JP2008034370A - 電気化学素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐漏液特性及び保存特性に優れるアルカリ電池等の電気化学素子を提供する。
【解決手段】ニッケルメッキ鋼板を用いて形成される電池ケースのうちの少なくとも内側面において、(1)EPMA法による鉄の強度IFeとニッケルの強度INiとの強度比IFe/Ni、及び/又は(2)EPMA法による鉄の強度IFeとニッケルの強度INiとの強度比IFe/Niが1.0を超える部分の存在率のうちの少なくとも一方をコントロールする。
【選択図】図1

Description

本発明は、正極活物質が、オキシ水酸化ニッケルおよび二酸化マンガンより選ばれる少なくとも1種を含有するアルカリ電池等を含む電気化学素子に関する。
電気化学素子の一種であるアルカリ電池は、正極端子の役割を兼ねる電池ケースと、当該電池ケースの内側面に密着するように配置された中空円筒形の正極合剤(正極)と、前記正極合剤の中央にセパレータを介して配置された亜鉛を含むゲル状負極と、上記正極とゲル状負極とを隔てるセパレータと、アルカリ電解液と、を含む。
近年、このアルカリ電池が電源として用いられる機器の負荷が増大しているため、放電特性に優れたアルカリ電池が要望されている。放電特性を向上させる方法として、上記正極合剤にオキシ水酸化ニッケルを混合し、正極の電位を高くすることが行われている。
上記のようなアルカリ電池が具備する電池ケースには、通常ニッケルメッキ層を有する鋼板が用いられるが、上記電池ケースの内表面には微かに露出したFe部分がほぼ不可避的に存在する。特に、コストを抑制するためにニッケルメッキ層を薄くしようとすればするほど、このような露出したFe部分の形成を抑制することは困難である。
露出したFe部分が存在すると、上記電池ケースに上記正極、上記セパレータ、上記負極、及び上記アルカリ電解液等を入れ、電池ケースの開口部を封口してアルカリ電池を組み立てた後に、Fe部分がゆっくりと溶出して酸化膜を形成し、当該酸化膜が上記電池ケースの内表面を局部的に覆ってしまうことがある。その結果、電池内部の導電性が低下して内部抵抗が増大し、電池作製直後から一定期間保存した後の放電特性(保存特性、特に高率放電特性)が低下してしまう。
また、Fe部分から溶出したFeイオンは、電池内を移動して負極に到達し、亜鉛の表面に析出して局部電池を形成してしまうことがある。その結果、亜鉛の表面において水素ガスが発生し、正極活物質である二酸化マンガンやオキシ水酸化ニッケルを還元して電池容量が低下し、電池作製直後から一定期間保存した後の放電特性(保存特性、特に高率放電特性及び低率放電特性)が低下してしまう。更に、ガス発生が進むと、電池内の圧力(内圧)が上昇して、破裂を防ぐための防爆弁が作動してガスが外部に逃がされると共に、漏液が起こる場合もある(耐漏液特性の低下)。
上記のような電池ケースの内表面に起因する従来からの問題に関連し、例えば特許文献1には、多数のサブミクロンピンホールを有することを特徴とするNiメッキ鋼板が開示されており、特許文献2には、アルカリマンガン電池正極缶用のメッキ鋼板であって、缶内面になる面にNi系拡散メッキ層が形成され、その表面に多数のサブミクロンピンホールを有することを特徴とするNiメッキ鋼板が開示されている。
また、特許文献3には、アルカリマンガン電池正極缶用のメッキ鋼板であって、缶内面になる面の表層に最表層Fe露出率が10%以上であるFe−Ni拡散メッキ層を有することを特徴とするNiメッキ鋼板が開示されており、その他にも、エッチングにより表面を粗くしたNiメッキ鋼板や、粗さ等をコントロールしたNiメッキ鋼板等も提案されている。
米国特許第6,902,843号明細書 特開2002-206190号公報 特開2002-208382号公報
しかしながら、上記のような従来のニッケルメッキ鋼板を用いても、露出したFe部分に起因する酸化膜の形成及び局部電池の形成を十分には抑制することができず、耐漏液特性及び保存特性という観点からは未だ改善の余地があった。そこで、本発明の目的は、耐漏液特性及び保存特性に優れるアルカリ電池等の電気化学素子を提供することにある。
上記の目的を達成すべく、本発明者らは、電池ケースを形成するために用いられるNi鋼板の構成に着目して鋭意検討を重ねた結果、ニッケルメッキ鋼板のうちの電池ケース内表面側のニッケルメッキ層の構成を究極的にコントロールすることにより、従来にない優れた耐漏液特性及び保存特性を有する電気化学素子を実現し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
より具体的には、本発明者らは、ニッケルメッキ鋼板を用いて形成される電池ケースのうちの少なくとも内側面において、(1)EPMA法による鉄の強度IFeとニッケルの強度INiとの強度比IFe/Ni、及び(2)EPMA法による鉄の強度IFeとニッケルの強度INiとの強度比IFe/Niが1.0を超える部分の存在率のうちの少なくとも一方を厳格にコントロールすることにより、従来にない優れた耐漏液特性及び保存特性を有する電気化学素子を実現し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
ここで、EPMA(Electron Probe Micro Analyzer)法とは、加速した電子線を物質(本発明においてはニッケルメッキ層を有する電池ケースのうちの少なくとも内側面)に照射(電子線による励起)し、特性X線のスペクトルに注目して電子線が照射されている微小領域における構成元素の検出及び同定と、各構成元素の比率(濃度)を分析する方法である。
特に本発明においては、例えば電池ケースを構成するニッケルメッキ鋼板を切り取って約1cm×約1cmの試料を準備し、当該試料をEPMA装置にセットし、以下の条件によって測定を行うことができる。
加速電圧:15kV
電子線量(照射電流):0.05μA
1点当たりの測定時間:30ms
