JP2014171590A - 癒着防止剤およびこれを用いた創傷被覆材 - Google Patents
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Abstract
【課題】創傷面との癒着が防止できる癒着防止剤を提供し、さらに、通液性が良好で創傷面への癒着が防止され、熱傷治療や褥瘡治療などの様々な外傷治療や外科手術後の保護材としての利用に好適である創傷被覆材を提供する。
【解決手段】下記一般式Iで示されるポリマーを癒着防止剤として用いる。さらにこれを多孔性基材に塗布した創傷被覆材。
(一般式I中、R1は炭素数1〜15の炭化水素基を表し、mは20〜200の範囲の整数を表す。nは200〜1000の範囲の整数を表す。)
【選択図】なし
【解決手段】下記一般式Iで示されるポリマーを癒着防止剤として用いる。さらにこれを多孔性基材に塗布した創傷被覆材。
(一般式I中、R1は炭素数1〜15の炭化水素基を表し、mは20〜200の範囲の整数を表す。nは200〜1000の範囲の整数を表す。)
【選択図】なし
Description
本発明は癒着防止剤と、これを基材表面に塗布した癒着防止機能を有する創傷被覆材に関する。更に詳しくは、外傷や外科手術などにより形成された組織損傷部において、創傷面と直接接触することで生じる癒着を防止するための癒着防止剤と、これを多孔性基材表面に塗布した創傷被覆材に関する。
創傷治癒に関して、近年湿潤療法と呼ばれる、創傷面を密閉して湿潤状態を保ったまま創傷の自然治癒を行う方法が盛んに行われている。擦り傷、切り傷などで比較的軽微な外傷の場合、かつては傷口を消毒し、ガーゼを当てた状態で傷口を乾燥させて自然治癒を図る方法が一般的であった。しかしながら、こうした処置方法では、消毒及び乾燥の過程で創傷箇所の組織にダメージを与え、治癒過程をかえって遅らせるとも言われている。一方では、エビデンスに基づく実際の治験結果を纏めた報告によると、例えば非特許文献1には、従来のガーゼによる治療と近年の密閉湿潤療法との比較に於いて、治療成績に差異が認められないとする報告もある。但し、明確にガーゼに対する問題点として指摘されるのは、ガーゼが傷口に癒着することで、ガーゼを剥離除去する際に、患者に著しい苦痛を与えることが挙げられる。これに対して、湿潤療法ではハイドロコロイドやハイドロゲルなどの保水性の高い素材を創傷面に密着させて湿潤状態を保つため、創傷面と創傷被覆材間の癒着を起こしにくいことから、ガーゼのように癒着による創傷面の破壊に伴う苦痛を生じないことが利点として挙げられる。
こうした湿潤療法も全ての症例で適用可能である訳ではなく、例えば感染症などを併発している外傷の治療や、植皮手術、外科手術等の術後の治癒に於いては、密閉状態におくことで感染症が進行し、治癒過程が大きく遅れ、場合によっては感染症の拡大による重篤な症状を引き起こすケースがあることが指摘される。
或いは、広範囲に亘る熱傷の治癒などに於いても、大面積の熱傷部位を密閉状態に保つことはむしろ好ましくなく、通気性の良好な抗菌性ガーゼ等が使用される場合が多い。例えば、医薬品に分類される「ソフラチュール貼付剤10cm」(サノフィ・アベンティス株式会社製造販売(輸入)、承認番号:22100AMX01306)の名称で販売される抗菌剤を適用したガーゼが様々な医療現場で盛んに使用されている。これは木綿のガーゼに、抗菌剤としてフラジオマイシン硫酸塩を、ワセリンおよびラノリンとともに付着浸透させたもので、抗菌剤による感染症の発症を抑え、ガーゼにより外傷部分の物理的保護を行う機能を有するものである。ソフラチュールが適用される症例は、外科手術後の縫合部分の保護などにも適用され、外傷の密閉湿潤療法に用いられる様々な創傷被覆材が適用できないケースにおいては第一選択肢である。
しかしながら、ソフラチュールに於いても所詮は木綿繊維を用いたガーゼであることから、これを用いて保護した治癒過程の創傷面に於いて、形成される肉芽組織や、これから形成される線維組織と木綿繊維の間で癒着が発生し、創傷面から引き剥がす際に、創傷面を破壊し、同時に著しい苦痛を患者に与えることが問題となっていた。
さらには、ソフラチュールや一般のガーゼは、褥瘡の治療や、創傷部からの体液の滲出が多いような場合には最も好ましく使用されるため、多量の体液の通液性と保持性能を利用した使用方法が好ましい。例えば、スミスアンドネフューウンドマネジメント株式会社から製造販売される商標名「メロリン」(医療機器届出番号:13B1X00304000011;JMDNコード:34655000)などは、非固着性高吸収性ドレッシング材として有用であり、これは創傷面とガーゼの間に多孔性ポリエステルフィルムを設置しており、通液性を保つと同時に、ポリエステルフィルム面が、ある程度の創傷面との癒着防止効果が発揮されるため、ガーゼの場合に比較して癒着の程度が軽減される利点が挙げられる。しかしながら、ポリエステルフィルムはガーゼに比べて圧倒的にフィット感に欠け、創傷面への密着性や複雑な形状の箇所への適用が困難である場合があり、改良が求められてきた。また、多孔性ポリエステルフィルム自体の癒着防止性能も十分でない場合があり、こうした多孔性フィルム基材に対する癒着防止性能の向上も求められているのが現状である。
密閉療法などの湿潤療法に利用される市販の創傷被覆材としては、ハイドロコロイドを用いたドレッシング、ハイドロジェルを用いたドレッシング、ハイドロポリマードレッシング、ハイドロファイバードレッシング、アルギン酸ドレッシング、或いはポリウレタンフィルムドレッシングなど多種多様な製品が出回っているが、それぞれに適用が好ましい条件が付帯しており、先に述べた熱傷治療などの広範囲の外傷の治癒や、外科手術後の縫合部への適用、感染症を併発する場合、体液の滲出が多い場合など、ガーゼの適用が最も好ましいケースに対して、傷口への癒着防止機能を掲げる製品としては、先のソフラチュールのようにワセリンを塗布したガーゼや、シリコーンガーゼなどが市場に存在するが、傷口が乾燥すると癒着が顕著に発生し、ガーゼを創傷部から剥離する際に、患者へ著しい苦痛を与える問題があった。従って、現状ではガーゼに対して有効に癒着防止機能を付与した製品が無く、こうした製品の実現が望まれているのが現状である。即ち、ガーゼなどの布状繊維基材への適用により創傷面との癒着が防止できる癒着防止剤の実現と、これを利用することで、通液性が良好で創傷面への癒着が防止され、熱傷治療や褥瘡治療などの様々な外傷治療や外科手術後の保護材としての利用に好適である創傷被覆材の実現が望まれている。
