JP2002011690A - 繊維切断装置用切断刃、繊維切断装置用スクレーパー、繊維切断装置および繊維切断方法 - Google Patents

繊維切断装置用切断刃、繊維切断装置用スクレーパー、繊維切断装置および繊維切断方法

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JP2002011690A
JP2002011690A JP2000193801A JP2000193801A JP2002011690A JP 2002011690 A JP2002011690 A JP 2002011690A JP 2000193801 A JP2000193801 A JP 2000193801A JP 2000193801 A JP2000193801 A JP 2000193801A JP 2002011690 A JP2002011690 A JP 2002011690A
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JP
Japan
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thickness
fiber
film
scraper
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JP2000193801A
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English (en)
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Haruyo Fukui
治世 福井
Hisanori Ohara
久典 大原
Tsutomu Yamamoto
勉 山本
Atsushi Tsunoda
角田  敦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Du Pont Toray Co Ltd
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Du Pont Toray Co Ltd
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 切断刃の間隔が非常に狭くなった場合におい
ても切断された繊維を目詰りすることなく確実に排出す
ることができ、かつ使用寿命の長い繊維切断装置、繊維
切断方法、それらに用いられる切断刃およびスクレーパ
ーを提供することである。 【解決手段】 繊維切断装置用切断刃(1)は、炭化タ
ングステンとコバルトとを含み、炭化タングステン粒子
の平均粒径が0.1μm以上1.5μm以下であり、コ
バルトの含有率が8質量%以上16質量%以下である超
硬合金からなる基材(10)と、基材(10)の表面上
に形成され、厚みが0.05μm以上1μm以下のアモ
ルファスシリコン膜と、アモルファスシリコン膜の表面
上に形成され、基材(10)の先端部(11)での最大
の厚み(tmax)が0.1μm以上5μm以下である硬
質炭素膜(13)とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、繊維を切断する
ための切断刃、切断された繊維を排出するためのスクレ
ーパー、切断刃とスクレーパーとを備えた繊維切断装
置、および繊維切断方法に関し、特定的には、耐食性、
耐摩耗性および滑り性が良好な硬質被膜を備えた繊維切
断装置用切断刃およびスクレーパー、これらの切断刃と
スクレーパーとを備えた繊維切断装置、ならびに繊維切
断方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】長尺の繊維を所望の長さの繊維に切断す
るための繊維切断装置は、たとえば、米国特許第391
5042号公報に示されているものが知られている。上
記の米国特許公報に示される繊維切断装置では、回転体
の外周面に円周方向に適当な間隔をあけて多数の切断刃
の基部を埋込み、各切断刃の先端部が回転体の軸線に平
行となるように配置されている。また、上記の多数の切
断刃は回転体の外周面から放射状に延びるように配置さ
れている。切断すべき繊維を回転体の外周面のまわりに
巻付けながら、巻付けられた繊維を上記の多数の切断刃
にプレスローラーによって押付けることによって多数の
切断刃の間隔に応じた所望の長さに繊維を切断する。
【0003】上記の従来の繊維切断装置においては、相
対向する2つの円板の間に細長い帯状の切断刃の両端を
円周方向に間隔をあけて固定することにより中空の円筒
形状を有する回転体を構成する。この回転体の外側から
切断すべき繊維を切断刃に向かって押圧するプレスロー
ラーによって繊維を所望の長さに切断する。切断された
繊維を切断刃と切断刃との間の空隙から回転体の内部に
押込むことによって排出する。
【0004】しかしながら、上記の従来の繊維切断装置
は構造が簡単であるという利点を有するが、切断刃と切
断刃との間に押込まれる切断された繊維が堆積すること
によって目詰りを起しやすいという技術的な問題があっ
た。そこで、切断された繊維の排出性を向上させるため
にいくつかの改善された繊維切断装置が提案されてい
る。
【0005】特開平8−174474号公報には、回転
体の外周面の円周方向に間隔をあけて配置された複数の
切断刃の間に介入するようにスクレーパーを設けた繊維
切断装置が提案されている。この繊維切断装置において
は、回転体が軸線方向に移動するのに応じて、スクレー
パーは回転体の外周面に沿って移動することにより、回
転体の外周面上の多数の切断刃の間に堆積した切断繊維
を回転体の軸線方向に掻き出す。このようにして従来の
繊維切断装置で発生していた目詰りを強制的に解除す
る。
【0006】また、特開平11−42590号公報に
は、従来の繊維切断装置を用いて、切断刃にカーボン硬
質被膜を形成することによって切断刃の耐摩耗性を向上
させることが提案されている。このように切断刃にカー
ボン硬質被膜を形成することによって、切断された繊維
が切断刃の表面に付着したり引っかかったりする現象を
なくし、切断された繊維の排出性を改善している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】近年、繊維の切断長を
短くしたいという要求がある。たとえば、繊維の切断長
を短くするために、多数の切断刃の間隔を6mm以下、
さらには3mm以下にすることが求められている。この
ような短い長さに繊維を切断する場合には切断刃と切断