1点当たりの測定範囲(1ピクセル):2μm
1点当たりの照射範囲(プローブ径):1μm以下
なお、鉄元素の検出には、鉄元素の特性X線の一つであるLα線(波長17.9Å)を用いて、そのカウント数を鉄の強度IFeとする。また、ニッケル元素の検出には、ニッケルのKα線(1.66Å)を用いて、そのカウント数をニッケルの強度INiとする。
上記の測定条件によって得られた測定データを、例えば以下のように処理することによって上記(1)の強度比IFe/Ni及び上記(2)の存在率を算出する。即ち、あるポイント(2μm×2μmのエリア)内で測定されたFe特性X線とNi特性X線のカウント数に基づいて、鉄の強度IFeがとニッケルの強度INiとの強度比IFe/Niを計算し、当該ポイントにおける強度比IFe/Niを求めることができる。そして、一試料について、例えば510μm×680μmのエリア内で、255点×340点=86700点のポイントで測定を行い、すべてのポイントでの強度比IFe/Niの平均値を求め、これを本発明における強度比IFe/Niとする。
また、このとき、鉄の強度IFeとニッケルの強度INiとの強度比IFe/Niを統計処理し、度数分布を作成し、強度比IFe/Niが1.0を超えるポイント数の割合を存在率とした。なお、測定範囲に関して、製缶された鉄ケース表面には、数十μmの割れが存在することから、1点あたりの測定範囲は5μm以下、全測定エリアとしては500μm×500μm以上が望ましい。
即ち、本発明は、第一に、
正極活物質としてオキシ水酸化ニッケルおよび二酸化マンガンより選ばれる少なくとも1種を含む正極と;負極活物質として亜鉛成分を含む負極と;前記正極と前記負極との間に配されるセパレータと;アルカリ電解液と;前記正極、前記負極、前記セパレータ及び前記アルカリ電解液を収容する電池ケースと;を具備する電気化学素子であって、
前記電池ケースが少なくとも内表面にニッケルメッキ層を有するニッケルメッキ鋼板で形成されており、
前記電池ケースのうちの少なくとも内側面において、EPMA法による鉄の強度IFeとニッケルの強度INiとの強度比IFe/Niが0〜0.1であること、
を特徴とする電気化学素子を提供する。
このような構成によれば、電池ケースのうちの内表面の少なくとも一部において、全体的に露出したFe部分の形成を最小限度に制御することができるとともに、上記露出したFe部分の溶出による酸化膜の形成、当該酸化膜による内部抵抗の増大及び局部電池の形成を最小限度に抑制することができ、従来に比して優れた耐漏液特性及び保存特性を有する電気化学素子を実現することができる。
また、本発明は、第二に、
正極活物質としてオキシ水酸化ニッケルおよび二酸化マンガンより選ばれる少なくとも1種を含む正極と;負極活物質として亜鉛成分を含む負極と;前記正極と前記負極との間に配されるセパレータと;アルカリ電解液と;前記正極、前記負極、前記セパレータ及び前記アルカリ電解液を収容する電池ケースと;を具備する電気化学素子であって、
前記電池ケースが少なくとも内表面にニッケルメッキ層を有するニッケルメッキ鋼板で形成されており、
前記電池ケースのうちの少なくとも内側面において、EPMA法による鉄の強度IFeとニッケルの強度INiとの強度比IFe/Niが1.0を超える部分の存在率が0〜1.0%であること、
を特徴とする電気化学素子を提供する。
このような構成によれば、電池ケースの内表面の少なくとも一部において、局部的に露出したFe部分の存在を最小限度に制御することができるとともに、上記露出したFe部分の溶出による酸化膜の形成、当該酸化膜による内部抵抗の増大及び局部電池の形成を最小限度に抑制することができ、従来に比して優れた耐漏液特性及び保存特性を有する電気化学素子を実現することができる。
更に、本発明に係る電気化学素子は、
正極活物質としてオキシ水酸化ニッケルおよび二酸化マンガンより選ばれる少なくとも1種を含む正極と;負極活物質として亜鉛成分を含む負極と;前記正極と前記負極との間に配されるセパレータと;アルカリ電解液と;前記正極、前記負極、前記セパレータ及び前記アルカリ電解液を収容する電池ケースと;を具備する電気化学素子であって、
前記電池ケースが少なくとも内表面にニッケルメッキ層を有するニッケルメッキ鋼板で形成されており、
前記電池ケースのうちの少なくとも内側面において、EPMA法による鉄の強度IFeとニッケルの強度INiとの強度比IFe/Niが0〜0.1であり、かつ、EPMA法による鉄の強度IFeがとニッケルの強度INiとの強度比IFe/Niが1.0を超える部分の存在率が0〜1.0%であってもよい。
このような構成によれば、電池ケースのうちの内表面の少なくとも一部において、露出したFe部分の存在をより確実に最小限度に制御することができるとともに、上記露出したFe部分の溶出による酸化膜の形成、当該酸化膜による内部抵抗の増大及び局部電池の形成をより確実に最小限度に抑制することができ、従来に比して優れた耐漏液特性及び保存特性を有する電気化学素子をより確実に実現することができる。
本発明によれば、従来に比して優れた耐漏液特性及び保存特性を有する電気化学素子をより確実に実現することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明はこれらのみに限定されるものではない。まず、本実施の形態のアルカリ電池の主要な構成要素について図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の電気化学素子の好適な一実施の形態であるアルカリ一次電池の一部を断面にした正面図である。
図1に示すように、本実施の形態のアルカリ一次電池100は、正極活物質としてオキシ水酸化ニッケルおよび二酸化マンガンより選ばれる少なくとも1種を含む複数個の正極合剤を含む正極2と、負極活物質として亜鉛成分を含むゲル状負極4と、正極2と負極4との間に配されるセパレータ6と、アルカリ電解液(図示せず)と、正極2、負極4、セパレータ6及びアルカリ電解液を収容する電池ケース8と、を具備する。
