JP2022153867A - 電鋳ブレード - Google Patents

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悠司 大森
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早紀 塚本
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Abstract

【課題】高品位な切断加工が可能な電鋳ブレードを提供すること。【解決手段】本発明の一態様に係る電鋳ブレード1は、円環薄板状の電鋳ブレードであって、電鋳ブレードは、金属めっき相101と、金属めっき相に分散し、金属めっき相よりも硬質の砥粒102と、金属めっき相に分散し、フッ素樹脂を含有する粒状のフィラー103と、を備え、砥粒が、天然ダイヤモンドの粒子、合成ダイヤモンドの粒子、及び立方晶窒化ホウ素の粒子からなる群から選択される1種以上である超砥粒を含有し、超砥粒の集中度が、25以上50以下であり、フィラーの含有量が、電鋳ブレードの体積に対し、10体積%以上40体積%以下であり、フィラーの最大粒径が10.0μm以下である。【選択図】図3

Description

本発明は、電鋳ブレードに関する。
電鋳ブレードは、円形形状であり、フランジを介して、電子部品や光学部品を加工する加工装置の主軸に取り付けられる。加工装置に取り付けられた電鋳ブレードがその中心軸周りに回転することで外周縁部の切れ刃が電子材料を切断する。
近年、電子材料の製造には高い加工精度が求められており、高い加工精度を可能とするための電鋳ブレードの開発が進められている。
そこで、例えば、特許文献1、2に示されるように、ニッケル等の金属めっき相にポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂よりなるフィラーを分散することにより、金属めっき相の剛性を維持しつつも砥粒の保持力を低減させて、自生発刃を促すようにした電鋳ブレードが提案されている。
特許文献1には、ニッケルを主成分とする金属めっき相に、超砥粒と、フッ素樹脂からなるフィラーとが分散された円形薄板状のブレード本体を有する電鋳ブレードであって、前記ブレード本体は、前記フィラーの共析量が、10~30vol%の範囲内であり、前記超砥粒の集中度が、25~50の範囲内であり、前記金属めっき相の硬度が、HV400~550の範囲内であることを特徴とする電鋳ブレードが開示されている。
また、特許文献2には、円形板状をなすブレード本体と、前記ブレード本体の外周縁部に形成された切れ刃と、を備える電鋳ブレードであって、前記ブレード本体は、Ni-Bからなる金属めっき相と、前記金属めっき相に分散され、前記金属めっき相よりも硬質の砥粒と、前記金属めっき相に分散され、フッ素樹脂からなるフィラーと、を有し、前記ブレード本体全体の体積に対する前記フィラーの体積の割合が、10~30%であることを特徴とする電鋳ブレードが開示されている。
特開2013-132705号公報 特開2015-116638号公報
特許文献1及び2に記載された電鋳ブレードは、共析したフッ素樹脂により摺動性が向上して加工精度を向上させることができる。しかしながら、特許文献1及び2に記載された電鋳ブレードは、金属めっき相に含まれるフッ素樹脂によって電鋳ブレードの強度が低下し、高負荷となる加工においては、直進性が低下したり、電鋳ブレードが破損したりする場合があり、改善の余地があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、高品位な加工が可能な電鋳ブレードを提供することを目的とする。
本発明者らは、フッ素樹脂を含有する電鋳ブレードについて鋭意研究を重ねた結果、フッ素樹脂を含有する従来の電鋳ブレードでは、金属めっき相中に粗大なフッ素樹脂が存在することが分かった。本発明者らは、粗大なフッ素樹脂により電鋳ブレードの機械的強度が低下するという知見を得、金属めっき相中のフッ素樹脂の分散状態を適切に制御することで、電鋳ブレードの機械的強度を向上させることができるという知見を得た。そして、フッ素樹脂の分散状態、フッ素樹脂の共析量、及び砥粒の集中度をそれぞれ所定の範囲内とすることで、高い摺動性及び強度を得ることができ、高品位な加工が可能な電鋳ブレードが得られることが分かった。
