JP2008038021A - 通気性粘着テープ - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた通気性、透湿性及び抗菌性を有し、良好な粘着力を維持することができる通気性粘着テープを提供する。
【解決手段】基材及び粘着剤層を有する通気性粘着テープであって、上記基材は、撥水加工及び抗菌加工を施した織布又は不織布からなるものであり、上記粘着剤層は、抗菌剤を含有するものである通気性粘着テープ。
【選択図】図1

Description

本発明は、通気性粘着テープに関する。
医療用・スポーツ用等に用いられる粘着テープは、一般に、紙、布、プラスチックフィルム等を素材とする基材の片面に粘着剤層が形成された構成を有している。例えば、医療用粘着テープは脱脂綿、ガーゼ、包帯、シップ剤等のヒトの皮膚への固定用等に使用されており、スポーツ用テープは主に患部の固定、圧迫、保護用に使用されている。また近年、血液・リンパ液循環の改善、筋肉や関節の動きのサポート、表皮の緊張緩和等が可能なキネシオロジーテープと称される粘着テープも使用されている。
このような粘着テープは、ヒトの皮膚(肌)に貼付して使用されるものであるため、安全性には充分配慮することが必要である。ここでいう安全性には、粘着テープに添加される化学物質の毒性の問題のみならず、肌に異物を貼付することに起因する物理的・化学的刺激によって生じるアレルギー、皮膚呼吸の阻害、皮膚のムレやカブレ等の問題も含まれる。
特に最近、老人や乳幼児等の肌の弱い人にも使用されるようになってきたこと、長期間にわたって貼付される場合もあること等の理由により、アレルギー、皮膚呼吸の阻害、皮膚のムレやカブレに対する対策が重要となってきた。その対策手段として、粘着テープに通気性や透湿性を付与する工夫が種々検討されている。
例えば、特許文献1には、希釈有機溶剤中に吸水性高分子物質を分散させた粘着剤を多孔質性基材上に塗布して得られた透気性接着テープが提案されている。しかし、大量の汗や水に接触した場合に、織布、不織布等の基材が吸水することによって、粘着テープの粘着力が大幅に低下するという問題が生じる。また、粘着テープの用途によって粘着テープを長期間貼付する場合もあり、この場合、皮膚常在菌(黄色ブドウ球菌、大腸菌等)が繁殖して、悪臭が生じたり、皮膚に悪影響を及ぼすこともある。
特許文献2には、粘着性物質及び吸水している吸水性高分子化合物を疎水性有機溶剤で希釈した粘着剤溶液を織布又は不職布等の基材上に塗布して得られた通気性粘着テープが開示されている。また、特許文献3には、合成樹脂からなる開口部を有する格子状基材に水又は有機溶剤で希釈した粘着剤を塗布して得られた通気性粘着テープが開示されている。しかし、これらの粘着テープにおいても、汗や水への接触による粘着力の低下や皮膚常在菌の繁殖という問題が生じることがある。
更に、特許文献4には、通気性を有する粘着層及び吸水性を有する織布又は不織布等の担持体からなる貼付剤が開示されている。しかし、これらの粘着テープにおいても、汗や水への接触による粘着力の低下という問題が生じることがある。
特開昭61−284252号公報 特開平6−200220号公報 特開平6−166853号公報 特開平8−175979号公報
本発明は、上記現状に鑑み、優れた通気性、透湿性及び抗菌性を有し、良好な粘着力を維持することができる通気性粘着テープを提供することを目的とするものである。
本発明は、基材及び粘着剤層を有する通気性粘着テープであって、上記基材は、撥水加工及び抗菌加工を施した織布又は不織布からなるものであり、上記粘着剤層は、抗菌剤を含有するものであることを特徴とする通気性粘着テープである。
上記撥水加工は、パラフィンワックスを使用して施されたものであることが好ましい。
上記抗菌剤は、銀系抗菌剤であることが好ましい。
上記粘着剤層は、アクリル系粘着剤、吸水性高分子化合物及び疎水性有機溶剤を含有する粘着剤組成物を使用して得られるものであることが好ましい。
更に、セパレーター層を有するものであることが好ましい。
上記通気性粘着テープは、キネシオロジーテープであることが好ましい。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の通気性粘着テープは、撥水加工及び抗菌加工を施した織布又は不織布からなる基材と、抗菌剤を含有する粘着剤層とを有するものであるため、使用時において、良好な粘着力を維持することが可能となるとともに、優れた抗菌性を得ることもできる。
基材として撥水加工を施した織布又は不織布を用いた本発明の通気性粘着テープをヒトの皮膚に貼付して使用した場合に、発汗したり、粘着テープに水が接触したとしても、織布や不織布への吸水が撥水加工によって防止される。このため、通気性粘着テープの貼付時において、テープの粘着力を良好に維持することが可能となる。
