JP2011251349A - 薄刃ブレード - Google Patents
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Abstract
【解決手段】WC−Coをベースとして、加工に寄与するダイヤモンド砥粒21を分散させてなるメタル基材11と、メタル基材の外周縁部に形成された切刃13と、を有し、メタル基材が軸周りに回転されるとともに、切刃で被切断材を切断加工する薄刃ブレード10であって、メタル基材に、少なくとも一部が炭化されたダイヤモンドフィラー25が混入されている。
【選択図】図3
Description
特許文献1の薄刃ブレード(電着ブレード)は、ニッケルなどの母体金属にダイヤモンドなどの超砥粒を電着して形成したものである。
すなわち、本発明に係る薄刃ブレードは、WC−Coをベースとして、加工に寄与するダイヤモンド砥粒を分散させてなるメタル基材と、該メタル基材の外周縁部に形成された切刃と、を有し、前記メタル基材が軸周りに回転されるとともに、前記切刃で被切断材を切断加工する薄刃ブレードであって、前記メタル基材に、少なくとも一部が炭化されたダイヤモンドフィラーが混入されていることを特徴としている。
本発明に係る薄刃ブレードによれば、ダイヤモンドフィラーが混入されているため、剛性を確保しつつ、該ダイヤモンドフィラーが外周縁に露出したときにメタル基材から抜け落ち易い構成とすることができ、自生発刃作用を持続させることができる。また、メタル基材は高剛性のWC−Coで形成されているため、被切断材を加工する際に、直進性に優れた性能を有する。したがって、脆性材料に対して高品位な加工を施すことができる。さらに、ダイヤモンド砥粒およびダイヤモンドフィラーをメタル基材に混入して製造するため、容易に製造することができる。
本発明に係る薄刃ブレードによれば、粒径の小さいダイヤモンドフィラーを使用するため、ダイヤモンドフィラー自体が加工中に被切断材と接触して、被切断材の品位を劣化させるのを防止することができる。また、粒径の小さいダイヤモンドフィラーを使用するため、薄刃ブレードとしての所望の剛性を確保することができる。したがって、脆性材料に対しても高品位な加工を施すことができる。
本発明に係る薄刃ブレードによれば、炭化される割合が少ない(10%未満)場合には、フィラーとして作用しなくなるため、自生発刃作用を持続させることができない。つまり、ダイヤモンドフィラーの表層から10%以上炭化させることにより、摩耗促進用フィラーとして確実に作用し、自生発刃作用を確実に持続させることができる。
また、炭化される場合が多い(90%を超える)場合には、フィラーの剛性を保つことが困難になるため、ダイヤモンドフィラーの表層から90%以下炭化させることにより、フィラーとして剛性を保つことができる。
本発明に係る薄刃ブレードによれば、ダイヤモンドフィラーの含有率を5vol%以上30vol%以下に制限することにより、薄刃ブレード自体の耐摩耗性が損なわれるのを防止することができるとともに、剛性が低下するのを防止することができる。したがって、脆性材料に対しても高品位な加工を施すことができる。
図1は、薄刃ブレードの正面図である。図2は、図1のA−A線に沿う断面図である。図3は、図2のB部拡大図である。なお、本実施形態の薄刃ブレードは、発振子など強ピッチで溝加工を施す場合や、電子材料を切断することによって個片化する場合に使用するものである。
図1に示すように、薄刃ブレード10は、軸線Oを中心とした円環形状を有しており、厚さ0.05mm〜0.5mm程度の薄肉板状をなしている。薄刃ブレード10は、円環形状のメタル基材11と、メタル基材11の外周縁に形成された切刃13と、を備えている。メタル基材11は、例えば、WC−Coで形成され、粉末冶金法にて作製されている。また、薄刃ブレード10には、被切断材を切断など加工するためのダイヤモンド砥粒21が配されている。
また、ダイヤモンドフィラー25は、その表層からその粒径(半径)に対して10%以上炭化されたものが用いられている。
さらに、メタル基材11におけるダイヤモンドフィラー25の含有率は、5vol%以上30vol%以下となっている。
剛性評価試験1では、上記実施例1におけるベースブレード、発明品1〜4、比較品5(以下、サンプル品という。)を用いて剛性値を評価する試験を行い、この試験によって得られた剛性値を表1に示す。
切断試験1では、上記各サンプル品のブレードを使用して、ワークの切断加工を行った。なお、ワークとしては、直径3mm、厚さ1.2mmのAl203−TiCを用いた。
この切断加工において、直進性は切断加工される部材の切断中における最大曲がり量を計測したものである。また、チッピングの大きさを工具顕微鏡で確認した。さらに、切断加工中に、主軸電流値を測定した。
なお、切断装置は、各ブレードを外径52mmのフランジによってその主軸を狭着して、主軸回転数30000min−1、送り速度3mm/secとして切断加工を行った。この切断試験1によって得られた直進性、チッピングの大きさ、主軸電流値を表2に示す。
上記の結果より、本発明に係る発明品1〜4は、ベースブレード、比較品5と比較して、直進性における最大曲がり量およびチッピングが小さく抑えられるとともに、主軸電流値も小さく、すなわち低い抵抗で切断可能であることが理解される。つまり、ベースブレードにダイヤモンドフィラーを混入することで上記効果が得られることが理解できるとともに、粒径20μm以下のダイヤモンドフィラーをベースブレードに混入させると、さらに良好な効果が得られることが理解できる。
切断試験2では、上記の切断試験1の送り速度を10mm/secに変更して切断試験1と同様の試験を行った。表3に、切断試験2の結果を示す。
剛性評価試験2では、上記実施例2におけるベースブレード、発明品1〜3、比較品4,5(以下、サンプル品という。)を用いて剛性値を評価する試験を行い、この試験によって得られた剛性値を表4に示す。
