JP2008034608A - シリコンウェーハの加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ポリシリコン膜を成膜した後に高温熱処理を行うことなく、シリコンウェーハ内部の金属不純物を捕獲し、高清浄低抵抗のシリコンウェーハが得られるシリコンウェーハの加工方法を提供する。
【解決手段】 Cu又はNiのいずれか一方又はその双方を含む金属不純物に汚染されたシリコンウェーハ11の全面に厚さ0.1〜2μmのポリシリコン膜12を成膜する。この成膜により、ポリシリコン膜12又はポリシリコン膜に接するウェーハ表層13のいずれか一方又は双方に金属不純物を捕獲させる工程と、ポリシリコン膜及びウェーハ表層を除去する工程とを含むことを特徴とする
【選択図】 図1

Description

本発明は、シリコンウェーハ内部の金属不純物を除去するためのシリコンウェーハの加工方法に関する。
近年、半導体装置の高密度化、高集積化に伴い、半導体動作の安定化が求められている。しかし、シリコンウェーハ内部に銅(Cu)やニッケル(Ni)等の金属不純物が存在する場合、金属不純物がシリコンの格子間に化合物として析出するため、pn接合のリーク電流の増大等が起こり、半導体装置の電気的特性が劣化し、動作の安定化が阻害される等問題がある。特にCuは比抵抗が低いウェーハ内部において、拡散性が高いという問題があった。
この問題を解決する対策として、金属不純物等の汚染物質をデバイス形成領域から取り除くゲッタリング技術が行われている。ゲッタリング技術の1つとして、External Gettering(以下、EGという。)法が知られている。
EG法にはウェーハ裏面にサンドブラスティングにより機械的ダメージを付与したり、ウェーハ裏面にリンを高濃度に拡散したり、或いはウェーハ裏面にポリシリコン膜を成膜したりする方法がある。ウェーハ裏面にポリシリコン膜を成膜する方法はPoly Back Seal(以下、PBSという。)法と呼ばれ、このPBS法では、成膜されたポリシリコン膜に接するウェーハ裏面に導入された歪みがEGシンクとして働き、ウェーハ内を拡散しているCu原子やNi原子の金属不純物原子を捕獲する。しかし、一度熱処理によってEGシンクに捕獲されたCuやNiが、その後の工程における熱処理によっても再放出されずにEGシンクに安定的に捕獲されているかどうかは不明であった。
そこで、このポリシリコン膜に捕獲されたCuやNiの金属不純物がその後の熱処理等によっても再放出されることがない安定したゲッタリング特性を与えるシリコンウェーハの熱処理方法が提案されている(特許文献1参照。)。この熱処理方法では、裏面にポリシリコン膜を有するシリコンウェーハを熱処理した後に0.7℃/秒以下の冷却速度で室温まで冷却する。
特許文献1に示されるPBS法ではポリシリコン膜の成膜を、減圧CVD法によって行い、ここではシランガス(SiH4)を20、ヘリウムガス(He)を80の割合で混合した原料ガスを600℃に加熱してあるシリコンウェーハ上に30分間通過させることにより、シリコンウェーハ裏面にポリシリコン膜を成膜した後、ポリシリコン膜を成膜していないシリコンウェーハ表面をポリッシュする。PBS法でポリシリコン膜が成膜されたシリコンウェーハをボードに積載し、1000℃の横型炉内に設置し30分間、N2雰囲気中で加熱する。この高温熱処理により、シリコンウェーハ内部や表面に拡散しているCuやNiをポリシリコン膜に捕獲している。
特開平5−129310号公報(請求項1、明細書[0007]〜[0011])
しかし、最近では超LSIの微細化が進むにつれて各素子間の距離が短くなってきている。このため、デバイス作製工程においては、1000℃以下の低温熱処理、又は1000℃以上でも数秒から数分程度の短時間高速加熱冷却処理が主流となってきている。このため、金属不純物をEGシンクまで移動させるに十分な温度や時間が足りないという問題があった。
本発明の目的は、ポリシリコン膜を成膜した後に高温熱処理を行うことなく、シリコンウェーハ内部の金属不純物を捕獲し、この金属不純物を除去することにより高清浄低抵抗のシリコンウェーハが得られるシリコンウェーハの加工方法を提供することにある。