本発明者の一人、渡邉らは既に医療用途を念頭に置いた材料開発を精力的に進めており、その研究の中で、特にポリ(トリメチレンカーボネート)を基盤とした様々なポリマーの環境応答機能を明らかにしている(非特許文献2)。環境応答機能として、水と接触すると直ちに表面が親水化する「高速親水化機能」を有する素材を見出しており、医療用途への適用が期待される結果を報告している。本発明は、こうした先行技術を元に、具体的な医療用途として、癒着防止剤としての機能と、これを利用した創傷被覆材が実現可能であることを見出したものである。
先行技術文献として、例えば特許文献1には、ポリ(γ−グルタミン酸)塩と、これと水素結合する化合物からなる複合体を用いた癒着防止剤や創傷被覆材などの医療材料が開示されている。実施例に於いては、例えばポリ(γ−グルタミン酸)ナトリウム塩水溶液とキトサン溶液を混合することで水不溶性であるゲルを形成し、このゲル自体を癒着防止剤或いは創傷被覆材として利用するものである。従って、従来からの湿潤療法などに好ましく利用可能であるが、ゲル自体の通液性に乏しく、上記の課題を解決するものではなかった。
特許文献2には、特定構造の側鎖を有するポリエチレンオキサイドとこれを用いた癒着防止剤、創傷被覆材等の様々な医療器具への応用が開示されている。この場合、ポリエチレンオキサイドが有する様々な蛋白質との相互作用の抑制効果を利用して、様々な基材の表面に該ポリマーを用いて被覆することで癒着防止効果が発現し、また、創傷被覆材として基材に該ポリマーを被覆した材料も有用であると期待されるものの、ポリエチレンオキサイド自体が水溶性が高く、容易に体液に溶解し、基材表面から脱落しやすい問題があった。そのため、共重合体として疎水性ユニットを組み込むことや、架橋剤を用いて架橋耐水化が検討されたが、疎水性ユニットの導入により蛋白質の吸着や血小板の付着活性化が促進されることとなり、医療材料に適用する効果が損なわれ、また、架橋剤を用いても基材との強固な結合が困難であり、持続性のある基材への固定化が困難であった。
特許文献3には、生体適合性樹脂微粒子が水に分散したエマルジョンと、これを用いた癒着防止剤、創傷被覆材などの医療器具への応用が開示されている。この場合、生体適合性樹脂としては、ポリ乳酸やポリ(トリメチレンカーボネート)共重合体などが例示されている。これらエマルジョンは様々な基材表面にコートすることで、基材に生体適合性を付与することが効果として挙げられているものの、実際には各種蛋白質と相互作用し、接着することから癒着防止効果に乏しく、また創傷被覆材としての利用についても前記の問題を解決する手段を与えるものではなかった。
G. Chaby, et. al., "Dressings for Acute and Chronic Wounds", Arch. Dermatol. 143(10), 1297-1304 (2007).
渡邉順司、高分子論文集、69(3)、89-101 (2012).
本発明は、創傷面との癒着が防止できる癒着防止剤を提供し、さらに、通液性が良好で創傷面への癒着が防止され、熱傷治療や褥瘡治療などの様々な外傷治療や外科手術後の保護材としての利用に好適である創傷被覆材を与えることを課題とする。
本発明の課題は下記一般式Iで示される癒着防止剤により解決され、さらにこれを多孔性基材に塗布した創傷被覆材により基本的に解決される。
一般式I中、R1は炭素数1〜15の炭化水素基を表し、mは20〜200の範囲の整数を表す。nは200〜1000の範囲の整数を表す。
本発明により、創傷面との癒着が防止できる癒着防止剤が提供され、さらに、通液性が良好で創傷面への癒着が防止され、熱傷治療や褥瘡治療などの様々な外傷治療や外科手術後の保護材として好適である創傷被覆材が与えられる。
本発明で与えられる一般式Iで示される癒着防止剤について説明を行う。本発明の癒着防止剤はポリエチレングリコール鎖とポリ(トリメチレンカーボネート)鎖からなるブロック共重合体である。ポリエチレングリコールの片末端は炭素数1〜15の炭化水素基が結合しており、炭化水素基として飽和アルキル基、不飽和アルキル基のいずれであっても良い。また、炭化水素基は芳香族基、ハロゲン基、エーテル基、アミド基など、各種置換基を有していても良い。
ポリエチレングリコール鎖の重合度mは20〜200の範囲であることが必要で、重合度mが20未満の場合には十分な癒着防止効果が得られない。重合度mが200を超える場合、得られる癒着防止剤の水溶性が高くなり、後述する多孔性基材に塗布を行って本発明の目的とする創傷被覆材として使用した場合に、体液中に癒着防止剤が溶解して多孔性基材から分離することで、癒着防止効果が失われる場合がある。最も好ましい重合度mの範囲は、20〜120である。
ポリ(トリメチレンカーボネート)の重合度nは200〜1000の範囲であることが必要で、重合度nが200未満の場合には、十分な癒着防止効果が得られない。また、重合度nが1000を超える場合には、得られる癒着防止剤の疎水性が高く、各種蛋白質との接着性が増すため、本発明の目的とする癒着防止機能が得られない。重合度nの最も好ましい範囲は250〜650である。
本発明は上記の組成及び重合度の範囲のポリマーを使用することで癒着防止機能が発現することを見出したことが本発明の骨子である。先行技術文献として、非特許文献2では、同様なポリエチレングリコール鎖とポリ(トリメチレンカーボネート)鎖からなるブロック共重合体を各種合成し、各々の湿潤環境に対する応答性を比較評価している。その結果、ポリエチレングリコール鎖の重合度mが20未満で、かつポリ(トリメチレンカーボネート)鎖の重合度nが200未満の場合には、湿潤環境に対する応答性が非常に遅いが、m、n各々20および200以上の場合には湿潤環境に対して迅速に応答して、これを塗布したフィルム試料の水に対する接触角が65度付近から45度程度まで数秒間の間に低下することが報告されている。こうした「高速親水化」の挙動は解析されていたが、本発明に於いては、こうした「高速親水化」の挙動とは別に、上記ポリマーが創傷面に対して癒着を防止する機能を有することを新たに見出したものであり、後述する実施例に於いて示すように各種モデル評価によって癒着防止効果と、創傷被覆材としての有用性を明確に示すことが出来たことが発明に値すると考える。