まず、本発明の最大の特徴部分である電池ケース8について説明する。電池ケース8は、電池ケース8の少なくとも内表面側にニッケルメッキ層が位置するように、ニッケルメッキ層を有するニッケルメッキ鋼板で形成されている。この電池ケース8は、生産性を高め、電池缶の製造価格を低減するために、例えばDI工法(Drawing and Ironing)又は絞り加工(Drawing)等の従来公知の方法で製造される。本実施の形態においては、DI工法に代表させて電池ケース8の製造方法について説明する。
DI工法においては、異なる絞りしごき径を有する複数個のダイスを、上記絞りしごき径が連続的に小さくなるように配置し、ニッケルメッキ鋼板で形成された有底筒状体を、成形パンチで加圧しながら上記複数個のダイスを連続的に通過させ、これにより、上記有底筒状体に絞り加工及びしごき加工を施し、電池ケース8を得る。以下において、更に図2、図3及び図4を参照しながら、DI工法による電池ケース8のより具体的な製造方法の一例を以下に説明する。図2及び図3はDI工法の説明をするための図であり、図4は得られる電池ケース8の概略断面図である。
上記ニッケルメッキ鋼板で形成された有底筒状体24を、図2及び図3に示すように成形ダイス20と成形パンチ22を用いて加工し、図4に示す構造を有する電池ケース8を得る。成形ダイス20は、1つの絞りダイス20aおよび絞りダイス20aの後方に、例えば3段階に配置したしごきダイス20b〜20dを有する。図2及び図3に示すように、上記ニッケルメッキ鋼板で形成された有底筒状体24を成形パンチ22で加圧しながら連続的にダイス20a〜20d内を通過させて、有底筒状体24に1段の絞り加工および3段のしごき加工を連続的に施す(DI工法)。ダイス20a〜20dの内径da〜ddは、da〜ddの順にしだいに小さくなるように構成されている。
なお、成形パンチ22は、缶形成部22bと後端部22aとテーパ部22cとを有する。缶形成部22bは、図4に示す電池ケース8の底部8a及び第1の筒状側部8bを形成し、後端部22aは、図4に示す第2の筒状側部8cを形成する。後端部22aの径d1及び缶形成部22bの径d2が、関係式:d1<d2を満たしている。また、有底筒状体24は、例えば、片面または両面にニッケルメッキを施してニッケルメッキ層を形成したニッケルメッキ鋼板をプレス機に供給し、所定形状に打ち抜き、絞り加工することにより得られるものを用いる。
ニッケルメッキ鋼板に用いる鋼板としては、他の製造方法の場合も同じであるが、例えば鉄を主体とする冷間圧延鋼等を好適に使用することができる。また、ニッケルメッキ鋼板としては、例えば東洋鋼鈑(株)製のニッケルトップを好適に使用することができる。
以上のようにして得られる電池ケース8を用いてアルカリ一次電池100を作製する場合、封口することによって第2の筒状側部8cは内側に折り曲げられる。また、底部8aは正極2との接触面積が、第2の筒状側部8cに比べて小さい。そこで、少なくとも電池ケース8の第1の筒状側部8bにおける内表面(封口後の電池ケース8の内側面)のニッケルメッキ層を、上記(1)及び上記(2)のうちの少なくとも一方を満たすように制御する。
もちろん、第1の筒状側部8bにおける内側面だけでなく、電池内部側に面する第2の筒状側部8cにおける内表面及び底部8aにおける内表面においても、ニッケルメッキ層を上記(1)及び上記(2)のうちの少なくとも一方を満たすように制御することが好ましい。
即ち、本実施の形態においては、ニッケルメッキ鋼板を用いて形成される電池ケース8のうちの少なくとも内側面において、(1)EPMA法による鉄の強度IFeがとニッケルの強度INiとの強度比IFe/Niを0〜0.1とする。この範囲であれば、特に耐漏液特性が良好であり、保存後の低率放電特性の低下を良好に抑制することができる。
また、上記強度比IFe/Niは0.002〜0.05であるのが好ましい。0.002以上であれば、ニッケルメッキ量を幾分減らすことができ低コスト化が可能であり、0.05以下であれば、特に耐漏液特性及び保存後の低率放電特性が良好であり、保存後の高率放電特性の低下も良好に抑制することができる。
更に、上記強度比IFe/Niは0.002〜0.005であるのが好ましい。0.002以上であれば、ニッケルメッキ量を幾分減らすことができ低コスト化が可能であり、0.005以下であれば、耐漏液特性、保存後の低率放電特性及び保存後の高率放電特性が良好である。特に、この範囲であれば、電池ケース8と正極2等との間の導電性をより良好に確保することができるため、正極ケース8の内表面に後述する導電層を設けなくてもよく、製造工程及び部材数を低減させることができ好ましい。
また、本実施の形態においては、上記(1)とは別個に、又は、上記(1)とともに、ニッケルメッキ鋼板を用いて形成される電池ケース8のうちの少なくとも内側面において、(2)EPMA法による鉄の強度IFeとニッケルの強度INiとの強度比IFe/Niが1.0を超える部分(IFe/Ni>1.0の部分)の存在率を0〜1.0%とする。この範囲であれば、特に耐漏液特性が良好であり、保存後の低率放電特性の低下を良好に抑制することができる。
また、上記IFe/Ni>1.0の部分の存在率は0.01〜0.7%であるのが好ましい。0.01%以上であれば、ニッケルメッキ量を幾分減らすことができ低コスト化が可能であり、0.7%以下であれば、特に耐漏液特性及び保存後の低率放電特性が良好であり、保存後の高率放電特性の低下も良好に抑制することができる。
更に、上記IFe/Ni>1.0の部分の存在率は0.01〜0.3%であるのが好ましい。0.01%以上であれば、ニッケルメッキ量を幾分減らすことができ低コスト化が可能であり、0.3%以下であれば、耐漏液特性、保存後の低率放電特性及び保存後の高率放電特性が良好である。特に、この範囲であれば、電池ケース8と正極2等との間の導電性をより良好に確保することができるため、正極ケース8の内表面に後述する導電層を設けなくてもよく、製造工程及び部材数を低減させることができ好ましい。
