JP2008031578A - 擦過解繊用の回転体およびそれを用いた綿状物の製造方法 - Google Patents

擦過解繊用の回転体およびそれを用いた綿状物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】解繊に直接係る刃の部分が機械的に耐久性に富み、かつ損傷した刃の交換が容易な解繊用の回転体を提供する。
【解決手段】被解繊物の連続体を擦過解繊して綿状物を製造する装置に用いる突起体を表面に有する擦過解繊用の回転体であって、該回転体の擦過解繊部がすくい角をもつ鋸刃状の突起体を有するディスクの集合体から構成され、かつ該鋸刃状の突起体が回転体の表面に回転軸方向に螺旋状に配置されているか、該ディスクが回転体の回転軸に対して傾斜をもたせて配置されてなる綿状物製造用の回転体。
【選択図】図1

Description

本発明は、被解繊物の連続体を擦過解繊してランダムな繊維長と繊維径の短繊維からなる綿状物の製造に用いる擦過解繊用の回転体、およびそれを用いた綿状物の製造方法に関する。
合成樹脂のフィルム、その延伸物、スプリット繊維、スライバーなどをコーミングロールや植針ロール(針刃ロール)により解繊し、綿状物を製造することは、従来より行われている(特許文献1〜4)。
針刃ロールを用いた従来の綿状物の製造装置の代表的なもの(特許文献4)を図14に示す。
図14示す製造装置は、合成樹脂のフィルム、その延伸物、スプリット繊維、スライバーなどの被解繊物の連続体100から多数(無数)の短繊維101を形成し、この短繊維101を移動しているベルトや紙基材の上に集積させるように構成されている。
この製造装置では、連続体100から多数の短繊維101を形成するために針刃ロール102が配置されている。
この針刃ロール102は、ロール本体103とその周面に植設された多数の針刃104とから構成されており(図15参照)、針刃104の先端とケーシング105の内周面との間に微細な間隙が形成されるように寸法構成されている。そして、この針刃ロール102は、供給された被解繊物の連続体100を針刃ロールの回転により細分して短繊維101を形成し、排出、堆積させて綿状物とする。
針刃ロール102の針刃104は、図15にその部分断面図として示すように、ロール本体103の外筒に植設されている。この針刃104は、ロール本体103の径線に対して、先端がロール本体103の回転方向前方に位置するように、前向きに傾斜している。具体的には、ロール本体103の径線に対する針刃104の傾斜角度θは5°≦θ≦30°の範囲であり、好ましくはθ=20°に設定される。
また、針刃104は、ロール本体103の円周方向において中心角度をもって等分に配置されている。つまり、針刃104はロール本体103の円周上を90等分した位置に配置されている。さらに、針刃104は、ロール本体103の周面上において所定の微細なねじれ角で螺旋状に連続して配置されている。
国際公開第96/00807号パンフレット 国際公開第96/10668号パンフレット 特開2003−278067号公報 特開2003−278071号公報
しかし解繊に用いる針刃ロールは、針刃の植針加工が難しく、解繊によって生じた針刃の損傷や脱落に対応する場合、全体のバランスを保ったまま損傷した針刃のみを交換することが困難である。
本発明は、解繊に直接係る刃の部分が機械的に耐久性に富み、かつ損傷した刃の交換が容易な解繊用の回転体を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、被解繊物の連続体を擦過解繊して綿状物を製造する装置に用いる突起体を表面に有する擦過解繊用の回転体であって、該回転体の擦過解繊部がすくい角をもつ鋸刃状の突起体を有するディスクの集合体から構成され、かつ該鋸刃状の突起体が回転体の表面に回転軸方向に螺旋状に配置されているか、または該ディスクが回転体の回転軸に対して傾斜をもたせて配置されてなる綿状物製造用の回転体に関する。
また本発明は、この回転体を用い、該回転体を回転させ、該回転している鋸刃状の突起体に被解繊物の連続体を接触させて該連続体を擦過解繊してランダムな繊維長と繊維径の短繊維からなる綿状物を製造する方法にも関する。