本発明の癒着防止剤を使用し、これを創傷被覆材に利用する場合、後述する様々な基材表面に塗布して用いることが好ましい。塗布に際して、本発明の癒着防止剤は、これを溶解することの出来る適当な溶剤を使用して溶液の形で用いることが好ましいが、或いは該癒着防止剤を溶解しないで分散状態で使用することも可能である。癒着防止剤を溶解した溶液の状態で塗布に使用する場合、用いることの出来る溶媒としては、適度な溶解性を有し、乾燥性や安全性等の様々な観点から最適の溶媒を使用することが出来る。好ましい溶媒として、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤や、酢酸エチルなどのエステル系溶剤、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル系溶剤、或いはメタノール、エタノールなどのアルコール類、或いはアセトニトリルやジクロロメタン、ジメチルスルホキシドなどの溶剤を、各々単独或いはこれらを組み合わせた混合溶剤として用いることが好ましく行われる。
上記で本発明の癒着防止剤を溶解しないで分散した状態で塗布に使用する場合として、具体的には以下に述べる方法で塗布液を作製することが可能である。即ち、本発明の癒着防止剤を酢酸エチル、或いは加熱したエタノールに溶解し、次に得られた溶液を水中に添加して攪拌しながら溶剤を蒸留により留去することで、安定に分散した本発明の癒着防止剤のコロイド状分散物を作製することが出来、これを用いて後述する様々な基材表面に塗布して用いることが可能である。
本発明に於いて、後述する実施例に於いて示すように、癒着防止効果は動物や人間を使用することなく、モデル系を使用して適切な評価を行った。即ち、軽度の創傷や熱傷を想定した評価に於いては、真皮に達する創傷の治癒過程に於いて形成される肉芽組織表面に創傷被覆材を密着させた場合を想定し、肉芽組織およびその上に形成される上皮組織の形成に伴う創傷被覆材表面との癒着をモデル的に評価した。具体的にはゼラチン水溶液を使用して、温水で溶解したゼラチン水溶液を急冷してゾル・ゲル変換による“セット”を行い、セットしたゼラチン表面に、本発明の癒着防止剤を塗布した基材を貼り付けて、送風乾燥させてゼラチンを乾燥させた後に該基材をゼラチン膜から引き剥がす際の固着性を評価することで癒着性に対する評価を行ったものである。本発明の癒着防止剤を使用しない基材では、上記の評価では固着してゼラチン膜から剥離することが困難であったが、本発明のポリマーを塗布した基材では、殆ど抵抗無く、ゼラチン膜から容易に剥離できることを見出したことが本発明に至った理由である。
本発明の創傷被覆材は、前記した癒着防止剤を多孔性基材に塗布したものである。本発明に用いることの出来る多孔性基材として多孔性フィルムを用いる場合、多孔性フィルムを構成する高分子材料としては熱可塑性樹脂であれば特に限定されるものではないが、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂を好ましく用いることができる。また、多孔性フィルムの微細孔を形成する多孔化の方法としては、微小な径を有する針状の治具を利用して物理的に貫通した細孔を形成する方法以外に、例えば、高分子材料溶液を調製し、これをフィルム状に成形した後、良溶媒−貧溶媒からなる混合溶液と接触することによる溶媒除去工程で多孔化する方法、高分子材料に、シリカ、アルミナ、無機塩類等の無機材料あるいは他の高分子材料等の添加物を添加して成型した後、該添加物を溶媒抽出し多孔化する方法、熱可塑性の結晶性高分子材料を成形したのち熱処理し、これに続く延伸工程で多孔化する方法、熱可塑性の高分子に特定の熱可塑性樹脂をブレンドすると、それらが完全に溶解せずに小さな微粒子が懸濁したような状態となる、いわゆる海島構造を形成させることで多孔化する方法等が挙げられるが、本発明で用いることの出来る多孔性フィルムはこれらに限定されるものではない。
また、多孔性基材として、布状繊維基材を用いることが出来る。本発明に於いて多孔性基材である布状繊維基材としては、例えばガーゼや不織布が挙げられる。本発明で用いることの出来るガーゼとは、日本薬局方の定めによる脱脂ガーゼを消毒した幅30センチメートル、長さ1メートル、5メートル、または10メートルの木綿から織られた布であり、創傷治療用に使用する場合には予め滅菌処理が施されていることが好ましい。
本発明に用いることの出来る不織布としては、不織布を形成する繊維の材質に関しては、一般の不織布に使用される各種の繊維が使用でき、具体的には綿、麻、セルロースパルプなどの植物由来天然繊維、羊毛、絹などの動物由来天然繊維、レーヨン、ビニロン、ポバール、ナイロン、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル系、アラミドなどの化学繊維、あるいはガラス繊維、炭素繊維、金属繊維などを挙げることが出来る。これらの繊維は、各々単独あるいはこれらを複数組み合わせて用いて製造される不織布を、好ましく本発明における布状繊維基材として用いることが出来る。
上記の不織布を形成するための製造方法としては従来から行われている種々の製造方法によるものが用いられ、具体的には空気流を利用する乾式法、水流を利用する湿式法および溶融した繊維を利用するスパンボンド法、メルトブローン法等が製造方法として用いられ、また不織布を構成する繊維を結合する方法としては、接着剤を用いるケミカルボンド法、熱融着を利用するサーマルボンド法、ニードルに刻まれる突起を利用して繊維を絡ませるニードルパンチ法、高圧水流を利用するスパンレース法など様々な方法を利用することが出来る。これらの種々の方法を単独で用いて製造された不織布や、これらを組み合わせて製造された、例えばSMS不織布と称されるスパンボンド法(S)とメルトブローン法(M)により製造された不織布を組み合わせて製造されるような複合型の不織布を用いることも出来る。
本発明に於いて最も好ましく用いることの出来る不織布の厚みと密度には特に制限はないが、好ましくは、厚みが10μm〜2mmの範囲にあり、坪量或いは目付(単位面積当たりの質量)は5〜500グラム/m2の範囲である場合が創傷被覆材として使用する際に最も取扱い易いため好ましい。
本発明に於いて用いることの出来る不織布を構成する繊維径については、更に好ましい範囲が存在する。平均繊維径が20μm以下である場合には、本発明の癒着防止剤溶液を使用して、不織布繊維に塗布を行う際に、塗布溶液が繊維表面に安定的に保持され、癒着防止剤が均一に保持された創傷被覆材が得られることから極めて好ましい。繊維径が20μmを超える場合には、癒着防止剤溶液が繊維間隙を通過して、不織布表面に留まる割合が減少し、結果として不織布表面における癒着防止剤の塗布量が少なくなる場合がある。この場合に得られる創傷被覆材は、不織布基材表面が完全に本発明に癒着防止剤で被覆されている限り、実使用にあたっての問題は生じないが、そのためには必要十分な塗布量の癒着防止剤溶液を用いる必要があるため、問題になる場合がある。