本発明は、このような知見に基づいてなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
[1]本発明の一態様に係る電鋳ブレードは、円環薄板状の電鋳ブレードであって、上記電鋳ブレードは、金属めっき相と、上記金属めっき相に分散し、上記金属めっき相よりも硬質の砥粒と、上記金属めっき相に分散し、フッ素樹脂を含有する粒状のフィラーと、を備え、上記砥粒が、天然ダイヤモンドの粒子、合成ダイヤモンドの粒子、及び立方晶窒化ホウ素の粒子からなる群から選択される1種以上である超砥粒を含有し、上記超砥粒の集中度が、25以上50以下であり、上記フィラーの含有量が、上記電鋳ブレードの体積に対し、10体積%以上40体積%以下であり、上記フィラーの最大粒径が10.0μm以下である。
[2]上記[1]に記載の電鋳ブレードでは、上記金属めっき相のビッカース硬さが200HV以上400HV以下であることが好ましい。
[3]上記[1]又は[2]に記載の電鋳ブレードでは、上記砥粒が六方晶窒化ホウ素の粒子を含有し、上記電鋳ブレードの体積に対する上記六方晶窒化ホウ素の粒子の含有量が、1体積%以上30体積%以下であることが好ましい。
[4]上記[1]~[3]のいずれか1項に記載の電鋳ブレードでは、上記砥粒が炭化ケイ素の粒子を含有し、上記電鋳ブレードの体積に対する上記炭化ケイ素の粒子の含有量が、1体積%以上30体積%以下であることが好ましい。
本発明の電鋳ブレードによれば、高品位な加工が可能である。
本発明の一実施形態に係る電鋳ブレードを示す側面図である。 図1のA-A断面を示す断面図である。 図2のB部を拡大して示す模式図である。 同実施形態に係る電鋳ブレード表面のSEM像の一例である。 従来の電鋳ブレード表面のSEM像の一例である。
<電鋳ブレード1>
以下、本発明の一実施形態に係る電鋳ブレード1について、図1~3を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る電鋳ブレード1を示す側面図である。図2は、図1のA-A断面を示す断面図である。図3は、図2のB部を拡大して示す模式図である。なお、図中の各構成要素の寸法、比率は、実際の各構成要素の寸法、比率を表すものではない。
(電鋳ブレード1の概略構成)
まず、本実施形態に係る電鋳ブレード1の概略構成を説明する。本実施形態に係る電鋳ブレード1は、図1に示すように、円環薄板状である。詳細には、電鋳ブレード1は、中心軸Oを軸として同心円状に外面11及び内面12を備えており、内面12より内側において中心軸Oに沿う方向に貫通する貫通孔13が形成されている。
ここで、本明細書においては、電鋳ブレード1の中心軸O方向に沿う方向を幅方向と呼称する。
電鋳ブレード1の厚さ(幅方向の長さ)は、特段制限されず、例えば、0.01mm以上5.0mm以下とすることができるが、被加工材の加工領域の観点から、好ましくは、0.20mm以下であり、より好ましくは、0.10mm以下である。一方、電鋳ブレード1の厚さは、機械的強度の確保の観点から、好ましくは、0.02mm以上であり、より好ましくは、0.05mm以上である。
電鋳ブレード1は、図3に示すように、金属めっき相101と、金属めっき相101に分散し、金属めっき相101よりも硬質の材料からなる砥粒102と、金属めっき相101に分散し、フッ素樹脂を含有する粒状のフィラー103と、を備えている。以下に、金属めっき相101、砥粒102、及びフィラー103を詳細に説明する。
(金属めっき相101)
金属めっき相101は、Ni、Co、Cu、Fe、Zn、又はSnを主成分とするめっき相である。金属めっき相101は、上記元素のみで形成されてもよいし、上記元素のいずれかにP、W、Mo又はB等、その他の元素を含んでいてもよい。金属めっき相101は、例えば、B(ホウ素)を含有し、残部がNi及び不純物からなっていてもよい。金属めっき相101がBを含有する場合、B含有量は、金属めっき相101の全体の質量に対して0.3質量%以上1.0質量%以下である。
