JP6183903B2 - 電鋳ブレード - Google Patents
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近年、この種の電鋳ブレードにおいては、ウエハの高集積化による切断ストリートの狭小化等に対応して、ブレードの薄刃化(具体的には0.1mm以下)が要求されている。
すなわち、本発明は、円形板状をなすブレード本体と、前記ブレード本体の外周縁部に形成された切れ刃と、を備える電鋳ブレードであって、前記ブレード本体は、Ni−Bからなる金属めっき相と、前記金属めっき相に分散され、前記金属めっき相よりも硬質の砥粒と、前記金属めっき相に分散され、フッ素樹脂からなるフィラーと、を有し、前記フィラーの平均粒径は、0.1〜5μmであり、前記フィラーの平均粒径は、前記砥粒の平均粒径以下であり、前記ブレード本体全体の体積に対する前記フィラーの体積の割合が、10〜30%であることを特徴とする。
また、フィラーの共析率が30vol%を超える場合は、ブレード本体が脆化して、該ブレード本体の剛性が確保できなくなり、金属めっき相にNi−Bを用いたことによる直進性の精度向上の効果が得られにくくなる。特に、本発明の電鋳ブレードは、ブレード本体の厚さとして0.1mm以下の極薄刃を想定しており、このようにブレード本体を薄刃化した場合において、フィラー共析率が30vol%を超えていると、ブレード本体が破損するおそれがある。
また、金属めっき相に分散される砥粒の集中度が150を超える場合は、自生発刃作用が鈍化して切れ味が悪くなり、チッピングが生じやすくなるなど、切断品位に影響するおそれがある。
本実施形態の電鋳ブレード10は、例えばセラミックス、ガラス、石英等の硬脆材料を被切断材とした精密切断加工に使用され、該硬脆材料の具体的な一例としては、ハードディスクドライブレコーダー、音響機器、ゲーム機などの各種機器や装置に使用されるGMR(Giant Magnetoresistive)ヘッド基盤素材として知られるAl2O3−TiCセラミックス等が挙げられる。
ここで、本明細書においては、ブレード本体1の中心軸O方向に沿う方向を幅方向といい、中心軸Oに直交する方向を径方向といい、中心軸O回りに周回する方向を周方向ということがある。
金属めっき相2は、Ni−B(ニッケルボロン)組成のニッケル合金からなるマトリックス材となっている。金属めっき相2全体の重量に対するB(ホウ素)の重量の割合は、例えば0.3〜1.0%である。この金属めっき相2において、複数の砥粒3同士は、互いの間隔が均一となるように分散(均等分散)されており、複数のフィラー5同士も、互いの間隔が均一となるように分散されている。
また、このブレード本体1の金属めっき相2の硬度(ビッカース硬さ)は、例えば、HV700〜900の範囲である。
尚、砥粒3として、ダイヤモンド砥粒の代わりにcBN砥粒を用いたり、これらダイヤモンド砥粒及びcBN砥粒を混在させたりしても構わない。また、砥粒3として、上記ダイヤモンド、cBN以外の硬質材料(ただし金属めっき相2よりも硬質の材料)を用いてもよい。
このように、金属めっき相2に分散された砥粒3の表面に、該砥粒3及び金属めっき相2よりも硬度の低い金属膜が形成されていることにより、電解めっきの際、めっき液中において砥粒3に導電性を持たせることができ、該砥粒3は台金(カソード)に引き寄せられる。つまり、電解めっきによりブレード本体1の金属めっき相2を作製する際に、砥粒3より小径で優先的に取り込まれるフィラー5と共に、砥粒3についても台金表面の金属めっき相2内に所期の量となるように十分に共析させることが可能となる。しかも、砥粒3の表面に形成した金属膜の作用によって、Ni−Bからなる金属めっき相2であっても、その内部応力が十分に低減されることになる。
そして、ブレード本体1全体の体積に対するフィラー5の体積の割合(ブレード本体1全体におけるフィラー5の共析量の割合(フィラー5の共析率))は、10〜30%である。また特に図示しないが、フィラー5の粒子形状は、表面(外面)に凹凸の少ない球状をなしている。
また、フィラー5の共析率が30vol%を超える場合は、ブレード本体1が脆化して、該ブレード本体1の剛性が確保できなくなり、金属めっき相2にNi−Bを用いたことによる直進性の精度向上の効果が得られにくくなる。特に、本実施形態の電鋳ブレード10は、ブレード本体1の厚さが0.1mm以下の極薄刃とされているので、このようにブレード本体1を薄刃化した場合において、フィラー5共析率が30vol%を超えていると、ブレード本体1が破損するおそれがある。
すなわち、ブレード本体1において金属めっき相2に分散される砥粒3の集中度が、25〜150の範囲であるので、自生発刃作用を良好に促しつつも、該ブレード本体1の摩耗が著しく進行するようなことを防止して、工具寿命が確保される。また上記数値範囲は、電解めっきで共析可能な範囲内であり、多種多様なセラミックス素材等の硬脆材料の切断に対応して、所望の電鋳ブレード10を容易に作製できる。