刃の間隔が非常に狭くなる。
【0008】このような場合、特開平8−174474
号公報に開示されたスクレーパーを用いて切断繊維を排
出させる方式を採用したとしても、切断刃と切断刃との
間の間隔が6mm以下という狭い間隙内にスクレーパー
を介在させると、スクレーパーと切断刃との間の隙間を
ほとんど確保することができない。このため、スクレー
パーによって切断繊維を掻き出す際に、スクレーパーと
切断刃の間に切断繊維が絡まったり、スクレーパーと切
断刃とが直接接触して切断刃の先端が欠けるという問題
が生じる。このように切断刃が欠損した場合には、切断
した繊維の中に欠損した切断刃の破片が異物として混入
する。その結果、既に切断した繊維を廃棄する必要があ
るという問題があった。また、切断刃が欠損すると、切
断装置を一旦停止させて多数の切断刃を交換する必要が
あるので、生産性が低下するという問題もあった。
【0009】一方、特開平11−42590号公報に開
示されたカーボン硬質被膜を形成した切断刃を用いて
も、切断刃と切断刃の間隔が非常に狭くなると切断繊維
を切断刃の先端から根元に向かって効率よく排出するこ
とは困難であった。この公報では、通常の超硬合金から
なる基材の上にチタン膜やクロム膜、さらにシリコン膜
やゲルマニウム膜を介在させてカーボン硬質被膜を形成
しているが、カーボン硬質被膜の密着性が悪く、切断刃
の刃先寿命が短いという問題もあった。
【0010】そこで、この発明の目的は、切断刃と切断
刃の間の間隔が非常に狭くなっても、切断された繊維を
目詰りすることなく確実に排出することが可能な繊維切
断装置および繊維切断方法を提供することである。
【0011】また、この発明のもう1つの目的は、使用
寿命の長い繊維切断装置用切断刃を提供することであ
る。
【0012】さらに、この発明の別の目的は、切断刃と
切断刃の間の間隔が非常に狭い場合においても切断され
た繊維を確実に排出することが可能な繊維切断装置用ス
クレーパーを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】この発明の1つの局面に
従った繊維切断装置用切断刃は、基材と、アモルファス
シリコン膜と、硬質炭素膜とを備える。基材は、炭化タ
ングステンとコバルトとを含み、炭化タングステン粒子
の平均粒径が0.1μm以上1.5μm以下であり、コ
バルトの含有率が8質量%以上16質量%以下である超
硬合金からなる。アモルファスシリコン膜は、基材の表
面上に形成され、厚みが0.05μm以上1μm以下で
ある。硬質炭素膜は、アモルファスシリコン膜の表面上
に形成され、基材の先端部での最大の厚みが0.1μm
以上5μm以下である。
【0014】上記の繊維切断装置用切断刃において、硬
質炭素膜は、基材の先端部で最大の厚みを有し、基材の
先端部から根元部に向かって徐々に小さくなる厚みを有
するのが好ましい。
【0015】この発明のもう1つの局面に従った繊維切
断装置用切断刃は、基材と、窒化クロム膜とを備える。
基材は、炭化タングステンとコバルトとを含み、炭化タ
ングステン粒子の平均粒径が0.1μm以上1.5μm
以下であり、コバルトの含有率が8質量%以上16質量
%以下である超硬合金からなる。窒化クロム膜は、基材
の表面上に形成され、基材の先端部での最大の厚みが
0.1μm以上5μm以下である。
【0016】上記の繊維切断装置用切断刃は、基材の表
面と窒化クロム膜との間に厚みが0.05μm以上1μ
m以下の窒化チタン膜をさらに備えるのが好ましい。
【0017】上記の繊維切断装置用切断刃において、窒
化クロム膜は、基材の先端部で最大の厚みを有し、基材
の先端部から根元部に向かって徐々に小さくなる厚みを
有するのが好ましい。
【0018】この発明の別の局面に従った繊維切断装置
用スクレーパーは、基材と、アモルファスシリコン膜
と、硬質炭素膜とを備える。アモルファスシリコン膜
は、基材の表面上に形成され、厚みが0.05μm以上
1μm以下である。硬質炭素膜は、アモルファスシリコ
ン膜の表面上に形成され、基材の先端部での最大の厚み
が0.1μm以上5μm以下である。
【0019】上記の繊維切断装置用スクレーパーにおい
て、硬質炭素膜は、基材の先端部で最大の厚みを有し、
基材の先端部から根元部に向かって徐々に小さくなる厚
みを有するのが好ましい。
【0020】この発明のさらに別の局面に従った繊維切
断装置用スクレーパーは、基材と、窒化クロム膜とを備
える。窒化クロム膜は、基材の表面上に形成され、基材
の先端部での最大の厚みが0.1μm以上5μm以下で
ある。
【0021】上記の繊維切断装置用スクレーパーは、基
材の表面と窒化クロム膜との間に厚みが0.05μm以
上1μm以下の窒化チタン膜をさらに備えるのが好まし
い。
【0022】上記の繊維切断装置用スクレーパーにおい
て、窒化クロム膜は、基材の先端部で最大の厚みを有
し、基材の先端部から根元部に向かって徐々に小さくな
る厚みを有するのが好ましい。
【0023】この発明の他の局面に従った繊維切断装置
は、回転体と、複数の切断刃と、プレスローラーと、ス
クレーパーとを備える。複数の切断刃は、回転体の外周
面から放射状に延びるように回転体の外周面の周方向に
間隔をあけて配置されている。プレスローラーは、回転
体の外周面のまわりに巻付けられた長尺の繊維を切断す
るために長尺の繊維を複数の切断刃に押付ける。スクレ
ーパーは、複数の切断刃の間に堆積する切断された繊維
を回転体の軸方向に掻き出させるために複数の切断刃の
間に配置されている。切断刃は、基材と、アモルファス
シリコン膜と、硬質炭素膜とを含む。基材は、炭化タン
グステンとコバルトとを含み、炭化タングステン粒子の
平均粒径が0.1μm以上1.5μm以下であり、コバ
ルトの含有率が8質量%以上16質量%以下である超硬
合金からなる。アモルファスシリコン膜は、基材の表面
上に形成され、厚みが0.05μm以上1μm以下であ
る。硬質炭素膜は、アモルファスシリコン膜の表面上に
形成され、基材の先端部での最大の厚みが0.1μm以
上5μm以下である。
【0024】上記の繊維切断装置において、硬質炭素膜
は、切断刃の基材の先端部で最大の厚みを有し、基材の
先端部から根元部に向かって徐々に小さくなる厚みを有
するのが好ましい。
【0025】上記の繊維切断装置において、スクレーパ
ーは、基材と、アモルファスシリコン膜と、硬質炭素膜
とを含むのが好ましい。アモルファスシリコン膜は、基
材の表面上に形成され、厚みが0.05μm以上1μm
以下である。硬質炭素膜は、アモルファスシリコン膜の
表面上に形成され、基材の先端部での最大の厚みが0.