上記(1)及び上記(2)のうちの少なくとも一方を満たす、ニッケルメッキ層を有するニッケルメッキ鋼板で形成された電池ケース8は、ニッケルメッキ鋼板の製造過程においてメッキ工程及びアニール工程等における少なくとも1種の条件をコントロールすることによって得ることができる。
メッキ工程においては、例えばメッキ浴の組成、メッキ浴の温度、メッキ浴のpH、及び電流密度等のうちの少なくとも1種の条件をコントロールする。メッキ浴としては、例えば硫酸ニッケル、塩化ニッケル及びホウ酸等を含むものを用いることができ、これらの濃度をそれぞれ適宜コントロールすればよい。
また、メッキ層形成後のアニール工程においては、例えばアニール雰囲気の組成、アニール温度、及びアニール時間等のうちの少なくとも1種の条件をコントロールする。アニール雰囲気としては、例えば水素ガス及び窒素ガスを含む混合ガス雰囲気(還元雰囲気)を用いることができ、水素ガスの濃度及び混合ガスの流量等をコントロールすればよい。
次に、少なくとも電池ケース8の第1の筒状側部8bにおける内表面(封口後の電池ケース8の内側面)のニッケルメッキ層は、0.2〜1.0μmの厚さを有するのが好ましい。0.2μm以上であれば少なくとも電池ケース8の第1の筒状側部8bにおける内表面(封口後の電池ケース8の内側面)の全面をニッケルメッキ層で覆うことができ、露出したFe部分の形成を必要最小限度に抑制することができ、好ましい。また、1.0μm以下であれば、使用するメッキ量の増大を抑制することができ低コスト化の観点から好ましい。
なお、ニッケルメッキ層の厚さは、ニッケルメッキ鋼板の製造過程におけるメッキ工程及びアニール工程、並びに電池ケース8の製造過程における絞り工程及びしごき工程等のうちの少なくとも1種をコントロールすることにより上記範囲内に設定することができる。例えば、ニッケルメッキ鋼板作製直後のニッケルメッキ層の厚さは、絞り工程及び/又はしごき工程において薄くなるが、この薄くなる程度を予め見積もって所定の厚さのニッケルメッキ層を有するニッケルメッキ鋼板を製造すればよい。
但し、電池ケース8の製造過程においては、図4に示す矢印Xの方向において、第1の筒状側部8b及び第2の筒状側部8cにおけるニッケルメッキ層の延び具合が異なることがある。そのため、第1の筒状側部8bにおける内表面(封口後の電池ケース8の内側面)においては、上記ニッケルメッキ層の厚さは−10〜+10%の誤差を有していてもよい。なお、電池ケース8におけるニッケルメッキ層の厚さは、蛍光X線により測定することができる。
また、電池ケース8の内表面には、更に、例えば導電性カーボン層乃至は黒鉛塗装層等の導電層(図示せず)を具備していてもよい。このような構成によれば、電池ケース8の内表面と電池ケース8内部の正極2等との間の導電性をより確実に確保することができ、内部抵抗の増大による保存特性の低下をより確実に抑制することができる。もっとも、上述したように、上記(1)及び上記(2)のうちの少なくとも一方の条件を好ましく設定した場合には、必ずしも当該導電層を設けなくても、従来に比してより優れた保存特性を実現することができる。かかる導電層は、例えば水溶性溶媒に黒鉛を分散させて得られる分散液を電池ケース8の内面に噴霧することによって形成することができる。
正極2は、複数個の中空円筒状の正極合剤を含む。当該正極合剤は、正極活物質としてオキシ水酸化ニッケルおよび二酸化マンガンより選ばれる少なくとも1種を含み、必要に応じて導電剤、バインダー、アルカリ電解液及び各種添加剤を含んでもよい。
オキシ水酸化ニッケルとしては、従来公知のものを用いることができ、従来公知の方法で作製することができる。また、オキシ水酸化ニッケルは、例えばマンガン(Mn)、コバルト(Co)、カルシウム(Ca)等の原子を含む固溶体であっても構わない。更に、オキシ水酸化ニッケルの平均ニッケル価数は3.05以上、更には3.1以上であるのがより好ましい。高酸化状態のオキシ水酸化ニッケルを用いることにより、電池の大幅な高容量化を図ることができる。
高酸化状態のオキシ水酸化ニッケルは、溶解したマンガン原子を含む固溶体である水酸化ニッケルを化学酸化すれば容易に得ることができる。オキシ水酸化ニッケルの原料である水酸化ニッケル中にマンガンを溶解させると、水酸化ニッケルの酸化還元電位が卑側に移行する。そのため、高酸化状態のオキシ水酸化ニッケルが得られやすい。オキシ水酸化ニッケルをできる限り高密度とする観点から、溶解したマンガン原子を含む固溶体である水酸化ニッケルは、β型の結晶構造を有するのが好ましい。
オキシ水酸化ニッケルの原料である水酸化ニッケルにおいて、ニッケルとマンガンとの合計に占めるマンガンの含有率は、例えば1.0〜7.0mol%、更には2.0〜5.0mol%であることが望ましい。マンガンの含有率が1.0mol%以上であれば、上記のような高酸化状態のオキシ水酸化ニッケルをより確実に得ることができる。マンガンの含有率が7.0mol%以下であれば、水酸化ニッケル中のニッケルの割合が相対的に減少せず、満足のいく電池容量をより確実に確保することができる。以上のような水酸化ニッケルを原料として用いれば、得られるオキシ水酸化ニッケル中のニッケルとマンガンとの合計に占めるマンガンの含有率も1.0〜7.0mol%となる。
また、オキシ水酸化ニッケルの粒子表面には、コバルト酸化物が付着していることが好ましい。粒子表面にコバルト酸化物を有するオキシ水酸化ニッケルは、粒子からの集電性が高められているため、特に強負荷領域の放電特性がより一層向上する。コバルト酸化物の量は、オキシ水酸化ニッケルの量に対して、7.0重量%以下、さらには2.0〜5.0重量%であることが好ましい。コバルト酸化物の量が、オキシ水酸化ニッケルの7.0重量%以下であれば、コバルト酸化物の量が過剰にならず、コバルトの電解液への溶出等を抑制することができ、電池の高温保存時の信頼性をより確実に確保することができる。強負荷領域の放電特性をより一層向上させるには、オキシ水酸化ニッケルの量に対して、少なくとも2.0重量%以上のコバルト酸化物を用いることが好ましい。
