JP5146105B2 - 固体高分子型燃料電池用触媒 - Google Patents

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Description

本発明は、固体高分子型燃料電池用触媒に関するものである。
固体高分子型燃料電池は、水素を燃料とするクリーンな電源として、電気自動車の駆動電源、また、発電と熱供給を併用する定置電源として開発が進められている。また、固体高分子型燃料電池は、リチウムイオン電池など二次電池と比較して高いエネルギー密度が特徴であり、携帯用コンピュータあるいは移動用通信機器の電源としても開発が進められている。
固体高分子型燃料電池の電源部分は、アノード(燃料極)とカソード(空気極)、および両極間に配したプロトン交換性(プロトン伝導性)の固体高分子電解質膜が基本構成となる。アノードおよびカソードは、通常、白金などの貴金属を担持した触媒、フッ素樹脂紛などの造孔剤、および固体高分子電解質等からなる薄膜電極である。
固体高分子型燃料電池では、前述のように高エネルギー密度、すなわち、単位電極面積当たりの出力が高いことが求められる。そのためには、アノードとカソードを構成する電極触媒の電気化学反応の触媒活性を向上させることが有効な手段の一つである。ここで、電気化学反応の触媒活性とは、水素を燃料とするアノードでは、水素分子が水素カチオン(プロトン)に酸化する電気化学的反応における触媒活性である。一方、カソードでは、電気化学反応の触媒活性とは、固体高分子電解質から来るプロトンと酸素が反応して酸素が水に還元される電気化学反応における触媒活性である。このような固体高分子型燃料電池のアノードとカソードの電極触媒には、白金などの貴金属が用いられる。しかしながら、白金をはじめとして貴金属は高価であるので、固体高分子型燃料電池の実用化や普及を加速するために電極単位面積当たりの使用量の低減が求められ、その為には上記触媒活性の更なる向上が必須である。更に、燃料電池として使用した場合には、起動停止や高負荷運転によって、触媒活性成分の白金が溶出したり、カーボン担体が腐食したりすることが知られており、白金の溶出やカーボン腐食を妨げる耐久技術も非常に重要になっている。
電極触媒となる触媒粒子の耐久性については、これまで、触媒活性を有する金属粒子の合金化や粒子径のばらつきの制御によって改善が図られてきた。例えば、特許文献1では、白金を希土類元素と合金化し、更にその20質量%以上を金属間化合物にした上で、電子顕微鏡で調べた触媒金属粒子の80質量%以上の粒子径を1〜20nmの範囲内に制御することで、白金と希土類元素との共有結合性の結合の形成により、溶解、再析出による触媒粒子の成長を著しく抑制する作用があることが開示されている。
また、特許文献2では、触媒活性を有する金属粒子の平均粒子径をXとしたとき、ある任意の触媒金属粒子Aに対して、隣接する3つ以上の触媒金属粒子の重心が触媒金属粒子Aの重心と0.5X〜2Xの距離の範囲になるように担体に担持されていることと、触媒金属粒子の粒子径のばらつきを0.75X〜1.5Xの範囲に制御することなどによる耐久性に優れた電極触媒が開示されている。触媒金属粒子の粒子間距離を制限する理由は、隣接粒子間の距離が開き過ぎると、担体となる導電性材料表面の暴露面積が大きくなりすぎ、導電性材料表面と水が接触する可能性が高くなり、高電位での運転条件で導電性材料の腐食劣化が著しく生じ、逆に、隣接粒子間の距離が短すぎると触媒金属粒子同士の接触が増え、燃料又は酸化剤ガス、電極触媒、電解質との三相界面が小さくなり、触媒活性が低下するため好ましくないからとしている。一方、触媒金属粒子の粒子径のばらつきの制限については、ばらつきが大きいと小さい粒子が溶出し、電解質膜中や大きな粒子の表面に再析出し、膜の劣化を促進したり、触媒活性を有する金属粒子の比表面積を低下させ、比活性の低下を引き起こす原因になるからであるとしている。
特開平10−214630号公報 特開2007−222732号公報