請求項1に係る発明は、図1に示すように、Cu又はNiのいずれか一方又はその双方を含む金属不純物に汚染され、シリコンウェーハ11の全面に厚さ0.1〜2μmのポリシリコン膜12を成膜することにより、ポリシリコン膜12又はポリシリコン膜12に接するウェーハ表層13のいずれか一方又は双方に金属不純物を捕獲させる工程とを含むシリコンウェーハの加工方法の改良である。
その特徴ある構成は、金属不純物を捕獲したポリシリコン膜12及びウェーハ表層13を除去する工程を含むところにある。
この請求項1に記載されたシリコンウェーハの加工方法では、シリコンウェーハ11の全面に厚さ0.1〜2μmのポリシリコン膜12を成膜することで、ウェーハ11とポリシリコン膜12との界面に歪みが生じ、ウェーハ11全面の表層13にゲッタリングシンクが形成される。成膜されている間、ウェーハ11に含まれている金属不純物はこのゲッタリングシンクに捕獲される。成膜が完了した後、ポリシリコン膜12及びウェーハ表層13を除去することでゲッタリングシンクに捕獲されている金属不純物を除去できる。この結果、高清浄のシリコンウェーハ10を得ることができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、CVD炉内の圧力を約0.01〜1.3kPaとし、炉内でシリコンウェーハ11を500〜800℃に加熱した状態で、炉内にシランガスを導入し、10〜60分間保持することによりシリコンウェーハ11の全面にポリシリコン膜12を成膜し、CVD炉からウェーハ11を取出して室温まで冷却した後、ポリシリコン膜12及びウェーハ11の表層を除去するシリコンウェーハの加工方法である。
この請求項2に記載されたシリコンウェーハの加工方法では、減圧CVD法でシリコンウェーハ11の全面にポリシリコン膜12を成膜し、ウェーハ11を冷却した後、ポリシリコン膜12とウェーハ表層13を除去することにより捕獲された金属不純物をより確実にウェーハ11から除去することができる。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明であって、比抵抗が0.1Ω・cm以下のシリコンウェーハを対象とするシリコンウェーハの加工方法である。
この請求項3に記載されたシリコンウェーハの加工方法では、CuやNi等の捕獲が困難な比抵抗が0.1Ω・cm以下のシリコンウェーハであっても、確実に金属不純物を捕獲し除去することができる。
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に係る発明であって、ポリシリコン膜12及びウェーハ表層13の除去が、酸エッチングにより行われるシリコンウェーハの加工方法である。
この請求項4に記載されたシリコンウェーハの加工方法では、酸がもつ酸化作用と溶解作用により、ポリシリコン膜12及びウェーハ表層13を除去する。
請求項5に係る発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に係る発明であって、ポリシリコン膜12及びウェーハ表層13の除去が、アルカリエッチングにより行われるシリコンウェーハの加工方法である。
この請求項5に記載されたシリコンウェーハの加工方法では、アルカリがもつ溶解作用によりポリシリコン膜12及びウェーハ表層13を除去する。
請求項6に係る発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に係る発明であって、ポリシリコン膜12及びウェーハ表層13の除去が、研削により行われるシリコンウェーハの加工方法である。
この請求項6に記載されたシリコンウェーハの加工方法では、立軸回転テーブル型平面研削盤を用いてウェーハ表面を砥石により機械的に研削することによりポリシリコン膜12及びウェーハ表層13を除去する。
請求項7に係る発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に係る発明であって、ポリシリコン膜12及びウェーハ表層13の除去が、ラッピングにより行われるシリコンウェーハの加工方法である。