高酸化状態にあるオキシ水酸化ニッケルは、γ型の結晶構造を含むため、電池の放電に伴って大きな体積変化を起こす。これにともなう正極2の体積変化を抑制する観点から、後述する導電剤として膨張黒鉛を用いることが好ましい。
オキシ水酸化ニッケルの体積基準の平均粒径が10〜30μmであるのが好ましい。また、オキシ水酸化ニッケルの粒径は、例えば、出発物質である水酸化ニッケルを反応晶析法で合成する際、合成槽内のpH、粒子の滞留時間、及び反応温度等を調整することで制御することが可能である。意図的に粒径の大きなものを作製した場合でも、平均粒径(体積基準)は30μm程度にとどまる場合が多い。正極合剤の高密度化(成型性の向上)の観点から、粒径の大きな水酸化ニッケルから得られるオキシ水酸化ニッケルを使用するのが好ましい。これらの点を考慮すると、オキシ水酸化ニッケルの体積基準の平均粒径は10〜30μmであるのが好ましい。
二酸化マンガンとしては、従来公知のものを用いることができ、従来公知の方法で作製することができる。なかでも、電解二酸化マンガンは高純度であることから好適に用いることができる。電解二酸化マンガンは、例えば、強酸性の硫酸マンガンの電解を行い、ついで水酸化ナトリウム(NaOH)を用いるアルカリ中和処理によって硫酸成分を除去することによって、作製することができる。この中和処理が不十分であると、得られた電解二酸化マンガンに硫酸成分が残り、電池を組み立てた場合に、電池ケース8の内表面において局部的に酸性腐食が起こるおそれがある。したがって、上記中和処理は十二分に行われることが好ましい。
かかる中和処理においては、水酸化ナトリウムの一部が電解二酸化マンガン粒子の表面や細孔に残留することから、上記中和処理の度合いは残留Naの量によって判断することができる。二酸化マンガンに含まれる残留Naが2,000〜7,000ppmであるのが好ましい。2,000ppm以上であれば、中和が適切になされていて残留硫酸成分の量が少なく、電池ケース8の内表面における局部的な酸性腐食をより確実に抑制することができ、好ましい。また、7,000ppm以下であれば、電解二酸化マンガンの単極電位の低下及び活性の低下を抑制し、適切な放電性能を確保することができ、好ましい。
また、二酸化マンガンに含まれる残留Naは2,000〜5,000ppmであるのが更に好ましい。2,000ppm以上であれば、中和が適切になされていて残留硫酸成分の量が少なく、電池ケース8の内表面における局部的な酸性腐食をより確実に抑制することができ、好ましい。また、5,000ppm以下であれば、電解二酸化マンガンの単極電位の低下及び活性の低下をより確実に抑制し、適切な放電性能をより確実に確保することができ、好ましい。
また、上記二酸化マンガンの体積基準の平均粒径が30〜50μmであるのが好ましい。二酸化マンガンの粒径は、例えば、電析工程で電極から剥離した二酸化マンガンの粉砕条件の調整等によって制御することが可能である。一般的に、粒径が小さすぎると放電容量が低下し、粒子径が大きすぎると高負荷放電特性が低下する。また、粒子径が大きいものの方が正極合剤ペレットを作りやすい。これらの点を考慮すると、二酸化マンガンの体積基準の平均粒径は30〜50μmであるのが好ましい。
導電剤としては、従来公知のものを用いることができ、例えば黒鉛、カーボンブラック及び炭素繊維等が挙げられる。ペレット状の正極合剤を成型し易いという点から黒鉛を用いるのが好ましい。なかでも、天然黒鉛等の一般的な黒鉛と同様の高い電子伝導性を有するとともに、緩衝作用を発現する圧縮還元性や正極合剤内の応力緩和能力に優れているという観点から、膨張黒鉛を用いるのが好ましい。膨張黒鉛は、結晶構造の発達した黒鉛を、硫酸、硝酸等で加熱処理することで膨張又は層間伸張させて得られる。
バインダーとしては、従来公知のものを用いることができ、例えばポリエチレン粉末などが挙げられる。また、各種添加剤についても、界面活性剤等の従来公知のものを用いることができる。なお、アルカリ電解液については、後述するものを用いることができる。
以上のような構成要素を含む正極2は、以下のようにして作製することができる。即ち、まず正極活物質であるオキシ水酸化ニッケル及び二酸化マンガンと、導電剤である黒鉛等と、少量のアルカリ電解液と、要すればバインダー及び添加剤と、を混合及び攪拌して混合物(造粒物)を得る。ついで、上記混合物を中空円筒状に加圧成型して、ペレット状の正極合剤を得る。当該正極合剤複数個を正極2として用いることができる。
負極4はゲル状負極であり、ゲル化剤と、負極活物質である亜鉛成分と、アルカリ電解液と、を混合してゲル化することにより得られるものを用いる。ゲル化剤としては例えばポリアクリル酸ナトリウム等を用いることができ、負極活物質である亜鉛成分としては、単体亜鉛のほか、亜鉛を含む合金を用いることもできる。なお、アルカリ電解液については、後述するものを用いることができる。
また、負極活物質は、アルカリ水溶液中で卑な電位を示し、放電可能かつ安定な金属であればよく、負極4には、その金属に防食性、安定性のために他の金属や有機又は無機の添加剤(例えば界面活性剤等)が添加されていてもよい。
セパレータ6としては、従来公知のものを用いることができ、例えば不織布からなるセパレータを用いることができる。不織布を構成する繊維としては、例えばポリビニルアルコール繊維、レーヨン等のセルロース系繊維、ポリオレフィン系繊維、及びポリフェニルサルホン繊維等が挙げられる。これらのうちの2種以上の繊維を用いて形成された不織布を用いてもよい。
アルカリ電解液としても、従来公知のものを用いることができ、水酸化カリウムを主成分とするアルカリ水溶液であることが好ましい。水酸化ナトリウム、水酸化リチウム又は水酸化カルシウム等が含まれていてもよい。
