JP2010005778A - 電鋳ブレード - Google Patents
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Abstract
【課題】特に硬脆材料を精密切断するのに際し、砥粒をニッケル等の金属めっき相によって保持することで刃厚が極小さくても機械的剛性を維持しつつ、摩耗、摩滅した砥粒は円滑に脱落させて適度な砥粒の自生発刃を促すことができ、基板に特にカギ状チッピングが生じるのを防ぐことが可能な電鋳ブレードを提供する。
【解決手段】砥粒3が金属めっき相2に分散されて保持された円形薄板状の砥粒層1を備え、この砥粒層1には、フッ素系樹脂よりなるフィラー4が金属めっき相2に分散されて保持されている。
【選択図】図2
【解決手段】砥粒3が金属めっき相2に分散されて保持された円形薄板状の砥粒層1を備え、この砥粒層1には、フッ素系樹脂よりなるフィラー4が金属めっき相2に分散されて保持されている。
【選択図】図2
Description
本発明は、例えば水晶やLT(リチウムタンタレイト)等の硬脆材料基板を有する電子材料部品の精密切断加工に使用される薄刃ブレードに関するものである。
電子材料部品のうち、このような水晶やLT等の硬脆材料基板を有する電子材料部品の精密切断加工には、ダイヤモンド砥粒を用いたダイヤモンドスライシングブレードが広く使われているが、硬くて脆い基板材料の特性上、チッピングと呼ばれるマイクロクラックが基板の表裏面に発生することが知られている。こうしたチッピングは、製品設計上、また製品特性上の理由から極力小さくかつ少なくすることが求められている。また、製品歩留まりの向上を目的としてブレードの刃厚は薄くなってきており、このためブレードの機械的な剛性を維持して精度良く切断加工することも求められている。
ここで、このような脆性材料の切断加工には、従来より樹脂結合相によりダイヤモンド砥粒を保持したレジンボンドによるダイヤモンドスライシングブレードが使われていたが、結合相が樹脂であるために上述のような機械的剛性を維持することが困難であり、刃厚として0.1mm程度までしか薄くすることができなかった。そこで、近年では、例えば特許文献1に記載されているように、極薄刃でも機械的な剛性が損なわれることがないニッケル等の金属めっき相にダイヤモンド砥粒を分散して保持した、電鋳法によるブレードすなわち電鋳ブレードが用いられるようになってきている。
特開2004−136431号公報
ところが、このような電鋳ブレードでは、上述のように金属めっき相を形成するニッケル等の硬度が高いことにより、ダイヤモンド砥粒の保持力も優れている反面、摩耗した砥粒が脱落して新たな切れ味の鋭い砥粒による切断が行われる、いわゆる自生発刃の作用はレジンボンドブレードなどに比べて活発ではない。このため、ある切断長を過ぎると、摩滅もしくは摩耗したダイヤモンド砥粒が保持されたまま基板を切断することになるため、切断加工時の抵抗が大きく基板に作用することになり、却って大きなチッピングが発生したり、チッピングの数も増加したりするおそれがある。
特にこのようなチッピングのうちでも、硬脆材料基板が貝殻状に欠ける、いわゆるシェル状チッピングは、チッピング自体がそれほど大きくはならず、製品設計や製品特性、あるいは歩留まりに影響を与えることも少ないが、上述のような摩耗した砥粒が保持されたまま基板を切断することにより発生するチッピングは、基板が鋸歯状に欠ける、いわゆるカギ状チッピングになりやすく、このようなカギ状チッピングは基板の奥深くにまで達してしまうため、製品設計や製品特性、製品歩留まりに与える影響も顕著なものとなってしまう。
本発明は、このような背景の下になされたものであって、特に上述のような硬脆材料を精密切断するのに際し、砥粒をニッケル等の金属めっき相によって保持することで刃厚が極小さくても機械的剛性を維持しつつ、摩耗、摩滅した砥粒は円滑に脱落させて適度な砥粒の自生発刃を促すことができ、基板に特にカギ状チッピングが生じるのを防ぐことが可能な電鋳ブレードを提供することを目的としている。
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の電鋳ブレードは、砥粒が金属めっき相に分散されて保持された円形薄板状の砥粒層を備え、この砥粒層には、フッ素系樹脂よりなるフィラーが上記金属めっき相に分散されて保持されていることを特徴とするものである。
このような電鋳ブレードにおいては、砥粒層が金属めっき相に砥粒を分散してなるものであるので、刃厚を極小さくしてもその機械的剛性は十分に維持することができる一方で、この金属めっき相に、砥粒の他にフッ素系樹脂よりなるフィラーが分散されて保持されているため、かかるフィラーが分散されることなく金属めっき相がそのまま充填されている場合に比べては、該金属めっき相による砥粒保持力を低減することができる。従って、砥粒が適度に摩耗、摩滅して該砥粒に作用する切断時の抵抗が増大したところで砥粒が脱落し、これに伴い新たな砥粒が露出して自生発刃が促されるので、長期に亙って安定的に鋭い切れ味を維持することができる。