この請求項7に記載されたシリコンウェーハの加工方法では、加圧下でラップ液とラップ定盤を用いてウェーハ11の両面を機械的に研削することによりポリシリコン膜12及びウェーハ表層13を除去する。
請求項8に係る発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に係る発明であって、ポリシリコン膜12及びウェーハ表層13の除去が、ポリッシングにより行われるシリコンウェーハの加工方法である。
この請求項8に記載されたシリコンウェーハの加工方法では、研磨クロスとアルカリ性コロイダルシリカ研磨液を用いて機械的研磨と化学エッチングとの複合作用により、ウェーハ11全面に加工歪みを残さずにポリシリコン膜12及びウェーハ表層13を除去する。
以上述べたように、本発明によれば、金属不純物に汚染されたシリコンウェーハの全面に、厚さ0.1〜2μmのポリシリコン膜を成膜することにより、ウェーハ全面の表層にゲッタリングシンクを形成し、ポリシリコン膜又はウェーハ表層のいずれか一方又は双方に金属不純物を捕獲する。従来のウェーハ裏面にのみ形成されるEGシンクと比べて、本発明のEGシンクはウェーハ全面に形成されるため、ゲッタリング効果が高い。その後、ポリシリコン膜及びウェーハ表層を除去することでゲッタリングシンクごと金属不純物を除去できる。この結果、ポリシリコン膜を成膜した後に高温熱処理を行うことなく、シリコンウェーハ内部の金属不純物を捕獲し、高清浄低抵抗のシリコンウェーハを得ることができる。
次に本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1に示すように、本発明のシリコンウェーハの加工方法は、CuやNiなどの金属不純物で汚染されたシリコンウェーハ11にポリシリコン膜12を成膜する工程と、成膜されたシリコンウェーハ11からポリシリコン膜12及びウェーハ表層13を除去する工程とからなる。
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態では、シリコンウェーハの加工は、CZ法により育成されたシリコン単結晶インゴットからシリコンウェーハを製造する方法の工程の間に行われる。
図2に示すように、このシリコンウェーハの製造方法は、シリコン単結晶インゴットをスライスするスライス工程1と、ウェーハの周辺部を面取りしてカケやチップを防ぐ面取り工程2と、スライスにより生じたウェーハ表面の凹凸層を削り、ウェーハ表面の平坦度と平行度を高めるラッピング工程3と、機械加工プロセスによるウェーハ表面の加工変質層を化学的に除去するエッチング工程4と、ウェーハ表面を鏡面に仕上げるポリッシング工程7とが含まれる。
この実施の形態では、ポリシリコン膜成膜工程5とポリシリコン膜及びウェーハ表層除去工程6は、エッチング工程4の後、ポリッシング工程7の前に行われる。次にこのシリコンウェーハの加工方法を各工程別に説明する。
(1)ポリシリコン膜成膜工程
この実施の形態ではウェーハの比抵抗は0.1Ω・cm以下である。このウェーハをCVD炉に設置する。炉内を不活性ガス雰囲気とし、真空ポンプでCVD炉内を排気することで、炉内圧力を約0.01〜1.3kPa、好ましくは0.024〜0.025kPaとする。次いでウェーハを500〜800℃、好ましくは600〜700℃に加熱し、炉内にシランガスを導入して、10〜60分間保持する。これにより、ウェーハの全面に厚さ0.1〜2μm、好ましくは0.5〜1μmのポリシリコン膜を成膜する。
このように、ウェーハの全面にポリシリコン膜を成膜すると、単結晶の層であるウェーハと多結晶の層であるポリシリコン膜との界面に歪みが生じる。この歪みがゲッタリングシンクとして働く。即ち、ウェーハを加熱することによりウェーハ内部又はウェーハ表面に存在するCuやNiが、このゲッタリングシンクを中心としたウェーハ表層又はポリシリコン膜へ移動し捕獲される。この結果、ポリシリコン膜を成膜した後に高温熱処理を行うことなく、シリコンウェーハ内部の金属不純物が捕獲される。