1μm以上5μm以下である。
【0026】上記の硬質炭素膜は、スクレーパーの基材
の先端部で最大の厚みを有し、基材の先端部から根元部
に向かって徐々に小さくなる厚みを有するのが好まし
い。
【0027】この発明のさらに他の局面に従った繊維切
断装置は、回転体と、複数の切断刃と、プレスローラー
と、スクレーパーとを備える。複数の切断刃は、回転体
の外周面から放射状に延びるように回転体の外周面の周
方向に間隔をあけて配置されている。プレスローラー
は、回転体の外周面のまわりに巻付けられた長尺の繊維
を切断するために長尺の繊維を複数の切断刃に押付け
る。スクレーパーは、複数の切断刃の間に堆積する切断
された繊維を回転体の軸方向に掻き出させるために複数
の切断刃の間に配置されている。切断刃は、基材と、窒
化クロム膜とを含む。窒化クロム膜は、基材の表面上に
形成され、基材の先端部での最大の厚みが0.1μm以
上5μm以下である。
【0028】上記の繊維切断装置において、切断刃は、
基材の表面と窒化クロム膜との間に厚みが0.05μm
以上1μm以下の窒化チタン膜をさらに含むのが好まし
い。
【0029】上記の窒化クロム膜は、切断刃の基材の先
端部で最大の厚みを有し、基材の先端部から根元部に向
かって徐々に小さくなる厚みを有するのが好ましい。
【0030】上記の繊維切断装置において、スクレーパ
ーは、基材と窒化クロム膜とを含むのが好ましい。窒化
クロム膜は、基材の表面上に形成され、基材の先端部で
の最大の厚みが0.1μm以上5μm以下である。
【0031】上記のスクレーパーは、基材の表面と窒化
クロム膜との間に厚みが0.05μm以上1μm以下の
窒化チタン膜をさらに含むのが好ましい。
【0032】上記の窒化クロム膜は、スクレーパーの基
材の先端部で最大の厚みを有し、基材の先端部から根元
部に向かって徐々に小さくなる厚みを有するのが好まし
い。
【0033】さらに、この発明の別の局面に従った繊維
切断方法は、上述のようにして構成された繊維切断装置
のいずれかを用いて繊維を切断することを特徴とする。
【0034】ここで、硬質炭素膜とは、アモルファス状
(非晶質)の炭素膜または水素化炭素膜であり、a−
C:H、i−C、DLC(ダイヤモンドライクカーボ
ン)などと呼ばれているものである。硬質炭素膜を形成
する方法として、炭化水素ガスをプラズマで分解して成
膜するプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)
法、炭素または炭化水素イオンを用いるイオンビーム蒸
着法等の気相合成法が用いられる。また、最近では、硬
質炭素膜を形成するためにグラファイト原料を用いたP
VD(Physical Vapor Deposition)法による成膜も試
みられている。
【0035】硬質炭素膜は、高い硬度を有し、表面の平
滑性に優れ、低い摩擦係数を有する等の他のセラミック
ス膜にない特徴を有する。また、窒化クロム膜も、摺動
性や耐食性を有するとともに上記の硬質炭素膜と同様の
特性を有する。
【0036】本発明者らは、以下の考察に基づいて、上
述の特徴を備えた切断刃、スクレーパー、繊維切断装置
および繊維切断方法を採用することにより、切断刃と切
断刃の間の間隔が非常に狭くなる場合においても、切断
された繊維を目詰りさせることなく確実に排出でき、か
つ高速度で切断動作を行なっても使用寿命が長くなるこ
とを新たに見出した。
【0037】繊維切断装置においては、切断刃またはス
クレーパーの先端部に加わる力が大きい場合や、切断時
の振動などにより切断刃とスクレーパーとが擦れる場合
が想定される。このため、切断刃またはスクレーパーの
基材に対する硬質被膜の密着性を高めることと、硬質被
膜の表面の滑り性が良好であることが必須の条件とな
る。さらに、近年、切断効率の向上に対する要求から、
より高速度で切断動作を行なっても硬質被膜が剥離する
ことなく、使用寿命の長い表面被覆切断刃が求められて
いる。このため、耐摩耗性を有し、かつ表面の滑り性が
良好な硬質被膜の基材に対する密着性を高めることが重
要な課題となっている。
【0038】そこで、使用寿命に達した切断刃の刃先を
詳細に調べた結果、発明者らは、繊維切断時の腐食性雰
囲気下で切断刃の基材を形成する炭化タングステン基超
硬合金が腐食と考えられる現象によって欠損しているこ
とを発見した。
【0039】さらに、欠損した切断刃の表面からスクレ
ーパーの材料成分が検出され、切断刃とスクレーパーと
の間のクリアランスを精密に計算して、切断刃とスクレ
ーパーが接触しないようにしたのにもかかわらず、切断
刃とスクレーパーとが実際には接触していたことが明ら
かとなった。
【0040】そこで、発明者らは種々の検討を行なった
結果、切断刃の基材を構成する超硬合金の組成を最適化
することによって、繊維切断時の腐食性雰囲気下におい
て炭化タングステン基超硬合金の腐食が全く発生しない
ことを見出した。これにより、基材としての超硬合金に
対して硬質被膜の密着性を高めることが可能になると同
時に、硬質被膜と炭化タングステン基超硬合金基材の耐
腐食特性も改善することが可能になる。この結果、切断
刃の刃先寿命を著しく向上させることができる。
【0041】上記の最適化された炭化タングステン基超
硬合金は、コバルト(Co)を8質量%以上16質量%
以下含有し、炭化タングステン(WC)粒子の平均粒径
が0.1μm以上1.5μm以下の範囲内にある。コバ
ルトは特に結合相を形成するために含められる。コバル
トの含有率が8質量%未満の場合には、超硬合金の靭性
が低下して切断刃の刃先の欠損を発生させるように作用
するので好ましくない。コバルトの含有率が16質量%
を超えると、超硬合金の硬度が低下して高速切断時にお
いて切断刃の耐摩耗性が低下するとともに、コバルト
と、窒化クロム膜や硬質炭素膜の硬質被膜との親和性が
低いために被膜の密着性が著しく低下し、被膜の剥離を
発生させるように作用する。したがって、コバルトの含
有量を8〜16質量%の範囲内に規定する。
【0042】炭化タングステン粒子の平均粒径は超硬合
金の靭性に非常に影響を与える。超硬合金からなる基材
の表面上に形成される硬質被膜の密着性の評価結果か
ら、炭化タングステン粒子の平均粒径を0.1〜1.5
μmの範囲内に規定する。なお、粒成長の抑制効果を有
する炭化タンタル(TaC)や炭化バナジウム(VC)
を含有させることによって切断刃の刃先強度をさらに高
めてもよい。
【0043】硬質炭素膜や窒化クロム膜のような硬質被