しかも、このようなフッ素系樹脂は高い潤滑性を有しているので、上述のように鋭い切れ味が維持されることと相俟って、切断加工時に被切断物に作用する抵抗を軽減することが可能となる。このため、上記構成の電鋳ブレードによれば、この被切断物が上述の水晶やLT等の硬脆材料よりなる基板を有した電子材料部品などであっても、特にカギ状チッピングが発生するのを防いで切断を行うことができ、これにより、製品設計や製品特性に及ぼす影響を極力抑えることができるとともに、製品歩留まりの向上を図ることが可能となる。
ここで、上記フィラーを構成するフッ素系樹脂としては、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)やパーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロジオキソールコポリマー(TFE/PDD)、ニチレン・テトラフルオロエチレンポリマー(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフロオロエチレンコポリマー(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等が挙げられるが、上述の潤滑性や耐熱性、耐薬品性、あるいは経済性等を考慮するとポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であることが望ましい。
また、このようなフィラーの、砥粒も含めた上記砥粒層における含有率は5〜40vol%の範囲内であることが望ましく、これよりも含有率が低いとフィラーによる砥粒の自生発刃や潤滑効果が十分に発揮されなくなるおそれがある一方、これよりも含有率が高いと金属めっき相による砥粒の保持力や砥粒層自体の強度が損なわれて、砥粒の脱落が促進されすぎたりブレード寿命が著しく短縮されたりするおそれがある。
なお、このように金属めっき相に分散されるフッ素系樹脂よりなるフィラーの平均粒径は0.1〜70μmの範囲とされるのが望ましく、これよりも平均粒径が大きいと上述のような含有率でフィラーが分散されていても砥粒層に部分的に強度や剛性の強弱が生じてしまって自生発刃に偏りが発生するおそれがあり、逆にこれよりも平均粒径が小さいと砥粒層全体として金属めっき相の強度が維持されてしまって自生発刃が効果的に促されなくなるおそれがある。また、このフィラーの形状は、上述のように金属めっき相による砥粒保持力を弱めて効果的な自生発刃を促すには、球形に近い形状よりは、金属めっき相に食い込むような塊状、ブロック状、凹凸形状であることが望ましい。
以上説明したように、本発明によれば、砥粒を保持する金属めっき相によって砥粒層の機械的剛性を確保して極薄刃の電鋳ブレードとすることができる一方、この金属めっき相に分散されたフッ素系樹脂よりなるフィラーによって砥粒の自生発刃を効果的に促すことができ、フィラー自身の潤滑性とも相俟って切断加工時の抵抗を長期に亙って安定して低減することができる。このため、硬脆材料の切断を行う場合でも、被切断物に大きな抵抗が作用して特にカギ状のチッピングが発生するのを防止することができ、当該材料による製品の設計や特性に及ぼす影響を抑制するとともに該製品の歩留まりを向上させることが可能となる。
図1および図2は、本発明の一実施形態を示すものである。本実施形態の電鋳ブレードは図1に示すように軸線Oを中心とした外径が30〜150mm程度の円環形で厚さTが0.01〜0.5mm程度の薄肉板状をなし、それ自体が図2に示すような砥粒層1によって形成されていて、その内径部が切断装置の主軸に取り付けられて上記軸線O回りに回転されつつ該軸線Oに垂直な方向に送り出されることにより、この砥粒層1の外周縁部によって、例えば上述した水晶やLTのような硬脆材料基板を有する電子材料部品を精密切断加工する。
この砥粒層1は、図2に示すように、ニッケル、ニッケル−リン、ニッケル−コバルト等の金属めっき相2にダイヤモンドやcBN等の砥粒(超砥粒)3を均一に分散して形成されており、このような砥粒層1は、上述のような金属を含むめっき液中に砥粒3を分散して該砥粒3を取り込みつつ金属めっき相2を析出させる、電鋳法により形成される。ここで、砥粒3の平均粒径は例えば1/3μ以上とされ、砥粒層1全体に対する砥粒3の含有率は5〜40vol%程度とされている。