また、本発明の通気性粘着テープは、抗菌加工を施した基材及び抗菌剤を含む粘着剤層を有するものであるため、ヒトの皮膚に長期間貼付した場合において、皮膚常在菌が繁殖することを良好に防止することができる。このため、菌の繁殖による悪臭の発生や皮膚への悪影響を防止することが可能となる。
更に、本発明の通気性粘着テープは、織布又は不織布からなる基材と、粘着剤層とを有するものであるため、通気性や透湿性にも優れている。このため、皮膚呼吸の阻害や皮膚のムレ、カブレを防止することができる。
本発明の通気性粘着テープは、撥水加工を施した織布又は不織布からなる基材を有するものである。
上記撥水加工を施す方法としては特に限定されず、従来公知の方法で行うことができ、例えば、撥水剤の水溶液を織布又は不織布にスプレー塗布する方法、織布又は不織布を撥水剤の水溶液に含浸(ディッピング)する方法、撥水剤の水溶液が入ったバス(浴)に一部含浸状態に配置されたローラーを回転させつつ、上記ローラーの上に織布又は不織布を接触させながら移動させることによって織布又は不織布に撥水剤を付与するローラーコーティング法等によって撥水剤を織布又は不織布の構成繊維に付着させることができる。
上記撥水剤としては、撥水性を付与することが可能なものであれば特に限定されず、フッ素系撥水剤、シリコン系撥水剤、ワックス系撥水剤、ジルコニウム系撥水剤、エチレン尿素系撥水剤、メチロールアミド系撥水剤、ピリジニウム塩系撥水剤等を挙げることができる。
上記フッ素系撥水剤としては、例えば、ポリペンタデカフルオロオクチルアクリレート、ポリトリフルオロエチルアクリレート、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン等を主成分として含むもの等を挙げることができる。
上記シリコン系撥水剤としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、その末端又は側鎖に水酸基、アミノ基、エポキシ基、ポリエーテル基等の導入した変性ジメチルポリシロキサン等を挙げることができる。
上記ワックス系撥水剤としては、例えば、石油ワックス等の天然ワックス、ポリエチレンワックス等の合成ワックスを挙げることができる。上記石油ワックスとしては、例えば、パラフィンワックスを挙げることができる。上記パラフィンワックスは、石油の精製工程によって製造される常温で固体のワックスである。通常、炭素数20〜40の直鎖状パラフィン系炭化水素を主成分とし、少量の分枝鎖状パラフィンを含むものである。通常、40〜100℃の温度で溶融する性質を有している。上記パラフィンワックスの分子量は300〜550であることが好ましい。
また、上記ジルコニウム系撥水剤としては、ジルコニウム脂肪酸塩を、上記エチレン尿素系撥水剤としては、オクタデシルエチレン尿素を、上記メチロールアミド系撥水剤としては、N−メチロールステアリン酸アミドを、上記ピリジニウム塩系撥水剤としては、ステアラミドメチルピリジニウムクロライドを挙げることができる。
上記撥水剤のなかでも、ワックス系撥水剤を使用することが好ましく、パラフィンワックスを使用することが特に好ましい。この場合、粘着剤層との密着性を向上させることができるとともに、粘着テープの使用時に、発汗や水との接触が生じたとしても、良好な粘着力を維持することが可能である。更に、優れた通気性及び透湿性を維持することもできる。上記撥水剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上述した方法等によって撥水剤が付着された織布、不織布を乾燥する温度としては特に限定されないが、撥水性、耐水性を高めるために60〜160℃であることが好ましく、70〜150℃がより好ましい。また、乾燥時間は、乾燥性、撥水性、生産性の点から、1〜600秒が好ましい。
上記撥水剤の付着量(乾燥後)は、織布又は不織布100質量部に対して0.05〜5質量部であることが好ましい。0.05質量部未満であると、撥水性、耐水性が不充分になるおそれがある。5質量部を超えると、コストが高くなるばかりでなく、通気性が低下するおそれがある。