膜が、切断刃またはスクレーパーの先端部で0.1μm
以上5μm以下の最大厚みを有する理由は以下のとおり
である。基材の先端部での最大厚みが0.1μm未満の
場合には、切断刃またはスクレーパーの耐摩耗性が不足
するという問題がある。基材の先端部での最大厚みが5
μmを超えると、硬質被膜に蓄積される内部応力が大き
くなり、切断刃またはスクレーパーの先端部で硬質被膜
が剥離しやすくなる。特に切断刃の場合には、刃先での
最大厚みが5μmを超えると、長期にわたって初期の切
れ味を保つことができなくなる。
【0044】切断刃またはスクレーパーの基材の表面上
に硬質被膜として硬質炭素膜を形成する場合には、硬質
炭素膜の密着性を高めるために基材と硬質炭素膜との間
にアモルファスシリコン膜を介在させる。アモルファス
シリコン膜の厚みが0.05μm未満の場合には、硬質
炭素膜の密着性を向上させるように作用しない。アモル
ファスシリコン膜の厚みが1μmを超える場合には、硬
質炭素膜に大きな力が加えられると、基材とアモルファ
スシリコン膜との間で膜の剥離が生じやすくなる。
【0045】切断刃またはスクレーパーの基材の表面上
に窒化クロム膜を形成する場合、基材の表面と窒化クロ
ム膜との間に窒化チタン膜を介在させるのが好ましい。
この場合、窒化チタン膜の厚みが0.05μm未満のと
き、窒化クロム膜の基材に対する密着性を向上させるよ
うに窒化チタン膜は作用しない。窒化チタン膜の厚みが
1μmを超えると、窒化クロム膜に大きな力が加えられ
た場合に基材と窒化チタン膜との間で膜の剥離が生じや
すくなる。
【0046】なお、切断刃の基材の表面上に形成される
硬質炭素膜または窒化クロム膜を同様にスクレーパーの
基材の表面上に形成することによって、切断刃と切断刃
との間の間隔が非常に狭くなる場合においても、切断さ
れた繊維を目詰りすることなく確実に排出できる効果を
達成することができ、高速度で切断動作が行なわれても
切断刃の使用寿命の長い繊維切断装置を得ることができ
る。スクレーパーの基材としては、ステンレス鋼(JI
S SUS304、SUS316)などを用いるのが好
ましい。
【0047】
【発明の実施の形態】以下に本発明の1つの実施の形態
として繊維切断装置の構成について図面を用いて説明す
る。
【0048】図1は、この発明に従った1つの実施の形
態として繊維切断装置を示す部分縦断面図である。図1
に示すように、多数の切断刃1が小回転体2の外周面か
ら放射状に延びるように小回転体2の外周面の周方向に
間隔をあけて配置されている。各切断刃1は、その刃先
を小回転体2の軸線に平行となるように、その基部が円
柱形の小回転体2の内部に埋込まれて設けられている。
小回転体2の側面から左右に突出して延在する回転軸3
は、リニアベアリングを介して大回転体4を軸受けする
ように構成されている。このようにして、回転軸3は、
小回転体2が大回転体4に対して軸線方向に移動可能に
支持されている。図示されていないが、回転軸3の矢印
Pで示す方向の回転が大回転体4の矢印Qで示す方向の
回転に連動するように構成されている。これにより、小
回転体2と大回転体4が一体的に回転するように構成さ
れている。回転軸3は小回転体2とともに大回転体4に
対して軸線方向に沿って往復移動するように構成されて
いる。
【0049】小回転体2の左右両側を挟む大回転体4の
内側面に小回転体2を収容する空間が設けられ、小回転
体2の外周面のまわりに繊維50を巻付けることが可能
な間隙が形成されている。繊維50を供給するための間
隙の両側には、繊維50を小回転体2の外周面上の切断
刃1の刃先に誘導するために左右1対の環状のガイドデ
ィスク6が左右の大回転体4の内側面に取付けられてい
る。また、ガイドディスク6の外側には、ガイドディス
ク6とともに左右の大回転体4の内側面の周縁部にスク
レーパー5が取付けられている。
【0050】1対のガイドディスク6の間の間隙に繊維
50が誘導され、小回転体2の外周面のまわりに巻付け
られる。この巻付けられた長尺の繊維50を切断するた
めにプレスローラー7が切断刃1に繊維50を押付ける
ように作用する。切断された繊維60は切断刃1の間の
隙間に堆積され、ガイドディスク6の外側に排出され
る。プレスローラー7は回転体2の回転に従って回転す
る。
【0051】図2は、繊維の切断状態を示す。図2に示
すように、多数の切断刃1が小回転体2の外周面から放
射状に延び、小回転体2の外周面の周方向に間隔をあけ
て配置されている。小回転体2の外周面のまわりに巻付
けられた長尺の繊維50は、プレスローラー7に押圧さ
れて所定の長さに切断され、小回転体2の外周面上に切
断刃1と切断刃1との間に切断繊維60として積層され
て堆積する。
【0052】図3は、小回転体2の外周面上の多数の切
断刃1とスクレーパー5との係合状態を示す部分断面図
である。図3に示すように、放射状に延びる多数の切断
刃1の間の各間隙内に介在するように内歯歯車状のスク
レーパー5が配置されている。スクレーパー5と各切断
刃2との間には一定のクリアランスが設けられている。
図2に示される切断繊維60の堆積状態に応じて、図1
に示される装置において小回転体2が軸線方向に移動す
ることにより、スクレーパー5が相対的に小回転体2の
外周面に沿って移動する。スクレーパー5の先端部によ
って切断繊維60がガイドディスク6の外側に押出され
る。このようにして、切断刃1の間に堆積した切断繊維
60がスクレーパー5を用いて強制的に掻き出される。
【0053】図4は、切断刃1の基材の形状を示す正面
図(A)と側面図(B)である。図4に示すように、帯
状の切断刃の基材10は先端部11と根元部12とを有
する。先端部11は根元部12から延び、鋭角の角度を
なすように尖った形状を有する。本発明の切断刃の基材
に用いられる炭化タングステン基超硬合金は、コバルト
を8質量%以上16質量%以下含有し、炭化タングステ
ン粒子の平均粒径が0.1μm以上1.5μm以下の範
囲内に規定されている。このような超硬合金を切断刃の
基材に用いることにより、基材の表面上に形成される硬
質被膜の密着性を高めることができるとともに、耐腐食
特性も改善することができる。この結果、切断刃の刃先
の寿命を著しく向上させることができる。
【0054】図5は、切断刃1の断面を示す図である。
図5に示すように、基材の根元部12から先端部11の
表面上を被覆するように硬質炭素膜または窒化クロム膜