本発明により与えられる創傷被覆材は比較的浅い傷や軽度の熱傷に際して最も好ましく利用することが可能である。具体的には、表皮が欠損した創傷面の真皮表面をカバーした状態で、自然治癒の進行を妨げないよう外部から創傷面を保護する使用方法を想定しているが、創傷面において線維芽細胞が増殖することで肉芽組織が形成される過程で、創傷被覆材を構成する布状繊維基材の内部に線維芽細胞が侵入すると、結合線維が基材内部に形成され、創傷面の肉芽組織に基材が埋没する場合が考えられる。線維芽細胞は血管外に漏出したフィブリノーゲンから形成されたフィブリン網内に遊走、増殖するが、フィブリノーゲンは繊維基材内部に侵入し、基材内部にフィブリン網が形成されることを避けることは困難である。しかしながら、布状繊維基材を構成する繊維間の隙間を狭くすることで線維芽細胞が繊維基材内部に侵入することを防止することは可能である。創傷面と布状繊維基材表面との癒着は、本発明の癒着防止ポリマーを表面コートすることで有効に防止できるが、布状繊維基材内部に肉芽組形成や上皮化の過程が進行した場合には、布状繊維基材を創傷部から剥離する場合に創傷面を損傷し、苦痛を与えることは避けることが出来ないと考えられる。従って、比較的深い傷などの場合は、肉芽形成の過程で線維芽細胞が布状繊維基材内部に侵入しないよう、繊維間間隙を狭くすることが好ましい。こうした目的で使用される布状繊維基材として、不織布繊維を形成する繊維の平均径が20μm以下であることが特に好ましい。繊維の平均径が20μmを超える場合、形成される不織布の繊維間間隙が各種細胞の大きさを大きく上回り、例えば線維芽細胞やマクロファージ、白血球などの細胞が不織布の内部に侵入し、不織布内部でコラーゲン線維などの繊維性マトリックスを形成することで実質的な癒着を生じる場合がある。平均繊維径が20μm以下である場合には、線維芽細胞等の大きさが数μm以上の細胞が繊維間隙を通過できないため、通液性を保ったまま、上記のような機構による癒着を防止することが可能であるため極めて好ましく用いることが出来る。
上記の平均繊維径が20μm以下である繊維は、前記した様々な素材からなる繊維が使用可能であるが、更に微細な繊維、或いはフィブリル化した繊維を用いることも好ましく行うことが出来る。本発明で用いることの出来る不織布には、繊維径を5μm以下にした繊維を含有することも好ましい。このような微細繊維が絡み合うことで、血小板などの更に小さい成分まで繊維表面で捕捉することが出来、より有効に創傷面の繊維基材への埋没を防止し、これによる癒着を防ぐことが可能となるため好ましく用いることが出来る。
前記の本発明の癒着防止剤を溶解もしくは分散した塗布液を多孔性基材上に塗布を行う際の塗布方法としては、従来から知られる様々な塗布方法を用いることが出来る。例えば、塗布用ロール表面に塗布液を送液し、これを多孔性基材上に転写するグラビア塗布方式、或いはキスコート方式、ブレードコート方式なども使用することが出来るが、好ましくは塗布装置と多孔性基材が機械的に直接接触せず、塗布液のみが多孔性基材上に送液されるスプレー塗布やファウンテン塗布、スライド塗布、カーテン塗布、スロットダイ塗布方式などの方法が好ましい。さらには、多孔性基材を塗布液中に含浸する含浸加工(ディップ塗布方式)も好ましく行うことが出来るが、この場合には塗布液を含浸した多孔性基材から、過剰の液を除去するため、含浸工程に続いてロール間で液を絞り取る方式やドクターブレードで余分な液を掻き落とす場合や、エアブレードを同様な目的で使用する方法などが好ましく使用される。
上記の塗布により多孔性基材上に塗布される癒着防止剤を含む塗布液の塗布量については好ましい範囲が存在する。塗布液の塗布量については、上記の様々な塗布方式に於いてそれぞれについて好ましい範囲が存在するが、いずれの塗布方式についても多孔性基材の単位平方メートル当たりの塗布量は湿分塗布量として10〜300グラムの範囲である場合に、最も均一に塗布を行うことが出来、さらに乾燥に於いて迅速に乾燥を行うことが出来ることから好ましい。更に好ましい塗布量の範囲として多孔性基材の単位平方メートル当たり湿分塗布量として10〜200グラムの範囲である場合が好ましい。塗布液に含まれる本発明の癒着防止剤の濃度は0.1質量%以上である場合が好ましく、また該濃度が20質量%を超える場合には、塗布液の粘度が高くなり、塗布が困難になる場合や、多孔性基材に過剰の塗布液が付着する場合があることから、塗布液に含まれる本発明の癒着防止剤の好ましい濃度は0.1〜20質量%の範囲にある。多孔性基材への本発明の癒着防止剤の付着量の好ましい範囲は、乾燥固形分量として多孔性基材単位平方メートル当たり、0.01〜20グラムであり、更に好ましくは0.02〜15グラムの範囲である。
上記の塗布液を多孔性基材表面に塗布し、その後乾燥を行うことで、基材表面に本発明の癒着防止剤で被覆された塗布物を得ることが出来る。この際の乾燥条件としては特に制限はないが、多孔性基材が熱に弱く、高温に晒すことが好ましくない場合には室温もしくはそれより低い温度で乾燥を行うことが可能である。或いは、多孔性基材がポリエステル繊維やナイロン繊維などの場合には70〜90℃程度の温度条件で乾燥を行い、滅菌を兼ねた高温乾燥を行うことも好ましく行うことが出来る。
上記のようにして得られる本発明の創傷被覆材は、癒着防止剤である本発明の癒着防止剤を種々の多孔性基材に塗布したものをそのまま創傷被覆材として使用することも出来るが、或いはこれと併用する形で、体液を吸収保持可能である布状繊維などの基材を重ねて使用することも好ましく行うことが出来る。例えば、市販のガーゼや脱脂綿を本発明の創傷被覆材の上部(創傷面と接触しない側)に配置し重ねて用いることで、本発明の創傷被覆材を貫通して滲み出してくる余分な体液を吸収、保持することも好ましく行うことが出来る。更には、抗菌剤を含有したソフラチュール貼付剤を用いて、創傷面とソフラチュールの間に挿入するような形で本発明の創傷被覆材を用いることも極めて好ましく行うことが出来る。
以下に実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない限り、様々な変形や修正が可能である。なお、実施例中の百分率は断りのない限り質量基準である。
(合成例1)本発明の癒着防止剤(1)の合成例