本発明の解繊用回転体によれば、解繊用の突起体として鋸刃状の突起体を採用することにより、針刃よりも剛性に富み耐久性が向上する。
また、鋸刃状の突起体のリードピッチや鋸刃の先端形状の選択幅が広がり、被解繊物や目的とする綿状物の要求特性に応じた構成に容易に変更できる。
さらに回転体を鋸刃状の突起体を有する複数のディスクの集合体とすることにより、損傷した刃の交換を簡単に行うことができるとともに、位置決めが容易であり回転体の全体のバランスの調整も容易になる。
本発明の解繊用の回転体の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、綿状物の製造装置において、解繊用の回転体以外の構成は、従来の製造装置と同じであり、それらについての説明は、図14を参照する。
図1〜4に従って、本発明の解繊用回転体の第1の態様を説明する。
図1は本発明の第1の態様である解繊用回転体の概略平面図であり、図2は本発明の回転体を構成する鋸刃状の突起体を有するディスクの概略平面図であり、図3は回転体を構成する鋸刃状の突起体を有するディスクの概略側面図であり、図4はディスクの取り付け方を説明するための回転体の概略部分分解平面図である。
解繊用回転体1(図1)は、鋸刃状の突起体2を有する複数のディスク3(図2、図3)をロール本体5に差し込むことにより構成される(図4)。
各ディスク3は基部4とその周面に形成されている鋸刃状の突起体2とから構成されており、突起体2は、回転体に装着された擦過解繊部を形成したとき突起体2が連続した螺旋を描くように(図1参照)、傾斜をもたせてある。螺旋のリードピッチ、すなわち回転体の回転軸方向に隣接するディスクの間隔(鋸刃状の突起体の間隔)d(図4)は、突起体分周(一枚の外径Dのディスク上の突起体の分割数)nと、目的とする繊維径を考慮して選定すればよい。
微細な繊維の製造は、分周を大きく(突起体の数を多く)、逆にリードピッチを小さく(ディスクの間隔を狭く)することにより得られる。特に平均繊維径0.02mm以下の微細なポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の短繊維を製造するには、d/n=0.02〜0.002mmの範囲で選択することが好ましい。
短繊維の平均繊維長については、解繊用回転体の回転速度、被解繊材料の供給速度の影響も受け得るが、PTFE短繊維で平均繊維長10〜20mm前後とするには、πD/n=2.5〜5の範囲から選択される。短い短繊維を得るには、πD/nの値をより小さくすればよい。
本発明の回転体によれば、各種の螺旋リードピッチと突起体形態を有するディスク3を用意し交換することにより、被解繊物や目的とする綿状物の要求特性に応じて容易に種々の螺旋リードピッチや突起体形状を有する解繊用回転体に変更することができる。
鋸刃状の突起体2は、回転方向に対してすくい角θを有している(図3)。すくい角をもたせることにより、被解繊物に突起体の先端部(刃先)が食い込みやすくなる。すくい角θは被解繊物の材質によって適宜選定すればよいが、0°〜45°の範囲、さらには10°〜30°の範囲であることが繊維長を良好な範囲に収められる点で好ましい。すくい角が負になると突起体の先端部(刃先)の被解繊物への食い込みがわるくなり、擦過ではなく磨耗により生ずる磨耗粉が増える。本発明の回転体によれば、各種のすくい角をもつディスク3を用意し交換することにより、容易にすくい角を変更することができる。
突起体2の先端部(刃先)の厚さは特に限定されないが、被解繊物に突起体の先端(刃先)が食い込みやすくなる点から0.1mm以下、さらには0.08〜0.02mmであることが好ましい。先端部(刃先)の厚さが厚くなると、被解繊物への食い込みがわるくなり、擦過ではなく磨耗により生ずる磨耗粉が増える。強度面からは、先端部が薄く基部が厚いことが好ましい。また、先端部(刃先)の形状は、片刃でも両刃でもよい。
突起体2の各刃の高さは、解繊物の付着による目詰まり回避の面から、被解繊物断面の高さに対して十分大きく取ることが望ましく、2〜10mmの範囲で選定することが好ましい。