のような硬質被膜13が形成される。硬質被膜13とし
て硬質炭素膜が形成される場合には、硬質被膜13と基
材10の表面との間にはアモルファスシリコン膜が形成
される。硬質被膜13として窒化クロム膜が形成される
場合には、基材10と硬質被膜13との間に窒化チタン
膜が形成されるのが好ましい。
【0055】図5に示すように、基材10の先端部11
での厚みが最大になるように硬質被膜13が形成され
る。すなわち、硬質被膜13は基材10の先端部11に
おいて最大膜厚tmaxを有する。
【0056】図1の繊維切断装置で用いられるスクレー
パー5についても、図5に示されるものと同様にして基
材の表面上に硬質炭素膜または窒化クロム膜のような硬
質被膜13を形成するのが好ましい。この発明において
は、切断刃1またはスクレーパー5の基材の表面上に所
定の厚みの硬質炭素膜または窒化クロム膜を形成するこ
とによって、切断刃またはスクレーパーの耐摩耗性と滑
り性を高めることができる。
【0057】
【実施例】次に、この発明の切断刃に形成される硬質炭
素膜の作用効果について、実施例を用いて具体的に説明
する。ただし、硬質炭素膜の製造方法は、以下の実施例
で説明される製造方法に限定されるものではなく、公知
の硬質炭素膜の成膜方法として他のCVD法やPVD法
を採用してもよい。
【0058】(実施例1)切断刃の基材として、表1に
示される平均粒径(WC粒径)の炭化タングステン(W
C)の粉末と、コバルト(Co)の粉末とを準備した。
これらの粉末を表1に示されるコバルトの含有量(Co
量)で配合し、ボールミルを用いてアセトンによる湿式
混合粉砕を24時間行なった後、乾燥させた。次に、こ
の混合粉末をプレス成形することによって圧粉体を作製
した。この圧粉体を真空焼結することにより、表1に示
されるコバルトの含有量を有し、かつ表1に示される平
均粒径の炭化タングステン粒子が分散した炭化タングス
テン基超硬合金を作製した。このようにして、図4に示
す形状を有する切断刃の基材10を準備した。
【0059】さらに、プラズマCVD法を用いて切断刃
の基材の表面に、表1に示す下層と上層とからなる被膜
を形成した硬質炭素膜被覆切断刃の本発明品サンプルN
o.101〜113を作製した。
【0060】被膜の形成は図6に示される成膜装置を用
いて行なわれた。成膜装置101に電極102を設置
し、その電極102にマッチングボックス103を介し
て高周波(13.56MHz)電源104から高周波電
力を印加できるようにするとともに、成膜装置101を
接地した。切断刃の基材10を縦方向に4個並べて基材
ホルダ106に装着した。図7に示すように、切断刃の
基材10は取付金具106aによって基材ホルダ106
の外周面上に固定された。
【0061】まず、図示されていないヒータにより基材
10を温度200℃に加熱しながら、排気装置107に
よって矢印Sで示す方向にガスを排出して成膜装置10
1の内部の圧力を10-5Paとした。次にマスフローコ
ントローラ108を通じてアルゴンガスを矢印Rで示す
方向に成膜装置101の内部に導入し、圧力0.2Pa
の雰囲気に成膜装置101の内部を保持しながら、電極
102に高周波電力を1kWで印加することによって基
材10の表面をクリーニングした。
【0062】その後、一旦、高周波電源104を切り、
アルゴンガスの圧力を0.2Paに保持した状態のまま
で、成膜装置101に設けられた、シリコンターゲット
が装着された高周波マグネトロンスパッタ源109にマ
ッチングボックス110を介して高周波電源(13.5
6MHz)111によって高周波電力を1kWで印加す
ることにより、基材10の表面上にアモルファスシリコ
ン膜を形成した。
【0063】表1で示されるように各サンプルについて
所定の膜厚になるまでアモルファスシリコン膜の形成が
行なわれた後、高周波電源111を切り、アルゴンガス
の導入を停止させた。そして、成膜装置101の内部に
反応ガスとしてメタンガスをマスフローコントローラ1
08を通じて矢印Rで示す方向に導入し、成膜装置10
1の内部の圧力が1.0Paとなるように制御しなが
ら、電極102に高周波電力を1kWで印加することに
より、基材10の上に硬質炭素膜を形成した。なお、本
発明品サンプルNo.113については、アモルファス
シリコン膜と硬質炭素膜を交互に2回続けて形成し、ア
モルファスシリコン膜と硬質炭素膜の積層膜(合計4
層)を形成した。
【0064】また、同様にして、本発明の範囲から外れ
る切断刃として表1に示す比較品サンプルNo.101
〜108と、被膜が形成されていない比較品サンプルN
o.109も作製した。
【0065】得られた被膜の膜厚と密着力を測定した。
膜厚の測定は、被膜を形成した後、切断刃を実際に切断
し、図5に示されるような断面を研磨した後、SEM
(走査型電子顕微鏡)観察によって行なった。また、密
着性の評価は、CSEM社のレベテスト自動スクラッチ
試験機を用いて行なった。具体的には、密着力の測定
は、ダイヤモンド針を被膜の表面に押付けて横に引くよ
うにしてスクラッチしながら、針の荷重を増加させてい
き、膜が剥離するときの破壊音をアコースティックエミ
ッション(AE)で検出することにより、膜が剥離する
ときの臨界荷重を測定することによって行なった。被膜
の膜厚と密着力の測定結果は表1に示されている。表1
中の被膜の膜厚は、図5における最大膜厚tmaxを示して
いる。
【0066】また、繊維の切れ味を測定するために、各
サンプルの切断刃を用いてアラミド繊維を切断する試験
を繰返して行なった。切断試験は、図8に示すように、
繊維50の片側を固定治具51で固定するとともに、繊
維50を切断刃1の表面上に接触するように配置し、切
断刃1の先端部を通って繊維50の他端から固定治具5
2を介して繊維50を引張ることによって行なった。こ
のとき、繊維50を切断するときの臨界荷重を第1回目
と第100万回目の切断において荷重計53によって力
Fとして測定した。その測定結果も表1に示されてい
る。
【0067】
【表1】
【0068】表1に示される測定結果から、被膜の密着
性が良好で、臨界荷重の値から推定される切断刃の切れ
味が長期的に初期の状態のままで保つことが可能な切断
刃の基材は、本発明の範囲内にあるコバルトの含有率と
炭化タングステンの粒子の平均粒径を有することがわか
る。
【0069】また、下層としてのアモルファスシリコン
膜の厚みが0.05μm未満の場合には、硬質炭素膜の
