JP2008038630A - 内燃機関の流通経路配設部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明に係る吸気装置100は、スロットルバルブ104の外周端面104aと、ボア部102の各部位のうちスロットルバルブ104と対向する対向面102aの両方の部位を、親油成分及び撥油成分が分散した油滑落性の高いコーティング膜110によって被覆した構成とされる。
【選択図】 図1
Description
そこで、下記特許文献1には、スロットルバルブの外周端面と、ボア内壁のスロットルバルブ対向面との少なくとも一方に、非付着性のコーティング膜が形成された吸気装置が開示されている。しかしながら、この特許文献1に記載の吸気装置では、非付着性のコーティング膜の表面に一旦薄い油膜が形成されてしまうとそこを起点としてデポジットが堆積してしまうため、デポジットの堆積を確実に抑えるのが難しいという問題が生じる。従って、予めデポジットの堆積を見込んでスロットルバルブとボア内壁との間のクリアランスを設計する必要があるため、その分スロットバルブの全閉時における漏れ空気量が増加し、結果的に内燃機関のアイドル回転時の燃費が悪化することとなる。また、このようなデポジットの堆積防止に関しては、内燃機関の吸気装置のみならず、内燃機関のガスが流通する流通経路に配設される種々の流通経路配設部材について要請される。
前記課題を解決する本発明の第1発明は、請求項1に記載されたとおりの内燃機関の流通経路配設部材である。
請求項1に記載のこの流通経路配設部材は、内燃機関のガスが流通する流通経路に配設される部材であって、当該流通経路配設部材の基材表面は、親油成分及び撥油成分が分散したコーティング膜によって被覆された構成とされる。
ところで、内燃機関のガスが流通する流通経路に配設される流通経路配設部材においては、ガス中に含まれる油分によって油膜が形成されると、そこを起点としてデポジットが堆積することが懸念される。そこで、本発明では、油膜の形成防止を図ることによってデポジットの堆積を防止するべく、流通経路配設部材に対し、基材表面が親油成分及び撥油成分が分散したコーティング膜によって被覆された被膜部を設ける構成を採用している。本構成に関しては、撥油成分をベースとして、この撥油成分に対し親油成分を分散させてもよいし、或いは親油成分をベースとして、この親油成分に対し撥油成分を分散させてもよい。このようなコーティング膜は、撥油成分による機能と、親油成分による機能の両機能を併せ持つ、いわゆる「ハイブリッドコーティング」とも称呼される。
前記課題を解決する本発明の第2発明は、請求項2に記載されたとおりの内燃機関の流通経路配設部材である。
請求項2に記載のこの流通経路配設部材では、請求項1に記載のコーティング膜は、親油成分であるシリコーン樹脂と、撥油成分であるフッ素樹脂からなる構成とされる。本構成に関しては、撥油成分であるフッ素樹脂をベースとして、このフッ素樹脂に対し親油成分であるシリコーン樹脂を分散させてもよいし、或いは親油成分であるシリコーン樹脂をベースとして、このシリコーン樹脂に対し撥油成分であるフッ素樹脂を分散させてもよい。特には、撥油成分であるフッ素樹脂をベースとした構成であるのが好ましい。このような構成によれば、とりわけ耐酸性及び耐アルカリ性に優れたコーティング膜とすることができる。
前記課題を解決する本発明の第3発明は、請求項3に記載されたとおりの内燃機関の流通経路配設部材である。
請求項3に記載のこの流通経路配設部材では、請求項1または請求項2に記載のコーティング膜は、その膜厚方向に関し凹み形状とされた凹部を複数備える構成とされる。この凹部の形状に関しては、溝形状、穴形状などを適宜採用することができる。これにより、コーティング膜表面が凹凸状とされる。コーティング膜の表面に複数の凹部を設けることによって当該表面が凹凸状とされ、これによって表面積を増大させることができるため、未加工の場合に比してコーティング膜による油滑落性能をより向上させることが可能となる。すなわち、コーティング膜の表面積が増えることによって、親水成分に関しては油滴の吸引作用がより強調され(油滴が濡れ広がり易くなり)、また撥油成分に関しては油滴の反発作用がより強調されることとなり(油滴を弾き易くなり)、これが油滑落性能を高める要因となる。
前記課題を解決する本発明の第4発明は、請求項4に記載されたとおりの内燃機関の流通経路配設部材である。