なかでも、32重量%以上の水酸化カリウムを含む水溶液を用いるのが好ましい。上記二酸化マンガン(特に電解二酸化マンガン)が酸性物質であることから、電池ケース8の内表面において露出したFe部分が形成されていると、Feが溶出するおそれがある。これに対し、水酸化カリウム水溶液の濃度が32重量%以上であれば、上記二酸化マンガンをより確実に中和処理することができ、Feの溶出をより確実に抑制することができる。
次に、以上のような構成要素を含む本実施の形態のアルカリ一次電池100の製造方法について説明する。まず、正極端子を兼ねる電池ケース8の内部に、上記のような中空円筒状の正極合剤複数個を正極2として挿入し、これらを電池ケース8内で再加圧して電池ケース8の内面に密着させる。
そして、正極2の中空部分の内面及び電池ケース8の底部8aの内面に、セパレータ6及び絶縁キャップ6aを挿入した後、セパレータ6と正極2とを湿潤させる目的でアルカリ電解液を注液する。なお、絶縁キャップ6aとしては、セパレータ6と同じ材料で構成されたものを用いればよい。
アルカリ電解液を注液した後、セパレータ6の内側にゲル状負極4を充填する。ついで、負極集電体4aをゲル状負極4の中央に差し込む。負極集電体4aとしては、例えば真鍮製のロッド状集電体を用いればよい。負極集電体4aは、樹脂製の封口体10、及び負極端子を兼ねる底板12と一体化して組み立てられる。
その後、電池ケース8の開口部(図1における下側)を、封口体10の周縁端部を介して底板12の周縁部にかしめることにより、電池ケース8の開口部を密封する。最後に、電池ケース8の外表面を外装ラベル14で被覆し、アルカリ一次電池100を得ることができる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれらのみに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されているように、種々の変形態様を採り得るものである。例えば、ニッケルメッキ鋼板を作製する際、アニール工程は、電池ケースを作製した後に行ってもよい。また、鋼板を用いて電池ケースを作製した後に、メッキ工程及びアニール工程を行うことも可能である。
以下に本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
《実施例1》
二酸化マンガン粉末(東ソー(株)製の品番HHTF又はデルタ社製のNTAグレード、平均粒径:約35μm)と、オキシ水酸化ニッケルと、黒鉛粉末とを50:40:10の重量比で混合して第1の混合物を得た。第1の混合物と40重量%の水酸化カリウム水溶液とを重量比100:1で混合し、十分に攪拌して第2の混合物を得た。第2の混合物を圧縮成型してフレークを得、当該フレークを粉砕して顆粒状とし、得られた顆粒を篩で分級して10〜100メッシュのサイズの顆粒を得た。10〜100メッシュの顆粒を中空円筒状に加圧成型して、ペレット状の正極合剤を得た。
オキシ水酸化ニッケルは、田中化学研究所(株)製の水酸化ニッケル粉末に対して以下の化学酸化処理を行うことにより得た。水酸化ニッケル粉末(平均粒径:15μm)を水酸化ナトリウム水溶液中に投入し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(有効塩素濃度:12重量%)を十分量(2当量相当)加えた。これを3時間攪拌してオキシ水酸化ニッケル粉末を作製した。得られた粉末は十分に水洗を行った後、60℃で真空乾燥を行い、本実施例において用いた。
また、ゲル化剤であるポリアクリル酸ナトリウムと、アルカリ電解液である40重量%の水酸化カリウム水溶液と、負極活物質である亜鉛粉末とを、1:33:66の重量比で混合し、ゲル状負極を得た。なお、亜鉛粉末としては、三井金属鉱業(株)製のABI35RAD(亜鉛−アルミニウム−ビスマス−インジウム合金)を用い、ゲル化剤としては、日本純薬(株)製のPW−150と三洋化成(株)製のDK−500Bとの1:2の混合物を用いた。
次に、ニッケルメッキ鋼板を用意した。このニッケルメッキ鋼板は、低炭素鋼で構成されており、有底円筒状の電池ケースに成型した後に内表面に相当する面に、1.5μmの厚さのニッケルメッキ層を有し、有底円筒状の電池ケースに成型した後に外表面に相当する面に、2.5μmの厚さのニッケルメッキ層を有していた。
より具体的には、主成分であるFe及び不純物以外に、0.028重量%のC、0.01重量%のSi、0.18重量%のMn、0.004重量%のS、0.013重量%のP、0.043重量%のAlを含む、厚さ0.4mmのフープ状の冷間圧延鋼板を用意し、以下の表1に示す条件で電解ニッケルメッキを施した。
Figure 2008034370
ニッケルメッキ後の鋼板を連続焼鈍炉に導き、水素ガスを約1%含む窒素流通下(即ち還元雰囲気下)にて、800℃の温度で1分間のアニールを行い、ニッケルメッキ層においてFeを拡散させた。得られたニッケルメッキ鋼板を用い、上記実施の形態において説明したDI工法により、図4に示す構造を有する電池ケースを作製した。このときの電池ケースの内側面におけるニッケルメッキ層の厚さを表2に示した。
また、得られた電池ケースの内側面の、(1)EPMA法による鉄の強度IFeがとニッケルの強度INiとの強度比IFe/Ni、及び(2)EPMA法による鉄の強度IFeがとニッケルの強度INiとの強度比IFe/Niが1.0を超える部分の存在率を、求めた。より具体的には、上記電池ケースのうちの内側面を切断して約1cm×約1cmの試料を準備し、当該試料をEPMA装置にセットし、以下の条件によって測定を行った。
測定装置:JEOL JXA−8900(日本電子(株))
加速電圧:15kV
電子線量(照射電流):0.05μA
1点当たりの測定時間:30ms
1点当たりの測定範囲(1ピクセル):2μm
1点当たりの照射範囲(プローブ径):1μm以下