不純物は、電鋳ブレード1の製造等において、金属めっき相101に意図せず混入され得る物質であり、例えば、Na、K、又はS等である。
金属めっき相101のビッカース硬さは、200HV以上400HV以下であることが好ましい。金属めっき相101のビッカース硬さが200HV以上である場合、電鋳ブレード1の機械的強度をより確実に確保することができる。よって、金属めっき相101のビッカース硬さは、好ましくは、200HV以上である。金属めっき相101のビッカース硬さは、より好ましくは、300HV以上である。一方、金属めっき相101のビッカース硬さの上限は特段制限されないが、金属めっき相101のビッカース硬さが400HV以下であると、電鋳ブレード1の機械的強度を維持しつつ自生発刃作用が生じ、チッピングの発生を抑制することができる。よって、金属めっき相101のビッカース硬さは、好ましくは、400HV以下である。
金属めっき相101のビッカース硬さは、JIS Z 2244:2009に準拠し、試験力を0.3kgf、試験力の保持時間を10秒として、刃先側から1mmの位置における金属めっき相101を5点測定し、その平均値を金属めっき相101のビッカース硬さとする。
(砥粒102)
砥粒102は、金属めっき相101に分散し、金属めっき相101よりも硬質の材料で構成される。砥粒102は、天然ダイヤモンドの粒子、合成ダイヤモンドの粒子、及び立方晶窒化ホウ素(cBN)の粒子からなる群から選択される1種以上である超砥粒を含有する。
本実施形態に係る電鋳ブレード1では、超砥粒の集中度が25以上50以下である。集中度とは、電鋳ブレード1の体積に対する超砥粒の含有割合を示す指標であり、詳細には、電鋳ブレード1の体積の1/4に対する超砥粒の体積の割合である。例えば、超砥粒の含有量が電鋳ブレード1の体積に対して25体積%である場合、集中度は100である。
集中度が25以上50以下であれば、自生発刃作用を良好に促しつつも、電鋳ブレード1の機械的強度が向上し、電鋳ブレード1の摩耗の著しい進行を抑制することができる。その結果、電鋳ブレード1の寿命を延ばすことができる。集中度が25未満である場合、超砥粒を分散させたことによる電鋳ブレード1の機械的強度向上の効果が得られにくくなり、電鋳ブレード1の摩耗の進行が早くなる。また、集中度が25未満である場合、超砥粒による被加工材を加工するための仕事量を確保できず、切れ味が低下し、加工品位が低下する。よって、超砥粒の集中度は25以上である。超砥粒の集中度は、好ましくは、30以上である。一方、超砥粒の集中度が50を超える場合は、電鋳ブレード1の機械的強度が高くなり過ぎるとともに自生発刃作用が鈍化し、チッピングが生じやすくなる。よって、超砥粒の集中度は50以下である。超砥粒の集中度は、好ましくは、45以下である。
集中度は、X線回折法による成分分析から測定する。具体的には、リガク社製全自動多目的水平型X線回折装置SmartLabを用い、管電圧45kV、管電流200mA、スキャン速度10°/min.の条件下でX線ピークを得る。得られた回折パターンにおける、金属めっき相101の構成成分に起因するピークのうちの最大強度、砥粒102の構成成分に起因するピークのうちの最大強度、及びフィラー103に起因するピークのうちの最大強度を用いてRIR(Reference Intensity Ratio:参照強度比)法によって各成分の含有量を算出する。算出された超砥粒の含有量を集中度とする。金属めっき相101が複数の元素で構成される場合は、各元素のピークの最大強度を用いる。