本発明の癒着防止剤の合成法として以下の方法で重合を行い、得られた癒着防止剤であるポリマーを使用して後述する実施例を行った。即ち、100cc丸底フラスコ内にトリメチレンカーボネート(1,3−ジオキサン−2−オン:東京化成工業株式会社製)10グラム(98×10−3モル)とポリエチレングリコール鎖の重合度が114であるポリエチレングリコール5000モノメチルエーテル(Fluka社製)1.25グラム(0.25×10−3モル)を導入し、モレキュラーシーブス上で乾燥を行ったジクロロメタン45グラムを加えて溶解した。室温に於いて、重合開始剤としてDBU(1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン:東京化成工業株式会社製)を0.2グラム添加することで重合を開始した。重合反応は、容器内を乾燥窒素ガスを充填した状態で密閉して行った。24時間室温で攪拌を行った後、重合停止剤として安息香酸(東京化成工業株式会社製)0.32グラムを添加して重合を停止した。反応混合物を200ccのジイソプロピルエーテル中に注ぎ、析出したポリマーをデカンテーションにより分離し、さらにジイソプロピルエーテルで数巻洗浄を行った後、真空乾燥器内で乾燥を行った。収率75%で得られた本発明のポリマー(1)は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー、THF溶媒を使用)による解析の結果、ポリスチレン換算で重量平均分子量38900、数平均分子量34600の単分散性に近い分子量分布を示すことが確認された。また、プロトンNMR(核磁気共鳴分光法)による構造解析の結果より、ポリ(トリメチレンカーボネート)の重合度は295であった。ポリマーの片末端にポリエチレングリコール鎖が結合していることは、重合開始直後において、重合系に存在するポリエチレングリコールの分子量が重合の進行と共に増大していくこと、およびポリエチレングリコールを添加しない場合、重合が進行しないことから確認された。癒着防止剤(1)におけるポリエチレングリコール鎖の重合度は114である。
本発明の癒着防止剤の合成法として以下の方法で重合を行い、得られた癒着防止剤であるポリマーを使用して後述する実施例を行った。即ち、100cc丸底フラスコ内にトリメチレンカーボネート(1,3−ジオキサン−2−オン:東京化成工業株式会社製)10グラム(98×10−3モル)とポリエチレングリコール鎖の重合度が114であるポリエチレングリコール5000モノメチルエーテル(Fluka社製)1.25グラム(0.25×10−3モル)を導入し、モレキュラーシーブス上で乾燥を行ったジクロロメタン45グラムを加えて溶解した。室温に於いて、重合開始剤としてDBU(1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン:東京化成工業株式会社製)を0.2グラム添加することで重合を開始した。重合反応は、容器内を乾燥窒素ガスを充填した状態で密閉して行った。24時間室温で攪拌を行った後、重合停止剤として安息香酸(東京化成工業株式会社製)0.32グラムを添加して重合を停止した。反応混合物を200ccのジイソプロピルエーテル中に注ぎ、析出したポリマーをデカンテーションにより分離し、さらにジイソプロピルエーテルで数巻洗浄を行った後、真空乾燥器内で乾燥を行った。収率75%で得られた本発明のポリマー(1)は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー、THF溶媒を使用)による解析の結果、ポリスチレン換算で重量平均分子量38900、数平均分子量34600の単分散性に近い分子量分布を示すことが確認された。また、プロトンNMR(核磁気共鳴分光法)による構造解析の結果より、ポリ(トリメチレンカーボネート)の重合度は295であった。ポリマーの片末端にポリエチレングリコール鎖が結合していることは、重合開始直後において、重合系に存在するポリエチレングリコールの分子量が重合の進行と共に増大していくこと、およびポリエチレングリコールを添加しない場合、重合が進行しないことから確認された。癒着防止剤(1)におけるポリエチレングリコール鎖の重合度は114である。
(合成例2)比較の癒着防止剤(1)の合成例
上記の本発明の癒着防止剤であるポリマーの合成例1に於いて重合開始から1時間後に重合停止剤として安息香酸を添加した以外は上記の合成例と同様にして重合を行い、比較の癒着防止剤(1)を合成した。GPCおよびNMRによる構造解析から、ポリ(トリメチレンカーボネート)の重合度は95であった。比較の癒着防止剤(1)におけるポリエチレングリコール鎖の重合度は114である。
上記の本発明の癒着防止剤であるポリマーの合成例1に於いて重合開始から1時間後に重合停止剤として安息香酸を添加した以外は上記の合成例と同様にして重合を行い、比較の癒着防止剤(1)を合成した。GPCおよびNMRによる構造解析から、ポリ(トリメチレンカーボネート)の重合度は95であった。比較の癒着防止剤(1)におけるポリエチレングリコール鎖の重合度は114である。
(合成例3)比較の癒着防止剤(2)の合成例
合成例1において、ポリエチレングリコール5000モノメチルエーテルに代えてポリエチレングリコール鎖の重合度が8であるポリエチレングリコールモノメチルエーテル(Fluka社製)を0.1グラム(0.25×10−3モル)使用した以外は同様にして比較の癒着防止剤(2)を得た。GPCおよびNMRによる構造解析から、ポリ(トリメチレンカーボネート)の重合度は300であった。比較の癒着防止剤(2)におけるポリエチレングリコール鎖の重合度は8である。
合成例1において、ポリエチレングリコール5000モノメチルエーテルに代えてポリエチレングリコール鎖の重合度が8であるポリエチレングリコールモノメチルエーテル(Fluka社製)を0.1グラム(0.25×10−3モル)使用した以外は同様にして比較の癒着防止剤(2)を得た。GPCおよびNMRによる構造解析から、ポリ(トリメチレンカーボネート)の重合度は300であった。比較の癒着防止剤(2)におけるポリエチレングリコール鎖の重合度は8である。
(合成例4)比較の癒着防止剤(3)の合成例
温度計、攪拌機、窒素導入管および還流冷却管を備えた100cc丸底フラスコ内に、トリメチレンカーボネート(1,3−ジオキサン−2−オン)50グラムとポリエチレングリコール鎖の重合度が45であるポリエチレングリコール2000モノメチルエーテル1.25グラムを導入し、さらに重合開始剤として塩化スズ(II)二水和物(関東科学株式会社製)を0.01グラム添加して内温140℃に上昇することで重合を開始した。この温度で6時間攪拌を行った後、室温まで冷却してメタノールで生成物を洗浄した。得られたポリマーを真空乾燥し、比較の癒着防止剤(3)を得た。GPCおよびNMRによる構造解析から、ポリ(トリメチレンカーボネート)の重合度は1100であった。比較の癒着防止剤(3)におけるポリエチレングリコール鎖の重合度は45である。
