JP6183903B2 - 電鋳ブレード - Google Patents

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Description

本発明は、例えば硬脆材料よりなる電子材料を切断するのに用いられる電鋳ブレードに関するものである。
従来、電子材料の切断に用いられる電鋳ブレードとして、例えば下記特許文献1に記載されるような、円形板状をなすブレード本体と、ブレード本体の外周縁部に形成された切れ刃と、を備えたものが知られている。前記ブレード本体は、Niからなる金属めっき相と、金属めっき相に分散され該金属めっき相よりも硬質のダイヤモンドやcBN(立方晶窒化ホウ素)等からなる砥粒(超砥粒)と、金属めっき相に分散されフッ素樹脂からなるフィラーと、を有している。
電鋳ブレードは、ブレード本体がフランジを介して切断装置の主軸に取り付けられたり、或いは電鋳の際の台金に固着され、この台金を介して主軸に取り付けられたりして、中心軸回りに回転されることにより、その外周縁部の切れ刃によって電子材料を切断する。
電鋳ブレードによって切断される電子材料(被切断材)は、例えばセラミックス、ガラス、石英等の硬脆材料であり、該硬脆材料の具体的な一例としては、ハードディスクドライブレコーダー、音響機器、ゲーム機などの各種機器や装置に使用されるGMR(Giant Magnetoresistive)ヘッド基盤素材として知られるAl−TiCセラミックス等が挙げられる。
近年、この種の電鋳ブレードにおいては、ウエハの高集積化による切断ストリートの狭小化等に対応して、ブレードの薄刃化(具体的には0.1mm以下)が要求されている。
特開2010−5778号公報
しかしながら、上記従来の電鋳ブレードでは、ブレード本体を0.1mm以下にまで薄刃化する場合に機械的強度(剛性)を確保することができず、切断時の直進性の精度が低下してしまうという問題があった。すなわち、電鋳ブレードが蛇行しながら被切断材を切断加工してしまい、所期の加工精度を確保することができなかった。尚、フッ素樹脂を金属めっき相に共析させることで自生発刃作用を促進させることができ、これにより直進性をある程度向上できるものの、やはりブレード本体の剛性を高めない限り直進性の精度を十分に確保することは難しい。ここで、上記自生発刃作用とは、切削により摩耗した砥粒がその周囲のフッ素樹脂の作用などにより適度に切れ刃から脱落し、ブレード内側から新しい砥粒が露出して切れ刃の切れ味が確保される作用である。
そこで、薄刃化したブレード本体の剛性を向上させる目的で、Niからなる金属めっき相の硬度を単純に高めることが考えられるが、この場合、金属めっき相に砥粒が強く保持されすぎて自生発刃作用が鈍化し、切れ味を安定して確保することができなくなり、やはり直進性の精度を十分に確保することができなくなるおそれがある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ブレード本体が薄刃化されてもその機械的強度(剛性)を高めて切断加工時の直進性の精度を確保でき、かつ自生発刃作用を適度に促して切れ刃の切れ味を安定的に確保でき、これにより高精度な切断加工が可能な電鋳ブレードを提供することを目的としている。
このような課題を解決して、前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提案している。
すなわち、本発明は、円形板状をなすブレード本体と、前記ブレード本体の外周縁部に形成された切れ刃と、を備える電鋳ブレードであって、前記ブレード本体は、Ni−Bからなる金属めっき相と、前記金属めっき相に分散され、前記金属めっき相よりも硬質の砥粒と、前記金属めっき相に分散され、フッ素樹脂からなるフィラーと、を有し、前記フィラーの平均粒径は、0.1〜5μmであり、前記フィラーの平均粒径は、前記砥粒の平均粒径以下であり、前記ブレード本体全体の体積に対する前記フィラーの体積の割合が、10〜30%であることを特徴とする。
本発明の電鋳ブレードによれば、ブレード本体の金属めっき相として、Ni−B(ニッケルボロン)組成のニッケル合金を用いているので、従来のNi(単体)からなる金属めっき相に比べて機械的強度(剛性)が高められ、これにより、切断加工時の直進性の精度を向上できる。