また、比抵抗が0.1Ω・cm以下のシリコンウェーハは、CuやNiがウェーハ中に拡散しやすく、一旦、内部に拡散されたCuやNiはウェーハ表面への移動度が遅いため、ウェーハ内部にCuやNiが残留する問題がある。本発明は比抵抗が0.1Ω・cm以下のシリコンウェーハであっても、Cu及びNiを確実に捕獲することができ、特に有効である。
また、炉内圧力を約0.01〜1.3kPaとしたのは、0.01kPa未満或いは1.3kPaを越えると、均一なポリシリコン膜の形成ができないからである。
更に、炉内にシランガスを導入して、10〜60分間保持することで、導入されたシランガス(SiH4)がウェーハの熱によりシリコン(Si)と水素(2H2)に熱分解され、ウェーハの全面にポリシリコン膜が形成される。保持時間が10分未満では、ウェーハ内部のCuやNiを十分に捕獲することが困難であり、60分を超える場合には、ウェーハの全面に反応が起きるばかりでなく、CVD炉内の気体内でも反応が進み、炉内内壁部等に反応生成物が付着する。この結果、反応生成物が内壁部等からウェーハ上に落ちた場合には、ポリシリコン膜中に反応生成物由来の欠陥や不純物が形成されるおそれがあるからである。
ここで、ポリシリコン膜の厚さを0.1〜2μmとしたのは、0.1μm未満では、ゲッタリングシンクが形成されず、EG効果を十分に得られず、また、2μmを越えると、ウェーハに反りが発生するというおそれがあるからである。
また、ウェーハの加熱温度を500〜800℃としたのは、500℃未満では、ゲッタリングシンクがCuやNiを十分に捕獲することが困難であり、800℃を越えると、ウェーハの全面に反応が起きるばかりでなく、CVD炉内の気体内でも反応が進み、炉内内壁部等に反応生成物が付着する。この結果、反応生成物が内壁部等からウェーハ上に落ちた場合には、ポリシリコン膜中に反応生成物由来の欠陥や不純物が形成されるおそれがある。
(2)ポリシリコン膜及びウェーハ表層除去工程
上記ポリシリコン膜成膜工程によりシリコンウェーハの全面にポリシリコン膜が成膜され、Cu又はNiのいずれか一方又はその双方を含む金属不純物を捕獲したポリシリコン膜とウェーハ表層をもつウェーハをCVD炉から取出して、室温まで冷却する。次いで、室温まで冷却したウェーハのポリシリコン膜及びウェーハ表層を除去する。
除去されるウェーハ表層の厚さは、ウェーハとポリシリコン膜の界面から0.1〜5.0μm、好ましくは0.5〜1.0μmである。ここで、除去されるウェーハ表層の厚さを0.1〜5.0μmとしたのは、0.1μm未満では、ウェーハ全面にわたってウェーハ表層を均一に除去することが難しく、ウェーハ表層が均一に除去されない場合には捕獲した金属不純物を除去しきれない。また、5.0μmを越えるとSiウェーハの加工ロスが大きくなりすぎて経済的でなくなるからである。
この第1の実施の形態では、ポリシリコン膜及びウェーハ表層除去をエッチングにより行う。エッチングの種類には、酸エッチング又はアルカリエッチングの2種類がある。
酸エッチングでは、フッ化水素(HF)と硝酸(HNO3)の混酸を水(H2O)で希釈したHF−HNO3−H2O系エッチャント、或いはフッ化水素(HF)と硝酸(HNO3)の混酸を酢酸(CH3COOH)で希釈したHF−HNO3−CH3COOH系エッチャントなどが用いられる。酸がもつ酸化作用と溶解作用により、ポリシリコン膜及びウェーハ表層が除去される。
また、アルカリエッチングでは、半導体グレードの高純度アルカリ液を用いる。高純度アルカリ液としては、具体的には、KOH系エッチャント、或いはNaOH系エッチャントなどが用いられる。アルカリがもつ溶解作用により、ポリシリコン膜及びウェーハ表層が除去される。
このように、ポリシリコン膜及びウェーハ表層とともに金属不純物を捕獲したゲッタリングシンクを除去する。ポリシリコン膜及びウェーハ表層除去後、引き続き、ポリッシングが行われる。この結果、高清浄のシリコンウェーハを得ることができる。
なお、ポリシリコン膜及びウェーハ表層の除去は、エッチングの代わりに、研削を用いて行ってもよい。