温度計、攪拌機、窒素導入管および還流冷却管を備えた100cc丸底フラスコ内に、トリメチレンカーボネート(1,3−ジオキサン−2−オン)50グラムとポリエチレングリコール鎖の重合度が45であるポリエチレングリコール2000モノメチルエーテル1.25グラムを導入し、さらに重合開始剤として塩化スズ(II)二水和物(関東科学株式会社製)を0.01グラム添加して内温140℃に上昇することで重合を開始した。この温度で6時間攪拌を行った後、室温まで冷却してメタノールで生成物を洗浄した。得られたポリマーを真空乾燥し、比較の癒着防止剤(3)を得た。GPCおよびNMRによる構造解析から、ポリ(トリメチレンカーボネート)の重合度は1100であった。比較の癒着防止剤(3)におけるポリエチレングリコール鎖の重合度は45である。
(合成例5)本発明の癒着防止剤(2)の合成例
合成例1においてポリエチレングリコール5000モノメチルエーテルに代えて炭素数が15のノニルフェニル基が結合したポリエチレングリコール鎖の重合度が20であるポリエチレングリコールモノノニルフェニルエーテル(東京化成工業株式会社製)を0.275グラム(0.25×10−3モル)使用した以外は同様にして本発明の癒着防止剤(2)を得た。GPCおよびNMRによる構造解析から、ポリ(トリメチレンカーボネート)の重合度は400であった。癒着防止剤(2)におけるポリエチレングリコール鎖の重合度は20である。
合成例1においてポリエチレングリコール5000モノメチルエーテルに代えて炭素数が15のノニルフェニル基が結合したポリエチレングリコール鎖の重合度が20であるポリエチレングリコールモノノニルフェニルエーテル(東京化成工業株式会社製)を0.275グラム(0.25×10−3モル)使用した以外は同様にして本発明の癒着防止剤(2)を得た。GPCおよびNMRによる構造解析から、ポリ(トリメチレンカーボネート)の重合度は400であった。癒着防止剤(2)におけるポリエチレングリコール鎖の重合度は20である。
(合成例6)本発明の癒着防止剤(3)の合成例
合成例1と同様にして重合を行い、24時間後に安息香酸を添加して重合を停止する代わりに、更にトリメチレンカーボネートを30グラムとDBUを0.2グラム添加して、重合を継続し、更に24時間後に安息香酸を添加して重合を停止した。合成例1と同様にしてポリマーを精製し、本発明の癒着防止剤(3)を得た。GPCおよびNMRによる構造解析から、ポリ(トリメチレンカーボネート)の重合度は900であった。癒着防止剤(3)におけるポリエチレングリコール鎖の重合度は114である。
合成例1と同様にして重合を行い、24時間後に安息香酸を添加して重合を停止する代わりに、更にトリメチレンカーボネートを30グラムとDBUを0.2グラム添加して、重合を継続し、更に24時間後に安息香酸を添加して重合を停止した。合成例1と同様にしてポリマーを精製し、本発明の癒着防止剤(3)を得た。GPCおよびNMRによる構造解析から、ポリ(トリメチレンカーボネート)の重合度は900であった。癒着防止剤(3)におけるポリエチレングリコール鎖の重合度は114である。
(合成例7)本発明の癒着防止剤(4)の合成例
合成例1の本発明の癒着防止剤の合成に於いて重合開始から5時間後に重合停止剤として安息香酸を添加した以外は上記の合成例と同様にして重合を行い、本発明の癒着防止剤(4)を合成した。GPCおよびNMRによる構造解析から、ポリ(トリメチレンカーボネート)の重合度は200であった。癒着防止剤(4)におけるポリエチレングリコール鎖の重合度は114である。
合成例1の本発明の癒着防止剤の合成に於いて重合開始から5時間後に重合停止剤として安息香酸を添加した以外は上記の合成例と同様にして重合を行い、本発明の癒着防止剤(4)を合成した。GPCおよびNMRによる構造解析から、ポリ(トリメチレンカーボネート)の重合度は200であった。癒着防止剤(4)におけるポリエチレングリコール鎖の重合度は114である。
(実施例1〜4および比較例1〜4)
多孔性基材として、細い針を使用して約100μm径の細孔を多数設けた100μm厚みのポリエステルフィルムを使用し、この表面に上記合成例1〜7で得られた各々の癒着防止剤の1,4−ジオキサン溶液を塗布、乾燥することで創傷被覆材を作製した。この際、癒着防止剤溶液の濃度は0.5質量%に調整し、各々の溶液を用いて上記フィルムの表面にNo.12のドクターバーを使用して塗布を行い、ドライヤーを使用して乾燥を行った。塗布直後の湿潤状態での塗布量の実測値は24グラム/m2であったことから、乾燥固形分塗布量の推定値(計算値)は全ての試料で大凡0.12グラム/m2であった。各々の塗布試料を4cm×7cmの大きさに裁断し、合成例1、5、6および7の癒着防止剤を使用した場合を各々本発明の実施例1〜4とし、合成例2〜4で得られた比較の癒着防止剤を使用した場合を各々比較例1〜3とした。また、癒着防止剤を塗布しないポリエステルフィルムを比較例4とした。
多孔性基材として、細い針を使用して約100μm径の細孔を多数設けた100μm厚みのポリエステルフィルムを使用し、この表面に上記合成例1〜7で得られた各々の癒着防止剤の1,4−ジオキサン溶液を塗布、乾燥することで創傷被覆材を作製した。この際、癒着防止剤溶液の濃度は0.5質量%に調整し、各々の溶液を用いて上記フィルムの表面にNo.12のドクターバーを使用して塗布を行い、ドライヤーを使用して乾燥を行った。塗布直後の湿潤状態での塗布量の実測値は24グラム/m2であったことから、乾燥固形分塗布量の推定値(計算値)は全ての試料で大凡0.12グラム/m2であった。各々の塗布試料を4cm×7cmの大きさに裁断し、合成例1、5、6および7の癒着防止剤を使用した場合を各々本発明の実施例1〜4とし、合成例2〜4で得られた比較の癒着防止剤を使用した場合を各々比較例1〜3とした。また、癒着防止剤を塗布しないポリエステルフィルムを比較例4とした。
次いで、175μm厚みのポリエステルフィルム上に、40℃に加温した10質量%ゼラチン水溶液(ゼラチンに対して10質量%のアシッドブルー1を添加して着色した)をNo.36のドクターバーを使用して塗布を行い、氷冷したバットの上にステンレス板を設置し、その上にゼラチン溶液を塗布した直後の175μm厚みのポリエステルフィルムを静置してゼラチン膜を急冷し、セットさせた。セットした状態のゼラチン膜は指で触ると粘着性があり、指紋が付き、柔らかい表面を有していた。この上に上記で作製した実施例1〜4の試料の癒着防止剤塗布面、および比較例1〜3の試料の癒着防止剤塗布面とゼラチン膜が接するように接着した。未塗布の比較例4の試料も同じくセットしたゼラチン溶液の表面に接着した。この状態にて室温で1週間静置し、ゼラチン膜を乾燥させた。