請求項4に記載のこの流通経路配設部材では、請求項3に記載の凹部は、断面円弧状とされた溝部として構成されている。これによって、流通経路における気流などによって断面円弧状の溝部に乱流を発生させることができ、油滴を飛散させるのに効果的である。
前記課題を解決する本発明の第5発明は、請求項5に記載されたとおりの内燃機関の流通経路配設部材である。
請求項5に記載のこの流通経路配設部材は、請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項に記載の構成において、内燃機関に吸気ガスを供給する流通経路としての吸気経路に配設され、ボア部及びスロットルバルブを少なくとも備える。本発明のボア部は、吸気経路に連通する構成とされる。本発明のスロットルバルブは、ボア部に収容されて当該ボア部を開閉する構成とされる。本発明では、特にスロットルバルブの外周端部と、ボア部の各部位のうち当該スロットルバルブと対向する対向部との少なくとも一方の基材表面がコーティング膜によって被覆された構成とされる。
この吸気装置100は、吸気経路に連通するボア部102を有する金属製のスロットルボディ(「バルブハウジング」ともいう)101、このスロットルボディ101に対しバルブシャフト105を介して支持されるスロットルバルブ104を備える。このスロットルバルブ104は、「バタフライバルブ」或いは「弁体」とも称呼される。また、特に図示しないものの、バルブシャフト105は、更にレバー及びロッドを介してアクチュエータに接続されており、このアクチュエータによってスロットルバルブ104の弁開度が制御されて内燃機関の吸入空気量が制御されるように構成されている。このアクチュエータとしては、電動式のアクチュエータや負圧式のアクチュエータなどが用いられる。なお、ここでいうボア部102が本発明における「ボア部」に相当し、スロットルバルブ104が本発明における「スロットルバルブ」に相当する。
なお、ここでいう外周端面104a及び対向面102aの基材表面はコーティング膜110によって被覆された部位であり、本発明における「基材表面」に相当する。また、スロットルバルブ104の外周端面104aが、本発明における「スロットルバルブの外周端部」に相当し、ボア部102の対向面102aが、本発明における「対向部」に相当する。
なお、本発明は上記の実施の形態のみに限定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられる。例えば、上記実施の形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
101…スロットルボディ
102…ボア部
102a…対向面
103…基材
103a…溝部
104…スロットルバルブ
104a…外周端面
105…バルブシャフト
110,120,130…コーティング膜
110a,120a,130a…溝部
Claims (5)
- 内燃機関のガスが流通する流通経路に配設される、内燃機関の流通経路配設部材であって、
当該流通経路配設部材の基材表面は、親油成分及び撥油成分が分散したコーティング膜によって被覆された構成であることを特徴とする内燃機関の流通経路配設部材。 - 請求項1に記載の内燃機関の流通経路配設部材であって、
前記コーティング膜は、親油成分であるシリコーン樹脂と、撥油成分であるフッ素樹脂からなることを特徴とする内燃機関の流通経路配設部材。 - 請求項1または2に記載の内燃機関の流通経路配設部材であって、
前記コーティング膜は、その膜厚方向に関し凹み形状とされた凹部を複数備える構成であることを特徴とする内燃機関の流通経路配設部材。 - 請求項3に記載の内燃機関の流通経路配設部材であって、
前記凹部は、断面円弧状とされた溝部として構成されていることを特徴とする内燃機関の流通経路配設部材。 - 請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の内燃機関の流通経路配設部材であって、
前記内燃機関に吸気ガスを供給する前記流通経路としての吸気経路に配設され、
前記吸気経路に連通するボア部と、前記ボア部に収容されて当該ボア部を開閉するスロットルバルブを備え、
前記スロットルバルブの外周端部と、前記ボア部の各部位のうち当該スロットルバルブと対向する対向部との少なくとも一方の基材表面が、前記コーティング膜によって被覆された構成であることを特徴とする内燃機関の流通経路配設部材。
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