研削は、具体的には、立軸回転テーブル型平面研削盤を用いてウェーハ表面を砥石により機械的に研削する方法である。これにより、ポリシリコン膜及びウェーハ表層が除去される。
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態では、シリコンウェーハの加工は、CZ法により育成されたシリコン単結晶インゴットからシリコンウェーハを製造する方法の工程の間に行われる。
図3に示すように、この第2の実施の形態では、ポリシリコン膜成膜工程は面取り工程の後に行われる。ポリシリコン膜及びウェーハ表層除去は、特別な除去工程を設けることなく、上記シリコンウェーハ製造方法を構成する工程の1つであるラッピング工程により行われる。次にこのシリコンウェーハの加工方法を各工程別に説明する。
ポリシリコン膜成膜は、第1の実施の形態と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
ラッピングは、具体的には、互いに平行に保たれた上下2枚のラップ定盤の間にウェーハを設置し、アルミナ或いはシリコンカーバイト砥粒とグリセリンの混合物であるラップ液を混ぜたスラリをウェーハとラップ定盤との間に流し込み、ウェーハとラップ定盤の両者に圧力を加えながら定盤を回転させ、摺合せることにより、砥粒の転がりでウェーハ表面を滑らかにかつ高精度に仕上げる機械研磨の方法である。また、ラッピングは、主としてスライシングによって生じたウェーハ表面の凹凸層を削り、表面の平坦度とウェーハの平行度を高めるためのプロセスである。これにより、ポリシリコン膜及びウェーハ表層が除去され、かつウェーハの平行度が高まる。なお、ラッピングを行う前に面取りを行う必要がある。
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態では、シリコンウェーハの加工は、CZ法により育成されたシリコン単結晶インゴットからシリコンウェーハを製造する方法の工程の間に行われる。
図4に示すように、この第3の実施の形態では、ポリシリコン膜成膜工程はラッピング工程の後に行われる。ポリシリコン膜及びウェーハ表層除去は、特別な除去工程を設けることなく、上記シリコンウェーハ製造方法を構成する工程の1つであるエッチング工程により行われる。次にこのシリコンウェーハの加工方法を各工程別に説明する。
ポリシリコン膜成膜は、第1の実施の形態と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
また、エッチングによるポリシリコン膜及びウェーハ表層の除去も、第1の実施の形態と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
<第4の実施の形態>
本発明の第4の実施の形態では、シリコンウェーハの加工は、CZ法により育成されたシリコン単結晶インゴットからシリコンウェーハを製造する方法の工程の間に行われる。
図5に示すように、この第4の実施の形態では、ポリシリコン膜成膜工程はエッチング工程の後に行われる。ポリシリコン膜及びウェーハ表層除去は、特別な除去工程を設けることなく、上記シリコンウェーハ製造方法を構成する工程の1つであるポリッシング工程により行われる。次にこのシリコンウェーハの加工方法を各工程別に説明する。
ポリシリコン膜成膜は、第1の実施の形態と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
ポリッシングは、具体的には、回転研磨マウント板にシリコンウェーハをワックス等で貼り付け、人造皮革製の研磨クロスを接着した回転研磨テーブル上にウェーハを適切な圧力で押しつけ、マウント板とテーブルをそれぞれ逆方向に回転させることでウェーハの表面研磨を行う方法である。研磨クロスにはウェーハよりも軟質のSiO2を主成分としたアルカリ性コロイダルシリカ研磨液が注入される。この砥粒による機械研磨とアルカリ液による化学エッチングとの複合作用によるメカノケミカルプロセス(mechanochemical process)によりポリッシングが行われるのでウェーハの変質が極めて少ない。これにより、ポリシリコン膜及びウェーハ表層が除去される。なお、ポリッシングを行う前に面取りを行う必要がある。