そして、このような砥粒層1において、上記金属めっき相2にはさらにフッ素系樹脂よりなるフィラー4がやはり均一に分散されており、このフィラー4を構成するフッ素系樹脂は、本実施形態ではポリテトラフルオロエチレン(PTFE)により構成されている。ここで、このフィラー4の粒径(平均粒径)は0.1〜70μmの範囲とされていて、特に本実施形態では砥粒3の上記平均粒径の1/200〜1倍とされており、また個々のフィラー4の形状は、塊状、ブロック状、あるいは表面に凹凸を有する形状とされている。
また、本実施形態では、砥粒3を含めた砥粒層1全体に対するこのフィラー4の含有率は、5〜40vol%の範囲内とされている。なお、本実施形態では、これらフィラー4および砥粒3以外のものは金属めっき相2に分散されてはおらず、従って上記砥粒3の含有率とこのフィラー4の含有率との残部が、砥粒層1における上記金属めっき相2の含有率となる。
このような電鋳ブレードでは、砥粒層1が上記ニッケル等の金属めっき相2に砥粒3を分散してなるものであるので、その厚さTが上述のような範囲、特に0.1mm以下となるような極薄のものであっても、機械的剛性は維持することができて、上記硬脆材料基板を有する電子材料部品に対しても高精度の切断加工を行うことができる。従って、こうして砥粒層1の刃厚Tを極薄化することにより、基板上の素子等の部品間ピッチを狭めることができて、1つの基板上に配設可能な部品数を増やすことができ、すなわち製品歩留まりを向上させることができる。
そして、さらに上記構成の電鋳ブレードでは、この砥粒層1を形成する金属めっき相2に、この金属めっき相2よりも硬度の小さなフッ素系樹脂よりなるフィラー4が分散されているので、上述のように砥粒層1に必要な機械的剛性は維持しながらも、例えばフィラー4が分散されずに砥粒のみを金属めっき相に分散しただけの砥粒層によって形成されている電鋳ブレードに対し、その金属めっき相2による砥粒3の保持力は低減することが可能となる。
このため、このような砥粒と金属めっき相だけの砥粒層よりなる電鋳ブレードに比べて、切断加工が進行して切断長が長くなるのに従い砥粒3に摩耗や摩滅が生じて該砥粒3に作用する抵抗が大きくなったときに、この砥粒3が脱落し易くなって、これに伴い新たな砥粒3が露出して切断に使用される、いわゆる自生発刃の作用を促進することができる。従って、上記構成の電鋳ブレードによれば、この新たな砥粒3によって常に鋭い切れ味を確保することができて、砥粒層1から被切断物である上記基板に作用する抵抗を低減することが可能となる。
しかも、こうしてフィラー4として金属めっき相2に分散されるフッ素系樹脂は、それ自身が高い潤滑性を有しており、砥粒層1の表面には砥粒3とともにこのフッ素系樹脂よりなるフィラー4も露出することになるので、被切断物に作用する抵抗の一層の軽減を図ることができる。このため、上記電鋳ブレードにおいては、このようなフッ素系樹脂よりなるフィラー4による自生発刃の促進と潤滑性との相乗効果により、上述の硬脆材料に対してもチッピングの発生を抑えて切断を行うことが可能となり、特に基板が鋸歯状に大きく一気に欠けるカギ状チッピングを切れ味の鋭さによって効果的に防止することができるので、上述のように素子間のピッチを狭めても製品特性に影響が及ぶのを防いで歩留まりの確実な向上を図ることができ、またこのような基板上の素子の配置などの製品設計にも影響が及ぶのを防ぐことができる。
ここで、このフィラー4を構成するフッ素系樹脂としては、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)やパーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロジオキソールコポリマー(TFE/PDD)、ニチレン・テトラフルオロエチレンポリマー(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフロオロエチレンコポリマー(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等を用いることも可能であるが、本実施形態ではポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が用いられており、かかるポリテトラフルオロエチレンは、上述した潤滑性に加えて、耐熱性や耐薬品性に秀でており、切断加工時の摩擦によって高温となるとともにクーラントに晒されることもある電鋳ブレードの金属めっき相2に分散しても、確実に上述の効果を奏することが可能となる。しかも比較的安価であるため、経済的でもある。