密着力が低いことがわかる。一方、アモルファスシリコ
ン膜の厚みが1μmを超える場合には、膜の剥離が生じ
ることがわかる。切断刃の基材の先端部での硬質炭素膜
の最大膜厚が0.1μm未満の場合には、密着力が低下
し、また切れ味も悪化することがわかる。基材の先端部
での硬質炭素膜の最大厚みが5μmを超えると、被膜に
蓄積される内部応力が大きくなるため、切断刃の先端部
で被膜が剥離してしまい、初期の切れ味を長期的に保つ
ことができなくなることがわかる。また、本発明品サン
プルNo.113で示されるようにアモルファスシリコ
ン膜と硬質炭素膜とが積層構造を有していても、被膜の
密着性と切断刃の切れ味において良好な性能を発揮する
ことがわかる。
【0070】(実施例2)切断刃の基材として、表2に
示される平均粒径(WC粒径)の炭化タングステン(W
C)粉末と、コバルト(Co)粉末を準備し、これらの
粉末を表2に示されるコバルトの含有量(Co量)で配
合した。この混合粉末をボールミルでアセトンによる湿
式混合粉砕を24時間行なった後、乾燥させた。次に、
この混合粉末をプレス成形して圧粉体を作製した。この
圧粉体を真空焼結することにより、表2に示されるコバ
ルトの含有量を有し、かつ表2に示される平均粒径の炭
化タングステン粒子が分散した炭化タングステン基超硬
合金を作製した。このようにして、図4で示される形状
の切断刃の基材を準備した。
【0071】さらに、この基材の表面上に窒化クロム膜
を形成することによって表2に示す窒化クロム膜被覆切
断刃の本発明品サンプルNo.201〜212を作製し
た。実施例2においては、実施例1と異なり、アーク式
イオンプレーティング法を用いて被膜の形成を行なっ
た。
【0072】具体的には、図9に示される成膜装置を用
いて被膜の形成を行なった。成膜装置201の内部に複
数個のターゲット202,203を配置した。ターゲッ
ト202,203の中心点を中心としてこれらのターゲ
ットの間で回転する回転テーブル204に基材ホルダ2
06を固定した。この基材ホルダ206に切断刃の基材
10を縦方向に4個並べて装着した。基材10の固定方
法は図7に示すとおりである。アーク電源207と20
8の放電電流(ターゲット材料の蒸発量)を制御しなが
ら、窒化チタン膜および/または窒化クロム膜を基材1
0の表面上に形成した。
【0073】まず、成膜装置201の内部の真空度を7
×10-3Paの雰囲気とした。次にアルゴンガスを成膜
装置201の内部に矢印Rで示す方向に導入して1×1
-1Paの圧力に保持しながら、ヒータ210を用いて
基材10の温度を600℃まで加熱し、回転テーブル2
04に−1000Vの電圧をバイアス電源209によっ
て印加して基材10の表面を洗浄した。その後、成膜装
置201の内部からアルゴンガスを矢印Sに示す方向に
排気した。
【0074】次に、成膜装置201の内部に矢印Rで示
す方向に窒素ガス、水素ガス、アルゴンガスのいずれか
1種類または数種類を導入して成膜装置201の内部の
圧力を2Paに保持し、真空アーク放電によりチタンま
たはクロムのターゲット202,203を蒸発させ、イ
オン化させることにより、基材10の表面上に窒化チタ
ン膜および/または窒化クロム膜を形成した。このと
き、回転テーブル204には−80Vの電圧をバイアス
電源209によって印加した。
【0075】また、同様にして本発明の範囲から外れる
切断刃として表2に示す比較品サンプルNo.201〜
208、被膜が形成されていない比較品サンプルNo.
209、窒化チタン膜のみを形成した比較品サンプルN
o.210も作製した。
【0076】得られた被膜の膜厚、密着力および繊維の
切れ味測定を実施例1と同様にして行なった。これらの
測定結果を表2に示す。表2中の被膜の膜厚は、図5に
おける最大膜厚tmaxを示す。
【0077】
【表2】
【0078】表2の結果から明らかなように、この発明
の範囲内にあるコバルトの含有量と炭化タングステン粒
子の平均粒径を有する超硬合金を基材として用いた切断
刃は、被膜の密着性が良好であり、長期的に初期の切れ
味を保つことがわかる。
【0079】また、窒化クロム膜の下層として窒化チタ
ン膜を形成した本発明品サンプルNo.208〜210
と比較品サンプルNo.205、206とを比較する
と、窒化チタン膜の厚みが0.05μm未満の場合に
は、良好な密着力を得ることができず、一方、窒化チタ
ン膜の厚みが1μmを超える場合には膜の剥離が生じる
ことがわかる。
【0080】さらに、切断刃の基材の先端部において窒
化クロム膜の最大膜厚が0.1μm未満の場合には耐摩
耗性が低下するので初期の切れ味を長期的に保つことが
できないことがわかる。また、基材の先端部での窒化ク
ロム膜の最大厚みが5μmを超えると、被膜に蓄積され
る内部応力が大きくなるため、切断刃の先端部で被膜が
剥離してしまい、初期の切れ味を長期的に保つことがで
きないことがわかる。
【0081】なお、基材に対する密着力が高く、しかも
表面の平滑性の高い窒化クロム膜を形成するためには、
ターゲット材から発生する溶融粒子(ドロップレット等
と呼ばれる)を抑制するのが好ましい。その1つの方法
として、特開平10−68071号公報に開示されてい
るようにターゲット材に窒素ガスを吹き付ける方法があ
る。たとえば、金属クロムからなるターゲット材に窒素
ガスを吹き付けると、アーク放電中にターゲットの表面
が非常に高温となり、窒素分圧が高くなることにより窒
化クロムの状態になり、ターゲット表面の融点が高くな
ることにより、ターゲット材から発生する溶融粒子が抑
制される。その結果、基材の表面上に形成される窒化ク
ロム膜の表面の平滑性が高められる。
【0082】(実施例3)表1に示される本発明品サン
プルNo.102と比較品サンプルNo.109のそれ
ぞれの切断刃を図1に示される繊維切断装置に160枚
取付けた。小回転体2の外周面の円周方向に3mmの間
隔をあけて切断刃1を配置した。切断すべき繊維50と
してアラミド繊維(ケブラーフィラメント1670D−
TEX:10000mの長さで1670gの重量)を5
0本分引き揃えて給水した後、ローラー間に通して水分
率が40%になるように絞り率を調整しながら、トウの
状態でアラミド繊維を連続的に供給して3mmの長さに
切断した。
【0083】重量20kgの繊維を切断するごとに切断
繊維を30gの重量でサンプリングし、40リットルの
水を加えて水槽で1分間攪拌した後の切断繊維の分散状
態を判定した。切断された短繊維の端部が絡み合ってほ