また、ブレード本体全体の体積に対するフッ素樹脂のフィラーの体積の割合が、10〜30%(つまりブレード本体全体におけるフィラーの共析量の割合(フィラーの共析率)が10〜30vol%)であるので、該ブレード本体の剛性を十分に確保しつつも、自生発刃作用を適度に促すことができる。
具体的に、上記フィラーの共析率が10vol%未満である場合は、当該フィラーを共析させたことによる自生発刃作用が得られにくくなり、切れ味の悪くなった切れ刃が被切断材を切断し続けることによってチッピングが生じやすくなるなど、切断の加工品位が確保できなくなるおそれがある。
また、フィラーの共析率が30vol%を超える場合は、ブレード本体が脆化して、該ブレード本体の剛性が確保できなくなり、金属めっき相にNi−Bを用いたことによる直進性の精度向上の効果が得られにくくなる。特に、本発明の電鋳ブレードは、ブレード本体の厚さとして0.1mm以下の極薄刃を想定しており、このようにブレード本体を薄刃化した場合において、フィラー共析率が30vol%を超えていると、ブレード本体が破損するおそれがある。
以上より、本発明によれば、ブレード本体が薄刃化されてもその機械的強度(剛性)を高めて切断加工時の直進性の精度を確保でき、かつ自生発刃作用を適度に促して切れ刃の切れ味を安定的に確保でき、これにより高精度な切断加工が可能である。
また、本発明の電鋳ブレードにおいて、前記金属めっき相に分散される前記砥粒の集中度が、25〜150であることとしてもよい。
この場合、ブレード本体において金属めっき相に分散される例えばダイヤモンドやcBN等からなる砥粒の集中度が、25〜150の範囲であるので、自生発刃作用を良好に促しつつも、該ブレード本体の摩耗が著しく進行するようなことを防止して、工具寿命が確保される。また上記数値範囲は、電解めっきで共析可能な範囲内であり、多種多様なセラミックス素材等の硬脆材料の切断に対応して、所望の電鋳ブレードを容易に作製できる。
具体的に、金属めっき相に分散される砥粒の集中度が25未満である場合は、ブレード本体の摩耗の進行が早くなるとともに、早期に工具寿命となるおそれがある。また砥粒を分散させたことにより期待されるブレード本体の剛性向上の効果も得られにくくなる。
また、金属めっき相に分散される砥粒の集中度が150を超える場合は、自生発刃作用が鈍化して切れ味が悪くなり、チッピングが生じやすくなるなど、切断品位に影響するおそれがある。
また、本発明の電鋳ブレードにおいて、前記砥粒の表面には、前記金属めっき相よりも硬度が低い金属膜が形成されていることとしてもよい。
この場合、金属めっき相に分散された砥粒の表面には、該砥粒及び金属めっき相よりも硬度の低い例えばNi等の金属膜が形成されている。これにより、電解めっきの際、めっき液中において砥粒に導電性を持たせることができ、該砥粒は台金(カソード)に引き寄せられる。すなわち、電解めっきによりブレード本体の金属めっき相を作製する際に、砥粒より小径で優先的に取り込まれるフィラーと共に、砥粒についても台金表面の金属めっき相内に所期の量となるように十分に共析させることが可能となる。しかも、砥粒の表面に形成した金属膜の作用によって、Ni−Bからなる金属めっき相であっても、その内部応力が十分に低減されることになる。
本発明の電鋳ブレードによれば、ブレード本体が薄刃化されてもその機械的強度(剛性)を高めて切断加工時の直進性の精度を確保でき、かつ自生発刃作用を適度に促して切れ刃の切れ味を安定的に確保でき、これにより高精度な切断加工が可能である。
本発明の一実施形態に係る電鋳ブレードを示す側面図である。 図1のA−A断面を示す図である。 図2のB部の拡大図である。 金属めっき相の硬度(HV)とブレード本体の弾性率との関係を示すグラフである。 金属めっき相の硬度(HV)と切断加工時の蛇行量(直進性)との関係を示すグラフである。 ブレード本体全体におけるフッ素樹脂(フィラー)の共析量の割合とブレード本体の弾性率との関係を示すグラフである。 ブレード本体全体におけるフッ素樹脂(フィラー)の共析量の割合と切断加工時の蛇行量(直進性)との関係を示すグラフである。
以下、本発明の一実施形態に係る電鋳ブレード10について、図面を参照して説明する。