上述のように、固体高分子型燃料電池用触媒の耐久性を向上させる試みの1つとして、触媒活性成分の金属粒子の粒子径分布の幅(粒子径のばらつきの幅)を狭くすることが挙げられる。粒子径の分布を測定する手段としては、上記特許文献にもあるように、透過型電子顕微鏡で得られた像から100〜1000個程度の粒子の粒子径を調べるのが一般的である。しかしながら、前記方法で判断しながら、粒子径分布の幅が狭い触媒を作製しても耐久性は優れていない場合があった。また、逆に、粒子径分布の幅が広い触媒であっても耐久性が優れている場合が散見されていた。本発明者らは、前記問題を詳細に検討した結果、触媒活性成分の金属粒子全体に近いマクロ的な粒子径分布の幅が、透過型電子顕微鏡で判断される局所的な粒子径分布の幅と必ずしも一致していないことが原因であることを明らかにした。つまり、透過型電子顕微鏡像から得られる粒子径分布は、どのように多くの触媒金属粒子の粒子径を測定したとしても、測定領域には限界があり触媒金属粒子全体に近いマクロ的な粒子径分布を表わすことが出来ないのが原因である。一方、触媒金属粒子全体に近いマクロ的な平均粒子径を測定できる方法として、粉末X線回折測定によって得られたピークの半価幅から見積る手法がある。しかしながら、前記方法では、マクロ的な触媒金属粒子群の粒子径の平均値が得られるが、粒子径分布の幅を見積ることはできなかったので、触媒活性成分の金属粒子全体に近いマクロ的な粒子径分布の幅の狭い触媒を作製することは出来なかった。
本発明は、上記問題点を鑑み、触媒活性成分の金属粒子全体の粒子径分布に近いマクロ的な粒子径分布を把握し、マクロ的な粒子径分布の幅を狭くし、従来の電極触媒に比べて、耐久性に優れた固体高分子型燃料電池用触媒を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記のように、透過型電子顕微鏡像から得られる粒子径分布は触媒活性成分の金属粒子中の局部的なものであり、必ずしも、触媒金属粒子全体に近いマクロ的な粒子径分布を表していないことを見出し、むしろ、X線回折(XRD)測定から得られる触媒金属粒子全体情報を含むスペクトルを使用して、マクロ的な粒子径分布の幅を特定の範囲にした触媒が、高活性で、且つ、耐久性に優れることを見出した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)炭素担体に金属元素として白金を含む触媒活性成分を担持した触媒であって、金属担持量が10質量%〜80質量%であり、X線回折測定で得られたスペクトルのバックグラウンドを削除した上で、白金の面心立方格子の(111)ピークをガウス関数とローレンツ関数の和として、前記(111)ピークの高さに対する1/4高さでのピーク幅と3/4高さでのピーク幅からそれぞれ得られる1/2高さでの2つピーク幅を用いて、Scherrerの式で求めた白金の粒子径D1/2(h/4)と粒子径D1/2(3h/4)との比D1/2(h/4)/D1/2(3h/4)が0.9以上1.1以下であることを特徴とする固体高分子型燃料電池用触媒。
(2)前記白金の面心立方格子の(111)ピークの半値幅を用いて、Scherrerの式で求めた白金の粒子径D1/2が、3.0〜6.0nmであることを特徴とする請求項1記載の固体高分子型燃料電池用触媒。
(3)前記金属担持量が、20質量%〜80質量%であることを特徴とする請求項1記載の固体高分子型燃料電池用触媒。
本発明の固体高分子型燃料電池用触媒は、従来の触媒に比べて、触媒金属粒子全体に近いマクロ的に粒子径の揃った触媒金属粒子を有し、その結果として、高い触媒活性を持ち、更に、特に耐久性に優れるという効果がある。前記触媒を用いた電極を固体高分子型燃料電池に使用すると、エネルギー密度の高いコンパクトな燃料電池セルスタックが達成でき、携帯用コンピュータあるいは移動用通信機器の電源としても実用できるサイズになる。また、高触媒活性であることと耐久性に優れることから、貴金属の使用量を低減でき、大幅な低コスト化を実現でき、固体高分子型燃料電池の商業的な市場普及を加速することができる。
本発明の固体高分子型燃料電池用触媒は、触媒活性成分である金属粒子に関し、X線回折(XRD)測定で得られるスペクトルから算出される触媒金属粒子全体に近いマクロ的な粒子径分布の幅を、特定の範囲にしたものである。XRDスペクトルの回折ピークから、マクロ的な触媒金属粒子の粒子径分布の幅を表す指標を導出する手順を以下に記す。