砥粒102は、六方晶窒化ホウ素(hBN)の粒子、又は、炭化ケイ素(SiC)の粒子の少なくともいずれかを更に含有し、電鋳ブレード1の体積に対する六方晶窒化ホウ素の粒子及び炭化ケイ素の粒子の各含有量が、1体積%以上30体積%以下であることが好ましい。砥粒102にhBNが含まれれば、電鋳ブレード1の摺動性が向上する。また、砥粒102にSiCが含まれれば、電鋳ブレード1の強度が向上する。上記効果を得るためには、電鋳ブレード1の体積に対するhBN又の粒子はSiCの粒子の各含有量が1体積%以上であることが好ましい。電鋳ブレード1の体積に対するhBNの粒子及びSiCの粒子の各含有量が30体積%超であっても、上記効果は飽和する。そのため、電鋳ブレード1の体積に対するhBNの粒子及びSiCの粒子の各含有量は、30体積%以下であることが好ましい。hBNの粒子及びSiCの粒子の各含有量は、より好ましくは、電鋳ブレード1に対し、5体積%以上である。また、hBNの粒子及びSiCの粒子の各含有量は、より好ましくは、電鋳ブレード1に対し、20体積%以下である。
hBNの粒子及びSiCの粒子のうちのhBNの粒子のみが含有される場合は、その含有量は、電鋳ブレード1に対し、1体積%以上30%体積以下であることが好ましい。また、hBNの粒子及びSiCの粒子のうちのSiCのみが含有される場合は、その含有量は、電鋳ブレード1に対し、1体積%以上30%体積以下であることが好ましい。
なお、砥粒102を構成する各材料の粒子は、市販のものを用いることができ、実質的にそれぞれの成分を含有する粒子であるが、不純物としてのその他の成分を含んでいてもよい。
電鋳ブレード1の体積に対するhBNの粒子及びSiCの粒子の含有量は、集中度の測定方法と同様の方法で測定される。
砥粒102の平均粒径は、例えば、1μm以上100μm以下である。
砥粒102の平均粒径は、以下の方法で測定して算出される粒径を言う。すなわち、レーザー回折式粒度分布測定機による測定された体積平均粒径を砥粒102の平均粒径とする。具体的には、Microtrac社製レーザー回折・散乱式測定装置MT3300EXII-SDCを用い、サンプルを水(25℃、pH7)に投入する、測定試料の透過性は透過とし、粒子屈折率は1.81、形状は非球状とし測定された体積基準粒度分布での平均粒径を測定する。溶媒屈折率を1.333、測定時間を30秒とし、2回測定した平均値を測定値とする。
砥粒102は、金属めっき相101中で分散している。砥粒102の分散状態については、公知の製造方法で製造される電鋳ブレードにおける砥粒102の分散状態と同様であればよい。
(フィラー103)
フィラー103は、粒状のフッ素樹脂であり、金属めっき相101中に分散している。フッ素樹脂は、電鋳ブレード1の摺動性を向上させる。フィラー103に適用されるフッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であることが好ましい。フィラー103は、実質的にフッ素樹脂からなるが、フィラー103の原料となるフッ素樹脂に含まれている不純物を含有していてもよい。フィラー103として、PTFE以外の公知のフッ素樹脂を用いても構わない。
フィラー103は、電鋳ブレード1の体積に対し、10体積%以上40体積%以下含有される。以下では、電鋳ブレード1の体積に対するフィラー103の体積の割合を、フィラー103の共析量(含有量)と呼称する。フィラー103の共析量が10体積%未満である場合は、当該フィラー103を共析させたことによる自生発刃作用が得られにくくなり、被加工材にチッピングが生じやすくなる。よって、フィラー103の共析量は、10体積%以上である。フィラー103の共析量は、好ましくは、20体積%以上であり、より好ましくは、25体積%以上である。一方、フィラー103の共析量が40体積%を超える場合は、電鋳ブレード1が脆化して、電鋳ブレード1の機械的強度が確保できなくなる。よって、フィラー103の共析量は、40体積%以下である。フィラー103の共析量は、好ましくは、35体積%以下であり、より好ましくは、30体積%以下である。
共析量は、集中度の測定方法と同様の方法で測定される。
ここで、図4及び図5を参照して、金属めっき相101中のフィラー103の分散状態を説明する。図4は、本実施形態に係る電鋳ブレード表面のSEM像の一例である。図5は、従来の電鋳ブレード表面のSEM像の一例である。本実施形態に係る電鋳ブレードでは、フィラー103は、図4に示すように、金属めっき相101に分散しており、最大粒径が10.0μm以上の粗大な凝集粒は生成しない。一方、図5では、フィラーが凝集して粗大な凝集粒が存在している。PTFEをフィラーとして用いた従来の電鋳ブレードでは、PTFEの凝集粒が存在しているため、その凝集粒が起点となって電鋳ブレードが破壊し易くなっていると推察される。