ぐれなくなり、3mm以上の大きさのネップ(繊維の塊
状のもの)が発生した時点を切断刃の寿命とした。
【0084】その結果、本発明品サンプルNo.102
の切断刃を用いた場合には重量で1200kgまでアラ
ミド繊維を切断することができたのに対し、被膜が形成
されていない比較品サンプルNo.109の切断刃を用
いた場合には重量で200kgしか切断することができ
なかった。このことから、本発明の切断刃を用いること
により、被膜が形成されていない切断刃に対して使用寿
命を6倍まで延ばすことができることがわかる。
【0085】(実施例4)表2に示す本発明品サンプル
No.202と比較品サンプルNo.209の切断刃を
それぞれ、実施例3と同じ条件で図1に示す繊維切断装
置に装着して、アラミド繊維を連続的に切断した。切断
することができた繊維の重量を評価した。なお、切断刃
の寿命は、実施例3と同じ判定基準で評価した。
【0086】その結果、本発明品サンプルNo.202
の切断刃を用いた場合には、重量で1100kgまでア
ラミド繊維を切断することができたのに対し、被膜が形
成されていない比較品サンプルNo.209の切断刃を
用いた場合には重量で200kgしか切断することがで
きなかった。このことから、本発明の切断刃を用いるこ
とにより、被膜が形成されていない切断刃に対して使用
寿命を5.5倍まで延長することができることがわか
る。
【0087】なお、表2に示す比較品サンプルNo.2
10の切断刃(窒化チタン膜を形成したもの)を実施例
3と同じ条件で図1に示す繊維切断装置に装着してアラ
ミド繊維を連続的に切断したが、重量で180kgしか
切断することができなかった。
【0088】上記の実施例では、硬質被膜として硬質炭
素膜または窒化クロム膜を切断刃の基材の表面上に形成
することによって被膜の密着性と繊維の切れ味と切断刃
の寿命を評価しているが、スクレーパーの基材の表面上
に硬質被膜として硬質炭素膜や窒化クロム膜を形成した
場合においても、本発明の範囲内で被膜を形成すること
によって密着性と繊維の滑り性と使用寿命を向上させる
ことができる。また、硬質被膜を複数層で構成した場合
や、窒化クロム膜の組成を種々変更した場合において
も、上記の実施例と同様の作用効果を達成することがで
きる。
【0089】以上に開示された実施の形態や実施例はす
べての点で例示であって制限的なものではないと考慮さ
れるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態や
実施例の説明ではなく、特許請求の範囲によって示さ
れ、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべ
ての修正や変形を含むものであることが意図される。
【0090】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、繊維
を切断するための切断刃、および/または繊維を排出す
るためのスクレーパーの表面の耐食性と耐摩耗性を維持
することができるとともに、従来より優れた被膜の密着
性を有すること、特に高い滑り性を有することにより、
切断した短繊維を切断刃と切断刃の狭い隙間から効果的
に掻き出して排出することができる。その結果、切断刃
またはスクレーパーの使用寿命を著しく延長させること
ができる。さらに繊維の連続切断作業において、切断刃
またはスクレーパーを取替える回数を大幅に低減するこ
とができるので、生産の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の1つの実施の形態として繊維切断
装置の構成を示す部分縦断面図である。
【図2】 図1に示される繊維切断装置において繊維の
切断状態を示す部分断面図である。
【図3】 図1に示す繊維切断装置において切断刃とス
クレーパーとの係合状態を示す部分断面図である。
【図4】 本発明の1つの実施の形態として切断刃の基
材の形状を示す正面図(A)と側面図(B)である。
【図5】 この発明の1つの実施の形態として切断刃の
断面を模式的に示す図である。
【図6】 この発明の1つの実施例として切断刃の基材
の表面上に硬質炭素膜を形成するための装置の構成を概
略的に示す図である。
【図7】 図6に示す装置において切断刃の基材の装着
方法を示す上面図である。
【図8】 この発明の実施例において切断刃による繊維
の切れ味測定を行なうための方法を示す図である。
【図9】 この発明のもう1つの実施例として切断刃の
基材の表面上に炭化クロム膜を形成するための装置の構
成を概略的に示す図である。
【符号の説明】
1:切断刃、2:小回転体、3:回転軸、4:大回転
体、5:スクレーパー、6:ガイドディスク、7:プレ
スローラー、10:切断刃の基材、11:先端部、1
2:根元部、13:硬質被膜、50:繊維、60:切断
繊維。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大原 久典 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 山本 勉 東京都中央区日本橋本町1丁目5番6号 東レ・デュポン株式会社内 (72)発明者 角田 敦 東京都中央区日本橋本町1丁目5番6号 東レ・デュポン株式会社内 Fターム(参考) 3B151 AA02 AC11 AC14 AC47

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭化タングステンとコバルトとを含み、
    炭化タングステン粒子の平均粒径が0.1μm以上1.
    5μm以下であり、コバルトの含有率が8質量%以上1
    6質量%以下である超硬合金からなる基材と、 前記基材の表面上に形成された、厚みが0.05μm以
    上1μm以下のアモルファスシリコン膜と、 前記アモルファスシリコン膜の表面上に形成された、前
    記基材の先端部での最大の厚みが0.1μm以上5μm
    以下の硬質炭素膜とを備えた、繊維切断装置用切断刃。
  2. 【請求項2】 前記硬質炭素膜は、前記基材の先端部で
    最大の厚みを有し、前記基材の先端部から根元部に向か
    って徐々に小さくなる厚みを有する、請求項1に記載の
    繊維切断装置用切断刃。
  3. 【請求項3】 炭化タングステンとコバルトとを含み、
    炭化タングステン粒子の平均粒径が0.1μm以上1.