また、本実施形態では、上記砥粒3も含めた砥粒層1におけるこのフィラー4の含有率は5〜40vol%の範囲内とされており、これにより上述した切断加工時の抵抗低減効果を一層確実に奏功しつつも、いたずらにブレードの寿命が短くなるのを防いで知る。すなわち、フィラー4の含有率が上記範囲よりも低いと、このフィラー4による砥粒3の自生発刃や潤滑が不十分となって確実な抵抗の低減を図ることができなくなるおそれがある一方、逆にフィラー4の含有率が上記範囲よりも高いと、金属めっき相2による砥粒3の保持力が小さくなりすぎて砥粒層1の摩耗が著しく促進されたり、砥粒層1自体の機械的剛性が損なわれることにより切断加工中に破損を生じたりして、電鋳ブレードとしての寿命が短期に費えてしまうおそれがある。
さらに、本実施形態では、このフィラー4の粒径(平均粒径)が0.1〜70μmの範囲とされていて、特に砥粒3の平均粒径の1/200〜1倍とされているため、砥粒層1の全体に亙って満遍なく確実に自生発刃作用や潤滑性を確保することができる。すなわち、フィラー4の粒径が上記範囲よりも大きく、例えば砥粒3の粒径よりも大きかったりすると、上述のような含有率でフィラー4が分散されていても、このフィラー4が配置された部分とそれ以外の金属めっき相2が充填された部分とで、砥粒層1の強度や機械的剛性あるいは砥粒3の保持力について強弱が大きくなり、フィラー4の周辺では砥粒3の脱落が必要以上に促進される反面、それ以外では脱落が生じにくくなって、自生発刃に部分的に偏りが生じるおそれがある。その一方で、フィラー4の粒径が小さすぎても、その周辺に硬度の高い金属めっき相2が充填させられることにより、砥粒3の保持力が適度に低下させられなくなるおそれが生じる。
なお、本実施形態では、フィラー4の形状が塊状、ブロック状、あるいは表面に凹凸を有する形状とされていて、金属めっき相2に分散された状態で該金属めっき相2に塊やブロックの角部あるいは凹凸の凸部が食い込むようにされている。従って、砥粒3に摩耗や摩滅が生じて大きな抵抗が作用すると、この砥粒3がその周辺の金属めっき相2ごと、上記角部や凸部が食い込んだ部分から裂けて脱落しやすくなるので、一層確実な自生発刃を促すことができるという効果も得られる。
以下、本発明の実施例を挙げてその効果について実証する。本実施例では、まず上記実施形態に準じて、ニッケルよりなる金属めっき相2に、粒径20/30μmのダイヤモンドよりなる砥粒3を砥粒層1全体に対して10vol%の含有率で、同じく粒径20/30μmのポリテトラフルオロエチレンよりなるフィラー4を10vol%で分散した外径56mm、内径40mm、厚さTが0.1mmの円環薄板状の電鋳ブレードを製造した。これを実施例1とする。
また、これに対する比較例1として、ポリテトラフルオロエチレンよりなるフィラー4に代えて、粒径20/30μmのポリイミド樹脂よりなるフィラーをやはり10vol%で分散したものと、フィラーを分散せずにダイヤモンド砥粒とニッケルめっき相のみによって砥粒層を形成した、実施例1と同寸法の電鋳ブレードも製造した。これらを比較例1、2とする。
そして、これら実施例1と比較例1、2の電鋳ブレードにより、被切断物として水晶の切断加工試験を行い、その際に生じたチッピングの大きさと個数の関係、および切断距離と切断抵抗との関係を測定した。この結果を、それぞれ図3、4に示す。なお、切断加工試験の条件は、電鋳ブレードの回転数:30000RPM、ワーク送り速度:20mm/秒、切込み深さ:0.5mm、切断モード:ダウンカット方式の片側モードであった。
このうち、図3の結果から、まずフィラーを分散していない比較例2の電鋳ブレードでは、大きさの小さなチッピングの数はフィラーを分散した実施例1や比較例1より少ないものの、製品設計や特性、歩留まりに影響を及ぼす大きなチッピングの数は多くなっていることが分かる。また、同じ樹脂フィラーではあるがポリイミド樹脂を分散した比較例1でも、大きなチッピングの数は比較例2よりは少ないものの、十分に低減されているとはいえない。これらに対して、本発明に係わる実施例1の電鋳ブレードでは、小さなチッピングはあるものの、大きなチッピングは十分に抑えられているのが分かる。
また、図4に示した結果からは、フィラー無しの比較例2では切断抵抗の増加が著しいことが分かり、これが大きなチッピングの数の多さに影響しているものと考えられる。これに対して、ポリイミド樹脂をフィラーとして分散した比較例1では、抵抗は大幅に低減されてはいるものの、特に切断初期に抵抗が大きく増大しているのが分かる。これらに対して、実施例1の電鋳ブレードでは、総じて比較例1よりも抵抗は小さく、しかも切断初期から略切断距離に比例して安定的に抵抗が増大する傾向にあることが分かる。なお、この図4の切断距離13m、25mにおいて実施例1、比較例1、2ともに抵抗が小さくなっているのは、この時点でドレッシングを施しているからである。