また、金属めっき相2に分散される砥粒3の集中度が150を超える場合は、自生発刃作用が鈍化して切れ味が悪くなり、チッピングが生じやすくなるなど、切断品位に影響するおそれがある。
さらに、砥粒3の表面に金属膜が形成された状態で該砥粒3が金属めっき相2に取り込まれることで、金属めっき相2の内部応力を低減する作用効果が得られ、ブレード本体1の剛性が顕著に高められることになる。具体的に、Ni−Bは従来、めっき後に内部応力が生じやすいニッケル合金として知られているが、本発明によれば、Ni−Bからなる金属めっき相2の内部応力を低減させながら、機械的強度が高められている。
また、金属めっき相2の硬度がHV900を超える場合は、ブレード本体1の剛性が高くなり過ぎるとともに自生発刃作用が鈍化し、切断品位を確保しにくくなる。
まず、金属めっき相2の材質(硬度)と弾性率との関係、及び、金属めっき相2の材質(硬度)と切断加工時の直進性(蛇行量)との関係について、確認試験を行った。
試験する電鋳ブレード10の共通仕様(以下、ベースブレードと省略)として、ブレード本体1は、外径73.8mm、取付孔4の内径40mm、厚さ0.04mmとした。また、金属めっき相2に分散する砥粒3には粒度#1200のダイヤモンド砥粒を用い、該砥粒3の表面にはNiからなる金属膜を予め(めっき前に)形成した。また、金属めっき相2に分散するフィラー5には平均粒径0.3μmのPTFEを用いた。また、金属めっき相2に分散する砥粒3の集中度は100とした。
これら電鋳ブレードの弾性率を、オートグラフ(登録商標):AGS−J50N(株式会社島津製作所製)により、変位量:2.5mmとして測定した(引っ張り試験)。結果を図4に示す。
尚、試験の条件としては、ワーク(被切断材):Al2O3−TiCセラミックス(φ75mm×t1.2mm)、フランジ:φ70.0mm、主軸回転数:12000min−1、送り速度:80mm/minとした。結果を図5に示す。
図4に示されるように、ブレード本体1の金属めっき相2がNi−Bからなり、その硬度がHV800とされた本発明の実施例では、該ブレード本体1の弾性率が350000Nm/mm2以上となり、ブレード本体1の機械的強度が十分に確保されることがわかった。一方、ブレード本体1の金属めっき相2がNi単体からなり、その硬度がHV550、HV650とされた比較例では、該ブレード本体1の弾性率が300000Nm/mm2未満となり、ブレード本体1の機械的強度が十分に確保されてはいなかった。
次に、ブレード本体1全体の体積に対するフィラー5の体積の割合(フィラー5の共析率)と弾性率との関係、及び、フィラー5の共析率と切断加工時の直進性(蛇行量)との関係について、確認試験を行った。
試験する電鋳ブレードとしては、前述のベースブレードを用い、フィラー5の共析率が本発明の範囲内(10〜30vol%)に設定された実施例と、本発明の範囲外(5vol%、35vol%)に設定された比較例とを用意した。尚、この確認試験では、ブレード本体1の金属めっき相2はすべてNi−Bとし、めっき硬度はHV800とした。そして、上述した確認試験と同様に、弾性率・蛇行量の測定を行った。結果を図6及び図7に示す。
図6に示されるように、フッ素樹脂共析量(フィラー5の共析率)が10〜30vol%である本発明の実施例では、ブレード本体1の弾性率が350000Nm/mm2以上となり、ブレード本体1の機械的強度が十分に確保されることがわかった。一方、フッ素樹脂共析量が35vol%である比較例では、ブレード本体が脆化して破損し測定不能であった。また、フッ素樹脂共析量が5vol%の比較例では、弾性率は確保されてはいるものの、実際に切断加工に用いたところ自生発刃作用が得られにくく、切断の加工精度を安定して確保できなかった。
1A 切れ刃
2 金属めっき相
3 砥粒
5 フィラー
10 電鋳ブレード
Claims (3)
- 円形板状をなすブレード本体と、前記ブレード本体の外周縁部に形成された切れ刃と、を備える電鋳ブレードであって、
前記ブレード本体は、
Ni−Bからなる金属めっき相と、
前記金属めっき相に分散され、前記金属めっき相よりも硬質の砥粒と、
前記金属めっき相に分散され、フッ素樹脂からなるフィラーと、を有し、
前記フィラーの平均粒径は、0.1〜5μmであり、
前記フィラーの平均粒径は、前記砥粒の平均粒径以下であり、
前記ブレード本体全体の体積に対する前記フィラーの体積の割合が、10〜30%であることを特徴とする電鋳ブレード。 - 請求項1に記載の電鋳ブレードであって、
前記金属めっき相に分散される前記砥粒の集中度が、25〜150であることを特徴とする電鋳ブレード。 - 請求項1又は2に記載の電鋳ブレードであって、
前記砥粒の表面には、前記金属めっき相よりも硬度が低い金属膜が形成されていることを特徴とする電鋳ブレード。
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