まず、XRDスペクトルのバックグラウンドを削除する。これは、特に、触媒の金属担持量や触媒担体が異なっていたり、XRD用サンプルホルダーに入れた触媒量が異なっていた場合などに、バックグラウンドを削除しないと金属由来のピークの幅を正確に定義することができなくなるからである。次に、白金の面心立方格子(fcc、face-centered cubic)の(111)ピークの頂点の高さに対する1/4高さでのピーク幅β1/4と、同3/4高さでのピーク幅β3/4を求める。更に、XRDスペクトルのピークがガウス関数とローレンツ関数の和で表せるとして、ピーク幅β1/4とピーク幅β3/4から、それぞれ、ピークの頂点の高さに対する1/2高さに相当するピーク幅(半価幅)を求める。ここで、ピーク幅β1/4とピーク幅β3/4とから半価幅を求める理由は、後述するように、粒子径分布の幅を判断するためである。尚、1/4高さでのピーク幅β1/4と3/4高さでのピーク幅β3/4から、それぞれ、1/2高さでのピーク幅β'1/4とβ'3/4を求める式は、下記の通りである。
1/4高さでのピーク幅から算出する1/2高さでのピーク幅:
Figure 0005146105

3/4高さでのピーク幅から算出する1/2高でのピーク幅:
Figure 0005146105
求められたピーク幅β'1/4とピーク幅β'3/4から、下記Scherrerの式で、それぞれ粒子径D1/2(h/4)と粒子径D1/2(3h/4)を求める。ここで、粒子径D1/2(h/4)及び粒子径D1/2(3h/4)は、いずれも白金の粒子径を表すものである。
Figure 0005146105

D:結晶子の大きさ(Å[×10-1nm])
K:Scherrer定数
λ:使用X線管球の波長(Å[×10-1nm])
β:結晶子の大きさによる回折線の拡がりの幅(Radian)
θ:回折角 2θ/2 (degree)
前記2つの粒子径の比D1/2(h/4)/D1/2(3h/4)が、白金の粒子径分布の幅を表す指標となる。式3で、それぞれ、粒子径を求めなくても、式1と式2を式3に代入して求められる下記式4から、D1/2(h/4)/D1/2(3h/4)が直接求められる。
Figure 0005146105
ここで、ピークの頂点での高さに対する1/4高さでのピーク幅β1/4と3/4高さでのピーク幅β3/4から粒子径D1/2(h/4)と粒子径比D1/2(3h/4)をそれぞれ見積るのは、次のような理由である。前記2種類のピーク幅を決める2つの高さが1/2に近すぎると、好ましい粒子径分布を持っていない場合(粒子径分布の幅が広い場合)でも、2つの高さでのピーク幅から求めた粒子径が殆ど同じになってしまい、粒子径分布の幅が認識できない。逆に、前記2種類のピーク幅を決める2つの高さが1/2から離れすぎると、例えば、頂点近くと底辺近くである場合には、測定やバックグラウンド除去の誤差の影響が出て、2つのピーク幅から求められるそれぞれの粒子径の誤差が大きくなるため適切ではない。したがって、2種類のピーク幅を求めるピーク高さを、ピークの頂点での高さに対して1/4と3/4とした。前記のように、ピーク高さ1/4と3/4におけるピーク幅からそれぞれ2つの半価幅を求め、2種類の粒子径D1/2(h/4)とD1/2(3h/4)を算出して比較することは、次のようなことを意味する。XRDの回折ピークが粒子径分布を持たない粒子群からであるとすると、理想的なピーク形状になり、ピーク高さ1/4と3/4におけるピーク幅からそれぞれ求めた2つの半価幅より算出される粒子径D1/2(h/4)とD1/2(3h/4)は、同じになる。即ち、D1/2(h/4)/D1/2(3h/4)=1となる。しかしながら、粒子径の異なる粒子群によるXRD回折ピークでは、ピーク形状が理想形状からずれてくる。その結果、ピーク高さの異なるピーク幅から2つの半価幅を求め、前記半価幅からそれぞれ粒子径D1/2(h/4)とD1/2(3h/4)を求めて比較すると、一致しなくなる。したがって、粒子径の比D1/2(h/4)/D1/2(3h/4)を見ることによって、粒子径分布の幅が判断できるわけである。よって、触媒活性成分である金属粒子の粒子径分布の幅が狭くて、耐久性に優れた触媒として、好ましい粒子径分布を持つ場合に示すD1/2(h/4)/D1/2(3h/4)の値の範囲は、0.9以上1.1以下である。即ち、D1/2(h/4)/D1/2(3h/4)は、前記のように、粒子径分布を持たない理想値1からのずれが±0.1の範囲内である。