そして、あるポイント(2μm×2μmのエリア)内で測定されたFe特性X線とNi特性X線のカウント数に基づいて、鉄の強度IFeがとニッケルの強度INiとの強度比IFe/Niを計算し、当該ポイントにおける強度比IFe/Niを求めた。一つの試料について、510μm×680μmのエリア内で86700点のポイントで測定を行い、すべてのポイントでの強度比IFe/Niの平均値を求め、これを強度比IFe/Niとした。また、鉄の強度IFeとニッケルの強度INiとの強度比IFe/Niを統計処理し、度数分布を作成し、1.0を超えるポイント数の割合を存在率とした。上記強度比IFe/Ni及び存在率は表2に示した。
上記の正極、負極及び電池ケースを用い、上記実施の形態において説明した図1に示す構造のアルカリ一次電池を作製した。
まず、電池ケース8の内表面に導電性カーボン層を形成した。次に、電池ケースの内部に、上記正極合剤複数個を正極として挿入し、これらを電池ケース内で再加圧して電池ケースの内面に密着させた。そして、正極の中空部分の内面及び電池ケースの底部の内面に、ポリビニルアルコール繊維とレーヨン繊維とを含む不織布で形成された有底円筒状のセパレータと、上記不織布で形成された円盤状の絶縁キャップと、を挿入した後、40重量%の水酸化カリウム水溶液を注液した。
導電性カーボン層は、黒鉛と液状成分とを混合した分散液を電池ケース8の内表面にスプレーし、乾燥させることにより形成した。液状成分は、有機溶媒でも水でもよい。分散液としては、例えばティムカル(Timcal Ltd.)製のLB1000、W. R. Grace & Co.製のEccocoate 257、Acheson Industries, Inc.製のElectrodag 109、Electrodag 112、EB00、ED109B、EB020A、日本黒鉛(株)製の♯27-5、♯523-3などが挙げられる。これらのうちでは、分散媒として水を用いている♯523-3やEB020Aが、環境保護の観点から特に好ましい。これらの分散液は、上記(1)および(2)を満たすとともに、電池ケースの内表面の錆びを生じにくい点で優れている。実施例1では、日本黒鉛(株)製の♯523-3を分散液として用いた。
アルカリ電解液を注液した後、セパレータの内側にゲル状負極を充填した。ついで、真鍮製負極集電体と封口体と底板との一体化物を、ゲル状負極の中央に差し込んだ。最後に、電池ケースの開口部を、封口体の周縁端部を介して底板の周縁部にかしめて電池ケースの開口部を密封し、外装ラベルで電池ケースの外表面を被覆して本実施例のアルカリ一次電池を作製した。
《実施例2》
電池ケースの内表面に相当する面に1.0μmの厚さのニッケルメッキ層を有し、電池ケースの外表面に相当する面に2.5μmの厚さのニッケルメッキ層を有するニッケルメッキ鋼板を用い、電池ケースの内側面におけるニッケルメッキ層の厚さ、強度比IFe/Ni及び存在率を表2に示す値に変化させた以外は、実施例1と同様にして本実施例のアルカリ一次電池を作製した。
《実施例3》
電池ケースの内表面に相当する面に0.5μmの厚さのニッケルメッキ層を有し、電池ケースの外表面に相当する面に2.5μmの厚さのニッケルメッキ層を有するニッケルメッキ鋼板を用い、電池ケースの内側面におけるニッケルメッキ層の厚さ、強度比IFe/Ni及び存在率を表2に示す値に変化させた以外は、実施例1と同様にして本実施例のアルカリ一次電池を作製した。
《比較例1》
アニール工程を行わず、電池ケースの内側面におけるニッケルメッキ層の厚さ、強度比IFe/Ni及び存在率を表2に示す値に変化させた以外は、実施例1と同様にして本比較例のアルカリ一次電池を作製した。
《参考例1》
ニッケルメッキ鋼板を電池ケースに製缶後、電池ケースの内表面に更にニッケルメッキを施し、電池ケースの内側面におけるニッケルメッキ層の厚さを1.5μmにし、強度比IFe/Ni及び存在率を0にした以外は、実施例1と同様にして本参考例のアルカリ一次電池を作製した。しかしながら、実施例1に追加のメッキ工程が必要であることから、アルカリ一次電池の作製に長時間が必要となり、また、ニッケルメッキ層が厚過ぎることから、はがれ易く、かつ高コストであった。
[評価試験]
(a)耐漏液特性
実施例1〜3、比較例1および参考例1それぞれのアルカリ一次電池を100個ずつ用意した。100個のアルカリ一次電池を60℃の環境下で4週間保存し、漏液した電池の数をカウントした。結果を表2に示した。表2において、良好な結果が得られた場合は「1」、許容できる結果が得られた場合は「2」、好ましくない結果が得られた場合は「3」と示した。
(b)ガス発生量
実施例1〜3、比較例1および参考例1それぞれのアルカリ一次電池を10個ずつ用意した。10個のアルカリ一次電池を60℃の環境下で4週間保存し、その後、水中にて分解し、発生したガスの体積を測定した。結果を表2に示した。表2において、良好な結果が得られた場合は「1」、許容できる結果が得られた場合は「2」、好ましくない結果が得られた場合は「3」と示した。
(c)保存特性
(i)低率放電特性
実施例1〜3、比較例1および参考例1それぞれのアルカリ一次電池を10個ずつ用意した。10個のアルカリ一次電池を60℃の環境下で4週間保存し、その後、100mAで定電流連続放電を行い、電圧が0.9V以下になるまでの時間を測定した。結果を表2に示した。表2において、良好な結果が得られた場合は「1」、許容できる結果が得られた場合は「2」、好ましくない結果が得られた場合は「3」と示した。
(ii)高率放電特性
実施例1〜3、比較例1および参考例1それぞれのアルカリ一次電池を10個ずつ用意した。10個のアルカリ一次電池を60℃の環境下で4週間保存し、その後、1500mAで定電流連続放電を行い、電圧が0.9V以下になるまでの時間を測定した。結果を表2に示した。表2において、良好な結果が得られた場合は「1」、許容できる結果が得られた場合は「2」、好ましくない結果が得られた場合は「3」と示した。
Figure 2008034370
表2から、本発明のアルカリ一次電池は、耐漏液特性及び保存特性に優れることがわかる。
以上のように耐漏液特性及び保存特性に優れる本発明の電気化学素子は、アルカリ一次電池はもとより、リチウム一次電池等の種々の電気化学素子への応用が考えられ、例えば通信機器及び携帯機器等の電子機器の電源として好適に用いることができる。