本実施形態の電鋳ブレード10は、例えばセラミックス、ガラス、石英等の硬脆材料を被切断材とした精密切断加工に使用され、該硬脆材料の具体的な一例としては、ハードディスクドライブレコーダー、音響機器、ゲーム機などの各種機器や装置に使用されるGMR(Giant Magnetoresistive)ヘッド基盤素材として知られるAl−TiCセラミックス等が挙げられる。
図1及び図2に示されるように、電鋳ブレード10は、円形板状をなすブレード本体1と、ブレード本体1の外周縁部に形成された切れ刃1Aと、を備えている。特に図示しないが、電鋳ブレード10は、そのブレード本体1がフランジを介して切断装置の主軸に取り付けられたり、或いは電鋳の際の台金に固着されたハブ付きブレードとされるとともに、この台金を介して主軸に取り付けられたりして、該ブレード本体1の中心軸O回りに回転されつつ該中心軸Oに垂直な方向に送り出されることにより、このブレード本体1においてフランジや台金よりも径方向外側に突出された外周縁部(切れ刃1A)で被切断材を切断する。
ここで、本明細書においては、ブレード本体1の中心軸O方向に沿う方向を幅方向といい、中心軸Oに直交する方向を径方向といい、中心軸O回りに周回する方向を周方向ということがある。
ブレード本体1の厚さ(幅方向の長さ)は、0.1mm以下であり、具体的には、例えば0.02〜0.1mmであって、従ってブレード本体1は円形薄板状をなしている。尚、図2においては説明のため、ブレード本体1の厚さが実際より厚く示されている。また、ブレード本体1の径方向の中央部(中心軸O上)には、中心軸Oを中心とした円形孔状をなし、該ブレード本体1を幅方向に貫通する取付孔4が形成されており、このためブレード本体1は具体的には円環板状をなしている。すなわち、本明細書でいう「円形板状をなすブレード本体1」には、円環板状をなすブレード本体1が含まれる。
図3に示されるように、ブレード本体1の切れ刃1Aは、該ブレード本体1の厚さと等しい極小さな幅とされたブレード本体1の外周面と、該ブレード本体1の幅方向を向く両側面1Bの外周縁部と、これら側面1Bの外周縁部と前記外周面との交差稜線をなすエッジ部と、によって形成されている。
ブレード本体1は、Ni−Bからなる金属めっき相2と、金属めっき相2に分散され、金属めっき相2よりも硬質の材料からなる砥粒3と、金属めっき相2に分散され、該金属めっき相2及び砥粒3よりも軟質の材料からなる粒子状のフィラー5と、を有している。
金属めっき相2は、Ni−B(ニッケルボロン)組成のニッケル合金からなるマトリックス材となっている。金属めっき相2全体の重量に対するB(ホウ素)の重量の割合は、例えば0.3〜1.0%である。この金属めっき相2において、複数の砥粒3同士は、互いの間隔が均一となるように分散(均等分散)されており、複数のフィラー5同士も、互いの間隔が均一となるように分散されている。
また、このブレード本体1の金属めっき相2の硬度(ビッカース硬さ)は、例えば、HV700〜900の範囲である。
本実施形態の電鋳ブレード10のブレード本体1は、Ni−Bを主成分とする金属めっき液を用いた電鋳法により製造される。この金属めっき液には、Ni−B以外の成分として、所定の添加剤、所定の界面活性剤、砥粒3及びフィラー5が混合されている。そして、前記金属めっき液中に台金を配置し、この台金表面に砥粒3及びフィラー5を取り込みつつ金属めっき相2を所定の厚さとなるように析出させた後、これを台金から剥離して円形板状に成形することで、ブレード本体1が作製される。尚、ブレード本体1を前述したハブ付きブレードとする場合には、台金の所定領域(ブレード本体1を作製しない領域)にマスキングを施し、マスキングした所定領域以外の部位にブレード本体1を析出させればよい。
砥粒3は、天然又は合成ダイヤモンド砥粒からなる。本実施形態の砥粒3の平均粒径は、例えば、1〜100μmである。金属めっき相2に分散される砥粒3の集中度は、25〜150の範囲内である。また、ブレード本体1全体の体積に対する砥粒3の体積の割合(ブレード本体1全体における砥粒3の共析量の割合(砥粒3の共析率))は、例えば、5〜40%である。
尚、砥粒3として、ダイヤモンド砥粒の代わりにcBN砥粒を用いたり、これらダイヤモンド砥粒及びcBN砥粒を混在させたりしても構わない。また、砥粒3として、上記ダイヤモンド、cBN以外の硬質材料(ただし金属めっき相2よりも硬質の材料)を用いてもよい。