乾燥したゼラチン膜から各試料をゆっくりと剥離した。この際、癒着性の評価として以下のようにして評価を行った。即ち、試料とゼラチン膜との接着性に関して、一つは、剥離の際の抵抗力に基づいた評価を行った。即ち、剥離の際に抵抗力が低いかほとんど認められない場合を○とし、抵抗力が僅かでも認められる場合を△とし、更に抵抗力が大きく、剥離が困難である場合を×とした。もう一つの評価として、剥離した試料表面へのゼラチン膜の付着の程度について評価を行った。剥離した試料にゼラチン膜が付着していない場合は○とし、剥離後の試料にはゼラチン膜が僅かに付着している場合を△とし、さらに、剥離した試料表面全体に顕著にゼラチン膜が付着している場合を×とした。全ての実施例および比較例についてこれら二つの癒着性評価項目について評価を行った結果を表1に纏めた。二つの評価項目の内、いずれか一つでも×の評価であった場合には、癒着防止効果は不十分とし、両方の項目で、最低限△以上のレベルであった場合を癒着防止効果有りと判断した。この結果より、実施例1〜4の多孔性ポリエステルフィルムに本発明の癒着防止剤を塗布した創傷被覆材はゼラチンに対する接着性(癒着性)が低いことが確認された。これに対して比較例1〜4の創傷被覆材はいずれもゼラチン膜に強固に接着(癒着)しており、癒着防止効果を有しないことが実証された。
(実施例5〜8および比較例5〜8)
多孔性基材として、平均繊維径20μmのポリエステル長繊維を使用して湿式法で製造した厚み100μm、坪量15グラム/m2の不織布を使用し、この表面に、合成例1〜7で得られたそれぞれの癒着防止剤を溶解した5質量%の1,4−ジオキサン溶液を塗布、乾燥することで創傷被覆材を作製した。塗布はポリエステルフィルム上に不織布を設置した状態でNo.12のドクターバーを使用して行い、直ちにドライヤーを用いて乾燥を行った。合成例1、5、6および7の癒着防止剤を使用した場合を各々本発明の実施例5〜8とし、合成例2〜4で得られた比較癒着防止剤を使用した場合を各々比較例5〜7とした。また、癒着防止剤を塗布しない不織布を比較例8とした。得られた各々の創傷被覆材を用いて、創傷被覆材としての使用可否判断のためのモデル評価を以下のようにして行った。通液性および濾過性を評価するため、標準品として入手可能な直径10μmの単分散性ポリスチレン粒子を水に均一に分散した分散液を細胞が浮游した体液に見立てて使用し、これを上記の各々の試料を通して濾過試験を行った。その結果、何れの試料についても濾過速度は極めて速く、迅速に濾過が完了し、濾液は完全に透明で、ポリスチレン粒子は全て試料上に捕捉されていることが確認できた。この結果より、10μmおよびこれ以上の大きさを有する各種細胞が上記の各々の試料を通過出来ないことを確認した。
多孔性基材として、平均繊維径20μmのポリエステル長繊維を使用して湿式法で製造した厚み100μm、坪量15グラム/m2の不織布を使用し、この表面に、合成例1〜7で得られたそれぞれの癒着防止剤を溶解した5質量%の1,4−ジオキサン溶液を塗布、乾燥することで創傷被覆材を作製した。塗布はポリエステルフィルム上に不織布を設置した状態でNo.12のドクターバーを使用して行い、直ちにドライヤーを用いて乾燥を行った。合成例1、5、6および7の癒着防止剤を使用した場合を各々本発明の実施例5〜8とし、合成例2〜4で得られた比較癒着防止剤を使用した場合を各々比較例5〜7とした。また、癒着防止剤を塗布しない不織布を比較例8とした。得られた各々の創傷被覆材を用いて、創傷被覆材としての使用可否判断のためのモデル評価を以下のようにして行った。通液性および濾過性を評価するため、標準品として入手可能な直径10μmの単分散性ポリスチレン粒子を水に均一に分散した分散液を細胞が浮游した体液に見立てて使用し、これを上記の各々の試料を通して濾過試験を行った。その結果、何れの試料についても濾過速度は極めて速く、迅速に濾過が完了し、濾液は完全に透明で、ポリスチレン粒子は全て試料上に捕捉されていることが確認できた。この結果より、10μmおよびこれ以上の大きさを有する各種細胞が上記の各々の試料を通過出来ないことを確認した。
氷冷したバットの上にステンレス板を設置し、その上に先の実施例で使用したゼラチン溶液を塗布した直後の175μm厚みのポリエステルフィルムを静置してゼラチン膜を急冷し、セットさせた。セットした状態のゼラチン膜は指で触ると粘着性があり、指紋が付き、柔らかい表面を有していた。この上に上記で作製した実施例5〜8および比較例5〜8の各々の試料の癒着防止剤塗布面を接着させ、送風機を使用してゼラチン膜を乾燥させた。ゼラチン膜はゲル状態であるため、何れの試料に対しても通液することはなかった。乾燥後、創傷被覆材とゼラチン膜との接着性(癒着性)評価を、剥離の際の抵抗力の程度と、ゼラチン膜上に残された不織布繊維の程度から評価を行った。即ち、剥離の際に抵抗力が低いかほとんど認められない場合を○とし、抵抗力が僅かでも認められる場合を△とし、更に抵抗力が大きく、剥離が困難である場合を×とした。もう一つの評価として、剥離した後のゼラチン膜表面に残存する不織布繊維の付着の程度について評価を行った。剥離した後にゼラチン膜上に何ら繊維が付着して残されていない場合を○とし、剥離後にゼラチン膜表面に不織布繊維が僅かに付着している場合を△とし、さらに、剥離した後のゼラチン膜表面全体に顕著に不織布繊維が付着残存している場合を×とした。全ての実施例および比較例の試料についてこれら二つの癒着性評価項目について評価を行った結果を表2に纏めた。二つの評価項目の内、いずれか一つでも×の評価であった場合には、癒着防止効果はないとし、両方の項目で、最低限△以上のレベルであった場合を癒着効果有りと判断した。この結果より、実施例5〜8の不織布に本発明の癒着防止剤を塗布した創傷被覆材はゼラチンに対する接着性(癒着性)が低いことが確認された。これに対して比較例5〜8の創傷被覆材はいずれもゼラチン膜に強固に接着(癒着)しており、癒着防止効果を有しないことが実証された。
(実施例9および10)