そのため、フィラー103の最大粒径は、10.0μm以下である。フィラー103は、金属めっき相101及び砥粒102と比較して軟質であるため、電鋳ブレード1に粗大なフィラー103が存在すると、その粗大なフィラー103を起点として電鋳ブレード1が破壊し易くなる。フィラー103の最大粒径が10.0μm以下であれば、フィラー103を起点とする電鋳ブレード1の破壊が抑制される。よって、フィラー103の最大粒径は、10.0μm以下である。フィラー103の最大粒径は、好ましくは、5μm以下であり、より好ましくは、1μm以下である。一方、微細なフィラー103が金属めっき相101に分散していれば、被加工材を加工する際の電鋳ブレード1への局所的な負荷が小さくなる。よって、フィラー103の最大粒径の下限は特段制限されない。しかしながら、本実施形態に係る電鋳ブレード1におけるフィラー103の最大粒径は、例えば、0.5μm以上であってもよいし、0.2μm以上であってもよい。
ここで、フィラー103の最大粒径の測定方法を説明する。走査電子顕微鏡(SEM;Scaning Electron microscope)を用いて、電鋳ブレード1における刃先側から1mmの位置において、倍率を500倍として、2mm間隔で、合計10視野の画像を取得する。それぞれの画像において、フィラー103の面積基準での円相当径を算出し、最大粒径を算出する。円相当径の算出には、株式会社キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX-D500を用いる。
SEM画像におけるフィラー103の特定は、以下の方法で行う。すなわち、金属めっき相101、砥粒102、及びフィラー103は、色及び形状によって区別することができる。詳細には、金属めっき相101は導電性を持つために明るく表示されるのに対し、砥粒102及びフィラー103は導電性を持たないため暗く表示されるため金属めっき相101を区別することができる。次に、砥粒102は角張った形状を持つのに対し、フィラー103は不定形であるため両者を区別することができる。
また、フィラー103の平均粒径は、砥粒102の平均粒径以下であることが好ましい。フィラー103の平均粒径が砥粒102の平均粒径以下であれば、砥粒102による優れた切れ味が維持されつつも、フィラー103による砥粒102の自生発刃作用が確実に得られて、より一層チッピングを抑制することができる。
ここまで、金属めっき相101、砥粒102、及びフィラー103のそれぞれについて説明した。本実施形態に係る電鋳ブレード1では、外面11及び側面が切れ刃として機能する。詳細には、貫通孔13にフランジ(図示せず)を介して加工装置のスピンドルが挿入されて、電鋳ブレード1がスピンドルに固定される。スピンドルが中心軸O周りに回転し、回転する電鋳ブレード1の外面11が被加工材に接触することで被加工材を加工することになる。また、本実施形態に係る電鋳ブレード1が、電鋳の際の台金に固着されたハブ付きブレードとされる場合は、この台金を介して電鋳ブレード1がスピンドルに固定され、スピンドルが中心軸O周りに回転し、回転する電鋳ブレード1の外面11が被加工材に接触することで被加工材を加工することになる。
本実施形態に係る電鋳ブレード1は、例えばガラス、石英、セラミックス等の硬脆材料よりなる被加工材や、半導体用シリコン、化合物ウェーハ、又は各種電子部品材料等の被加工材を精密に加工するのに適している。具体的には、本実施形態に係る電鋳ブレード1は、上記被加工材に溝を形成する溝加工や上記被加工材を切断して個片化する切断加工に適している。なお、被加工材は、ガラス、石英、セラミックスに限らず、上記以外の材料であってもよい。
このように、本実施形態によれば、電鋳ブレード1の機械的強度が確保されるため、被加工材を加工する際の電鋳ブレード1の蛇行が抑制される。また、砥粒102の自生発刃作用に優れるため、本実施形態に係る電鋳ブレード1は切れ味に優れる。その結果、加工品位を向上させることができる。