ディスク3の幅は、被解繊繊維物の材質、解繊繊維長、解繊繊維径などによって適宜選定すればよいが、鋸刃状の突起体2が少なくとも1周するような幅とするのが、装着時のディスク3の位置決めが容易な点から好ましい。
ディスク3の材質は耐摩耗性が良好な点から工具鋼が好ましい。また、鋸刃状の突起体2はディスク3と一体に作製してもよいし、ディスク3に工具鋼の針を接合して製作してもよい。
本発明の解繊用の回転体1の組立ては、図4に示すように、ロール本体5に設けられた溝6にディスク3の基部4の内周に設けられている突起7(図3)を合わせて挿入することにより簡単に行うことができる。したがって、突起体2の一部が破損しても、破損したディスクのみを取り外し、新しいディスクを突起体が連続した螺旋構造を形成するように溝6に合わせて挿入することで、簡単に行うことができる。
つぎに図5〜8に従って、本発明の第2の態様を説明する。
図5は本発明の第2の態様におけるディスク10の概略平面図、図6は第2の態様のディスク10の概略側面図であり、図7は第2の態様のディスク10をロール本体11に挿入し、回転体を組み立てる方法を説明するための概略部分平面図、図8はディスク10をロール本体11に装着するときに使用するスペーサ15の概略斜視図である。
第2の態様におけるディスク10は、周囲に鋸刃状の突起体12を有する螺旋状(コイル状)に巻かれたディスクをほぼ1周分で切断したものであり(図5)、その内周には、ロール本体11に形成された溝13に対応した突起14を有している(図6)。
第1の態様のディスク3では基部4の周面に突起体2を設けていたが、第2の態様ではディスク10自体を円盤状の鋸刃に似た形態としている。
また、高速回転によるディスク10の変形を抑えるために、ディスク10の突起14に張出し部16を設け、ロール本体11の溝13に形成された凹部17としっかりと係合させる。かかる係合手段は第1の態様においても採用できる。
この第2の態様におけるディスク10においても、突起体12のすくい角、螺旋のリードピッチや傾斜角、先端部(刃先)の厚さや形状は第1の態様におけるディスク3と同様である。
第2の態様のディスク10を用いた回転体の組立てを図7に従って説明する。ディスク10の突起14および張出し部16をロール本体11の溝13および凹部17に合わせてロール本体11に突起体12が螺旋を描くように挿入する。このようにロール本体11とディスク10とから構成してもよいが、ディスク10の間隔(リードピッチ)を広くするためにスペーサ15を挿入してもよい(図8)。スペーサ15は図7に示すように、ディスク10間の空隙を埋めるための部材である。いずれもディスク10の外径よりも小さい外径を有し、ディスク10と同じ位相に円周切断を有している。なお、内周側もディスク10と同じ形状とするのが組立て上好ましい。装着は、ディスク10の円周切断位置が螺旋の起点となるように、ロール本体11に挿入し、ついでスペーサ15の円周切断位置がディスク10の円周切断位置と重なるように挿入する。このように、ディスク10とスペーサ15を順次に挿入していくことにより回転体が組み立てられる。なお、スペーサ15の厚さを調整することにより、螺旋のリードピッチを調整できる。
スペーサの材質は、金属でも合成樹脂でもよいが、少なくとも表面が低吸湿性で被解繊物と同一の帯電性を有する絶縁材料で被覆されていることが、解繊物の付着防止の点から好ましい。この点については後述する。
つぎに図9〜12に従って、本発明の第3の態様を説明する。この第3の態様は、ディスクが回転体の回転軸に対して傾斜をもたせて配置されてなる実施態様である。
図9は本発明の第3の態様におけるディスク20とスペーサ25をロール本体21に挿入し、回転体を組み立てる方法を説明するための概略部分平面図、図10は第3の態様に用いるディスク20の概略側面図、図11は第3の態様に用いるスペーサ(間座)25の概略側面図、図12は第3の態様において螺旋を形成させるための調整用のネジ28を説明するための回転体の概略側面図である。
第3の態様におけるディスク20は、図10に示すように周囲に鋸刃状の突起体22を有する可撓性を有する1枚の円盤状物であり、このディスク20は円周切断を有していない。ディスク20の内周には、図9に示すロール本体21に形成された溝23に対応した突起24を有している。