なお、第1の実施の形態におけるポリシリコン膜及びウェーハ表層の除去は、酸エッチング、アルカリエッチング、或いは研削で行ったが、第1の実施の形態ないし第4の実施の形態において、ポリシリコン膜及びウェーハ表層の除去を、酸エッチング、アルカリエッチング、研削、ラッピング、ポリッシングのいずれか1つだけでなく、或いはこれらの組み合わせにより行ってもよい。
また、研削、ラッピング、ポリッシングには、上記に記載したものの他にも様々な装置や方式が用いられる。本発明の実施は、これらの装置、又は方式を問わずに適用可能である。
次に、本発明の実施例を参照例及び比較例とともに詳しく説明する。
<参照例1>
先ず、比抵抗を四探針法で測定したところ10Ω・cmである、スライスされた直後の直径200mmのシリコンウェーハを用意した。このスライスされたウェーハを図2に示すように、面取り、ラッピング、化学的エッチング、ポリシリコン膜の成膜、ポリシリコン膜及びウェーハ表層の除去、及びポリッシングを行って加工処理されたシリコンウェーハを得た。このときのポリシリコン膜の成膜条件としてはCVD炉を用い、炉内雰囲気を窒素ガス雰囲気とし、炉内圧力を23Pa、炉内温度を650℃とした。この炉内に反応ソースガスとしてモノシランガスを60分間導入して、ポリシリコン膜を0.8μm厚で成膜した。また、ポリシリコン膜及びウェーハ表層の除去は酸エッチングにより行った。得られたシリコンウェーハを参照例1とした。
<参照例2>
参照例1と同一である、比抵抗が10Ω・cmのスライスされた直後の直径200mmのシリコンウェーハを用意した。このウェーハに対してポリシリコン膜の成膜及びポリシリコン膜及びウェーハ表層の除去を行わない以外は、参照例1と同様にシリコンウェーハを加工処理した。
<実施例1>
比抵抗を四探針法で測定したところ0.1Ω・cmである、スライスされた直後の直径200mmのシリコンウェーハを用意した。このスライスされたウェーハを参照例1と同様にポリシリコン膜を成膜した後、このポリシリコン膜及びウェーハ表層を除去して、加工処理されたシリコンウェーハを得た。
<実施例2>
比抵抗を四探針法で測定したところ0.01Ω・cmである、スライスされた直後の直径200mmのシリコンウェーハを用意した。このスライスされたウェーハを参照例1と同様にポリシリコン膜を成膜した後、このポリシリコン膜及びウェーハ表層を除去して、加工処理されたシリコンウェーハを得た。
<実施例3>
比抵抗を四探針法で測定したところ0.005Ω・cmである、スライスされた直後の直径200mmのシリコンウェーハを用意した。このスライスされたウェーハを参照例1と同様にポリシリコン膜を成膜した後、このポリシリコン膜及びウェーハ表層を除去して、加工処理されたシリコンウェーハを得た。
<比較例1>
実施例1と同一である、比抵抗が0.1Ω・cmのスライスされた直後の直径200mmのシリコンウェーハを用意した。このウェーハに対してポリシリコン膜の成膜及びポリシリコン膜及びウェーハ表層の除去を行わない以外は、参照例1と同様にシリコンウェーハを加工処理した。
<比較例2>
実施例2と同一である、比抵抗が0.01Ω・cmのスライスされた直後の直径200mmのシリコンウェーハを用意した。このウェーハに対してポリシリコン膜の成膜及びポリシリコン膜及びウェーハ表層の除去を行わない以外は、参照例1と同様にシリコンウェーハを加工処理した。
<比較例3>
実施例3と同一である、比抵抗が0.005Ω・cmのスライスされた直後の直径200mmのシリコンウェーハを用意した。このウェーハに対してポリシリコン膜の成膜及びポリシリコン膜及びウェーハ表層の除去を行わない以外は、参照例1と同様にシリコンウェーハを加工処理した。
<比較試験及び評価>
参照例1〜2、実施例1〜3及び比較例1〜3で得られたそれぞれのウェーハをフッ酸及び硝酸の混酸溶液で全溶解し、回収液を誘導結合プラズマ質量分析(ICP−MS)してCu及びNiの濃度を測定した。この結果を図6及び図7に示す。