多孔性基材として、平均繊維径3μmあるいは30μmのポリエステル長繊維を使用して湿式法で製造した厚み200μm、坪量15グラム/m2の不織布2種を使用し、この表面に、合成例7で得られた本発明の癒着防止剤(4)を溶解した5質量%のテトラヒドロフラン溶液をそれぞれNo.12のドクターバーを使用して塗布、乾燥することで、実施例9(平均繊維径3μm)および実施例10(平均繊維径30μm)の創傷被覆材を作製した。これらの試料に対し、実施例5〜8と同様にして、セットしたゼラチン膜に癒着防止剤塗布面を接着した状態でゼラチン膜の乾燥を行った。その後、実施例5〜8と同様にして、創傷被覆材とゼラチン膜との接着性(癒着性)評価を、剥離の際の抵抗力の程度と、ゼラチン膜上に残された不織布繊維の程度から評価を行った。その結果、表3に示すように、実施例9は極めて良好なゼラチンに対する接着(癒着)防止性能を示したが、実施例10はやや劣る結果であった。この結果は、恐らく繊維径の大きな実施例10の場合、塗布の際に、塗布溶液が繊維間の間隙を通過して下方に浸透したため、繊維表面への付着量が少なくなったためと考えられる。これに対して、繊維径の小さい実施例9では、良好な接着(癒着)防止性能が確認できた。また、実施例5〜8と同様にして、直径10μmの単分散性ポリスチレン粒子を水に均一に分散した分散液を同様に細胞に見立てて使用し、これを上記の各々の試料を通して濾過試験を行った。その結果、実施例9では全てのポリスチレン粒子が不織布上に捕捉され、濾液中には存在しなかったが、実施例10ではポリスチレン粒子の大部分が濾液中に認められた。濾過速度に関しては両者で差は認められなかった。この結果より、実施例10では大きさが10μm程度の細胞は、自由に不織布を通過できることが示唆され、実施例9の方が創傷被覆材としてより好ましい形態であると判断された。
多孔性基材として、平均繊維径3μmあるいは30μmのポリエステル長繊維を使用して湿式法で製造した厚み200μm、坪量15グラム/m2の不織布2種を使用し、この表面に、合成例7で得られた本発明の癒着防止剤(4)を溶解した5質量%のテトラヒドロフラン溶液をそれぞれNo.12のドクターバーを使用して塗布、乾燥することで、実施例9(平均繊維径3μm)および実施例10(平均繊維径30μm)の創傷被覆材を作製した。これらの試料に対し、実施例5〜8と同様にして、セットしたゼラチン膜に癒着防止剤塗布面を接着した状態でゼラチン膜の乾燥を行った。その後、実施例5〜8と同様にして、創傷被覆材とゼラチン膜との接着性(癒着性)評価を、剥離の際の抵抗力の程度と、ゼラチン膜上に残された不織布繊維の程度から評価を行った。その結果、表3に示すように、実施例9は極めて良好なゼラチンに対する接着(癒着)防止性能を示したが、実施例10はやや劣る結果であった。この結果は、恐らく繊維径の大きな実施例10の場合、塗布の際に、塗布溶液が繊維間の間隙を通過して下方に浸透したため、繊維表面への付着量が少なくなったためと考えられる。これに対して、繊維径の小さい実施例9では、良好な接着(癒着)防止性能が確認できた。また、実施例5〜8と同様にして、直径10μmの単分散性ポリスチレン粒子を水に均一に分散した分散液を同様に細胞に見立てて使用し、これを上記の各々の試料を通して濾過試験を行った。その結果、実施例9では全てのポリスチレン粒子が不織布上に捕捉され、濾液中には存在しなかったが、実施例10ではポリスチレン粒子の大部分が濾液中に認められた。濾過速度に関しては両者で差は認められなかった。この結果より、実施例10では大きさが10μm程度の細胞は、自由に不織布を通過できることが示唆され、実施例9の方が創傷被覆材としてより好ましい形態であると判断された。
(実施例11)
前記実施例5で得られた試料を用いて、これの癒着防止剤塗布面とは反対側の面に市販の脱脂綿を張り合わせて15cm×15cmの正方形の創傷被覆材を作製した。直径10cmの市販のガラスシャーレ内に前記実施例1〜4で作製したゼラチン溶液を厚み5mm程度になるよう流し入れ、シャーレを冷却してゼラチン膜をセットさせた。さらに上記実施例5〜8で使用した10μmポリスチレン粒子を分散して10℃に調整した水分散液をシャーレ内のゼラチン膜上に注ぎ、シャーレ上面に上記の不織布と脱脂綿を張り合わせた試料を癒着防止剤塗布面が液と接触するように、ガムテープを使用して接着した。次にシャーレを試料と共に反転したところ、水は直ちに脱脂綿の層内に吸収されたが、ポリスチレン粒子は脱脂綿の層内には移行しないことが確認できた。次いで、ゼラチン膜が試料の癒着防止剤塗布面と接した状態でシャーレを取り除き、セットした状態のゼラチン膜を不織布上で送風機を使用して室温で乾燥させた。乾燥後、ゼラチン膜は試料表面から容易に剥離できたことから、本発明で得られる創傷被覆材は良好な癒着防止機能を有することが示唆される結果を得た。
前記実施例5で得られた試料を用いて、これの癒着防止剤塗布面とは反対側の面に市販の脱脂綿を張り合わせて15cm×15cmの正方形の創傷被覆材を作製した。直径10cmの市販のガラスシャーレ内に前記実施例1〜4で作製したゼラチン溶液を厚み5mm程度になるよう流し入れ、シャーレを冷却してゼラチン膜をセットさせた。さらに上記実施例5〜8で使用した10μmポリスチレン粒子を分散して10℃に調整した水分散液をシャーレ内のゼラチン膜上に注ぎ、シャーレ上面に上記の不織布と脱脂綿を張り合わせた試料を癒着防止剤塗布面が液と接触するように、ガムテープを使用して接着した。次にシャーレを試料と共に反転したところ、水は直ちに脱脂綿の層内に吸収されたが、ポリスチレン粒子は脱脂綿の層内には移行しないことが確認できた。次いで、ゼラチン膜が試料の癒着防止剤塗布面と接した状態でシャーレを取り除き、セットした状態のゼラチン膜を不織布上で送風機を使用して室温で乾燥させた。乾燥後、ゼラチン膜は試料表面から容易に剥離できたことから、本発明で得られる創傷被覆材は良好な癒着防止機能を有することが示唆される結果を得た。
本発明の癒着防止剤は、ドラッグデリバリーシステムの医薬品担体や抗血栓性材料として各種人工血管や人工臓器等の医療機器に対するコート剤に使用することが可能である。また、防汚性を利用したコンタクトレンズへの表面コートや各種防汚塗料としての使用も可能である。
Claims (6)
- 下記一般式Iで示される癒着防止剤。
- 請求項1記載の癒着防止剤を多孔性基材に塗布した創傷被覆材。
- 前記多孔性基材が多孔性フィルムである請求項2に記載の創傷被覆材。
- 前記多孔性基材が布状繊維基材である請求項2に記載の創傷被覆材。
- 前記布状繊維基材が、平均繊維径が20μm以下である繊維から構成される不織布である請求項4に記載の創傷被覆材。
- 体液を吸収保持可能である基材を、前記した創傷被覆材の創傷面と接触しない側に重ねて配置した、請求項2〜5のいずれかに記載の創傷被覆材。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2015229740A (ja) * | 2014-06-06 | 2015-12-21 | 株式会社ファンケル | 表面処理剤 |
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-
2013
- 2013-03-07 JP JP2013045589A patent/JP2014171590A/ja active Pending
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