次に、実施例1と同じく、フィラー4としてフッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン)をダイヤモンドよりなる砥粒3とともにニッケルよりなる金属めっき相2に分散した砥粒層1を有する電鋳ブレードにおいて、このフィラー4の砥粒層1全体に対する含有率を変えた3種の電鋳ブレードを製造した。これらを実施例2〜4とする。ただし、これら実施例2〜4の電鋳ブレードは、寸法および砥粒3の粒径、含有率は実施例1と同じで、フィラー4の含有率が、実施例2では20vol%、実施例3では43vol%、実施例4では3vol%であり、砥粒層1において砥粒3とフィラー4の残部がニッケルよりなる金属めっき相2となる。
そして、これら実施例2〜4の電鋳ブレードによって、上記と同じ条件で被切断物(水晶)の切断加工試験を行い、その際に生じたチッピングの大きさと個数の関係を測定した。この結果を図5に示す。
この図5の結果より、フッ素系樹脂よりなるフィラー4の含有率が5〜40vol%の範囲内の20vol%である実施例2では、上記実施例1と同様に特に大きなチッピングの発生が抑制されていたのに対し、この範囲よりも含有率の多い実施例3や逆に含有率の少ない実施例4でも、上記比較例1、2ほどではないが、大きなチッピングが多く発生していた。これにより、フッ素系樹脂よりなるフィラー4の砥粒層1全体における含有率は、上述のように5〜40vol%の範囲であるのが望ましいことが分かる。
1 砥粒層
2 金属めっき相
3 砥粒
4 フッ素系樹脂よりなるフィラー
O 電鋳ブレードの中心軸線
2 金属めっき相
3 砥粒
4 フッ素系樹脂よりなるフィラー
O 電鋳ブレードの中心軸線
Claims (3)
- 砥粒が金属めっき相に分散されて保持された円形薄板状の砥粒層を備え、この砥粒層には、フッ素系樹脂よりなるフィラーが上記金属めっき相に分散されて保持されていることを特徴とする電鋳ブレード。
- 上記フッ素系樹脂がポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とする請求項1に記載の電鋳ブレード。
- 上記フィラーの上記砥粒層における含有率が5〜40vol%の範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電鋳ブレード。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008171414A JP2010005778A (ja) | 2008-06-30 | 2008-06-30 | 電鋳ブレード |
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JP2008171414A JP2010005778A (ja) | 2008-06-30 | 2008-06-30 | 電鋳ブレード |
Publications (1)
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Family
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Family Applications (1)
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JP2008171414A Withdrawn JP2010005778A (ja) | 2008-06-30 | 2008-06-30 | 電鋳ブレード |
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JP (1) | JP2010005778A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2013161849A1 (ja) | 2012-04-24 | 2013-10-31 | 株式会社東京精密 | ダイシングブレード |
WO2013187510A1 (ja) | 2012-06-15 | 2013-12-19 | 株式会社東京精密 | ダイシング装置及びダイシング方法 |
JP2018130812A (ja) * | 2017-02-17 | 2018-08-23 | 株式会社ディスコ | 切削ブレード及び切削装置 |
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2008
- 2008-06-30 JP JP2008171414A patent/JP2010005778A/ja not_active Withdrawn
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US9701043B2 (en) | 2012-04-24 | 2017-07-11 | Tokyo Seimitsu Co., Ltd. | Dicing blade |
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