切断試験3では、上記各サンプル品のブレードを使用して、ワークの切断加工を行った。なお、ワークとしては、長さ100mm、幅100mm、厚さ1.0mmのセラミックグリーンシートを用いた。
この切断加工において、上述した切断試験1と同様に、直進性および主軸電流値を測定した。また、チッピングの代わりにブレードへの切り屑の付着、すなわちダストを目視で測定すること、および摩耗量を測定した。
なお、切断装置は、各ブレードを外径52mmのフランジによってその主軸を狭着して、主軸回転数30000min−1、送り速度200mm/secとして切断加工を行った。この切断試験3によって得られた直進性、ダストの付着、主軸電流値、摩耗量を表5に示す。
また、表5に示すように、各サンプル品に付着するダストは、ベースブレードおよび比較品4,5に多少の付着が認められた。一方、発明品1〜3には、ダストの付着が認められなかった。
また、摩耗量については、比較品5、発明品3、発明品2、発明品1、比較品4、ベースブレードの順で小さくなっていることが理解できる。つまり、ベースブレードに混入されているダイヤモンドフィラーの含有率が高いほど、自生作用が促進させられるため、摩耗量は大きくなる。
ここで、比較品5のようにダイヤモンドフィラーの含有率が高くなりすぎると、直進性、主軸電流値およびダストの付着について、上述したような問題が生じる。また、比較品4のようにダイヤモンドフィラーの含有率が低くなりすぎても、直進性、主軸電流値およびダストの付着について、上述したような問題が生じる。したがって、ダイヤモンドフィラーの含有率は5vol%以上30vol%以下にすることが好ましいことが理解できる。
剛性評価試験3では、上記実施例3におけるベースブレード、発明品1〜4、比較品5,6(以下、サンプル品という。)を用いて剛性値を評価する試験を行い、この試験によって得られた剛性値を表6に示す。
切断試験4では、上記各サンプル品のブレードを使用して、ワークの切断加工を行った。なお、ワークとしては、長さ100mm、幅100mm、厚さ1.0mmのAl203を用いた。
この切断加工において、上述した切断試験1と同様に、直進性、チッピングの大きさおよび主軸電流値を測定した。
なお、切断装置は、各ブレードを外径52mmのフランジによってその主軸を狭着して、主軸回転数21000min−1、送り速度10mm/secとして切断加工を行った。この切断試験4によって得られた直進性、チッピングの大きさ、主軸電流値を表7に示す。
上記の結果より、本発明に係る発明品1〜4は、ベースブレード、比較品6と比較して、チッピングが小さく抑えられるとともに、主軸電流値も小さく、すなわち低い抵抗で切断可能であることが理解される。また、本発明に係る発明品1〜4は、比較品5と比較して、直進性を向上可能であることが理解できる。
つまり、ベースブレードに混入したダイヤモンドフィラーの炭化割合を10%以上90%以下とすることで、上記効果が得られることが理解できる。
切断試験5では、上記の切断試験4の送り速度を30mm/secに変更して切断試験4と同様の試験を行った。表8に、切断試験5の結果を示す。
剛性評価試験4では、上記実施例4におけるベースブレード、発明品1〜4、比較品5,6(以下、サンプル品という。)を用いて剛性値を評価する試験を行い、この試験によって得られた剛性値を表9に示す。
切断試験6では、上記各サンプル品のブレードを使用して、ワークの切断加工を行った。なお、ワークとしては、長さ100mm、幅100mm、厚さ1.5mmのセラミックグリーンシートを用いた。
この切断加工において、上述した切断試験3と同様に、直進性、ダストの有無、主軸電流値および摩耗量を測定した。
なお、切断装置は、各ブレードを外径68mmのフランジによってその主軸を狭着して、主軸回転数30000min−1、送り速度400mm/secとして切断加工を行った。この切断試験6によって得られた直進性、ダストの有無、主軸電流値および摩耗量を表10に示す。
また、表10に示すように、各サンプル品に付着するダストは、ベースブレードに付着が認められ、比較品6に少量の付着が認められた。一方、発明品1〜4、比較品5には、ダストの付着が認められなかった。
また、摩耗量については、ベースブレードに対して、ダイヤモンドフィラーを混入した発明品1〜4および比較品5,6の方が大きくなっていることが理解できる。つまり、ベースブレードにダイヤモンドフィラーを含有した方が剛性が低くなるため、摩耗量が大きくなることが理解できる。
つまり、ベースブレードに混入したダイヤモンドフィラーの炭化割合を10%以上90%以下とすることで、上記した全ての項目において良好な結果が得られることが理解できる。
Claims (4)
- WC−Coをベースとして、加工に寄与するダイヤモンド砥粒を分散させてなるメタル基材と、
該メタル基材の外周縁部に形成された切刃と、を有し、
前記メタル基材が軸周りに回転されるとともに、前記切刃で被切断材を切断加工する薄刃ブレードであって、
前記メタル基材に、少なくとも一部が炭化されたダイヤモンドフィラーが混入されていることを特徴とする薄刃ブレード。 - 前記ダイヤモンドフィラーの粒径が、0.5μm以上20μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の薄刃ブレード。
- 前記ダイヤモンドフィラーが、該ダイヤモンドフィラーの半径に対して10%以上90%以下、その表層から中心に向かって炭化されていることを特徴とする請求項1または2に記載の薄刃ブレード。
- 前記メタル基材に対する前記ダイヤモンドフィラーの含有率が、5vol%以上30vol%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の薄刃ブレード。
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