上記織布、不織布の素材としては特に限定されず、例えば、合成繊維、半合成繊維、天然繊維のいずれであってもよい。具体的には、ポリウレタン、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリイミド、酢酸セルロース、エチルセルロース、レーヨン、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、可塑化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、シリコーン系繊維、フッ素系繊維、アクリル系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、炭素繊維、綿、麻、羊毛等を挙げることができる。なかでも、伸縮性、耐熱性、寸法安定性、染色性に優れている点、比較的安価である点、撥水加工を施すことによって良好な粘着力を維持できる点から、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリオレフィンが好ましく、ポリウレタン、綿が特に好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記織布は、織布の織り方、密度、繊維デニール・番手は特に限定されない。また、いずれの製法で製造されたものでも使用することができる。
上記不織布の製造方法は特に限定されず、例えば、スパンボンド、エアレイパルプ、湿式、スパンレース、メルトブロー等の製法で製造されたものを使用することができる。本発明の目的達成のためには、織布を用いることが好ましい。
上記織布、不織布の素材としての目付は、10〜500g/mであることが好ましく、20〜200g/mであることがより好ましい。10g/m未満であると、目が粗くなり貼り合わせに粘着剤が裏抜けしやすなるおそれがある。500g/mを超えると、目が密になりすぎて粘着剤を充分に浸透させることができないおそれがある。
上記織布において、経糸又は緯糸の少なくとも1つは、伸縮性を有する糸であることが好ましい。これにより、基材の伸縮性を高められるため、皮膚に対する追従性を向上させることができる。よって、より良好に皮膚に貼付することができる。上記伸縮性を有する糸としては、公知のものを好適に使用することができ、例えば、ポリエステル仮撚糸のように仮撚法等によって捲縮が与えられたテクスチャード加工糸(ストレッチヤーン)、ポリウレタン繊維(スパンデックス)のように素材自体が伸縮性を有するもの、ポリウレタン繊維を芯糸にし外側を他の糸で巻いたカバードヤーン、短繊維の紡績工程でポリウレタン糸を芯に入れて紡績糸にしたもの等を挙げることができる。
上記基材は、上記撥水加工だけでなく、抗菌加工も施されたものである。これにより、通気性粘着テープに優れた抗菌性を発揮させることができる。上記抗菌剤としては特に限定されず、例えば、後述する抗菌剤と同様のものを挙げることができる。なかでも、ビグアナイド系抗菌剤を使用することが好ましい。上記抗菌加工の方法としては、製造される基材中に含ませることが可能な方法であれば特に限定されず、例えば、織布又は不織布の撥水剤による撥水加工の際に、撥水剤に加えて更に抗菌剤を添加した後、上記撥水加工及び抗菌加工を行う方法等を挙げることができる。
本発明の通気性粘着テープは、抗菌剤を含有する粘着剤層を有するものである。これにより、ヒトの皮膚に良好に貼付することが可能となる。また、貼付時において、粘着テープに抗菌性を付与することができるため、皮膚常在菌の繁殖を抑制することが可能となる。
上記抗菌剤としては、例えば、無機系抗菌剤、有機系抗菌剤を挙げることができる。
無機系抗菌剤としては、銀、亜鉛、銅、チタン、モリブデン等の金属;これらの金属イオンをシリカ、ゼオライト、合成ゼオライト、リン酸ジルコニウム、リン酸カルシウム、リン酸亜鉛カルシウム、セラミック、アルミナシリコン、チタンゼオライト、アパタイト、炭酸カルシウム等の無機質微粒子に担持させたもの;ゾルーゲル法により無機化合物粒子の表面を他の無機酸化物、複合酸化物等により積層又は被覆等したもの等を挙げることができる。
上記有機系抗菌剤としては、キチン、キトサン、ワサビやカラシの抽出物、ヒノキチオール、茶抽出物等の天然物、イソチオシアン酸アリル、ポリオキシアルキレントリアルキルアンモニウム、塩化べンザルコニウム、へキサメチレンビグアニド塩酸塩、有機シリコン第4級アンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム等の第4級アンモニウム塩類、フェニルアミド系化合物、ビグアニド系化合物、スルホイソフタル酸テトラアルキルホスホニウム塩又はそのジエステル、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、安息香酸、安息香酸塩類、サリチル酸、サリチル酸塩類、フェノール、ソルビン酸及びその塩類、デヒドロ酢酸及びその塩類、パラオキシ安息香酸エステル(パラベン)、ポリリジン又はポリリジン塩、アンモニウム塩基、ホスホニウム塩基、スルホニウム塩基、フェニルアミド基、ビグアニド基等の抗菌活性基を主鎖又は側鎖に有する高分子化合物等を挙げることができる。