<電鋳ブレード1の製造方法>
続いて、本実施形態に係る電鋳ブレードの製造方法の一例を説明する。本実施形態に係る電鋳ブレード1は、公知の電鋳法により製造される。本実施形態に係る電鋳ブレード1の製造方法は、例えば、めっき工程、エッチング工程、及び内外径調整工程を有する。
めっき工程では、ニッケルを主成分としためっき液に、上記の平均粒径を有する砥粒及びフィラーを分散させる。砥粒及びフィラーの分散は、回転可能なシャフトの先端に陰極となる円形環状の台金を設け、当該シャフトをその中心軸周りに回転させることで台金を回転させて行う。めっき液の組成は、例えば、スルファミン酸浴である。砥粒及びフィラーが分散しためっき液中に陰極となる円形環状の台金、及び陽極を浸漬し、陰極と陽極との間に電圧を印加して、砥粒及びフィラーを取り込みつつ台金表面に金属めっき相を所定の厚さに析出させ、これを台金から剥離することで砥粒及びフィラーが取り込まれた金属めっき相(中間材)が製造される。なお、電鋳ブレード1を後述するハブ付きブレードとする場合には、台金の所定領域にマスキングを施し、マスキングした所定領域以外の部位に砥粒及びフィラーが取り込まれた金属めっき相を析出させればよい。
エッチング工程では、陰極から剥離した中間材の側面のうち、少なくとも陰極と接触していた側面にエッチング処理を施して、当該側面に砥粒を突出させる。エッチング処理は、例えば、硝酸をエッチャントとして用いればよい。
内外径調整工程では、エッチング工程後の中間材の内径及び外径を所定の寸法となるように公知の方法で加工する。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし本発明はこの実施例に限定されるものではない。
まず、スルファミン酸浴に、砥粒及びフィラーを分散させた。砥粒には、合成ダイヤモンド、cBN、天然ダイヤモンド、及び、合成ダイヤモンドにhBN又はSiCの少なくともいずれかを混合したものを用いた。砥粒の平均粒径は9μmであった。フィラーには、上村工業株式会社製PTFE(製品名メタフロン、型番FKY-2-A)を用いた。PTFEの平均粒径は8μmであった。めっき液の温度は50℃とした。砥粒及びフィラーが分散しためっき液中に陰極となる円形環状の台金、及び陽極を浸漬し、陰極と陽極との間に電圧を印加した。このときの電流密度は5A/cmとし、電圧の印加時間は80分とした。その後、台金に形成しためっき板を台金から剥離した。台金から剥離した中間材の両側面が、硝酸をエッチャントとして用いてエッチングされた。その後、エッチング工程後の中間材の内径及び外径を機械加工により調整した。上記により、外径55mm、内径(取り付け孔の直径)40mm、厚さ0.08mmの電鋳ブレードが製造された。
製造された各電鋳ブレードの金属めっき相のビッカース硬さは以下の方法で測定された。すなわち、JIS Z 2244:2009に準拠し、試験力を0.3kgf、試験力の保持時間を10秒として、刃先側から1mmの位置における金属めっき相101を5点測定し、その平均値を金属めっき相101のビッカース硬さとした。
製造された各電鋳ブレードの超砥粒の集中度、hBNの含有量及びSiCの含有量、並びにフィラーの共析量は以下の方法で測定された。すなわち、X線回折法による成分分析から各電鋳ブレード中の超砥粒の集中度、hBN及びSiCの含有量を測定した。具体的には、リガク社製全自動多目的水平型X線回折装置SmartLabを用い、管電圧45kV、管電流200mA、スキャン速度10°/min.の条件下でX線ピークを得た。得られたX線ピークのNi、ダイヤモンド、SiC、及びBNのそれぞれにおいて、検出強度が最大となる格子面の各ピーク強度を用いてRIR(Reference Intensity Ratio:参照強度比)法によって各成分の含有量を算出した。