この第3の態様におけるディスク20においても、突起体22のすくい角、螺旋のリードピッチや傾斜角、先端部(刃先)の厚さや形状は第1の態様におけるディスク3と同様である。
第3の態様においては、図11に示すスペーサ(間座)25を使用する。このスペーサ25は周囲が平坦な可撓性を有する1枚の円盤状物であり、このスペーサ25には傾斜も円周切断も付けられておらず、その内周には、図9に示すロール本体21に形成された溝23に対応した突起26を有している点はディスク3と同じである。この態様は、正負のリードピッチを有していて、螺旋を形成していない点が、第1、第2の態様と異なる。
第3の態様のディスク20を用いた回転体の組立てを図9および図12に従って説明する。
まず、ディスク20をロール本体21の溝23に合わせてロール本体21に挿入し、ついでスペーサ25の突起をロール本体21の溝23に合わせてロール本体21に挿入する。この組立て操作を繰り返して必要枚数をロール本体に装着する。
図9に示すように、ロール本体21の端部には固定用の締付け具27が設けられており、本体21に装着されたディスク20とスペーサ25全体をロール本体21にこれにより固定する。ついで、固定されたディスク20とスペーサ25全体をロール本体21の端部に設けられた調整ネジ28を締め込むことにより(図9における矢印X方向)、ディスク20とスペーサ25をずらし傾斜(突起体先端の回転軸方向の変位)を与える(図9における矢印Y方向)。その結果、ディスク20とスペーサ25全体を回転軸に対して傾斜させることができる。その傾斜角は調整ネジ28の締め込み具合により適宜選択でき、ディスク20、スペーサ25の内側を楕円形または長円形とすることで、大きい傾斜角を付与できる。また、円板状のディスク20の形状を外周が波状であるディスク形状とし、これらを積層して回転体を構成してもよい。
スペーサの材質は、金属でも合成樹脂でもよいが、少なくとも表面が低吸湿性で被解繊物と同一の帯電性を有する絶縁材料で被覆されていることが、解繊物の付着防止の点から好ましい。この点については後述する。
本発明には、さらに要すれば、解繊用回転体1に再生容易な動バランス調整部を配設してもよい。ディスクとスペーサが共に切断されている回転体は、回転振動低減のために動バランス調整が必要な場合があり、その場合、端部に質量バランス用穴加工を施し、再組立の都度、部材更新してもよいが、低融点金属を回転体端部に配置し、動バランス調整加工穴の埋め戻しを容易とする場合、省資源化が図れる。
本発明で擦過解繊される被解繊物としては、天然素材でも、合成樹脂または無機素材の連続体でもよい。
天然素材としてはウール、木綿、カシミヤ、アンゴラ、絹、麻、パルプなどがあげられる。
合成樹脂としては、フッ素樹脂、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、アラミド(パラ系アラミド、メタ系アラミド)、フェノール系樹脂、ポリアリレート、ポリウレタンなどをあげることができる。
フッ素樹脂としては、たとえばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリビニルフルオライド(PVF)、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、またはエチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)などをあげることができる。また、ポリオレフィンとしては、たとえばポリエチレン、ポリプロピレンなどが、ポリエステルとしてはたとえばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどがあげられる。
無機素材としては、たとえばガラス繊維、炭素繊維、金属(ステンレススチール、銅など)繊維などがあげられる。
これらの被解繊物は1種または2種以上を混用してもよい。
また、被解繊物の連続体としては、繊維状、フィルム状、その延伸物、スプリット繊維状、スライバーなどの形状で本発明の回転体に供することができる。