更に、本発明の触媒金属粒子の粒子径は、3.0nm〜6.0nmの範囲がより好ましい。前記粒子径は、XRDスペクトルにおける白金のfccの(111)ピークの半値幅(1/2高さでのピーク幅)を用いて、上記Scherrerの式で求めた粒子径D1/2である。ここで、本発明の白金とは、白金元素のみからなる金属である必要はなく、白金の他にクロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ロジウム、パラジウム、銀、イリジウム、ルテニウムなどを合金元素として含む金属であっても構わない。
本発明で使用する炭素担体は、特に限定されないが、微細な微粒子を均一分散させるために、BET法による窒素吸着比表面積が200m2/g以上であることが好ましい。更には、500m2/g以上であることがより望ましい。BET法による窒素吸着比表面積が200m2/g未満であると、特に触媒中に含まれる白金の担持量が50質量%以上になった場合に、金属元素として白金のみを含む触媒活性成分の炭素担体上での均一分散性が低下することがある。一方、2500m2/gを超えると炭素材料の電子伝導性が低下して電極触媒としては不適当になる場合がある。また、本発明の炭素担体は、非晶質、黒鉛のどちらでもよく、結晶性や黒鉛化度にも限定されない。
本発明において、白金を含む金属の担持量は、触媒の全質量に対して、金属換算で10質量%〜80質量%である。10質量%未満では、担持される触媒成分が少なくなるために、燃料電池の電極部分を構成した際の触媒層の単位厚みでの出力が減少する。そのため、高出力を得るには触媒層を厚くする必要があり、生成水の除去が困難になり、電池性能が低下するだけでなく、運転時に触媒層に含まれる水分量が増加して耐久性も低下する。一方、80質量%を越えると、触媒活性成分を高密度分散させることが困難で触媒活性が低下し、また、触媒金属粒子同士が凝集しやすくなって耐久性も低下する。より好ましくは、20質量%〜80質量%であり、更に好ましくは、20質量%〜70質量%である。
白金の他に、触媒活性成分として、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ロジウム、パラジウム、銀、イリジウム、ルテニウムから選ばれる1種以上の金属元素をさらに含有することができる。これらの金属は白金との複合体であっても、合金であっても構わない。更には、これらの金属と有機化合物や無機化合物との錯体であっても構わない。白金が触媒活性を示すには面心立方格子であることが必要であるが、その条件の下では、白金以外の金属の含有量はいくらであっても構わない。尚、触媒活性成分として白金以外の金属を含む場合でも、触媒活性があるのは白金と合金化した金属が主であることから、本発明のように白金の面心立方格子の(111)ピークを基に得られる比D1/2(h/4)/D1/2(3h/4)を所定の範囲に規定することにより、マクロ的に粒子径の揃った触媒金属粒子を有した触媒とすることができる。
本発明の固体高分子型燃料電池用触媒の製造方法としては、上述のような触媒金属粒子のマクロ的な粒子径分布の幅を狭くでき、本発明の範囲内にできる製造方法であれば、どのような方法でもよいが、塩化白金酸等の金属塩化物、金属硝酸塩、金属錯体を水や有機溶媒などの溶媒に溶解した上で、還元剤で還元して、白金を含む触媒活性成分を炭素担体に担持する(液相吸着する)製造方法が好ましい。前記還元剤としては、例えば、アルコール類、フェノール類、クエン酸類、ケトン類、アルデヒド類、カルボン酸類、エーテル類などが挙げられる。その際に、水酸化ナトリウムや塩酸などを加えてpHを調節し、更に、粒子の凝集を妨げるためにポリビニルピロリドンなどの界面活性剤を添加してもよい。