本発明の電気化学素子の好適な一実施の形態であるアルカリ一次電池の一部を断面にした正面図である。 電池ケースを作製するためのDI工法の工程を説明するための図である。 電池ケースを作製するためのDI工法の工程を説明するための別の図である。 DI工法によって得られる電池ケースの概略断面図である。
符号の説明
2 正極
4 ゲル状負極
4a 負極集電体
6 セパレータ
6a 絶縁キャップ
8 電池ケース
8a 底部
8b 第1の筒状側部
8c 第2の筒状側部
10 封口体
12 底板
14 外装ラベル
20 成形ダイス
20a 絞りダイス
20b〜20d しごきダイス
22 成形パンチ
22a 後端部
22b 缶形成部
22c テーパ部
24 有底筒状体
100 アルカリ一次電池

Claims (24)

  1. 正極活物質としてオキシ水酸化ニッケルおよび二酸化マンガンより選ばれる少なくとも1種を含む正極と;負極活物質として亜鉛成分を含む負極と;前記正極と前記負極との間に配されるセパレータと;アルカリ電解液と;前記正極、前記負極、前記セパレータ及び前記アルカリ電解液を収容する電池ケースと;を具備する電気化学素子であって、
    前記電池ケースが少なくとも内表面にニッケルメッキ層を有するニッケルメッキ鋼板で形成されており、
    前記電池ケースのうちの少なくとも内側面において、EPMA法による鉄の強度IFeとニッケルの強度INiとの強度比IFe/Niが0.1以下であること、
    を特徴とする電気化学素子。
  2. 前記電池ケースの内表面にさらに導電層を具備する請求項1に記載の電気化学素子。
  3. 前記強度比IFe/Niが0.002〜0.05である請求項1または2に記載の電気化学素子。
  4. 前記強度比IFe/Niが0.002〜0.005である請求項1または2に記載の電気化学素子。
  5. 前記正極中の前記二酸化マンガンに含まれる残留Naが2000〜7000ppmである請求項1〜4のいずれかに記載の電気化学素子。
  6. 前記正極中の前記二酸化マンガンに含まれる残留Naが2000〜5000ppmである請求項1〜4のいずれかに記載の電気化学素子。
  7. 前記アルカリ電解液が32重量%以上の水酸化カリウムを含む水溶液である請求項1〜6のいずれかに記載の電気化学素子。
  8. 前記ニッケルメッキ層の厚さが0.2〜1.0μmである請求項1〜7のいずれかに記載の電気化学素子。
  9. 正極活物質としてオキシ水酸化ニッケルおよび二酸化マンガンより選ばれる少なくとも1種を含む正極と;負極活物質として亜鉛成分を含む負極と;前記正極と前記負極との間に配されるセパレータと;アルカリ電解液と;前記正極、前記負極、前記セパレータ及び前記アルカリ電解液を収容する電池ケースと;を具備する電気化学素子であって、
    前記電池ケースが少なくとも内表面にニッケルメッキ層を有するニッケルメッキ鋼板で形成されており、
    前記電池ケースのうちの少なくとも内側面において、EPMA法による鉄の強度IFeとニッケルの強度INiとの強度比IFe/Niが1.0を超える部分の存在率が1.0%以下であること、
    を特徴とする電気化学素子。
  10. 前記電池ケースの内表面にさらに導電層を具備する請求項9に記載の電気化学素子。
  11. 前記存在率が0.01〜0.7%である請求項9または10に記載の電気化学素子。
  12. 前記存在率が0.01〜0.3%である請求項9または10に記載の電気化学素子。
  13. 前記正極中の前記二酸化マンガンに含まれる残留Naが2000〜7000ppmである請求項9〜12のいずれかに記載の電気化学素子。
  14. 前記正極中の前記二酸化マンガンに含まれる残留Naが2000〜5000ppmである請求項9〜12のいずれかに記載の電気化学素子。
  15. 前記アルカリ電解液が32重量%以上の水酸化カリウムを含む水溶液である請求項9〜14のいずれかに記載の電気化学素子。
  16. 前記ニッケルメッキ層の厚さが0.2〜1.0μmである請求項9〜15のいずれかに記載の電気化学素子。
  17. 正極活物質としてオキシ水酸化ニッケルおよび二酸化マンガンより選ばれる少なくとも1種を含む正極と;負極活物質として亜鉛成分を含む負極と;前記正極と前記負極との間に配されるセパレータと;アルカリ電解液と;前記正極、前記負極、前記セパレータ及び前記アルカリ電解液を収容する電池ケースと;を具備する電気化学素子であって、
    前記電池ケースが少なくとも内表面にニッケルメッキ層を有するニッケルメッキ鋼板で形成されており、
    前記電池ケースのうちの少なくとも内側面において、EPMA法による鉄の強度IFeとニッケルの強度INiとの強度比IFe/Niが0.1以下であり、かつ、EPMA法による鉄の強度IFeがとニッケルの強度INiとの強度比IFe/Niが1.0を超える部分の存在率が0〜1.0%であること、
    を特徴とする電気化学素子。
  18. 前記電池ケースの内表面にさらに導電層を具備する請求項17に記載の電気化学素子。
  19. 前記存在率が0.01〜0.7%である請求項17または18に記載の電気化学素子。
  20. 前記存在率が0.01〜0.3%である請求項17または18に記載の電気化学素子。
  21. 前記正極中の前記二酸化マンガンに含まれる残留Naが2000〜7000ppmである請求項17〜20のいずれかに記載の電気化学素子。
  22. 前記正極中の前記二酸化マンガンに含まれる残留Naが2000〜5000ppmである請求項17〜20のいずれかに記載の電気化学素子。
  23. 前記アルカリ電解液が32重量%以上の水酸化カリウムを含む水溶液である請求項17〜22のいずれかに記載の電気化学素子。
  24. 前記ニッケルメッキ層の厚さが0.2〜1.0μmである請求項17〜23のいずれかに記載の電気化学素子。
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