また特に図示していないが、金属めっき相2に分散された砥粒3の表面には、該金属めっき相2よりも硬度が低い例えばNi等の金属膜が形成されている。具体的に、前記金属膜の硬度は、例えばHV200〜600の範囲である。
このように、金属めっき相2に分散された砥粒3の表面に、該砥粒3及び金属めっき相2よりも硬度の低い金属膜が形成されていることにより、電解めっきの際、めっき液中において砥粒3に導電性を持たせることができ、該砥粒3は台金(カソード)に引き寄せられる。つまり、電解めっきによりブレード本体1の金属めっき相2を作製する際に、砥粒3より小径で優先的に取り込まれるフィラー5と共に、砥粒3についても台金表面の金属めっき相2内に所期の量となるように十分に共析させることが可能となる。しかも、砥粒3の表面に形成した金属膜の作用によって、Ni−Bからなる金属めっき相2であっても、その内部応力が十分に低減されることになる。
フィラー5は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂からなる。尚、フィラー5として、PTFE以外の公知のフッ素樹脂を用いてもよい。フィラー5は、粒体又は粉体等の粒子状のフッ素樹脂からなり、該フィラー5の平均粒径は、0.1〜5μmである。またフィラー5の平均粒径は、砥粒3の平均粒径以下である。
そして、ブレード本体1全体の体積に対するフィラー5の体積の割合(ブレード本体1全体におけるフィラー5の共析量の割合(フィラー5の共析率))は、10〜30%である。また特に図示しないが、フィラー5の粒子形状は、表面(外面)に凹凸の少ない球状をなしている。
以上説明した本実施形態の電鋳ブレード10によれば、ブレード本体1の金属めっき相2として、Ni−B(ニッケルボロン)組成のニッケル合金を用いているので、従来のNi(単体)からなる金属めっき相に比べて機械的強度(剛性)が高められ、これにより、切断加工時の直進性の精度を向上できる。
また、ブレード本体1全体の体積に対するフッ素樹脂のフィラー5の体積の割合が、10〜30%(つまりブレード本体1全体におけるフィラー5の共析量の割合(フィラー5の共析率)が10〜30vol%)であるので、該ブレード本体1の剛性を十分に確保しつつも、自生発刃作用を適度に促すことができる。
具体的に、上記フィラー5の共析率が10vol%未満である場合は、当該フィラー5を共析させたことによる自生発刃作用が得られにくくなり、切れ味の悪くなった切れ刃1Aが被切断材を切断し続けることによってチッピングが生じやすくなるなど、切断の加工品位が確保できなくなるおそれがある。
また、フィラー5の共析率が30vol%を超える場合は、ブレード本体1が脆化して、該ブレード本体1の剛性が確保できなくなり、金属めっき相2にNi−Bを用いたことによる直進性の精度向上の効果が得られにくくなる。特に、本実施形態の電鋳ブレード10は、ブレード本体1の厚さが0.1mm以下の極薄刃とされているので、このようにブレード本体1を薄刃化した場合において、フィラー5共析率が30vol%を超えていると、ブレード本体1が破損するおそれがある。
以上より、本実施形態によれば、ブレード本体1が薄刃化されてもその機械的強度(剛性)を高めて切断加工時の直進性の精度を確保でき、かつ自生発刃作用を適度に促して切れ刃1Aの切れ味を安定的に確保でき、これにより高精度な切断加工が可能である。
また本実施形態では、金属めっき相2に分散される砥粒3の集中度が、25〜150であるので、下記の効果を奏する。
すなわち、ブレード本体1において金属めっき相2に分散される砥粒3の集中度が、25〜150の範囲であるので、自生発刃作用を良好に促しつつも、該ブレード本体1の摩耗が著しく進行するようなことを防止して、工具寿命が確保される。また上記数値範囲は、電解めっきで共析可能な範囲内であり、多種多様なセラミックス素材等の硬脆材料の切断に対応して、所望の電鋳ブレード10を容易に作製できる。
具体的に、金属めっき相2に分散される砥粒3の集中度が25未満である場合は、ブレード本体1の摩耗の進行が早くなるとともに、早期に工具寿命となるおそれがある。また砥粒3を分散させたことにより期待されるブレード本体1の剛性向上の効果も得られにくくなる。
また、金属めっき相2に分散される砥粒3の集中度が150を超える場合は、自生発刃作用が鈍化して切れ味が悪くなり、チッピングが生じやすくなるなど、切断品位に影響するおそれがある。