本発明の綿状物の製造方法はかかる解繊用の回転体1を、図14に示す製造装置の針刃ロール102に代えて用いた製造装置により実施できる。
具体的には、図13の概略説明図に示すように、ニップロール33により供給される被解繊物の連続体32を高速で回転している解繊用回転体31とその周囲に配置されたケーシング(または解繊用補助部材)34との隙間に供給する。連続体32は回転体31の周面に配置された鋸刃状の突起体35の先端部で擦過され、ランダムな繊維長と繊維径の短繊維にされて外部に排出され、堆積して綿状物となる。
ここで鋸刃状の突起体35は図1に示すように螺旋状に回転体を取り巻いているため、連続体は均一に回転体に接触し、場所によらずに均質なランダム短繊維が得られる。
回転体の回転数は、被解繊物の材質や繊維径や繊維長などによって適宜選定すればよいが、たとえばPTFEフィルムを解繊して平均長さ10〜30mmで平均繊維径8〜20μmの範囲のランダムな短繊維を製造する場合は、約4000〜8000rpmの範囲の回転数が好ましく採用される。
ところで、被解繊物を解繊用回転体で解繊するにあたり、突起体と被解繊物との加工力により、拘束されていない被解繊物が突起体から離れてしまい、解繊されないことがある。この現象を抑制するために、解繊用補助部材を突起体(回転体)の外側に設けることが好ましい。突起体(回転体)と解繊用補助部材の位置関係、特に隙間は、回転体の先端直径、突起体の材料剛性、目的とする短繊維の繊維径などにより決定される。
より具体的には図13に従って説明する。
解繊用補助部材34は、回転体31と同心の円弧を有するように配設される。この解繊用補助部材34の円弧の半径をR(mm)とし、回転体31の突起体35の先端が描く円の半径をr(mm)とするとき、下式で算出されるL(mm)が、10以下、望ましくは7以下であり、かつ、解繊用補助部材34の円弧長Arが上記Lの2倍以上、望ましくは4倍以上にする。
Figure 2008031578
ここでのLは、解繊繊維の平均繊維長に影響するもので、数値が大きいほど、太くて長い繊維の混在を許容する。また、Arを長く取れば、繊維の叩きつけが、より確実に行われるので、太い繊維の混在が少なくなる。これらの条件を満たすとき、突起体35で擦過された解繊物が回転体31の遠心力で解繊用補助部材34に叩きつけられ、さらに解繊されて微細化される効果により、より微細な短繊維が得られる。
被解繊物の連続体32はニップロール33により定速度で解繊用回転体31に供給されるが、ニップロール33から放出された連続体32が回転体31の突起体35に最初に接触するように解繊用補助部材34を位置決めする。このように配置することにより、被解繊物の連続体32が解繊用補助部材34に触れて破損することはなく、設定された条件でより一層正確に擦過解繊することが容易になる。
本発明においては、さらにつぎのような実施形態をとることが好ましい。
合成樹脂などの被解繊物を擦過解繊すると、解繊された短繊維は帯電する。帯電した短繊維のうち比較的大きな繊維は落下するが、小さな短繊維(繊維くず)は回転体の突起体以外の場所に静電気の作用により付着し、回転体表面に堆積する。堆積した繊維くずは成長していき、ある時点で塊りとなって脱落し、製造中の綿状物上に落下する。その結果、得られる綿状物の目付が不均一となる。この現象は、被解繊物が絶縁性の合成樹脂、たとえばフッ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの場合、特にPTFEである場合に顕著である。そこで、この点を解消するために、鋸刃状の突起体以外の回転体表面を低吸湿性で被解繊物と同一の帯電性を有する絶縁材料で被覆することが好ましい。回転体の表面が解繊物と同一に帯電することにより、回転体表面への静電気的な付着が抑えられる。
また、回転体の表面材質が吸湿性であれば、繊維くずの付着も多くなる。この観点から、絶縁材料は25℃での吸水性が1質量%以下であることがさらに好ましい。
絶縁材料で被覆する部分は、少なくとも鋸刃状の突起体以外の回転体表面である。たとえば第1の態様においてはディスク3の基部4の外周面であり、第2の態様ではスペーサ15の外周面であり、第3の態様ではスペーサ25の外周面である。スペーサを使用しない場合はロール本体の外表面を被覆すればよい。