製造された各電鋳ブレードにおける砥粒の平均粒径は以下の方法で測定された。すなわち、Microtrac社製レーザー回折・散乱式測定装置MT3300EXII-SDCを用い、サンプルを水(25℃、pH7)に投入する、測定試料の透過性は透過とし、粒子屈折率は1.81、形状は非球状とし測定された体積基準粒度分布での平均粒径を測定した。溶媒屈折率を1.333、測定時間を30秒とし、2回測定した平均値を測定値とした。
また、製造された各電鋳ブレードのフィラーの最大粒径は以下の方法で測定された。走査電子顕微鏡を用いて、各電鋳ブレードにおける刃先側から1mmの位置において、倍率を500倍として、2mm間隔で、合計10視野の画像を取得した。各画像において、明るく表示された領域を金属めっき相と判断し、暗く表示される領域のうち角張った形状の領域を砥粒と判断し、暗く表示される領域のうち不定形の領域をフィラーと判断した。それぞれの画像において、フィラーの面積基準での円相当径を算出し、最大粒径を算出した。円相当径の算出には、株式会社キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX-D500を用いた。また、表1に示す平均粒径は、原料としてのフィラーの平均粒径である。
また、製造された各電鋳ブレードのフィラーの平均粒径は砥粒の平均粒径の測定方法と同様の方法で測定された。
フランジを介して各電鋳ブレードを切断装置に装着し、被加工材を2m切断したときの切断面のチッピングサイズの最大値を測定した。被加工材には、150mm角、厚さ0.7mmのガラスを用いた。フランジ径は49.6mmであり、電鋳ブレードの回転速度は15,000min-1、電鋳ブレードの送り速度は、5mm/秒であった。
チッピングサイズの最大値を加工品位の指標とした。チッピングサイズの最大値は、以下の方法で測定した。すなわち、光学顕微鏡を用いて被加工材を裏面から観察し、加工により生じたチッピングにおける切断面と垂直方向のサイズをチッピングサイズとして測定した。このようにして測定されたチッピングサイズの最大値が50μm以下である場合、加工性を極めて良好(◎)とし、チッピングサイズの最大値が50μmより大きく100μm以下である場合に加工性を良好(〇)とし、チッピングサイズの最大値が100μm超である場合、又は、電鋳ブレードが破損した場合、加工性を不良(×)と判断した。結果を表1に示す。
Figure 2022153867000002
表1に示すように、砥粒が、少なくとも超砥粒を含有し、超砥粒の集中度が、25以上50以下であり、電鋳ブレード1の体積に対し、フィラーが10体積%以上30体積%以下含有され、フィラーの最大粒径が10.0μm以下である場合に、加工性が良好であった。
1 電鋳ブレード
11 外面
12 内面
13 貫通孔
101 金属めっき相
102 砥粒
103 フィラー

Claims (4)

  1. 円環薄板状の電鋳ブレードであって、
    前記電鋳ブレードは、金属めっき相と、前記金属めっき相に分散し、前記金属めっき相よりも硬質の砥粒と、前記金属めっき相に分散し、フッ素樹脂を含有する粒状のフィラーと、を備え、
    前記砥粒が、天然ダイヤモンドの粒子、合成ダイヤモンドの粒子、及び立方晶窒化ホウ素の粒子からなる群から選択される1種以上である超砥粒を含有し、前記超砥粒の集中度が、25以上50以下であり、
    前記フィラーの含有量が、前記電鋳ブレードの体積に対し、10体積%以上40体積%以下であり、
    前記フィラーの最大粒径が10.0μm以下である、電鋳ブレード。
  2. 前記金属めっき相のビッカース硬さが200HV以上400HV以下である、請求項1に記載の電鋳ブレード。
  3. 前記砥粒が六方晶窒化ホウ素の粒子を含有し、前記電鋳ブレードの体積に対する前記六方晶窒化ホウ素の粒子の含有量が、1体積%以上30体積%以下である、請求項1又は2に記載の電鋳ブレード。
  4. 前記砥粒が炭化ケイ素の粒子を含有し、前記電鋳ブレードの体積に対する前記炭化ケイ素の粒子の含有量が、1体積%以上30体積%以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の電鋳ブレード。
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