また本実施形態では、ブレード本体1を電解めっきで製造する際、金属めっき液としてNi−Bを用い、砥粒3として該砥粒3の表面に所定の金属材料からなる金属膜を予め形成したものを用いて、金属めっき液中で砥粒3を台金に向けて電気的に誘導することで、砥粒3を金属めっき相2に所期の量だけ分散させることが可能である。
さらに、砥粒3の表面に金属膜が形成された状態で該砥粒3が金属めっき相2に取り込まれることで、金属めっき相2の内部応力を低減する作用効果が得られ、ブレード本体1の剛性が顕著に高められることになる。具体的に、Ni−Bは従来、めっき後に内部応力が生じやすいニッケル合金として知られているが、本発明によれば、Ni−Bからなる金属めっき相2の内部応力を低減させながら、機械的強度が高められている。
また、ブレード本体1において、金属めっき相2の硬度がHV700〜900の範囲内であるので、該ブレード本体1の剛性を確保しつつも、自生発刃作用を高めることができる。
具体的に、金属めっき相2の硬度がHV700未満である場合は、ブレード本体1の剛性が確保できなくなる。特に、ブレード本体1の厚さが、本実施形態のように0.1mm以下の極薄刃とされている場合において、該ブレード本体1の機械的強度を確保しにくくなる。
また、金属めっき相2の硬度がHV900を超える場合は、ブレード本体1の剛性が高くなり過ぎるとともに自生発刃作用が鈍化し、切断品位を確保しにくくなる。
このように、本実施形態によれば、ブレード本体1の剛性を確保しつつも、砥粒3の自生発刃作用が適度に促され、チッピングが抑制されるとともに切れ味が向上し、加工品位が十分に高められるのである。また、本実施形態の構成を用いることにより、ブレード本体1のさらなる薄刃化が可能である。
また、フィラー5の平均粒径が、砥粒3の平均粒径以下となっているので、砥粒3による切れ味が確保されつつも、この砥粒3の周囲に分散するフィラー5により該砥粒3の自生発刃作用が確実に促されて、前述した作用効果がより顕著なものとなる。
尚、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前述の実施形態では、電鋳ブレード10において、ブレード本体1の厚さが0.1mm以下であるとしたが、これに限定されるものではなく、ブレード本体1の厚さは0.1mmを超えても構わない。ただし、ブレード本体1の厚さが0.1mm以下の場合には、前述した効果がより顕著に得られることから好ましい。
また、電鋳ブレード10が切断する被切断材として、セラミックス(Al−TiCセラミックス)、ガラス、石英等の硬脆材料よりなる電子材料を例として挙げたが、それ以外の材料からなる被切断材を、電鋳ブレード10により切断加工することとしてもよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし本発明はこの実施例に限定されるものではない。
[金属めっき相の材質(硬度)による弾性率・蛇行量確認試験]
まず、金属めっき相2の材質(硬度)と弾性率との関係、及び、金属めっき相2の材質(硬度)と切断加工時の直進性(蛇行量)との関係について、確認試験を行った。
試験する電鋳ブレード10の共通仕様(以下、ベースブレードと省略)として、ブレード本体1は、外径73.8mm、取付孔4の内径40mm、厚さ0.04mmとした。また、金属めっき相2に分散する砥粒3には粒度#1200のダイヤモンド砥粒を用い、該砥粒3の表面にはNiからなる金属膜を予め(めっき前に)形成した。また、金属めっき相2に分散するフィラー5には平均粒径0.3μmのPTFEを用いた。また、金属めっき相2に分散する砥粒3の集中度は100とした。
そして、本発明の実施例として、ブレード本体1の金属めっき相2にNi−Bを用い、めっき硬度がビッカース硬さでHV800とされた電鋳ブレード10を用意した。一方、比較例として、金属めっき相にNi単体を用い、めっき硬度がHV550である電鋳ブレードと、めっき硬度がHV650である電鋳ブレードを用意した。尚、これら電鋳ブレードのフィラー5の共析率は、すべて20vol%とした。
これら電鋳ブレードの弾性率を、オートグラフ(登録商標):AGS−J50N(株式会社島津製作所製)により、変位量:2.5mmとして測定した(引っ張り試験)。結果を図4に示す。