上記抗菌剤のなかでも、無機系抗菌剤が好ましく、銀系抗菌剤が特に好ましい。これにより、上記基材及び粘着剤層を有する通気性粘着テープの抗菌性を良好に向上させることができるとともに、安全性、耐熱性、加工性にも優れている。上記抗菌剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記粘着剤層が銀系抗菌剤を含有するものである場合、上記粘着剤層は、更にアルキルエーテルリン酸エステルを含有するものであることが好ましい。これにより、銀系抗菌剤を粘着剤層中に均一に分散できるため、良好な抗菌性を発揮させることが可能となる。上記アルキルエーテルリン酸エステルの配合方法としては特に限定されないが、銀系抗菌剤をアルキルエーテルリン酸エステルを使用してペースト状にしたものを使用することが好ましい。これにより、粘着剤組成物の配合時における銀系抗菌剤の沈殿を防止でき、抗菌剤を粘着剤層中に均一に分散させることができる。
上記粘着剤層は、粘着剤を含む粘着剤組成物を用いて得られるものである。これにより、通気性粘着テープを良好にヒトの皮膚に貼付させることが可能となる。
上記粘着剤としては、感圧接着性を有するものであれば特に限定されないが、疎水性有機溶剤で希釈することが可能であるものを良好に使用することができ、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコン系粘着剤等を挙げることができる。なかでも、貼付時に良好な粘着力を維持することができる点、加工性、耐熱老化性、耐湿老化性、耐候性に優れている点、比較的安価である点から、アクリル系粘着剤が好ましい。また、粘着剤層において、アクリル系粘着剤と抗菌剤とを使用することにより、良好な抗菌性を発揮させることができる。
上記アクリル系粘着剤は、アクリル系重合体を含む粘着剤である。
上記アクリル系重合体としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独重合体又はこれらの共重合体等を挙げることができる。
上記アクリル系粘着剤としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを40質量%以上の割合で重合した重合体が好ましい。特に、1種又は2種以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル50〜98質量%と、1種又は2種以上の共重合性単量体2〜50質量%を共重合して得られる共重合体が好ましい。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アルキル基の炭素数が2〜18、好ましくは4〜12の一級〜三級アルコールと、アクリル酸又はメタクリル酸とから得られるエステル等を挙げることができる。具体的には、メチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
上記共重合性単量体としては、共重合反応に関与する不飽和二重結合を分子内に少なくとも1個有すると共に、カルボキシル基〔例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等〕やヒドロキシル基〔例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルエステル等〕、スルホキシル基〔例えば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、(メタ)アクリル酸スルホプロピルエステル、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸等〕、アミノ基〔例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸tert−ブチルアミノエチルエステル等〕、アミド基〔例えば、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド等〕、アルコキシル基〔例えば、(メタ)アクリル酸メトキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシジエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル等〕等の官能基を側鎖に有する単量体を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これら以外に共重合できる単量体としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−ビニル−2−ピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルカプロラクタム、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記粘着剤層は、上述したアクリル系粘着剤、吸水性高分子化合物及び疎水性有機溶剤を含有する粘着剤組成物を使用して得られるものであることが特に好ましい。これにより、優れた通気性及び透湿性を得るとともに、良好な粘着力を維持することができる。また、粘着剤層において、これらの成分とともに抗菌剤を使用することにより、良好な抗菌性を得ることができる。
