図12に、実施例1,2の電極材料のMass activityの評価結果を示す。
図12の通り、実施例1の電極材料のMass activityは82.9Ag-1、実施例2の電極材料のMass activityは152.5Ag-1であった。このようにSnO粒子の担持に凍結乾燥法を用いた実施例2の電極材料のMass activityは、蒸発乾固法を用いた実施例1の電極材料と比較してはるかに大きく、標準触媒(Pt/C、Mass activity:168Ag-1))に匹敵することが確認された。
本発明の電極材料によれば、優れた電子伝導性とガス拡散性、優れた耐久性を有する電極を供することができる。当該電極は、長期運転が必要である固体高分子形燃料電池用の電極に好適である。

Claims (6)

  1. 炭素系導電補助材に担持された電子伝導性酸化物の表面に、微粒子状の貴金属触媒が担持された構造を有する電極材料の製造方法であって、以下の工程(1)~(3)を含む製造方法。
    工程(1):一次粒子径5nm以下の電子伝導性酸化物を含むゾルと、炭素系導電補助材とを水系溶媒中で均一になるまで混合した後に、溶媒を留去させて乾燥させる工程
    工程(2):工程(1)で得られた乾燥物を熱処理し、前記電子伝導性酸化物が担持された前記炭素系導電補助材を得る工程
    工程(3):前記電子伝導性酸化物が担持された前記炭素系導電補助材を、貴金属前駆体化合物を含む溶液を均一になるまで混合し、乾燥後、熱処理する工程
  2. 工程(1)において、溶媒を留去させる方法が、凍結乾燥法である請求項1に記載の電極材料の製造方法。
  3. 前記電子伝導性酸化物が、酸化スズを主体とする電子伝導性酸化物である請求項1または2に記載の電極材料の製造方法。
  4. 前記炭素系導電補助材が、高黒鉛化カーボンブラックである請求項1から3のいずれかに記載の電極材料の製造方法。
  5. 工程(3)において、前記貴金属前駆体化合物が、貴金属アセチルアセトナートである請求項1から4のいずれかに記載の電極材料の製造方法。
  6. 記電子伝導性酸化物の表面に平均粒径4nm以下の微粒子状となるよう貴金属触媒担持する請求項1から5のいずれかに記載の電極材料の製造方法
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