また、上記電鋳ブレードを切断装置に装着し、被切断材をトータルで300mm(50mm×6本)切断したときの蛇行量の最大値を測定した。
尚、試験の条件としては、ワーク(被切断材):Al−TiCセラミックス(φ75mm×t1.2mm)、フランジ:φ70.0mm、主軸回転数:12000min−1、送り速度:80mm/minとした。結果を図5に示す。
[評価]
図4に示されるように、ブレード本体1の金属めっき相2がNi−Bからなり、その硬度がHV800とされた本発明の実施例では、該ブレード本体1の弾性率が350000Nm/mm以上となり、ブレード本体1の機械的強度が十分に確保されることがわかった。一方、ブレード本体1の金属めっき相2がNi単体からなり、その硬度がHV550、HV650とされた比較例では、該ブレード本体1の弾性率が300000Nm/mm未満となり、ブレード本体1の機械的強度が十分に確保されてはいなかった。
また図5に示されるように、ブレード本体1の金属めっき相2がNi−Bからなり、その硬度がHV800とされた本発明の実施例では、ブレード本体1の金属めっき相2がNi単体からなり、その硬度がHV550、HV650とされた比較例に比べて、蛇行量が小さく抑えられ、直進性の精度が確保されることがわかった。
[フッ素樹脂の共析量(フィラー共析率)による弾性率・蛇行量確認試験]
次に、ブレード本体1全体の体積に対するフィラー5の体積の割合(フィラー5の共析率)と弾性率との関係、及び、フィラー5の共析率と切断加工時の直進性(蛇行量)との関係について、確認試験を行った。
試験する電鋳ブレードとしては、前述のベースブレードを用い、フィラー5の共析率が本発明の範囲内(10〜30vol%)に設定された実施例と、本発明の範囲外(5vol%、35vol%)に設定された比較例とを用意した。尚、この確認試験では、ブレード本体1の金属めっき相2はすべてNi−Bとし、めっき硬度はHV800とした。そして、上述した確認試験と同様に、弾性率・蛇行量の測定を行った。結果を図6及び図7に示す。
[評価]
図6に示されるように、フッ素樹脂共析量(フィラー5の共析率)が10〜30vol%である本発明の実施例では、ブレード本体1の弾性率が350000Nm/mm以上となり、ブレード本体1の機械的強度が十分に確保されることがわかった。一方、フッ素樹脂共析量が35vol%である比較例では、ブレード本体が脆化して破損し測定不能であった。また、フッ素樹脂共析量が5vol%の比較例では、弾性率は確保されてはいるものの、実際に切断加工に用いたところ自生発刃作用が得られにくく、切断の加工精度を安定して確保できなかった。
また図7に示されるように、フッ素樹脂共析量が10〜30vol%である本発明の実施例では、フッ素樹脂共析量が5vol%、35vol%である比較例に比べて、切断加工時の蛇行量が小さく抑えられ、直進性の精度が確保されることがわかった。中でも、フッ素樹脂共析量が20〜30vol%である場合には、蛇行量が5μm以下にまで低減されて、格別顕著な効果が得られることが確認された。
1 ブレード本体
1A 切れ刃
2 金属めっき相
3 砥粒
5 フィラー
10 電鋳ブレード

Claims (3)

  1. 円形板状をなすブレード本体と、前記ブレード本体の外周縁部に形成された切れ刃と、を備える電鋳ブレードであって、
    前記ブレード本体は、
    Ni−Bからなる金属めっき相と、
    前記金属めっき相に分散され、前記金属めっき相よりも硬質の砥粒と、
    前記金属めっき相に分散され、フッ素樹脂からなるフィラーと、を有し、
    前記フィラーの平均粒径は、0.1〜5μmであり、
    前記フィラーの平均粒径は、前記砥粒の平均粒径以下であり、
    前記ブレード本体全体の体積に対する前記フィラーの体積の割合が、10〜30%であることを特徴とする電鋳ブレード。
  2. 請求項1に記載の電鋳ブレードであって、
    前記金属めっき相に分散される前記砥粒の集中度が、25〜150であることを特徴とする電鋳ブレード。
  3. 請求項1又は2に記載の電鋳ブレードであって、
    前記砥粒の表面には、前記金属めっき相よりも硬度が低い金属膜が形成されていることを特徴とする電鋳ブレード。
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