前記製造方法で、触媒金属粒子の粒子径分布の幅を狭くするには、還元剤を希釈して添加して反応容器全体に均一の拡散させる、溶媒の割合を多くする、界面活性剤を特定の範囲で添加する、等によって可能である。溶媒の割合と界面活性剤の添加量によって、触媒金属粒子の粒子径分布の幅を狭くする方法がより再現性よく制御しやすい。前記炭素担体に担持した触媒金属粒子を、更に、再還元処理してもよい。前記再還元処理方法としては、還元雰囲気、若しくは、不活性雰囲気の中で、500℃以下の温度で熱処理を行うのがよい。また、蒸留水中に分散し、アルコール類、フェノール類、クエン酸類、ケトン類、アルデヒド類、カルボン酸類及びエーテル類から選ばれる還元剤で還元することもできる。
本発明の触媒は、電極の構成材料である電解質材料の種類や形態、電極構成に必要なバインダー材料の種類・構造がどのような場合であっても好適に使用でき、これら電極構成材料を特に限定するものではない。
本発明に使用される電解質膜や触媒層中に使用される電解質材料は、リン酸基、スルホン酸基等を導入した高分子、例えば、パーフルオロスルホン酸ポリマーやベンゼンスルホン酸が導入されたポリマー等を挙げることができるが、高分子に限定するものではなく、無機系材料との複合化膜、無機-有機ハイブリッド系の電解質膜等を使用した燃料電池に使用しても差し支えない。特に好適な作動温度範囲を例示するならば、常温〜150℃の範囲内で作動する燃料電池が好ましい。
本発明の触媒を用いて形成した燃料電池用電極で、電解質膜を挟み、さらに、ガス拡散層、セパレーター、燃料ガス流路基板、酸素もしくは空気流路基板、ガスマニホールド等を組み合わせて固体高分子型燃料電池とすることができる。
固体高分子型燃料電池用触媒を以下の方法にて作製した。蒸留水中に0.03mol/Lの塩化白金酸水溶液、0.03mol/Lの塩化コバルト水溶液、0.03mol/Lの塩化クロム水溶液とポリビニルピロリドンを入れ、90℃で攪拌しながら、水素化ホウ素ナトリウムを蒸留水10mLに溶かした上で注ぎ、前記金属塩を還元した。その水溶液に触媒担体炭素材料を添加し、60分間撹拌した後に、濾過、洗浄を行った。得られた固形物を90℃で真空乾燥した後、粉砕して、水素雰囲気中250℃で1時間熱処理することによって、触媒を作製した。ここで、蒸留水量、塩化白金酸量、塩化コバルト量、塩化クロム量、ポリビニルピロリドン量、水素化ホウ素ナトリウム量、触媒担体炭素材料量を表1のように変え、触媒No.1〜15を得た。
得られた触媒No.1〜15について、ICP発光分析によって金属担持量を測定した結果と、XRDの測定によって触媒粒子径(半価幅から求めたD1/2)と、上述のようにXRDの測定によって求めたD1/2(h/4)/D1/2(3h/4)を求めた結果を表2に示す。尚、例として、触媒No.4について、D1/2とD1/2(h/4)/D1/2(3h/4)を求める手順を以下に示す。図1にはX線回折測定で得られたスペクトルのバックグラウンドを削除した後の白金の面心立方格子の(111)ピーク形状を示すが、この図から、ピーク位置が2θ=39.6°、更に、ピーク高さの1/2、1/4、3/4でのピーク幅が、それぞれ、β1/2=2.5°、β1/4=3.8°、β3/4=1.4°と求められた。これらの値を用いて、上記(式3)によってD1/2=3.5nmが得られ、また、上記(式4)によってD1/2(h/4)/D1/2(3h/4)=0.98が得られた。
前記触媒No.1〜15を、それぞれ、アルゴン気流中で5%ナフィオン溶液(アルドリッチ製)を触媒の質量に対してナフィオン固形分の質量が3倍になるように加え、軽く撹拌後、超音波で触媒を粉砕し、触媒とナフィオンを合わせた固形分濃度が、2質量%となるように撹拌しながら酢酸ブチルを加え、各触媒層スラリーを作製した。
前記触媒層スラリーをそれぞれテフロン(登録商標)シートの片面にスプレー法で塗布し、80℃のアルゴン気流中1時間乾燥し、触媒No.1〜15が含有した触媒層を得た。なお、それぞれの触媒層は白金使用量が0.10mg/cm2となるようにスプレー等の条件を設定した。白金使用量は、スプレー塗布前後のテフロン(登録商標)シートの乾燥質量を測定し、その差から計算して求めた。