参照例1及び2のウェーハのCu濃度及びNiの濃度は同一であった。
また、実施例1〜3のウェーハのCu濃度及びNiの濃度は参照例1及び2のウェーハのCu濃度、Ni濃度と同一であり、それぞれICP−MSの検出限界値であった。
比較例1のウェーハのCu濃度及びNiの濃度は、参照例1及び2のウェーハのCu濃度及びNiの濃度を1としたとき、Cu濃度は20、Ni濃度は15であった。
比較例2のウェーハのCu濃度及びNiの濃度は、参照例1及び2のウェーハのCu濃度及びNiの濃度を1としたとき、Cu濃度は50、Ni濃度は20であった。
比較例3のウェーハのCu濃度及びNiの濃度は、参照例1及び2のウェーハのCu濃度及びNiの濃度を1としたとき、Cu濃度は200、Ni濃度は50であった。
図6と図7の比較から明らかなように、実施例1〜3のポリシリコン膜及びウェーハ表層を除去したウェーハは、比較例1〜3のポリシリコン膜を成膜しないウェーハと比べて、ウェーハに含まれるCuやNiが除去されることが判明した。
本発明のシリコンウェーハの加工方法を工程順に示す図である。 本発明の第1実施形態におけるシリコンウェーハの製造方法及び加工方法を工程順に示す図である。 本発明の第2実施形態におけるシリコンウェーハの製造方法及び加工方法を工程順に示す図である。 本発明の第3実施形態におけるシリコンウェーハの製造方法及び加工方法を工程順に示す図である。 本発明の第4実施形態におけるシリコンウェーハの製造方法及び加工方法を工程順に示す図である。 実施例1〜3及び参照例1のシリコンウェーハ中の金属不純物濃度を示す図である。 比較例1〜3及び参照例2のシリコンウェーハ中の金属不純物濃度を示す図である。
符号の説明
10 高清浄シリコンウェーハ
11 シリコンウェーハ
12 ポリシリコン膜
13 シリコンウェーハ表層

Claims (8)

  1. Cu又はNiのいずれか一方又はその双方を含む金属不純物に汚染されたシリコンウェーハ(11)の全面に厚さ0.1〜2μmのポリシリコン膜(12)を成膜することにより、前記ポリシリコン膜(12)又は前記ポリシリコン膜(12)に接するウェーハ表層(13)のいずれか一方又は双方に前記金属不純物を捕獲させる工程と、
    前記ポリシリコン膜(12)及び前記ウェーハ表層(13)を除去する工程と
    を含むことを特徴とするシリコンウェーハの加工方法。
  2. CVD炉内の圧力を約0.01〜1.3kPaとし、前記炉内でシリコンウェーハ(11)を500〜800℃に加熱した状態で、前記炉内にシランガスを導入し、10〜60分間保持することにより前記シリコンウェーハ(11)の全面にポリシリコン膜(12)を成膜し、前記CVD炉から前記ウェーハ(11)を取出して室温まで冷却した後、前記ポリシリコン膜(12)及び前記ウェーハ表層(13)を除去する請求項1記載のシリコンウェーハの加工方法。
  3. シリコンウェーハ(11)の比抵抗が0.1Ω・cm以下である請求項1又は2記載のシリコンウェーハの加工方法。
  4. ポリシリコン膜(12)及びウェーハ表層(13)の除去が、酸エッチングにより行われる請求項1ないし3のいずれか1項に記載のシリコンウェーハの加工方法。
  5. ポリシリコン膜(12)及びウェーハ表層(13)の除去が、アルカリエッチングにより行われる請求項1ないし3のいずれか1項に記載のシリコンウェーハの加工方法。
  6. ポリシリコン膜(12)及びウェーハ表層(13)の除去が、研削により行われる請求項1ないし3のいずれか1項に記載のシリコンウェーハの加工方法。
  7. ポリシリコン膜(12)及びウェーハ表層(13)の除去が、ラッピングにより行われる請求項1ないし3のいずれか1項に記載のシリコンウェーハの加工方法。
  8. ポリシリコン膜(12)及びウェーハ表層(13)の除去が、ポリッシングにより行われる請求項1ないし3のいずれか1項に記載のシリコンウェーハの加工方法。
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