上記吸水性高分子化合物としては、自重の数百倍から倍近い水を吸収して膨潤し、しかも溶解することなく、かつ、膨潤物に圧力を加えても吸水した水を離脱しないものであれば特に限定されず、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム化合物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、セルロースエステル、ポリアミド、ポリビニルピロリドン等を挙げることができる。なかでも、ポリアクリル酸ナトリウム化合物、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールが好ましく、ポリアクリル酸ナトリウム化合物、ポリプロピレングリコールが特に好ましい。これにより、優れた加工性、通気性、安全性を得ることができ、比較的安価である。また、優れた通気性及び透湿性が得られるとともに、良好な粘着力を維持することができる。更に、粘着剤層において、これらの成分とともに抗菌剤を使用することにより、良好な抗菌性を得ることができる。
上記吸水性高分子化合物は、吸水することによって、粘着剤層中に均一な通気性孔が得られるため、通常粘着剤を形成するために使用されるアクリル系粘着剤、吸水性高分子化合物及び疎水性有機溶剤を含有する組成物としては、水を添加したものが使用されるか、又は、吸水している吸水性高分子化合物が使用される。吸水している吸水性高分子化合物の粒子の大きさとしては、小さいほど有機溶剤中に分散し易いことから、粒径は60μm以下のものが好ましい。
上記粘着剤組成物において、上記吸水性高分子化合物の含有量は、上記アクリル系粘着剤(固形分)100質量部に対して、0.1〜5質量部であることが好ましい。上記範囲内であると、本発明の目的を良好に達成することができる。
上記疎水性有機溶剤としては特に限定されず、従来公知のものを使用することができ、例えば、酢酸エチル、トルエン、ヘキサン、鉱油、石油エーテル等を挙げることができる。なかでも、粘着剤乾燥条件(通気性に影響する)、コストの点から酢酸エチル、トルエンが好ましい。
上記粘着剤組成物は、硬化剤を含有するものであることが好ましい。上記硬化剤としては、公知のものを使用することができるが、イソシアネート系硬化剤を使用することが好ましい。また、上記粘着剤層には、必要に応じて、公知の可塑剤、軟化剤、充填剤、粘着付与剤等の添加剤を適宜配合することができる。
上記粘着剤層は、例えば、粘着剤、抗菌剤及び必要に応じて他の成分を有機溶剤に溶解又は分散させ、得られた溶液を基材の片面に塗布し、乾燥して形成させることができる。また、後述するセパレーター層の片面に塗布し、乾燥して形成させることもできる。上記粘着剤層の重さ(乾燥後)は、10〜90g/mであることが好ましく、30〜70g/mであることがより好ましい。
上記通気性粘着テープは、製造、運搬、保存中に粘着剤層が、器具、容器等に接着することを防止すること、テープの劣化を防止することを目的として、皮膚面への貼付の直前までは粘着剤層の露出面を、セパレーター層にて被覆、保護することが好ましい。この場合、通気性粘着テープは、基材、粘着剤層及びセパレーター層をこの順に積層した構造を有している。使用時において、セパレーター層を剥離して、粘着剤層の面を露出させ、皮膚に貼付して使用する。
上記セパレーター層としては、使用時に粘着剤層から容易に剥離されるものであれば特に限定されず、例えば、粘着剤層と接触する面にシリコーン樹脂、フッ素樹脂等を塗布することによって剥離処理が施されたポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート等のフィルム、上質紙、グラシン紙等の紙、上質紙又はグラシン紙等とポリオレフィンとのラミネートフィルム等を挙げることができる。上記セパレーター層の厚さは、12〜200μmであることが好ましく、50〜100μmであるこがより好ましい。
本発明の通気性粘着テープは、上記基材における撥水加工がパラフィンワックス(撥水剤)を使用して施されたものであり、かつ、上記粘着剤層がアクリル系粘着剤を含有するものであることが特に好ましい。これにより、他の撥水剤(シリコン系等)を使用した場合に比べて、基材と粘着剤層との密着性を高めることができる。