    5μm以下であり、コバルトの含有率が8質量%以上1
    6質量%以下である超硬合金からなる基材と、 前記基材の表面上に形成された、前記基材の先端部での
    最大の厚みが0.1μm以上5μm以下の窒化クロム膜
    とを備えた、繊維切断装置用切断刃。
  4. 【請求項4】 前記基材の表面と前記窒化クロム膜との
    間に厚みが0.05μm以上1μm以下の窒化チタン膜
    をさらに備える、請求項3に記載の繊維切断装置用切断
    刃。
  5. 【請求項5】 前記窒化クロム膜は、前記基材の先端部
    で最大の厚みを有し、前記基材の先端部から根元部に向
    かって徐々に小さくなる厚みを有する、請求項3または
    請求項4に記載の繊維切断装置用切断刃。
  6. 【請求項6】 基材と、 前記基材の表面上に形成された、厚みが0.05μm以
    上1μm以下のアモルファスシリコン膜と、 前記アモルファスシリコン膜の表面上に形成された、前
    記基材の先端部での最大の厚みが0.1μm以上5μm
    以下の硬質炭素膜とを備えた、繊維切断装置用スクレー
    パー。
  7. 【請求項7】 前記硬質炭素膜は、前記基材の先端部で
    最大の厚みを有し、前記基材の先端部から根元部に向か
    って徐々に小さくなる厚みを有する、請求項6に記載の
    繊維切断装置用スクレーパー。
  8. 【請求項8】 基材と、 前記基材の表面上に形成された、前記基材の先端部での
    最大の厚みが0.1μm以上5μm以下の窒化クロム膜
    とを備えた、繊維切断装置用スクレーパー。
  9. 【請求項9】 前記基材の表面と前記窒化クロム膜との
    間に厚みが0.05μm以上1μm以下の窒化チタン膜
    をさらに備える、請求項8に記載の繊維切断装置用スク
    レーパー。
  10. 【請求項10】 前記窒化クロム膜は、前記基材の先端
    部で最大の厚みを有し、前記基材の先端部から根元部に
    向かって徐々に小さくなる厚みを有する、請求項8また
    は請求項9に記載の繊維切断装置用スクレーパー。
  11. 【請求項11】 回転体と、 前記回転体の外周面から放射状に延びるように前記回転
    体の外周面の周方向に間隔をあけて配置された複数の切
    断刃と、 前記回転体の外周面のまわりに巻付けられた長尺の繊維
    を切断するために長尺の繊維を複数の前記切断刃に押付
    けるプレスローラーと、 複数の前記切断刃の間に堆積する切断された繊維を前記
    回転体の軸方向に掻き出させるために複数の前記切断刃
    の間に配置されたスクレーパーとを備え、 前記切断刃は、 炭化タングステンとコバルトとを含み、炭化タングステ
    ン粒子の平均粒径が0.1μm以上1.5μm以下であ
    り、コバルトの含有率が8質量%以上16質量%以下で
    ある超硬合金からなる基材と、 前記基材の表面上に形成された、厚みが0.05μm以
    上1μm以下のアモルファスシリコン膜と、 前記アモルファスシリコン膜の表面上に形成された、前
    記基材の先端部での最大の厚みが0.1μm以上5μm
    以下の硬質炭素膜とを含む、繊維切断装置。
  12. 【請求項12】 前記硬質炭素膜は、前記切断刃の基材
    の先端部で最大の厚みを有し、前記基材の先端部から根
    元部に向かって徐々に小さくなる厚みを有する、請求項
    11に記載の繊維切断装置。
  13. 【請求項13】 前記スクレーパーは、 基材と、 前記基材の表面上に形成された、厚みが0.05μm以
    上1μm以下のアモルファスシリコン膜と、 前記アモルファスシリコン膜の表面上に形成された、前
    記基材の先端部での最大の厚みが0.1μm以上5μm
    以下の硬質炭素膜とを含む、請求項11または請求項1
    2に記載の繊維切断装置。
  14. 【請求項14】 前記硬質炭素膜は、前記スクレーパー
    の基材の先端部で最大の厚みを有し、前記基材の先端部
    から根元部に向かって徐々に小さくなる厚みを有する、
    請求項13に記載の繊維切断装置。
  15. 【請求項15】 回転体と、 前記回転体の外周面から放射状に延びるように前記回転
    体の外周面の周方向に間隔をあけて配置された複数の切
    断刃と、 前記回転体の外周面のまわりに巻付けられた長尺の繊維
    を切断するために長尺の繊維を複数の前記切断刃に押付
    けるプレスローラーと、 複数の前記切断刃の間に堆積する切断された繊維を前記
    回転体の軸方向に掻き出させるために複数の前記切断刃
    の間に配置されたスクレーパーとを備え、 前記切断刃は、 基材と、 前記基材の表面上に形成された、前記基材の先端部での
    最大の厚みが0.1μm以上5μm以下の窒化クロム膜
    とを含む、繊維切断装置。
  16. 【請求項16】 前記切断刃は、前記基材の表面と前記
    窒化クロム膜との間に厚みが0.05μm以上1μm以
    下の窒化チタン膜をさらに含む、請求項15に記載の繊
    維切断装置。
  17. 【請求項17】 前記窒化クロム膜は、前記切断刃の基
    材の先端部で最大の厚みを有し、前記基材の先端部から
    根元部に向かって徐々に小さくなる厚みを有する、請求
    項15または請求項16に記載の繊維切断装置。
  18. 【請求項18】 前記スクレーパーは、 基材と、 前記基材の表面上に形成された、前記基材の先端部での
    最大の厚みが0.1μm以上5μm以下の窒化クロム膜
    とを含む、請求項15から請求項17までのいずれかに
    記載の繊維切断装置。
  19. 【請求項19】 前記スクレーパーは、前記基材の表面
    と前記窒化クロム膜との間に厚みが0.05μm以上1
    μm以下の窒化チタン膜をさらに含む、請求項18に記
    載の繊維切断装置。
  20. 【請求項20】 前記窒化クロム膜は、前記スクレーパ
    ーの基材の先端部で最大の厚みを有し、前記基材の先端
    部から根元部に向かって徐々に小さくなる厚みを有す
    る、請求項18または請求項19に記載の繊維切断装
    置。
  21. 【請求項21】 請求項11から請求項20までのいず
    れかに記載の繊維切断装置を用いて繊維を切断する繊維
    切断方法。
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