被覆用の絶縁材料は、低吸湿性で被解繊物と同一の帯電性を有する絶縁材料である。被解繊物と被覆材料の具体的な組合せとしては、たとえばフッ素樹脂−フッ素樹脂(被解繊物−被覆材料。以下同様)、ポリプロピレン−ポリプロピレン、ポリプロピレン−PTFEなどがあげられる。特に、被解繊物としてPTFEを使用する場合、被覆材料もPTFEであることが好ましい。
本発明の第1の態様の解繊用回転体の概略平面図である。 本発明の第1の態様に用いる回転体を構成する鋸刃状の突起体を有するディスクの概略平面図である。 本発明の第1の態様に用いる回転体を構成する鋸刃状の突起体を有するディスクの概略側面図である。 本発明の第1の態様におけるディスクの取り付け方を説明するための回転体の概略部分分解平面図である。 本発明の第2の態様に用いるディスクの概略平面図である。 本発明の第2の態様に用いるディスクの概略側面図である。 本発明の第2の態様において、ディスクをロール本体に挿入し回転体を組み立てる方法を説明するための概略部分平面図である。 本発明の第2の態様において、ディスクをロール本体に装着するときに使用するスペーサの概略斜視図である。 本発明の第3の態様におけるディスクとスペーサをロール本体に挿入し回転体を組み立てる方法を説明するための概略部分平面図である。 本発明の第3の態様に用いるディスクの概略側面図である。 本発明の第3の態様に用いるスペーサ(間座)の概略側面図である。 本発明の第3の態様において螺旋を形成させるための調整用のネジを説明するための回転体の概略側面図である。 本発明の回転体を用いた解繊方法を説明するための概略説明図である。 従来の綿状物の製造装置の概略斜視図である。 従来の針刃ロールの部分拡大断面図である。
符号の説明
1、31 解繊用回転体
2 鋸刃状の突起体
3、10、20 ディスク
4 基部
5、11、21、103 ロール本体
6、13、23 溝
7、14、24、26 突起
12、22、35 突起体
15、25 スペーサ
16 張出し部
17 凹部
27 締付け具
28 調整ネジ
32、100 連続体
33 ニップロール
34 解繊用補助部材
101 短繊維
102 針刃ロール
104 針刃
105 ケーシング

Claims (9)

  1. 被解繊物の連続体を擦過解繊して綿状物を製造する装置に用いる突起体を表面に有する擦過解繊用の回転体であって、該回転体の擦過解繊部がすくい角をもつ鋸刃状の突起体を有するディスクの集合体から構成され、かつ該鋸刃状の突起体が回転体の表面に回転軸方向に螺旋状に配置されているか、または該ディスクが回転体の回転軸に対して傾斜をもたせて配置されてなる綿状物製造用の回転体。
  2. 前記回転体の鋸刃状の突起体の回転軸方向の間隔が、0.02〜0.002mmである請求項1記載の回転体。
  3. 前記鋸刃状の突起体のすくい角が0°〜45°の範囲である請求項1または2記載の回転体。
  4. 前記鋸刃状の突起体の先端部の厚さが0.1mm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の回転体。
  5. 前記鋸刃状の突起体以外の回転体表面が、低吸湿性で被解繊物と同一の帯電性を有する絶縁材料で被覆されている請求項1〜4のいずれかに記載の回転体。
  6. 前記絶縁材料が、25℃での吸水性が1質量%以下である請求項5記載の回転体。
  7. 前記被解繊物がフッ素樹脂である請求項1〜6のいずれかに記載の回転体。
  8. 前記鋸刃状の突起体以外の回転体表面を被覆している絶縁材料がフッ素樹脂である請求項7記載の回転体。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の回転体を用い、該回転体を回転させ、該回転している鋸刃状の突起体に被解繊物の連続体を接触させて該連続体を擦過解繊してランダムな繊維長と繊維径の短繊維からなる綿状物を製造する方法。
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