上記通気性粘着テープは、JIS L1096A法による通気度が5cm/cm・s以上であることが好ましく、10cm/cm・s以上であることがより好ましく、20cm/cm・s以上であることが特に好ましい。これにより、通気度が少なすぎて皮膚刺激が起こることを抑制し、本発明の目的を達成することができる。上記通気度は、単位面積の試験片の一方から吸引し、通過する空気量を測定して算出される値である。
上記通気性粘着テープは、JIS Z0237に準拠する粘着力(対ガラス)が2〜11N/25mmであることが好ましい。上記範囲内である場合、ヒトの皮膚に良好に貼付して使用することができる。「JIS Z 0237に準拠する粘着力(対ガラス)」とは、試験板としてSUS304鋼板に代えてガラス板を用いる他は、JIS Z0237 に規定する180度引き剥がし法によって測定される粘着力である(23±2℃、相対湿度50±5%)。
上記範囲の通気度、粘着力を有する通気性粘着テープは、基材を構成する織布、不織布、撥水剤や、粘着剤層を構成する成分を適宜選択することによって製造することができる。なお、上記通気度及び粘着力は、基材及び粘着剤層からなるテープ(セパレータ層はない)を用いて測定される値である。
本発明の通気性粘着テープは、筋肉・関節サポートテープ、血行促進テープとして好適に使用することができる。より具体的には、キネシオロジーテープとして好適に使用することができる。
上記キネシオロジーテープとは、キネシオロジー(医学を基礎にした身体の運動に関する筋肉の運動機能を専門的に研究する学問)に基づく自然療法「キネシオテーピング法」に使用するテープであり、筋肉に対して貼付するテープである。上記キネシオロジーテープには一定の伸縮性と、体にフィットする粘着性があり、痛いところや凝っているところ等に貼ることによって、人間の自然治癒力を促進させ、障害を和らげたり治したりするものである。
具体的には、キネシオロジーテープには以下(1)〜(3)のような効果がある。
(1)血液・リンパ液循環の改善(テープで皮膚が持ち上げられ、血液・リンパ液の循環が良くなることにより、新陳代謝を活発にする、疲労の回復を早める、筋肉疲労を軽減させる。)
(2)筋肉や関節の動きをサポート(テープが皮膚を持ち上げ、筋肉の動きをスムーズにする。また伸縮性で、筋肉の動きをサポート、関節の動きを円滑にする。)
(3)表皮の緊張を緩和(伸縮性によって皮膚に適度の刺激を与え、表皮の緊張を緩和させる。)
本発明の通気性粘着テープは、従来公知の製造方法により製造することができ、例えば、以下の方法を挙げることができる。先ず、セパレーター層の片面に粘着剤組成物を塗布、乾燥して粘着剤層を形成する。上述した方法等を用いて織布又は不織布に撥水加工及び抗菌加工を施して基材を製造する。セパレーター層上に形成された粘着剤層と、製造された基材とを貼り付けた後、必要に応じて、裁断、ロール状に巻き取る等の工程を行うことによって通気性粘着テープが製造される。
本発明の通気性粘着テープの概略図の一例を図1及び2に示した。
図1は本発明の通気性粘着テープの構成を示した概略図であり、基材1(撥水加工及び抗菌加工を施した織布又は不織布)、抗菌剤を含有する粘着剤層2及びセパレーター層3が積層された構成を有している。図2は、上記構成の通気性粘着テープをロール状に巻き取った製品を示した概略図である。上記通気性粘着テープは、撥水加工及び抗菌加工を施した織布又は不織布と、抗菌剤を含有する粘着剤層とを有するため、使用時に良好な粘着力を維持できるとともに、優れた抗菌性を有している。また、通気性及び透湿性にも優れている。
本発明の通気性粘着テープは、上述した構成を有しているため、ヒトの皮膚に貼付して使用した場合において、発汗や水との接触のよるテープの粘着力の低下を抑制することができる。また、ヒトの皮膚に長期間貼付した場合において、皮膚常在菌の繁殖による悪臭の発生や皮膚への悪影響を防止することができる。更に、優れた通気性や透湿性を有するものであるため、皮膚呼吸の阻害や皮膚のムレ、カブレを防止することができる。
以下本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また実施例中、「部」、「%」は特に断りのない限り「質量部」、「質量%」を意味する。
実施例1 通気性粘着テープの製造
伸縮性織布(基材)は伸縮性を有する経糸と伸縮性を持たない緯糸とを平織加工したものを使用した。経糸はポリウレタン製の40デニールのスパン糸の外側を20番手綿糸を覆ったもので、緯糸は16番糸綿糸を使用しており、液流染色機パラフィン系撥水剤3%・ビグアナイド系抗菌剤1.5%溶液中で循環され、撥水加工、抗菌加工されたものを使用した。破断伸度は約80%であった。伸縮性織布の目付は約110g/mであった。