さらに、得られた触媒層から2.5cm角の大きさで2枚づつ切り取り、触媒層が電解質膜と接触するように同じ種類の電極2枚で電解質膜(ナフィオン112)をはさみ、130℃、90kg/cm2で10分間ホットプレスを行った。室温まで冷却後、テフロン(登録商標)シートのみを注意深くはがし、アノードおよびカソードの触媒層をナフィオン膜に定着させた。更に、市販のカーボンクロス(ElectroChem社製EC-CC1-060)を2.5cm角の大きさに2枚切り取って、ナフィオン膜に定着させたアノードとカソードを挟むようにして130℃、50kg/cm2で10分間ホットプレスを行い、膜/電極接合体(Membrane Electrode Assembly , MEA)15種を作製した(表3のMEA No.1〜15)。
作製した各MEAは、それぞれ燃料電池測定装置に組み込み、電池性能測定を行った。電池性能測定は、セル端子間電圧を開放電圧(通常0.9〜1.0V程度)から0.2Vまで段階的に変化させ、セル端子間電圧が0.8Vのときに流れる電流密度を測定した。また、耐久試験としては、開放電圧に15秒間保持、セル端子間電圧を0.5Vに15秒間保持のサイクルを4000回実施し、その後、耐久試験前と同様に電池性能を測定した。ガスは、カソードに空気、アノードに純水素を、利用率がそれぞれ50%と80%となるように供給し、それぞれのガス圧は、セル下流に設けられた背圧弁で0.1MPaに圧力調整した。セル温度は80℃に設定し、供給する空気と純水素は、それぞれ80℃と85℃に保温された蒸留水中でバブリングを行い、加湿した。
表3に各MEAの電池性能結果と耐久試験後電池性能を示した。本発明の触媒No.3, 4, 5, 7, 8, 10, 11, 13, 14, 15を用いたMEAは、比較例の触媒No.1, 2, 6, 9, 12を用いたMEAに比べて優れた電池性能と耐久性を示した。実施例の中でも、触媒No.3, 4, 5, 7を用いたMEAは、特に優れた電池性能と高い耐久性を示した。このような優れた性能が発揮できるのは、本発明の製造方法によれば、炭素担体に担持された白金を含む金属粒子のサイズ分布が狭く、均一分散しているためである。
本実施例の触媒合成法においては、蒸留水量と界面活性剤の量が粒子径分布に大きく影響を与えることが判明した。特に蒸留水量が少なすぎると粒子径大きくなり、粒子径のばらつき幅を表す指標であるD1/2(h/4)/D1/2(3h/4)は小さくなり、電池性能、特に、耐久性能が著しく低下する。界面活性剤(ポリビニルピロリドン)についても、その量が少なすぎると粒子径分布の幅が大きくなり、電池性能、耐久性能ともに低下する。
Figure 0005146105
Figure 0005146105
Figure 0005146105
本発明の実施例に係る触媒No.4のX線回折測定で得られた白金の面心立方格子の(111)ピークを示す。

Claims (3)

  1. 炭素担体に金属元素として白金を含む触媒活性成分を担持した触媒であって、金属担持量が10質量%〜80質量%であり、X線回折測定で得られたスペクトルのバックグラウンドを削除した上で、白金の面心立方格子の(111)ピークをガウス関数とローレンツ関数の和として、前記(111)ピークの高さに対する1/4高さでのピーク幅と3/4高さでのピーク幅からそれぞれ得られる1/2高さでの2つピーク幅を用いて、Scherrerの式で求めた白金の粒子径D1/2(h/4)と粒子径D1/2(3h/4)との比D1/2(h/4)/D1/2(3h/4)が0.9以上1.1以下であることを特徴とする固体高分子型燃料電池用触媒。
  2. 前記白金の面心立方格子の(111)ピークの半値幅を用いて、Scherrerの式で求めた白金の粒子径D1/2が、3.0〜6.0nmであることを特徴とする請求項1記載の固体高分子型燃料電池用触媒。
  3. 前記金属担持量が、20質量%〜80質量%であることを特徴とする請求項1記載の固体高分子型燃料電池用触媒。
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