酢酸エチル20質量部、トルエン40質量部、アクリル系粘着剤100.0質量部、吸水性高分子化合物0.5質量部、イオン交換水20質量部、イソシアネート系硬化剤3.0質量部、銀系抗菌剤0.1質量部を混合し、粘度5000cpsの粘着剤溶液を得た。この粘着剤溶液をコンマコーターで片面ポリラミ剥離紙のシリコン面に塗工し、温度勾配50〜140℃で溶剤乾燥後、上記伸縮性織布と貼り合わせて試料を得た。乾燥後の粘着剤層の重さは、57g/mであった。
なお、銀系抗菌剤は、アルキルエーテルリン酸エステルを用いてペースト状にしたものを使用した。
使用した市販品は、以下のとおりである。
パラフィン系撥水剤:「TH−44」(日華化学)
アクリル系粘着剤:「サイビノールAT−1104(サイデン化学製)」
吸水性高分子化合物:「アロンビスS」(日本純薬製、ポリアクリル酸ナトリウム)
イソシアネート系硬化剤:「タケネートB−830」(三井武田ケミカル製)
銀系抗菌剤:「ゼオミックAW10N」(シナネン製)
実施例2
パラフィン系撥水剤の代わりにシリコン系撥水剤を使用した以外は、実施例1と同様にして試料を作成した。
比較例1
伸縮性織布及び粘着剤層の製造の際に抗菌剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして試料を作成した。
比較例2
粘着剤層の製造の際に抗菌剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして試料を作成した。
比較例3
伸縮性織布の製造の際に抗菌剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして試料を作成した。
比較例4
伸縮性織布として撥水加工が施されていないものを使用した以外は、実施例1と同様にして試料を作成した。
〔評価〕
上記で得られた試料について、次の評価試験を行い、結果を表1に示した。
(通気性)
JIS L1096通気性A法に準じて測定した。なお、剥離紙を剥がした後の粘着テープで評価した。
○;通気度が20cm/cm・s以上
×;通気度が20cm/cm・s未満
(撥水性)
JIS L1092撥水度試験(スプレー試験)に準じて測定した。なお、剥離紙を剥がした後の粘着テープで評価した。
○;撥水度4以上
×;撥水度3以下
(抗菌性)
JIS Z2801プラスチック製品等の試験方法に準拠して実施した。なお、剥離紙を剥がした後の粘着テープで評価した。
○;抗菌活性値2.0以上
×;抗菌活性値2.0未満
(織布と粘着剤層の密着性)
試料の粘着剤面同士を貼り合せ、手で勢いよく剥がしたときの剥離状態により判断した。
○;粘着剤層が界面剥離しない場合は密着性良好
×;織布と粘着剤層との間で界面剥離を起こした場合は密着性不良
△;使用上問題ない水準(○と×の中間)
(粘着力)
JIS Z0237に準じて測定した。各試験試料を幅25mm×長さ150mmに断裁後、離型紙を剥がし、得られた粘着テープをガラス板に貼付して、温度23℃、相対湿度50%で24時間放置した。得られた各被着体から各試験試料を引張速度300mm/分、引張角度180度の下で引き剥がした時の接着力を測定した。
Figure 2008038021
表1より、実施例の粘着テープは、通気性、抗菌性に優れていた。また、撥水性にも優れていたため、発汗や水との接触によって粘着力が低下しないことが期待できた。更に、良好な粘着力を有し、織布と粘着剤層との密着性にも優れていた。一方、比較例では、これらすべての性能に優れたものは得られなかった。
本発明の通気性粘着テープは、医療用・スポーツ用粘着テープ、特にキネシオロジーテープとして好適に使用することができる。
本発明の通気性粘着テープの構成を示した概略図の一例である。 図1で示された構成の通気性粘着テープをロール状に巻き取った製品を示した概略図の一例である。
符号の説明
1 基材(撥水加工を施した織布又は不織布)
2 粘着剤層
3 セパレーター層

Claims (6)

  1. 基材及び粘着剤層を有する通気性粘着テープであって、
    前記基材は、撥水加工及び抗菌加工を施した織布又は不織布からなるものであり、
    前記粘着剤層は、抗菌剤を含有するものである
    ことを特徴とする通気性粘着テープ。
  2. 撥水加工は、パラフィンワックスを使用して施されたものである請求項1記載の通気性粘着テープ。
  3. 抗菌剤は、銀系抗菌剤である請求項1又は2記載の通気性粘着テープ。
  4. 粘着剤層は、アクリル系粘着剤、吸水性高分子化合物及び疎水性有機溶剤を含有する粘着剤組成物を使用して得られるものである請求項1、2又は3記載の通気性粘着テープ。
  5. 更に、セパレーター層を有するものである請求項1、2、3又は4記載の通気性粘着テープ。
  6. キネシオロジーテープである請求項1、2、3、4又は5記載の通気性粘着テープ。
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